(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検出部は、前記発光部により照射された赤外線の強度と、前記受光部により受光された赤外線の強度と、前記所定の波長の赤外線に対するヘモグロビンによる吸収率とに基づいて、前記受光部により受光された赤外線が、ヘモグロビンにより散乱された赤外線であるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の検出装置。
前記検出部は、前記第1の波長の赤外線に対するヘモグロビン、及び水による吸収率と、前記第2の波長の赤外線に対するヘモグロビン、及び水による吸収率に基づいて、前記生体の存在を検出する
ことを特徴とする請求項6に記載の検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態における検出システム1の構成例を示す図である。
図1において、検出システム1は、検出装置10、及び警報装置20を含む。
【0010】
検出装置10と警報装置20とは、信号線、LAN(Local Area Network)、無線LAN等の通信回線によって通信可能に接続される。
【0011】
検出装置10は、人や動物等の生体の動き、及び生体の在/不在等を検出する。そして、検出した動きや在/不在等に基づいて異常を検出し、異常を警報装置20に通知する。
【0012】
検出装置10は、例えば、浴室、居間、台所等に設置される。検出装置10の少なくとも一部は、例えば、給湯器を遠隔制御する浴室リモコン、浴室乾燥機、浴室乾燥機のリモコン、浴室警報機、給湯器を遠隔制御する台所リモコン、床暖房用リモコン等に内蔵されていてもよい。なお、検出装置10は、浴室に限定されず、トイレ、居間、台所等、任意の場所に設置して用いることが可能である。
【0013】
警報装置20は、検出装置10から異常を通知されると、音、光、表示等により所定の報知を行う。警報装置20の設置場所は任意であり、浴室外に設置されてもよいし、浴室内に設置されてもよい。警報装置20は、例えば周知の台所リモコンでもよい。この場合、警報装置20は、例えば検出装置10が内蔵された浴室リモコンからの呼び出し信号に基づいて報知を行う。警報装置20は、室内インターホンでもよい。この場合、検出装置10と、室内インターホンである警報装置20とを信号線等により接続すればよい。
【0014】
検出装置10と警報装置20は、一体の装置として構成してもよい。
【0015】
<構成>
図2は、実施の形態における検出装置10の構成例を示す図である。
【0016】
検出装置10は、照射された所定の波長の赤外線が、生体内のヘモグロビンにより吸収された度合いに基づいて、生体の動き、及び生体の在/不在等を検出する。検出装置10は、
図2に示すように、発光部11、受光部12、検出部13、判定部14、及び報知部15を備えている。
【0017】
発光部11は、例えば赤外線LED(Light Emitting Diode)を用いて、所定の波長の赤外線を照射する。発光部11は、例えば検出部13からの指示に応じたタイミングで、赤外線を照射する。
【0018】
受光部12は、発光部11より照射され、生体等により反射または散乱された赤外線を受光する。
【0019】
検出部13は、受光部12により受光された赤外線が、ヘモグロビンにより散乱された赤外線である場合に、生体が存在することを検出する。
【0020】
判定部14は、検出部13により検出された情報に基づいて、異常が発生したか否かを判定する。判定部14は、検出部13により検出された情報に基づいて、例えば、浴槽内のユーザが浴槽内に沈んだ等の異常を判定する。
【0021】
報知部15は、判定部14により異常が発生したと判定された場合に、異常を報知する。報知部15は、例えば、呼び出し音、警告音、警告の音声メッセージを出力することにより、異常を報知する。また、報知部15は、警報装置20に異常を通知し、警報装置20にて呼び出し音等を出力させてもよい。また、報知部15は、例えば、予め登録されている同居人のメールアドレス等に、異常を報知するメッセージを送信してもよい。
【0022】
<処理>
≪キャリブレーション≫
次に、
図3を参照し、検出部13によるキャリブレーション処理について説明する。
図3は、キャリブレーション処理の一例を示すフローチャートである。検出部13は、後述する検出処理を行う前に、予めキャリブレーション処理を行っておく。
【0023】
ステップS101において、検出部13は、定常状態となったことを検知する。例えば、検出部13は、給湯器による浴槽の湯張りが完了した際、または、浴室の照明、ミストサウナ、浴室暖房等の浴室内に設置される機器が起動された際に、定常状態となったと判定する。なお、給湯器による浴槽の湯張りが完了したことは、例えば、給湯器を遠隔制御する浴室リモコンから通信により取得してもよい。
【0024】
続いて、検出部13は、発光部11に赤外線を照射させる(ステップS102)。
【0025】
続いて、検出部13は、受光部12により受光された赤外線の強度を取得する(ステップS103)。
【0026】
続いて、検出部13は、受光部12により受光させた赤外線の強度を、初期値として記憶する(ステップS104)。
【0027】
これにより、検出部13は、例えば、浴槽の湯気等による赤外線の反射等影響を、予め把握しておくことができる。
【0028】
≪検出処理≫
次に、
図4を参照し、検出部13による生体を検出する処理について説明する。
図4は、検出処理の一例を示すフローチャートである。なお、検出処理は、例えば定期的に実行してもよい。
【0029】
ステップS201において、検出部13は、発光部11に赤外線を照射させる。
【0030】
続いて、検出部13は、受光部12から、発光部11により放射された所定の波長の赤外線を受光した強度を取得する(ステップS202)。
【0031】
続いて、検出部13は、キャリブレーション時に記憶した強度の初期値と、今回取得した強度の差に基づいて、生体が存在するか否かを判定する(ステップS203)。
【0032】
図5は、発光部11により放射された所定の波長の赤外線が、受光部12により検出される原理について説明する図である。
【0033】
図5に示すように、発光部11により放射された所定の波長の赤外線は、生体501に当たると、生体組織で散乱、吸収されながら、一部が生体組織の外部に放射され、受光部12により検出される。
【0034】
この場合、拡張ベール則の下記式が成立する。
【0035】
A=μL+B=−ln(I
r/I
0) ・・・(1)
ここで、Aは吸光度、μ(mm
-1)は吸収係数(「吸収率」の一例)、L(mm)は平均光路長、I
0(W/m
2)は入射光の強度、I
r(W/m
2)は散乱透過光の強度である。また、Bは、散乱により検出器で検出されなかった光の損失である。
【0036】
図6は、赤外線の波長に応じた、ヘモグロビンと水の吸収、散乱の度合いについて説明する図である。
【0037】
図6に示すように、水とヘモグロビンは、赤外線を吸収する強さが赤外線の波長によって異なる。また、生体組織において赤外線を吸収する主な物質は、水とヘモグロビンである。そのため、発光部11から2つの波長(例えば850nmと970nm)の赤外線を例えば交互に放射し、受光部12により検出された当該2つの波長の赤外線の各々の吸光度を算出する。そして、例えば、平均光路長Lを予め設定された値として、当該2つの波長に対する水とヘモグロビンによる吸収係数の連立方程式を解くことにより、ヘモグロビンによって散乱されたか否かを推定する。そして、ヘモグロビンによって散乱されたと判定された場合は、生体が存在すると判定できる。
【0038】
生体が存在しない場合(ステップS203でNO)、処理を終了する。
【0039】
生体が存在する場合(ステップS203でYES)、検出部13は、生体が存在すること判定部14に通知する(ステップS204)。
【0040】
続いて、検出部13は、以前(例えば前回)の検出処理で取得した強度と、今回取得した強度の差に基づいて、生体または水面の動きを検出したか(体動を検出したか)否かを判定する(ステップS205)。例えば、検出部13は、受光部12により検出された赤外線の強度が、例えば前回において検出された強度から所定の閾値以上変化している場合に、生体または水面の動きが動いたと判定する。これは、当該強度の値が、体動による生体または水面の動きの影響を受けるためである。
【0041】
動きを検出しない場合(ステップS205でNO)、処理を終了する。
【0042】
動きを検出した場合(ステップS205でYES)、検出部13は、体動を検出したことを判定部14に通知し(ステップS206)、処理を終了する。
【0043】
≪異常判定処理≫
次に、
図7を参照し、判定部14による異常判定処理について説明する。
図7は、異常判定処理の一例を示すフローチャートである。なお、異常判定処理は、例えば、定期的に実行してもよい。
【0044】
判定部14は、人が浴槽内で入浴中であるか否かを判定する(ステップS301)。例えば、浴槽内に設けられた、水量を測るセンサにて、所定時間以内に、水位が所定の閾値以上増加した場合に、人が入浴中であると判定する。なお、人が入浴中であるか否かは、他の公知技術を用いて検知してもよい。
【0045】
人が入浴中でなければ(ステップS301でNO)、処理を終了する。
【0046】
人が入浴中であれば(ステップS301でYES)、判定部14は、検出部13により生体が検出されているか否かを判定する(ステップS302)。
【0047】
生体が検出されていない場合(ステップS302でNO)、判定部14は、報知部15を用いて、異常を報知させ(ステップS303)、処理を終了する。入浴中であるにもかかわらず、検出部13により生体が検出されていない場合は、生体が浴槽の水面下に沈んでいる場合であると考えられるためである。この場合、例えば、報知部15は、警報装置20に、例えば「お風呂で人が溺れていないか確認して下さい。」等の音声を報知させる。
【0048】
生体が検出されている場合(ステップS302でYES)、判定部14は、検出部13により所定時間を経過するまでの間に体動が検出されたか否かを判定する(ステップS304)。
【0049】
所定時間を経過するまでの間に体動が検出された場合(ステップS304でYES)、処理を終了する。
【0050】
所定時間を経過するまでの間に体動が検出されない場合(ステップS304でNO)、判定部14は、報知部15を用いて、ユーザに所定の操作を要求する(ステップS305)。例えば、報知部15により、「確認のために無事ボタンを押下してください」等のメッセージを、音声または画面に出力させる。これにより、検出部13により生体及び浴槽の水面の動きが検出されない状態が所定時間以上継続した場合に、入浴中のユーザに、無事であるかを問い合わせることができる。
【0051】
続いて、判定部14は、所定の操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS306)。
【0052】
所定の操作を受け付けた場合(ステップS306でYES)、処理を終了する。
【0053】
所定の操作を受け付けない場合(ステップS306でNO)、判定部14は、検出部13により体動が検出されたか否かを判定する(ステップS307)。
【0054】
体動が検出された場合(ステップS307でYES)、処理を終了する。これにより、ステップS305で所定の操作を要求された場合、ユーザは、例えば、発光部11の前で手を振る等の動作により、無事であることを判定部14に通知することができる。
【0055】
体動が検出されない場合(ステップS307でNO)、ステップS303の処理に進む。
【0056】
<変形例>
ステップS301の人が浴槽内で入浴中であるか否かを判定する処理は、水量を測るセンサを用いる代わりに、発光部11及び受光部12を用いて判定してもよい。
【0057】
人が浴槽に入る、または浴槽から出るために浴槽を跨ぐ際は、受光部12により受光される赤外線の強度の変動が比較的大きくなる。そのため、判定部14は、所定期間(例えば3秒間)内における受光部12により受光される赤外線の強度の変動が所定の閾値以上であり、かつその後に検出部13により生体が検出された場合に、人が浴槽内で入浴中であると判定し、「入浴中」であることを記憶してもよい。この場合、判定部14は、所定期間(例えば3秒間)内における受光部12により受光される赤外線の強度の変動が所定の閾値以上であり、かつその後に検出部13により生体が検出されない場合に、浴槽内で入浴中でないと判定し「入浴中」でないことを記憶してもよい。
【0058】
また、判定部14は、例えば機械学習により、浴槽の跨ぎと判定する条件を自動で設定するようにしてもよい。この場合、例えば、検出部13により生体が検出される時点、及び検出部13により生体が検出されなくなる時点の間の、受光部12により受光される赤外線の強度の変動パターンを、浴槽の跨ぎによるものであると学習してもよい。これにより、ユーザ毎の浴槽の跨ぎ動作の癖に応じた、より精度の高い浴槽内で入浴中であるか否かの判定ができる。
【0059】
<まとめ>
上述した実施形態によれば、受光部により受光された赤外線が、ヘモグロビンにより散乱された赤外線である場合に、生体が存在することを検出する。それにより、生体を検出する精度を向上させることが可能となる。
【0060】
<検出プログラムについて>
本実施形態に係る検出装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等の揮発性の記憶媒体、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の記憶媒体、マウスやキーボード、ポインティングデバイス等の入力装置、画像やデータを表示する表示部、並びに外部と通信するためのインターフェースを備えたコンピュータによって構成してもよい。
【0061】
その場合、検出装置10が有する検出部13、及び判定部14等の各機能は、これらの機能を記述したプログラム(検出プログラム)をCPUに実行させることによりそれぞれ実現可能となる。また、このプログラムは、磁気ディスク(フロッピィーディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記録媒体に格納して頒布することもできる。つまり、上述した各構成における処理をコンピュータ(ハードウェア)に実行させるためのプログラムを、例えば汎用のPCやサーバ等にそのプログラムをインストールすることにより、上述した処理を実現することができる。
【0062】
また、上述した実施形態における検出装置10の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。検出装置10の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。
【0063】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0064】
例えば、検出部13、及び判定部14は、1以上のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティングにより実現されていてもよい。
【解決手段】検出装置において、所定の波長の赤外線を照射する発光部と、赤外線を受光する受光部と、前記受光部により受光された赤外線が、ヘモグロビンにより散乱された赤外線である場合に、生体が存在することを検出する検出部と、を備える。