特許第6134440号(P6134440)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134440
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】アクリレート系光硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/00 20060101AFI20170515BHJP
   C08K 5/103 20060101ALI20170515BHJP
   C08K 5/29 20060101ALI20170515BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20170515BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20170515BHJP
   G03F 7/031 20060101ALI20170515BHJP
   G03F 7/033 20060101ALI20170515BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20170515BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20170515BHJP
   C08F 265/06 20060101ALI20170515BHJP
   C07C 323/47 20060101ALI20170515BHJP
   C07D 209/86 20060101ALI20170515BHJP
   C07D 409/06 20060101ALI20170515BHJP
   C07D 405/06 20060101ALI20170515BHJP
   C07D 333/22 20060101ALI20170515BHJP
   C07D 307/46 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   C08L33/00
   C08K5/103
   C08K5/29
   C08F2/44 C
   G03F7/004 505
   G03F7/031
   G03F7/033
   G03F7/027 502
   C08F2/50
   C08F265/06
   C07C323/47
   C07D209/86
   C07D409/06
   C07D405/06
   C07D333/22
   C07D307/46
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-514250(P2016-514250)
(86)(22)【出願日】2014年1月26日
(65)【公表番号】特表2016-527329(P2016-527329A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】CN2014071443
(87)【国際公開番号】WO2014187170
(87)【国際公開日】20141127
【審査請求日】2015年11月20日
(31)【優先権主張番号】201310187435.7
(32)【優先日】2013年5月20日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515324604
【氏名又は名称】常州強力先端電子材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHANGZHOU TRONLY ADVANCED ELECTRONIC MATERIALS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】錢 曉春
【審査官】 久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−058728(JP,A)
【文献】 特開2012−113104(JP,A)
【文献】 特開2012−177826(JP,A)
【文献】 特開2011−221192(JP,A)
【文献】 特開2007−065155(JP,A)
【文献】 特開2014−173052(JP,A)
【文献】 特開2014−182383(JP,A)
【文献】 特開2014−170098(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102778814(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第101923287(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
C08K 5/00−5/59
G03F 7/00−7/42
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(メタ)アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、及び、部分エステル化マレイン酸共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種の、重量平均分子量(Mw)が5000〜250000である、側鎖にカルボン酸基を有するポリマー20〜45質量部と、
(B)多官能アクリレート単量体10〜30質量部と、
(C)下記オキシムエステル系化合物から選ばれる光重合開始剤2〜7質量部と、
を含有することを特徴とするアクリレート系光硬化性組成物であって、
成分(C)の前記光重合開始剤が、下記化合物の1種又は2種以上の組合せからなる群から選ばれる、アクリレート系光硬化性組成物
【化1】
【請求項2】
成分(A)の前記ポリマーが、(メタ)アクリル酸ベンジル単量体単位と(メタ)アクリル酸単量体単位を有する共重合体から選ばれる、請求項1に記載のアクリレート系光硬化性組成物。
【請求項3】
成分(A)の前記ポリマーが、メタクリル酸ベンジルと、メタクリル酸と、メタクリル酸ヒドロキシエチル及び/又はメタクリル酸メチルと、からなる共重合体から選ばれ、且つ、メタクリル酸ベンジルと、メタクリル酸と、メタクリル酸ヒドロキシエチル及び/又はメタクリル酸メチルとのモル比が、55〜75:5〜10:10〜15である、請求項に記載のアクリレート系光硬化性組成物。
【請求項4】
成分(A)の前記ポリマーが、メタクリル酸ベンジルと、メタクリル酸と、メタクリル酸ヒドロキシエチル及び/又はメタクリル酸メチルと、下記式(II)で表われるものから選ばれるアクリレートと、からなる共重合体から選ばれ、且つ、メタクリル酸ベンジルと、メタクリル酸と、メタクリル酸ヒドロキシエチル及び/又はメタクリル酸メチルと、式(II)で表われるアクリレートとのモル比が、55〜60:5〜10:10〜15:10である、請求項に記載のアクリレート系光硬化性組成物。
【化2】
【請求項5】
成分(B)の前記多官能アクリレート単量体が、アルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート、3価以上のポリオールのポリ(メタ)アクリレート又はそのジカルボン酸変性体、オリゴ(メタ)アクリレート、両末端ヒドロキシル化ポリマーのジ(メタ)アクリレート、及び、トリス[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]ホスフェート、からなる群から選ばれる、請求項1に記載のアクリレート系光硬化性組成物。
【請求項6】
前記多官能アクリレート単量体が、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、からなる群から選ばれる、請求項に記載のアクリレート系光硬化性組成物。
【請求項7】
さらに、増感剤、着色剤、及び界面活性剤のうちの少なくとも1種を含む、請求項1に記載のアクリレート系光硬化性組成物。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1項に記載のアクリレート系光硬化性組成物を用いて製造してなるフォトスペーサー。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか1項に記載のアクリレート系光硬化性組成物を用いて製造してなるカラーフィルター膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化の技術分野に属する。具体的に、アクリレート系光硬化性組成物、及び当該組成物のカラーフィルターやフォトスペーサーのような液晶表示装置での応用に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の中核となる部材として、カラーフィルターは、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、及びブラックなどの各画素材よりからなり、ブラックをマトリクス状にすることで、R、G、B同士を隔ててクロスカラーを防止する(即ち、ブラックマトリクスBM)。液晶ディスプレーにおいては、カラーフィルター基板と薄膜トランジスタとの間の厚さを維持するために、セルの内部にスペーサーと呼ばれるガラス又は樹脂制の透明な球状粒子(フォトスペーサー)が散在している。
【0003】
アクリレート系光硬化性組成物は、RGB、BM、及びフォトスペーサーの製造に広く応用されてきている。これまでに、例えば、CN1337013、CN1424624、CN101052918、CN101118382、CN101025568などのような多くの特許文献に、関連する報告がなされたが、マイクロエレクトロニクス技術の発展と環境意識の高まりから、アクリレート系光硬化性組成物の性能に対する要求がさらに高くなる。プラクティスによれば、従来のアクリレート系組成物の多くは、溶解性が劣り、熱安定性が低く、光感度が低いなどの問題点があり、光硬化が十分でなく、さらに、液晶パネルの不良率が高くなることや、生産ラインの汚染が厳しくなること、及び生産コストが高くなることを招くことになる。これらに起因して産業発展の需要を満たすことができなくなる。
【0004】
本発明は前記の課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明は、新規なオキシムエステル系光重合開始剤を組み合わせてなるアクリレート系光硬化性組成物において、光重合開始剤と所定のアクリレート系単量体とポリマー成分との間に、非常に優れた適合性を有し、優れた応用性を示しているアクリレート系光硬化性組成物が開示している。
【発明の概要】
【0005】
従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的の一つは、光重合開始剤としての式(I)で表われる化合物、並びに、当該開始剤に適合するアクリレート系単量体及びポリマー成分を含有する、アクリレート系光硬化性組成物を提供することにある。当該光硬化性組成物は、光重合する際の硬化速度が速く、低公害、省エネルギー、露光効率が高く、露光量が小さく、且つ、硬化成形した画像パターンが微細で完全であり、欠陥及びスカムがなく、膜の硬度が良好になる。
【0006】
上記課題を解決するための本発明は、以下に関する。
(A)(メタ)アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、及び、部分エステル化マレイン酸共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種の、重量平均分子量(Mw)が5000〜250000である、側鎖にカルボン酸基を有するポリマー20〜45質量部と、
(B)多官能アクリレート単量体10〜30質量部と、
(C)下記式(I)で表されるオキシムエステル系化合物から選ばれる光重合開始剤2〜7質量部と、
を含有することを特徴とするアクリレート系光硬化性組成物。
【0007】
【化1】
【0008】
式中、
n=1〜10、m=1〜8、
Xは、直接結合、カルボニル基(−C=O)、又はアルケニル基(−C=CH)であり、
は、R11、OR11、COR11、CONR1213又はCNからなる群から選ばれ、その中のR11、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素、C1〜20アルキル基又はシクロアルキル基、C6〜20アリール基、C7〜20アラルキル基又はC2〜20ヘテロ環基からなる群から選ばれ、
、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいC1〜12アルキル基、C1〜12アルコキシ基、C5〜8シクロアルキル基、C6〜20フェニル基、C7〜20ベンジル基、C7〜20ベンゾイル基、C2〜12アルカノイル基、C1〜20ヘテロアリーロイル基、C3〜20アルコキシカルボニルアルカノイル基、C8〜20フェノキシカルボニルアルカノイル基、C3〜20ヘテロアリールオキシカルボニルアルカノイル基、C2〜12アルコキシカルボニル基又はフェノキシカルボニル基、もしくは、−OR、−SR、−SOR、−SO又は−NR10を表し、但し、R、R、R、R及びRの中の少なくとも1つが、−OR、−SR又は−NR10からなる群から選ばれ、ここで、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよいC1〜12アルキル基、C2〜8アルカノイル基、C3〜12アルケニル基、C3〜30アルケノイル基、C6〜20フェニル基、−(CHCHO)H (zは1〜20の整数)又はC3〜15トリアルキルシリル基を表し、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよいC1〜12アルキル基、C2〜8アルカノイル基、C3〜12アルケニル基、C6〜20フェニル基、C3〜15トリアルキルシリル基を表し、RとR10は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよいC1〜12アルキル基、C2〜4ヒドロキシアルキル基、C3〜5アルケニル基又はC6〜20フェニル基を表す。
、R、R、R及びRは、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
、R、R、R及びRは、いずれも、Rと結合して環状構造を形成していてもよい。
【0009】
前記のアクリレート系光硬化性組成物においては、成分(C)の前記光重合開始剤が、下記構造の中の1種又は2種以上の組合せであることが好ましい。
【0010】
【化2】
【0011】
【化3】
【0012】
【化4】
【0013】
【化5】
【0014】
成分(A)にかかる前記ポリマーは、(メタ)アクリル酸ベンジル単量体単位と(メタ)アクリル酸単量体単位を含有する共重合体であることが好ましく、特に、メタクリル酸ベンジルと、メタクリル酸と、メタクリル酸ヒドロキシエチル及び/又はメタクリル酸メチルとからなる共重合体であり、且つ、前記共重合体におけるメタクリル酸ベンジルと、メタクリル酸と、メタクリル酸ヒドロキシエチル及び/又はメタクリル酸メチルとのモル比が、55〜75:5〜10:10〜15であることが好ましい。ここで、「メタクリル酸ベンジルと、メタクリル酸と、メタクリル酸ヒドロキシエチル及び/又はメタクリル酸メチルとからなる共重合体」とは、「メタクリル酸ヒドロキシエチル及び/又はメタクリル酸メチル」の少なくとも一方が、前記の「メタクリル酸ベンジル」と「メタクリル酸」とともに、重合単位とすることを意味する。
【0015】
成分(A)にかかる前記ポリマーは、さらに、メタクリル酸ベンジルと、メタクリル酸と、メタクリル酸ヒドロキシエチル及び/又はメタクリル酸メチルと、下記式(II)で表われるものから選ばれるアクリレートと、からなる共重合体であることが特に好ましい。
【0016】
【化6】
【0017】
当該共重合体における、メタクリル酸ベンジルと、メタクリル酸と、メタクリル酸ヒドロキシエチル及び/又はメタクリル酸メチルと、式(II)で表われるアクリレートとのモル比が、55〜60:5〜10:10〜15:10である。当該共重合体の重量平均分子量は、5000〜250000である。
【0018】
成分(A)は、そのポリマーの重量平均分子量が10000〜50000であることが好ましく、それのアクリレート系組成物における量が25〜35重量部であることが好ましい。
【0019】
本発明におけるアクリレート系光硬化性組成物においては、成分(B)の前記多官能アクリレート単量体としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの3価以上のポリオールのポリ(メタ)アクリレート又はそのジカルボン酸変性体;ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、スピロアルカン樹脂などのオリゴ(メタ)アクリレート;両末端ヒドロキシ基含有ポリ−1,3−ブタジエン、両末端ヒドロキシ基含有ポリイソプレン、両末端ヒドロキシ基含有ポリカプロラクトンなどの両末端ヒドロキシル化ポリマーのジ(メタ)アクリレート、及び、トリス[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]ホスフェートなどが挙げられる。
【0020】
前記多官能アクリレート単量体においては、3価以上のポリオールのポリ(メタ)アクリレート又はそのジカルボン酸変性体が好ましく、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及び、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートが更に好ましい。
【0021】
本発明のアクリレート系光硬化性組成物は、更に、生成物の適用に応じて、光硬化性組成物に汎用される増感剤、着色剤、界面活性剤などのその他の助剤を含有してもよい。
【0022】
例えば、光硬化反応に補助的な役割を果たす増感剤を配合してもよい。その例として、クマリン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン(TX)誘導体又はピラゾリン誘導体などが挙げられる。
【0023】
また、適用系の必要に応じて、例えば着色剤を配合してもよい。着色剤として、特に制限されないが、染料や顔料であってもよく、好ましくは顔料である(有機顔料と無機顔料を含む)。詳しくは、得られたカラーフィルター又は着色組成物フィルムの用途に応じて適宜選択しても良い。本発明の前記アクリレート系組成物に着色剤を含有する場合、好ましくは10〜30質量部、より好ましくは15〜20質量部の量を含有する。
【0024】
さらに、組成物系(特に、組成物の液を使用した膜塗布プロセスにおいて)の均一の分散を促進するために、界面活性剤(例えば、市販されたFC−4430)を選択的に配合してもよい。これは、当業者であれば周知されている。前記アクリレート系組成物に当該成分を含有する場合、好ましくは0.01〜1質量部、更に好ましくは0.01〜0.5質量部の界面活性剤を含有する。
【0025】
本発明の他の目的は、前記のアクリレート系光硬化性組成物を用いて製造してなるフォトレジスト膜とカラーフィルター膜を提供することにある。
【0026】
本発明にかかるアクリレート系光硬化性組成物においては、光重合開始剤としての式(I)で表われる化合物と所定の成分(A)及び(B)とが優れた適合性を有する。これらの成分を組合せることによって得られた組成物は、非常に優れた貯蔵安定性を有し、短波長側に高い感光度を持ち、低い露光量でも十分な架橋硬化が可能であり、且つ、硬化効果も優れている。当該組成物からなるフィルムのエッジは平らで欠陥がなく、スカムがなく、パターン全体の整合性が良く、さらに、レジスト膜の硬度が高く、作製されたカラーフィルターは、光透過性が高く、光漏れがない。特に、カラーフィルターにおけるブラックマトリクス(BM)を作製する際に、ブラック顔料又は染料により光源の利用効率が非常に劣っているが、このような組成物を使用することにより、低い露光量でもBMの作製が完成できるようになり、且つ、作製されたBMも、高い遮光性、優れた精度、平坦性、及び耐久性を有するようになる。また、本発明にかかる組成物は、フォトスペーサーを作製するための優れた材料としても有用である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0028】
アクリレート系光硬化性組成物を使用して、光硬化とフォトリソグラフィープロセスにより、RGB、BM及びフォトスペーサーを製造する技術は、既に当業者に周知されているが、通常、下記の工程が含まれる。即ち、
i)光硬化性組成物を適宜な有機溶媒(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び/又は2−ヒドロキシプロパン酸エチル)に溶解させて、液状の組成物を得る。
ii)前記液状の組成物を、例えば、スピンコーター、ワイヤーバーコーター、シャフトコーター又はスプレーコーターなどのコーターを使用して、基板上に均一に塗布する。
iii)プレベークして乾燥させ、溶媒を除去する。
iv)フォトマスク板をサンプル上に付けて露光を行った後に現像して、未露光部を除去する。
v)ポストベークを行って、所望の形状の乾式フォトレジスト膜を得る。
ブラック顔料を含むフォトレジスト膜は、ブラックマトリクスBMとなり、レッド・グリーン・ブルーの顔料によるフォトレジスト膜は、該当するR、G、Bフォトレジストとなる。
【0029】
光硬化性組成物
表1に示される処方に従って混合することにより光硬化性組成物を調整した。ここで、各数値は質量部を示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1に示される処方に従って混合することにより光硬化性組成物を調整し、溶媒であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)100質量部に溶解させて、液状の組成物を得た。
【0032】
液状の組成物をスピンコーターを使用してガラス基板上に塗布し、90℃で5min乾燥して溶媒を除去し、膜厚が1.5μmである塗布膜が形成された。前記の厚さの塗布膜を得るには、塗布工程を1回で完成させてもよいし、複数回に分けて完成させてもよい。
【0033】
塗布膜が形成された基板を室温まで冷却してから、フォトマスク板を付け、高圧水銀ランプ1PCSの光源を使用して、FWHMカラーフィルターを介して長波長の光を放射することができた。フォトマスク板の隙間を介して波長370〜420nmの紫外線で塗布膜に対して露光した。
1%のNaOH水溶液を利用して25℃の温度で現像した後、超純水で洗浄し、風乾した。
最後に、220℃のオーブンにおいて、30分間かけてポストベークを行ってフォトマスク板から転写されたパターンを得た。
【0034】
性能評価
本発明にかかる組成物の貯蔵安定性、露光感度、及び当該組成物を使用してガラス基板上に形成されたパターンの現像性とパターン整合性について、以下の方法により評価し、それらの結果をまとめて表2に示した。
【0035】
1、貯蔵安定性の評価方法
液状の組成物を室温下で1ヶ月間保管した後のものについて、目視により沈殿の程度を以下の基準に従い評価した。
A:沈殿が見られなかった。
B:沈殿がわずかに見られた。
C:沈殿がはっきりと見られた。
【0036】
2、露光感度の評価方法
露光の工程において光照射された区域を現像された後の残膜率が90%又は90%以上の最低の露光量を露光必要量と評価した。露光必要量が小さいほど、感度が高いことを示す。
【0037】
3、現像性とパターン整合性の評価方法
走査型電子顕微鏡(SEM)により基板上のパターンを観察し、現像性とパターン整合性について評価した。
以下の基準に従い、現像性を評価した。
【0038】
【表2】
【0039】
表2の結果から、実施例1−8の組成物より製造されたカラーフィルターのフォトレジストは良い現像性とパターン整合性を有する一方、比較例1−3のほうはこれらの性能が明らかに十分でないことが分かる。なお、実施例1−8における露光量が100mJ/cm未満で、比較実施例1−3よりはるかに低いが、非常に優れた光感度を示した。
【0040】
以上より分かるように、本発明にかかるアクリレート系光硬化性組成物は、非常に優れた応用性を示し、広く応用される見通しがある。