(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記暖房使用量算出部は、前記対象期間が非冬期である場合、前記対象期間、及び前記所定期間のうちの前記対象期間より前の非冬期である第1参照期間のそれぞれにおける気温又は水温の代表値と、前記第1参照期間における前記ユーザのガス総使用量と、前記第1参照期間を含む非冬期における気温又は水温に対する前記ユーザの前記所定期間ごとのガスの総使用量の変化率とに基づき、前記対象期間における前記ユーザの調理用途及び給湯用途に使用されたガスの使用量を算出すると共に、算出したガスの当該使用量を、前記対象期間における前記ユーザのガスの総使用量から減じることにより、対象期間における前記ユーザの暖房用途に使用されたガスの使用量を算出する、
請求項1に記載の通知システム。
前記暖房使用量算出部は、前記対象期間が冬期である場合、前記所定期間のうちの前記対象期間の直近の中間期である前記第1参照期間、及び該第1参照期間の直近の夏期である第2参照期間のそれぞれにおける前記ユーザのガスの総使用量の差分と、前記第1参照期間及び前記第2参照期間のそれぞれにおける気温又は水温の代表値の差分とに基づき、前記変化率を算出する、
請求項2に記載の通知システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ガスの使用用途に応じてアドバイスすべき内容が異なりうるため、対象期間におけるガスの使用用途別の使用状況に基づき、ガス使用の抑制を促す通知が行われることが望ましい。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、対象期間におけるガスの使用用途別の使用状況に基づき、ガス使用の抑制を促す通知を行うことが可能な通知システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態では、
ユーザの所定期間ごとのガスの総使用量を取得する取得部と、
前記所定期間のうちの対象期間における前記ユーザのガスの総使用量に所定の比率を乗じて、前記対象期間における前記ユーザの調理用途に使用されたガスの使用量を算出する調理使用量算出部と、
前記対象期間が冬期である場合、前記対象期間における前記ユーザのガスの総使用量と、前記対象期間における気温又は水温に関する情報と、前記対象期間より前の非冬期における気温又は水温と前記ユーザの前記所定期間ごとのガスの総使用量との間の相関関係とに基づき、前記対象期間における前記ユーザの暖房用途に使用されたガスの使用量を算出し、前記対象期間が非冬期である場合、前記対象期間における前記ユーザの暖房用途に使用されたガスの使用量をゼロと算出する暖房使用量算出部と、
前記対象期間における前記ユーザのガスの総使用量と、前記調理使用量算出部及び前記暖房使用量算出部により算出された前記対象期間における前記ユーザの調理用途及び暖房用途のそれぞれに使用されたガスの使用量とに基づき、前記対象期間における前記ユーザの給湯用途に使用されたガスの使用量を算出する給湯使用量算出部と、
前記調理使用量算出部、前記暖房使用量算出部、及び前記給湯使用量算出部により算出された、前記対象期間における前記ユーザの調理用途、暖房用途、及び給湯用途のそれぞれに使用されたガスの使用量に基づき、前記ユーザに対してガス使用の抑制を促す通知を行う通知部と、を備える、
通知システムが提供される。
【0007】
また、本発明の他の実施形態では、
ユーザが所持する端末と通信可能に接続されるサーバであって、
前記ユーザの所定期間ごとのガスの総使用量を取得する取得部と、
前記所定期間のうちの対象期間における前記ユーザのガスの総使用量に所定の比率を乗じて、前記対象期間における前記ユーザの調理用途に使用されたガスの使用量を算出する調理使用量算出部と、
前記対象期間が冬期である場合、前記対象期間における前記ユーザのガスの総使用量と、前記対象期間における気温又は水温に関する情報と、前記対象期間より前の非冬期における気温又は水温と前記ユーザの前記所定期間ごとのガスの総使用量との間の相関関係とに基づき、前記対象期間における前記ユーザの暖房用途に使用されたガスの使用量を算出し、前記対象期間が非冬期である場合、前記対象期間における前記ユーザの暖房用途に使用されたガスの使用量をゼロと算出する暖房使用量算出部と、
前記対象期間における前記ユーザのガスの総使用量と、前記調理使用量算出部及び前記暖房使用量算出部により算出された前記対象期間における前記ユーザの調理用途及び暖房用途のそれぞれに使用されたガスの使用量とに基づき、前記対象期間における前記ユーザの給湯用途に使用されたガスの使用量を算出する給湯使用量算出部と、
前記調理使用量算出部、前記暖房使用量算出部、及び前記給湯使用量算出部により算出された、前記対象期間における前記ユーザの調理用途、暖房用途、及び給湯用途のそれぞれに使用されたガスの使用量に基づき、前記ユーザに対するガス使用の抑制を促す通知を前記端末に送信する通知部と、を備える、
サーバが提供される。
【0008】
また、本発明の他の実施形態では、
通知システムにより実行される通知方法であって、
ユーザの所定期間ごとのガスの総使用量を取得する取得ステップと、
前記所定期間のうちの対象期間における前記ユーザのガスの総使用量に所定の比率を乗じて、前記対象期間における前記ユーザの調理用途に使用されたガスの使用量を算出する調理使用量算出ステップと、
前記対象期間が冬期である場合、前記対象期間における前記ユーザのガスの総使用量と、前記対象期間における気温又は水温に関する情報と、前記対象期間より前の非冬期における気温又は水温と前記ユーザの前記所定期間ごとのガスの総使用量との間の相関関係とに基づき、前記対象期間における前記ユーザの暖房用途に使用されたガスの使用量を算出し、前記対象期間が非冬期である場合、前記対象期間における前記ユーザの暖房用途に使用されたガスの使用量をゼロと算出する暖房使用量算出ステップと、
前記対象期間における前記ユーザのガスの総使用量と、前記調理使用量算出ステップ及び前記暖房使用量算出ステップにより算出された前記対象期間における前記ユーザの調理用途及び暖房用途のそれぞれに使用されたガスの使用量とに基づき、前記対象期間における前記ユーザの給湯用途に使用されたガスの使用量を算出する給湯使用量算出ステップと、
前記調理使用量算出ステップ、前記暖房使用量算出ステップ、及び前記給湯使用量算出ステップにより算出された、前記対象期間における前記ユーザの調理用途、暖房用途、及び給湯用途のそれぞれに使用されたガスの使用量に基づき、前記ユーザに対してガス使用の抑制を促す通知を行う通知ステップと、を備える、
通知方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本実施形態によれば、対象期間におけるガスの使用用途別の使用状況に基づき、ガス使用の抑制を促す通知を行うことが可能な通知システム等を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る通知システム1の構成の一例を概略的に示す図である。本実施形態に係る通知システム1は、サーバ10と、ユーザ2が所持する端末20と、ユーザ2が所持する住宅、施設等(以下、「ユーザ2の住宅等」と称する)に設置されるガスメータ30を含む。
【0013】
尚、ユーザ2は、ガスを使用する複数のユーザのうちの一のユーザを代表的に示す。また、ユーザ2が所持する端末20は、所定のネットワーク3(例えば、インターネット網、基地局を末端とする携帯電話網等)を通じて、サーバ10に接続可能であれば、スマートフォン、タブレット等の携帯端末であってもよいし、所定の場所に定置されるデスクトップ型のコンピュータ等の定置端末であってもよい。また、ガスメータ30は、ユーザ2の住宅等におけるガスの使用量を計測し、ガスメータ30によるガスの使用量の計測値は、定期的に(例えば、ひと月ごとに)検針員により確認されると共に、検針員が所持する端末に入力され、当該端末を介して、サーバ10に送信される。また、ガスメータ30は、サーバ10とネットワーク3を介して通信可能に接続されるスマートメータでもよく、この場合、ガスメータ30は、周期的に(例えば、30分毎に)、ユーザ2の住宅等におけるガスの使用量に関する情報をサーバ10に送信する。また、
図1では、便宜上、端末20、ガスメータ30をユーザ2に内包する態様で表記している。
【0014】
サーバ10は、所定のネットワーク3を通じて、ユーザ2に対するガス使用の抑制を促す通知を行う。具体的には、サーバ10は、ユーザ2が利用する端末20を介してユーザ2に対する当該通知を行う。サーバ10は、通信機器11と、処理装置12を含む。
【0015】
通信機器11は、ネットワーク3を介して端末20等の外部装置と通信可能に接続する任意のデバイスである。
【0016】
処理装置12は、サーバ10における各種制御処理を実行する。処理装置12は、その機能が任意のハードウェア、ソフトウェア、或いはその組み合わせにより実現されてよく、例えば、CPU(Central Processing Unit),RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory),I/O(Input-Output interface)等を含む1又は複数のサーバコンピュータを中心に構成されてよい。以下、
図2を参照して、処理装置12の機能構成について説明する。
【0017】
図2は、本実施形態に係る処理装置12の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0018】
処理装置12は、例えば、サーバコンピュータのROMに格納される1以上のプログラムをCPU上で実行することにより実現される機能部として、通信処理部121と、検針データ取得部122と、調理使用量算出部123と、暖房使用量算出部124と、給湯使用量算出部125と、通知部126を含む。また、処理装置12は、例えば、サーバコンピュータに内蔵される、或いは、外部接続される不揮発性の記憶装置に予め規定される記憶領域として、記憶部129を含む。記憶部129には、ガスメータ30により計測されたユーザ2を含む複数のユーザの住宅等におけるガスの使用量の履歴情報(ガス使用履歴情報)1291が格納される。例えば、ガス使用履歴情報1291には、上述の如く、検針員によるガスメータ30の検針によって予め取得された、ユーザ2を含む複数のユーザの所定期間ごと(例えば、カレンダーの1日から月末日までのひと月ごと)のガスの使用量の過去の履歴が含まれる。以下、本実施形態では、後述する用途別のガスの使用量(調理用途ガス使用量、暖房用途ガス使用量、給湯用途ガス使用量)と全体のガスの使用量を区別するため、用途を問わない全体のガスの使用量をガス総使用量と称する。また、本実施形態では、当該所定期間が"ひと月"である、即ち、記憶部129に記憶されるガス使用履歴情報1291には、ユーザ2を含む複数のユーザの月間ガス総使用量の履歴が含まれる前提で説明を進める。また、本実施形態では、ユーザ2の住宅等において、ガスは、調理機器への使用用途、暖房機器への使用用途、及び給湯機器への使用用途の3つに大別される前提で説明を進める。
【0019】
尚、本実施形態における"ひと月"は、カレンダーの1日から月末日までを示すが、今回の検針から次回の検針までの期間を示してもよい。
【0020】
通信処理部121は、通信機器11を制御し、ネットワーク3を介して、ユーザ2が所持する端末20等の外部装置との間での各種信号(制御信号、情報信号等)の送受信を行う。
【0021】
検針データ取得部122は、記憶部129に格納されるガス使用履歴情報1291からユーザ2の対象期間(対象月)を含む所定期間ごとのユーザ2のガスの総使用量のデータを取得する。
【0022】
尚、対象月は、典型的には、ガス使用履歴情報1291に含まれる最新の月間ガス総使用量に対応するひと月(前月)である。また、ガスメータ30がスマートメータである場合、ガス使用履歴情報1291には、所定期間よりも短い時間単位のユーザ2のガスの使用量の履歴情報が含まれうる。そのため、この場合、検針データ取得部122は、ガス使用履歴情報1291に含まれる比較的短い時間単位のデータから、ユーザ2の所定時間ごとのガスの総使用量を算出する。
【0023】
調理使用量算出部123は、検針データ取得部122により取得されたデータに基づき、ユーザ2の対象期間(対象月)におけるガス総使用量のうち、厨房機器に使用された、即ち、調理用途に使用されたガス使用量(調理用途ガス使用量)を算出する。例えば、調理使用量算出部123は、経験則に基づき予め規定される比率を、ユーザ2の対象月における月間ガス総使用量に乗じることにより、ユーザ2の対象月における調理用途ガス使用量を算出する。以下、
図3を参照して、調理用途ガス使用量の具体的な算出方法について説明する。
【0024】
図3は、対象月の調理用途ガス使用量の算出方法の一例を説明する図である。具体的には、
図3は、対象月の該当する季節の別(夏期、冬期、及び夏期と冬期の間の中間期の何れか)及びユーザ2の住居形態(集合住宅及び戸建住宅の何れか)の別に応じて、予め規定される、月間ガス総使用量に占める調理用途ガス使用量の比率(割合)を示す図である。
【0025】
尚、夏期、中間期、冬期の季節区分は、冬期が暖房の使用を前提とする点を除き、任意に設定されてよい。例えば、夏期は、6月〜9月であり、中間期は、4月、5月、10月、11月であり、冬期は、1月〜3月、12月である。また、当該季節区分、特に、冬期は、ユーザ2がガスを使用する住居等が存在する地域に応じて、変更されてもよい。
【0026】
図3に示すように、対象月の月間ガス総使用量に占める調理用途ガス使用量の比率(割合)は、ユーザ2の住居形態の別(集合住宅、戸建住宅の別)に応じて、予め規定される。例えば、集合住宅と戸建住宅とでは、断熱性等に差異が生じ得るからである。
【0027】
また、
図3に示すように、対象月のガス総使用量に占める調理用途ガス使用量の比率(割合)は、季節区分の別に応じて、異なる。例えば、対象月が夏期に該当する場合、暖房が使用されず、且つ、ユーザ2がガスを使用する住居等に給水される水の水温(以下、単に水温と称する)及び気温が比較的高く、給湯機器に使用されるガス使用量が比較的少なくなる傾向にあるため、対象月の月間ガス総使用量に占める調理用途ガス使用量の比率は、最も高く、集合住宅では、所定値As[%]に設定され、戸建住宅では、所定値Ak[%]に設定される。また、対象月が中間期に該当する場合、暖房は使用されず、且つ、水温及び気温が夏期より低くなり、給湯機器に使用されるガス使用量が夏期より多くなるため、対象月の月間ガス総使用量に占める調理用途ガス使用量の比率は、夏期より低く、集合住宅では、所定値Bs(<As)[%]に設定され、戸建住宅では、所定値Bk(<As)[%]に設定される。また、例えば、対象月が冬期に該当する場合、暖房が使用され、且つ、水温及び気温が比較的低く、給湯機器に使用されるガス使用量が比較的多くなる傾向にあるため、対象月の月間ガス総使用量に示す調理用途ガス使用量の比率は、最も低く、集合住宅では、所定値Cs(<Bs<As)[%]に設定され、戸建住宅では、所定値Ck(<Bk<Ak)[%]に設定される。
【0028】
尚、対象月のガスの総使用量に示す調理用途ガス使用量の比率は、季節やユーザ2の住宅形態以外の他の要素に応じて、予め規定される態様であってもよい。例えば、当該比率は、ユーザ2の家族構成(人数、年齢構成等)の別に応じて、予め規定される態様であってもよい。
【0029】
調理使用量算出部123は、対象月の該当する季節区分と、ユーザ2に該当する住居形態とに応じて、例えば、
図3に示すようなテーブル形式のデータから比率を選択し、選択した比率を対象月の月間ガス総使用量に乗じることにより、ユーザ2の対象月における調理用途ガス使用量を算出する。
【0030】
図2に戻り、暖房使用量算出部124は、検針データ取得部122により取得されたデータに基づき、ユーザ2の対象期間(対象月)におけるガス総使用量のうち、暖房機器に使用された、即ち、暖房用途に使用されたガス使用量(暖房用途ガス使用量)を算出する。例えば、冬期以外、即ち、中間期及び夏期を含む非冬期において、暖房はほぼ使用されないため、対象月が非冬期に該当する場合、暖房用途ガス使用量は、ゼロと推測される。そのため、暖房使用量算出部124は、対象月が非冬期に該当する場合、暖房用途ガス使用量をゼロと算出する。
【0031】
また、対象月が冬期に該当する場合、対象月より前の非冬期(例えば、対象月の直近の中間期及び夏期)における月間ガス総使用量は、調理用途ガス使用量と給湯用途ガス使用量との和(以下、調理・給湯用途ガス使用量と称する)と推測される。また、調理用途及びガス用途では、気温や水温の低下に応じて、ガス使用量が増加すると推測されるため、調理・給湯用途ガス使用量、即ち、非冬期における月間ガス総使用量は、気温や水温と所定の相関関係(例えば、気温又は水温の低下に応じて、月間ガス総使用量が増加する略比例関係)が存在すると推測される。よって、暖房使用量算出部124は、対象月が冬期に該当する場合、対象月の気温又は水温に関する情報と、水温又は気温と月ごとの調理・給湯用途ガス使用量との間の相関関係に基づき、ユーザ2の対象月における調理・給湯用途ガス使用量を算出し、結果として、対象月における月間ガス総使用量と、算出した対象月における調理・給湯用途ガス使用量に基づき、ユーザ2の対象月における暖房用途ガス使用量を算出することができる。以下、
図4を参照して、暖房使用量算出部124による暖房用途ガス使用量の算出方法について具体的に説明する。
【0032】
尚、記憶部129には、気温又は水温に関する履歴情報(温度履歴情報)1293が格納され、暖房使用量算出部124は、温度履歴情報1293に基づき、対象月等における気温又は水温に関する情報を取得することができる。また、温度履歴情報1293は、例えば、通信処理部121により、ネットワーク3を通じて気象庁或いは所定の水道局等の情報源から取得され、定期的に更新される態様であってよい。また、暖房使用量算出部124は、必要なタイミングで、通信処理部121に取得要求を送ることにより、ネットワーク3を通じて情報源から対象月等における気温又は水温に関する情報を取得する態様であってもよい。
【0033】
図4は、暖房用途ガス使用量の算出方法の一例を説明する図である。具体的には、
図4は、冬期に該当する対象月の直近の中間期に該当する第1参照期間(例えば、10月のひと月間)、及び第1参照期間の直近の夏期に該当する第2参照期間(例えば、7月のひと月間)のそれぞれにおける気温又は水温の代表値と月間ガス総使用量との相関関係を示す図である。以下、本例では、気温又は水温の代表値のうちの水温の代表値を用いて説明を行い、水温の代表値を単に水温と称する。
【0034】
尚、気温又は水温の代表値は、例えば、ひと月間の平均気温或いは平均水温等であってよい。また、気温の代表値を用いる場合についても、下記説明における"水温"を"気温"に置き換えることにより同様の方法で、冬期に該当する対象月における調理・給湯用途ガス使用量を算出することができる。
【0035】
図4に示すように、中間期に該当する第1参照期間の水温tyは、夏期に該当する第2参照期間の水温tzよりも低くなるため、上述の如く、第1参照期間における月間ガス総使用量Yは、第2参照期間における月間ガス総使用量Zよりも多くなる傾向にある。
【0036】
ここで、気温又は水温と調理・給湯用途ガス使用量との間に比例関係があると仮定すると、水温及びガス使用量を横軸及び縦軸とする二次元平面上において、当該比例関係は、中間期に該当する第1参照期間の水温ty及び月間ガス総使用量Yに対応する点301と、夏期に該当する第2参照期間の水温tz及び月間ガス総使用量に対応する点302とを結ぶ直線303として表される。よって、直線303上における対象月の水温txに対応する点304により、対象月における調理・給湯用途ガス使用量Xを算出(推定)することができる。
【0037】
例えば、暖房使用量算出部124は、対象月及び第1参照期間のそれぞれにおける水温tx,tyと、第1参照期間における月間ガス総使用量Yと、直線303の傾きに対応する、第1参照期間を含む非冬期における水温に対する月ごとの月間ガス総使用量の変化率Rとに基づき、以下の式(1)によって、冬期に該当する対象月における調理・給湯用途ガス使用量Xを算出することができる。
【0038】
X=Y+(tx−ty)・R
=Y+(tx−ty)・{(Y−Z)/(ty−tz)} ・・・(1)
【0039】
よって、暖房使用量算出部124は、式(1)により算出した対象月における調理・給湯用途ガス使用量Xを、対象月における月間ガス総使用量から減じることにより、ユーザ2の対象月における暖房用途ガス使用量を算出することができる。
【0040】
尚、本例では、第1参照期間及び第2参照期間に対応する2点(点301,302)により、変化率Rを算出するが、例えば、対象月の直近の非冬期における隣接する3か月分以上の月間ガス総使用量に対応する3以上の点を用いて、最小二乗法等により近似的に変化率Rを算出してもよい。
【0041】
図2に戻り、給湯使用量算出部125は、検針データ取得部122により取得されたデータに基づき、ユーザ2の対象月における月間ガス総使用量のうちの給湯機器に使用された、即ち、給湯用途に使用されたガス使用量(給湯用途ガス使用量)を算出する。具体的には、給湯使用量算出部125は、ユーザ2の対象月における月間ガス総使用量から、調理使用量算出部123及び暖房使用量算出部124により算出された、ユーザ2の対象月における調理用途ガス使用量及び暖房用途ガス使用量を減じることにより、ユーザ2の対象月における暖房用途ガス使用量を算出する。
【0042】
通知部126は、調理使用量算出部123、暖房使用量算出部124、及び給湯使用量算出部125により算出された、ユーザ2の対象月における調理用途ガス使用量、暖房用途ガス使用量、及び給湯用途ガス使用量に基づき、ユーザ2に対してガスの使用抑制を促す通知を行う。
【0043】
例えば、通知部126は、ユーザ2の対象月における調理用途ガス使用量、暖房用途ガス使用量、及び給湯用途ガス使用量に基づき、予め規定される属性(例えば、人数や年齢構成等を含む家族構成や住居形態等)がユーザ2と同一又は類似するユーザ群の対象月における平均値を超えているガスの使用用途を選出してよい。そして、通知部126は、記憶部129に予めリスト形式で格納される省エネアドバイス(省エネアドバイスリスト)の中から、選出された用途に関するアドバイスを抽出し、記憶部129に格納されるユーザ情報1292に含まれる、ユーザ2のメールアドレスを宛先として当該省エネアドバイスを含むメールを通信送信する。また、当該メールには、メールに記載される内容よりも更に詳細なユーザ2のガス使用状況(例えば、ユーザ2の対象月における月間ガス総使用量を、調理用途ガス使用量、暖房用途ガス使用量、及び給湯用途ガス使用量に区分したグラフ)等の情報を提供するウェブページのURL(Uniform Resource Locator)が含まれてよい。
【0044】
尚、上記ウェブページでは、例えば、ユーザ2がインターネット経由でアクセスする際、ユーザID及びパスワードの入力が要求される。この際、ユーザ2は、端末20等の画面上でユーザID及びパスワードを入力することにより、詳細なガス使用状況を提供するウェブページの内容を閲覧ことができる。また、ユーザ2は、メールの受信の有無に関わらず、当該ウェブページにアクセス可能になっており、当該ガス使用状況を適宜把握することができる。
【0045】
このように、本実施形態では、ユーザ2の対象期間(対象月)におけるガスの総使用量が、調理用途ガス使用量、暖房用途ガス使用量、及び給湯用途ガス使用量に分解されるため、対象期間における使用用途別のガス使用状況に基づき、ユーザのガスの使用用途に合わせて、適切なガス使用の抑制を促す通知を行うことができる。
【0046】
尚、本実施形態では、通知部126は、メールを利用して、ユーザ2に対するガス使用の抑制を促す通知を行うが、例えば、直接、ユーザ2の端末20に対して、プッシュ通知という形で、ガス使用の抑制を促す通知を行ってもよい。この場合、端末20には、当該プッシュ通知を受信し、上述した詳細なガス使用状況を表示可能な所定のアプリケーションがインストールされる。
【0047】
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0048】
例えば、上述した実施形態において、検針データ取得部122、調理使用量算出部123、暖房使用量算出部124、給湯使用量算出部125、通知部126、記憶部129の機能は、全て同じサーバ10に含まれるが、複数のサーバに分割して配置されてもよい。例えば、記憶部129に相当する機能と、検針データ取得部122、調理使用量算出部123、暖房使用量算出部124、給湯使用量算出部125、及び通知部126に相当する機能とは、異なるサーバに含まれる態様であってもよい。この場合、検針データ取得部122等に相当する機能を含む一のサーバは、記憶部129に相当する機能を含む他のサーバにアクセスし、ガス使用履歴情報1291等の各種情報を取得する。
【0049】
例えば、上述した実施形態において、検針データ取得部122、調理使用量算出部123、暖房使用量算出部124、給湯使用量算出部125、通知部126、及び記憶部129の機能は、サーバ10に含まれるが、その少なくとも一部は、ユーザ2の端末20に含まれてもよい。例えば、例えば、サーバ10(通信処理部121)は、調理使用量算出部123、暖房使用量算出部124、及び給湯使用量算出部125により算出された、対象月における調理用途ガス使用量、暖房用途ガス使用量、及び給湯用途ガス使用量等を端末20に送信してよい。そして、端末20は、受信した調理用途ガス使用量、暖房用途ガス使用量、及び給湯用途ガス使用量等に基づき、予め端末20内の所定の記憶部(不図示)に格納される省エネアドバイスリストから適宜省エネアドバイスを抽出し、端末20のディスプレイに表示する態様であってもよい。
【0050】
また、上述した実施形態において、通知部126は、1度、ガス使用を促す通知を行った後、同じ内容の再通知を1回以上行ってもよい。例えば、通知部126は、ユーザ2のメールアドレスを宛先として省エネアドバイスを含むメールを送信した後、所定の条件(例えば、前回のメール送信から所定の日数が経過した場合や前回のメール送信から所定の日数が経過したにも関わらず、上述した詳細なガス使用状況を提供するウェブページへのユーザ2のログイン履歴が無い場合等)に応じて、再度、ユーザ2のメールアドレスを宛先として同じメールを送信してもよい。また、例えば、通知部126は、プッシュ通知という形で、ガス使用の抑制を促す通知を行う場合、通信処理部121を介して、ユーザ2の端末20にインストールされるアプリケーションから、当該通知がユーザ2により確認(開封)されたことを示す確認済応答を受信してもよい。この場合、通知部126は、プッシュ通知の送信から所定の日数が経過しても、通信処理部121によりユーザ2の端末20から当該確認済応答が受信されない場合、再度、ユーザ2の端末20に対して、ガス使用の抑制を促すプッシュ通知を行ってもよい。これにより、メールやプッシュ通知によるガス使用の抑制を促す通知(省エネアドバイス)に気付けなかったユーザ2に対して、再度、ガス使用の抑制を促す機会を確保することができる。
【解決手段】対象期間におけるガスの総使用量に所定の比率を乗じて、対象期間における調理用途ガスの使用量を算出し、対象期間が冬期である場合、対象期間におけるガスの総使用量と、対象期間における気温又は水温に関する情報と、対象期間より前の非冬期における気温又は水温と所定期間のガスの総使用量との間の相関関係とに基づき、対象期間における暖房用途ガスの使用量を算出し、対象期間のガスの総使用量と、対象期間における調理用途ガス及び暖房用途ガスの各使用量とに基づき、対象期間における給湯用途ガスの使用量を算出し、算出された対象期間における調理用途ガス、暖房用途ガス、及び給湯用途ガスの各使用量に基づき、ユーザに対してガス使用の抑制を促す通知を行う。