【課題を解決するための手段】
【0024】
そこで本発明者らは上記の目的を達成するために、カルバゾール環構造が高いT
1を有していること、電子阻止性に優れていること、正孔輸送性能に優れていること、耐熱性と薄膜安定性に優れていることに着目して、カルバゾール環構造が連結した化合物を設計、選択し、該化合物を化学合成し、種々の有機EL素子を試作し、素子の特性評価を鋭意行なった結果、本発明を完成するに至った。
【0025】
すなわち、本発明によれば、以下の有機EL素子が提供される。
【0026】
1)一対の電極とその間に挟まれた、発光層と電子阻止層を含む複数層の有機層を有する有機EL素子において、下記一般式(1)で表されるカルバゾール環構造を有する化合物が、該電子阻止層の構成材料として用いられていることを特徴とする有機EL素子。
【0027】
【化6】
(1)
【0028】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6は、互いに同一でも異なっても良く、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基を表し、r1、r4、r5は0または1〜4の整数を表し、r2、r3、r6は0または1〜3の整数を表し、nは0または1の整数を表し、Ar1、Ar2、Ar3は互いに同一でも異なっていても良く、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。)
【0029】
2)前記一般式(1)においてAr2が下記一般式(2)または(3)で表される1価基であることを特徴とする上記1)記載の有機EL素子
。
【0030】
【化7】
(2)
【0031】
(式中、R7、R8は、互いに同一でも異なっても良く、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基を表し、r7は0または1〜4の整数を表し、r8は0または1〜3の整数を表し、Bは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の2価基、置換もしくは無置換の芳香族複素環の2価基または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族の2価基を表し、Ar4は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。)
【0032】
【化8】
(3)
【0033】
(式中、R9、R10は、互いに同一でも異なっても良く、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基を表し、r9、r10は0または1〜3の整数を表し、Cは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の2価基、置換もしくは無置換の芳香族複素環の2価基または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族の2価基を表し、Ar5は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表し、W、X、Y、Zは炭素原子または窒素原子を表す。ここでW、X、Y、Zはそのいずれか1つのみが窒素原子であるものとし、この場合の窒素原子はR9の置換基を有さないものとする。)
【0034】
3)前記した発光層が燐光性の発光材料を含有することを特徴とする上記1)または2)記載の有機EL素子。
【0035】
4)一対の電極とその間に挟まれた、燐光性の発光材料を含有する発光層と電子阻止層を含む複数層の有機層を有する有機EL素子において、前記一般式(1)で表されるカルバゾール環構造を有する化合物が、該発光層の構成材料として用いられていることを特徴とする有機EL素子。
【0036】
5)前記した燐光性の発光材料がイリジウムまたは白金を含む金属錯体であることを特徴とする上記3)または4)記載の有機EL素子。
【0037】
一般式(1)〜(3)中のR1〜R10で表される「炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基」、としては、具体的に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、などをあげることができる。
【0038】
一般式(1)〜(3)中のR1〜R10で表される「炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」、「炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基」としては、具体的に、メチルオキシ基、エチルオキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、1−アダマンチルオキシ基、2−アダマンチルオキシ基などをあげることができる。
【0039】
一般式(1)〜(3)中のR1〜R10、Ar1〜Ar5、で表される、「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「芳香族複素環基」または「縮合多環芳香族基」としては、具体的に、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、アセナフテニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ピリジル基、フラニル基、ピラニル基、チエニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、およびカルボリニル基などをあげることができる。好ましくは、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、フルオレニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基などをあげることができる。「縮合多環芳香族」の炭素数が増加するとT
1が低くなるため、「縮合多環芳香族」の炭素数は20個以下であることが好ましい。
【0040】
一般式(1)〜(3)中のR1〜R10、Ar1〜Ar5、で表される、「置換芳香族炭化水素基」、「置換芳香族複素環基」または「置換縮合多環芳香族基」における「置換基」としては、具体的に、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基、炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、スチリル基、フェノキシ基、トリルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基のような基をあげることができ、これらの置換基はさらに置換されていても良い。
【0041】
一般式(1)〜(3)中のR1〜R10、Ar1〜Ar5で表される、「置換もしくは無置換のアリールオキシ基」における「アリールオキシ基」としては、具体的に、フェノキシ基、ビフェニリルオキシ基、ターフェニリルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基、フェナントリルオキシ基、フルオレニルオキシ基、インデニルオキシ基、ピレニルオキシ基などをあげることができる。
【0042】
一般式(1)〜(3)中のR1〜R10、Ar1〜Ar5で表される、「置換アリールオキシ基」における「置換基」としては、具体的に、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、スチリル基、フェノキシ基、トリルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基のような基をあげることができ、これらの置換基はさらに置換されていても良い。
【0043】
一般式(2)〜(3)中のBまたはCで表される、「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の2価基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環の2価基」、「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族の2価基」における「芳香族炭化水素の2価基」、「芳香族複素環の2価基」、「縮合多環芳香族の2価基」としては、具体的に、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、テトラキスフェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基、フルオレニレン基、フェナントロリレン基、インデニレン基、ピレニレン基、アセナフテニレン基、フルオランテニレン基、トリフェニレニレン基、ピリジニレン基、ピリミジニレン基、キノリレン基、イソキノリレン基、インドリレン基、カルバゾリレン基、キノキサリレン基、ベンゾイミダゾリレン基、ピラゾリレン基、ナフチリジニレン基、フェナントロリニレン基、アクリジニレン基、チエニレン基、ベンゾチエニレン基、ジベンゾチエニレン基などをあげることができる
【0044】
一般式(2)〜(3)中のBまたはCで表される、「置換芳香族炭化水素の2価基」、「置換芳香族複素環の2価基」、「置換縮合多環芳香族の2価基」における「置換基」としては、具体的に、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基、炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、スチリル基、フェノキシ基、トリルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基のような基をあげることができ、これらの置換基はさらに置換されていても良い。
【0045】
尚、前記一般式(1)で表されるカルバゾール環構造を有する化合物のうち、nが0である下記一般式(1’)及び前記一般式(1)で表されるカルバゾール環構造を有する化合物のうち、nが1である下記一般式(1’’)で表されるカルバゾール環構造を有する化合物が有機EL素子に用いるのに好ましい。
【0046】
【化9】
(1’)
(式中、R1、R2、R3、R4、R7、R8は互いに同一でも異なっても良く、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基を表し、r1、r4、r7は0または1〜4の整数を表し、r2、r3、r8は0または1〜3の整数を表し、Bは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の2価基、置換もしくは無置換の芳香族複素環の2価基または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族の2価基を表し、Ar3、Ar4は互いに同一でも異なっていても良く、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。)
【0047】
【化10】
(1’’)
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6は互いに同一でも異なっても良く、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基を表し、r4、r5は0または1〜4の整数を表し、r1、r2、r3、r6は0または1〜3の整数を表し、Ar1、Ar2、Ar3は互いに同一でも異なっていても良く、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。)
【0048】
本発明の有機EL素子に用いられる、一般式(1)で表される、カルバゾール環構造を有する化合物は、三重項励起子を閉じ込める能力が高く、優れた電子阻止能力と耐熱性を有し、かつ薄膜状態が安定である。
【0049】
本発明の有機EL素子に用いられる、一般式(1)で表される、カルバゾール環構造を有する化合物は、有機EL素子、特に燐光発光有機EL素子の正孔注入層および/または正孔輸送層の構成材料として使用することもできる。該化合物は、正孔の注入性が高く、移動度が大きく、T
1が高く、しかも電子に対する安定性が高いため、燐光性の発光材料を含有する発光層内で生成した三重項励起子を閉じ込めることができ、さらに正孔と電子が再結合する確率を向上させ、高発光効率を得ることができると共に、駆動電圧が低下して、有機EL素子の耐久性が向上するという作用を有する。
【0050】
本発明の有機EL素子に用いられる、一般式(1)で表される、カルバゾール環構造を有する化合物は、有機EL素子、特に燐光発光有機EL素子の電子阻止層の構成材料としても使用することができる。三重項励起子を閉じ込める能力に優れていると共に正孔輸送性に優れ、かつ薄膜状態の安定性の高い材料を用いることにより、高い発光効率を有しながら、駆動電圧が低下し、電流耐性が改善されて、有機EL素子の最大発光輝度が向上するという作用を有する。
【0051】
本発明の有機EL素子に用いられる、一般式(1)で表される、カルバゾール環構造を有する化合物は、有機EL素子、特に燐光発光有機EL素子の発光層の構成材料としても使用することができる。該化合物は、正孔輸送性に優れ、かつバンドギャップが広いため、該化合物を発光層のホスト材料として用い、ドーパントと呼ばれている燐光発光体を担持させて、発光層として用いることにより、駆動電圧が低下し、発光効率が改善された有機EL素子を実現できるという作用を有する。
【0052】
本発明の有機EL素子は、正孔の移動度が大きく、優れた三重項励起子を閉じ込める能力を有し、かつ薄膜状態が安定なカルバゾール環構造を有する化合物を用いているため、高効率、高耐久性を実現することが可能となった。