特許第6134479号(P6134479)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6134479アクティブ降圧型パワーファクター修正装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134479
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】アクティブ降圧型パワーファクター修正装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   H02M7/12 P
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-101707(P2012-101707)
(22)【出願日】2012年4月26日
(65)【公開番号】特開2013-141383(P2013-141383A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2012年4月26日
【審判番号】不服2014-19250(P2014-19250/J1)
【審判請求日】2014年9月26日
(31)【優先権主張番号】101100158
(32)【優先日】2012年1月3日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】蔡 文田
(72)【発明者】
【氏名】李 清然
(72)【発明者】
【氏名】陳 伯彦
(72)【発明者】
【氏名】潘 晴財
【合議体】
【審判長】 中川 真一
【審判官】 堀川 一郎
【審判官】 矢島 伸一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−308248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブ降圧型パワーファクター修正装置において、
カソード端とアノード端を備え、電源を受け取り並びに整流し、これにより入力電圧を発生する全波整流装置と、
第1変換装置であって、アクティブパワースイッチ、エネルギー保存インダクタ、ダイオード、出力コンデンサを包含して、該ダイオードには該エネルギー保存インダクタの一端が接続され、他端には該出力コンデンサが接続され、該出力コンデンサの一端に該エネルギー保存インダクタが接続され、他端にダイオードが接続され、該アクティブパワースイッチの一端に該全波整流装置のアノード端が接続され、他端にダイオードのアノード端が接続され、エネルギーを伝送、保存及び変換して、出力電圧を発生する上記第1変換装置と、
該第1変換装置の該出力コンデンサと並列に接続された負荷と、
補助装置であって、補助コイル、補助ダイオード、及び補助コンデンサを包含し、そのうち、該補助コンデンサは補助電圧を生成し、該補助コイルは該補助ダイオードに直列接続され、並びに該補助コンデンサと並列接続され、且つ該補助コイルはインダクタコイルとされ、且つ該補助コイルとエネルギー保存インダクタは相互に結合され、該補助ダイオードのアノードが該全波整流装置のカソード端に接続され、該ダイオードのカソードが該補助コイルと該補助コンデンサに接続された上記補助装置と、
を包含し、該補助装置該全波整流装置、該アクティブパワースイッチ、該エネルギー保存インダクタ、該出力コンデンサと接続して回路を形成し、補助電圧を生成することを特徴とする、アクティブ降圧型パワーファクター修正装置。
【請求項2】
請求項1記載のアクティブ降圧型パワーファクター修正装置において、該アクティブパワースイッチが切断される時、該補助コイルが該補助コンデンサに対して充電し、該補助電圧を生成することを特徴とする、アクティブ降圧型パワーファクター修正装置。
【請求項3】
請求項1記載のアクティブ降圧型パワーファクター修正装置において、該アクティブパワースイッチが切断される時、エネルギー保存インダクタが出力コンデンサを、補助コイルが補助コンデンサを、別々に充電し、該補助電圧と出力電圧の極性を反対にすることを特徴とする、アクティブ降圧型パワーファクター修正装置。
【請求項4】
請求項1記載のアクティブ降圧型パワーファクター修正装置において、該エネルギー保存インダクタのコイル巻数は該補助コイルのコイル巻数と同じとされることで、該補助電圧が該出力電圧に等しくされることを特徴とする、アクティブ降圧型パワーファクター修正装置。
【請求項5】
アクティブ降圧型パワーファクター修正装置において、
カソード端とアノード端を備え、電源を受け取り並びに整流し、これにより入力電圧を発生する全波整流装置と、
第1変換装置であって、アクティブパワースイッチ、エネルギー保存インダクタ、ダイオード、出力コンデンサを包含して、該ダイオードには該エネルギー保存インダクタの一端が接続され、他端には該出力コンデンサが接続され、該出力コンデンサの一端に補助コイルが接続され、他端にダイオードが接続され、該アクティブパワースイッチの一端に該全波整流装置のアノード端が接続され、他端にダイオードのアノード端が接続され、エネルギーを伝送、保存及び変換して、出力電圧を発生する上記第1変換装置と、
該第1変換装置の該出力コンデンサと並列に接続された負荷と、
補助装置であって、補助コイル、第1補助ダイオード、第2補助ダイオード及び補助コンデンサを包含し、該第1補助ダイオードのアノードは該補助コンデンサ及びエネルギー保存インダクタの他端に接続され、且つ該第1補助ダイオードのカソードは、該第2補助ダイオードのカソード及び該補助コイルに接続され、且つ該補助コイルはインダクタコイルとされ、その一端は、該第1補助ダイオードのカソードと該第2補助ダイオードのカソードに接続され、他端は、該補助コンデンサと該出力コンデンサに接続され、且つ該第2補助ダイオードのカソードは該補助コイルと該第1補助ダイオードのカソードに接続され、そのアノードは該アクティブパワースイッチと該出力コンデンサに接続され、上記補助装置と、
を包含し、該補助装置と該全波整流装置、該アクティブパワースイッチ、該エネルギー保存インダクタ、該出力コンデンサと接続して回路を形成し、補助電圧を生成することを特徴とする、アクティブ降圧型パワーファクター修正装置。
【請求項6】
請求項5記載のアクティブ降圧型パワーファクター修正装置において、該アクティブパワースイッチが切断された後、該エネルギー保存インダクタはエネルギーを該補助コイルへと放出し、且つ該補助コイルは該出力コンデンサ及び補助コンデンサに対して充電することを特徴とする、アクティブ降圧型パワーファクター修正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種のアクティブ降圧型パワーファクター修正装置に係り、特に、各種の、出力電圧が交流入力電源のピーク電圧より低い時に運用されるアクティブ降圧型パワーファクター修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電気用品の直流電源の使用は非常に多いが、商用電源は交流であり、ゆえに、交流−直流変換を行う必要がある。電力システムの無効電力を少なくし、並びに電流高調波がもたらすシステム干渉を減らすため、多くの電気用品はハイパワーファクターと低い電流高調波を有することが要求され、これによりパワーファクター修正器が広く使用されている。常用されるパワーファクター修正回路は、パッシブ式とアクティブ式の大きく二種類に分けられ、パッシブ式パワーファクター修正回路は、インダクタ、コンデンサ等の素子を主体とし、アクティブスイッチ素子を使用しない。その構造は簡単で、機能も比較的簡単であり、特に、電源或いは負荷が変動する時には対応して変化する能力に欠ける。アクティブ式パワーファクター修正回路は、アクティブパワースイッチ素子の切換え動作に、インダクタ、コンデンサ素子を組み合わせることで、入力電流を電源電圧に追随して変動させ、パワーファクター修正の目的を達成し、フィードバック制御を組合せ、さらに電源或いは負荷が変動する時に、良好な回路特性を維持できる。常用されるアクティブ式パワーファクター修正回路は昇圧式が代表的であるが、直流出力電圧が入力交流電圧ピーク値よりも高くなければならないという制限があり、その他の降圧式或いは昇降圧式等の比較的低い電圧を出力できる回路は、それぞれに特性が低く、効率が低く、エネルギー保存素子の体積が大きいか或いは制御方式が複雑で実現が難しい等の欠点を有している。
【0003】
図1Aは伝統的なアクティブ式パワーファクター修正器が通常採用する昇圧式(boost)変換回路であり、その主要な長所は、比較的高いパワーファクターと比較的実施が容易な制御方式を有することである。図1B図1Aの伝統的なパワーファクター修正器の入力端電圧Vs 及び電流Isの波形表示図であり、且つωは商用電源角周波数であり、VmとImはそれぞれ電圧ピーク値と電流ピーク値を表示する。理想的な状況では、入力電流Isのパワーファクターは1.0に接近し得て、実際の回路応用上、入力電流Isのパワーファクター実測値も0.98以上に達し得る。スイッチ素子QPFCの制御は、昇圧式変換器のエネルギー保存インダクタLPFCのインダクタ電流がすなわち入力電流Isとされ、且つ境界電流モード(boundary current mode,BCM)では、保存インダクタLPFC充電時の両端間電圧が電源ACの電圧に等しい(式(1)のとおり)。ゆえに、高周波成分を除去後の入力電流Isは入力電圧に非常に容易に正比例し(式(2)のとおり)、ハイパワーファクターの効果を達成し、ゆえに、昇圧式パワーファクター修正器の制御方式は容易に実現できる。
【数1】
【数2】
【0004】
現在、昇圧式変換器のパワーファクターを高く調整するのに常用される方法には以下の2種類がある。
1.ゼロ電流カット(zero−current cut)+固定導通時間(constant on−time)
2.ゼロ電流カット+2倍パケット電流カット(double packets current cut−off)
【0005】
これら二種類の方法は、いずれも式(2)が必要とする周波数或いはデューティーサイクル変調を実現でき、現在、多くの既存のICに応用されている。図1Cは上述の二種類の方法を応用した後の、昇圧式変換器と入力電流Is及びインダクタ電流ILの関係図である。
【0006】
昇圧式パワーファクター修正器(或いは昇圧式変換器)の制限は、出力電圧が入力電圧(ピーク値電圧)より高くなければならず、高い出力電圧に伴いその素子の電圧応力要求も高くなることである。特に、電圧要求が比較的低い(電源ピーク値電圧より低い)負荷に対しては、昇圧式パワーファクター修正器は直接には適当な電圧電源を提供できず、さらに降圧回路(Buck Converter)によりその出力電圧を負荷が必要とする電圧まで下げなければならず、図2に示されるようである。このために、回路体積と製造コストが増し、さらに回路のパワーロスも増し、全体回路の変換効率が下がる。
【0007】
また降圧式変換回路でパワーファクター修正器を設計したものもあり、図3Aに示されるとおりである。降圧式パワーファクター修正器の主要な欠点は、電源の入力電圧Viが直流出力電圧Voより低い時、回路は入力電流を導入できず、いわゆるデッドゾーン(dead zone)となることであり、図3Bに示されるとおりである。このため、降圧式パワーファクター修正器の入力電流Isは不連続となり、ゆえに、パワーファクターは比較的低く、電流高調波含有量は比較的大きく、且つデッドゾーンが大きくなるほどパワーファクターは低くなり、電流高調波ひずみ率は大きくなり、図3Cに示されるとおりである。
【0008】
降圧式パワーファクター修正器のもう一つの大きな欠点は、スイッチ素子の制御方式が比較的複雑で、実現しにくいことである。その主要な原因は、そのインダクタ電流がただ充電段階のみに電源を流れることにあり、インダクタ充電時の両端間電圧は電源電圧から出力電圧を引いたものに等しく、式(3)のとおりである。その高周波成分を除去した後の入力電流は、式(4)のとおりであり、並びに直接入力電圧に正比例しない。現在、簡単な制御回路或いは一般的なICは応用に供されていない。
【数3】
【数4】
【0009】
その他、昇降圧式変換回路(Buck−Boost Converter)或いはフライバック式変換回路(Fly−back Converter)で設計されたパワーファクター修正器もあり、図4、5のとおりであり、ハイパワーファクターを達成できるものの、その共通の欠点は、インダクタのエネルギー保存要求が比較的大きく、その体積が大きくなり、且つ磁気エネルギーロスによってもその効率が悪くなることである。
【0010】
図6の回路は、昇圧式変換回路と降圧式変換回路を整合して形成されたパワーファクター修正器である。Q2が停止して不動作の時、Q1は降圧式変換の操作を実行可能である。Q1が導通維持する時、Q2は昇圧式変換の操作を実行できる。理論上、該パワーファクター修正器は良好なパワーファクターと変換効率を有し得て、且つ直流出力電圧は電源電圧より高いか低い。ただし、この回路の制御方式は非常に複雑で、専用ICを開発するのでなければ実現は容易でなく、その実用性は高くない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、入力電流の不連続時間を短縮して良好なパワーファクター修正効果を達成する一種のアクティブ降圧型パワーファクター修正装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のアクティブ降圧型パワーファクター修正装置は、交流入力電源、該交流入力電源に接続されて該電源を受け取り整流して入力電圧を生成する全波整流装置、該全波整流装置に接続されて、エネルギーの受け取り、伝送、変換を行ない出力電圧を生成する第1変換装置、該第1変換装置に接続された負荷、該第1変換装置に接続されて補助電圧を生成する補助装置を包含し、該補助電圧は該入力電圧と電圧極性が同じで、該出力電圧と電圧極性が反対であり、これにより該第1変換装置は入力電圧が出力電圧より低い状況で続いて入力電流を導入でき、該入力電流の不連続時間を短縮して良好なパワーファクター修正効果を達成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のアクティブ降圧型パワーファクター修正装置は、コンデンサを補助電圧として利用する設計により、入力電流に余分のエレクトリックポテンシャルを提供し、伝統的な降圧式パワーファクター修正器のデッドゾーンの問題を解決し、制御方面では、ただ簡単な制御方式でハイパワーファクター、低い高調波ひずみ及び高い回路変換効率等の長所を達成する。このほか、本願発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば明らかであるように、本発明のアクティブ降圧型パワーファクター修正装置は直流対交流のパワーファクター修正回路に限定されず、本発明はまた、直流対直流の降圧式パワーファクター修正器等の回路に応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】伝統的なパワーファクター修正器が通常採用する昇圧式変換回路の回路図である。
図1B図1Aの伝統的なパワーファクター修正器の入力端電圧Vsと電流Isの波形表示図である。
図1C図1Aの伝統的なパワーファクター修正器の入力電流とインダクタ電流の関係図である。
図2】昇圧式と降圧式のツーステージ変換回路を有する伝統的なパワーファクター修正器の回路図である。
図3A】伝統的な降圧式パワーファクター修正器の回路図である。
図3B図3Aの伝統的な降圧式パワーファクター修正器の入力端電圧Vsと電流Isの波形表示図である。
図3C図3Aの伝統的な降圧式パワーファクター修正器の理想パワーファクターと電流高調波ひずみ率の関係図である。
図4】昇降圧式変換回路を具えた伝統的なパワーファクター修正器の回路図である。
図5】フライバック式変換回路(Fly−back Converter)を具えた伝統的なパワーファクター修正器の回路図である。
図6】昇圧式と降圧式変換回路を整合したパワーファクター修正器の回路図である。
図7】本発明による実施例のアクティブ降圧型パワーファクター修正装置の回路図である。
図8図7を応用した実施例の回路図である。
図9a図8のアクティブ降圧型パワーファクター修正装置の回路操作モード表示図である。
図9b図8のアクティブ降圧型パワーファクター修正装置の回路操作モード表示図である。
図9c図8のアクティブ降圧型パワーファクター修正装置の回路操作モード表示図である。
図9d図8のアクティブ降圧型パワーファクター修正装置の回路操作モード表示図である。
図10図7を応用した別の実施例の回路図である。
図11a図10のアクティブ降圧型パワーファクター修正装置の回路操作モード表示図である。
図11b図10のアクティブ降圧型パワーファクター修正装置の回路操作モード表示図である。
図11c図10のアクティブ降圧型パワーファクター修正装置の回路操作モード表示図である。
図11d図10のアクティブ降圧型パワーファクター修正装置の回路操作モード表示図である。
図11e図10のアクティブ降圧型パワーファクター修正装置の回路操作モード表示図である。
図11f図10のアクティブ降圧型パワーファクター修正装置の回路操作モード表示図である。
図12】本発明を応用した入力電圧電流及び切換えパルス幅変調信号の波形図である。
図13】本発明を応用した低周波切換え信号波形の展開図である。
図14a】本発明の各出力電圧と回路変換効率の関係曲線図である。
図14b】本発明の各出力電圧とパワーファクターの関係曲線図である。
図14c】本発明の各出力電圧と電流高調波ひずみの関係曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の技術内容、構造特徴、達成する目的を詳細に説明するため、以下に実施例を挙げ並びに図面を組み合わせて説明する。
【0016】
図7は本発明によるある実施例のアクティブ降圧型パワーファクター修正装置1を表示する。このアクティブ降圧型パワーファクター修正装置1は、補助装置11と、第1変換装置T1 を包含する。該補助装置11は補助電圧を生成するのに用いられる。該第1変換装置T1 は該補助装置11に接続されて、エネルギーの伝送、保存及び変換に用いられ、出力電圧を生成し、且つ該補助電圧は該出力電圧と極性が相反する。該アクティブ降圧型パワーファクター修正装置1はさらに全波整流装置12を包含し、それは該補助装置11に接続され、電源ACを受け取り並びに整流し、これにより、入力電圧Viを生成する。上述の電源ACは交流電源とされ得る。該アクティブ降圧型パワーファクター修正装置1はさらに負荷(Load)を包含し、該負荷は該第1変換装置T1に接続される。
【0017】
該補助電圧と該入力電圧Viの極性は同じであり、これにより、入力電流Isの不連続時間を短縮する。このほか、上述の第1変換装置T1 は、降圧式パワーファクター修正器とされ得る。
【0018】
本実施例において、該補助電圧は入力電流の経路に直列接続され、該補助電圧の極性は該入力電圧Viと同じであり、これにより入力電流の不連続時間を短縮する。且つ補助装置11はさらに補助コンデンサを補助電圧素子として利用し、並びにインダクタンスコイルを該第1変換装置T1 のエネルギー保存インダクタと結合させて、エネルギー保存インダクタがエネルギーを出力コンデンサへと釈放する時、該インダクタンスコイルが同時に補助コンデンサに対して充電することにより、補助コンデンサの両端間の電圧を該入力電圧Viと同じ極性とすることができる。
【0019】
このほか、インダクタンスコイルのコイル巻数を補助インダクタのコイル巻数と同じに設計し、且つ同時に補助コンデンサの二端間の電圧を出力電圧Voに等しく設計することで、デッドゾーンを消失させることができる。
【0020】
図8図7を応用した実施例を示す。このアクティブ降圧型パワーファクター修正装置2は出力電圧が入力電圧より低い各種の電源供給装置或いは降圧式パワーファクター修正器に適用可能であり、且つアクティブ降圧型パワーファクター修正装置2は、補助装置21及び第1変換装置T1 を包含する。且つこのアクティブ降圧型パワーファクター修正装置2はさらに、全波整流装置22と負荷を包含する。
【0021】
本実施例では、該補助装置21は補助コイルL2、補助ダイオードD2、及び補助コンデンサCaを包含する。該第1変換装置T1 は、エネルギー保存インダクタL1、アクティブパワースイッチQ1、ダイオードD1及び出力コンデンサC1を包含する。
【0022】
そのうち、該補助装置21の該補助コイルL2は該補助ダイオードD2に直列に接続され、並びに該補助コンデンサCaに並列に接続され、且つ補助コイルL2は一つ或いは複数のコイルで構成される。該ダイオードD1の一端にはエネルギー保存インダクタL1が接続され、他端には出力コンデンサC1が接続され、該エネルギー保存インダクタL1の一端にダイオードD1が接続され、他端に出力コンデンサC1が接続され、該出力コンデンサC1の一端にエネルギー保存インダクタL1が接続され、他端にダイオードD1が接続され、並びに負荷(Load)と並列に接続される。該アクティブパワースイッチQ1の一端は全波整流装置22に接続され、他端は出力コンデンサC1に接続される。
【0023】
このアクティブ降圧型パワーファクター修正装置2の回路動作は以下のとおりである。
(1)モード1:Q1 導通、D1切断、D2切断
アクティブパワースイッチQ1が導通状態の時、入力電圧Viと補助コンデンサCaの両端間電圧Vca(補助電圧)は相加され、同時にエネルギー保存インダクタL1及び出力コンデンサC1に対して充電する。補助コイルL2を流れる電流は上昇し、補助コンデンサCaの両端間電圧Vca(補助電圧)は下降し、この段階で続けてアクティブパワースイッチQ1は切断され、その操作は図9aのとおりである。
【0024】
(2)モード2:Q1 切断、D1切断、D2導通
アクティブパワースイッチQ1が切断された後、エネルギー保存インダクタL1はエネルギー放出を開始する。エネルギー保存インダクタL1と補助コイルL2は相互に結合し、これにより結合インダクタを形成し、且つ共通の保存エネルギーを有し、ゆえにインダクタの保存エネルギーはそれぞれL1或いはL2より放出され得る。本実施例では、エネルギー保存インダクタL1と補助コイルL2のコイル巻数が同じに設計され、ゆえに、両者の両端間電圧は同じとされる。モード1中、補助コンデンサCa上の両端間電圧Vcaが下降して、補助電圧Vcaが出力電圧Voより小さくされる(Vca>Vo)。これにより、補助ダイオードD2が優先して導通し、これにより補助コイルL2が補助ダイオードD2を介してエネルギーを放出し並びに補助コンデンサCaに対して充電し、ゆえにVcaが上昇し、且つエネルギー保存インダクタL1の電圧はVcaとなるようコントロールされ、ゆえにダイオードD1は不導通に偏る。この段階が、Vca=Voとなるまで続き、その動作は図9bに示されるとおりである。
【0025】
(3)モード3:Q1 切断、D1導通、D2導通
エネルギー保存インダクタL1の電圧(すなわちVca)が上昇して出力電圧Voと等しくなると、ダイオードD1は順調に導通し、エネルギー保存インダクタL1はダイオードD1を介して出力コンデンサC1に対して放電し、補助コイルL2は続いて補助ダイオードD2を介して補助コンデンサCaに対して放電し、エネルギー保存インダクタL1と補助コイルL2が完全にエネルギーを放出するまで放電して、電流が零になって放電を停止する。回路動作は図9cのとおりである。
【0026】
(4)モード4:Q1 切断、D1切断、D2切断
エネルギー保存インダクタL1と補助コイルL2が完全にエネルギー放出した後、電流は零に下がり、ダイオードD1と補助ダイオードD2はいずれも切断状態となり、その回路動作は図9dのとおりであり、アクティブパワースイッチQ1が再度トリガされ導通すると、回路はモード1に戻る。この実施例中、負荷(Load)が必要とするエネルギーはいずれも出力コンデンサC1より提供される。
【0027】
図10図7を応用した別の実施例を示す。このアクティブ降圧型パワーファクター修正装置3は、出力電圧が入力電圧より低い各種の電源供給装置或いは降圧式パワーファクター修正器に適用され、且つアクティブ降圧型パワーファクター修正装置3は、補助装置31及び第1変換装置T1を包含する。且つこのアクティブ降圧型パワーファクター修正装置3はさらに、全波整流装置32と負荷を包含する。
【0028】
本実施例では、該補助装置31は補助コイルL2、第1補助ダイオードD2、第2補助ダイオードD3及び補助コンデンサCaを包含する。該第1変換装置T1 は、エネルギー保存インダクタL1、アクティブパワースイッチQ1、ダイオードD1及び出力コンデンサC1を包含する。
【0029】
該第1補助ダイオードD2は該第2補助ダイオードD3に逆相接続され、且つ該第1補助ダイオードD2の一端は該補助コンデンサCaに接続され、該第1補助ダイオードD2の他端は該補助コイルL2に接続され、且つ該補助コイルL2は一つ或いは複数のコイルで構成され、且つ該補助コイルL2の一端は該第1補助ダイオードD2と該第2補助ダイオードD3に接続され、他端は該補助コンデンサCaと出力コンデンサC1に接続される。
【0030】
該ダイオードD1の一端は該エネルギー保存インダクタL1に接続され、他端は該アクティブパワースイッチQ1と該出力コンデンサC1に接続され、該エネルギー保存インダクタL1の一端は該ダイオードD1に接続され、他端は該補助コンデンサCaに接続され、且つ該アクティブパワースイッチQ1はトランジスタとされ、その一端は該全波整流装置32に接続され、他端は該ダイオードD1と該出力コンデンサC1に接続され、且つ該出力コンデンサC1の一端は補助コンデンサCaに接続され、他端はダイオードD1に接続され、並びに負荷(Load)と並列に接続される。
【0031】
このアクティブ降圧型パワーファクター修正装置3の回路動作は以下のとおりである。
(1)モード1:Q1 導通、D1切断、D2切断、D3切断
アクティブパワースイッチQ1が導通状態の時、入力電圧Viと補助コンデンサCaの両端間電圧Vcaは相加され、同時にエネルギー保存インダクタL1及び出力コンデンサC1に対して充電する。補助コイルL2を流れる電流は上昇し、補助コンデンサCaの両端間電圧Vcaは下降し、この段階で続けてアクティブパワースイッチQ1は切断され、その操作は図11aのとおりである。
【0032】
(2)モード2:Q1 切断、D1導通、D2切断、D3切断
アクティブパワースイッチQ1が切断された後、エネルギー保存インダクタL1はエネルギー放出を開始する。エネルギー保存インダクタL1の電流が下降し、補助コンデンサCaの両端間電圧Vcaもまた下降を続け、この段階が、Vca=0となるまで続き、その動作は図11bのとおりである。
【0033】
(3)モード3:Q1 切断、D1導通、D2導通、D3切断
caが下降して0Vとなると、第1補助ダイオードD2が順調に導通するようになり、エネルギー保存インダクタL1の電流が同時に補助コンデンサCaと第1補助ダイオードD2を流れて、出力コンデンサC1に対して放電を続け、エネルギー保存インダクタL1が完全にエネルギーを放出するまでこの放電を続け、電流が零になって停止する。補助コンデンサCaが逆方向に充電される期間、補助コンデンサCa上の両端間電圧Vcaは負電圧であり、補助コイルL2電流は増加し、回路動作は図11cのとおりである。
【0034】
(4)モード4:Q1 切断、D1導通、D2導通、D3切断
エネルギー保存インダクタL1が完全にエネルギー放出した後、ダイオードD1は切断される。補助コンデンサCaの両端間電圧Vcaは負の値であるため、第1補助ダイオードD2は導通を維持し、補助コンデンサCaと補助コイルL2は共振回路を形成する。この段階で補助コンデンサCaはまずエネルギーを補助コイルL2に移転し、補助コイルL2の電流は上昇し、補助コンデンサCaが完全に放電してVca=0となると、補助コイルL2は再度エネルギーを補助コンデンサCaに転移し、補助コイルL2の電流が下降し、補助コンデンサCaの両端間電圧Vcaが上昇し、Vcaが上昇してVca=Voとなると、回路はモード5に進入する。モード4の回路動作は図11dに示されるとおりである。
【0035】
(5)モード5:Q1 切断、D1切断、D2導通、D3導通
ca=Voの時、第2補助ダイオードD3が導通開始し、補助コイルL2が放出する電流は、それぞれ出力コンデンサC1と補助コンデンサCaに流入し、出力コンデンサC1と補助コンデンサCaは並列接続状態を形成するため、両者の電圧は同じに維持される。本モードは補助コイルL2が完全にエネルギー放出をするまで続き、その回路動作は図11eに示されるとおりである。
【0036】
(6)モード6:Q1切断、D1切断、D2切断、D3切断
補助コイルL2が完全にエネルギー放出した後、第1補助ダイオードD2と第2補助ダイオードD3はいずれも切断され、回路動作は図11fに示されるとおりであり、アクティブパワースイッチQ1が再度トリガされ導通すると、回路はモード1に戻る。この実施例中、負荷(Load)が必要とするエネルギーはいずれも出力コンデンサC1より提供される。
【0037】
図12は本発明を応用した入力電圧電流及び高周波切換え制御信号のパルス幅変調(pulse width modulation,PWM)波形図である。図13は本発明を応用した高周波切換え制御信号波形の展開図である。図12図13から分かるように、一つの交流電源のサイクル中、本発明のアクティブパワースイッチQ1の制御信号は、一つの固定周波数と通電率(duty−ratio)の波形であり、ハイパワーファクターと低い高調波ひずみの効果を達成でき、伝統的な昇圧型と降圧型のパワーファクター修正器に較べ、本発明の制御方式はより簡単に実施できる。
【0038】
また一方で、制御信号の周波数或いは通電率を変調する時、出力電圧調整の機能を達成でき、且つ良好なパワーファクター修正効果を維持できる。図14は本発明の、入力電源110V、出力パワー20ワット、異なる出力電圧Voの時の、回路の変換効率(η)、パワーファクター(power factor,PF)と電流高調波ひずみ(ampere total harmonic distortion,ATHD)の変化状況を示す。図14aから図14cより分かるように、本発明は、出力電圧が40〜90Vの間の時、その回路変換効率は91〜94%の間であり(図14aのとおり)、パワーファクターは0.98以上を維持し(図14bのとおり)、電流高調波ひずみは2〜16%の間である(図14cのとおり)。これにより、本発明はハイパワーファクターと低い電流高調波ひずみを得られるほか、良好な回路変換効率を獲得できる。
【0039】
以上述べたことは、本発明の実施例にすぎず、本発明の実施の範囲を限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲に基づきなし得る同等の変化と修飾は、いずれも本発明の権利のカバーする範囲内に属するものとする。
【符号の説明】
【0040】
1、2、3 アクティブ降圧型パワーファクター修正装置
11、21、31 補助装置
12、22、32 全波整流装置
T1 第1変換装置
Load 負荷
AC 電源
Q、Q1、Q2、QPFC アクティブパワースイッチ
1、L2、LPFC インダクタ
Q、Q1、Q2、QPFC アクティブパワースイッチ
1、D2、D3、DPFC ダイオード
1、C2、CDC、Cs コンデンサ
s、Vi、Vc1、Vc2、Vo、Vm、Vca 電圧
s、Im、IL 電流
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図9d
図10
図11a
図11b
図11c
図11d
図11e
図11f
図12
図13
図14a
図14b
図14c