【実施例1】
【0012】
図1〜5、7は、本発明の第1実施例のビーム表示装置を示している。
図1〜7で、1は伸縮素子、2はミラー、3は入力信号、4は信号変調器、5は光源駆動部、6は光源、7はレンズ、8はタイミング生成部、9はミラー駆動部、10は伸縮素子駆動部、11は測距部、12はCPU、13はスクリーンを示している。
【0013】
また、図中の記号αは揺動角、Tはミラー2表面の高低差、Mはミラー2の径、βはミラー2の仰角、γはビーム光の広がり角、S0、S1、S2はビームスポット、Lfはビームスポット焦点の距離、Ldは表示位置までの距離である。
【0014】
本実施例の伸縮素子1は、走査ミラーの裏面(レーザービームの反射面の裏側)に設けられていることを特徴とする。伸縮素子1は、例えば、ピエゾ素子に実現し、印加する電圧を変えて伸縮素子1の変形量を制御する。伸縮素子1の変形は、以下の実施例では一軸方向の変形を説明するが、二軸方向(平面)の変形であってもよい。
【0015】
つぎに、
図1により、実施例のビーム表示装置の動作を説明する。
図1で、光源6はレーザ素子であり、レンズ7で集光したレーザビーム光を水平方向と垂直方向の2軸で揺動するMEMSミラー等のミラー2で反射し、スクリーン13にラスタスキャン表示する構成である。
【0016】
ミラー駆動部9はミラー2を所望の振れ角となるように制御駆動して、レーザビーム光の2次元走査をおこなう。タイミング生成8ではミラー2の開始基準信号w_sp_h(水平軸の開始信号、
図7に一例を示す)でミラー駆動部9を起動し、ミラー2の揺動位置に応じ、各種タイミング信号s_sp_h(水平軸の揺動位置信号、同)を生成する。
【0017】
信号変調器4はタイミング信号s_sp_hを基準に入力信号(映像信号)からスクリーン13のラスタ位置に対応する映像信号の選択と光源の強弱情報を生成し、光源駆動部5で光源6を変調駆動する構成である。ここで、レーザの変調方法やミラー2の揺動方法等の基本動作の詳細説明は公知の通りであり割愛する。
【0018】
図2、3は、MEMSミラー等のレーザービームの走査をおこなうミラー2の、変形状態を説明する図である。
図2は、ミラー2が凹状態に変形した状態を示し、
図3は、ミラー2が凸状態に変形した状態を示している。
【0019】
図2、3で、ミラー2は、反射面の裏面に伸縮素子1を形成されており、伸縮素子1の伸縮量は、伸縮素子駆動部10の制御量で定まる。尚、前述のとおり、伸縮素子1の材料は電気信号で伸縮制御出来る物であれば良く、圧電素子や、膨張率の異なる素材の貼り合せ(バイメタル)等、選択できる。但し、映像表示などミラー2が高速揺動する用途の場合は、軽量で必要十分な伸縮量が得られる材料が望ましく、圧電素子の形成が望ましく、伸縮素子駆動部10は予め駆動電圧と伸縮量の関係をテーブルで保持し、例えばCPU12からの所望の伸縮情報を得て、対応する駆動電圧を制御量として生成することで実現する。
【0020】
また、ミラー2のレーザ光反射率は100%(全反射)でなく、熱吸収による温度変化が避けられないが、実温度の計測あるいは、予測によりミラー温度を把握する事で、伸縮素子1を温度補償し所望の伸縮量を実現する。
【0021】
さらに、伸縮素子1の貼り付け位置として、ミラー2が所望の伸縮量を得られるように伸縮素子1の性能を鑑みて圧電素子の厚みや貼り付け面積を規定するものである。尚、揺動によりミラー2が面変動する場合には、面変動を抑えるよう、伸縮素子1の形状を定めても良い。
【0022】
図2、3には、ひとつの伸縮素子1が、ミラー2の裏面に貼付される構成を示しているが、伸縮素子1は複数に分割され、個々の素子を個別に駆動するようにしてもよい。この場合には、素子の変形量が異なるため、ミラー2の凹凸状態を非対称にすることができ、レーザービームのビームスポットサイズの広がりを細かく制御することができる。
【0023】
つぎに、
図4によりミラー2の凹凸状態と投射位置とビームスポット形状の関係を説明する。
図4で、ミラー2は直径M=φ1.2で理想平面の場合、レンズ7で集光したレーザビーム光はミラー2上でB=φ1.0(真円)のビームスポットS0で、ビーム焦点fであるLf=573mmで収束後、再び拡大し、ビームスポットS0の大きさと同じサイズ(=φ1.0)となる位置Ldを同S1_fで示す。尚、揺動するミラー2を中心とする同心円上のビームスポットのサイズは同一とする。
【0024】
図2の様に、ミラー2の反射面が、高低差Tで中央部が凹の場合は、同f凹とS1_f凹で示し、同じく
図3の様に、ミラー2の反射面の中央部が高低差Tで凸の場合は、同f凸とS1_f凸で示す。
図2、3では、曲面を持った凹凸で示すが、ミラー2の面形状が理想平面と、凸或いは凹面は、三角錐状の面として説明する。もちろん、この限りでは無く、ミラー2の面形状に応じたビーム形状であっても同様であり、本実施例に逸脱しない。
【0025】
高低差TとビームスポットS0の大きさと同じサイズ(B=φ1.0)となる位置Lの関係を次式より定まり、
図5は、高低差T(横軸)と位置L(縦軸)の関係となる。
仰角β=atan(T/(M/2)) ……(数1)
ビーム広がり角γ=atan(B/2/Ld) ……(数2)
位置L=B/tan(γ+2β) ……(数3)
より具体的には、例えば、高低差T=0nmでL=1146mm、同T=500nmでL=586mm、T=−400nmでL=4854mmの関係となる。尚、実施例では具体的な数値を挙げ且つ、ビーム光が理想的な集光・拡散となる場合で説明するが、これに限らず、ミラー2の凹凸でビーム形状を定義する関係であれば本実施例に逸脱しない。
【0026】
上記のとおり、ミラー2の凹凸でビーム形状を定義することができるが、本実施例では、投射位置により、つぎのようにして、ミラー2の凹凸を制御する。
まず、
図1の測距部11にてミラー2からスクリーン13(投射位置)までの距離lxを計測する。一方、スクリーン13で映像表示する画角WhxWvと解像度DhxDvより所望のビームスポットサイズBSが定まることから、CPU12では、得られた距離lxから所望のビームスポットサイズを実現するミラー2の揺動量と伸縮素子1の伸縮量を制御量として出力し、伸縮素子駆動部10とミラー駆動部9を制御する。
【0027】
例えば、画角WhxWvと投射距離lxより振れ角α(光学振れ角)とビームスポットサイズBSは、それぞれ以下より定めても良い。
α=atan(WhxWv/2/lx) ……(数4)
BS=WhxWv/DhxDv ……(数5)