(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被検眼の撮影又は測定を行う光学系を有する検眼部と、前記被検眼に向けて該被検眼に対する前記検眼部の光学系のアライメントを行う為の指標光を投影するアライメント光投影系と、前記被検眼を撮像する撮像手段と、該撮像手段で撮像された前眼部を表示する表示手段と、前記検眼部と前記アライメント光投影系と前記撮像手段とが少なくとも設けられた検眼ヘッドと、該検眼ヘッドを前記被検眼に対して左右、上下、前後に移動させる移動手段と、該移動手段を制御して前記被検眼に対する前記検眼部の光学系のアライメントを行う制御手段とを具備し、前記表示手段はタッチパネルを有し、前記制御手段は押下された前記タッチパネルの押下ピクセル位置と前記表示手段に表示された画面の中心とを結ぶ様に方向バーを表示させ、前記押下ピクセル位置の座標を基に前記検眼ヘッドの進行方向を決定し、前記押下ピクセル位置と前記画面の中心との距離に対応した前記検眼ヘッドの移動速度を演算すると共に、前記タッチパネルを押下した状態で前記方向バーを旋回させることで前記検眼ヘッドの進行方向を調整し、前記押下ピクセル位置を前記方向バーに沿って中心側或は外周側へとずらすことで前記検眼ヘッドの移動速度を調整し、該検眼ヘッドが決定された方向に演算された速度で移動する様制御することを特徴とする眼科装置。
前記制御手段は、前記検眼ヘッドの移動中前記タッチパネルの押下ピクセル位置の座標を基に逐次進行方向及び移動速度を演算しており、前記押下ピクセル位置の座標が変更されることで、前記検眼ヘッドの進行方向及び移動速度が変更される請求項1の眼科装置。
オートアライメントの開始が可能である範囲が設定され、該範囲内で前記タッチパネルの押下が解除されると、押下が解除された位置にて前記制御手段がオートアライメントを開始する請求項3の眼科装置。
前記表示手段中にはモード切替領域が形成され、該モード切替領域を所定時間押下し続けることで前記検眼ヘッドを移動させる前記移動手段の移動軸を変更可能に構成された請求項1〜請求項5のうちいずれかの眼科装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0023】
先ず、
図1(A)(B)に於いて、本発明の実施例に係る眼科装置1について説明する。
【0024】
該眼科装置1は、ベース部2と、該ベース部2上に設けられた検眼ヘッド3と、該検眼ヘッド3の前方に設けられた顎受部4と、該顎受部4と一体に設けられた額当て5とから構成され、被検者は前記顎受部4に顎を置き、前記額当て5に額を当てた状態で検査を受ける様になっている。
【0025】
前記検眼ヘッド3の内部には、
図1(A)に示される様に、検眼部6が設けられ、該検眼部6には観察・撮影用の観察光学系や、屈折力等を測定する測定光学系が設けられている。前記検眼部6により、被検者の前眼部、被検眼の角膜、眼底等が観察・撮影可能であり、眼底の検査等も行える様になっている。
【0026】
前記検眼ヘッド3の被検者に対面する側には、複数の前眼部照明用の光源(図示せず)が所定の間隔で環状に配置されている。該光源は、角膜形状を測定する測定光源としても用いられる。
【0027】
又、前記ベース部2には、
図1(A)に示される様に、前記検眼ヘッド3を駆動する為の駆動部8が設けられている。該駆動部8には、例えば図示しないパルスモータが用いられる。
【0028】
前記検眼ヘッド3は、該検眼ヘッド3に設けられた液晶ディスプレイ等の表示手段9より操作を行うことで、被検眼に対して上下方向、左右方向、前後方向に駆動される。
【0029】
該表示手段9はタッチパネル11となっている。該タッチパネル11はピクセル(画素)の集合により構成され、該タッチパネル11には画面の中心(後述する光軸O1)を原点とした座標系が設定される。各ピクセルは画面の中心を原点とした任意の2軸(例えばX軸、Y軸)の座標により表すことができると共に、表示される画面を切替えることで先の2軸以外の軸(例えばZ軸)の座標についても表すことができる。又、前記タッチパネル11は、例えば指等で接触、或は押下することで、押下した位置のピクセル(押下ピクセル位置)の座標(例えば(X,Y)座標)をアナログ信号で出力可能となっており、前記タッチパネル11を押下し、或はスライドすることにより各種の操作が行われる様になっている。
【0030】
次に、
図2に於いて、前記検眼部6の光学系の一例を説明する。尚、該光学系は図示しないケース内にまとめて配置される。
【0031】
図2中、15は被検眼Eを固視・雲霧させる為に指標を眼底Erに投影する固視標投影光学系、16は被検眼Eの前眼部Efを観察する観察光学系、17は照準スケールをCCD18に投影するスケール投影光学系、19は被検眼Eの屈折力を測定する為のパターン光束を眼底Erに投影するパターン光束投影光学系(測定光学系)、21は眼底Erから反射された光束を前記CCD18に受光させる受光光学系(測定光学系)、22は光軸と垂直な方向のアライメント状態を検出する為の指標光を被検眼Eに向けて投影するアライメント光投影系、23は被検眼Eと装置本体(前記検眼ヘッド3)との間の作動距離を検出する為の作動距離検出光学系、24は信号処理部を示している。尚、前記パターン光束投影光学系19と前記受光光学系21は前記検眼部6の光学系を構成している。
【0032】
前記固視標投影光学系15は、光源25、コリメータレンズ26、指標板27、リレーレンズ28、ミラー29、リレーレンズ31、ダイクロイックミラー32、ダイクロイックミラー33、対物レンズ34を具備している。
【0033】
前記光源25から射出された可視光は、前記コリメータレンズ26によって平行光束とされた後、前記指標板27を透過する。該指標板27には、被検眼Eを固視・雲霧させる為のターゲットミラーが設けられている。前記指標板27を透過したターゲット光束は、前記リレーレンズ28を透過して前記ミラー29により反射され、前記リレーレンズ31を経て前記ダイクロイックミラー32に導かれ、又該ダイクロイックミラー32により反射されて光学系の主光軸O1に導かれ、前記ダイクロイックミラー33を透過した後、前記対物レンズ34を経て被検眼Eに導かれる。
【0034】
前記光源25、前記コリメータレンズ26、前記指標板27は指標ユニット35を構成し、該指標ユニット35は被検眼Eを固視・雲霧させる為に、駆動モータ36(
図3参照)によって、前記固視標投影光学系15の光軸O2に沿って一体に移動可能とされている。
【0035】
前記観察光学系16は、照明光源37、前記対物レンズ34、前記ダイクロイックミラー33、絞り37′を有するリレーレンズ38、ミラー39、リレーレンズ41、ダイクロイックミラー42、結像レンズ43、CCD(撮像手段)18を有している。
【0036】
前記照明光源37から射出された照明光束は、被検眼Eの前眼部Efを照明する。該前眼部Efで反射された照明光束は、前記対物レンズ34を経て前記ダイクロイックミラー33に反射される。その後、照明光束は前記リレーレンズ38の前記絞り37′を通過し、前記ミラー39により光軸O5に沿って反射された後、前記リレーレンズ41、前記ダイクロイックミラー42を透過して、前記結像レンズ43により前記CCD18に導かれ、該CCD18の撮像面に後述する前眼部像が形成される。
【0037】
前記スケール投影光学系17は、光源44、照準スケールを有するコリメータレンズ45、リレーレンズ46、前記ダイクロイックミラー33、前記絞り37′を有する前記リレーレンズ38、前記ミラー39、前記リレーレンズ41、前記ダイクロイックミラー42、前記結像レンズ43、前記CCD18を有している。
【0038】
前記光源44から射出された光束は、前記コリメータレンズ45を透過する際に平行光束とされ、前記リレーレンズ46、前記ダイクロイックミラー33、前記リレーレンズ38を経て前記ミラー39により光軸O5に沿って反射され、前記リレーレンズ41、前記ダイクロイックミラー42を経て前記結像レンズ43によって前記CCD18に結像される。該CCD18の撮像面からの映像信号は、前記信号処理部24を介して前記表示手段9に入力され、該表示手段9に前眼部像Ef′が表示されると共に、アライメントマーク47,48が表示される。尚、アライメント完了後の撮影、測定時には、前記照明光源37、前記光源44は消灯される。
【0039】
前記アライメントマーク47はアライメント完了領域(測定可能エリア)の範囲を示すものであり、前記アライメントマーク48は粗アライメントの領域範囲を示すと共に、後述するモード切替領域を示すものである。
【0040】
前記パターン光束投影光学系19は、光源49、コリメータレンズ51、円錐プリズム52、リング指標板53、リレーレンズ54、ミラー55、リレーレンズ56、穴あきプリズム57、前記ダイクロイックミラー32、前記ダイクロイックミラー33、前記対物レンズ34を有している。
【0041】
前記光源49と前記リング指標板53とは光学的に共役であり、該リング指標板53と被検眼Eの瞳孔EPとは光学的に共役な位置に配置されている。又、前記光源49、前記コリメータレンズ51、前記円錐プリズム52、前記リング指標板53は、指標ユニット58を構成し、該指標ユニット58は駆動モータ59(
図3参照)により光軸O3に沿って進退駆動される。
【0042】
前記光源49から射出された光束は、前記コリメータレンズ51によって平行光束とされ、前記円錐プリズム52を透過して前記リング指標板53に導かれる。該リング指標板53に導かれた光束は、該リング指標板53に形成されたリング状のパターン部分を透過してパターン光束となる。該パターン光束は、前記リレーレンズ54を透過した後、前記ミラー55により反射され、前記リレーレンズ56を透過して前記穴あきプリズム57の反射面により反射され、主光軸O1に沿って前記ダイクロイックミラー32に導かれる。パターン光束が前記ダイクロイックミラー32,33を透過した後、前記対物レンズ34により眼底Erに結像される。
【0043】
前記受光光学系21は、前記対物レンズ34、前記ダイクロイックミラー33,32、前記穴あきプリズム57の穴部57a、リレーレンズ61、ミラー62、リレーレンズ63、ミラー64、合焦レンズ65、ミラー66、前記ダイクロイックミラー42、前記結像レンズ43、前記CCD18を有している。尚、前記合焦レンズ65は、前記指標ユニット58と連動して、光軸O4に沿って移動可能となっている。
【0044】
前記パターン光束投影光学系19によって眼底Erに導かれ、該眼底Erで反射されたパターン反射光束は、前記対物レンズ34により集光され、前記ダイクロイックミラー33,32を透過し、前記穴あきプリズム57の前記穴部57aへと導かれ、該穴部57aを通過する。該穴部57aを通過したパターン反射光束は、前記リレーレンズ61を透過して前記ミラー62によって反射され、前記リレーレンズ63を透過して前記ミラー64により反射される。該ミラー64により反射されたパターン反射光束は、前記合焦レンズ65を透過した後に前記ミラー66、前記ダイクロイックミラー42により反射され、前記結像レンズ43により前記CCD18に導かれる。これにより、該CCD18にパターン像が結像される。
【0045】
前記アライメント光投影系22は、LED67、ピンホール68、コリメータレンズ69、ハーフミラー71を有し、被検眼Eの角膜Cに向けてアライメント指標光束を投影するアライメント手段としての機能を有している。被検眼Eに向けて平行光として投影されたアライメント指標光束は、被検眼Eの角膜Cに於いて反射され、前記観察光学系16により前記CCD18上にアライメント指標像(輝点像)Tが投影される。輝点像Tが前記アライメントマーク47内に位置すると、アライメント完了と判断される。
【0046】
前記作動距離検出光学系23は、被検眼Eと前記検眼ヘッド3との間の作動距離を検出するアライメント手段としての機能を有する。前記作動距離検出光学系23は、それぞれ主光軸O1に関して左右対称な有限距離指標投影系72R、72Lを有し、該有限距離指標投影系72R、72Lは有限距離から指標を投影する様になっている。又、該有限距離指標投影系72R、72Lは光源73からの光束を指標光束として被検眼Eに左右の斜めから投影する。
【0047】
前記有限距離指標投影系72R、72Lからの指標光束は、被検眼Eの角膜Cで反射され、前記観察光学系16により前記CCD18上に結像される。前記信号処理部24は、前記CCD18からの出力に基づいて、前記有限距離指標投影系72R、72Lからの指標光束による指標像72R′、72L′を前記表示手段9に表示させる。尚、前記CCD18上には前記指標像72R′、72L′と同じ指標像が結像されている。これらの指標像が前記CCD18上で一定の位置関係になった場合、作動距離が測定に適した距離Woになったとして検出される。
【0048】
前記信号処理部24は、
図3に示す様に、演算制御部75、A/D変換器76、フレームメモリ77、D/A変換器78、D/A変換器79、A/D変換器82、モータ駆動回路81とを有している。
【0049】
前記演算制御部75は、CPU、ROM、RAM、入出力回路を有すると共に、各パルスモータを駆動制御する駆動制御手段と眼特性等を演算する演算手段とを兼ね、演算結果等はRAMに記憶される。
【0050】
又、前記演算制御部75は、瞳孔の位置を検出する瞳孔位置検出手段と、検出した瞳孔の中心位置又は輝点像Tの位置と、前記CCD18により撮像された画像に基づいて、被検眼Eの瞳孔中心と測定光学系の光軸O1との離間距離と、前記受光光学系21の主光軸O1の位置(アライメント目標位置G)を基準にした瞳孔中心位置の方向を算出する演算手段としての機能を有している。尚、アライメント目標位置Gは、前記表示手段9に表示される画面の中心、即ち前記タッチパネル11から出力される座標の原点と合致している。
【0051】
又、前記演算制御部75は、前記表示手段9の前記タッチパネル11から出力されたX座標及びY座標、或は切替えられた画面のZ座標を基に、X軸方向及びY軸方向、或はZ軸方向のモータ駆動量及び移動速度を演算する。前記演算制御部75は、入力されたX座標及びY座標、或はZ座標とアライメント目標位置Gとの距離を基に、距離が大きければ移動速度が速くなり、距離が小さければ移動速度が遅くなる様移動速度を演算し、前記モータ駆動回路81へ駆動命令を行う機能を有している。該モータ駆動回路81へ駆動命令を行うことで、前記駆動モータ36,59の駆動が制御されると共に、移動手段であるX軸駆動モータ83、Y軸駆動モータ84、Z軸駆動モータ85の駆動が制御され、該X軸駆動モータ83、Y軸駆動モータ84、Z軸駆動モータ85により、前記検視ヘッド3がX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に駆動される様になっている。
【0052】
尚、前記X軸駆動モータ83が前記検眼ヘッド3を左右方向(X軸方向)に移動させ、前記Y軸駆動モータ84が前記検視ヘッド3を上下方向(Y軸方向)に移動させ、前記Z軸駆動モータ85が前記検視ヘッド3を前後方向(Z軸方向)に移動させる。
【0053】
又、前記演算制御部75は、前記光源25、前記照明光源37、前記光源44、前記光源49、前記LED67、前記光源73の各種光源の点灯制御を行う様、図示しないドライバに接続されている。
【0054】
前記演算制御部75は、前記CCD18に受光された輝点像T、指標像72R′、72L′の受光位置を演算し、演算結果に基づき、アライメント目標位置G迄の距離や方向を演算する。
【0055】
以下、X軸方向とY軸方向の粗アライメント、Z軸方向の粗アライメントを行う場合の移動速度の演算方法について説明する。
【0056】
前記タッチパネル11の所定の位置が押下されると、該タッチパネル11から押下位置にある押下ピクセル位置のX座標、Y座標を示すアナログ信号が出力され、前記A/D変換器82にてデジタル信号に変換された後、前記演算制御部75へと入力され、以下の式に基づきX軸方向、Y軸方向に於ける移動速度が演算される。
【0057】
ΔXpulse=(Xcenter−Xtouch)×PulseRatio
【0058】
ΔYpulse=(Ycenter−Ytouch)×PulseRatio
【0059】
上記式の様に、該演算制御部75は、押下ピクセル位置とアライメント目標位置Gとの位置の差、即ち押下ピクセル位置とアライメント目標位置Gとの画面上の距離を求め、求めた距離に予め距離に設定されたパルスレート変換係数(PulseRatio)を掛けることで、X軸方向に於ける移動速度、Y軸方向に於ける移動速度(ΔXpulse、ΔYpulse)を演算する。
【0060】
尚、X軸方向に於ける移動速度、Y軸方向に於ける移動速度の計算結果の符号は、モータ駆動系の実装に合わせて適宜CW、CCWを設定することで、アライメント目標位置Gと押下ピクセル位置との距離の大きさに対応して前記検眼ヘッド3の移動速度を可変とすることができる。
【0061】
又、前記表示手段9の表示画面を切替えた後、Z軸方向に於いても同様に、前記タッチパネル11の所定の位置が押下されることで、該タッチパネル11から押下位置にある押下ピクセル位置のZ座標を示すアナログ信号が出力され、前記A/D変換器82にてデジタル信号に変換された後、前記演算制御部75へと入力され、以下の式に基づきZ軸方向に於ける移動速度が演算される。
【0062】
ΔZpulse=(Zcenter−Ztouch)×PulseRatio
【0063】
上記式の様に、該演算制御部75は押下ピクセル位置とアライメント目標位置Gとの画面上の距離を求め、求めた距離に予め距離に設定されたパルスレート変換係数(PulseRatio)を掛けることで、Z軸方向に於ける移動速度(ΔZpulse)を演算する。又、Z軸方向に於ける移動速度の計算結果の符号は、モータ駆動系の実装に合わせて適宜CW、CCWを設定することで、アライメント目標位置Gと押下ピクセル位置との距離の大きさに対応して前記検眼ヘッド3の移動速度を可変とすることができる。
【0064】
図4は前記表示手段9に表示された、X軸方向及びY軸方向の粗アライメントを行う為のXY軸アライメント画面90を示している。又、
図4中、91は前記検眼ヘッド3の進行方向を示す方向バーであり、92は該方向バー91を構成する複数の速度目盛りであり、93は指94により前記タッチパネル11を押下された際の押下ピクセル位置を示す速度表示目盛りとなっており、前記アライメントマーク48の内側にはモード切替領域95が形成されている。
【0065】
前記タッチパネル11の所定の位置を押下することで前記検眼ヘッド3の進行方向が決定され、押下ピクセル位置とアライメント目標位置Gとを結ぶ様に前記方向バー91が表示される。又、押下ピクセル位置に位置する前記速度目盛り92は、前記速度表示目盛り93として拡大されると共に点灯し、前記検眼ヘッド3は前記方向バー91の延びる方向にアライメント目標位置Gから押下ピクセル位置迄の距離に応じた速度で移動する。
【0066】
本実施例に於いては、アライメント目標位置Gに近い位置を押下すれば前記検眼ヘッド3が低速で移動し、アライメント目標位置Gから遠い位置を押下すれば前記検眼ヘッド3が高速で移動する様設定されており、前記タッチパネル11を押下している間は前記検眼ヘッド3が前記方向バー91の延びる方向へと移動し続け、前記タッチパネル11の押下状態を解除することで前記検眼ヘッド3が停止する様になっている。
【0067】
又、前記検眼ヘッド3の移動中、前記演算制御部75は押下ピクセル位置の座標を基に逐次進行方向を決定すると共に移動速度を演算しており、前記タッチパネル11の押下を維持した状態で、前記指94がずらされた場合には、前記演算制御部75は決定した進行方向及び演算した移動速度を基に前記モータ駆動回路81を制御することにより、前記指94のずれに追従して進行方向、移動速度を調整しながら前記検眼ヘッド3を移動させることができる。
【0068】
Z軸方向の粗アライメントを行う場合には、前記アライメントマーク48の内側の領域にある前記モード切替領域95に所定時間前記指94を留めさせることで(
図5(A)参照)、前記演算制御部75が前記D/A変換器79を介して前記表示手段9に信号を出力し、前記表示手段9の表示を
図5(B)に示される様な、縦軸をZ軸としたZ軸アライメント画面96へと切替えられる。
【0069】
該Z軸アライメント画面96に於いては、進行方向を示す速度目盛り97が矢印にて表示される様になっており、前記XY軸アライメント画面90と同様、押下ピクセル位置に位置する前記速度目盛り97が速度表示目盛り98として点灯し(
図5(C)参照)、押下ピクセル位置とアライメント目標位置Gとの距離により前記検眼ヘッド3のZ軸方向に於ける移動速度が変動する様になっている。
【0070】
次に、前記眼科装置1により、被検眼Eの撮影、眼機能の測定を行う場合について説明する。
【0071】
先ず、図示しない電源を入れ、前記顎受部4に被検者(患者)の顎を載せる。次に、図示しない操作部を操作して前記観察光学系16の前記照明光源37を点灯させると共に、前記固視標投影光学系15の前記光源25を点灯させる。前記照明光源37の点灯により被検眼Eの前眼部Efが照明される。又、前記固視標投影光学系15の前記光源25の点灯により被検者に固視標が提示され、前記アライメント光投影系22の前記LED67等が点灯され、更に前記顎受部4の高さ等の調整が行われる。
【0072】
この時、前記観察光学系16の前記照明光源37の点灯によって前眼部Efが照明されていることにより、前記観察光学系16の前記CCD18の撮像面上に前眼部像Ef′が結像され、前記A/D変換器76にてデジタル信号に変換された後、前記フレームメモリ77に前眼部像Ef′が記憶される。前記フレームメモリ77に記憶された前眼部像Ef′は、前記D/A変換器78によりアナログ信号へと変換され、前記表示手段9の画面、即ち前記XY軸アライメント画面90に表示される。
【0073】
次に、輝点像Tが前記アライメントマーク47内へと入る様前記検眼ヘッド3を移動させるアライメント工程、即ち手動で行われる粗アライメントと、前記アライメントマーク48内に輝点像Tが入った場合に自動で行われるオートアライメントについて、
図6のフローチャートを用いて説明する。
【0074】
STEP:01 前記表示手段9の画面には前記XY軸アライメント画面90が表示されており、前記タッチパネル11の瞳孔像Ea′方向の所定の位置が押下されると、前記タッチパネル11から押下ピクセル位置のX座標及びY座標を示す信号が出力され、前記演算制御部75が押下ピクセル位置のX座標及びY座標を基に進行方向を決定すると共に、アライメント目標位置Gとの距離を求め、求めた距離を基にX軸方向に於ける移動速度、Y軸方向に於ける移動速度を演算する。
【0075】
各軸方向の移動速度が演算されると、前記演算制御部75が前記モータ駆動回路81に駆動命令を出すことで、該モータ駆動回路81が前記X軸駆動モータ83及び前記Y軸駆動モータ84を演算された移動速度に従って同時に駆動させ、前記検眼ヘッド3を移動させる。
【0076】
STEP:02 該検眼ヘッド3の移動中、前記タッチパネル11の押下を維持した状態で、前記指94をずらすことで、前記演算制御部75が押下ピクセル位置のX座標及びY座標から逐次演算している移動速度を基に、前記モータ駆動回路81を制御する。即ち、前記方向バー91を旋回させることで進行方向を調整しつつ、又前記速度表示目盛り93を中心側或は外周側へとずらすことで移動速度を調整しつつ、瞳孔像Ea′に向って前記検眼ヘッド3を移動させ、X軸方向、Y軸方向の粗アライメントを行う。
【0077】
STEP:03 STEP:02の処理にて該検眼ヘッド3を移動させ、X軸方向及びY軸方向の粗アライメントが完了した、即ち輝点像Tが前記アライメントマーク48内に入っているかどうかが判断され、該アライメントマーク48内に輝点像Tが入っていなければ、前記アライメントマーク48内に輝点像Tが入る迄STEP:02の処理が行われる。
【0078】
STEP:04 輝点像Tが前記アライメントマーク48内に入ったと判断されると、次に前記タッチパネル11の押下を維持した状態で、前記指94を前記モード切替領域95へと移動させ、所定時間留めることで、前記演算制御部75が前記表示手段9の画面を前記XY軸アライメント画面90から前記Z軸アライメント画面96へと切替える。
【0079】
STEP:05 前記表示手段9の画面が前記Z軸アライメント画面96へと切替った状態で、前記タッチパネル11の所定の位置が押下されると、前記制御演算部75が押下ピクセル位置のZ座標を基に進行方向を決定すると共に、前記Z軸アライメント画面96中に於ける押下ピクセル位置のZ座標とアライメント目標位置Gとの距離を求め、求めた距離を基にZ軸方向に於ける移動速度を演算する。
【0080】
Z軸方向の移動速度が演算されると、前記演算制御部75が前記モータ駆動回路81に駆動命令を出すことで、該モータ駆動回路81が前記Z軸駆動モータ85を演算された移動速度で駆動させ、前記検眼ヘッド3を移動させる。
【0081】
該検眼ヘッド3の移動中、前記タッチパネル11の押下を維持した状態で、前記指94を上下方向にずらすことで、前記演算制御部75が押下ピクセル位置のZ座標を基に逐次進行方向を決定すると共に移動速度を演算し、前記モータ駆動回路81を制御する。即ち進行方向、移動速度を調整しつつ前記検眼ヘッド3を移動させる。
【0082】
STEP:06 STEP:05の処理にて該検眼ヘッド3を移動させ、Z軸方向の粗アライメントが完了した、即ち瞳孔像Ea′が合焦位置又は合焦位置の近傍に来たかどうかが判断され、合焦位置又は合焦位置の近傍に瞳孔像Ea′が来ていなければ、合焦位置又は合焦位置の近傍に瞳孔像Ea′が来る迄STEP:06の処理が行われる。
【0083】
STEP:07 STEP:06にて瞳孔像Ea′が合焦位置又は合焦位置の近傍に来た、即ちZ軸方向の粗アライメントが完了したと判断されると、次に前記タッチパネル11から前記指94が離れたかどうかが判断される。該指94が離れていない、即ち合焦位置又は合焦位置の近傍を越えて前記検眼ヘッド3が移動した場合には、STEP:06及びSTEP:07の処理が再度行われる。
【0084】
STEP:08 STEP:07にて瞳孔像Ea′が合焦位置又は合焦位置の近傍に来た状態で、前記タッチパネル11から前記指94が離れる、即ちX軸Y軸及びZ軸の粗アライメントが完了すると、次に前記制御演算部75の駆動命令によりX軸Y軸及びZ軸のオートアライメントが行われる。オートアライメントでは、輝点像Tが前記アライメントマーク47内に入る様前記モータ駆動回路81が前記X軸駆動モータ83及び前記Y軸駆動モータ84を駆動させると共に、瞳孔像Ea′が合焦位置に来る様に前記Z軸駆動モータ85を駆動させ、オートアライメントが完了することでアライメント工程が完了する。
【0085】
アライメントが完了した後は、アライメント完了位置に於いて、前記眼科装置1により被検眼Eの撮影、又は眼機能の測定等所定の処理が行われる。
【0086】
上述の様に、本実施例では、前記検眼ヘッド3の移動中、即ち主光軸O1の移動中に、前記演算制御部75が押下ピクセル位置のX座標及びY座標、或はZ座標を基に逐次進行方向を決定していると共に移動速度を演算しており、前記タッチパネル11の押下を維持した状態で、前記指94をずらすことで、前記演算制御部75が決定した進行方向及び演算した移動速度に基づき前記モータ駆動回路81を制御し、前記X軸駆動モータ83、前記Y軸駆動モータ84、前記Z軸駆動モータ85を駆動させる。即ち、ずらされた前記指94に追従して移動中の前記検眼ヘッド3の進行方向及び移動速度が調整される様になっている。
【0087】
主光軸O1のアライメント中の進行方向が調整可能であるので、主光軸O1の進行方向が輝点像Tとずれていた場合であっても、前記タッチパネル11から前記指94を離して前記検眼ヘッド3の移動を停止した後に、再度前記タッチパネル11を押下して前記輝点像Tに向って前記検眼ヘッド3を移動させる必要がなく、前記タッチパネル11による柔軟な操作が可能となり、粗アライメントを行う際の操作性を向上させることができる。
【0088】
又、主光軸O1の粗アライメント中の移動速度が調整可能であるので、輝点像Tがアライメント目標位置Gから遠い場合には、前記タッチパネル11のアライメント目標位置Gから離れた位置を押下し前記検眼ヘッド3の移動速度を速くする。又、輝点像Tがアライメント目標位置Gに近づいた場合には、近づいた輝点像Tの軌跡をなぞる様に前記指94をアライメント目標位置Gに近づけていくことで、主光軸O1の移動速度を遅くすることができ、粗アライメント時間の短縮及び操作性の向上を図ることができる。
【0089】
又、X軸方向及びY軸方向の粗アライメントが完了した後、前記指94を前記モード切替領域95に所定時間留めることで、前記表示手段9に表示される画面を前記XY軸アライメント画面90から前記Z軸アライメント画面96へと切替えられる様になっているので、X軸、Y軸、Z軸の3軸の粗アライメントを全て同じインターフェイスで行うことができ、操作性を向上させることができる。
【0090】
尚、オートアライメントができない被検眼や病眼の撮影や測定を行う場合には、前記Z軸アライメント画面96に於いて、前記タッチパネル11から前記指94を離すと、該指94を離した位置で前記眼科装置1が被検眼Eや眼機能の測定等所定の処理を行う様に設定する。これにより、瞳孔像Ea′が合焦位置に来る様Z軸方向に前記検眼ヘッド3を移動させ、瞳孔像Ea′が合焦位置に来た時に前記指94を離す様にすることで、被検眼や病眼の測定を行える可能性を高くすることができる。
【0091】
尚、本実施例に於いては、先ず前記XY軸アライメント画面90に於いて、X軸方向、Y軸方向の粗アライメントを行った後、前記Z軸アライメント画面96に於いてZ軸方向の粗アライメントを行っているが、
図7に示される様に、横軸をX軸、縦軸をZ軸としてXZ軸アライメント画面99にてX軸方向とZ軸方向の粗アライメントを行った後、Y軸方向の粗アライメントを行う様にしてもよい。
【0092】
この場合、前記XZ軸アライメント画面99にてX軸方向とZ軸方向の粗アライメントが終了した後、モード切替領域(図示せず)に一定時間指を留めることで、Y軸方向の粗アライメントを行う画面に切替え、Y軸方向の粗アライメントを行うことで、本実施例と同様に、同じインターフェイスにてX軸、Y軸、Z軸の粗アライメントを行うことができる。