特許第6134525号(P6134525)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134525
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】キャリブレーション回路
(51)【国際特許分類】
   H03H 19/00 20060101AFI20170515BHJP
   H03H 11/00 20060101ALI20170515BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20170515BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   H03H19/00
   H03H11/00
   H01L27/04 V
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-21115(P2013-21115)
(22)【出願日】2013年2月6日
(65)【公開番号】特開2013-192215(P2013-192215A)
(43)【公開日】2013年9月26日
【審査請求日】2016年1月18日
(31)【優先権主張番号】特願2012-28197(P2012-28197)
(32)【優先日】2012年2月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591128453
【氏名又は名称】株式会社メガチップス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】池田 卓史
(72)【発明者】
【氏名】山口 正人
【審査官】 鬼塚 由佳
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06803813(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0191794(US,A1)
【文献】 米国特許第06259311(US,B1)
【文献】 特表2009−533903(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0096488(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 19/00
H01L 27/04
H03H 11/00−11/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の容量を第1の定電圧で充電する操作と前記第1の容量を第1の基準電圧に対して放電する操作とを所定の周波数で繰り返すスイッチトキャパシタと、該スイッチトキャパシタの前記第1の容量の充放電の電流を平均化して第1の電流を生成する平均化手段と、前記第1の定電圧と前記第1の基準電圧との電位差に対して所定の比率の第2の定電圧が印加されることにより第2の電流を生成する第1の抵抗と、前記第1の電流と前記第2の電流を比較する比較手段とを備え、
前記所定の周波数を、前記第1の定電圧までの充電と前記放電とが実質的に完全に終了したと見なせる周波数に設定し、
前記比較手段による比較結果に応じて、前記第1及び第2の電流が一致するように、前記第1の容量の容量値又は前記第1の抵抗の抵抗値のいずれか一方を被キャリブレーション対象として調整することを特徴とするキャリブレーション回路。
【請求項2】
請求項1に記載のキャリブレーション回路において、
前記平均化手段は、出力側のトランジスタのゲートと第2の基準電圧との間に第2の容量を付加するとともに、入力側のトランジスタのゲートとドレインとの間または該入力側のトランジスタのゲートと前記出力側のトランジスタのゲートとの間に第2の抵抗を挿入したカレントミラー回路からなり、平均化後の前記第1の電流を前記出力側のトランジスタから出力することを特徴とするキャリブレーション回路。
【請求項3】
請求項2に記載のキャリブレーション回路において、
前記平均化手段は、前記スイッチトキャパシタの前記第1の容量の充放電の電流と前記第1の容量をバイパスするバイパス電流とを合算した電流を平均化して前記第1の電流を生成し、
前記比較手段は、前記第1の抵抗に流れる電流に対して前記バイパス電流に対応するキャンセル用電流を合算した電流を前記第2の電流として、前記第1の電流と前記第2の電流の差分を求める
ことを特徴とするキャリブレーション回路。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載のキャリブレーション回路において、
前記スイッチトキャパシタの前記第1の容量を、第1のサンプリングクロックで充電が行われ、前記第1のサンプリングクロックと逆相の第2のサンプリングクロックで放電が行われる第3の容量と、前記第2のサンプリングクロックで充電が行われ、前記第1のサンプリングクロックで放電が行われる第4の容量とを並列接続して構成したことを特徴とするキャリブレーション回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスやサンプリングクロックの精度に依存することなく、また複雑な回路構成を必要とせずに、抵抗値あるいは容量値を調整することにより任意のRC時定数を実現することが可能となるようにしたキャリブレーション回路に関する。
【背景技術】
【0002】
<第1の従来例>
第1の従来例(例えば、特許文献1)では、抵抗値の温度補償を行っており、時定数の調整は抵抗や容量の値をオートマチックに切り替えることで実装される。本願発明と求めるところは少々異なるが、抵抗と容量とを比較する点で類似点がある。
【0003】
図8に第1の従来例の基本概念を示す。その目的は温度依存性のある抵抗デバイスについて、実動作時にその温度依存性をモニタしてキャンセルし、安定した抵抗値を保持した抵抗を提供することである。安定化対象であり、電圧および温度に抵抗値が依存する被キャリブレーション抵抗Rx2のインピーダンスZ1と、温度依存性の低い固定容量Cs1をサンプリングクロックfsで充放電するスイッチトキャパシタで実現された参照抵抗Rref2により生成される参照インピーダンスZ2とを、比較器CP2で比較し、その差異、つまり温度依存によるインピーダンスZ1の変化分を示す電圧V1を得て、この電圧V1により被キャリブレーション抵抗Rx2の値を調整するものである。この被キャリブレーション抵抗Rx2については、レプリカでこの被キャリブレーション抵抗Rx2を作成してこれをキャリブレーションし、その結果を主回路上に組み込まれている実抵抗に反映させることもできるし、実際の主経路上の抵抗を対象としてキャリブレーションして逐一調整することもできる。
【0004】
図9に、第1の従来例の具体例を示す。参照抵抗Rref2は、スイッチSW11〜SW14と固定容量Cs1によるスイッチトキャパシタで実現される。スイッチSW12,SW13はサンプリング周波数fsのサンプリングクロックφ1でオン/オフされ、スイッチSW11,SW14はサンプリングクロックφ1と逆相関係にあるサンプリングクロックφ2でオン/オフされる。スイッチSW15,SW16は、比較用信号源からの電流Ibaseを、被キャリブレーション抵抗Rx2を含む主経路のパスと、参照抵抗Rref2のパスとに供給する。サンプリングクロックφ1,φ2のサンプリング周波数fsは、被キャリブレーション抵抗Rx2からローパスフィルタLPF2を経由して出力端子OUTに至る主経路の信号周波数帯域(f,f)から十分離れた周波数である。つまり、f<f<fsである。なお、fは主経路の周波数帯域、fはローパスフィルタLPF2のカットオフ周波数である。
【0005】
図9の回路では、参照抵抗Rref2の経路上では、固定容量Cs1がサンプリング周波数fsの周期で充放電されるため、結果として、インピーダンス|Z2|=1/Cs1・2πfsとなる。同様に、主経路について被キャリブレーション抵抗Rx2が見えるため、インピーダンスZ1=Rx2となる。
【0006】
以上のインピーダンスZ1,Z2を比較すれば温度による被キャリブレーション抵抗Rx2の値の変動を検知できるが、実際にはインピーダンスZ1,Z2はサンプリング周波数fs以外の周波数成分についても保持しており、比較の精度を低下させる。そこで、比較器CP2の前段にバンドパスフィルタBPFを挿入し、所望のサンプリング周波数fsにおいてのみインピーダンスZ1,Z2の比較を行えば、正確な比較電圧V1を得ることができ、被キャリブレーション抵抗Rx2の値を可変する制御信号を正しくフィードバックできる。これは、サンプリング周波数fsの成分についてのみ比較すれば、それは電流Ibaseにより生成されるインピーダンス同士について比較していることになるためである。
【0007】
なお主経路のパスに電流Ibaseによる信号がノイズとして付加されるが、これについては周波数fとfsを離すことにより、単純なローパスフィルタLPF2によってカットすることができる。
【0008】
<第2の従来例>
第2の従来例(例えば、特許文献2)は、本願発明に対して、抵抗と容量とを用いてフィルタの時定数の調整を行う点が酷似している。
【0009】
図10に第2の従来例の基本構成を示す。参照抵抗Rref3(抵抗とスイッチSW17で実現)について、その端子間電圧をオペアンOP11により参照電圧Vref_rに制御し、その際に参照抵抗Rref3に流れる電流Ir3を生成する。この電流Ir3をミラーした電流を用いて、スイッチSW21と可変容量Cx3とで実現されるスイッチトキャパシタからなる被キャリブレーション抵抗Rx3に対して充放電を繰り返し、それにより生成される積分された検出電圧Vcを参照電圧Vref_c(=Vref_r)と比較器CP3で比較する。比較した結果はtunebitとして出力・保持される。このtunebitは、より参照電圧Vref_cに近しい検出電圧Vcを生成する可変容量Cx3を検索するためのサーチ回路SAに供給され、また比較完了後は実回路上の可変容量(図示せず)に供給され、当該可変容量の容量値が決定される。
【0010】
この第2の従来例では、比較に用いる被キャリブレーション抵抗Rx3の容量Cx3の検出電圧Vcを積分値とするので、スイッチSW21のインピーダンスが電源の影響を受けやすいにも拘わらず、調整時の電源電圧変動によるフィルタ時定数の変動を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特表2008−537668号公報
【特許文献2】特開2010−141651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、第1の従来例では、比較の際にサンプリング周波数帯域に合わせたバンドパスフィルタBPFを必要とする。また、比較を行うために、比較器CP2の入力側において、信号強度のスケールが一致する必要がある。
【0013】
また、第1および第2の従来例は、抵抗のインピーダンスと任意の周波数における容量のインピーダンス(スイッチトキャパシタであるので等価抵抗)とを比較することにより、目的とする抵抗値、あるいは時定数(抵抗値と容量値の積)を実現するものであるが、インピーダンスの比較を行う電圧、電流の生成をサンプリングクロックで行っており、このサンプリングクロックは理想的な波形であることを前提としている。したがって、第2の従来例では、高い精度で保たれたデューティ比のサンプリングクロックを必要とする。
【0014】
まず、第1の従来例では、被キャリブレーション抵抗Rx2のパスと参照抵抗Rref2のパスに供給される電流量Ibaseは等価であるか、あるいは任意の一定比率である必要がある。そうでない場合、被キャリブレーション抵抗Rx2と参照抵抗Rref2により生成される電圧/電流量が供給電流の比に合わせてスケール化され、目的の値と実際の値との間に誤差を生む。この点につき、図11(a)〜(c)を使用して簡単に説明する。
【0015】
図11(a),(b)のように、デューティ比が50%で正しく2分されている、あるいは40%で等価に供給されている、つまり、被キャリブレーション抵抗Rx2のパスと参照抵抗Rref2のパスへの電流供給量が等しい場合(I11=I12)は、サンプリング周波数fsにおいて、被キャリブレーション抵抗Rx2のパスと参照抵抗Rref2のパスから供給される比較器CP2での比較に用いれる電流量I13,I14(あるいは電圧V13,V14)は、I13=I14(あるいはV13=V14)となって等しく、比較も正常に行われる。
【0016】
しかしながら、図11(c)のように、被キャリブレーション抵抗Rx2のパスと参照抵抗Rref2のパスへの電流供給量に差異がでた場合(I11≠I12)は、比較器CP2での比較に用いられる値は、サンプリング周波数fsにおいて、I13≠I14(あるいはV13≠V14)となり、デューティ比の差異が信号強度に影響を与える。
【0017】
例えば、デューティ比が6:4(あるいは7:3)に崩れていたとすると、各パスに供給される電流のうちサンプリング周波数fsにあたる電流成分には5%(あるいは20%)ほどの差異が生まれる。これは被キャリブレーション抵抗Rx2を1kΩの抵抗値に調整しようとした際に、抵抗値が950Ω〜1050Ω(あるいは800Ω〜1200Ω)までばらつくことを意味する。上記に加え、参照抵抗Rref2の固定容量Cs1やバンドパスフィルタBPFのプロセスの出来具合が最終的な抵抗値に影響を与えるので、実際に合わせ込んだ抵抗値は(温度による依存性は逐一修正されるものの)大きくばらつくこととなる。
【0018】
一方、第2の従来例の場合、サンプリング周波数fsのサンプリングクロックのデューティ比が正しく5:5に調節されている必要がある。第1の従来例と同様に、図10における可変容量Cx3に充電する電荷に誤差が生じると検出電圧Vcが正しく生成されない。その結果、可変容量Cx3と等価な容量で調整されたRCフィルタのカットオフ周波数は、デューティ崩れの比に合わせた誤差を生む。ただし時間積分を行っているので、ランダムジッタ等の影響についてはキャンセルされる。
【0019】
以上の2つの従来例の持つデューティの崩れに依存して電流供給量に差異が発生する問題は、被キャリブレーション対象から生成した電流と参照電流との正しい比較ができないことに起因する。つまり、従来技術1,2では、定電流源で充電しているため、充電時間が長くなるほど電圧は上昇する。したがって、デューティ比が崩れた場合には、デューティ比が所定の値であった場合に充電される電圧に比較して、低い電圧にまでしか充電されなかったり、高い電圧にまで過充電されたりすることがある。
【0020】
そこで、本発明では、スイッチトキャパシタの容量に接続される端子のDC電圧を定電圧にして、過充電が起こらない構成とすることで、上記サンプリングクロックのデューティ崩れの影響をキャンセルし、これにより、充電さえ完了していれば正常な比較ができるようにして、サンプリングクロックのデューティ崩れの影響を無視できるようにしたキャリブレーション回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明のキャリブレーション回路は、第1の容量を第1の定電圧で充電する操作と前記第1の容量を第1の基準電圧に対して放電する操作とを所定の周波数で繰り返すスイッチトキャパシタと、該スイッチトキャパシタの前記第1の容量の充放電の電流を平均化して第1の電流を生成する平均化手段と、前記第1の定電圧と前記第1の基準電圧との電位差に対して所定の比率の第2の定電圧が印加されることにより第2の電流を生成する第1の抵抗と、前記第1の電流と前記第2の電流を比較する比較手段とを備え、前記所定の周波数を、前記第1の定電圧までの充電と前記放電とが実質的に完全に終了したと見なせる周波数に設定し、前記比較手段による比較結果に応じて、前記第1及び第2の電流が一致するように、前記第1の容量の容量値又は前記第1の抵抗の抵抗値のいずれか一方を被キャリブレーション対象として調整することを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載のキャリブレーション回路において、前記平均化手段は、出力側のトランジスタのゲートと第2の基準電圧との間に第2の容量を付加するとともに、入力側のトランジスタのゲートとドレインとの間または該入力側のトランジスタのゲートと前記出力側のトランジスタのゲートとの間に第2の抵抗を挿入したカレントミラー回路からなり、平均化後の前記第1の電流を前記出力側のトランジスタから出力することを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、請求項2に記載のキャリブレーション回路において、前記平均化手段は、前記スイッチトキャパシタの前記第1の容量の充放電の電流と前記第1の容量をバイパスするバイパス電流とを合算した電流を平均化して前記第1の電流を生成し、前記比較手段は、前記第1の抵抗に流れる電流に対して前記バイパス電流に対応するキャンセル用電流を合算した電流を前記第2の電流として、前記第1の電流と前記第2の電流の差分を求める、ことを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、請求項1、2又は3に記載のキャリブレーション回路において、前記スイッチトキャパシタの前記第1の容量を、第1のサンプリングクロックで充電が行われ、前記第1のサンプリングクロックと逆相の第2のサンプリングクロックで放電が行われる第3の容量と、前記第2のサンプリングクロックで充電が行われ、前記第1のサンプリングクロックで放電が行われる第4の容量とを並列接続して構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、スイッチトキャパシタの第1の容量が第1の定電圧を超えて充電されないようにしたので、精度の高いデューティ比をもつサンプリングクロック信号を必要とせず、非常に小規模な回路構成により、容量値や抵抗値を精度の高い値にキャリブレーションすることが出来、プロセスバラつきに依存しない安定したフィルタを実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明のRCキャリブレーション回路の原理説明図である。
図2】本発明の第1の実施例のRCキャリブレーション回路の回路図である。
図3図2のRCキャリブレーション回路の被キャリブレーション抵抗Rx1の具体的な回路図である。
図4】第1の実施例で使用するクロックφ1,φ2の波形図である。
図5】第1の実施例で使用するクロックφ1,φ2を生成する回路図である。
図6】本発明の第2の実施例のRCキャリブレーション回路の回路図である。
図7】本発明の第3の実施例のRCキャリブレーション回路の回路図である。
図8】第1の従来例のRCキャリブレーション回路の回路図である。
図9図8のRCキャリブレーション回路の具体的な回路図である。
図10】第2の従来例のRCキャリブレーション回路の回路図である。
図11】第1の従来例のRCキャリブレーション回路がもつ課題の説明図である。
図12】第1、第2の従来例のRCキャリブレーション回路の充放電の説明図である。
図13】本発明のRCキャリブレーション回路の充放電の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のRCキャリブレーション回路の原理図を図1に示す。OP1,OP2は参照電圧Vref_c,Vref_r(Vref_c=Vref_r)が非反転入力端子に印加し反転入力端子が出力端子に接続されたオペアンプ、Rx1はサンプリングクロックφ1、φ2により相補的にオン/オフするスイッチSW1,SW2と可変容量Cx1からなるスイッチトキャパシタで実現される被キャリブレーション抵抗、Rref1は参照抵抗、LPF1はローパスフィルタ、CP1は比較器である。
【0025】
オペアンプOP1の出力端子は参照電圧Vref_cとなるように制御され、これにより被キャリブレーション抵抗Rx1の可変容量Cx1に充電される電荷Qによる電流がミラーされ、Ic1’となってローパスフィルタLPF1に入力し、そのローパスフィルタLPF1から比較器CP1の非反転入力端子に電流Ic1となって流れる。また、オペアンプOP2の出力端子も参照電圧Vref_rとなるように制御され、これにより参照抵抗Rref1に流れる電流Ir1がミラーされて比較器CP1の反転入力端子に流れる。そして、ローパスフィルタLPF1の出力電流Ic1と電流Ir1が、Ic1=Ir1となるように、比較器CP1の出力信号によって可変容量Cx1の値が制御されることで、被キャリブレーション抵抗Rx1の抵抗値が、Rx1=Rref1となるように制御される。これにより、可変容量Cx1の容量値が決定される。
【0026】
詳しくは、被キャリブレーション抵抗Rx1の可変容量Cx1に充放電される電荷は、Q=Vref_c・Cx1となり、電荷Qの充電が完了した後は、その可変容量Cx1に余剰に電荷が供給されることはない。つまり、同一周波数で逆相関係にある周波数fsのサンプリングクロックφ1,φ2による可変容量Cx1への充電および放電が、サンプリングクロックφ1,φ2の1周期以内に完了していれば、サンプリングクロックφ1,φ2のデューティ崩れの影響を受けず、供給される電荷量Qは一定値となる。この充放電は周期1/fsで行われるので、この電荷Qの流れについてローパスフィルタLPF1で時間積分すれば、正確に1/(Cx1・fs)=Rx1に依存した電流Ic1を生成できる。同様に参照電圧Vref_rを印加した参照抵抗Rref1に流れる電流Ir1を用意し、両電流Ic1,Ir1が一致するように制御を行えば、1/(Cx1・fs)=Rref1=一定となる点を見つけることができ、この結果、プロセスやサンプリングクロックのデューティ比に一切依存せずに、可変容量Cx1の安定した容量値を用いて、安定したRCフィルタを形成することが可能となる。そして、実際の回路では、本発明のキャリブレーション回路と同一チップ上に形成するRCフィルタの調整を行うことで、所望の特性を得る。すなわち、可変容量Cx1と同一もしくは所望の比率の容量値を有する可変容量とを同一チップ上に形成し、当該可変容量の設定を、キャリブレーション回路で得た1/(Cx1・fs)=Rx1となる可変容量Cx1の容量値と同一に設定(キャリブレーション)する。
【0027】
なお、図1では時定数の合わせ込みに被キャリブレーション抵抗Rx1の可変容量Cx1を目的の容量値にキャリブレーションする構成を示しているが、可変容量Cx1を固定容量に置き換えて、参照抵抗Rref1を可変抵抗(被キャリブレーション抵抗)に置き換え、この可変抵抗の抵抗値を比較器CP1の出力信号によって制御し、この可変抵抗の抵抗値を目的の抵抗値にキャリブレーションする、つまり時定数の合わせこみに可変抵抗を用いても良い。
【0028】
<第1の実施例>
第1の実施例は、AC電流を生成する可変容量Cx1を有する被キャリブレーション抵抗Rx1(スイッチトキャパシタ)と、DC電流を生成する参照抵抗Rref1と、AC,DC電流量に基準を与える参照電圧の生成部と、AC電流を積分するフィルタと、比較器と、から構成される。AC電流は被キャリブレーション抵抗Rx1の可変容量Cx1に周波数fsのサンプリングクロックφ1,φ2を用いて充放電を繰り返すことで生成されるが、このとき生成される電流量は参照電圧Vref_cにより制限される。DC電流は参照抵抗Rref1に電圧Vref_rを与えることで生成される。AC電流はローパスフィルタを介して積分され、その積分され電圧変換された検出電圧Vcが、比較器によってDC電流が電圧変換された電圧と比較される。比較結果は可変容量Cx1の調整のためにフィードバックされる。AC電流は参照電圧Vref_cにより充電完了時の電圧が固定されているため、周期である1/fsの間に可変容量Cx1が要求する電荷はCx1・Vref_cとなる。よって可変容量Cx1により要求される電荷Qについて時間積分すると、正確に1/(Cx1・fs)の抵抗値をもつ被キャリブレーション抵抗Rx1に流れる電流Vref_c・(Cx1・fs)を得ることができる。ここで、電荷Qを正確に得るために、可変容量Cx1は一周期中の充電フェーズに完全に充電が完了でき、また放電フェーズに完全に放電する必要がある。つまり、可変容量Cx1の充電端子の時定数は、1/fsで決まる周期に対して十分に小さい必要がある。また、積分器は例えば単純なローパスフィルタで実現でき、このフィルタについては高い精度を要求されない。
【0029】
同様に参照電圧Vref_rにより端子間電圧を固定された参照抵抗Rref1を用意した場合、そこに流れる電流はVref_r/Rref1のDC電流となる。このDC電流と上記AC電流とを比較し、等しくなる点を見つけた場合、
Vref_c・(C1・fs)=Vref_r/Rref1
Vref_c=Vref_rであるので、
Rref1・C1・fs=1
となり、RC時定数をちょうどサンプリング周波数fsに合わせることが可能となる。比較については電流比較でも電流を元に生成した電圧比較でも構わない。
【0030】
実際にチップに組み込むフィルタ(図1のローパスフィルタLPF1とは別)に用いる抵抗、容量の値をそれぞれR’,C’、比較制御に用いる抵抗、容量(図1のRref1、Cx1)の値をそれぞれR、C、容量に印加する電圧をVref_c、抵抗に印加する電圧をVref_rとした場合は、R’=αR、C’=βC、Vref_c=γVref_r、あるいは比較参照をIc1=ζIr1であるとき(α、β、γ、ζは比率を示す係数)とすることで、1/fsで決まる周期に対して任意のRC時定数を生成することも可能となり、要求する時定数に合わせた周波数fsのサンプリングクロックを用意する必要はない。チップ上で利用されているサンプリングクロックを引き回しさえすれば任意のRC時定数を再現できるため、例えば通信においてナイキスト周波数fs/2で信号をカットするローパスフィルタのRC時定数について、周波数fsのサンプリングクロックを用いて容易にキャリブレーションすることができる。
【0031】
図2に第1の実施例のキャリブレーション回路を示す。電流源I1と、PMOSトランジスタMP1〜MP3と、NMOSトランジスタMN1〜MN5と、抵抗Raは、固定の参照電圧Vref_base,Vref_c,Vref_rを生成する回路である。ここでは、電流源I1の電流がトランジスタMP2,MN1に電流I2としてミラーされ、トランジスタMP3,MN3に電流I3としてミラーされている。また、トランジスタMN1の電流I2がトランジスタMN2に電流I4としてミラーされている。さらに、トランジスタMN3から抵抗Raに流れる電流I3により参照電圧Vref_baseが作成される。この電流I3はトランジスタMN4,MN5にミラーされるので、そのトランジスタMN4,MN5のソースに、参照電圧Vref_baseに応じた参照電圧Vref_c,Vref_rが生成される。トランジスタMN2は、トランジスタMP4,MP5によって構成されるカレントミラー回路が正常動作するために付加する電流I4を供給するためのものである。充電動作はスイッチ切り替えのタイミング等があるため、常に行われているわけではない。被キャリブレーション抵抗Rx1が電流を引かないタイミングが生じるので、トランジスタMP4に要求される電流は鋸波状になり、一切電流を流さない状態と流す状態とを繰り返すと、正常なミラー動作を行われない。そこで、ある程度流している状態と多めに流す状態とを繰り返すよう、トランジスタMN2は一定のDC電流I4を付加する目的で設けているものである。また、ここで生成されるDC電流I4をキャンセルするための電流I4’を流すように、参照抵抗Rref1に抵抗R2を並列接続している。なお、請求項との関連では、平均化手段はトランジスタMP5(出力側トランジスタ)と、トランジスタMP6(第2の容量)で構成される。MP4は入力側のトランジスタである。
【0032】
図2の被キャリブレーション抵抗Rx1は、図1の被キャリブレーション抵抗Rx1と同じスイッチトキャパシタであり、可変容量Cx1と、サンプリングクロックφ1でオン/オフするスイッチSW1と、サンプリングクロックφ2でオン/オフするスイッチSW2とで構成され、トランジスタMN4のソースと接地との間に接続されている。参照抵抗Rref1は、トランジスタMN5のソースと接地との間に接続されている。
【0033】
比較器CP1は、PMOSトランジスタMP4,MP5とインバータINV1とで構成され、被キャリブレーション抵抗Rx1に流れる電流Ic11をカレントミラー接続のトランジスタMP4,MP5で電流Ic12にミラーして、その電流Ic12と参照抵抗Rref1を流れる電流Ir1と抵抗R2を流れる電流I4’とを用いて比較が行われる。Ic12<Ir1+I4’の場合に、トランジスタMP5とMN5の共通接続点の検出電圧VcはLレベルとなり、Ic12>Ir1+I4’の場合にHレベルとなり、それらの論理がインバータINV1で反転されて制御信号となる。なお、電流Ic11,Ic12は、トランジスタMP4,MP5のミラー比により調整が可能である。比較が完了すると、制御信号により被キャリブレーション抵抗Rx1の可変容量Cx1の値が変更され、変更された結果に基づいて再度比較が行われることが繰り返され、可変容量Cx1の値の検索が続けられる。そして、Ic12=Ir1+I4’となったとき、1/(Cx1・fs)=Rref1となる可変容量Cx1の容量値が決定される。
【0034】
ローパスフィルタLPF1は、ゲート容量を利用するPMOSトランジスタMP6と抵抗Rdによって構成される。可変容量Cx1に充電される電荷Qは、このローパスフィルタLPF1を介してDC電流へ均され、トランジスタMP5を介して電流Ic12として供給される。なお、前記比較の繰り返し周期は、このローパスフィルタLPF1の時定数よりも十分に大きな時間で行う必要がある。
【0035】
図3に、上記した被キャリブレーション抵抗Rx1の具体的な構成を示す。被キャリブレーション抵抗Rx1は、相補的動作する2個の被キャリブレーション抵抗Rx1aとRx1bにより実現される。抵抗Rx1aは、容量選択スイッチとしてのNMOSトランジスタMN11a1〜MN11anがそれぞれ直列接続されたn個の固定容量Cx1a1〜Cx1anと、サンプリングクロックφ1でオン/オフする充電用スイッチとしてのNMOSトランジスタMN12aと、サンプリングクロックφ2でオン/オフする放電用スイッチとしてのNMOSトランジスタMN13aとから構成される。また、抵抗Rx1bは、容量選択スイッチとしてのNMOSトランジスタMN11b1〜MN11bnがそれぞれ直列接続されたn個の固定容量Cx1b1〜Cx1bnと、サンプリングクロックφ2でオン/オフする充電用スイッチとしてのNMOSトランジスタMN12bと、サンプリングクロックφ1でオン/オフする放電用スイッチとしてのNMOSトランジスタMN13bとから構成される。
【0036】
以上により、固定容量Cx1a1〜Cx1an,Cx1b1〜Cx1bnは、互いに相補的に充放電が行われる。これは電荷Qを供給するフェーズを増やし、電流Ic11による電圧変動を抑制するためである。なお、抵抗Rx1aとRx1bの選択スイッチは、前記した比較結果(インバータINV1の出力論理)に応じて制御信号S11〜S1nで共通に制御され、これにより固定容量Cx1a1〜Cx1an,Cx1b1〜Cx1bnの接続個数が切り替えられ、固定容量Cx1a1〜Cx1anで決まる容量Cx1a、固定容量Cx1b1〜Cx1bnで決まる容量Cx1bの値が決定される。ここにおける被キャリブレーション抵抗Rx1へのサンプリングは、相補的に動作する。つまり、2・fsでサンプリングしていることと等価になり、見えているインピーダンスは同じまま、サンプリング回数が2倍となる。したがって、通常、Ic11=Cx1・Vref_c・fsとなるところを、相補にすることで、Q=Cx1・Vref_cの電荷を1秒間にfs回だけ充電する機構を2つ持つ。結果として、キャリブレーション抵抗Rx1によって生成される電流は、Ic11=2・Cx1・Vref_c・fsとなる。
【0037】
また、サンプリングクロックφ1,φ2は、図4に示すように、充放電フェーズが重ならないように生成されることが望ましい。サンプリングクロックφ1,φ2の遷移時に充放電が同時に行われる時間帯が存在すると、電荷Qを正しく生成できないためである。具体的には、例えば図5のような構成でサンプリングクロックφ1、φ2は生成できる。図5において、ナンド回路NAND1,NAND2は周波数fsのサンプリングクロックを遅延する遅延回路DLを構成し、アンド回路ANDはサンプリングクロックφ1を出力し、ノア回路NORはサンプリングクロックφ2を出力する。
【0038】
なお、前記したように、スイッチトキャパシタで実現される抵抗(Rx1)を参照抵抗とし、固定抵抗(Rref1)をキャリブレーションされる可変抵抗(被キャリブレーション抵抗)とする場合には、図3の固定容量Cx1a1〜Cx1anは1個の固定容量とし、Cx1b1〜Cx1bnも1個の固定容量とすればよい。
【0039】
ここで、理解を助けるため、図2のキャリブレーション回路について、実際に抵抗、容量の値を仮定して説明する。ミラー比は、MP1:MP2:MP3=1:1:1、MP4:MP5=2:1、MN1:MN2=1:4、MN3:MN4:MN5=1:4:4である。また、トランジスタMP6の容量は1.6pF、抵抗Rd=5kΩ、参照抵抗Rref1=2500Ω、R2=2500Ω、Ra=5kΩ、fs=100MHzである。
【0040】
電流I1=100μAは、トランジスタMP1〜MP3を介してI2=I3=100μAとしてミラーされる。ミラーされた電流はトランジスタMN1,MN2によりI4=400μAの定電流源として電圧Vref_cのノードに接続される。また、抵抗Raにより、電圧Vref_base=I3×Ra=500mVとなり、トランジスタMN3のゲート電圧は、500mV+Vth_MN3となる(Vth_MN3はトランジスタMN3の閾値である)。トランジスタMN3,MN4はゲート電圧が等しく、また牽引する電流量とトランジスタの比が等しいため、参照電圧Vref_cとVref_baseはDCでは等しい値(Vref_c=Vref_base)となる。また、参照電圧Vref_rについても、そこに流れる電流が400μAとなっていれば、等しい値をとる。しかしながら、スイッチSW1,SW2によるスイッチングの開始以前の状態では被キャリブレーション抵抗Rx1の可変容量Cx1による充放電が行われないため、参照抵抗Rref1に供給される電流圧は、400μA×1/2(トランジスタMP4,MP5のミラー比)=200μAとなる。この結果、検出電圧VcはLレベルに落ち着いている。
【0041】
ここで、被キャリブレーション抵抗Rx1の可変容量Cx1に参照電圧Vref_cを印加するスイッチSW1はfs=100MHzで動作する。なお、可変容量Cx1の構成は図3を想定し、容量値については制御信号により100ステップで3.5pF〜4.5pFの間を切り替えることが可能とする。まずCx1=3.5pFのときは、抵抗Rx1aの容量Cx1aと抵抗Rx1bの容量Cx1bは、1/fs=10nsの間に2度充電されるため、ローパスフィルタLPF1により均された電流として、Ic11=400μA+350μA、Ic12=200μA+175μAが流れる。なお、ローパスフィルタLPF1の時定数は5kΩ×1.6pF=8nsとなるので、電流Ic11がDC的に十分落ち着くまで、例えば80ns(50サイクル)程度は一評価に費やした方が良い。このとき、並列に接続したRref1とR2の合成抵抗値は1250Ωとなるので、電圧値としては、1250Ω×375μA=468.75mV(<Vref_base)となるので、検出電圧Vcは抵抗Rref1のパスに引かれLレベルのままである。
【0042】
実施例の場合、可変容量Cx1が最大4.5pF、クロックφ1,φ2が100MHzであるため、1/2サイクル=5nsでその可変容量Cx1である4.5pFを充電できれば良い。ここで、更にデューティ崩れに強いこと、実際の容量が変動すること、クロックに遅延素子を追加しその遅延変動があることを考慮して、例えば3nsで可変容量Cx1である4.5pFの充電が完了することを考えると、時定数τ=RCが3nsになるには、3ns=4.5pF×Rより、R≒667Ωとなる。時定数の考え方に従えば、この時点(この場合3ns)では約63%しか充電は完了していないことになることを考慮し、マージンを考えて、実際には時定数に換算して十倍程度の時間を確保することで充電が確実に完了するよう設計する。以上の要件を踏まえ、スイッチSW1のオン抵抗と、チャージする経路に存在するトランジスタMN4のインピーダンスも含めて、その合計の抵抗値が66.7Ω以下になるよう調整する。実際にトランジスタのオン抵抗でこれを実現する場合は、それよりも容易に低く抑えることができる。従って本発明のキャリブレーション回路は実現可能性は高い。また上記のように設計することにより、3nsで充放電が完了することが実現できるので、本実施例のようにクロックφ1,φ2が100MHzの周波数で動作させる場合には、すなわちデューティ崩れにより最大2ns程度充放電時間が削られても問題ない。実際にはさらに充放電時間を速くすることにより、デューティ崩れに対するマージンを増やすことも可能である。
【0043】
図12図13は、容量への電荷のチャージ、ディスチャージを制御するクロックの、デューティ比が変わったときの従来例と本発明の電荷の充放電の具体例である。ここで図12は従来例を、図13は本発明の場合を示し、それぞれ(a)はクロックのデューティ比が5:5の場合の容量への充放電を、(b)は同じくデューティ比6:4でチャージする期間が長くなった場合を示している。
【0044】
従来例の場合、定電流源で充電しているためにデューティ比が崩れるとその影響を受ける。すなわち、デューティ比が5:5からチャージする期間が長くなると、過充電が発生する。ここに示していないが、充電時間が短くなれば充電の不足が発生することになる。
【0045】
一方、本発明では、第1に容量に接続するDC電圧を定電圧にして過充電が発生しない回路構成とし、さらに第2に充電すべき時定数を小さくして充電時間の短縮を図っている。これによって、サンプリングクロックの周波数内で、しかもデューティ比によらずに目標とする充電量に対して過不足のない充電が可能となり、正しい電流量による容量と抵抗の比較を実現している。
【0046】
一評価が完了し、フラグに変化が無かった場合、制御信号を変化させ、次の評価を行う。今回は回路構成の簡素化を想定し、制御信号は評価の度にカウントアップし、容量Cx1の容量値を線形に増加させる構成とし、フラグがHレベルからLレベルに遥移した時点で、Rref1・Cx1・fs=一定値を達成するRC値を得たと判断する。
【0047】
順次評価を実行することで、Ic11=400μA+350μA→400μA+360μA→400μA+370μA→・・・と増加していき、Ic11=400μA+400μAとなった時点(Cx1=4pF)で、並列に接続した抵抗Rref1とR2の合成抵抗値は1250Ωとなるので、電圧値としては、1250Ω×400μA=500mV=Vref_baseとなり、ちょうど電流量が釣り合う。その後、容量値が増えると、電流Ic12が電流Ir1を上回るため、検出電圧VcがHレベルへと移行し、その結果、フラグがLレベルに遷移し、比較評価が完了する。
【0048】
上記条件の場合、
Rref1×Cx1=2500Ω×4pF
=10ns(fp=1/(2πRC))
=15.9MHz
程度にてフラグが反転することになる。抵抗値や容量値がプロセスのばらつきを持った場合、プロセスのばらつきによって参照抵抗Rref1の値や可変容量Cx1a,Cx1bの値が変動しでも、第1の実施例のRCキャリブレーション回路を利用することにより、前記のように、Rref1×Cx1×fs=一定となるようにキャリブレーションでき、つまりプロセスのばらつきの影響を受けない。さらに、実際に利用されるフィルタを構成する抵抗および容量も、キャリブレーション回路を構成する参照抵抗Rref1および可変容量Cx1と同一の半導体集積回路チップ内に集積されるため、参照抵抗Rref1および可変容量Cx1と共通の「プロセスのばらつき」の影響を受けて変動するため、フィルタのRC時定数も、キャリブレーション回路によるキャリブレーション結果に基づいて調整することにより、プロセスのばらつきの影響をうけない。なお、可変容量Cx1の値の変化のステップ幅を小さくすることで収束の精度を高くすることができ、また可変容量Cx1の値の変化のレンジを広くすることで、対応できるバラつき幅が広くなる。
【0049】
<第2の実施例>
図6に第2の実施例を示す。オペアンプOP1の反転入力端子に参照電圧Vref_cが入力され、出力端子にPMOSトランジスタMP21のゲートが接続されている。そして、そのトランジスタMP21のドレインが非反転入力端子に入力することで、その非反転入力端子が参照電圧Vref_cになるように制御される。また、トランジスタMP21のソース側には、トランジスタMP22,MP23からなるカレントミラー回路が接続され、そこには容量Cdと抵抗RdによるローパスフィルタLPF1が構成されている。そして、トランジスタMP23のドレインが参照抵抗Rref1と比較器CP1の非反転入力端子に接続されている。この比較器CP1の反転入力端子には電圧Vref_rが入力している。抵抗R1は、図2のトランジスタMN2と同様に、オペアンプOP1を安定駆動させるためのDC電流生成部であり、ここで生成されるDC電流をキャンセルするために、実施例1と同様に、参照抵抗Rref1には抵抗R2を並列接続している。
【0050】
第2の実施例では、トランジスタMP21,MP22のパスに、参照電圧Vref_cと抵抗R1によって流れるDC電流Iresと、被キャリブレーション抵抗Rx1の可変容量Cx1の充放電によって流れるAC電流Icapの合計電流I5(=Ires+Icap)が流れる。この電流I5はローパスフィルタLPF1によってフィルタリングされ、トランジスタMP23に、電流I6=K(Ires+Icap_integ)が流れる。Icap_integはIcapの積分電流、KはトランジスタMP22,MP23のカレントミラー比である。この電流I6は、参照抵抗Rref1と抵抗R2とに流れるが、比較器CP1にてVc=Vref_rのときに電流Iresがキャンセルされるよう、抵抗R2は設定される。検出電圧Vcは、電流I6と、参照抵抗Rref1および抵抗R2に流れる電流との大小関係によって決まる。この検出電圧Vcが比較器CP1によって電圧Vref_rと比較され、その比較結果に応じて、被キャリブレーション抵抗Rx1の可変容量Cx1の容量値が切り替えられる。
【0051】
<第3の実施例>
図7に第3の実施例を示す。図6と同じものには同じ符合を付けた。オペアンプOP2の反転入力端子に参照電圧Vref0が入力され、出力端子にPMOSトランジスタMP24のゲートが接続されている。そして、そのトランジスタMP24のドレインの電圧が非反転入力端子に入力することで、その非反転入力端子が電圧Vref0になるよう制御される。参照抵抗Rref0に電圧Vref0が印加することで流れるDC電流I7は、PMOSトランジスタMP25,MP26のカレントミラー回路でミラーされてトランジスタMP26,MN21に電流I8として流れる。一方、オペアンプOP1の側では、トランジスタMN21とカレントミラー接続の図6における抵抗R1としてのNMOSトランジスタMN22が接続されている。また、トランジスタMP23のドレインには、トランジスタMN21とカレントミラー接続される参照抵抗Rref1としてのトランジスタMN23と抵抗R2としてのトランジスタMN24のドレインが接続されている。そして、トランジスタMP23とMN23のドレイン共通接続点の検出電圧VcのLレベル/HレベルがインバータINV2によって識別されて、図6の回路と同様に、被キャリブレーション抵抗Rx1の可変容量Cx1の調整に使用される。
【0052】
なお、第2の実施例(図6)および第3の実施例(図7)は、第1の実施例(図1)とローパスフィルタを構成する抵抗Rdの挿入位置が異なっている。第1の実施例ではトランジスタMP5とMP4の共通ゲートとトランジスタMP4のドレインとの間に抵抗Rdが接続されているのに対して、第2および第3の実施例では、トランジスタMP22のゲートはトランジスタMP23のゲートと抵抗Rdによって隔てられている。この構成の違いによって第2および第3の実施では、第1の実施例に比べてカレントミラー回路の入力電流が揺れることがあるが、本発明の特性に大きく影響するものではなく、いずれの回路構成を採用しても問題はない。
【符号の説明】
【0053】
Rx1,Rx1a,Rx1b,Rx2:被キャリブレーション抵抗
Rref1,Rref2,Rref3:参照抵抗
Cx1:可変容量、Cs1、C1a11〜C1an,C1b11〜C1bn:固定容量
OP1,OP2:オペアンプ
CP1:比較器
Vref0,Vref_base,Vref_c、Vref_r:参照電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13