(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
(インナーライナー用ゴム組成物)
本発明に係るインナーライナー用ゴム組成物は、タイヤのインナーライナーを形成するためのインナーライナー用ゴム組成物であって、少なくともブチルゴムを含むゴム成分と、カシュー変性フェノール系樹脂およびトール油変性フェノール系樹脂のうち少なくとも一方と、を含むことを特徴とする。
これにより、未加硫ゴムの強度が向上して、加硫後のインナーライナーの耐空気透過性および耐クラック性を損なうことなく、未加硫ゴムを伸延した際に生じるゴム切れやシートの穴あき等の不具合や収縮を低減することができる。収縮(収縮率)が小さいほど製造時の収縮等に伴って生じる残留応力を低減することが可能となる。残留応力が小さいと、タイヤ成型時の作業性が高まり、歩留まりが高く、生産的である。
【0014】
本明細書において「クラック」とは、火気、オゾン、光熱、または繰り返しの屈曲あるいは伸縮およびそれらの相互の影響によってゴムの表面に生ずる割れ目をいい、空気入りタイヤについては、当該割れ目に加えて岩石、釘、ガラス等による走行中に生ずるタイヤのトレッド部やサイドウォール部の傷も含む。
本明細書において「グリーン」とは、「未加硫」を意味する。また、本明細書において「グリーンタイヤ」とは、成形しただけの未加硫のタイヤを意味する。
【0015】
以下、本発明に係るインナーライナー用ゴム組成物に含まれるゴム成分と、カシュー変性フェノール系樹脂およびトール油変性フェノール系樹脂と、その他の任意成分について説明する。
【0016】
<ゴム成分>
本発明において用いるゴム成分は、少なくともブチルゴムを含む。ブチルゴムとしては、適宜、従来公知の変性または未変性のブチルゴムを用いることができる。
前記ブチルゴムとしては、例えば、特許文献1に記載のムーニー粘度が40[ML
1+4(130℃)]以上の高粘度ブチルゴムが、低粘度ブチルゴムよりもグリーン伸びに優れることから好適に挙げられる。当該ムーニー粘度は、60[ML
1+4(130℃)]以下であることが、加工性の観点からより好ましい。
ここで、ムーニー粘度[ML
1+4(130℃)]は、JIS K6300−1(2001)に記載のムーニー粘度試験方法に基づき、温度130℃の条件で、L形ロータを用いて予熱時間1分、ロータ回転時間4分の条件で測定した粘度の値をいう。なお、値が大きいほど、高粘度である。
【0017】
前記変性ブチルゴムとしては、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、当該塩素化ブチルゴムおよび臭素化ブチルゴムをさらに変性したゴム等のハロゲン化ブチルゴム、などが挙げられる。前記塩素化ブチルゴムの市販品としては、例えば、エンジェイケミカル社製の「Enjay Butyl HT10−66」が挙げられる。また、前記臭素化ブチルゴム(高粘度ブチルゴム)の市販品としては、例えば、エクソン社製の「ブロモブチル2255」が挙げられ、前記臭素化ブチルゴム(低粘度ブチルゴム)の市販品としては、例えば、エクソン社製の「ブロモブチル2222」が挙げられる。
【0018】
前記ブチルゴム以外のゴム成分としては、特に限定されず、従来公知のゴム成分を用いることができるが、例えば、ジエン系ゴムが、耐クラック性の改良、隣接部材との耐はく離性、タイヤ成型時の作業性確保の観点から、好ましい。
ジエン系ゴムとしては、特に限定されず、例えば、天然ゴム(NR)、合成イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、などのジエン系ゴムを挙げることができる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、ジエン系ゴムとしては、NRが、耐クラック性の改良、隣接部材との耐はく離性、タイヤ成型時の作業性確保の観点からより好ましい。
【0019】
本発明のゴム成分は、少なくともブチルゴムを含む限り、特に限定されない。
ゴム成分として、ブチルゴムのみを含む場合、耐空気透過性に優れる。
また、ゴム成分として、ブチルゴムとジエン系ゴムとを含む場合、耐クラック性が高まることに加えて隣接部材との耐はく離性が良く、タイヤ成型時の作業性を確保することができる。
前記ゴム成分におけるブチルゴムの割合は、所望の性能等に応じて適宜調節すればよく、耐空気透過性を確保する観点から、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
【0020】
<カシュー変性フェノール系樹脂およびトール油変性フェノール系樹脂>
本発明に係るインナーライナー用ゴム組成物は、カシュー変性フェノール系樹脂およびトール油変性フェノール系樹脂のうち少なくとも一方を含むことにより、未加硫ゴムの強度が向上して、加硫後のインナーライナーの耐空気透過性および耐クラック性を損なうことなく、未加硫ゴムを伸延した際に生じるゴム切れやシートの穴あき等の不具合や収縮を低減することができる。
【0021】
本発明におけるフェノール系樹脂は、フェノール類とアルデヒド類を縮合させて得られる樹脂である。
前記フェノール類としては、特に限定されず、例えば、フェノール;o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール類;2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール類;o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール類;イソプロピルフェノール;ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール類;p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール類;フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール類;p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体;1−ナフトール、2−ナフトール等の1価のナフトール類;レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類;などが挙げられる。
前記アルデヒド類としては、特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルイルアルデヒド、サリチルアルデヒド、などが挙げられる。これらの中でも、ホルムアルデヒドおよびパラホルムアルデヒドから選ばれた1種以上のアルデヒド類を用いることが好ましい。ホルムアルデヒドおよびパラホルムアルデヒドから選ばれた1種以上のアルデヒドを用いることにより、変性フェノール系樹脂を効率よく得ることができる。
前記フェノール系樹脂としては、特に限定されず、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシンル−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール樹脂、などが挙げられる。
【0022】
前記フェノール系樹脂をカシュー変性またはトール油変性する方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、特開2007−2070号公報に記載の方法を用いることができる。
前記カシュー変性フェノール系樹脂およびトール油変性フェノール系樹脂は、市販品を用いてもよい。
前記カシュー変性フェノール系樹脂の市販品としては、例えば、住友ベークライト株式会社製のスミライトレジン(登録商標)PR−BSN−21(カシュー変性ノボラックフェノールホルムアルデヒド樹脂)、カシュー株式会社製のカシュー変性フェノール樹脂、旭有機材工業株式会社製のKG4700G、などが好適に挙げられる。
前記トール油変性フェノール系樹脂の市販品としては、例えば、住友ベークライト株式会社製のスミライトレジン(登録商標)PR−51587(トール油変性ノボラックフェノールホルムアルデヒド樹脂)、旭有機材工業株式会社製のAVライトレジンSP624、などが好適に挙げられる。
【0023】
本発明に係るインナーライナー用ゴム組成物は、カシュー変性フェノール系樹脂を含むことにより、ゴム相溶性を向上させることができる。また、トール油変性フェノール系樹脂を含むことにより、特に、ブチルゴムとのゴム相溶性を向上させることができる。上記の利点のいずれかを重視する場合等には、いずれか一方のみを含んでいてもよい。
【0024】
本発明に係るインナーライナー用ゴム組成物は、カシュー変性フェノール系樹脂およびトール油変性フェノール系樹脂のうち少なくとも一方を含めばよく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述したカシュー変性およびトール油変性以外の、不飽和油を用いて変性したフェノール系樹脂を含んでいてもよい。前記不飽和油としては、特に限定されず、例えば、アマニ油、リノール酸油、オレイン酸油、リノレン酸油、などが挙げられる。
【0025】
前記ゴム成分100質量部に対する、前記カシュー変性フェノール系樹脂およびトール油変性フェノール系樹脂の配合量の合計としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜10質量部であることが好ましく、1.2〜5質量部であることがより好ましい。
上記配合量の合計を10質量部以下とすることで、低温環境下でも柔軟性を確保し、インナーライナーへ適用した際の割れをさらに抑制することができ、さらに、当該配合量の合計を5質量部以下とすることで、耐クラック性を改良することもできる。また、上記配合量の合計を1質量部以上とすることで、作業性がさらに改良される。
【0026】
<任意成分>
本発明に係るインナーライナー用ゴム組成物には、必要に応じて適宜、従来公知の、無機粘土鉱物;カーボンブラック、シリカ等の充填剤;加硫剤;加硫促進剤;老化防止剤;スコーチ防止剤;亜鉛華;ステアリン酸;オイル;などの成分を配合してもよい。以下、本発明に係るインナーライナー用ゴム組成物に配合することが好ましい無機粘土鉱物について説明する。
【0027】
本発明に係るインナーライナー用ゴム組成物は、さらに、無機粘土鉱物を含むことが好ましい。前記無機粘土鉱物を含むことにより、耐空気透過性を向上し得る。
前記無機粘土鉱物としては、特に限定されず、従来公知のタイヤ用インナーライナー用ゴム組成物等のタイヤ用ゴム組成物に使用されている無機粘土鉱物を用いることができる。
前記無機粘土鉱物は、層状または板状であることが好ましい。このような無機粘土鉱物をゴム成分に配合することにより、特に押出または圧延工程において層構造を形成し、空気の透過経路を遮り、耐空気透過性を効果的に向上し得る。
このような層状または板状の無機粘土鉱物としては、特に限定されず、天然品および合成品のいずれであってもよく、例えば、カオリンクレー、クレー、マイカ、長石、シリカ、アルミナの含水複合体、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、耐空気透過性の確保、原材料価格および供給安定性の観点から、カオリン質クレーおよびセリサイト質クレーが好ましい。
前記無機粘土鉱物の平均粒子径は、タイヤの良好な耐クラック性を得る観点から、30μm以下が好ましい。
【0028】
無機粘土鉱物の配合量は、インナーライナーの耐空気透過性を十分に発揮する観点から、インナーライナー用ゴム組成物のゴム成分100質量部に対し、5質量部以上であることが好ましく、また、タイヤの良好な耐低温脆化性と耐クラック性を確保する観点から、ゴム成分100質量部に対し、200質量部以下であることが好ましい。無機粘土鉱物の配合量は、耐空気透過性と耐クラック性のバランスの観点から、5〜50質量部であることがさらに好ましい。
【0029】
(インナーライナー)
本発明に係るインナーライナーは、上記インナーライナー用ゴム組成物を用いたことを特徴とする。
本発明に係るインナーライナーは、加硫後の耐空気透過性および耐クラック性を損なうことなく、未加硫ゴムを伸延した際に生じるゴム切れやシートの穴あき等の不具合や収縮が低減される。
また、本発明に係るインナーライナーは、厚みを従来のインナーライナーよりも薄くすることができ、タイヤの軽量化を達成することができる。
インナーライナーの製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、前記インナーライナー用ゴム組成物をシート状に押出し、またはカレンダー処理して成形し、次いで、必要に応じて100〜200℃で1〜480秒間、加熱処理を行い、次いで、100〜190℃で加硫を行う方法が挙げられる。
【0030】
(空気入りタイヤ)
本発明に係る空気入りタイヤは、上記インナーライナーを具えることを特徴とする。
本発明に係る空気入りタイヤは、耐空気透過性および耐クラック性を損なうことなく、未加硫ゴムを伸延した際に生じるゴム切れやシートの穴あき等の不具合や収縮が低減される。
【0031】
図1は、本発明に係る空気入りタイヤの一例を示す部分断面図である。本発明に係る空気入りタイヤの一例では、ビードコア1の周りに巻回されてコード方向がラジアル方向に向くカーカスプライを含むカーカス2と、カーカス2のタイヤ内面側に配設されたインナーライナー3と、カーカス2のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配役された2枚のベルト層を有するベルト4と、ベルトの上部に配設されたトレッド部5と、トレッド部の左右に配置されたサイドウォール部6から構成されている。このような構成の空気入りタイヤにおいて、上記インナーライナー3に、上述した本発明に係るインナーライナーが用いられる。
本発明に係る空気入りタイヤは、さらに、上記インナーライナー3の厚みを薄くすることが可能なため、省資源化および低コスト化されたタイヤを提供することもできる。なお、インナーライナー3が複数枚のインナーライナー層からなる場合には、少なくとも1層のインナーライナー層に本発明のインナーライナー用ゴム組成物を用いればよい。
【実施例】
【0032】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0033】
(アマニ油変性フェノール樹脂の調製)
検討に用いたアマニ油変性フェノール樹脂は、以下の方法により調製した。
3Lの三口フラスコに、フェノール1000部、37%ホルマリン690部(反応モル比0.8)、アマニ油400部、硫酸10部を仕込み、100℃還流下で、1時間反応させた。続いて、5000Paで減圧蒸留しながら、190℃に昇温し、アマニ油変性フェノール樹脂を得た。
(リノール酸油変性フェノール樹脂、オレイン酸油変性フェノール樹脂、リノレン酸油変性フェノール樹脂の調製)
上記アマニ油変性フェノール樹脂の調製法において、アマニ油を、それぞれ、リノール酸油、オレイン酸油、リノレン酸油に変更した以外は、同様に反応を行い、リノール酸油変性フェノール樹脂、オレイン酸油変性フェノール樹脂、リノレン酸油変性フェノール樹脂をそれぞれ得た。
【0034】
実施例1〜12および比較例1〜6
表1に示す成分を配合して混練することにより、インナーライナー用ゴム組成物(以下、単に「ゴム組成物」ということがある)を得た。表1中の各成分の配合量は質量部を表す。そして、下記の方法により、各ゴム組成物の加硫物の空気透過係数、未加硫ゴムの強度を測定した。なお、未加硫ゴムの強度の測定と評価は、以下の破断伸び(グリーン伸び)、グリーンタイヤおよび収縮率の評価により行った。さらに、下記の方法により、各ゴム組成物の加硫物の耐クラック性を評価した。表1に合わせてこれらの評価結果を示す。
【0035】
(1)空気透過係数
各ゴム組成物を160℃で30分間加硫して得たサンプルについて、空気透過試験機M−C1(東洋精機株式会社製)を用いて、60℃での空気透過係数を測定した。なお、空気透過係数の数値が小さいほど、耐空気透過性に優れている。
【0036】
(2)未加硫ゴムの強度評価
(2−1)グリーン伸び
未加硫状態の前記ゴム組成物からJIS5号形(リング状)試験片を作製し、JIS K6301−1995に従って引張速度100mm/分で引張試験を行い、破断時の伸び率(%)(グリーン伸び)を測定した。なお、指数値が大きい程、未加硫ゴムの強度に優れている。
【0037】
(2−2)グリーンタイヤの評価
表1に示す組成のゴム組成物を用いて作製したインナーライナーを具えた試験タイヤ(グリーンタイヤ)を試作し、インナー割れ等の不具合の有無を目視観察にて調べ、AAA:非常に良好、AA:より良好、A:良好、B:標準の4段階で評価した。
【0038】
(2−3)収縮率
70℃のロールにて、1分間ロールを通すことにより厚み1.5mmのシートを作製し、このシートを300mmの長さで取り出し、温度25℃で24時間放置した後の当該シートの長さを測定し、当該測定値から算出される放置前後の収縮量を放置前のシート長さで除することにより、収縮率(%)を求めた。なお、値が小さい程、好ましい。
【0039】
(3)耐クラック性
JIS K6301−1995の屈曲試験法に準じて、(1)と同様に加硫して試験片を作製し、屈曲試験を行った。試験片に10mmのクラックが発生するまでの時間を測定し、比較例1の値を100として、各実施例および比較例のクラック発生時間を指数で示した。なお、値が大きい程、耐屈曲性に優れ、耐クラック性に優れていることを示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1中の*1〜*11の各成分の詳細は以下のとおりである。
*1高粘度変性ブチルゴム:エクソン社製高粘度ブチル(商品名ブロモブチル2255)
*2低粘度変性ブチルゴム:エクソン社製低粘度ブチル(商品名ブロモブチル2222)
*3トール油変性フェノールホルムアルデヒド樹脂:住友ベークライト株式会社製、商品名PR−51587
*4カシュー変性ノボラックフェノールホルムアルデヒド樹脂:住友ベークライト株式会社製、商品名スミライトレジン(登録商標)PR−BSN−21
*5フェノールホルムアルデヒド樹脂:住友ベークライト株式会社製、PR−50235
*6:上記方法で調製したアマニ油変性フェノール樹脂
*7:上記方法で調製したリノール酸油変性フェノール樹脂
*8:上記方法で調製したオレイン酸油変性フェノール樹脂
*9:上記方法で調製したリノレン酸油変性フェノール樹脂
*10カーボンブラック:旭#55 旭カーボン株式会社製
*11クレー:カオリンクレー J.M.Huber社製、商品名Polyfil DL
【0042】
表1から分かるように、変性フェノール樹脂を配合しなかった比較例1に比べて、アマニ油変性、リノール酸油変性、オレイン酸油変性、リノレン酸油変性のフェノール樹脂を用いた比較例3〜6では、グリーン伸びが低下した。
未変性フェノール樹脂を配合した比較例2は、比較例1に比べて未加硫ゴムの強度、耐クラック性は向上しているが、トール油変性またはカシュー変性のフェノール樹脂を用いた実施例1〜10では、さらに未加硫ゴムの強度が向上した。特に、グリーン伸びでは、比較例2は、比較例1に対して指数値で5%向上したが、実施例1〜10では、グリーン伸びの指数値が、比較例1に対して、5〜76%向上した。また、トール油変性またはカシュー変性のフェノール樹脂を1〜4質量部配合した実施例2〜4および8〜10では、耐クラック性が向上した。
ゴム成分として高粘度変性ブチルゴムまたは低粘度変性ブチルゴムのみを用いた実施例11および12でも、実施例1〜10と同様に、耐空気透過性を損なうことなく、グリーン伸びやグリーンタイヤの評価が向上し、収縮率が低下し、耐クラック性も向上した。