【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、被測定ガス中に含まれる微粒子に関する物理量を測定する微粒子測定装置であって、上記被測定ガスが流通する流通路に開口する吸気口から上記被測定ガスの一部であるサンプルガスを取り入れる吸気部と、清浄な希釈ガスを供給する希釈ガス路と、上記サンプルガスを上記希釈ガスと混合して希釈した希釈済みガス中の上記微粒子の上記物理量に対応する測定出力を得る測定部と、上記希釈ガス路から供給される上記希釈ガスの流量を規定する希釈ガス流量規定手段と、上記希釈ガス流量規定手段により上記希釈ガスの上記流量を変化させて、上記測定部で測定する上記希釈済みガスの希釈比を変動させる希釈比変調手段と、
前記測定部で得た前記測定出力に基づき、この測定出力が予め定めた範囲内の大きさになるように、前記希釈ガス流量規定手段を用いて、前記希釈ガスの前記流量をフィードバック制御する制御手段と、を備える微粒子測定装置である。
【0008】
前述したように、微粒子測定装置において、微粒子の物理量に対応する測定出力を得る測定部には、適切な測定出力を得て、適切に物理量を測定できる微粒子濃度についての許容域(測定可能域)があり、例えば、被測定ガスにおける微粒子濃度が高すぎる場合は、測定出力の値が上限に固定されて適切に物理量を測定できない。
これに対し、この微粒子測定装置では、吸気部で取り入れた被測定ガスの一部であるサンプルガスを清浄な希釈ガスで希釈した希釈済みガスを用い、測定部では、このガス中の微粒子の物理量に対応する測定出力を得る。
さらに、この微粒子測定装置は、希釈ガスの流量を規定する希釈ガス流量規定手段と、希釈済みガスの希釈比を変動させる希釈比変調手段とを備えている。
希釈済みガスの希釈比を変動させると、測定部で測定される希釈済みガスについての測定出力も変動する。このため、希釈済みガスの微粒子濃度が高すぎたり低すぎたりして、適切な測定出力が得られない場合でも、得られた測定出力の変動の様子を用いて、希釈比を上げるべきか下げるべきかを判断したり、または、好ましい希釈比の目安などを得たりすることができる。これにより、適切な測定出力が得られるように、希釈比を好ましい値に(手動調整または自動調整によって)調整して、適切な希釈比の選択を容易に行うことができる。
なお、希釈済みガスの希釈比は、サンプルガスに対する希釈ガスの体積流量比(希釈ガスの流量/サンプルガスの流量)で与える。また、希釈ガス流量規定手段は、例えば、圧力調整弁(レギュレータ)、流量計、マス・フロー・コントローラなどを用いた流量コントローラによって実現される。
また、この微粒子測定装置は、ディーゼルエンジン等の内燃機関の排気ガスに用いるほか、火力プラントまたは各種工業過程において煙突から排出される排出ガスなどの被測定ガスについての微粒子測定に用いることができる。
さらにこの微粒子測定装置では、測定部で得られる測定出力が、予め定めた範囲内の大きさになるように、希釈ガスの流量、従って希釈比をフィードバック制御する。これにより、測定部で上記範囲内の適切な測定出力が得られるように、希釈ガスの流量が調整され、希釈済みガスの希釈比を好ましい値またはその近傍に自動調整することが可能になるので、測定部での測定出力と希釈比から被測定ガスにおける微粒子に関する物理量(濃度、粒径など)を適切に測定することができる。
【0009】
さらに、上述の微粒子測定装置であって、前記希釈比変調手段は、前記希釈ガス流量規定手段により前記希釈ガスの前記流量を変化させて、前記希釈済みガスの前記希釈比を±20%未満の振幅で変動させる微粒子測定装置とすると良い。
【0010】
希釈比変調手段で希釈比を変動させるにあたり、この希釈比の変動幅を大きくしすぎると、測定部で得られる測定出力も大きく変動し、また、測定の上限を超えたり、下限を下回ったりしやすく、好ましくない。
これに対し、この微粒子測定装置では、希釈比変調手段は、希釈済みガスの希釈比を±20%未満の振幅で変動(振幅変調)させる。例えば、好ましい希釈比の目安が10倍であれば、これを8倍から12倍の範囲内で変動させ、また、好ましい希釈比の目安が5倍であれば、これを4倍から6倍の範囲内で変動させる。
これにより、希釈比を変動させても、測定部で得られる測定出力が、測定の上限を超えたり、下限を下回ったりするのが抑えられるので、測定部で適切な測定出力が取得可能となるように、適切な希釈比の選択を容易に行うことができる。
【0013】
さらに、上述のいずれかの微粒子測定装置であって、前記吸気部は、前記吸気口を通じて前記サンプルガスを取り入れる流入路と、上記流入路内に流入した上記サンプルガスの下流に向けて、上記サンプルガスの流れの周りを囲む環状に、前記希釈ガスを吹き出す環状吹き出し部と、を有し、前記希釈ガス路は、上記環状吹き出し部に接続されてなる微粒子測定装置とすると良い。
【0014】
この微粒子測定装置では、環状吹き出し部から、流入路内に流入したサンプルガスの下流に向けて、かつ、このサンプルガスの流れの周りを囲む環状に、希釈ガスを吹き出す。
これにより、サンプルガスの流れを加速して、吸気口から流入路内にサンプルガスを効率良く取り込むことができる。
【0015】
さらに、上述の微粒子測定装置であって、前記環状吹き出し部は、前記サンプルガスの流れを囲む環状の吹き出し口を有する微粒子測定装置とするのが好ましい。
【0016】
環状吹き出し部を、以上のような形態とすることにより、環状の希釈ガスの流れを適切に形成できる。
【0017】
また、前述の微粒子測定装置であって、前記環状吹き出し部は、前記サンプルガスの流れを囲む環状に配置された多数の吹き出し口を有する微粒子測定装置とするのが好ましい。
【0018】
また、前述の微粒子測定装置であって、前記環状吹き出し部は、前記サンプルガスの流れを囲む環状に配置され、前記希釈ガスを吹き出す通気性の多孔質材からなる吹き出し口を有する微粒子測定装置とするのが好ましい。
【0019】
環状吹き出し部は、前述の環状の吹き出し口のほか、以上のような形態とすることも可能である。
【0020】
さらに、上述のいずれかの微粒子測定装置であって、前記測定部は、前記希釈済みガス中の微粒子の少なくとも一部にイオンを付着させ帯電させて、帯電微粒子とする帯電化手段と、上記イオンのうち上記微粒子に付着していない浮遊イオンを除去する浮遊イオン除去手段と、上記希釈済みガスを前記流通路に排出する排出路と、上記希釈済みガスと共に上記排出路に排出される上記帯電微粒子によって運び去られる電荷量を測定する電荷量測定手段と、を備える微粒子測定装置とすると良い。
【0021】
この微粒子測定装置は、測定部が、帯電化手段と、浮遊イオン除去手段と、排出路と、電荷量測定手段とを備えており、この測定部で単位時間当たりの電荷量を得ることで、希釈済みガス中の微粒子濃度を得て、さらには、これと希釈比とを用いて被測定ガス中の微粒子濃度を得ることができる。