(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1倍速およびN倍速(ただし、Nは2以上の整数)にて画像を記録することができる画像記録装置において、多階調の元画像をN倍速描画用に網点化する際に前記元画像と比較されるN倍速用の閾値マトリクスであって、
請求項1ないし4のいずれかに記載の閾値マトリクス生成方法にて生成されたことを特徴とする閾値マトリクス。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る画像記録装置1の構成を示す図である。画像記録装置1は、長尺状の印刷用紙やフィルムである記録対象上に、インクジェット方式にてカラー印刷を行う装置である。記録対象は紙には限定されないが、以下、「記録用紙9」と呼ぶ。画像記録装置1では、例えば、複数のページに対応する記録用紙9上の複数の領域に画像が記録される。なお、画像記録装置1により、モノクロ印刷が行われてもよい。
【0024】
図1に示す画像記録装置1は、記録用紙9を
図1中の(−Y)方向に搬送しつつ記録用紙9上に画像を記録する本体10、および、本体10に接続されるコンピュータ5を備える。本体10は、インクの微小液滴を記録用紙9に向けて吐出する吐出部2、吐出部2の下方にて
図1中の(−Y)方向へと記録用紙9を移動する移動機構3、並びに、吐出部2および移動機構3に接続される本体制御部4を備える。
【0025】
移動機構3では、それぞれが幅方向に長い複数のローラ311がY方向に配列される。複数のローラ311の(+Y)側には、記録前の記録用紙9のロールを保持するとともに当該ロールから記録用紙9を(−Y)方向に送り出す供給部313が設けられる。複数のローラ311の(−Y)側には、記録用紙9の記録が行われた部位をロール状に巻き取って保持する巻取部312が設けられる。以下の説明では、単に記録用紙9という場合は搬送途上の記録用紙9(すなわち、複数のローラ311上の記録用紙9)を意味するものとする。移動機構3の一のローラ311aにはエンコーダ34が設けられ、エンコーダ34からのパルス信号に基づいて記録用紙9の(−Y)方向における移動速度が取得される。移動機構3は側壁部20に支持される。
【0026】
吐出部2は、記録用紙9を幅方向に跨ぐフレーム301に取り付けられる。吐出部2は、複数(本実施の形態では4個)のヘッド部を含む。複数のヘッド部はそれぞれC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の色のインクを吐出し、Y方向に配列される。
【0027】
図2の上段は1つのヘッド部23に含まれる吐出口241を示し、
図2の下段は吐出口241により記録用紙9上に形成されるドット91を示している。ただし、
図2では、実際にドットが形成されない場合にもドットを仮想的に図示している。また、
図2の上段では記録用紙9の吐出部2に対する移動方向(すなわち、Y方向であり、記録方向でもある。)を縦向きに図示しており、吐出口241の数は実際よりも少なく図示している。
【0028】
各ヘッド部23の底面には、複数(本実施の形態では4個)の吐出口列251,252,253,254が設けられ、各吐出口列251〜254は複数の吐出口241を上記移動方向に垂直かつ記録用紙9に沿う方向(
図1中のX方向であり、記録用紙9の幅に対応する方向であるため、以下、「幅方向」ともいう。)に一定のピッチP(以下、「吐出口ピッチP」という。)にて配列して有する。また、複数の吐出口列251〜254は移動方向(Y方向)に一定の間隔にて配列される。複数の吐出口列251〜254の移動方向の間隔、すなわち、
図2の上段にて符号Wを付す矢印にて示す間隔を、以下、「列間隔」という。また、
図2の上段に示す4個の吐出口列251〜254を(+Y)側から(−Y)方向に向かって順に第1ないし第4吐出口列とも呼ぶ。
【0029】
ヘッド部23では、幅方向のみに着目した場合に、一の吐出口列にて幅方向に互いに隣接する2つの吐出口の間には、他の3個の吐出口列のそれぞれの1つの吐出口が配置される。例えば、最も(+Y)側の第1吐出口列251において、
図2の上段にて符号241aを付す吐出口と符号241bを付す吐出口との間の中央には、(+Y)側から2番目の第2吐出口列252に含まれる1つの吐出口241cが配置される。また、吐出口241aと吐出口241cとの間の中央には(+Y)側から3番目の第3吐出口列253に含まれる1つの吐出口241dが配置され、吐出口241cと吐出口241bとの間の中央には最も(−Y)側の第4吐出口列254に含まれる1つの吐出口241eが配置される。
【0030】
このように、ヘッド部23では、複数の吐出口列251〜254が吐出口241の位置を幅方向にずらしつつ移動方向に配列されることにより、幅方向に多数の吐出口241が一定のピッチ(正確には、各吐出口列251〜254における吐出口ピッチPの1/4のピッチ)にて配列され、
図2の下段に示すように、記録用紙9上の移動方向の各位置にて、幅方向に一列に並ぶ複数のドット91の形成が可能とされる。
【0031】
画像記録装置1では、複数の吐出口241は、記録用紙9上において幅方向に配列される複数の描画位置にそれぞれドット91を描画する複数のドット出力要素である。また、移動機構3は、記録用紙9上の上記複数の描画位置を移動方向に記録用紙9に対して相対的に移動させる機構である。
【0032】
ヘッド部23では各吐出口241に対して圧電素子が設けられており、圧電素子を駆動することにより各吐出口241からインクの微小液滴が記録用紙9に向けて吐出される。実際には、複数の吐出口241は幅方向に関して記録用紙9上の記録領域の幅全体に亘って並んでおり、ヘッド部23が記録用紙9上の各位置を1回だけ通過することにより画像の記録が行われる。換言すれば、画像記録装置1ではシングルパス方式にて高速な画像記録が可能である。なお、本実施の形態では、複数の吐出口列251〜254が一体的に形成されたヘッド部23が設けられるが、1または数個の吐出口列が一体的に形成されたヘッド要素をX方向およびY方向に配列することにより、ヘッド部23が構築されてもよい。
【0033】
図3は本体制御部4の機能構成を示すブロック図である。本体制御部4は、移動機構3の駆動制御を行う駆動機構制御部41、移動機構3のエンコーダ34からのエンコーダ信号が入力されるとともにヘッド部23の吐出口241からの微小液滴の吐出のタイミングを制御するタイミング制御部42、インターフェイス(I/F)を介してコンピュータ5に接続されるとともにヘッド部23に微小液滴の吐出に係る動作を指示する信号を入力する駆動信号生成部43、および、本体制御部4の全体制御を担う全体制御部44を備える。
図3では図示の便宜上1つのヘッド部23のみを示しているが、実際には、駆動信号生成部43から複数のヘッド部23に信号が入力される。以下、1つのヘッド部23に着目して説明を行うが、他のヘッド部23においても同様の処理が行われる。
【0034】
駆動信号生成部43は、コンピュータ5から入力される記録予定の元画像のデータ(以下、「元画像データ」という。)から実際の画像記録動作に従った処理済画像データを生成する画像データ処理部431、ヘッド部23に接続されるヘッド制御部432、画像データ処理部431から入力される処理済画像データに基づいてヘッド部23用の描画信号を生成する描画信号生成部433、および、画像メモリ434を有する。
【0035】
駆動信号生成部43における基本的な処理では、ヘッド制御部432においてヘッド部23の複数の吐出口241のそれぞれに対して設けられるレジスタに、処理済画像データに基づいて微小液滴の吐出の要否を指示する値(描画信号の値)が入力される。ヘッド制御部432では、各吐出口列251〜254の複数の吐出口241に対するレジスタの値に応じた信号の集合が、駆動信号としてヘッド部23へと入力される。これにより、各吐出口列251〜254において、対応するレジスタに微小液滴の吐出動作(描画)を指示する値が入力されていた吐出口241では微小液滴の吐出が行われ、非描画を指示する値が入力されていた吐出口241では非描画時の動作(例えば、吐出口241から微小液滴が吐出されない程度の微小な振動運動)が行われる。
【0036】
このように、処理済画像データに基づく駆動信号生成部43からの駆動信号の入力により、各吐出口241に対して微小液滴の吐出または非描画時の動作のいずれかである吐出動作を実行させる駆動制御が、ヘッド部23の各吐出口列251〜254において同時に行われる。
【0037】
本実施の形態にて用いられるヘッド部23では、一般的なインクジェット方式のヘッドと同様に、高精度な画像記録を実現するための定格の値として駆動信号の入力の周期(以下、定格の周期を「基本周期」という。)が定められており、実際の画像記録動作では、吐出口列251〜254毎に基本周期(ただし、実用上、±数パーセント(%)の範囲内でのずれは許容される。)にて吐出動作が繰り返される。
【0038】
図4は、画像記録装置1における画像記録動作の流れを示す図である。画像記録装置1では、標準描画、および、標準描画よりも高速な高速描画が選択可能であり、ここでは、標準描画が操作者により選択されて、標準描画を示す入力がコンピュータ5にて受け付けられる(ステップS10)。元画像データは、コンピュータ5から予め入力されて画像メモリ434に記憶されている。標準描画が選択されたことが確認されると(ステップS11)、画像メモリ434から元画像データが読み出され、画像データ処理部431の網点化部452が多階調の元画像を網点化した網点画像を示す網点画像データを生成する。さらに、画像データ処理部431では、網点画像データから実際の画像記録動作に従った処理済画像データが生成される(ステップS12a)。
【0039】
処理済画像データが生成されると(または、処理済画像データの一部が生成されると)、駆動機構制御部41が移動機構3を駆動することにより記録用紙9の移動が開始され(ステップS13a)、記録用紙9が一定の速度(後述の標準速度)にて移動する。そして、吐出部2の記録用紙9に対する相対移動に並行してタイミング制御部42が吐出タイミング信号を基本周期にて繰り返し出力し、吐出タイミング信号が入力される毎にヘッド制御部432がヘッド部23に駆動信号を出力して吐出動作が繰り返し行われる(すなわち、標準描画が行われる。)(ステップS14a)。
【0040】
以上のように、駆動機構制御部41、タイミング制御部42、ヘッド制御部432および全体制御部44が、記録用紙9上の複数の描画位置の当該記録用紙9に対する相対移動に並行して、ヘッド部23用の処理済みの網点画像データに基づいて複数のドット出力要素を含むヘッド部23の出力制御を行う制御部として機能する。
【0041】
ここで、
図2のヘッド部23では、移動方向に関して互いに隣接する吐出口241の中心間距離である列間隔Wが、基本周期の間にヘッド部23が記録用紙9に対して相対的に移動する距離の整数倍(本実施の形態では、8倍)となる記録用紙9の移動速度(以下、「標準速度」といい、1倍速を意味する。)が予め決定されており、標準描画では、この標準速度にて記録用紙9を移動方向に連続的に移動しつつ4個の吐出口列251〜254において全吐出口241の吐出動作が基本周期にて同時に行われる。これにより、非描画時の動作が行われる場合も仮想的なドット形成動作とみなすと、4個の吐出口列251〜254により幅方向に一列に並ぶ複数のドットを形成するためのドット形成動作が行われる。
【0042】
なお、標準速度にて記録用紙9を移動方向に移動しつつ4個の吐出口列251〜254において吐出動作を基本周期にて同時に行うことにより記録される画像の移動方向の解像度(すなわち、単位距離当たりのドット数であり、例えば、dpi(dot per inch)にて表される。)は、ヘッド部23の定格の標準解像度として予め決定されている。また、記録される画像の幅方向の解像度は、各吐出口列251〜254における吐出口ピッチPの1/4のピッチ(すなわち、幅方向のドット間距離)の逆数に相当する値となる。
【0043】
そして、画像の全体が記録用紙9上に記録されると、記録用紙9の移動が停止され、画像記録装置1における標準描画が終了する(ステップS15a)。
【0044】
次に、
図4のステップS10にて高速描画が選択された場合について説明する。画像記録装置1では、標準速度をヘッド部23の吐出口列251〜254の数の約数倍した速度にて記録用紙9を移動しつつ記録を行うことが可能である。
図4のステップS10にて高速描画を選択する際には、吐出口列251〜254の数の約数(ただし、1を除く。)の1つが倍速値として操作者によりさらに選択される。選択された倍速値(以下、「選択倍速値」という。)を示す入力はコンピュータ5にて受け付けられ、選択倍速値が
図3の本体制御部4の全体制御部44に入力される。ここでは、吐出口列251〜254の個数4の約数の1つである「2」が選択倍速値として選択されたものとする。
【0045】
選択倍速値を2とする高速描画(以下、「2倍速描画」とも呼ぶ。)が選択されたことが確認されると(ステップS11)、全体制御部44の演算部441では、選択倍速値に対応する各パラメータの値が駆動機構制御部41、タイミング制御部42および駆動信号生成部43に入力される。続いて、画像データ処理部431では、元画像から2倍速描画用の処理済画像データが生成される(ステップS12b)。なお、
図4中のステップS12b,S13bでは、選択倍速値をN(ただし、Nは2以上の整数)として一般化した処理の内容を示している。
【0046】
画像データ処理部431にて処理済画像データが生成されると(または、処理済画像データの一部が生成されると)、記録用紙9の移動が開始され(ステップS13b)、記録用紙9が標準速度に選択倍速値を乗じた一定の速度(本動作例では、標準速度の2倍の速度)にて移動する。そして、吐出部2の記録用紙9に対する相対移動に並行してヘッド部23における吐出動作が繰り返し行われる(すなわち、高速描画が行われる。)(ステップS14b)。
【0047】
詳細には、エンコーダ34からの出力に基づいて記録用紙9上の所定の記録開始位置近傍が最も(+Y)側の第1吐出口列251(
図2の上段参照)の下方(−Z側)に到達するのと同時に、タイミング制御部42から第1および第2吐出口列251,252に対する吐出タイミング信号が駆動信号生成部43および全体制御部44に出力され、続いて、第3および第4吐出口列253,254に対する吐出タイミング信号が出力される。
【0048】
図5は、記録用紙9上に配列設定された複数の描画位置の一部を細線の矩形にて図示したものである。ここで、描画位置は吐出口241からのインクの微小液滴の吐出によりドットが形成される位置の最小単位である。描画位置の幅方向(X方向)のピッチは、
図2に示す各吐出口列251〜254の吐出口ピッチPの1/4に等しい。以下の説明では、幅方向に並ぶ描画位置の集合を描画位置列A1〜A6という。本実施の形態では、描画位置の移動方向(Y方向)のピッチは、第1ないし第4吐出口列251〜254の列間隔Wを8で除した値に等しい。すなわち、
図5の描画位置の配列は標準描画にてドットが描画される位置の配列と同じである。
【0049】
描画位置列A1では、第1吐出口列251により4個の描画位置毎にドットが描画され、また、第1吐出口列251により描画された互いに隣接するドット間の中央に、第2吐出口列252によりドットが描画される。換言すれば、描画位置列A1では、1つ置きに存在する描画位置に対して第1および第2吐出口列251,252によりドットが交互に描画される。
図5では、ドットが描画される描画位置に平行斜線を付す(
図6においても同様)。描画位置列A2では、第3吐出口列253により4個の描画位置毎にドットが描画され、また、第3吐出口列253により描画された互いに隣接するドット間の中央に、第4吐出口列254によりドットが描画される。換言すれば、描画位置列A2では、1つ置きに存在する描画位置に対して第3および第4吐出口列253,254によりドットが交互に描画される。
【0050】
描画位置列A3,A5における描画は、描画位置列A1における描画と同様であり、描画位置列A4,A6における描画は、描画位置列A2における描画と同様である。これにより、各描画位置列A1〜A6において、吐出動作が行われる描画位置が1つ置き(すなわち、N−1個置き)に存在するとともに、移動方向に一列に並ぶ描画位置の集合においても吐出動作が行われる描画位置が1つ置きに存在することとなる。すなわち、吐出動作が行われる描画位置がチェッカーボード状(市松模様状)に配置される。
【0051】
上述のステップS12bでは、
図3のサイズ変更部451により、例えば、元画像において幅方向に対応する方向に並ぶ複数の画素にて、互いに隣接する2つの画素の画素値の平均が求められ、あるいは、1つ置きに存在する画素が抽出される。これにより、元画像の幅方向に対応する方向の大きさ(画素数)が、選択倍速値に従って1/2の大きさ(元の大きさを選択倍速値で除した大きさ)に変更される。また、既述のように、ステップS14bの処理では、ドットの描画が、幅方向において1つ置きに存在する描画位置に対して行われる。したがって、2倍速描画にて記録される画像は、標準描画にて記録される画像と同じ大きさとなる。そして、画像の全体が記録用紙9上に記録されると、記録用紙9の移動が停止され、画像記録装置1における2倍速描画が終了する(ステップS15b)。
【0052】
画像記録装置1では、
図4のステップS10にて他の選択倍速値が選択され、N倍速描画が行われる場合は、各描画位置列A1〜A6(
図5参照)において、吐出動作が行われる描画位置が(N−1)個置きに1つ存在するとともに、移動方向に一列に並ぶ描画位置の集合においても吐出動作が行われる描画位置が(N−1)個置きに1つ存在することとなる。例えば、Nが4である場合の描画位置は、
図6に示すように、描画位置列および移動方向に一列に並ぶ描画位置の集合の双方において、3個置きに1つ存在する。
【0053】
次に、網点化部452の動作、および、網点化部452にて使用される閾値マトリクスの生成について説明する。
【0054】
図7は、網点化部452およびコンピュータ5の機能構成を周辺の機能構成と共に示すブロック図である。コンピュータ5の機能としては、網点化に関する部分のみを示している。コンピュータ5は、
図8に示すように、各種演算処理を行うCPU501、基本プログラムを記憶するROM502、および、各種情報を記憶するRAM503をバスラインに接続した一般的なコンピュータシステムの構成となっている。バスラインにはさらに、網点化(ハーフトーン化)されるカラーの画像の元画像のデータを記憶する画像メモリ504、情報記憶を行う固定ディスク505、各種情報の表示を行うディスプレイ506、操作者からの入力を受け付けるキーボード507aおよびマウス507b、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体90から情報の読み取りを行ったり記憶媒体90に情報の書き込みを行う読取/書込装置508、並びに、本体制御部4や他の装置と通信を行う通信部509が、適宜、インターフェイス(I/F)を介する等して接続される。
【0055】
コンピュータ5には、事前に読取/書込装置508を介して記憶媒体90からプログラム900が読み出され、固定ディスク505に記憶される。そして、RAM503や固定ディスク505を作業領域としてCPU501がプログラム900に従って演算処理を実行することにより(すなわち、コンピュータがプログラムを実行することにより)、コンピュータ5が、元画像の網点化に用いられる閾値マトリクス(ディザマトリクスとも呼ばれる。)を生成する閾値マトリクス生成装置としての処理を行う。閾値マトリクスおよび画像メモリ504に記憶されている元画像のデータは、通信部509を介して本体制御部4に転送される。
【0056】
図7中のコンピュータ5に示す描画要素設定部51、出現番号割り当て部52、閾値決定部53およびエリア設定部54は、コンピュータ5により実現される機能である。一方、網点化部452は、複数の色成分の閾値マトリクスをそれぞれ記憶するメモリである複数のマトリクス記憶部461(SPM(Screen Pattern Memory)とも呼ばれる。)、および、多階調の元画像と閾値マトリクスとを色成分毎に比較する比較器462(すなわち、網点化回路)を含む。
【0057】
コンピュータ5の機能は専用の電気的回路により実現されてもよく、部分的に専用の電気的回路が用いられてもよい。また、網点化部452を含む画像データ処理部431の機能も同様に、コンピュータにより実現されてもよく、適宜専用の電気的回路が利用されてもよい。本体制御部4の他の機能構成に関しても同様である。
【0058】
図9は、
図4中のステップS12a,S12bにおける処理済画像データの生成の流れを示す図である。網点化部452では、予め元画像の網点化に必要な閾値マトリクスが、マトリクス記憶部461に記憶されて準備される(ステップS21)。閾値マトリクスとしては、標準および各倍速記録に対応するものが元画像の色成分毎に準備される。以下の説明では一の色成分用の閾値マトリクスのみについて着目するが、他の色用の閾値マトリクスについても同様である。
【0059】
既述のように、標準描画が行われる場合は、元画像のサイズ変更は行われず、N倍速描画が行われる場合は、
図7に示す画像メモリ434に記憶されている元画像のサイズが、サイズ変更部451により変更される(ステップS22)。また、元画像の変更後のサイズに対応する閾値マトリクスが選択される(ステップS23)。そして、比較器462により、元画像と選択された閾値マトリクスとが比較されることにより、網点画像データが生成される(ステップS24)。必要に応じてサイズ変更が行われた元画像と、この元画像のサイズに合わせた閾値マトリクスとを利用することにより、N倍速描画時の演算量を削減することができる。
【0060】
図10は、閾値マトリクス81および元画像70を抽象的に示す図である。閾値マトリクス81では、幅方向に対応する行方向、および、移動方向(記録方向)に対応する列方向に複数の要素が配列される。
図10中において、閾値マトリクス81の行方向および列方向は、それぞれx方向およびy方向として示される(
図12ないし
図15においても同様)。元画像70においても、幅方向に対応する方向、および、移動方向に対応する方向に、複数の画素が配列されている(後述の網点画像において同様)。以下、元画像70における幅方向および移動方向にそれぞれ対応する方向を、閾値マトリクス81と同様に、行方向および列方向と呼ぶ。元画像は、例えば、0〜255までの階調値にて表現される。もちろん、さらに多くの階調値が利用されてもよい。
【0061】
元画像70の網点化の際には、
図10に示すように元画像70を同一の大きさの多数の領域に分割して網点化の単位となる繰り返し領域71が設定される。元画像70がサイズ変更されたものである場合は、繰り返し領域71のサイズも変更されたもにとなる。各マトリクス記憶部461は1つの繰り返し領域71に相当する記憶領域を有し、この記憶領域の各アドレス(座標)に閾値が設定されることにより閾値マトリクス81を記憶している。そして、概念的には元画像70の各繰り返し領域71と選択された閾値マトリクス81とを重ね合わせ、繰り返し領域71の各画素の当該色成分の画素値と閾値マトリクス81の対応する閾値とが比較されることにより、記録用紙9上のその画素の位置に描画(当該色のドットの形成)を行うか否かが決定される。
【0062】
実際には、
図7の比較器462が有するアドレス発生器からのアドレス信号に基づいて元画像70の1つの画素の画素値が取得される。一方、アドレス発生器では元画像70中の当該画素に相当する繰り返し領域71中の位置を示すアドレス信号も生成され、閾値マトリクス81における1つの閾値が特定されてマトリクス記憶部461から読み出される。そして、画素値とマトリクス記憶部461からの閾値とが比較器462にて比較されることにより、2値の網点画像(出力画像)におけるその画素の位置(アドレス)の画素値が決定される。
【0063】
一の色成分に着目した場合に、
図10に示す多階調の元画像70において、画素値が閾値マトリクス81の対応する閾値よりも大きい位置には、例えば、画素値「1」が付与され(すなわち、ドットが置かれ)、残りの画素には画素値「0」が付与される(すなわち、ドットは置かれない)。このようにして、網点化部452では、多階調の元画像70と閾値マトリクス81とが比較されることにより、元画像70が網点化された網点画像データが生成される。網点化部452は、網点画像データを生成する画像データ生成部である。
【0064】
網点画像データは、上述の吐出口列251〜254(
図2参照)毎のデータに割り振られる。そして、割り振られた網点画像データに対し、実際の画像記録動作に対応する処理が行われることにより、処理済画像データが生成される(ステップS25)。
【0065】
次に、N倍速用(ただし、Nは2以上の整数)の閾値マトリクスを生成する処理について、
図11.Aおよび
図11.Bを参照しつつ説明する。ここでは、Nが2である場合、すなわち、2倍速描画に用いられる閾値マトリクスの生成を例示する。
【0066】
コンピュータ5では、標準描画の際の1つの繰り返し領域71に対応する記憶領域がマトリクス空間として準備される(ステップS31)。マトリクス空間は、画像記録装置1における移動方向(記録方向)に対応する列方向および列方向に垂直な行方向に配列されたマトリクス要素の集合である。各マトリクス要素には、1つの閾値が記憶可能である。マトリクス空間に閾値を設定したものが、閾値マトリクスである。
【0067】
続いて、
図7に示す描画要素設定部51により、
図12に示すように、マトリクス空間80に含まれる全マトリクス要素の一部が描画要素811として設定され、他のマトリクス要素、すなわち、描画要素811を除くマトリクス要素が非描画要素812として設定される(ステップS32)。
図12では、描画要素811に平行斜線を付す。描画要素811は、N倍速描画時において、記録用紙9上の描画可能位置、すなわち、ドットが記録可能な描画位置に対応するマトリクス要素である。非描画要素812は、N倍速描画において、記録用紙9上における描画不能位置、すなわち、ドットが記録不可能な描画位置に対応するマトリクス要素である。描画要素811は、マトリクス空間80の列方向に関して(N−1)個置きに1つ、かつ、行方向に関して(N−1)個置きに1つ位置する。ここでは、Nが2であるため、描画要素811および非描画要素812は、
図12に示すように、チェッカーボード状に列方向および行方向に1要素置きに設定される。なお、マトリクス空間80の準備と、描画要素811および非描画要素812の設定とは、実質的に並行して行われてもよい。
【0068】
次に、
図7に示すエリア設定部54により、
図13に示すように、マトリクス空間80においておよそ均一に分布する複数の第1部分エリア831の集合である第1エリア821が設定される。
図13では、各第1部分エリア831を太線にて囲む。各第1部分エリア831は、複数の描画要素811を含む。複数の第1部分エリア831は互いに同じ大きさ、かつ、同形状であり、マトリクス空間80において規則的に配置される。
図13に示す例では、各第1部分エリア831は、1辺が4個のマトリクス要素からなる正方形の領域である。各第1部分エリア831は、16個のマトリクス要素、すなわち、8個の描画要素811および8個の非描画要素812を含む。
【0069】
また、エリア設定部54により、マトリクス空間80の第1エリア821を除く領域である第2エリア822が設定される(ステップS33)。第2エリア822は、第1エリア821と同様に、マトリクス空間80においておよそ均一に分布する複数の第2部分エリア832の集合である。複数の第2部分エリア832は互いに同じ大きさ、かつ、同形状であり、マトリクス空間80において規則的に配置される。
図13に示す例では、各第2部分エリア832は、第1部分エリア831と同様に、1辺が4個のマトリクス要素からなる正方形の領域である。各第2部分エリア832は、16個のマトリクス要素、すなわち、8個の描画要素811および8個の非描画要素812を含む。すなわち、各第1部分エリア831および各第2部分エリア832は、互いに同じ大きさであり、かつ、同形状である。
【0070】
図13に示す例では、第1エリア821は8個の第1部分エリア831を含み、第2エリア822は8個の第2部分エリア832を含む。複数の第1部分エリア831と複数の第2部分エリア832とは、行方向であるx方向に平行に交互に配列されるとともに、列方向であるy方向に平行に交互に配列される。換言すれば、複数の第1部分エリア831、および、複数の第2部分エリア832が、チェッカーボード状(市松模様状)に配置される。
【0071】
次に、
図7に示す出現番号割り当て部52により、描画要素811への出現番号の割り当てが行われる。出現番号とは、元画像の階調値の上昇に伴って出現するドットの描画位置の順番である。まず、出現番号割り当て部52は、第1エリア821内の任意の1つの描画要素811に最初の出現番号を割り当てる(ステップS34)。以下、出現番号が決定された描画要素811を「決定済み要素」と呼び、出現番号が未決定の描画要素811を「未決定要素」と呼ぶ。
【0072】
1つの描画要素811が決定済み要素とされると、決定済み要素から最も離れた1つの未決定要素が第1エリア821内において特定され、当該未決定要素に次の出現番号が割り当てられて決定済み要素に変更される(ステップS35)。このとき、元画像70の網点化時の閾値マトリクス81の反復適用が考慮され(
図10参照)、マトリクス空間80の周囲の8近傍のマトリクス空間80内にも決定済み要素が同様に存在するものとして評価値の演算が実行される。
【0073】
出現番号割り当て部52では、元画像70の網点化時の閾値マトリクス81の反復適用を考慮しつつ、全ての決定済み要素からの距離に基づいて、当該全ての決定済み要素から最も離れた未決定要素が第1エリア821内において特定され、特定された未決定要素に次の出現番号が割り当てられて決定済み要素に変更する処理が繰り返される。これにより、
図14中において塗りつぶして示すように、各第1部分エリア831において、所定の数(以下、「第1最小要素数」という。)の描画要素811が決定済み要素813に変更される(ステップS36)。
【0074】
第1最小要素数は2以上の整数であり、
図14に示す例では、第1最小要素数は4である。すなわち、ステップS34〜S36において、各第1部分エリア831にて決定済み要素813に変更される描画要素811の数は、4個であり、各第1部分エリア831に含まれる全ての描画要素811の数(8個)よりも少ない。各第1部分エリア831にて決定済み要素813に変更される描画要素811の数は、各第1部分エリア831に含まれる全ての描画要素811の数の50%である。
【0075】
続いて、元画像70の網点化時の閾値マトリクス81の反復適用を考慮しつつ、全ての決定済み要素813からの距離に基づいて、当該全ての決定済み要素813から最も離れた未決定要素が特定され、特定された未決定要素に次の出現番号が繰り返し割り当てられる。これにより、第2エリア822内において1つ以上の描画要素811に出現番号が割り当てられて決定済み要素813に変更される。具体的には、
図15中において塗りつぶして示すように、各第2部分エリア832において、所定の数(以下、「第2最小要素数」という。)の描画要素811に出現番号が割り当てられて決定済み要素813に変更される(ステップS37,S38)。
【0076】
第2最小要素数は1以上の整数であり、
図15に示す例では、第2最小要素数は4である。すなわち、ステップS37,S38において、各第2部分エリア832にて出現番号が割り当てられて決定済み要素813に変更される描画要素811の数は、4個であり、各第2部分エリア832に含まれる全ての描画要素811の数(8個)よりも少ない。各第2部分エリア832にて決定済み要素813に変更される描画要素811の数は、各第2部分エリア832に含まれる全ての描画要素811の数の50%である。第2最小要素数は、好ましくは、第1最小要素数に等しい。
【0077】
その後、上記と同様に、元画像70の網点化時の閾値マトリクス81の反復適用を考慮しつつ、全ての決定済み要素813からの距離に基づいて、当該全ての決定済み要素813から最も離れた未決定要素が特定され、特定された未決定要素に次の出現番号が繰り返し割り当てられる。これにより、他の描画要素811(すなわち、第1エリア821および第2エリア822の全ての未決定要素)が決定済み要素813に変更される(ステップS39,S40)。
【0078】
ステップS35〜S40における全ての決定済み要素から最も離れた1つの未決定要素の特定は、所定の評価関数により求められる評価値に基づいて行われる。以下、評価値の算出の一例について説明する。n番目の出現番号が割り当てられる描画要素811を求める際において、マトリクス空間80内の座標(xd,yd)の未決定要素の評価値Ed
n(xd,yd)は、中央のマトリクス空間80およびこのマトリクス空間80の8近傍に想定されるマトリクス空間80の番号をrとし、r番目のマトリクス空間80内のm番目の出現番号が割り当てられた決定済み要素のx方向およびy方向の位置(座標値)をそれぞれxd
mrおよびyd
mrとして、数1により求められる。ただし、数1において、nおよびrは0から始まる。また、数1中のBは、特定される未決定要素を第1エリア821または第2エリア822に偏らせるための重み係数である。換言すれば、重み係数Bは、第1エリア821内の未決定要素、または、第2エリア822内の未決定要素を優先的に特定して決定済み要素に変更するための係数である。
【0080】
実際には、数1の評価関数において、r番目のマトリクス空間80内のm番目の決定済み要素のx方向の位置xd
mrは、中央のマトリクス空間80内における対応する決定済み要素のx方向の位置に、マトリクス空間80の番号に応じて(すなわち、中央のマトリクス空間80に対する相対位置に応じて)、マトリクス空間80のx方向の大きさを加算または減算することにより、もしくは、当該位置と同位置として求められる。y方向の位置yd
mrは、中央のマトリクス空間80内における対応する決定済み要素のy方向の位置に、マトリクス空間80の番号に応じてマトリクス空間80のy方向の大きさを加算または減算することにより、もしくは、当該位置と同位置として求められる。
【0081】
数1の評価関数では、評価値として、中央のマトリクス空間80および当該マトリクス空間80の8近傍に想定されるマトリクス空間80における決定済み要素と、中央のマトリクス空間80内の未決定要素との間の距離の二乗の逆数の和に重み係数Bが乗算された値が求められる。全ての未決定要素に対して評価値が算出されると、評価値が最小となる未決定要素に出現番号nが割り当てられる。
【0082】
ステップS35では、評価値が求められる未決定要素が第1エリア821に位置する場合の重み係数Bは、当該未決定要素が第2エリア822に位置する場合の重み係数Bよりも小さい。例えば、第1エリア821に位置する未決定要素の評価値を求める際の重み係数Bは「0.1」であり、第2エリア822に位置する未決定要素の評価値を求める際の重み係数Bは「1.0」である。これにより、ステップS35では、第1エリア821内の未決定要素に次の出現番号が割り当てられて決定済み要素に変更される。
【0083】
ステップS37では、評価値が求められる未決定要素が第1エリア821に位置する場合の重み係数Bは、当該未決定要素が第2エリア822に位置する場合の重み係数Bよりも大きい。例えば、第1エリア821に位置する未決定要素の評価値を求める際の重み係数Bは「1.0」であり、第2エリア822に位置する未決定要素の評価値を求める際の重み係数Bは「0.1」である。これにより、ステップS37では、第2エリア822内の未決定要素に次の出現番号が割り当てられて決定済み要素に変更される。
【0084】
ステップS39では、評価値が求められる未決定要素が第1エリア821に位置する場合の重み係数Bと、当該未決定要素が第2エリア822に位置する場合の重み係数Bとが等しい。例えば、第1エリア821に位置する未決定要素の評価値を求める際の重み係数Bは「1.0」であり、第2エリア822に位置する未決定要素の評価値を求める際の重み係数Bも「1.0」である。これにより、ステップS39では、第1エリア821内の未決定要素、および、第2エリア822内の未決定要素に、およそ均等に次の出現番号が割り当てられて決定済み要素に変更される。
【0085】
なお、ステップS39において、評価値が求められる未決定要素が第1エリア821に位置する場合の重み係数B、および、当該未決定要素が第2エリア822に位置する場合の重み係数Bのうちいずれか一方が小さくされてもよい。この場合、第1エリア821および第2エリア822のうち、小さい方の重み係数Bに対応する一方のエリアの未決定要素が、他方のエリアの未決定要素に比べて、優先的に決定済み要素に変更される。
【0086】
画像記録装置1では、記録用紙9に記録される画像のY方向の解像度Ryと、X方向の解像度Rxとが異なる場合、重み係数R=Rx/Ryを用いて、評価値Ed
n(xd,yd)が、上述の数1に代えて数2のように求められてもよい。
【0088】
評価値の算出方法は、数1および数2には限定されない。例えば、各未決定要素について、各決定済み要素からの距離の和に重み係数Bが乗算されて評価値として求められ、評価値が最大の未決定要素に次の出現番号が割り当てられてもよい。あるいは、各未決定要素について、当該未決定要素と各決定済み要素との間の距離のうち最小距離に重み係数Bを乗算したものが評価値として求められ、評価値が最大の未決定要素に次の出現番号が割り当てられてもよい。出現番号割り当て部52では、数1の方法、数2の方法、並びに、数1および数2以外の方法のいずれにより評価値が算出される場合であっても、閾値マトリクス81の反復適用を前提として、全ての決定済み要素から最も離れた未決定要素に次の出現番号が割り当てられて決定済み要素に変更される。
【0089】
次に、
図7に示す閾値決定部53により、N倍速用の閾値マトリクスが生成される(ステップS41)。N倍速用の閾値マトリクスでの生成では、各描画要素811の出現番号に従って各描画要素811の閾値が決定される。具体的には、マトリクス要素に与えられるべき閾値の範囲に、描画要素811の出現番号が圧縮されることにより、各描画要素811の閾値が決定される。例えば、出現番号を「閾値を設定すべき要素数−1」で除算し、これに「階調数−1」を乗算して四捨五入することにより、閾値が求められる。階調数が256の場合、0〜255のいずれかの整数が、閾値として各描画要素811に与えられる。
【0090】
その後、非描画要素812を省いて描画要素811を行方向に詰めることにより、行方向に関してマトリクス空間が1/2に縮小される(ステップS42)。その結果、
図9のステップS22にて縮小された元画像に対応する閾値マトリクスが得られる。ステップS24の網点化では、縮小後の元画像と2倍速用閾値マトリクスとが比較される。
【0091】
閾値マトリクスのデータは、
図8に示す読取/書込装置508にて(コンピュータを含む)電子装置読み取り/書き込み可能な記憶媒体に記録され、記憶媒体が本体制御部4にて読み取られることによりマトリクス記憶部461(
図7参照)に記憶されてもよく、さらに、他の装置にて記憶媒体を読み取ることにより、当該装置にて閾値マトリクスを用いて網点画像が生成されてもよい。
【0092】
画像記録装置1では、ステップS37,S38において、上述のように、各第2部分エリア832に含まれる描画要素811のうち、第2最小要素数(1以上の整数)に等しい数の描画要素811に出現番号が割り当てられるが、ステップS37,S38に代えて、第2エリア822内において1つ以上の描画要素811に出現番号を割り当てて決定済み要素とする工程が行われてもよい。すなわち、ステップS36とステップS39との間において、各第2部分エリア832の描画要素811に出現番号が割り当てられる必要はなく、ステップS36が終了すると、第2エリア822内の1つの描画要素811に出現番号が割り当てられた後は、次の出現番号は、第1エリア821および第2エリア822のいずれに含まれる描画要素811に割り当てられてもよい。
【0093】
以上に説明したように、N倍速用の閾値マトリクス81の生成では、マトリクス空間80においておよそ均一に分布するとともにそれぞれが複数の描画要素811を含む複数の第1部分エリア831の集合である第1エリア821が設定され、マトリクス空間80の第1エリア821を除く領域である第2エリア822が設定される。続いて、第1エリア821内の1つの描画要素811に最初の出現番号を割り当てて決定済み要素813とし、その後、元画像70の網点化時の閾値マトリクス81の反復適用を考慮しつつ、全ての決定済み要素813からの距離に基づいて当該全ての決定済み要素813から最も離れた描画要素811(未決定要素)が、第1エリア821内において特定される。特定された描画要素811には次の出現番号が割り当てられ、当該描画要素811が決定済み要素813に変更される。出現番号割り当て部52では、上述の未決定要素の特定、および、当該未決定要素に対する出現番号の割り当てが繰り返されることにより、各第1部分エリア831の2つ以上の描画要素811が決定済み要素813に変更される。
【0094】
続いて、元画像70の網点化時の閾値マトリクス81の反復適用を考慮しつつ、全ての決定済み要素813からの距離に基づいて当該全ての決定済み要素813から最も離れた描画要素811を特定して出現番号を繰り返し割り当てることにより、第2エリア822内において1つ以上の描画要素811(未決定要素)が決定済み要素813に変更された後、他の描画要素811(未決定要素)が決定済み要素813に変更される。そして、出現番号に従って、各描画要素811の閾値を決定することにより、Nが2の場合のN倍速用の閾値マトリクス81が得られる。
【0095】
これにより、画像記録装置1において、画像の階調値が比較的低いハイライト領域(例えば、画像の濃度が25%濃度以下の領域)が描画される際に、ステップS34〜S36にて出現番号が割り当てられた描画要素811に対応する記録用紙9上の位置のみにドットが描画される。すなわち、記録用紙9上にて複数の第1部分エリア831に対応するおよそ均一に分布した複数の領域のみにドットが描画される。
【0096】
ここで、記録用紙9上にて各第1部分エリア831に対応する領域を、大きさが可変である1つの疑似網点が描画される疑似網点領域と捉えると、画像記録装置1におけるハイライト領域の描画において、各疑似網点領域のみに疑似網点が描画され、階調の上昇に伴って疑似網点の個数は変更されることなく各疑似網点の大きさが大きくなる。すなわち、画像記録装置1におけるハイライト領域の描画では、元画像70の網点化において、擬似的なAM(Amplitude Modulated)スクリーニングが行われる、と捉えることができる。その結果、ハイライト領域における画像の粒状性を低減することができる。
【0097】
また、ハイライト領域よりも階調値が高い中間階調領域が描画される際に、記録用紙9上にて第2エリア822に対応する領域に1つ以上のドットが描画され、当該1つ以上のドットは、上述の複数の疑似網点領域内に描画された複数のドットから最も離れた位置から順に描画される。これにより、AMスクリーニングによる網点化を行った場合に画像上に生じるモアレ(すなわち、規則的な網点配列により生じるモアレ)と同様のモアレの発生を、抑制または防止することができる。
【0098】
1倍速およびN倍速(ただし、Nは2以上の整数)にて画像を記録することができる画像記録装置1では、N倍速にて高速描画が行われる場合、吐出部2から吐出されたインクの微小液滴が、記録用紙9上の所定の着弾位置からずれて着弾する可能性がある。しかしながら、画像記録装置1では、上述のように、擬似的なAMスクリーニングを用いた網点化により、インクの着弾位置のずれによる粒状性の増大を抑制することができる。画像記録装置1の構成は、インクの着弾位置のずれが画像に対して比較的大きい影響を与えるシングルパス方式の画像記録装置に特に適している。
【0099】
上述のように、第1エリア821は複数の第1部分エリア831の集合であり、第2エリア822は複数の第2部分エリア832の集合である。各第1部分エリア831および各第2部分エリア832は互いに同じ大きさ、かつ、同形状である。複数の第1部分エリア831と複数の第2部分エリア832とは、マトリクス空間80の行方向に平行に交互に配列されるとともに、マトリクス空間80の列方向に平行に交互に配列される。これにより、ハイライト領域の描画において、記録用紙9上の第1エリア821に対応する領域に描画されるドットの分布の均一性を向上することができる。また、中間階調領域の描画において、記録用紙9上の第2エリア822に対応する領域に描画されるドットの分布の均一性を向上することができる。
【0100】
上記ステップS34〜S36では、各第1部分エリア831にて決定済み要素813に変更される描画要素811の数は、各第1部分エリア831に含まれる全ての描画要素811の数よりも少ない。これにより、中間階調領域における描画の際に、上述の疑似網点が大きくなることを抑制することができる。その結果、疑似網点の規則的な配列によるモアレの発生を、より一層抑制または防止することができる。
【0101】
上述のように、ステップS35では、評価値が求められる未決定要素が第1エリア821に位置する場合の重み係数Bは、当該未決定要素が第2エリア822に位置する場合の重み係数Bよりも小さい。一方、ステップS37では、評価値が求められる未決定要素が第1エリア821に位置する場合の重み係数Bは、当該未決定要素が第2エリア822に位置する場合の重み係数Bよりも大きい。これにより、ステップS37,S38において、全ての未決定要素のうち第2エリア822の未決定要素に、より確実に次の出現番号を割り振ることができる。その結果、中間階調領域のうちハイライト領域に近い領域における描画において、記録用紙9上の第2エリア822に対応する領域に、ドットを優先的に描画することができる。
【0102】
上記説明では、Nが2である場合について説明したが、Nが2よりも大きい整数である場合の閾値マトリクスの生成も、上述のステップS31〜S42と同様である。例えば、Nが4である場合、ステップS32では、
図16に示すように、描画要素811が列方向および行方向に3要素置きに設定され、他のマトリクス要素が非描画要素812として設定される。
【0103】
上記説明では、ヘッド部23の各吐出口241から吐出されるインクの微小液滴のサイズが1種類であるものとして説明したが、画像記録装置1では、複数の吐出口241からそれぞれ吐出されるインクの微小液滴のサイズが切り替え可能なヘッド部23が利用されてもよい。当該ヘッド部23が利用されることにより、複数の吐出口241からのインクの微小液滴により記録用紙9上に描画されるドットのサイズが切り替え可能となる。以下、記録用紙9上に描画されるドットのサイズが、「大サイズ」、「中サイズ」、「小サイズ」の3種類の間で切り換え可能であるものとして説明する。大サイズのドットは、画像記録装置1において表現可能な最大サイズのドットであり、小サイズのドットは、画像記録装置1において表現可能な最小サイズのドットである。また、中サイズのドットは、大サイズのドットよりも小さく、小サイズのドットよりも大きいサイズのドットである。
【0104】
図7に示す各マトリクス記憶部461には、
図17に示すように、大ドット用の閾値マトリクスである大ドット用マトリクス463と、中ドット用の閾値マトリクスである中ドット用マトリクス464と、小ドット用の閾値マトリクスである小ドット用マトリクス465とが記憶される。
【0105】
図17では1つのマトリクス記憶部461に記憶される大ドット用マトリクス463、中ドット用マトリクス464および小ドット用マトリクス465を図示しているが、他の色成分のマトリクス記憶部461にもそれぞれ、大ドット用マトリクス463、中ドット用マトリクス464および小ドット用マトリクス465が記憶される。以下の説明では、大ドット用マトリクス463、中ドット用マトリクス464および小ドット用マトリクス465の3つの閾値マトリクスをまとめて「マトリクスセット」とも呼ぶ。また、以下の説明では、一の色成分用のマトリクスセットのみについて着目するが、他の色用のマトリクスセットについても同様である。マトリクスセットの3つの閾値マトリクスの同じ位置では、大ドット用マトリクス463の閾値が最も大きく、小ドット用マトリクス465の閾値が最も小さい。また、中ドット用マトリクス464の閾値は、大ドット用マトリクス463および小ドット用マトリクス465の両閾値の間の値である。
【0106】
図18は、マトリクスセットの特性を示す図である。
図18では、一様な階調値の画像を画像記録装置1にて記録する場合のインクの吐出率を縦軸に示しており、横軸は画像の階調値を示している。上述の吐出率とは、記録用紙9上の単位領域においてインクのドットが付与可能な位置として定義されている描画位置の個数を基準個数として、単位領域に対して一のヘッド部23から実際に吐出されて付与されるドットの個数の基準個数に対する割合を示す値である。
【0107】
図18では、大サイズのインクの微小液滴の吐出率を符号B1を付す実線にて示す。以下の説明では、大サイズ、中サイズおよび小サイズのインクの微小液滴の吐出率をそれぞれ「大ドットの吐出率」、「中ドットの吐出率」および「小ドットの吐出率」という。
図18では、大ドットの吐出率と中ドットの吐出率との和を、符号B2を付す一点鎖線にて示し、全サイズのインクの微小液滴の吐出率である合計吐出率を符号B3を付す破線にて示す。
【0108】
大ドット用マトリクス463の閾値の範囲は128〜254であり、中ドット用マトリクス464の閾値の範囲は64〜254であり、小ドット用マトリクス465の閾値の範囲は0〜254である。既述のように、マトリクスセットの3つの閾値マトリクスにおいて互いに対応する位置では、小ドット用マトリクス465の閾値よりも中ドット用マトリクス464の閾値の方が大きく、中ドット用マトリクス464の閾値よりも大ドット用マトリクス463の閾値の方が大きい。そして、1つの描画位置に大ドットが形成されると、小ドットおよび中ドットは、画素値が小ドット用マトリクス465および中ドット用マトリクス464の閾値を上回っても描画されない。また、1つの描画位置に中ドットが形成されると、小ドットは、画素値が小ドット用マトリクス465の閾値を上回っても描画されない。
【0109】
図18に示すように、画像の階調値が0から64まで増加するに従って、小ドットのみによる吐出率が、破線B3にて示すように線形に増加する。階調値が64から128まで増加する際には、階調値の増加に従って、合計吐出率は破線B3にて示すように線形に増加し、中ドットの吐出率は一点鎖線B2にて示すように線形に増加する。破線B3と一点鎖線B2との差は、小ドットの吐出率に相当し、小ドットの吐出率は、階調値の増加に従って線形に減少する。
【0110】
階調値が128から255まで増加する際には、階調値の増加に従って、合計吐出率は破線B3にて示すように100%まで線形に増加し、大ドットの吐出率と中ドットの吐出率との和は、一点鎖線B2にて示すように100%まで線形に増加する。また、大ドットの吐出率は、階調値の増加に従って、実線B1にて示すように0%から100%まで線形に増加する。破線B3と一点鎖線B2との差は、小ドットの吐出率に相当し、小ドットの吐出率は、階調値の増加に従って0%まで線形に減少する。一点鎖線B2と実線B1との差は、中ドットの吐出率に相当し、中ドットの吐出率は、階調値の増加に従って0%まで線形に減少する。
【0111】
N倍速用のマトリクスセットが生成される際には、上述の閾値マトリクス81の生成方法にて、元となる仮閾値マトリクスが生成される。そして、仮閾値マトリクスの閾値の範囲が、大ドット、中ドットおよび小ドットが出現する階調範囲に合わせて必要に応じて狭められるとともに、最小閾値がそのサイズのドットの出現開始階調値に合うように、各閾値にオフセット値が必要に応じて加えられる。
【0112】
大ドット用マトリクス463の場合、大ドットが出現する階調範囲は128〜255であるため、仮閾値マトリクスの閾値の範囲が1/2に狭められ、出現開始階調値は128であるため、各閾値にオフセット値として128が加えられる。また、中ドット用マトリクス464の場合、中ドットが出現する階調範囲は64〜255であるため、仮閾値マトリクスの閾値の範囲が3/4に狭められ、出現開始階調値は64であるため、各閾値にオフセット値として64が加えられる。
【0113】
図18に示す特性を有するマトリクスセットが利用される場合、画像記録装置1では、記録用紙9上に表現可能な最小階調値である「0」以上、かつ、所定の階調値である「64」以下の範囲において、小サイズのドットのみが記録用紙9に描画される。このように、画像記録装置1では、画像の階調値が比較的低いハイライト領域(例えば、画像の濃度が25%濃度以下の領域)の描画において、小サイズのドットのみが記録用紙9上に描画されることにより、画像の粒状性を低減することができる。また、小サイズのドットは、中サイズおよび大サイズのドットと比較して、記録用紙9上の着弾位置が不安定であり、所望の位置からずれて着弾する可能性があるが、上述のように、ハイライト領域の描画において、擬似的なAMスクリーニングによる網点化が行われることにより、着弾位置のずれによる粒状性の増大を抑制することができる。その結果、ドットのサイズが切り替え可能な画像記録装置1においても、ハイライト領域における画像の粒状性を低減することができる。
【0114】
画像記録装置1に関する上記説明では、N倍速描画における非描画要素812は、記録用紙9上の描画不能位置に対応して設定される。しかし、各吐出口列が任意のタイミングで吐出動作を行うことができる場合は、非描画要素812は描画不能位置には限定されず、上記Nは吐出口列の数の約数には限定されない。この場合、Nは2以上の任意の整数に設定可能である。画像記録装置1の記録速度、並びに、閾値マトリクスの描画要素811および非描画要素812の配置は、Nの値に応じて、様々に変更可能である。
【0115】
以上、画像記録装置1の構成および動作、並びに、閾値マトリクスの生成について説明してきたが、これらは様々な変形が可能である。
【0116】
上記説明では、ヘッド部23において複数の吐出口列が配列され、各吐出口列において全吐出口の吐出動作を一定の周期にて同時に行うことにより、高精度な画像の高速記録が容易に実現されるが、画像記録装置1では、それぞれが基本周期にて吐出動作を繰り返しつつ吐出タイミングが個別に変更可能な複数の吐出口を有する1つの吐出口列が設けられていてもよい。
【0117】
第1エリア821の各第1部分エリア831は、2つ以上の描画要素811を含むのであれば、様々な大きさ、および、様々な形状であってよい。各第1部分エリア831の大きさおよび形状は、例えば、画像記録装置1の出力解像度に応じて様々に変更される。複数の第1部分エリア831は、
図13に示す例では頂点にて互いに接した状態で配置されるが、マトリクス空間80において互いに離間した状態でおよそ均一に分布するように配置されてもよい。この場合、第2エリア822には、複数の第2部分エリア832は含まれず、複数の第1部分エリア831の周囲をそれぞれ囲む連続した領域が第2エリア822となる。
【0118】
上述のN倍速用の閾値マトリクスの生成では、ステップS34〜S36において、第1最小要素数が4の場合について説明しているが、第1最小要素数は、2以上、かつ、各第1部分エリア831に含まれる全ての描画要素811の数以下の整数であればよい。第1最小要素数が、各第1部分エリア831に含まれる全ての描画要素811の数に等しい場合、ステップS34〜S36において、各第1部分エリア831の全ての描画要素811に出現番号が割り当てられた後、ステップS37へと移行する。
【0119】
画像記録装置1では、標準描画(すなわち、1倍速描画)の際の閾値マトリクスの生成は、様々な方法により行われてよい。
【0120】
画像記録装置1では、記録対象を移動する移動機構3により記録用紙9がヘッド部23に対して移動方向に移動するが、ヘッド部23をY方向に移動する移動機構が設けられてもよい。あるいは、ヘッド部23が記録用紙9に対してX方向およびY方向に相対的に移動することにより、画像の記録が行われてもよい。画像記録装置1では、記録用紙9が枚葉であり、各記録用紙9が順次搬送されてもよい。このように、記録用紙9をヘッド部23に対して相対的に移動方向に一定の標準速度または標準速度のN倍にて移動する走査機構は様々な構成にて実現可能である。
【0121】
ただし、記録用紙9上に高精度な画像を高速に記録する上述の技術は、ヘッド部23に含まれる複数の吐出口が幅方向に関して記録用紙9上の記録領域の全体に亘って配列され、記録用紙9がヘッド部23の下方を1回通過するのみで(すなわち、シングルパス方式にて)記録が完了する高速画像記録装置に採用されることが好ましく、これにより、記録用紙9上に画像をより短時間に記録することができる。
【0122】
上述の閾値マトリクスは、電子写真方式の印刷装置やCTP(Computer To Plate)用の製版装置等、印刷物の作成に係る他の画像記録装置にて用いられてもよい。このように、記録対象上において、所定の移動方向に垂直な幅方向に配列される複数の描画位置にそれぞれドットを描画する複数のドット出力要素を有するヘッド部と、記録対象上の複数の描画位置を移動方向に対象物に対して相対的に移動させる移動機構とを備える様々な画像記録装置において、上述の閾値マトリクスを利用することができる。
【0123】
上記説明では、本体制御部4が、画像データを生成する画像データ生成装置としての役割を果たすが、画像データ生成装置としての機能は本体10から独立して設けられてもよい。また、網点画像データは、ディスプレイ上における画像の表示等、印刷以外の用途に用いられてもよい。
【0124】
上記説明では、N倍速にて画像記録(すなわち、描画)を行う場合に、元画像が行方向に縮小され、これに適合する閾値マトリクスが利用されるが、元画像の縮小を行わずに網点化が行われてもよい。この場合、閾値マトリクスとしては非描画要素を含むものが利用される。
【0125】
また、未決定要素の評価値を求める際に、決定済み要素からの距離のみならず、決定済み要素の存在位置の方向に応じてに重み付けが行われてもよい。評価値を用いて出現番号を求めることは、評価値を用いて消滅番号を求めることと実質的に同様である。例えば、上記説明にて求めた出現番号の順に、階調値が最大値から減少するに従ってドットが形成されない描画位置が決定されてもよい。
【0126】
非描画要素を考慮した閾値マトリクスの生成は、描画位置に制限がある様々な装置に利用可能であり、上述のヘッド部を有する装置での利用には限定されない。
【0127】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。