特許第6134600号(P6134600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134600
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】電気機器の収納構造及び防爆型装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/06 20060101AFI20170515BHJP
   G03B 17/55 20060101ALI20170515BHJP
   G03B 17/56 20060101ALI20170515BHJP
   G03B 15/00 20060101ALI20170515BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   H05K5/06 B
   G03B17/55
   G03B17/56 H
   G03B15/00 S
   H04N5/225 E
   H04N5/225 F
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-149593(P2013-149593)
(22)【出願日】2013年7月18日
(65)【公開番号】特開2015-23131(P2015-23131A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000309
【氏名又は名称】IDEC株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000227836
【氏名又は名称】日本アビオニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪倉 秀基
(72)【発明者】
【氏名】伏間 正弘
【審査官】 白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−028339(JP,A)
【文献】 特開2001−320615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/06
H05K 7/20
G03B 15/00
G03B 17/55
G03B 17/56
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器を内部に収納する筒状を呈し、軸方向の少なくとも一方の端面に設けられた開閉自在の開口部と、内周面から突出した取付部と、を有する筐体と、
前記電気機器が装着される装着部と、前記装着部に連続する第1の放熱部と、を有する保持部材であって、当該保持部材が前記電気機器と共に前記開口部から前記筐体の内部に挿入されたとき、前記第1の放熱部が、前記取付部に当接することにより、前記軸方向における所定位置に前記電気機器を位置決めする、保持部材と、
を備え、
少なくも前記装着部及び前記第1の放熱部は、熱伝導材料を素材とし、
前記保持部材は、前記開口部から前記軸方向に沿って前記筐体の内部に挿入され、前記第1の放熱部を前記取付部に当接させた状態で前記筐体の内部に固定される、電気機器の収納構造。
【請求項2】
前記保持部材は、前記装着部における前記軸方向に直交する断面が、前記筐体内部の前記取付部の位置における空間よりも大きく前記開口部よりも小さく、前記装着部以外の部分における前記軸方向に直交する断面が前記筐体内部の前記取付部の位置における空間よりも小さい請求項1に記載の電気機器の収納構造。
【請求項3】
前記保持部材は、前記装着部から直交する方向に連続する第2の放熱部を更に有し、前記第2の放熱部は、前記第1の放熱部が前記取付部に当接した状態で前記筐体の内周面の一部に直接又は放熱シートを介して面接触する請求項1又は2に記載の電気機器の収納構造。
【請求項4】
前記第2の放熱部は、熱伝導材料を素材とする請求項3に記載の電気機器の収納構造。
【請求項5】
前記保持部材は、前記軸方向の一端側に配線が接続される接続器具を保持する接続部を更に有し、
前記筐体は、前記軸方向に直交する方向の配線用の貫通孔を前記軸方向の一端側に有する請求項1乃至4の何れかに記載の電気機器の収納構造。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の電気機器の収納構造を備え、
前記筐体は、防爆容器である防爆型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防爆容器等の筐体の内部に、カメラ等の電気機器を収納する際に用いられる電気機器の収納構造及び防爆型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
筐体の内部に電気機器を収納する装置として、危険区域内を監視する監視カメラを防爆容器内に収納した防爆型カメラがある(例えば、特許文献1参照。)。防爆容器は、本体の一方の面に形成された開口部を開閉自在に被覆する蓋体を備えている。
【0003】
電気機器であるカメラに対する給電用の電源ケーブルや映像信号を筐体外部に出力する映像ケーブルは、本体に形成されたネジ孔に螺合するクランプを貫通して本体内に導入される。
【0004】
クランプから本体内に導入された電源ケーブル及び映像ケーブルを、開口部から本体外に引き出し、ホルダに端子取付具を介して取り付けられた端子台に接続した後、本体の開口部を開放した状態で、カメラを搭載したホルダを本体内部に挿入し、固定ネジを介してホルダを本体内部に固定する。
【0005】
このように、従来の電気機器の収納構造では、電気機器を搭載したホルダを開口部から本体内に挿入し、ホルダを本体内部に固定することで、電気機器を本体内部の所定の位置に収納するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−320615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の電気機器の収納構造では、電気機器が発生する熱の放熱を考慮したものがなかった。このため、筐体内部で電気機器が高温になり、動作不良や故障を発生する問題があった。
【0008】
この発明の目的は、筐体内に収納された電気機器が発生する熱を効果的に放熱することができる電気機器の収納構造及びこれを適用した防爆型装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の電気機器の収納構造は、筐体、保持部材と、を備えている。筐体は、電気機器を内部に収納する筒状を呈し、軸方向の少なくとも一方の端面に設けられた開閉自在の開口部と、内周面から突出した取付部と、を有する。保持部材は、電気機器が装着される装着部と、当該装着部に連続する第1の放熱部と、を有する。具体的には、保持部材は、電気機器と共に開口部から筐体の内部に挿入されたとき、第1の放熱部が、取付部に当接することにより、筐体の軸方向における所定位置に電気機器を位置決めするものである。又、少なくとも装着部及び第1の放熱部は、熱伝導材料を素材とする。そして、保持部材は、開口部から軸方向に沿って筐体の内部に挿入され、第1の放熱部を取付部に当接させた状態で筐体の内部に固定される。
【0010】
この構成では、電気機器で発生した熱が、保持部材における装着部から第1の放熱部に伝導した後、第1の放熱部から取付部を経由して筐体に伝導する。装着部及び第1の放熱部は熱伝導材料を素材とするため、電気機器で発生した熱が効率よく筐体に伝導する。
【0011】
この構成において、保持部材は、装着部における軸方向に直交する断面が、筐体内部の取付部の位置における空間よりも大きくかつ開口部よりも小さく、装着部以外の部分における軸方向に直交する断面が筐体内部の取付部の位置における空間よりも小さくされていることが好ましい。電気機器を装着した保持部材を開口部から第1の放熱部が取付部に当接するまで筐体内部に軸方向に沿って挿入していくだけで、保持部材を介して電気機器を筐体内部の所定の位置に配置することができる。
【0012】
また、保持部材は、装着部から直交する方向に連続する第2の放熱部を更に有し、当該第2の放熱部は、第1の放熱部が取付部に当接した状態で筐体の内周面の一部に直接又は放熱シートを介して面接触することが好ましい。保持部材と筐体との接触面積が拡大し、保持部材に伝導した電気機器の熱を、より効率的に筐体に伝導させることができる。
【0013】
さらに、第2の放熱部は熱伝導材料を素材とすることが好ましい。保持部材から筐体への熱伝導率が高くなり、保持部材に伝導した電気機器の熱を、さらに効率的に筐体に伝導させることができる。
【0014】
加えて、保持部材に軸方向の一端側に電気機器に対する配線が接続される接続器具を搭載し、筐体に軸方向に直交する方向の配線用の貫通孔を軸方向の一端側に設けることが好ましい。保持部材に搭載された電気機器に対する配線作業が容易になる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、筐体内に収納された電気機器が発生する熱を効果的に放熱することができ、筐体内部が高温になることによる電気機器の動作不良や故障の発生を未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の実施形態に係る電気機器の収納構造が適用される防爆型カメラの外観図である。
図2】同防爆型カメラの要部の組立図である。
図3】同防爆型カメラに内蔵されるカメラモジュールの組立図である。
図4】(A)〜(C)は、同防爆型カメラの断面図である。
図5】この発明の別の実施形態に係る電気機器の収納構造が適用される防爆型カメラの平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、防爆型カメラに適用した場合の本発明の実施形態に係る電気機器の収納構造について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1図3に示すように、この発明の実施形態に係る電気機器の収納構造は、一例として防爆型カメラ100に適用される。防爆型カメラ100は、危険区域内を撮像することを前提として、防爆容器10内にこの発明の電気機器であるカメラモジュール20を収納している。
【0019】
防爆容器10は、この発明の筐体に相当し、本体11及び蓋体12、蓋体13及び引込部14を備えている。本体11は、一例として略円筒形状を呈し、軸方向の両端面が開放しており、それぞれ前面側開口部11A及び背面側開口部11Bにされている。前面側開口部11A及び背面側開口部11Bは、それぞれ雌ネジ部111及び112を備え、蓋体12及び蓋体13のネジ部122及び132が螺合することによって開閉自在にされている。蓋体12は、中央部に強化ガラス等の透明部材で被覆された孔部121が形成されている。
【0020】
引込部14は、本体10の周面の背面側から本体10の半径方向に延出している。引込部14は、本体10の内部に連通する貫通孔を備え、底面に装着される引込器具141を介して、カメラモジュール20に対する配線を貫通させる。
【0021】
カメラモジュール20は、カメラ21、プレート22、ホルダ23、回路基板24、回路基板25、接続器具26を備えている。カメラ21は、回路基板24及び25とともにプレート22に装着されている。プレート22は、一例として熱伝導材料の平板で構成されている。回路基板24及び25は、カメラ21に対する給電用、及び信号処理用の電子部品を実装している。
【0022】
ホルダ23は、一例として略コの字形状を呈し、それぞれ平板状の装着部23A、第1の放熱部23B、第2の放熱部23C、接続部23Dを備えている。装着部23Aは、ホルダ23の前面側で、互いの間に空間を設けて左右に配置されている。各装着部23Aには、ネジ孔231が形成されており、前面側にカメラ21を装着したプレート22がネジ221を介して取り付けられる。
【0023】
ホルダ23は、プレート22とともにこの発明の保持部材に相当するが、プレート22は必須ではない。カメラ21並びに回路基板24及び25を個別に装着部23Aに取り付けるようにしてもよく、回路基板24及び25が取り付けられたカメラ21を装着部23Aに取り付けるようにしてもよい。
【0024】
第1の放熱部23Bは、各装着部23Aから外側に向かって同一平面内で連続して形成されており、取付孔232が形成されている。第2の放熱部23Cは、装着部23Aから背面側に向かって直交する方向に連続している。接続部23Dは、第2の放熱部23Cに上方に直交する方向に連続しており、背面側に接続器具26が装着される。
【0025】
接続器具26は、回路基板261、端子台262、アダプタ263を備えている。アダプタ263は回路基板261に取り付けられる。回路基板261及び端子台262は、取付ネジ264及び265を介して接続部23Dに固定される。接続器具26は、回路基板24及び25の電子部品に電気的に接続されるとともに、引込部14を貫通した配線に接続される。
【0026】
ホルダ23は、金属平板を素材としてプレス加工により、装着部23A、第1の放熱部23B、第2の放熱部23C、接続部23Dを一体的に形成しており、全体として熱伝導材料で構成されている。但し、少なくとも装着部23Aと第1の放熱部23Bとが熱伝導材料で構成されていればよく、必ずしも全体が熱伝導材料で構成されている必要はない。
【0027】
なお、本体11は、必ずしも略円筒形状に形成する必要はなく、中空の筐体であることを条件に、角筒形状等の任意の形状とすることができる。
【0028】
図4(A)〜(C)に示すように、防爆容器10の内部には、前面側寄りの位置に左右の内周面から突出する取付部15が形成されている。各取付部15には、ネジ穴が形成されている。なお、図4(A)は防爆型カメラ100の側面断面図、同図(B)は同平面断面図)、同図(C)は同図(A)におけるS−S部の断面図である。
【0029】
ホルダ23において、装着部23Aにおける軸方向に直交する横断面は、取付部15の位置における空間よりも大きく前面側開口部11Aの開口面よりも小さい。また、装着部23A以外の部分における軸方向に直交する横断面は、取付部15の間の空間よりも小さい。
【0030】
カメラモジュール20は、蓋体12を取り外した状態で開放された前面側開口部11Aから防爆容器11内に背面側から挿入される。第1の放熱部23Bの背面が取付部15の前面に達すると両者が面接触し、それ以上カメラモジュール20を挿入方向に移動できなくなる。この状態で固定ネジ234を取付孔232に貫通させて取付部15のネジ穴に螺合させることにより、カメラモジュール20が防爆容器11内の所定の位置に固定される。
【0031】
カメラ21の動作により、カメラ21及び回路基板24,25から熱が発生する。主にカメラ21から発生した熱は、プレート22から装着部23Aを経由して第1の放熱部23Bに伝導する。第1の放熱部23Bに伝導した熱は、面接触する取付部15を経由して本体11に伝導し、本体11から外部に放熱される。このため、主にカメラ21から発生した熱を、効率よく本体11に伝導して外部に放熱することができ、本体11内に籠もることがなく、カメラ21や回路基板24及び25に実装された電子部品の動作不良や故障の発生を防止できる。
【0032】
なお、第1の放熱部23Bの背面と取付部15の前面とが面接触する所定の位置にカメラモジュール20が固定された状態で、第2の放熱部23Cが本体11の内側面の一部に面接触させることで、カメラ21並びに回路基板24及び25で発生した熱を、さらに効率よく本体11に伝導させることができる。
【0033】
この場合に、第2の放熱部23Cを放熱シートを挟んで本体11の内側面の一部に面接触させることもできる。また、第2の放熱部23Cは、直接又は放熱シートを挟んで本体11の内側面の一部に面接触することを条件に、平板状以外の例えば曲面形状とすることができる。この場合に、第2の放熱部23Cの軸方向における底面形状を一定にすることで、第2の放熱部23Cと本体11の内側面との接触面積を最大にすることができ、カメラ21並びに回路基板24及び25で発生した熱の放熱性がさらに向上する。
【0034】
第1の放熱部23Bの背面と取付部15の前面とが面接触する所定の位置にカメラモジュール20が固定された状態で、接続部23Dに取り付けられた接続器具26が本体11における引込部14の連続部分に対向する位置に配置される。蓋体13を取り外すことで背面側開口部Bを開放すると、本体11の背面側から接続器具26の接続部分の全体が視認できる。引込器具141を介して引込部14の貫通孔142を貫通した配線を、本体11の背面側から接続器具26に容易に接続することができる。
【0035】
図5に示すように、ホルダ23において第1の放熱部23Bを接続部23Dの左右両側に連続して形成し、取付部15を本体11の内部における背面側寄りの位置で背面に向けて形成し、カメラモジュール20を背面側開口部11Bから本体11の内部に挿入するようにしてもよい。カメラ21に対するメンテナンス頻度が低い場合には、本体11の前面側を閉塞した状態で本体11を形成し、前面側開口部11Aを開閉する蓋体12を省略できる。この場合でも、カメラ21並びに回路基板24及び25で発生した熱は、装着部23Aから第2の放熱部23C及び接続部23Dを経由して第1の放熱部23Bに伝導した後、取付部15から本体11に伝導して外部に放熱される。
【0036】
なお、この発明の筐体は、防爆容器10に限るものではない。この発明は、カメラ21を含む任意の電気機器を収納する任意の筐体に適用できる。
【符号の説明】
【0037】
10−防爆容器
11−本体
11A−前面側開口部
11B−背面側開口部
12,13−蓋体
15−取付部
20−カメラモジュール
21−カメラ(電気機器)
23−ホルダ(保持部材)
23A−装着部
23B−第1の放熱部
23C−第2の放熱部
23D−接続部
26−接続器具
図1
図2
図3
図4
図5