(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0018】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る作動機械の駆動装置が搭載される油圧ショベルを示す概略図である。
図2は、駆動装置のシステム構成を示す概略図である。まず、本第1実施形態においては、3種類の片ロッド式油圧シリンダおよび3種類の液圧モータに対し、閉回路に接続された閉回路液圧ポンプ4台と開回路に接続された開回路液圧ポンプ4台とを備え、片ロッド式油圧シリンダを駆動する際に、1台の閉回路液圧ポンプと1台の開回路液圧ポンプとを組み合わせて流量制御を行う。また、これら各液圧ポンプのそれぞれに切換弁を設け、1つの片ロッド式油圧シリンダに対し、複数の閉回路液圧ポンプと複数の開回路液圧ポンプとが合流できる構成とされている。さらに、1つの片ロッド式シリンダへの合流時においては、1台の閉回路液圧ポンプと1台の開回路液圧ポンプとを組み合わせて合流するようにコントローラにて切換弁を制御する。
【0019】
<構成>
図2に示す、本発明の第1実施形態に係る油圧駆動装置105が搭載される作業機械として、油圧ショベル100を例として説明する。この油圧ショベル100は、
図1に示すように、左右方向の両側にクローラ式の走行装置8a,8bを備えた下部走行体103と、この下部走行体103上に旋回可能に取り付けられた本体としての上部旋回体102とを備えている。上部旋回体102上には、オペレータが搭乗するキャブ101が設けられている。下部走行体103と上部旋回体102とは、旋回装置7を介して旋回可能に取り付けられている。
【0020】
上部旋回体
102の前側には、例えば掘削作業等を行うための作動装置であるフロント作業機104の基端部が回動可能に取り付けられている。ここで、前側とは、キャブ101に搭乗する操作者が向く方向(
図1中の左方向)をいう。フロント作業機104は、上部旋回体102の前側に基端部が俯仰動可能に連結されたブーム2を備えている。ブーム2は、供給される流体としての作動油(圧油)にて駆動する片ロッド式油圧シリンダであるブームシリンダ1を介して動作する。ブームシリンダ1は、ロッド1cの先端部が上部旋回体102に連結され、シリンダチューブ1dの基端部がブーム2に連結されている。
【0021】
さらに、ブームシリンダ1は、
図2に示すように、シリンダチューブ1dの基端側に位置し作動油が供給されることによりロッド1cの基端部に取り付けられたピストン1eを押圧して作動油圧による荷重を与えて、ロッド1cを伸長移動させるボトム側の第1作動油室であるボトム室1aを備えている。また、ブームシリンダ1は、シリンダチューブ1dの先端側に位置し作動油が供給されることによりピストン1eを押圧して作動油圧による荷重を与えて、ロッド1cを縮退移動させるロッド側の第2作動油室としてのロッド室1bを備えている。
【0022】
また、ブーム2の先端部には、アーム4の基端部が俯仰動可能に連結されている。アーム4は、片ロッド式油圧シリンダであるアームシリンダ3を介して動作する。アームシリンダ3は、ロッド3cの先端部がアーム4に連結され、アームシリンダ3のシリンダチューブ3dがブーム2に連結されている。
【0023】
さらに、アームシリンダ3は、
図2に示すように、シリンダチューブ3dの基端側に位置し作動油が供給されることによりロッド3cの基端部に取り付けられたピストン3eを押圧して、ロッド3cを伸長移動させるボトム室3aを備えている。また、アームシリンダ3は、シリンダチューブ3dの先端側に位置し作動油が供給されることによりピストン3eを押圧して、ロッド3cを縮退移動させるロッド室3bを備えている。
【0024】
さらに、アーム4の先端部には、バケット6の基端部が俯仰動可能に連結されている。バケット6は、供給される作動油にて駆動する油圧アクチュエータとしての片ロッド式油圧シリンダであるバケットシリンダ5を介して動作する。バケットシリンダ5は、ロッド5cの先端部がバケット6に連結され、このバケットシリンダ5のシリンダチューブ5dの基端がアーム4に連結されている。
【0025】
また、バケットシリンダ5は、シリンダチューブ5dの基端側に位置し作動油が供給されることによりロッド5cの基端部に取り付けられたピストン5eを押圧して、ロッド75cを伸長移動させる
ボトム室5aを備えている。また、バケットシリンダ5は、シリンダチューブ5dの先端側に位置し作動油が供給されることによりピストン5eを押圧して、ロッド5cを縮退移動させるロッド室5bを備えている。
【0026】
なお、ブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5のそれぞれは、供給される作動油によって伸縮動作し、この供給される作動油の供給方向に依存して伸縮駆動される。
【0027】
図2に示す油圧駆動装置105は、
図1に示す油圧ショベル100の上部旋回体102に搭載されており、この油圧ショベル100を駆動させるための駆動装置である。油圧駆動装置105は、フロント作業機104を構成するブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5に加え、旋回装置7および走行装置8a,8bの駆動に用いられる。これら旋回装置7および走行装置8a,8bは、作動油の供給を受け回転駆動する液圧モータである。
【0028】
また、油圧駆動装置105は、
図2に示すように、キャブ101内に設置された操作部としての操作レバー装置56の操作に応じて、油圧アクチュエータであるブームシリンダ1、アームシリンダ3、バケットシリンダ5、旋回装置7および走行装置8a,8bを駆動させる。ここで、ブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5の伸縮動作、すなわち動作方向および動作速度は、操作レバー装置56の各操作レバー56a,56b,56c,56dの操作方向および操作量によって指示される。
【0029】
さらに、油圧駆動装置105は、動力源であるエンジン9を備えている。エンジン9は、例えば所定のギヤ等で構成され動力を配分するための動力伝達装置10に接続されている。動力伝達装置10には、可変流量油圧ポンプである第1ないし第8液圧ポンプ12,13,・・・,19と、後述する流路229に圧油を補充するチャージポンプ11とがそれぞれ接続されている。
【0030】
そして、第1ないし第8液圧ポンプ12,13,・・・,19は、両方向に作動油を流出入が可能な2つ、すなわち一対の流出入ポートとしての入出力ポートを有する両傾転斜板機構(図示せず)と、この両傾転斜板機構を構成する両傾転式の斜板の傾転角(傾斜角度)を調整するための流量調整部としてのレギュレータ12a,13a,・・・,19aを備えている。レギュレータ12a,13a,・・・,19aは、制御部としてのコントローラ57から出力される操作信号に応じて、対応する第1ないし第8液圧ポンプ12,13,・・・,19の斜板の傾転角を調整して、これら第1ないし第8液圧ポンプ12,13,・・・,19から吐出される作動油の流量を制御する流量制御部である。なお、第1ないし第8液圧ポンプ12,13,・・・,19は、斜軸機構など可変傾転機構であればよく、斜板機構に拘るものではない。
【0031】
よって、第1ないし第8液圧ポンプ12,13,・・・,19は、斜板の傾転角を調整することによって、入出力ポートからの作動油の吐出流量および吐出方向が制御可能とされている。また、第1ないし第8液圧ポンプ12,13,・・・,19は、作動油の供給を受けると液圧モータとして機能する。ここで、第1、第3、第5および第7液圧ポンプ12,14,16,18は、後述する閉回路A,B,C,Dに接続された閉回路用作動油流出入制御部として用いる閉回路液圧ポンプである。また、第2、第4、第6および第8液圧ポンプ13,15,17,19は、後述する開回路E,F,G,Hに接続された開回路用作動油流出入制御部として用いる開回路液圧ポンプとしての開回路用油圧ポンプである。
【0032】
具体的に、第1液圧ポンプ12の一方の入出力ポートに流路200が接続され、他方の入出力ポートに流路201が接続されている。これら流路200,201には、複数、例えば4つの切換弁43a,43b,43c,43dが接続されている。切換弁43a,43b,43cは、第1液圧ポンプ12に対して閉回路状に接続されたブームシリンダ1、アームシリンダ3、バケットシリンダ5への作動油の供給を切り換えるための閉回路用切換部である。また、切換弁43dは、第1液圧ポンプ12に対して閉回路状に接続された旋回装置7への作動油の供給を切り換えるための液圧モータ用の閉回路用切換部である。そして、切換弁43a,43b,43c,43dは、コントローラ57から出力される操作信号に応じて、流路200,201の導通と遮断とを切り換える構成とされ、コントローラ57からの操作信号の出力が無い場合は遮断状態とされる。コントローラ57は、切換弁43a,43b,43c,43dが同時に導通状態にならないように制御する。
【0033】
さらに、切換弁43aは、流路212,213を介してブームシリンダ1に接続されている。よって、第1液圧ポンプ12は、コントローラ57から出力される操作信号に応じて切換弁43aが導通状態になった場合に、流路200,201、切換弁43aおよび流路212,213を介してブームシリンダ1に閉回路状に接続される閉回路Aを構成する。また、切換弁43bは、流路214,215を介してアームシリンダ3に接続されている。よって、第1液圧ポンプ12は、コントローラ57から出力される操作信号に応じて切換弁43bが導通状態になった場合に、流路200,201、切換弁43bおよび流路214,215を介してアームシリンダ3に閉回路状に接続される閉回路Bを構成する。
【0034】
さらに、切換弁43cは、流路216,217を介してバケットシリンダ5に接続されている。よって、第1液圧ポンプ12は、コントローラ57からの操作信号により切換弁43cが導通状態になった場合に、流路200,201、切換弁43cおよび流路216,217を介してバケットシリンダ5に閉回路状に接続される閉回路Cを構成する。また、切換弁43dは、流路218,219を介して旋回装置7に接続されている。よって、第1液圧ポンプ12は、コントローラ57からの操作信号により切換弁43dが導通状態になった場合に、流路200,201、切換弁43dおよび流路218,219を介して旋回装置7に閉回路状に接続される閉回路Dを構成する。
【0035】
ここで、流路212は、ブームシリンダ1を後述する開回路E,F,G,Hの複数の切換弁44a,46a,48a,50aへ独立して接続させるための油圧シリンダ用の接続流路である。また、流路214は、アームシリンダ3を後述する開回路E,F,G,Hの複数の切換弁44b,46b,48b,50bへ独立して接続させるための油圧シリンダ用の接続流路である。さらに、流路216は、バケットシリンダ5を、後述する開回路E,F,G,Hの複数の切換弁44c,46c,48c,50cへ独立して接続させるための油圧シリンダ用の接続流路である。
【0036】
また、第3液圧ポンプ14の一方の入出力ポートに流路203が接続され、他方の入出力ポートに流路204が接続されている。これら流路203,204には、複数、例えば4つの切換弁45a,45b,45c,45dが接続されている。切換弁45a,45b,45cは、第3液圧ポンプ14に対して閉回路状に接続されたブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5への作動油の供給を切り換えるための閉回路用切換部である。また、切換弁45dは、第3液圧ポンプ14に対して閉回路状に接続された旋回装置7への作動油の供給を切り換えるための液圧モータ用の閉回路用切換部である。そして、切換弁45a,45b,45c,45dは、コントローラ57から出力される操作信号に応じて、流路203,204の導通と遮断とを切り換える構成とされ、コントローラ57からの操作信号の出力が無い場合に遮断状態となる。コントローラ57は、切換弁45a,45b,45c,45dが同時に導通状態にならないように制御する。
【0037】
さらに、切換弁45aは、流路212,213を介してブームシリンダ1に接続されている。よって、第3液圧ポンプ14は、コントローラ57からの操作信号により切換弁45aが導通状態になった場合に、流路203,204、切換弁45aおよび流路212,213を介してブームシリンダ1に閉回路状に接続される閉回路Aを構成する。また、切換弁45bは、流路214,215を介してアームシリンダ3に接続されている。よって、第3液圧ポンプ14は、コントローラ57からの操作信号により切換弁45bが導通状態になった場合に、流路203,204、切換弁45bおよび流路214,215を介してアームシリンダ3に閉回路状に接続される閉回路Bを構成する。
【0038】
さらに、切換弁45cは、流路216,217を介してバケットシリンダ5に接続されている。よって、第3液圧ポンプ14は、コントローラ57からの操作信号により切換弁45cが導通状態になった場合に、流路203,204、切換弁45cおよび流路216,217を介してバケットシリンダ5に閉回路状に接続される閉回路Cを構成する。また、切換弁45dは、流路218,219を介して旋回装置7に接続されている。よって、第3液圧ポンプ14は、コントローラ57からの操作信号により切換弁45dが導通状態になった場合に、流路203,204、切換弁45dおよび流路218,219を介して旋回装置7に閉回路状に接続される閉回路Dを構成する。
【0039】
次いで、第5液圧ポンプ16の一方の入出力ポートに流路206が接続され、他方の入出力ポートに流路207が接続されている。これら流路206,207には、複数、例えば4つの切換弁47a,47b,47c,47dが接続されている。切換弁47a,47b,47cは、第5液圧ポンプ16に対して閉回路状に接続されたブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5への作動油の供給を切り換えるための閉回路用切換部である。また、切換弁47dは、第5液圧ポンプ16に対して閉回路状に接続された旋回装置7への作動油の供給を切り換えるための液圧モータ用の閉回路用切換部である。そして、切換弁47a,47b,47c,47dは、コントローラ57から出力される操作信号に応じて、流路の導通と遮断とを切り換える構成とされ、コントローラ57からの操作信号の出力が無い場合に遮断状態となる。コントローラ57は、切換弁47a,47b,47c,47dが同時に導通状態にならないように制御する。
【0040】
さらに、切換弁47aは、流路212,213を介してブームシリンダ1に接続されている。よって、第5液圧ポンプ16は、コントローラ57からの操作信号により切換弁47aが導通状態になった場合に、流路206,207、切換弁47aおよび流路212,213を介してブームシリンダ1に閉回路状に接続される閉回路Aを構成する。また、切換弁47bは、流路214,215を介してアームシリンダ3に接続されている。よって、第5液圧ポンプ16は、コントローラ57からの操作信号により切換弁47bが導通状態になった場合に、流路206,207、切換弁47bおよび流路214,215を介してアームシリンダ3に閉回路状に接続される閉回路Bを構成する。
【0041】
また、切換弁47cは、流路216,217を介してバケットシリンダ5に接続されている。よって、第5液圧ポンプ16は、コントローラ57からの操作信号により切換弁47cが導通状態になった場合に、流路206,207、切換弁47cおよび流路216,217を介してバケットシリンダ5に閉回路状に接続される閉回路Cを構成する。さらに、切換弁47dは、流路218,219を介して旋回装置7に接続されている。よって、第5液圧ポンプ16は、コントローラ57からの操作信号により切換弁47dが導通状態になった場合に、流路206,207、切換弁47dおよび流路218,219を介して旋回装置7と閉回路状に接続される閉回路Dを構成する。
【0042】
次いで、第7液圧ポンプ18の一方の入出力ポートに流路209が接続され、他方の入出力ポートに流路210が接続されている。これら流路209,210には、複数、例えば4つの切換弁49a,49b,49c,49dが接続されている。切換弁49a,49b,49cは、第7液圧ポンプ18に対して閉回路状に接続されたブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5への作動油の供給を切り換えるための閉回路用切換部である。また、切換弁49dは、第7液圧ポンプ18に対して閉回路状に接続された旋回装置7への作動油の供給を切り換えるための液圧モータ用の閉回路用切換部である。そして、切換弁49a,49b,49c,49dは、コントローラ57から出力される操作信号に応じて、流路の導通と遮断とを切り換える構成とされ、コントローラ57からの操作信号の出力が無い場合は遮断状態とされる。コントローラ57は、切換弁49a,49b,49c,49dが同時に導通状態にならないように制御する。
【0043】
そして、切換弁49aは、流路212,213を介してブームシリンダ1に接続されている。よって、第7液圧ポンプ18は、コントローラ57からの操作信号により切換弁49aが導通状態になった場合に、流路209,210、切換弁49aおよび流路212,213を介してブームシリンダ1と閉回路状に接続される閉回路Aを構成する。また、切換弁49bは、流路214,215を介してアームシリンダ3に接続されている。よって、第7液圧ポンプ18は、コントローラ57からの操作信号により切換弁49bが導通状態になった場合に、流路209,210、切換弁49bおよび流路214,215を介してアームシリンダ3に閉回路状に接続される閉回路Bを構成する。
【0044】
さらに、切換弁49cは、流路216,217を介してバケットシリンダ5に接続されている。よって、第7液圧ポンプ18は、コントローラ57からの操作信号により切換弁49cが導通状態になった場合に、流路209,210、切換弁49cおよび流路216,217を介してバケットシリンダ5に閉回路状に接続される閉回路Cを構成する。また、切換弁49dは、流路218,219を介して旋回装置7に接続されている。よって、第7液圧ポンプ18は、コントローラ57からの操作信号により切換弁49dが導通状態になった場合に、流路209,210、切換弁49dおよび流路218,219を介して旋回装置7に閉回路状に接続される閉回路Dを構成する。
【0045】
さらに、第2液圧ポンプ13の一方の入出力ポートには、流路202を介して複数、例えば4つの切換弁44a,44b,44c,44dと、リリーフ弁21とが接続されている。第2液圧ポンプ13の他方の入出力ポートは、作動油タンク25に接続されて開回路Eとされている。切換弁44a,44b,44c,44dは、コントローラ57から出力される操作信号に応じて流路202の導通と遮断とを切り換え、第2液圧ポンプ13から流出される作動油の供給先を、後述する連結流路301,302,303,304に切り換える開回路切換部とされ、コントローラ57からの操作信号の出力が無い場合に遮断状態とされる。コントローラ57は、切換弁44a,44b,44c,44dが同時に導通状態にならないように制御する。
【0046】
また、切換弁44aは、連結流路301と流路212とを介してブームシリンダ1に接続されている。この連結流路301は、流路212から分岐されて設けられた連結管路である。また、切換弁44bは、連結流路302と流路214とを介してアームシリンダ3に接続されている。この連結流路302は、流路214から分岐されて設けられた連結管路である。さらに、切換弁44cは、連結流路303と流路216とを介してバケットシリンダ5に接続されている。この連結流路303は、流路216から分岐されて設けられた連結管路である。また、切換弁44dは、連結流路304と流路220と介して、走行装置8a,8bへの作動油の給排出を制御するコントロールバルブである
方向切換弁54,55に接続されている。一方、リリーフ弁21は、流路202内の作動油圧が所定の圧力以上になった場合に、この流路202内の作動油を作動油タンク25へ逃がして流路202、ひいては油圧駆動装置105(油圧回路)を保護する。
【0047】
また、流路202と作動油タンク25との間には、圧力補償付きの流量調整弁としての流量制御弁64が接続されている。流量制御弁64は、切換弁44a,44b,44c,44dと第2液圧ポンプ13とを繋ぐ管路である流路202から分岐されて作動油タンク25へ繋がる管路上に接続されている。よって、流量制御弁64は、コントローラ57から出力される操作信号に応じて、流路202から作動油タンク25に流す作動油の流量を制御する。また、流量制御弁64は、コントローラ57からの操作信号の出力が無い場合は遮断状態とされる。
【0048】
さらに、第4液圧ポンプ15の一方の入出力ポートには、流路205を介して複数、例えば4つの切換弁46a,46b,46c,46dと、リリーフ弁22とが接続されている。第4液圧ポンプ15の他方の入出力ポートは、作動油タンク25に接続されて開回路Fとされている。切換弁46a,46b,46c,46dは、コントローラ57から出力される操作信号に応じて流路205の導通と遮断とを切り換え、第4液圧ポンプ15から流出される作動油の供給先を、連結流路301,302,303,304に切り換える開回路切換部とされ、コントローラ57からの操作信号の出力が無い場合に遮断状態とされる。コントローラ57は、切換弁46a,46b,46c,46dが同時に導通状態にならないように制御する。
【0049】
また、切換弁46aは、連結流路301および流路212を介してブームシリンダ1に接続されている。切換弁46bは、連結流路302および流路214を介してアームシリンダ3に接続されている。また、切換弁46cは、連結流路303および流路216を介してバケットシリンダ5に接続されている。切換弁46dは、連結流路304および流路220を介して
方向切換弁54,55に接続されている。一方、リリーフ弁22は、流路205内の作動油圧が所定の圧力以上になった場合に、この流路205内の作動油を作動油タンク25へ逃がして流路205を保護する。
【0050】
また、流路205と作動油タンク25との間には、圧力補償付きの流量調整弁としての流量制御弁65が接続されている。流量制御弁65は、切換弁46a,46b,46c,46dと第4液圧ポンプ15とを繋ぐ管路である流路205から分岐されて作動油タンク25へ繋がる管路上に接続されている。よって、流量制御弁65は、コントローラ57から出力される操作信号に応じて、流路205から作動油タンク25に流す作動油の流量を制御する。また、流量制御弁65は、コントローラ57からの操作信号の出力が無い場合は遮断状態とされる。
【0051】
さらに、第6液圧ポンプ17の一方の入出力ポートには、流路208を介して複数、例えば4つの切換弁48a,48b,48c,48dと、リリーフ弁23とが接続されている。第6液圧ポンプ17の他方の入出力ポートは、作動油タンク25に接続されて開回路Gとされている。切換弁48a,48b,48c,48dは、コントローラ57から出力される操作信号に応じて流路208の導通と遮断とを切り換え、第6液圧ポンプ17から流出される作動油の供給先を、連結流路301,302,303,304に切り換える開回路切換部とされ、コントローラ57からの操作信号の出力が無い場合に遮断状態とされる。コントローラ57は、切換弁48a,48b,48c,48dが同時に導通状態にならないように制御する。
【0052】
また、切換弁48aは、連結流路301および流路212を介してブームシリンダ1に接続されている。切換弁48bは、連結流路302および流路214を介してアームシリンダ3に接続されている。また、切換弁48cは、連結流路303および流路216を介してバケットシリンダ5に接続されている。切換弁48dは、連結流路304および流路220を介して
方向切換弁54,55に接続されている。一方、リリーフ弁23は、流路208内の作動油圧が所定の圧力以上になった場合に、この流路208内の作動油を作動油タンク25へ逃がして流路208を保護する。
【0053】
また、流路208と作動油タンク25との間には、圧力補償付きの流量調整弁としての流量制御弁66が接続されている。流量制御弁66は、切換弁48a,48b,48c,48dと第6液圧ポンプ17とを繋ぐ管路である流路208から分岐されて作動油タンク25へ繋がる管路上に接続されている。よって、流量制御弁66は、コントローラ57から出力される操作信号に応じて、流路208から作動油タンク25に流す流量を制御する。また、流量制御弁66は、コントローラ57からの操作信号の出力が無い場合は遮断状態とされる。
【0054】
さらに、第8液圧ポンプ19の一方の入出力ポートには、流路211を介して複数、例えば4つの切換弁50a,50b,50c,50dと、リリーフ弁24とが接続されている。第8液圧ポンプ19の他方の入出力ポートは、作動油タンク25に接続されて開回路Hとされている。切換弁50a,50b,50c,50dは、コントローラ57から出力される操作信号に応じて流路211の導通と遮断とを切り換え、第8液圧ポンプ19から流出される作動油の供給先を、連結流路301,302,303,304に切り換える開回路切換部とされ、コントローラ57からの操作信号の出力がない場合は遮断状態とされる。コントローラ57は、切換弁50a,50b,50c,50dが同時に導通状態にならないように制御する。
【0055】
また、切換弁50aは、連結流路301および流路212を介してブームシリンダ1に接続されている。切換弁50bは、連結流路302および流路214を介してアームシリンダ3に接続されている。また、切換弁50cは、連結流路303および流路216を介してバケットシリンダ5に接続されている。切換弁50dは、連結流路304および流路220を介して
方向切換弁54,55に接続されている。一方、リリーフ弁24は、流路211内の作動油圧が所定の圧力以上になった場合に、この流路211内の作動油を作動油タンク25へ逃がして流路211を保護する。
【0056】
また、流路211と作動油タンク25との間には、圧力補償付きの流量制御弁67が接続されている。流量制御弁67は、切換弁50a,50b,50c,50dと第8液圧ポンプ19とを繋ぐ管路である流路211から分岐されて作動油タンク25へ繋がる管路上に接続されている。よって、流量制御弁67は、コントローラ57から出力される操作信号に応じて、流路211から作動油タンク25に流す作動油の流量を制御する。また、流量制御弁67は、コントローラ57からの操作信号の出力が無い場合は遮断状態とされる。
【0057】
ここで、連結流路301は、複数の開回路E,F,G,Hのうちの少なくとも1つの切換弁44a,46a,48a,50aの作動油が流出される側である吐出側に接続される開回路用接続流路305a,306a,307a,308aと、閉回路Aを構成する流路212に接続される閉回路用接続流路309aとで構成されている。連結流路302は、複数の開回路E,F,G,Hのうちの少なくとも1つの切換弁44b,46b,48b,50bの作動油が流出される側である吐出側に接続される開回路用接続流路305b,306b,307b,308bと、閉回路Bを構成する流路214に接続される閉回路用接続流路309bとで構成されている。連結流路303は、複数の開回路E,F,G,Hのうちの少なくとも1つの切換弁44c,46c,48c,50cの作動油が流出される側である吐出側に接続される開回路用接続流路305c,306c,307c,308cと、閉回路Cを構成する流路216に接続される閉回路用接続流路309cとで構成されている。また
連結流路304は、複数の開回路E,F,G,Hのうちの少なくとも1つの切換弁44d,46d,48d,50dの作動油が流出される側である吐出側に接続される開回路用接続流路305d,306d,307d,308dと、流路220に接続される接続流路309dとで構成されている。
【0058】
油圧駆動装置105は、第1、第3、第5および第7液圧ポンプ12,14,16,18とブームシリンダ1、アームシリンダ3、バケットシリンダ5および旋回装置7とが、液圧ポンプの一方の入出力ポートから油圧アクチュエータを介して他方の入出力ポートへ閉回路状に接続される閉回路A,B,C,Dから構成され、さらに第2、第4、第6および第8液圧ポンプ13,15,17,19と、切換弁44a,44b,44c,44d,46a,46b,46c,46d,48a,48b,48c,48d,50a,50b,50c,50dとが、液圧ポンプの一方の入出力ポートに切換弁を接続し、他方の入出力ポートに作動油タンク25を接続した開回路E,F,G,Hとから構成されている。さらに、これら閉回路A,B,C,Dおよび開回路E,F,G,Hは、例えば4回路ずつ設けられ、対をなして設けられている。
【0059】
一方、チャージポンプ11の吐出口は、流路229を介してチャージ用リリーフ弁20、およびチャージ用チェック弁26,27,28,29,40a,40b,41a,41b,42a,42bに接続されている。チャージポンプ11の吸込口は、作動油タンク25に接続されている。ここで、チャージ用リリーフ弁20は、チャージ用チェック弁26,27,28,29,40a,40b,41a,41b,42a,42bのチャージ圧力を調整する。
【0060】
また、チャージ用チェック弁26は、流路200,201内の作動油圧が、チャージ用リリーフ弁20で設定した圧力を下回った場合に、流路200,201にチャージポンプ11から作動油を供給する。同様に、チャージ用チェック弁27は、流路203,204内の作動油圧が、チャージ用リリーフ弁20で設定した圧力を下回った場合に、流路203,204にチャージポンプ11から作動油を供給する。また、チャージ用チェック弁28は、流路206,207内の作動油圧が、チャージ用リリーフ弁20で設定した圧力を下回った場合に、流路206,207にチャージポンプ11から作動油を供給する。また同様に、チャージ用チェック弁29は、流路209,210内の作動油圧が、チャージ用リリーフ弁20で設定した圧力下回った場合に、流路209,210にチャージポンプ11から作動油を供給する。
【0061】
さらに、チャージ用チェック弁40a,40bは、流路212,213内の作動油圧が、チャージ用リリーフ弁20で設定した圧力を下回った場合に、流路212,213にチャージポンプ11から作動油を供給する。同様に、チャージ用チェック弁41a,41bは、流路214,215内の作動油圧が、チャージ用リリーフ弁20で設定した圧力を下回った場合に、流路214,215にチャージポンプ11から作動油を供給する。また、チャージ用チェック弁42a,42bは、流路216,217内の作動油圧が,チャージ用リリーフ弁20で設定した圧力を下回った場合に、流路216,217にチャージポンプ11から作動油を供給する。
【0062】
また、流路200,201間には、一対のリリーフ弁30a,30bが接続されている。リリーフ弁30a,30bは、流路200,201内の作動油圧が所定の圧力以上になった場合に、これら流路200,201内の作動油を、チャージ用リリーフ弁20を介して作動油タンク25へ逃がして流路200,201を保護する。同様に、流路203,204間には、一対のリリーフ弁31a,31bが接続されている。リリーフ弁31a,31bは、流路203,204内の作動油圧が所定の圧力以上になった場合に、これら流路203,204内の作動油を、チャージ用リリーフ弁20を介して作動油タンク25へ逃がして流路203,204を保護する。
【0063】
さらに、流路206,207間にもまた、リリーフ弁32a,32bが接続されている。リリーフ弁32a,32bは、流路206,207内の作動油圧が所定の圧力以上になった場合に、これら流路206,207内の作動油を、チャージ用リリーフ弁20を介して作動油タンク25へ逃がして流路206,207を保護する。また、流路209,210間にも、リリーフ弁33a,33bが接続されている。リリーフ弁33a,33bは、流路209,210内の作動油圧が所定の圧力以上になった場合に、これら流路209,210内の作動油を、チャージ用リリーフ弁20を介して作動油タンク25へ逃がして流路209,210を保護する。
【0064】
次いで、流路212は、ブームシリンダ1のボトム室1aに接続されている。流路213は、ブームシリンダ1のロッド室1bに接続されている。そして、流路212,213間には、リリーフ弁37a,37bが接続されている。リリーフ弁37a,37bは、流路212,213内の作動油圧が所定の圧力以上になった場合に、流路212,213内の作動油を、チャージ用リリーフ弁20を介して作動油タンク25に逃がして流路212,213を保護する。さらに、流路212,213間には、フラッシング弁34が接続されている。フラッシング弁34は、流路212,213内の余剰分の作動油(余剰油)を、チャージ用リリーフ弁20を介して作動油タンク25に排出させる。
【0065】
また、流路214は、アームシリンダ3の
ボトム室3aに接続されている。流路215は、アームシリンダ3のロッド室3bに接続されている。さらに、流路214,215間には、リリーフ弁38a,38bが接続されている。リリーフ弁38a,38bは、流路214,215内の作動油圧が所定の圧力以上になった場合に、流路214,215内の作動油を、チャージ用リリーフ弁20を介して作動油タンク25へ逃がして流路214,215を保護する。さらに、流路214,215間には、フラッシング弁35が接続されている。フラッシング弁35は、流路214,215内の余剰分の作動油を、チャージ用リリーフ弁20を介して作動油タンク25に排出させる。
【0066】
また、流路216は、バケットシリンダ5の
ボトム室5aに接続されている。流路217は、バケットシリンダ5のロッド室5bに接続されている。さらに、流路216,217間には、リリーフ弁39a,39bが接続されている。リリーフ弁39a,39bは、流路216,217内の作動油圧が所定の圧力以上になった場合に、流路216,217内の作動油を、チャージ用リリーフ弁20を介して作動油タンク25へ逃がして流路216,217を保護する。さらに、流路216,217間には、フラッシング弁36が接続されている。フラッシング弁36は、流路216,217内の余剰分の作動油を、チャージ用リリーフ弁20を介して作動油タンク25に排出させる。
【0067】
さらに、流路218,219は、旋回装置7にそれぞれ接続されている。また、流路218,219間には、リリーフ弁51a,51bが接続されている。リリーフ弁51a,51bは、流路218,219間の作動油の圧力差(流路圧力差)が所定の圧力以上になった場合に、高圧側の流路218,219内の作動油を低圧側の流路219,218へ逃がして流路218,219を保護する。
【0068】
また、
方向切換弁54と走行装置8aとは、流路221,222にて接続されている。流路221,222間には、リリーフ弁52a,52bが接続されている。リリーフ弁52a,52bは、流路221,222間の作動油の圧力差が所定の圧力以上になった場合に、高圧側の流路221,222内の作動油を低圧側の流路222,221へ逃がして流路221,222を保護する。
方向切換弁54は、コントローラ57から出力される操作信号に応じて、流路220と作動油タンク25との接続先を、流路221および流路222のいずれかに切り換える構成とされ、流量調整可能とされている。
【0069】
さらに、
方向切換弁55と走行装置8bとは、流路223,224にて接続されている。流路223,224間には、リリーフ弁53a,53bが接続されている。リリーフ弁53a,53bは、流路223,224間の作動油の圧力差が所定の圧力以上になった場合に、高圧側の流路223,224内の作動油を低圧側の流路224,223へ逃がして流路223,224を保護する。
方向切換弁55は、コントローラ57から出力される操作信号に応じて、流路220と作動油タンク25との接続先を、流路223および流路224のいずれかに切り換える構成とされ、流量調整可能とされている。
【0070】
コントローラ57は、操作レバー装置56からのブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5の伸縮方向および伸縮速度の指令値と、旋回装置7および走行装置8a,8bの回転方向および回転速度の指令値と、油圧駆動装置105内の種々のセンサ情報に基づいて、各レギュレータ12a,13a,・・・19a、切換弁43a,44a,・・・50a,43b,44b,・・・50b,43c,44c,・・・,50c,43d,44d,・・・50d、および
方向切換弁54,55を制御する。
【0071】
具体的に、コントローラ57は、例えば、ブームシリンダ1のボトム室1aおよびロッド室1bに接続された流路212側の第1液圧ポンプ12の流量である第1流量と、連結流路301に切換弁44aを介して接続された第2液圧ポンプ13の流量である第2流量との比が、ブームシリンダ1のボトム室1aとロッド室1bとの受圧面積に応じて予め設定された所定値となるように、これら第1流量および第2流量を制御する受圧面積比制御を行う。同様に、コントローラ57は、ブームシリンダ1以外のアームシリンダ3およびバケットシリンダ5についても、上記受圧面積比制御を行う。
【0072】
また、コントローラ57は、ブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5のうちの少なくとも1つ以上を動作させた際に、切換弁43a,44a,・・・50a,43b,44b,・・・50b,43c,44c,・・・,50c,43d,44d,・・・50dを適宜制御して、対応する第1、第3、第5および第7液圧ポンプ12,14,16,18と同じ台数の第2、第4、第6および第8液圧ポンプ13,15,17,19から吐出される作動油を、動作させるブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5のうちの少なくとも1つ以上に供給させる。
【0073】
さらに、操作レバー装置56の操作レバー56aは、ブームシリンダ1の伸縮方向および伸縮速度の指令値をコントローラ57に与える。操作レバー56bは、アームシリンダ3の伸縮方向および伸縮速度の指令値をコントローラ57に与え、操作レバー56cは、バケットシリンダ5の伸縮方向および伸縮速度の指令値をコントローラ57に与える。さらに、操作レバー56dは、旋回装置7の回転方向および回転速度の指令値をコントローラ57に与える。なお、走行装置8a,8bの回転方向および回転速度の指令値をコントローラ57に与える操作レバー(図示せず)も備えた構成とされている。
【0074】
<駆動方法>
次に、上記第1実施形態に係る油圧駆動装置105の駆動方法につき、ブームシリンダ1を単独で動作させる単独動作時と、ブームシリンダ1に加え他のアームシリンダ3、バケットシリンダ5および旋回装置7を複合的に動作させる複合動作時を例とし、開回路
E,F,G,Hおよび閉回路
A,B,C,Dの第1ないし第8液圧ポンプ12,13,・・・19を組み合わせた動作について、
図3を参照して説明する。なお、以下の説明においては、閉回路
A,B,C,Dに接続された第1、第3、第5および第7液圧ポンプ12,14,16,18のそれぞれを同容量と仮定する。さらに、ブームシリンダ1、アームシリンダ3、およびバケットシリンダ5の受圧面積比(ロッド室受圧面積/ボトム(ヘッド)室受圧面積)がそれぞれ異なり、アームシリンダ3の受圧面積比>ブームシリンダ1の受圧面積比>バケットシリンダ5の受圧面積比の関係であると仮定する。
【0075】
図3は、油圧駆動装置105のブーム上げ動作時の状態を示すタイムチャートである。そして、(a)は操作レバー56aの操作量、(b)は操作レバー56bの操作量、(c)は操作レバー56cの操作量、(d)は操作レバー56dの操作量、(e)は切換弁43a,44aの状態である。(f)は第1液圧ポンプ12の流量、(g)は第2液圧ポンプ13の流量、(h)は切換弁45a,46aの状態、(i)は切換弁45b,46bの状態、(j)は第3液圧ポンプ14の流量である。(k)は第4液圧ポンプ15の流量、(l)は切換弁47a,48aの状態、(m)は切換弁47b,48bの状態、(n)は第5液圧ポンプ16の流量、(o)は第6液圧ポンプ17の流量である。(p)は切換弁49a,50aの状態、(q)は切換弁49dの状態、(r)は第7液圧ポンプ18の流量、(s)は第8液圧ポンプ19の流量、(t)はブームシリンダ1の動作速度である。
【0076】
(停止時:t0〜t1)
図3において、操作レバー装置56の各操作レバー56a,56b,56c,56dが何ら操作されていない非操作時(t0)においては、第1ないし第8液圧ポンプ12,13,・・・,19の各斜板の傾転角が最小傾転角となるように駆動制御され、これら第1ないし第8液圧ポンプ12,13,・・・,19の吐出流量がゼロ(0)とされている。このとき、切換弁43,44,・・・,50および
方向切換弁54,55の全てが遮断状態に制御されており、ブームシリンダ1、アームシリンダ3、バケットシリンダ5、旋回装置7および走行装置8a,8bのそれぞれが停止状態で保持されている。
【0077】
(ブーム上げ単独時:t1〜t6)
図3において、操作レバー装置56のうちの操作レバー56aによってブーム上げを指示する操作が行われた場合(t1)には、コントローラ57にて第1液圧ポンプ12のレギュレータ12aが制御され、この第1液圧ポンプ12から流路200へ作動油が吐出されるように第1液圧ポンプ12の斜板が駆動される。同時に、コントローラ57にて第2液圧ポンプ13のレギュレータ13aが制御され、第2液圧ポンプ13から流路202へ作動油が吐出されるように斜板が駆動される。このとき、コントローラ57にて切換弁43a,44aが導通制御される。
【0078】
そして、操作レバー56aの操作値がX1に到達する時(t2)には、第1液圧ポンプ12の吐出流量がQcp1となり、第2液圧ポンプ13の吐出流量がQop1となる。このとき、コントローラ57にて上記受圧面積比制御が行われ、ブームシリンダ1のボトム室1aの受圧面積(Aa1)とロッド室1bの受圧面積(Aa2)との面積比(Aa1:Aa2)と、第1および第2液圧ポンプ12,13の流量比{(Qcp1+Qop1):Qcp1}とが等しくなるように、これら第1および第2液圧ポンプ12,13の吐出流量(Qcp1,Qop1)が決定される。さらに、コントローラ57にて第1液圧ポンプ12の吐出流量と第2液圧ポンプ13の吐出流量との比が、Qcp1:Qop1の関係を維持しながら変化するように、これら第1および第2液圧ポンプ12,13の吐出流量が制御される。このとき、操作レバー56aの操作値がX1に到達した時(t2)は、ブームシリンダ1の動作速度がV1となる。
【0079】
また、操作レバー56aの操作量がX1を越えた場合には、コントローラ57にて第3液圧ポンプ14のレギュレータ14aが制御され、この第3液圧ポンプ14から流路203へ作動油が吐出されるように第3液圧ポンプ14の斜板が駆動される。同時に、コントローラ57にて第4液圧ポンプ15のレギュレータ15aが制御され、第4液圧ポンプ15から流路205へ作動油が吐出されるように斜板が駆動される。このとき、コントローラ57にて切換弁45a,46aが導通制御される。
【0080】
そして、操作レバー56aの操作値がX2に到達する時(t3)には、第3液圧ポンプ14の吐出流量がQcp1となり、第4液圧ポンプ15の吐出流量がQop1となる。このときもまた、コントローラ57にて上記受圧面積比制御が行われ、第3液圧ポンプ14の吐出流量と第4液圧ポンプ15の吐出流量の比が、Qcp1:Qop1の関係を維持しながら変化するように、これら第3および第4液圧ポンプ14,15の吐出流量が制御される。このとき、操作レバー56aの操作量がX2に到達した時(t3)は、ブームシリンダ1の動作速度がV2となる。
【0081】
また、操作レバー56aの操作量がX2を越えた場合には、コントローラ57にて第5液圧ポンプ16のレギュレータ16aが制御され、この第5液圧ポンプ16から流路206へ作動油が吐出されるように第5液圧ポンプ16の斜板が駆動される。同時に、コントローラ57にて第6液圧ポンプ17のレギュレータ17aが制御され、第6液圧ポンプ17から流路208へ作動油が吐出されるように斜板が駆動される。このとき、コントローラ57にて切換弁47a,48aが導通制御される。
【0082】
そして、操作レバー56aの操作量がX3に到達する時(t4)には、第5液圧ポンプ16の吐出流量がQcp1となり、第6液圧ポンプ17の吐出流量がQop1となる。このときもまた、コントローラ57にて上記受圧面積比制御が行われ、第5液圧ポンプ16の吐出流量と第6液圧ポンプ17の吐出流量との比が、Qcp1:Qop1の関係を維持しながら変化するように、これら第5および第6液圧ポンプ16,17の吐出流量が制御される。このとき、操作レバー56aの操作量がX3に到達した時(t4)は、ブームシリンダ1の動作速度がV3となる。
【0083】
また、操作レバー56aの操作量がX3を越えた場合には、コントローラ57にて第7液圧ポンプ18のレギュレータ18aが制御され、この第7液圧ポンプ18から流路209へ作動油が吐出されるように第7液圧ポンプ18の斜板が駆動される。同時に、コントローラ57にて第8液圧ポンプ19のレギュレータ19aが制御され、第8液圧ポンプ19から流路211へ作動油が吐出されるように斜板が駆動される。このとき、コントローラ57にて切換弁49a,50aが導通制御される。
【0084】
そして、操作レバー56aの操作量がX4に到達する時(t5)には、第7液圧ポンプ18の吐出流量がQcp1となり、第8液圧ポンプ19の吐出流量がQop1となる。このときもまた、コントローラ57にて上記受圧面積比制御が行われ、第7液圧ポンプ18の吐出流量と第8液圧ポンプ19の吐出流量との比が、Qcp1:Qop1の関係を維持しながら変化するように、これら第7および第8液圧ポンプ18,19の吐出流量が制御される。このとき、操作レバー56aの操作量がX4に到達した時(t5)は、ブームシリンダ1の動作速度がV4となる。
【0085】
(ブーム上げ+アームクラウド複合時:t6〜t9)
図3において、操作レバー56aの操作量がX4でブームシリンダ1が単独動作している状態から操作レバー56bによってアームクラウドを指示する操作が行われた場合(t6)には、コントローラ57にて第3液圧ポンプ14のレギュレータ14aが制御され、この第3液圧ポンプ14の斜板の傾転角が最小傾転角となるように駆動され、この第3液圧ポンプ14の吐出流量がゼロ(0)とされる。同時に、コントローラ57にて第4液圧ポンプ15のレギュレータ15aが制御され、この第4液圧ポンプ15の斜板の傾転角が最小傾転角となるように駆動され、この第4液圧ポンプ15の吐出流量がゼロ(0)とされる。
【0086】
この後、これら第3および第4液圧ポンプ14,15の吐出流量がゼロとなった時(t7)には、コントローラ57にて切換弁45a,46aが遮断制御された後、切換弁45b,46bが導通制御される。同時に、コントローラ57にて第3の液圧ポンプ14のレギュレータ14aが制御され、この第3液圧ポンプ14から流路203へ作動油が吐出されるように第3液圧ポンプ14の斜板が駆動されるとともに、第4液圧ポンプ15のレギュレータ15aが制御され、第4液圧ポンプ15から流路205へ作動油が吐出されるように斜板が駆動される。
【0087】
そして、操作レバー56bの操作量がX1に到達する時(t8)には、第3液圧ポンプ14の吐出流量がQcp1となり、第4液圧ポンプ15の吐出流量がQop2(>Qop1)となる。このとき、コントローラ57にて上記受圧面積比制御が行われ、アームシリンダ3の
ボトム室3aの面積(Ab1)とロッド室3bの面積(Ab2)の面積比(Ab1:Ab2)と、第3および第4液圧ポンプ14,15の流量比{(Qcp1+Qop2):Qcp1}とが等しくなるように、これら第3および第4液圧ポンプ14,15の吐出流量(Qcp1,Qop2)が決定される。さらに、コントローラ57にて第3液圧ポンプ14の吐出流量と第4液圧ポンプ15の吐出流量との比が、Qcp1:Qop2の関係を維持しながら変化するように、これら第3および第4液圧ポンプ14,15の吐出流量が制御される。
【0088】
すなわち、操作レバー56bが操作された場合には、第3液圧ポンプ14の吐出流量(Qcp1)および第4液圧ポンプ15の吐出流量(Qop1)分ほど、ブームシリンダ1へ供給される作動油が減少してしまうため、ブームシリンダ1の動作速度がV3となる。なお、この状態で、操作レバー56bの操作量がゼロ(0)とされた場合には、従前の元の状態(t5)に復帰され、ブームシリンダ1の動作速度がV4となる(図示せず)。
【0089】
(ブーム上げ+アームクラウド+バケットクラウド複合時:t9〜t12)
図3において、操作レバー56a,56bの操作量がそれぞれX4でブームシリンダ1およびアームシリンダ3が複合動作している状態から操作レバー56cによってバケットクラウドを指示する操作が行われた場合(t9)には、コントローラ57にて第5液圧ポンプ16のレギュレータ16aが制御され、この第5液圧ポンプ16の斜板の傾転角が最小傾転角となるように駆動され、この第5液圧ポンプ16の吐出流量がゼロ(0)とされる。同時に、コントローラ57にて第6液圧ポンプ17のレギュレータ17aが制御され、この第6液圧ポンプ17の斜板の傾転角が最小傾転角となるように駆動され、この第6液圧ポンプ17の吐出流量がゼロ(0)とされる。
【0090】
この後、これら第5および第6液圧ポンプ16,17の吐出流量がゼロとなった時(t10)には、コントローラ57にて切換弁47a,48aが遮断制御された後、切換弁47c,48cが導通制御される。同時に、コントローラ57にて第5液圧ポンプ16のレギュレータ16aが制御され、この第5液圧ポンプ16から流路206へ作動油が吐出されるように第5液圧ポンプ
16の斜板が駆動されるとともに、第6液圧ポンプ17のレギュレータ17aが制御され、第6液圧ポンプ17から流路208へ作動油が吐出されるように斜板が駆動される。
【0091】
そして、操作レバー56cの操作量がX1に到達する時(t11)には、第5液圧ポンプ16の吐出流量がQcp1となり、第6液圧ポンプ17の吐出流量がQop3(<Qop1)となる。このとき、コントローラ57にて上記受圧面積比制御が行われ、バケットシリンダ5の
ボトム室5aの面積(Ac1)とロッド室5bの面積(Ac2)との面積比(Ac1:Ac2))と、第5および第6液圧ポンプ16,17の流量比{(Qcp1+Qop3):Qop3}とが等しくなるように、これら第5および第6液圧ポンプ16,17の吐出流量(Qcp1,Qop3)が決定される。さらに、コントローラ57にて第5液圧ポンプ16の吐出流量と第6液圧ポンプ17の吐出流量との比が、Qcp1:Qop3の関係を維持しながら変化するように、これら第5および第6液圧ポンプ16,17の吐出流量が制御される。
【0092】
すなわち、操作レバー56cが操作された場合には、第5液圧ポンプ16の吐出流量Qcp1および第6液圧ポンプ17の吐出流量Qop1分ほど、ブームシリンダ1へ供給される作動油が減少してしまうため、ブームシリンダ1の動作速度がV2となる。なお、この状態で、操作レバー56cの操作量がゼロ(0)とされた場合には、従前の元の状態(t8)に復帰され、ブームシリンダ1の動作速度がV3となる(図示せず)。
【0093】
(ブーム上げ+アームクラウド+バケットクラウド+旋回複合時:t12〜t16)
図3において、操作レバー56a,56b,56cの操作量がそれぞれX4でブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5が複合動作している状態から操作レバー56dによって左右どちらかの旋回を指示する操作が行われた場合(t12)には、コントローラ57にて第7液圧ポンプ18のレギュレータ18aが制御され、この第7液圧ポンプ18の斜板の傾転角が最小傾転角となるように駆動され、この第7液圧ポンプ18の吐出流量がゼロ(0)とされる。同時に、コントローラ57にて第8液圧ポンプ19のレギュレータ19aが制御され、この第8液圧ポンプ19の斜板の傾転角が最小傾転角となるように駆動され、この第8液圧ポンプ19の吐出流量がゼロ(0)とされる。
【0094】
この後、これら第7および第8液圧ポンプ18,19の吐出流量がゼロとなった時(t13)には、コントローラ57にて切換弁49a,50aが遮断制御された後、切換弁49dが導通制御される。また同時に、コントローラ57にて第7液圧ポンプ18のレギュレータ18aが制御され、この第7液圧ポンプ18から流路209へ作動油が吐出されるように第7液圧ポンプ18の斜板が駆動される。
【0095】
そして、操作レバー56dの操作量がX1に到達する時(t14)には、第7液圧ポンプ18の吐出流量がQcp1となる。すなわち、操作レバー56dが操作された場合には、第7液圧ポンプ18の吐出流量(Qcp1)および第8液圧ポンプ19の吐出流量(Qop1)分ほど、ブームシリンダ1へ供給される作動油が減少してしまうため、ブームシリンダ1の動作速度がV1となる。なお、この状態で、操作レバー56dの操作量がゼロ(0)とされた場合には、従前の元の状態(t11)に復帰され、ブームシリンダ1の動作速度がV2となる(図示せず)。
【0096】
さらに、走行装置8a,8bの回転方向および回転速度の指令値が操作レバー装置56からコントローラ57へ入力された場合には、コントローラ57にて切換弁50dが導通制御されるとともに、第8液圧ポンプ19のレギュレータ19aが制御され、この第8液圧ポンプ19の斜板が駆動される。さらに、操作レバー装置56から入力された指令値に応じて、コントローラ57にて
方向切換弁54,55の絞り量が調整され、走行装置8a,8bの回転方向および回転速度が制御される。
【0097】
この後、各操作レバー56a,56b,56c,56dの操作量がX4の状態(t15)からゼロの状態(t16)へ戻された場合には、コントローラ57にて第1ないし第7液圧ポンプ12,13,・・・,18のレギュレータ12a,13a,・・・,18aが制御され、これら第1ないし第7液圧ポンプ12,13,・・・,18の吐出流量がゼロにされる。同時に、コントローラ75にて各切換弁43a,44a,45b,46b,47c,48c,49dが遮断制御され、ブームシリンダ1、アームシリンダ3、バケットシリンダ5および旋回装置7の駆動が停止される(t17)。
【0098】
図4は、油圧駆動装置105のブーム下げ動作時の状態を示すタイムチャートである。そして、(a)は操作レバー56aの操作量、(b)は操作レバー56bの操作量、(c)は操作レバー56cの操作量、(d)は操作レバー56dの操作量、(e)は切換弁43a,44aの状態である。(f)は第1液圧ポンプ12の流量、(g)は流量制御弁64の状態、(h)は切換弁45a,46aの状態、(i)は切換弁45b,46bの状態、(j)は第3液圧ポンプ14の流量である。(k)は流量制御弁65の状態、(l)は切換弁47a,48aの状態、(m)は切換弁47b,48bの状態、(n)は第5液圧ポンプ16の流量、(o)は流量制御弁66の状態である。(p)は切換弁49a,50aの状態、(q)は切換弁49dの状態、(r)は第7液圧ポンプ18の流量、(s)は流量制御弁67の状態、(t)はブームシリンダ1の動作速度である。
【0099】
(ブーム下げ単独時:t1〜t6)
図4において、操作レバー56aによってブーム下げを指示する操作が行われた場合(t1)には、コントローラ57にて第1液圧ポンプ12のレギュレータ12aが制御され、この第1液圧ポンプ12から流路201へ作動油が吐出されるように第1液圧ポンプ12の斜板が駆動される。同時に、コントローラ57にて流量制御弁64に流量指令が与えられる。このとき、コントローラ57にて切換弁43a,44aが導通制御される。
【0100】
そして、操作レバー56aの操作量が−X1に到達する時(t2)には、第1液圧ポンプ12の吐出流量が、−Qcp1となり、流量制御弁64から作動油タンク25へ排出される流量、すなわち排出流量が、−Qop1となる。このとき、コントローラ57にて上記受圧面積比制御が行われ、ブームシリンダ1のボトム室1aの面積(Aa1)とロッド室1bの面積(Aa2)との面積比(Aa1:Aa2)と、第1液圧ポンプ12および流量制御弁64の流量比{(Qcp1+Qop1):Qcp1}とが等しくなるように、これら第1液圧ポンプ12の吐出流量および流量制御弁64の排出流量(Qcp1,Qop1)が決定される。さらに、コントローラ57にて第1液圧ポンプ12の吐出流量と流量制御弁64の排出流量との比が、Qcp1:Qop1の関係を維持しながら変化するように、これら第1液圧ポンプ12の吐出流量および流量制御弁64の排出流量が制御される。このとき、操作レバー56aの操作量が−X1に到達した時(t2)は、ブームシリンダ1の動作速度が−V1となる。
【0101】
また、操作レバー56aの操作量が−X1を越えた場合には、コントローラ57にて第3液圧ポンプ14のレギュレータ14aが制御され、この第3液圧ポンプ14から流路204へ作動油が吐出されるように第3液圧ポンプ14の斜板が駆動される。同時に、コントローラ57にて流量制御弁65に流量指令が与えられる。このとき、コントローラ57にて切換弁45a,46aが導通制御される。
【0102】
そして、操作レバー56aの操作量が−X2に到達する時(t3)には、第3の液圧ポンプ14の吐出流量が、−Qcp1となり、流量制御弁65から作動油タンク25へ排出される流量、すなわち排出流量が、−Qop1となる。さらに、コントローラ57にて上記受圧面積比制御が行われ、第3液圧ポンプ14の吐出流量と流量制御弁65の排出流量との比が、Qcp1:Qop1の関係を維持しながら変化するように、これら第3液圧ポンプ14の吐出流量および流量制御弁65の排出流量が制御される。このとき、操作レバー56aの操作量が−X2に到達した時(t3)は、ブームシリンダ1の動作速度が−V2となる。
【0103】
また、操作レバー56aの操作量が−X2を越えた場合には、コントローラ57にて第5液圧ポンプ16のレギュレータ16aが制御され、この第5の液圧ポンプ16から流路207へ作動油が吐出されるように第5液圧ポンプ16の斜板が駆動される。同時に、コントローラ57にて流量制御弁66に流量指令が与えられる。このとき、コントローラ57にて切換弁47a,48aが導通制御される。
【0104】
そして、操作レバー56aの操作量が−X3に到達する時(t4)には、第5液圧ポンプ16の吐出流量が、−Qcp1となり、流量制御弁66から作動油タンク25へ排出される流量、すなわち排出流量が、−Qop1となる。さらに、コントローラ57にて上記受圧面積比制御が行われ、第5液圧ポンプ16の吐出流量と流量制御弁66の排出流量との比が、Qcp1:Qop1の関係を維持しながら変化するように、これら第5液圧ポンプ16の吐出流量および流量制御弁66の排出流量が制御される。このとき、操作レバー56aの操作量が−X3に到達した時(t4)は、ブームシリンダ1の動作速度が−V3となる。
【0105】
また、操作レバー56aの操作量が−X3を越えた場合には、コントローラ57にて第7液圧ポンプ18のレギュレータ18aが制御され、この第7液圧ポンプ18から流路210へ作動油が吐出されるように第7液圧ポンプ18の斜板が駆動される。同時に、コントローラ57にて流量制御弁67に流量指令が与えられる。このとき、コントローラ57にて切換弁49a,50aが導通制御される。
【0106】
そして、操作レバー56aの操作量が−X4に到達する時(t5)には、第7液圧ポンプ18の吐出流量が、−Qcp1となり、流量制御弁67から作動油タンク25へ排出される流量、すなわち排出流量が、−Qop1となる。さらに、コントローラ57にて上記受圧面積比制御が行われ、第7液圧ポンプ18の吐出流量と流量制御弁67の排出流量との比が、Qcp1:Qop1の関係を維持しながら変化するように、これら第8液圧ポンプ19の吐出流量および流量制御弁67の排出流量が制御される。このとき、操作レバー56aの操作量が−X4に到達した時(t5)は、ブームシリンダ1の動作速度が−V4となる。
【0107】
(ブーム下げ+アームダンプ複合時:t6〜t9)
図4において、操作レバー56aの操作量が−X4でブームシリンダ1が単独動作している状態から操作レバー56bによってアームダンプを指示する操作が行われた場合(t6)には、コントローラ57にて第3液圧ポンプ14のレギュレータ14aが制御され、この第3液圧ポンプ14の斜板の傾転角が最小傾転角となるように駆動され、この第3液圧ポンプ14の吐出流量がゼロ(0)とされる。同時に、コントローラ57にて流量制御弁65が制御され、この流量制御弁65の排出流量がゼロ(0)とされる。
【0108】
この後、これら第3液圧ポンプ14の吐出流量および流量制御弁65の排出流量がゼロとなった時(t7)には、コントローラ57にて切換弁45a,46aが遮断制御された後、切換弁45b,46bが導通制御される。同時に、コントローラ57にて第3液圧ポンプ14のレギュレータ14aが制御され、この第3液圧ポンプ14から流路204へ作動油が吐出されるように第3液圧ポンプ14の斜板が駆動されるとともに、流量制御弁65に流量指令が与えられる。
【0109】
そして、操作レバー56bの操作量が−X1に到達する時(t8)には、第3液圧ポンプ14の吐出流量が、−Qcp1となり、流量制御弁65から作動油タンク25へ排出される流量、すなわち排出流量が、−Qop2(<−Qop1)となる。このとき、コントローラ57にて上記受圧面積比制御が行われ、アームシリンダ3の
ボトム室3aの面積(Ab1)とロッド室3bの面積(Ab2)の面積比(Ab1:Ab2)と、第3液圧ポンプ14および流量制御弁65の流量比{(Qcp1+Qop2):Qcp1}とが等しくなるように、第3液圧ポンプ14の吐出流量および流量制御弁65の排出流量(−Qcp1,−Qop2)が決定される。さらに、コントローラ57にて第3液圧ポンプ14の吐出流量と流量制御弁65の排出流量との比が、Qcp1:Qop2の関係を維持しながら変化するように、これら第3液圧ポンプ14の吐出流量および流量制御弁65の排出流量が制御される。
【0110】
すなわち、操作レバー56bが操作された場合には、第3液圧ポンプ14の吐出流量(−Qcp1)および流量制御弁65の排出流量(−Qop1)分ほど、ブームシリンダ1へ供給される作動油が減少してしまうため、ブームシリンダ1の動作速度が−V3となる。なお、この状態で、操作レバー56bの操作量がゼロ(0)とされた場合には、従前の元の状態(t5)に復帰され、ブームシリンダ1の動作速度が−V4となる。
【0111】
(ブーム下げ+アームダンプ+バケットダンプ複合時:t9〜t12)
図4において、操作レバー56a,56bの操作量がそれぞれ−X4でブームシリンダ1およびアームシリンダ3が複合動作している状態から操作レバー56cによってバケットダンプを指示する操作が行われた場合(t9)には、コントローラ57にて第5液圧ポンプ16のレギュレータ16aが制御され、この第5液圧ポンプ16の斜板の傾転角が最小傾転角となるように駆動され、この第5液圧ポンプ16の吐出流量がゼロ(0)とされる。同時に、コントローラ57にて流量制御弁66が制御され、この流量制御弁66の排出流量がゼロ(0)とされる。
【0112】
この後、これら第5液圧ポンプ16の吐出流量および流量制御弁66の排出流量がゼロとなった時(t10)には、コントローラ57にて切換弁47a,48aが遮断制御された後、切換弁47c,48cが導通制御される。同時に、コントローラ57にて第5液圧ポンプ16のレギュレータ16aが制御され、この第5液圧ポンプ16から流路207へ作動油が吐出されるように第5液圧ポンプ
16の斜板が駆動されるとともに、流量制御弁66に流量指令が与えられる。
【0113】
そして、操作レバー56cの操作量が−X1に到達する時(t11)には、第5液圧ポンプ16の吐出流量が、−Qcp1となり、流量制御弁66から作動油タンク25へ排出される流量、すなわち排出流量が、−Qop3(>−Qop1)となる。このとき、コントローラ57にて上記受圧面積比制御が行われ、バケットシリンダ5の
ボトム室5aの面積(Ac1)とロッド室5bの面積(Ac2)の面積比(Ac1:Ac2)と、第5液圧ポンプ16および流量制御弁66の流量比{(Qcp1+Qop3):Qcp1}とが等しくなるように、これら第5液圧ポンプ16の吐出流量および流量制御弁66の排出流量(−Qcp1,−Qop3)が決定される。さらに、コントローラ57にて第5液圧ポンプ16の吐出流量と流量制御弁66の排出流量との比が、Qcp1:Qop3の関係を維持しながら変化するように、これら第5液圧ポンプ16の吐出流量および流量制御弁66の排出流量が制御される。
【0114】
すなわち、操作レバー56cが操作された場合には、第5液圧ポンプ16の吐出流量(Qcp1)および流量制御弁66の排出流量(Qop1)分ほど、ブームシリンダ1へ供給される作動油が減少しているため、ブームシリンダ1の動作速度が−V2となる。なお、この状態で、操作レバー56cの操作量がゼロ(0)とされた場合には、従前の元の状態(t8)に復帰され、ブームシリンダ1の動作速度が−V3となる(図示せず)。
【0115】
(ブーム下げ+アームダンプ+バケットダンプ+旋回複合時:t12〜t16)
図4において、操作レバー56a,56b,56cの操作量がそれぞれ−X4でブームシリンダ1,アームシリンダ3およびバケットシリンダ5が複合動作している状態から操作レバー56dによって左右どちらかの旋回を指示する操作が行われた場合(t12)には、コントローラ57にて第7液圧ポンプ18のレギュレータ18aが制御され、この第7液圧ポンプ18の斜板の傾転角が最小傾転角となるように駆動され、この第7液圧ポンプ18の吐出流量がゼロ(0)とされる。同時に、コントローラ57にて流量制御弁67が制御され、この流量制御弁67の排出流量がゼロ(0)とされる。
【0116】
この後、これら第7液圧ポンプ18の吐出流量および流量制御弁67の排出流量がゼロとなった時(t13)には、コントローラ57にて切換弁49a,50aが遮断制御された後、切換弁49dが導通制御される。同時に、コントローラ57にて第7液圧ポンプ18のレギュレータ18aが制御され、この第7液圧ポンプ18から流路210へ吐出されるように第7液圧ポンプ18の斜板が駆動される。
【0117】
そして、操作レバー56dの操作量が−X1に到達する時(t14)には、第7液圧ポンプ18の吐出流量が−Qcp1となる。すなわち、操作レバー56dが操作された場合には、第7液圧ポンプ18の吐出流量(−Qcp1)および流量制御弁67の排出流量(−Qop1)分ほど、ブームシリンダ1へ供給される作動油が減少してしまうため、ブームシリンダ1の動作速度が−V1となる。なお、この状態で、操作レバー56dの操作量がゼロ(0)とされた場合には、従前の元の状態(t11)に復帰され、ブームシリンダ1の動作速度が−V2となる(図示せず)。
【0118】
この後、各操作レバー56a,56b,56c,56dの操作量が−X4の状態(t15)からゼロの状態(t16)へ戻された場合には、コントローラ57にて第1、第3、第5および第7液圧ポンプ12,14,16,18のレギュレータ12a,14a,16a,18aおよび流量制御弁64,65,66が制御され、これら第1、第3、第5および第7液圧ポンプ12,14,16,18の吐出流量および流量制御弁64,65,66の排出流量がゼロにされる。同時に、コントローラ57にて各切換弁43a,44a,45b,46b,47c,48c,49dが遮断制御され、ブームシリンダ1、アームシリンダ3、バケットシリンダ5および旋回装置7の駆動が停止される(t17)。
【0119】
(作用効果)
ここで、上記特許文献1においては、片ロッド式油圧シリンダと液圧ポンプとを閉回路状に接続した複数の閉回路(第1および第2閉回路)と、液圧ポンプの入力ポートにタンクを接続し、出力ポートに接続されたコントロールバルブにて片ロッド式油圧シリンダを制御する1つの開回路と、この1つの開回路から複数の閉回路への作動油の流量を配分する配分回路とを備えた構成とされている。このため、本特許文献に係る油圧回路においては、複数の片ロッド式油圧シリンダを同時に動作させる際に、個別の片ロッド式油圧シリンダの負荷が変動し、この変動に伴い閉回路内の圧力が変動してしまうと、この閉回路に作動油の流量を配分する開回路内の圧力も変動してしまう。
【0120】
特に、開回路の液圧ポンプから供給される作動油の流量が一定の場合であっても、この開回路内の作動油圧が変動してしまうと、閉回路へ供給する作動油の流量が変動してしまうため、負荷が変動した以外の閉回路の液圧ポンプの流量と、開回路から流入される流量の比率が変わってしまう。この結果、片ロッド式油圧シリンダへ流入する作動油の流量が安定しなくなるため、油圧ショベル全体の操作性が低下してしまうおそれがある。
【0121】
そこで、上述した本発明の第1実施形態に係る油圧駆動装置105においては、
図2に示すように、ブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5のそれぞれに対し、第1、第3、第5液圧ポンプ12,14,16を閉回路状に接続可能な構成とするとともに、第2、第4、第6液圧ポンプ13,15,17の吐出口を閉回路A,B,Cの流路212,214,216に接続可能な構成とし、かつこれら第2、第4および第6液圧ポンプ13,15,17の吸入側が作動油タンク25となるように開回路状に接続可能な構成とした。
【0122】
この結果、ブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5の1つの片ロッド式油圧シリンダで、閉回路用の第1、第3および第5液圧ポンプ12,14,16と、開回路用の第2、第4および第6液圧ポンプ13,15,17とのそれぞれを1台ずつ専有できる。このため、他の片ロッド式油圧シリンダや、旋回装置7および走行装置8a,8bを駆動させる際の作動油の圧力変動に影響を受けず、これらブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5へ流入する作動油流量を適切に制御することが可能となるため、良好な操作性を確保した油圧ショベル
100が得られる。
【0123】
また、例えば、ブーム単独動作時に、ブーム2を駆動させるブームシリンダ1以外の、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5等の他の油圧シリンダが駆動されていない場合に、このブームシリンダ1を駆動させるための第1液圧ポンプ12以外の他の第3、第5および第7液圧ポンプ14,16,18を適宜駆動させ、これら第3、第5および第7液圧ポンプ14,16,18からの吐出流量を合流させてブームシリンダ1を駆動させることができる。したがって、このブームシリンダ1を駆動させるために必要な流量の作動油を、このブームシリンダ1に安定して供給できるため、このブームシリンダ1の駆動速度を安定させ、かつ操作性を向上できる。また、このブームシリンダ1と同様に、アームシリンダ3およびバケットシリンダ
5についても安定して作動油を供給できるため、これらブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5の駆動速度を安定化でき、かつ操作性を向上できる。
【0124】
また、ブームシリンダ1に加え、アームシリンダ3、バケットシリンダ5、旋回装置7および走行装置8a,8bを複合的に動作させる複合動作時においては、これらブームシリンダ1、アームシリンダ3、バケットシリンダ5、旋回装置7および走行装置8a,8b毎に第1ないし第8液圧ポンプ12,13,・・・,19の接続先を振り分け、これらブームシリンダ1、アームシリンダ3、バケットシリンダ5、旋回装置7および走行装置8a,8bの油圧アクチュエータ数に応じた複合動作、例えば最大で6複合動作が可能である。なお、この複合動作時においては、動作頻度の高い油圧アクチュエータ、例えばブームシリンダ1等に優先的に多くの液圧ポンプを接続させて、第1ないし第8液圧ポンプ12,13,・・・,19から吐出される作動油を合流できるように、これら第1ないし第8液圧ポンプ12,13,・・・,19毎に接続する油圧アクチュエータの優先順位マップを作成し、これら第1ないし第8液圧ポンプ12,13,・・・,19の接続先を制御してもよい。
【0125】
特に、上記第1実施形態においては、操作レバー装置56の操作量に応じて、第1ないし第8液圧ポンプ12,13,・・・,19の吐出流量をコントローラ57にて制御し、ブームシリンダ1、アームシリンダ3、バケットシリンダ5および旋回装置7の駆動に必要な量の作動油を供給している。したがって、これらブームシリンダ1、アームシリンダ3、バケットシリンダ5および旋回装置7に接続された流路212,213,・・・,219内に、これら流路212,213,・・・,219に供給される作動油の流量を調整するための、コントロールバルブ等の絞りを不要にできる。よって、この絞りを設けることによる作動油の圧力損失を無くすことができるから、エンジン9の駆動力を効率良く利用でき、エンジン9の燃費を向上させることができる。
【0126】
一方、例えばブームシリンダ1のボトム室1aおよびロッド室1bと、双方向に作動油を吐出可能な第1液圧ポンプ12の一対の入出力ポートとを閉回路状に繋ぎ、ブームシリンダ1の動作時に、このブームシリンダ1へ供給される作動油の流量と、このブームシリンダ1から排出される作動油の流量との差を、チャージポンプ11とフラッシング弁34とで補償する閉回路方式の油圧回路の場合においては、このブームシリンダ1内の作動油圧が安定しにくく、このブームシリンダ1へ供給される作動油の流量が安定せず、操作性が低下してしまうおそれがある。
【0127】
これに対し、上記第1実施形態においては、ブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5の各油圧シリンダのそれぞれに、開回路
E,F,G,Hと閉回路
A,B,C,Dとに取り付けられた対をなす計2台の液圧ポンプ12,13,・・・,19を接続させ、これら計2台の液圧ポンプ12,13,・・・,19の吐出流量を、対応するブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5のボトム室1a,3a,5aとロッド室1b,3b,5bとの受圧面積差に応じた上記受圧面積比制御を行う。この結果、これらブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5の駆動時に、これらブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5へ供給される作動油の流量と、これらブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5から排出される作動油の流量との比を安定できるから、これらブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5の動作を安定でき、操作性を向上させることができる。
【0128】
そして、計8台の第1ないし第8液圧ポンプ12,13,・・・,19を用い、ブームシリンダ1、アームシリンダ3、バケットシリンダ5および旋回装置7の省エネ性を確保しつつ、これらブームシリンダ1、アームシリンダ3、バケットシリンダ5、旋回装置7および走行装置8a,8bを同時に独立させて駆動させることができる。また、ブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5に接続する2台1組の各液圧ポンプ12,13,・・・,19の個々の流量を制御できる。したがって、ボトム室1a,3a,5aとロッド室1b,3b,5bとの受圧面積差が異なるブームシリンダ1、アームシリンダ3またはバケットシリンダ5に接続する場合であっても、2台の液圧ポンプ12,13,・・・,19の吐出流量を各シリンダの受圧面積差となるよう上記受圧面積比制御することにより、これらブームシリンダ1、アームシリンダ3またはバケットシリンダ5の動作を安定させることができ、良好な操作性を得ることができる。
【0129】
ここで、ブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5毎に、独立して2台1組の液圧ポンプを接続して用いる場合においては、これら2台1組の液圧ポンプを、各ブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5の最大速度を出力可能な容量にする必要がある。そこで、上記第1実施形態においては、各第1ないし第8液圧ポンプ12,13,・・・,19のそれぞれを連結流路301,302,303,304にて連結させ、これら連結流路301,302,303,304に切換弁43a,44a,・・・50a,43b,44b,・・・50b,43c,44c,・・・,50c,43d,44d,・・・50dを接続させたことにより、これら各ブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5に複数の液圧ポンプを接続することができる。したがって、所定の油圧アクチュエータの最大速度を出力する際に、複数組の液圧ポンプから吐出される作動油を合流させて供給でき、複数の各閉回路
A,B,C,Dに接続された第1、第3、第5および第7液圧ポンプ12,14,16,18のすべてを有効に活用して、各油圧アクチュエータを駆動させることができる。よって、独立して2台1組の液圧ポンプを用いて駆動させる場合に比べ、液圧ポンプ1台当りの容量の小型化が可能となる。
【0130】
さらに、各開回路
E,F,G,Hに接続された第2、第4、第6および第8液圧ポンプ13,15,17,19に加え、これら第2、第4、第6および第8液圧ポンプ13,15,17,19と切換弁44a,44b,44c,44d,46a,46b,46c,46d,48a,48b,48c,48d,50a,50b,50c,50dとを繋ぐ流路202,205,208,211から分岐され作動油タンク25に繋がる管路上に流量制御弁64,65,66,67を設け、これら流量制御弁64,65,66,67をコントローラ57にて制御する構成とした。この結果、ブーム下げ、アームダンプまたはバケットダンプ動作させる際に、コントローラ57にて上記受圧面積比制御を行い、第1、第3、第5および第7液圧ポンプ12,14,16,18の吐出流量と流量制御弁64,65,66,67の排出流量との比が、所定の関係を維持しながら変化するように制御させることにより、これらブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5の動作速度を安定させることができる。よって、これらブームシリンダ1、アームシリンダ3およびバケットシリンダ5の操作性をより向上させることができる。
【0131】
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態に係る油
圧駆動装置105Aのシステム構成を示す概略図である。本第2実施形態が前述した第1実施形態と異なるのは、第1実施形態は、バケットシリンダ5に対し第7液圧ポンプ18が閉回路状に接続されて閉回路Cとした油圧駆動装置
105に対し、第2実施形態は、バケット6の省エネ性の代わりに液圧ポンプ数を少なくすることを目的とし、バケットシリンダ5を流路220に接続した油圧駆動装置105Aとしている。なお、本第2実施形態において、第1実施形態と同一又は対応する部分には同一符号を付している。
【0132】
<構成>
具体的に、本第2実施形態は、計6台の液圧ポンプ、すなわち第1ないし第6液圧ポンプ12,13,・・・,17を備えた油圧駆動装置105Aとしている。そして、バケットシリンダ5の
ボトム室5aに接続された流路225と、このバケットシリンダ5のロッド室5bに接続された流路226との間には、バケットシリンダ5への作動油の給排出を制御するコントロールバルブとしての
方向切換弁60が接続されている。
方向切換弁60は、走行装置8a,8bに取り付けられた
方向切換弁54,55と、流路220および作動油タンク25に接続された流路229を介して、並行に接続されている。
【0133】
また、流路225,226間には、リリーフ弁58a,58bが接続されている。リリーフ弁58a,58bは、流路225,226内の作動油圧が所定の圧力以上になった場合に、流路225,226内の作動油を作動油タンク25へ逃がして流路225,226を保護する。さらに、流路225には、カウンタバランス弁59が接続されている。カウンタバランス弁59は、流路225を介してバケットシリンダ5の
ボトム室5aに接続され、バケットシリンダ5の自重落下を抑制する。
【0134】
さらに、
方向切換弁60は、コントローラ57から出力される操作信号に応じて、流路220および作動油タンク25の接続先を、流路226またはカウンタバランス弁59に切り換えるものであって、流量調整可能とされている。よって、バケットシリンダ5は、
方向切換弁60からの作動油の供給を受けて伸縮する構成とされている。
【0135】
<作用効果>
以上により、上記第2実施形態に係る油圧駆動装置105Aにおいては、
方向切換弁60を介して、バケットシリンダ5を流路220に接続することにより、上記第1実施形態に係る油圧駆動装置105にて用いた第7および第8液圧ポンプ18,19を不要にでき、第1ないし第6液圧ポンプ12,13,・・・,17の計6台にて、ブームシリンダ1、アームシリンダ3および旋回装置7の操作性を向上できる。さらに、これら計6台の第1ないし第6液圧ポンプ12,13,・・・,17を用い、ブームシリンダ1、アームシリンダ3および旋回装置7の省エネ性を確保しつつ、これらブームシリンダ1、アームシリンダ3、バケットシリンダ5、旋回装置7および走行装置8a,8bを同時に独立させて駆動させることができる。
【0136】
[第3実施形態]
図6は、本発明の第3実施形態に係る油圧駆動装置105Bのシステム構成を示す概略図である。本第3実施形態が前述した第2実施形態と異なるのは、第2実施形態は、バケットシリンダ5を流路220に接続して開回路Hとした油圧駆動装置105Aに対し、第3実施形態は、アーム4の省エネ性の代わりに液圧ポンプ数をさらに少なくすることを目的とし、アームシリンダ3を流路220に接続した油圧駆動装置105Bとされている。なお、本第3実施形態において、第2実施形態と同一又は対応する部分には同一符号を付している。
【0137】
<構成>
具体的に、本第3実施形態は、計4台の液圧ポンプ、すなわち第1ないし第4液圧ポンプ12,13,14,15を備えた油圧駆動装置105Bとされている。そして、アームシリンダ3の
ボトム室3aに接続された流路227と、このアームシリンダ3のロッド室3bに接続された流路228との間には、アームシリンダ3への作動油の給排出を制御するコントロールバルブとしての
方向切換弁63が接続されている。
方向切換弁63は、流路220,229に接続されている。
【0138】
そして、流路227,228間には、リリーフ弁61a,61bが接続されている。リリーフ弁61a,61bは、流路227,228内の作動油圧が所定の圧力以上になった場合に、流路227,228内の作動油を作動油タンク25へ逃がして流路227,228を保護する。さらに、流路227には、カウンタバランス弁62が接続されている。カウンタバランス弁62は、流路227を介してアームシリンダ3の
ボトム室3aに接続され、アームシリンダ3の自重落下を抑制する。
【0139】
さらに、
方向切換弁63は、コントローラ57から出力される操作信号に応じて、流路220および作動油タンク25の接続先を、流路228またはカウンタバランス弁62に切り換えるものであって、流量調整可能とされている。よって、アームシリンダ3は、
方向切換弁63からの作動油の供給を受けて伸縮する構成とされている。
【0140】
<作用効果>
以上により、上記第3実施形態に係る油圧駆動装置105Bにおいては、バケットシリンダ5に加え、
方向切換弁63を介して、アームシリンダ3を流路220に接続することにより、上記第2実施形態に係る油圧駆動装置105Aにて用いていた第5および第6液圧ポンプ16,17を不要にでき、第1ないし第4液圧ポンプ12,13,14,15の計4台にて、ブームシリンダ1および旋回装置7の操作性を向上できる。さらに、これら計4台の第1ないし第4液圧ポンプ12,13,14,15を用い、ブームシリンダ1および旋回装置7の省エネ性を確保しつつ、これらブームシリンダ1、アームシリンダ3、バケットシリンダ5、旋回装置7および走行装置8a,8bを同時に独立させて駆動させることができる。
【0141】
[その他]
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形態様が含まれる。例えば、前述した実施形態は、本発明を分りやすく説明するために説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0142】
そして、上記各実施形態においては、油圧駆動装置105,105A,105Bを油圧ショベル
100に搭載させた場合を例として説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば油圧式クレーンやホイールローダなどの油圧回路で駆動可能な少なくとも1つ以上の片ロッド式油圧シリンダを備えた作業機械であれば、油圧ショベル
100以外の作業機械においても、本発明に係る油圧駆動装置105,105A,105Bを用いることができる。
【0143】
また、上記各実施形態においては、第2、第4、第6および第8液圧ポンプ13,15,17,19として、吐出入方向および流量を制御可能な両傾転斜板機構を備えた液圧ポンプを用いたが、作動油タンク25から切換弁44a,44b,44c,44d,46a,46b,46c,46d,48a,48b,48c,48d,50a,50b,50c,50dへ向かう1方向のみに作動油が吐出可能な片傾転斜板機構を備えた液圧ポンプを用いても良い。
【0144】
また、上記第各実施形態では、両傾転斜板機構を備えた複数の第1ないし第8液圧ポンプ12,13,・・・,19のそれぞれを、動力伝達装置10を介して1台のエンジン9に接続した構成としたが、これら第1ないし第8液圧ポンプ12,13,・・・,19として、複数の固定容量式の液圧ポンプを用意し、これら固定容量式の液圧ポンプに、回転方向および回転数が制御可能な電動機を接続し、これら電動機をコントローラ57にて制御して、各固定容量式の液圧ポンプの回転方向および回転数によって作動油の吐出入方向および吐出流量を制御する構成とすることもできる。
【0145】
さらに、上記第各実施形態では、切換弁44a,44b,44c,44d,46a,46b,46c,46d,48a,48b,48c,48d,50a,50b,50c,50dや、方向切換弁54,55,60,63、流量制御弁64,65,66,67は、コントローラ57から出力された信号による直接制御で示されたが、これに拘るものでなく、例えば、コントローラ57からの信号を電磁減圧弁などを用いて変換された油圧信号により制御してもよい。