(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134625
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】シート貼付装置および貼付方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-200302(P2013-200302)
(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公開番号】特開2015-69997(P2015-69997A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 浩二
【審査官】
齊田 寛史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−186482(JP,A)
【文献】
特開2000−142651(JP,A)
【文献】
特開平09−124020(JP,A)
【文献】
特開平06−199329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
B65C 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離シートに接着シートが仮着された原反を繰り出す繰出手段と、
前記接着シートを保持面で保持する保持手段と、
前記保持手段で保持された接着シートを前記剥離シートから剥離する剥離手段と、
前記剥離手段と前記保持手段とを相対移動させる移動手段と、
被着体を加熱する加熱手段と、
前記保持手段で保持した接着シートを前記被着体に押圧して貼付する押圧手段とを備え、
前記剥離手段は、前記保持面に対向可能に設けられ、前記繰出手段で繰り出された原反を前記剥離シート側から支持する支持面を有し、当該支持面で前記保持手段を冷却可能に設けられていることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
前記保持面の温度を検知する保持面温度検知手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシート貼付装置。
【請求項3】
前記保持手段に気体を吹き付けて当該保持手段を冷却する外部冷却手段を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート貼付装置。
【請求項4】
剥離シートに接着シートが仮着された原反を繰り出す工程と、
前記接着シートを保持手段の保持面で保持する工程と、
前記保持面に対向可能に設けられ、繰り出された原反を前記剥離シート側から支持する支持面を有する剥離手段において当該支持面で前記保持手段を冷却する工程と、
前記剥離手段と前記保持手段とを相対移動させ、前記保持手段で保持された前記接着シートを前記剥離手段で前記剥離シートから剥離する工程と、
加熱された被着体に前記保持手段で保持した接着シートを押圧して貼付する工程とを実施することを特徴とするシート貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着体に接着シートを貼付するシート貼付装置および貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程において、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という場合がある)に接着シートを貼付するシート貼付装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のシート貼付装置は、剥離シートに接着シートが仮着された原反を繰り出す繰出手段と、剥離シートを折り返して当該剥離シートから接着シートを剥離するピールプレートと、剥離された接着シートを保持可能な保持手段とを備え、保持手段で保持した接着シートをウエハ(被着体)に押圧して貼付するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−195409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来のシート貼付装置では、加熱された被着体に保持手段で保持した接着シートを貼付する際、被着体の熱が接着シートを介して保持手段に伝わり、保持手段が加熱されることになる。加熱された状態の保持手段が次の接着シートに接触すると、保持手段の熱により接着シートが加熱され、当該接着シートが剥離シートから剥離しにくくなり、接着シートの剥離不良を招来してしまうという不都合がある。
【0005】
本発明の目的は、接着シートの剥離不良を防止することができるシート貼付装置および貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシート貼付装置は、剥離シートに接着シートが仮着された原反を繰り出す繰出手段と、前記接着シートを保持面で保持する保持手段と、前記保持手段で保持された接着シートを前記剥離シートから剥離する剥離手段と、前記剥離手段と前記保持手段とを相対移動させる移動手段と、被着体を加熱する加熱手段と、前記保持手段で保持した接着シートを前記被着体に押圧して貼付する押圧手段とを備え、前記剥離手段は、前記保持面に対向可能に設けられ、前記繰出手段で繰り出された原反を前記剥離シート側から支持する支持面を有し、当該支持面で前記保持手段を冷却可能に設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明のシート貼付装置は、前記保持面の温度を検知する保持面温度検知手段を備えていることが好ましい。
本発明のシート貼付装置は、前記保持手段に気体を吹き付けて当該保持手段を冷却する外部冷却手段を備えていることが好ましい。
【0008】
本発明のシート貼付方法は、剥離シートに接着シートが仮着された原反を繰り出す工程と、前記接着シートを保持手段の保持面で保持する工程と、前記保持面に対向可能に設けられ、繰り出された原反を前記剥離シート側から支持する支持面を有する剥離手段において当該支持面で前記保持手段を冷却する工程と、前記剥離手段と前記保持手段とを相対移動させ、前記保持手段で保持された前記接着シートを前記剥離手段で前記剥離シートから剥離する工程と、加熱された被着体に前記保持手段で保持した接着シートを押圧して貼付する工程とを実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、原反を支持する支持面で保持手段を冷却するため、保持手段の熱により接着シートが加熱されることを防止し、接着シートの剥離不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシート貼付装置の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態において、基準となる図を挙げることなく、例えば、上、下、左、右、または、手前、奥といった方向を示した場合は、全て
図1を正規の方向(付した番号が適切な向きとなる方向)から観た場合を基準とし、上、下、左、右方向が紙面に平行な方向であり、前が紙面に直交する手前方向、後が紙面に直交する奥側方向とする。
【0012】
図1において、シート貼付装置1は、剥離シートRLに接着シートASが仮着された原反RSを繰り出す繰出手段2と、接着シートASを保持面31Aで保持する保持手段3と、保持手段3で保持された接着シートASを剥離シートRLから剥離する剥離手段4と、剥離手段4と保持手段3とを相対移動させる移動手段5と、被着体としてのウエハWFを加熱する加熱手段としてのコイルヒータや赤外線ヒータ等のヒータ6と、保持手段3で保持した接着シートASをウエハWFに押圧して貼付する押圧手段であって駆動機器としての直動モータ7と、保持面31Aの温度を検知する保持面温度検知手段としての温度計8と、ウエハWFを支持する支持手段9とを備えている。なお、接着シートASは、剥離シートRLに所定間隔で複数仮着されている。
【0013】
繰出手段2は、原反RSを支持する支持ローラ20と、原反RSを案内する複数のガイドローラ21と、駆動機器としての回動モータ22Aによって駆動される駆動ローラ22との間に剥離シートRLを挟み込むピンチローラ23と、図示しない駆動機器によって駆動され、剥離シートRLを回収する回収ローラ24とを備えている。
【0014】
保持手段3は、直動モータ7の出力軸7Aに支持され、接着シートASを保持する保持面31Aを有する保持プレート31と、保持プレート31内に設けられ、保持面31Aに接着シートASを保持させる図示しない静電チャックとを備えている。なお、ヒータ6および温度計8は、保持プレート31内に設けられている。
【0015】
剥離手段4は、保持面31Aに対向可能に設けられ、繰出手段2で繰り出された原反RSを剥離シートRL側から支持する支持面41Aを有する剥離板41と、剥離板41内に設けられ、支持面41Aで保持手段3を冷却するヒートパイプやペルチェ素子等の冷却手段42とを備えている。
【0016】
移動手段5は、直動モータ7を支持するスライダ51Aを有する駆動機器としてのリニアモータ51を備えている。
【0017】
支持手段9は、図示しない減圧ポンプや真空エジェクタ等の減圧手段によってウエハWFを支持する支持面91Aを有するテーブル91を備えている。
【0018】
以上のシート貼付装置1において、ウエハWFに接着シートASを貼付する手順を説明する。
先ず、原反RSを
図1に示すようにセットする。そして、図示しない操作パネルやパーソナルコンピュータ等の入力手段を介して運転開始の信号を入力すると、繰出手段2が回動モータ22Aおよび図示しない駆動機器を駆動し、原反RSを繰り出す。そして、剥離板41の上部に位置する接着シートASが所定位置に到達したことを光学センサや撮像手段等の図示しない検知手段が検知すると、繰出手段2が回動モータ22Aおよび図示しない駆動機器の駆動を停止し、スタンバイ状態となる。
【0019】
そして、人手または多関節ロボットやベルトコンベア等の図示しない搬送手段がテーブル91の支持面91A上にウエハWFを載置すると、支持手段9が図示しない減圧手段を駆動し、支持面91AでウエハWFを支持する。次に、押圧手段が直動モータ7を駆動し、
図1中右側の二点鎖線で示すように、保持プレート31を下降させ、支持面41A上の接着シートASに保持面31Aを当接させる。その後、保持手段3が図示しない静電チャックを駆動し、保持面31Aで接着シートASを保持する(以下、「保持工程」という)。
【0020】
次に、繰出手段2および移動手段5が回動モータ22A、図示しない駆動機器、およびリニアモータ51を同期させて駆動し、接着シートASを保持した保持プレート31を左方向に移動させながら原反RSを繰り出すことにより、保持面31Aで接着シートASを保持したまま、当該接着シートASを剥離シートRLから剥離する(以下、「剥離工程」という)。
【0021】
その後、直動モータ7が
図1中二点鎖線で示す位置に移動すると、移動手段5がリニアモータ51の駆動を停止する。そして、押圧手段が直動モータ7を駆動し、保持プレート31を下降させ、当該保持プレート31で接着シートASをウエハWFに押圧するとともに、加熱手段がヒータ6を駆動し、接着シートASおよびウエハWFを加熱して当該ウエハWFに接着シートASを貼付する(以下、「貼付工程」という)。
【0022】
次に、保持手段3が図示しない静電チャックの駆動を停止し、また、加熱手段がヒータ6の駆動を停止した後、移動手段5および押圧手段がリニアモータ51および直動モータ7を駆動し、保持プレート31を
図1中実線で示す位置に復帰させる。その後、図示しない搬送手段がウエハWFを次工程に搬送し、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0023】
ここで、1回目の貼付工程において、保持プレート31が加熱されているので、2回目以降の保持工程において、保持プレート31で接着シートASを保持したときに、当該接着シートASが加熱されて剥離シートRLから剥離しにくくなり、接着シートASの剥離不良が発生する場合がある。そこで、保持工程の前に剥離手段4が冷却手段42を駆動し、支持面41Aを冷却することで、保持工程の際に保持プレート31の熱が原反RSを介して保持プレート31に伝達され、当該保持プレート31が冷却される。そして、保持面温度検知手段が温度計8を駆動し、保持面31Aが所定温度以下であることを検知したら剥離工程を開始し、以降上記同様の動作が行われる。なお、保持面31Aが所定温度よりも高いことを温度計8が検知した場合、保持手段3の冷却温度を低くするように冷却手段42を制御する。
【0024】
以上のような本実施形態によれば、原反RSを支持する支持面41Aで保持手段3を冷却するため、保持手段3の熱により接着シートASが加熱されることを防止し、接着シートASの剥離不良を防止することができる。
【0025】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0026】
例えば、保持手段3に気体を吹き付けて当該保持手段3を冷却する外部冷却手段10を備えていてもよい。外部冷却手段10は、
図1中二点鎖線で示すように、送風機や加圧ポンプ等の気体供給手段101と、前後方向に進退可能に設けられ、気体供給手段101に連通するノズル102とを備え、保持工程前および/または剥離工程前に保持手段3に向けて気体を吹き付ける。
さらに、保持面温度検知手段は、保持工程前に温度計8の駆動を開始してもよい。また、検知した結果に基づいて外部冷却手段10の駆動を制御してもよい。
また、保持面温度検知手段は、剥離板41内に設けてもよいし、保持手段3の移動経路上に設けてもよい。
さらに、加熱手段は、テーブル91内に設けてもよいし、保持手段3の移動経路上に設けてもよい。
【0027】
また、保持手段3は、静電チャックにかえて、減圧ポンプや真空エジェクタ等の減圧手段を採用してもよい。
さらに、移動手段5は、接着シートASを剥離シートRLから剥離する動作に合わせて剥離手段4を右方向に移動させてもよいし、保持手段3と剥離手段4との両方を移動させてもよい。
【0028】
また、接着シートASおよび被着体の材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。例えば、接着シートASは、接着剤層だけの単層のもの、基材シートと接着剤層との間に中間層を有するもの、基材シートの上面にカバー層を有する等3層以上のもの、更には、基材シートを接着剤層から剥離することのできる所謂両面接着シートのようなものであってもよく、両面接着シートは、単層又は複層の中間層を有するものや、中間層のない単層又は複層のものであってよい。また、被着体としては、例えば、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂板等、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。なお、接着シートASを機能的、用途的な読み方に換え、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意の形状の任意のシート、フィルム、テープ等を前述のような任意の被着体に貼付することができる。
【0029】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、剥離手段は、保持面に対向可能に設けられ、繰出手段で繰り出された原反を剥離シート側から支持する支持面を有し、支持面で保持手段を冷却可能なものであれば、出願当初の技術常識に照らし合わせ、その技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(他の手段および工程についての説明は省略する)。
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0030】
1 シート貼付装置
2 繰出手段
3 保持手段
4 剥離手段
5 移動手段
6 ヒータ(加熱手段)
7 直動モータ(押圧手段)
8 温度計(保持面温度検知手段)
10 外部冷却手段
31A 保持面
41A 支持面
AS 接着シート
RL 剥離シート
RS 原反