(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
絶縁ベースプレートに設けたブラシボックス内に収容されたブラシに接続されたピグテールが、前記ブラシボックスの径方向外端のブラシ挿入口から径方向内側に向かって形成されたピグテールガイド凹部を通って同ブラシボックス外に設けられた導電部材に溶着され、前記ブラシボックスに収容された前記ブラシを、弾性部材にて径方向内側の前記ブラシボックスのブラシ突出口へ案内するブラシ装置のブラシ装填方法であって、
前記導電部材に溶着された前記ピグテールを湾曲させて、前記ブラシを前記ブラシ挿入口に挿入する挿入工程と、
そのブラシ挿入口に挿入した前記ブラシを、前記弾性部材とは異なる押圧手段により、そのブラシの後端が、挿入した前記ブラシが摩耗し最大摩耗状態となった時のブラシの後端位置にくるまで、前記ブラシ突出口から押し出す押し出し工程と、
次に、前記ブラシを前記ブラシ突出口内に押し戻す押し戻し工程と
を有することを特徴とするブラシ装置のブラシ装填方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した一実施形態を
図1〜
図10に従って説明する。
図1に示すように、直流モータMは、有蓋円筒状のヨークハウジング1と、そのヨークハウジング1の内部に収容された電機子2と、ヨークハウジング1の開口部に配置されたブラシ装置3とを備えている。
【0023】
ヨークハウジング1は、円筒状をなす円筒部11と、円筒部11の一側上部を閉塞する蓋部12を有している。ヨークハウジング1の円筒部11の内周面11aには、3個の第1永久磁石MG1(
図1では1個のみ表示)と3個の第2永久磁石MG2(
図1では1個のみ表示)が、周方向に交互に配置固定されている。そして、ヨークハウジング1の円筒部11、3個の第1永久磁石MG1及び3個の第2永久磁石MG2にて固定子が構成される。
【0024】
3個の第1永久磁石MG1は、径方向内側がN極、径方向外側がS極に磁化されている。3個の第2永久磁石MG2は、径方向内側がS極、径方向外側がN極に磁化されている。そして、周方向に交互に配置された3個の第1永久磁石MG1と3個の第2永久磁石MG2は、60度間隔に配置固定されている。従って、円筒部11の内側には、周方向に6個の磁極が設けられている。
【0025】
ヨークハウジング1の内部であって、周方向に交互に配置された第1永久磁石MG1と第2永久磁石MG2の内側には、電機子2が配置されている。
図1に示すように、電機子2は、ヨークハウジング1の円筒部11に中心軸線O上に配置された回転軸21と、その回転軸21に一体回転可能に固着された電機子コア22と、その電機子コア22のティース23に巻回された巻線24と、電機子コア22に隣接し回転軸21に一体回転可能に固定された整流子25を備えている。
【0026】
回転軸21は、その基部がヨークハウジング1の蓋部12に中央部内側に設けた軸受26にて回転可能に支持されている。電機子コア22は、回転軸21であってその回転軸21の軸方向基端側一体回転可能に外嵌されている。
【0027】
電機子コア22は、回転軸21の中心軸線Oを中心に径方向外側に放射状に延びる9個のティース23(
図1では2個のみ表示)を有している。9個のティース23は、周方向に40度の等ピッチに形成されている。そして、9個のティース23の径方向先端面は、円筒部11の内周面に配置された第1永久磁石MG1と第2永久磁石MG2と相対向する。そして、各ティース23には、巻線24が巻回されている。
【0028】
整流子25は、電機子コア22に隣接して回転軸21に固着され、同電機子コア22とともに回転軸21と一体回転する。整流子25は、その外周面に複数個の整流子片27が設けられている。整流子片27の数は、電機子2のティース23の数の2倍の数に設定されている。従って、ティース23が9個であることから、整流子片27の数は18個となっている。
【0029】
各整流子片27の軸線方向の電機子コア22側端部には、径方向外側に折り返し形成されたライザ28がそれぞれ一体形成されている。各整流子片27のライザ28には、ティース23に巻回した巻線24が掛け止めされている。そして、巻線24は、その掛け止めされた部分がヒュージングにてライザ28に固定されることで、そのライザ28を有する整流子片27と電気的に接続されている。
【0030】
図1に示すように、ヨークハウジング1の円筒部11の開口部側には、ブラシ装置3が配置され、ブラシ装置3を構成するブラシホルダ30が円筒部11の開口部を閉塞している。
【0031】
図3に示すように、ブラシホルダ30は、絶縁性の合成樹脂材料から形成され、環状円板形状のベースプレート31と、ベースプレート31の内側面f1に一体形成された第1〜第6ブラシボックス32a〜32f(
図1では、総称して符号を「32」と付している)と、ベースプレート31の外側面f2に一体形成された端子保持部33を有している。
【0032】
ここで、ベースプレート31の電機子コア22側の円環状側面を内側面f1といい、ベースプレート31の反電機子コア22側の円環状側面を外側面f2という。
図3及び
図4に示すように、ブラシホルダ30のベースプレート31は、環状円板状をなしその外周面が、
図1に示すように、ヨークハウジング1の円筒部11の開口部の内周面11aに嵌着固定されている。
図1に示すように、ベースプレート31は、その中央部に貫通穴34が形成されている。貫通穴34は、その内径が回転軸21の外径より大きく形成され、同回転軸21の出力端側が貫通するようになっている。貫通穴34を貫通した回転軸21の出力端側は、図示しない軸受にて回転可能に支持されている。
【0033】
図3及び
図4に示すように、ベースプレート31の内側面f1には、6個の第1〜第6ブラシボックス32a〜32fが周方向に設けられている。第1〜第6ブラシボックス32a〜32fは、周方向時計回り方向に、第1ブラシボックス32a→第2ブラシボックス32b→第3ブラシボックス32c→第4ブラシボックス32d→第5ブラシボックス32e→第6ブラシボックス32fの順に60度の間隔を開けて形成されている。つまり、第1〜第6ブラシボックス32a〜32fは、
図4においてベースプレート31の内側面全周において60度の等間隔にて形成される。
【0034】
そして、60度の間隔を開けて設けられた第1〜第6ブラシボックス32a〜32fの径方向内側で形成される空間には、
図1に示すように、整流子25が配置されるようになっている。
【0035】
図3に示すように、第1〜第6ブラシボックス32a〜32fは、ともに径方向に延びる四角筒状なしている。第1〜第6ブラシボックス32a〜32fは、内側面f1から軸方向に立設され、
図4において周方向時計回り方向の第1側壁W1と、反時計回り方向の第2側壁W2と、その第1及び第2側壁W1,W2の先端辺間を連結する天井壁W3と備えている。
【0036】
そして、第1〜第6ブラシボックス32a〜32fは、内側面f1、一対の第1及び第2側壁W1,W2及び天井壁W3によって、断面四角筒形状のブラシ収容室がそれぞれ形成される。
【0037】
第1〜第6ブラシボックス32a〜32fの一対の第1及び第2側壁W1,W2は、周方向に離間するとともに互いに平行に立設されている。ここで、
図4に示すように、各ブラシボックス32a〜32fにおいて、回転軸21の中心軸線Oから径方向に延び一対の第1及び第2側壁W1,W2の中間位置を通過するそれぞれの直線をそれぞれ第1〜第6中心線L1〜L6とすると、隣り合う中心線が、中心軸線Oを中心になす角度はそれぞれ60度となる。
【0038】
従って、各ブラシボックス32a〜32fのブラシ収容室は、中心軸線Oを中心に径方向に延び、その径方向に延びる中心位置(第1〜第6中心線L1〜L6)が周方向に60度の間隔で配置されている。そして、各ブラシボックス32a〜32fの径方向外側の開口部をブラシ挿入口37といい、その各径方向内側の開口部をブラシ突出口38という。
【0039】
図3に示すように、第1、第2、第4及び第6ブラシボックス32a,32b,32d,32fの第1側壁W1、並びに、第3及び第5ブラシボックス32c,32eの第2側壁W2には、径方向外側端から径方向内側に向かってピグテールガイド凹部35が切り欠き形成されている。
【0040】
第1〜第6ブラシボックス32a〜32fの一対の第1及び第2側壁W1,W2の径方向外側端部には、一対の係止片36が径方向外側に向かって延出形成されている。一対の係止片36は、先端に周方向に互いに離間する方向に爪を有し、
図1に示す、各ブラシボックス32a〜32fのブラシ挿入口37を閉塞するキャップCPを係止し装着する。
【0041】
また、
図3及び
図4に示すように、ベースプレート31において、第2ブラシボックス32bと第3ブラシボックス32cの中間位置(第2中心線L2と第3中心線L3の中間を通る線上)に、内側面f1から第1区画壁41が第2及び第3ブラシボックス32b,32cの天井壁W3の高さ位置まで突出形成されている。第1区画壁41は、貫通穴34の開口端から径方向外側に向かって形成されている。
【0042】
同様に、ベースプレート31において、第4ブラシボックス32dと第5ブラシボックス32eの中間位置(第4中心線L4と第5中心線L5の中間を通る線上)に、内側面f1から第2区画壁42が第3及び第4ブラシボックス32c,32dの天井壁W3の高さ位置まで突出形成されている。第2区画壁42は、貫通穴34の開口端から径方向外側に向かって形成されている。
【0043】
さらにまた、
図3及び
図4に示すように、ベースプレート31において、第6ブラシボックス32fと第1ブラシボックス32aの中間位置には、貫通穴34の開口端から径方向外側に向かって、コンデンサ載置台50、一対の第1及び第2電源端子支持穴51,52、補助端子固定台53に順に形成されている。
【0044】
詳述すると、回転軸21の中心軸線Oから第6ブラシボックス32fと第1ブラシボックス32aの中間位置を径方向に通過する直線を基準線Lkとすると、この基準線Lk上にコンデンサ載置台50の中間位置が位置するようになっている。同様に、この基準線Lk上に、第1電源端子支持穴51と第2電源端子支持穴52の中間位置が位置するとともに、補助端子固定台53の中間位置が位置するようになっている。
【0045】
尚、この基準線Lkに対して、周方向時計回り方向の30度位置に第1中心線L1が位置し、反対に、周方向反時計回り方向の30度位置に第6中心線L6が位置することになる。
【0046】
コンデンサ載置台50は、基準線Lk上の位置に軸線方向に延出形成された仕切壁55を有し、その仕切壁55にて径方向に延びる2つの載置部50a,50bが形成される。
コンデンサ載置台50の径方向外側のベースプレート31の内側面f1には、軸方向から見て長方形の第1電源端子支持穴51と第2電源端子支持穴52が、基準線Lkを対称軸として対称に貫通形成されている。
【0047】
第1及び第2電源端子支持穴51,52は、ベースプレート31の外側面f2おいて、その外側面f2に軸線方向に延出形成した端子保持部33と対向する位置に形成されている。そして、第1及び第2電源端子支持穴51,52は、端子保持部33内を通って同端子保持部33の先端面まで貫通している。
【0048】
第1電源端子支持穴51には、
図5に示す第1電源端子61が貫挿される。第1電源端子61は、その先端部が端子保持部33の先端面から突出するまで貫挿されている。
第2電源端子支持穴52には、
図6に示す第2電源端子62が貫挿される。第2電源端子62は、その先端部が端子保持部33の先端面から突出するまで貫挿されている。
【0049】
図5及び
図6に示すように、第1及び第2電源端子61,62は、共に板材をクランク状に折り曲げ形成され、それぞれ第1及び第2電源端子支持穴51,52に貫挿される貫挿部61a,62a、内側面f1に当接する当接部61b,62b、内側面f1から軸線方向に立設する端子部61c,62cを有する。
【0050】
第1及び第2電源端子61,62の貫挿部61a,62aは、共に同じに長さになっている。従って、端子保持部33の先端面から突出する第1及び第2電源端子61,62の先端部は同じ長さとなる。
【0051】
また、貫挿部61a,62aの幅狭の両側面には、切り返し61d,62dが形成されている。切り返し61d,62dは、貫挿部61a,62aをそれぞれ第1及び第2電源端子支持穴51,52に貫挿する時、第1及び第2電源端子支持穴51,52の内側面に圧接しながら貫挿される。そして、貫挿した後に、第1及び第2電源端子61,62を引き抜こうとしても切り返し61d,62dが第1及び第2電源端子支持穴51,52の内側面に食い込み抜けないようにしている。
【0052】
第1及び第2電源端子61,62の当接部61b,62bは、共に同じに長さになっている。そして、貫挿部61a,62aを第1及び第2電源端子支持穴51,52に貫挿した状態で、当接部61b,62bは、ベースプレート31の内側面f1に当接する。
【0053】
第1及び第2電源端子61,62の端子部61c,62cは、
図5及び
図6に示すように、第2電源端子62の端子部62cの長さが第1電源端子61の端子部61cの長さより長く形成されている。そして、両端子部61c,62cの先端には同じ深さの切り込み61e,62eがそれぞれ形成されている。従って、第2電源端子62の端子部62cの切り込み62eが、第1電源端子61の端子部61cの切り込み61eよりも高い位置にある。
【0054】
なお、第1及び第2電源端子61,62を第1及び第2電源端子支持穴51,52に貫挿する際、第1及び第2電源端子61,62の端子部61c,62cが互いに離間するように貫挿するようにしている。
【0055】
第1及び第2電源端子支持穴51,52の径方向外側のベースプレート31の内側面f1には、補助端子固定台53が形成されている。補助端子固定台53は、補助電極端子固定孔57が、基準線Lkを対称軸として対称に2つ形成されている。2つの補助電極端子固定孔57は、ベースプレート31の外側面f2まで貫通しない孔であって、軸方向から見て長方形の孔である。
【0056】
そして、一対の補助電極端子固定孔57には、
図7に示す補助電源端子70が挿入固定される。補助電源端子70は、板状のベース部70aの一側(
図7では下側)に一対の補助電極端子固定孔57に嵌入される固定足部70bを有している。
【0057】
両固定足部70bの幅狭の両側面には、切り返し70cが形成されている。切り返し70cは、固定足部70bを補助電極端子固定孔57に嵌入する時、補助電極端子固定孔57の内側面に圧接しながら嵌入される。そして、嵌入した後に、補助電源端子70を引き抜こうとしても切り返し70cが補助電極端子固定孔57の内側面に食い込み抜けないようにしている。
【0058】
一方、補助電源端子70のベース部70aの他側(
図7では上側)に第1及び第2補助端子部71,72が延出形成されている。第1補助端子部71は第1電源端子61寄りに形成され、第2補助端子部72は第2電源端子62寄りに形成されている。第1補助端子部71の幅広側の面が、第1電源端子61の端子部61cの幅広の面に対して直交するとともに、第2補助端子部72の幅広側の面が、第2電源端子62の端子部62cの幅広の面に対して直交するようになっている。
【0059】
図7に示すように、第1補助端子部71の軸方向の長さが第2補助端子部72の長さよりも長く形成されている。このとき、第1補助端子部71の先端の高さ位置が、前記した第2電源端子62の端子部62cの高さ位置と一致させている。同様に、第2補助端子部72の先端の高さ位置が、前記した第1電源端子61の端子部61cの高さ位置と一致させている。
【0060】
両補助端子部71,72の先端には同じ深さの切り込み71a,72aがそれぞれ形成されている。従って、第1補助端子部71の切り込み71aが、第2補助端子部72の切り込み72aよりも高い位置にある。そして、第1補助端子部71の切り込み71aと第2電源端子62の切り込み62eは同じ高さに、第2補助端子部72の切り込み72aと第1電源端子61の切り込み61eは同じ高さにしている。
【0061】
また、第1補助端子部71と第2補助端子部72の中間位置(基準線Lk上の位置)におけるベース部70aの他側には、付勢片73が延出形成されている。付勢片73は、上方に延出形成された後、径方向外側に屈曲形成され、外側に膨らんだ後に先端を径方向内側に屈曲させている。
【0062】
この付勢片73の径方向外側への膨みは、ベースプレート31の外周面より外まで張り出させている。これによって、ベースプレート31をヨークハウジング1の円筒部11に嵌着させた時、付勢片73は、円筒部11の内周面11aに対して圧接保持されるようになっている。
【0063】
ベースプレート31の内側面f1に形成された第1〜第6ブラシボックス32a〜32fには、それぞれ陽極用(第1極性)のブラシである第1ブラシB1又は陰極用(第2極性)のブラシである第2ブラシB2のいずれかが収容される。
【0064】
詳述すると、
図2に示すように、第2、第4及び第6ブラシボックス32b,32d,32fには、それぞれ第1ブラシB1が収容される。第1、第3及び第5ブラシボックス32a,32c,32eには、それぞれ第2ブラシB2が収容される。
【0065】
これによって、第1ブラシB1と第2ブラシB2は、回転軸21を挟んで相対向するように配置される。
第1〜第6ブラシボックス32a〜32fに対応する第1ブラシB1又は第2ブラシB2がそれぞれ挿入されると、第1〜第6ブラシボックス32a〜32fには、そのブラシ挿入口37から圧縮コイルばねSP(
図1参照)が挿入される。次に、その径方向外側の端部にキャップCPが装着される。そして、第1ブラシB1及び第2ブラシB2は、それぞれが挿入された第1〜第6ブラシボックス32a〜32f内に圧縮コイルばねSPを縮設して径方向内側に付勢されるようになっている。その結果、第1ブラシB1及び第2ブラシB2は、それぞれが挿入された第1〜第6ブラシボックス32a〜32fの一対の第1及び第2側壁W1,W2に案内されながら径方向内側に移動しブラシ突出口38から突出可能となり、その先端面が摺接する整流子片27に摺接可能に圧接する。
【0066】
そして、これら3個ずつの第1ブラシB1と第2ブラシB2と摺接する整流子片27を介して第1ブラシB1と第2ブラシB2から巻線24に電流が供給されるようになっている。
【0067】
また、第1ブラシB1及び第2ブラシB2は、それぞれ第1ピグテールPT1及び第2ピグテールPT2を設けている。そして、第1ブラシB1及び第2ブラシB2が対応するブラシボックス32a〜32fに挿入されるとき、第1ピグテールPT1及び第2ピグテールPT2は、ブラシボックス32a〜32fに設けたピグテールガイド凹部35を通ってブラシボックス32a〜32fの外部に引き出されているようになっている。
【0068】
また、
図2に示すように、ブラシ装置3は、第1電源端子61と3個の第1ブラシB1とを電気的に接続する第1導電部材80と、3個の第2ブラシB2とを電気的に接続する第2導電部材90とを備えている。
【0069】
第1導電部材80は、1本の基礎線材から形成されている。本実施形態では、基礎線材は、断面円形状の導線の外周を絶縁性の絶縁被膜にて被覆してなる被覆導線(絶縁電線)である。第1導電部材80は、1本の基礎線材を湾曲及び屈曲して形成されており、第1円弧部80aと、第1〜第3直線部80b〜80dとを備えている。
【0070】
第1導電部材80の第1円弧部80aは、円弧状に湾曲形成され、
図2に示すように、第2ブラシボックス32b、第1区画壁41、第3ブラシボックス32c、第4ブラシボックス32d、第2区画壁42に載置され、周方向時計回り端部が第5ブラシボックス32eの手前まで延びている部分である。
【0071】
第1直線部80bは、第1円弧部80aの周方向時計回り端部から接線方向に延びて第5ブラシボックス32eに載置される部分である。
第2直線部80cは、第5ブラシボックス32eと第6ブラシボックス32fの間であって中心軸線Oからのびる直線に対して直交するように第1直線部80bの周方向時計回り端部から折り曲げられた部分である。
【0072】
第3直線部80dは、第2直線部80cの周方向時計回り端部から第1電源端子61の端子部61cに向かって折り曲げられ第6ブラシボックス32fに載置される部分である。第3直線部80dの時計回り方向の端部80eは、径方向外側に折り曲げ形成され、第1電源端子61の端子部61cの周方向反時計回り方向の側面に当接するように配置される。
【0073】
このように配置された第1導電部材80に対して、第2、第4及び第6ブラシボックス32b,32d,32fに収容される各第1ブラシB1の第1ピグテールPT1が溶接にて電気的に接続される。そして、第1導電部材80の端部80eが、第1電源端子61の端子部61cと溶接にて電気的に接続することによって、各第1ブラシB1は、第1電源端子61と電気的に接続される。
【0074】
第2導電部材90は、第1導電部材80と同じ1本の基礎線材から形成されている。第2導電部材90は、1本の基礎線材を湾曲及び屈曲して形成されており、第2円弧部90aと、第1〜3直線部90b〜90dとを備えている。
【0075】
第2導電部材90の第2円弧部90aは、円弧状に湾曲形成され、
図2に示すように、第5ブラシボックス32e、第2区画壁42、第4ブラシボックス32d、第3ブラシボックス32cに載置され、第1区画壁41の手前まで延びている部分である。
【0076】
第1直線部90bは、第2円弧部90aの周方向反時計回り端部から接線方向に延びて第1区画壁41及び第2ブラシボックス32bに載置される部分である。
第2直線部90cは、第2ブラシボックス32bと第1ブラシボックス32aの間であって中心軸線Oからのびる直線に対して直交するように第1直線部90bの周方向反時計回り端部から折り曲げられた部分である。
【0077】
第3直線部90dは、第2直線部90cの周方向反時計回り端部から第2電源端子62の端子部62cに向かって折り曲げられ第1ブラシボックス32aに載置される部分である。第3直線部90dの反時計回り方向の端部90eは、径方向外側に折り曲げ形成され、第2電源端子62の端子部62cの周方向時計回り方向の側面に当接するように配置される。
【0078】
このように配置された第2導電部材90に対して、第1、第3及び第5ブラシボックス32a,32c,32eに収容される各第2ブラシB2の第2ピグテールPT2が溶接にて電気的に接続される。そして、第2導電部材90の端部90eが、第2電源端子62の端子部62cと溶接にて電気的に接続することによって、各第2ブラシB2は、第2電源端子62と電気的に接続される。
【0079】
図3に示すように、基準線Lk上に設けられたコンデンサ載置台50には、
図8(a)(b)に示す第1コンデンサCaと第2コンデンサCbが載置される。詳述すると、コンデンサ載置台50において、第4ブラシボックス32d側の載置部50aには、第1コンデンサCaが載置され、第1ブラシボックス32a側の載置部50bには、第2コンデンサCbが載置されている。
【0080】
図8(a)(b)に示すように、第1及び第2コンデンサCa,Cbは、その本体形状が扁平の四角形状をなしている。
第1コンデンサCaは、
図8(a)に示すように、扁平矩形状の本体部と、その最も幅広の扁平面fa間を繋ぐ幅狭の一側面の上下両側から引き出された電源端子側リード線Ca1及び補助電源端子側リード線Ca2とから構成されている。
【0081】
図8(a)において、電源端子側リード線Ca1は下側に設けられ、その中間位置から
図8(a)において右側に屈曲形成されている。また、補助電源端子側リード線Ca2は上側に設けられ、全長が
図8(a)において前方に向かって形成されている。
【0082】
このように形成された、第1コンデンサCaを載置部50aに載置するとき、扁平形状の第1コンデンサCaの扁平面faが、軸線方向に延びる中心軸線と径方向に延びる放射線とで形成される面と平行になるように配置する。しかも、電源端子側リード線Ca1が内側面f1側に位置するように第1コンデンサCaを載置部50aに載置する。
【0083】
これによって、電源端子側リード線Ca1が、第1電源端子61の端子部61c側を向き、補助電源端子側リード線Ca2が、補助電源端子70の第1補助端子部71側を向く。そして、電源端子側リード線Ca1を端子部61cの切り込み61eに挟入するとともに、補助電源端子側リード線Ca2を第1補助端子部71の切り込み71aに挟入し、これら挟入にて電気的に接続する。
【0084】
これによって、第1コンデンサCaは、第1電源端子61と補助電源端子70(ヨークハウジング1)との間において電気的に接続される。
一方、第2コンデンサCbは、
図8(b)に示すように、扁平矩形状の本体部と、その最も幅広の扁平面fb間を繋ぐ幅狭の一側面の上下両側から引き出された電源端子側リード線Cb1及び補助電源端子側リード線Cb2とから構成されている。
【0085】
図8(b)において、電源端子側リード線Cb1は上側に設けられ、その中間位置から
図8(b)において左側に屈曲形成されている。また、補助電源端子側リード線Cb2は下側に設けられ、全長が
図8(b)において前方に向かって形成されている。
【0086】
このように形成された、第2コンデンサCbを載置部50bに載置するとき、扁平形状の第2コンデンサCbの扁平面fbが、軸線方向に延びる中心軸線と径方向に延びる放射線とで形成される面と平行になるように配置する。しかも、補助電源端子側リード線Cb2が内側面f1側に位置するように第2コンデンサCbを載置部50bに載置する。
【0087】
これによって、電源端子側リード線Cb1が、第2電源端子62の端子部62c側を向き、補助電源端子側リード線Cb2が、補助電源端子70の第2補助端子部72側を向く。そして、電源端子側リード線Cb1を端子部62cの切り込み62eに挟入するとともに、補助電源端子側リード線Cb2を第2補助端子部72の切り込み72aに挟入し、これら挟入にて電気的に接続する。
【0088】
これによって、第2コンデンサCbは、第2電源端子62と補助電源端子70(ヨークハウジング1)との間において電気的に接続される。
次に、上記のように構成したブラシ装置3の作用を、各第1ブラシB1及び各第2ブラシB2について、対応する第1〜第6ブラシボックス32a〜32fにそれぞれ装填する方法に従って説明する。
【0089】
ここで、
図2に示すように、3つの第1ブラシB1の第1ピグテールPT1の第1導電部材80との溶接位置において、第6ブラシボックス32fに収納される第1ブラシB1の第1ピグテールPT1を除いて、2つの第1ピグテールPT1は、限られた狭い位置で第1導電部材80に溶接されている。
【0090】
第6ブラシボックス32fに収納される第1ブラシB1の第1ピグテールPT1は、第6ブラシボックス32fの第2側壁W2と第5ブラシボックス32eの第1側壁W1との中間に位置する第1導電部材80上に溶接される。
【0091】
これに対して、第2ブラシボックス32bに収納される第1ブラシB1の第1ピグテールPT1は、第2ブラシボックス32bの第1側壁W1と第1区画壁41の反時計回り側側面との中間に位置する第1導電部材80上に溶接される。
【0092】
また、第4ブラシボックス32dに収納される第1ブラシB1の第1ピグテールPT1は、第4ブラシボックス32dの第1側壁W1と第2区画壁42の反時計回り側側面との中間に位置する第1導電部材80上に溶接される。
【0093】
同様に、
図2に示すように、3つの第2ブラシB2の第2ピグテールPT2の第2導電部材90との溶接位置において、第1ブラシボックス32aに収納される第2ブラシB2の第2ピグテールPT2を除いて、2つの第2ピグテールPT2は、限られた狭い位置で第2導電部材90に溶接されている。
【0094】
第1ブラシボックス32aに収納される第2ブラシB2の第2ピグテールPT2は、第1ブラシボックス32aの第1側壁W1と第2ブラシボックス32bの第2側壁W2との中間に位置する第2導電部材90上に溶接される。
【0095】
これに対して、第3ブラシボックス32cに収納される第2ブラシB2の第2ピグテールPT2は、第3ブラシボックス32cの第2側壁W2と第1区画壁41の時計回り側側面との中間に位置する第2導電部材90上に溶接される。
【0096】
また、第5ブラシボックス32eに収納される第2ブラシB2の第2ピグテールPT2は、第5ブラシボックス32eの第2側壁W2と第2区画壁42の時計回り側側面との中間に位置する第2導電部材90上に溶接される。
【0097】
つまり、第2ブラシボックス32bに収納される第1ブラシB1の第1ピグテールPT1と第3ブラシボックス32cに収納される第2ブラシB2の第2ピグテールPT2は、第2ブラシボックス32bと第3ブラシボックス32cの間であって第1区画壁41にて区分された狭い空間にそれぞれ配置される。
【0098】
また、第4ブラシボックス32dに収納される第1ブラシB1の第1ピグテールPT1と第5ブラシボックス32eに収納される第2ブラシB2の第2ピグテールPT2は、第4ブラシボックス32dと第5ブラシボックス32eの間であって第2区画壁42にて区分された狭い空間にそれぞれ配置される。
【0099】
また、
図2に2点鎖線で示すように、各第1ブラシB1は、その先端面(整流子片27と当接する面)が、反時計回り方向に向くように、第1導電部材80に第1ピグテールPT1が溶接されている。同様に、各第2ブラシB2は、その先端面(整流子片27と当接する面)が、反時計回り方向に向くように、第2導電部材90に第2ピグテールPT2が溶接されている。つまり、径方向外側に延びた第1及び第2ピグテールPT1,PT2の端部は、反時計回り方向に向いた対応する第1又は第2ブラシB1,B2の後部側面に接続されている。
【0100】
この状態から、
図2に実線で示すように、第1及び第2ブラシB1,B2をそれぞれ対応する第1〜第6ブラシボックス32a〜32fに挿入する。
ここで、挿入する前に、第6ブラシボックス32fに挿入する第1ブラシB1の第1ピグテールPT1について、径方向に延びる同第1ピグテールPT1の中心軸線を中心に第1ブラシB1を180度回転させる(ひねる)。同様に、第3及び第5ブラシボックス32c,32eに挿入する第2ブラシB2の第2ピグテールPT2について、それぞれ径方向に延びる同第2ピグテールPT2の中心軸線を中心に第2ブラシB2をそれぞれ180度回転させる(ひねる)。
【0101】
これによって、全ての第1及び第2ブラシB1,B2の先端部が、対応するブラシボックス32a〜32fのブラシ挿入口37側に向く。
ここで、説明の便宜上、代表して第3ブラシボックス32cに第2ブラシB2を挿入する場合について説明する。なお、各ブラシボックスについてそれぞれのブラシを挿入する方法は基本的に同じであり、第3ブラシボックス32cに第2ブラシB2を挿入する仕方を理解すれば容易に理解できるため省略する。
【0102】
(挿入工程)
図9(a)に示すように、第3ブラシボックス32cに挿入する第2ブラシB2の第2ピグテールPT2について、周方向時計回り方向に湾曲させて(折り曲げて)、第3ブラシボックス32cのブラシ挿入口37に第2ブラシB2を挿入する。
【0103】
(押し出し工程)
第3ブラシボックス32cのブラシ挿入口37に第2ブラシB2が挿入されると、その挿入した第2ブラシB2をブラシ突出口38から押し出す押し出し工程に移る。第2ブラシB2を押し込む押し込み作業は、第2ブラシB2の後端面(圧縮ばねSPが弾圧する面)に第1治具G1を押し当て、ブラシ突出口38に向かって押圧する。
【0104】
つまり、
図9(b),(c)に示すように、第1治具G1を径方向内側(中心軸線O)に向かって第2ブラシB2を押圧する。これによって、第2ブラシB2は、それぞれのブラシボックス32c内を径方向内側(中心軸線O)に向かって移動し、ブラシ突出口38から突出する。この時、第2ピグテールPT2は、さらに湾曲しながらピグテールガイド凹部35に沿って、第2ブラシB2の移動とともに径方向内側に移動する。
【0105】
このとき、
図10に示すように、第2ブラシB2の第2導電部材90の溶着側の湾曲する部分を、第2治具G2を使って内側面f1方向であって第1区画壁41に当接するように、あわせて湾曲させるようにしている。
【0106】
なお、ブラシ突出口38から突出した第2ブラシB2の部分は、事前に用意された案内部材GAにて、中心軸線Oに向かって移動できるようにガイドされている。
やがて、
図9(d)に示すように、第2ピグテールPT2がピグテールガイド凹部35の径方向内側の面に係合した時、それ以上径方向内側へ移動できなくなる状態であって、その第2ブラシB2の後端位置が最大摩耗時の該ブラシB2の後端位置と一致する。
【0107】
そして、第2ブラシB2の後端位置が最大摩耗時の該ブラシB2の後端位置に達したとき、第2ブラシB2の押し出し工程は終了する。
この時、ピグテールPT2は、第2導電部材90との溶接部分を起点として円弧状に湾曲する。そして、ブラシB2が、その後端位置が最大摩耗時の該ブラシB2の後端位置と一致する位置まで移動することから、ピグテールPT2の湾曲した部分は弾性限界点を超えて円弧状に塑性変形する。
【0108】
これによって、第2ピグテールPT2には、第2導電部材90との溶接部分を起点として円弧に湾曲した第1湾曲部R1が折り曲げ形成される。
(押し戻し工程)
第2ブラシB2の後端を最大摩耗時の該ブラシB2の後端位置と一致する位置まで移動した後、同ブラシB2を押し戻す押し戻し工程に移る。
【0109】
図9(d)に示すように、押し戻しは、第2ブラシB2の先端面に第3治具G3を押し当てる。そして、第3治具G3を径方向外側に向かって第2ブラシB2を押圧する。これによって、第2ブラシB2は、それぞれのブラシボックス32c内を径方向外側に向かって移動する。
【0110】
この時、第2ピグテールPT2は、ピグテールガイド凹部35に沿って、第2ブラシB2の移動とともに径方向外側に移動する。この径方向外側の移動によって、第2ピグテールPT2は、ブラシB2寄りの部分が内側に向かって湾曲しながらピグテールガイド凹部35に沿って、第2ブラシB2の移動とともに径方向内側に移動する。また、先に形成された第1湾曲部R1は、径方向外側に押し戻されながら湾曲する。
【0111】
図9(e)に示すように、第2ブラシB2の先端部が、ブラシ突出口38内に位置するまで、押し戻されると、押し戻し工程が終了し、第2ブラシB2の第3ブラシボックス32cへの装填作業は完了する。これによって、第2ピグテールPT2には、第2ブラシB2との溶接部分を起点として円弧に湾曲した部分は弾性限界点を超えて円弧状に塑性変形し第2湾曲部R2が折り曲げ形成される。
【0112】
そして、
図9(e)に示す状態に変形された第2ピグテールPT2は、径方向内側に移動するのに馴染んだ形状に、即ち、ブラシ最大摩耗時を想定した形状に習わせるようにした。換言すれば、第2ピグテールPT2は、ブラシが摩耗して径方向内側へ移動する際、終始スムースに移動させるための移動抵抗を小さくできる形状に成形される。
【0113】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)本実施形態によれば、各ブラシボックス32a〜32fのブラシ挿入口37からそれぞれ挿入した各ブラシB1,B2を、その後端位置が最大摩耗時の該ブラシB2の後端位置と一致する位置まで移動させる。そして、各ブラシB1,B2を、それぞれのブラシボックス32a〜32f内を押し込むようにした。
【0114】
従って、各ブラシB1,B2と追従して移動するピグテールPT1,PT2は、径方向内側に移動するのに馴染んだ形状に成形、即ち、ブラシ最大摩耗時を想定した形状に習った形状に成形される。換言すれば、第1及び第2ピグテールPT1,PT2は、第1及び第2ブラシB1,B2が摩耗して径方向内側へ移動する際、第1及び第2ブラシB1,B2を終始スムースに移動させるための移動抵抗を小さくできる第1及び第2湾曲部R1,R2を有する形状に成形される。
【0115】
その結果、各ブラシB1,B2は、整流子25(整流子片27)に圧接する圧接力を、一様にかつ終始(消耗し使用不能になるまで)一定に保持できる。
(2)本実施形態によれば、ブラシボックス32a〜32fのブラシ挿入口37にそれぞれ挿入した各ブラシB1,B2を、その後端位置が最大摩耗時の該ブラシB1,B2の後端位置と一致する位置までブラシ突出口38から押し出した後、それぞれのブラシボックス32a〜32f内を押し込むようにした。
【0116】
つまり、各ブラシB1,B2をブラシ突出口38から押し出す工程と、ブラシ突出口38内に押し戻す工程とからなる簡単な作業だけで、ピグテールPT1,PT2を径方向内側に移動するのに馴染んだ形状に成形することができる。
【0117】
(3)本実施形態によれば、第1及び第2ピグテールPT1,PT2がピグテールガイド凹部35の径方向内側の内側面に係合した時、第1及び第2ブラシB1,B2の後端位置が最大摩耗時の該ブラシB2の後端位置と一致するようにした。
【0118】
従って、第1及び第2ピグテールPT1,PT2がピグテールガイド凹部35の径方向内側の面に係合させるだけで、第1及び第2ブラシB1,B2の後端が、最大摩耗状態となった時のブラシの後端位置にきたことを容易に認識できる。
【0119】
(4)本実施形態によれば、各ピグテールPT1,PT2は、押し出し工程のときに、第2治具G2にて、内側面f1方向であって第1区画壁41に当接するようにあわせて湾曲させるようにした。従って、各ピグテールPT1,PT2の第1湾曲部R1は、周方向及び軸線方向に、即ち3次元的に形成される。その結果、各ピグテールPT1,PT2は、より撓みやすくなり、第1及び第2ブラシB1,B2が摩耗して径方向内側へ移動する際、第1及び第2ブラシB1,B2を終始スムースに移動させるための移動抵抗を小さくできる。
【0120】
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、第1及び第2電源端子61,62と第1及び第2ピグテールPT1,PT2との間を接続する第1及び第2導電部材80,90を、ブラシボックス32a〜32fの天井壁W3上に配置したブラシ装置3に具体化した。
【0121】
これを、ブラシホルダ30のベースプレート31内に第1及び第2導電部材80,90をインサート成形させたブラシ装置3に応用してもよい。
つまり、
図11に示すように、ブラシホルダ30は、そのベースプレート31内に第1及び第2導電部材80,90をインサート成形させている。そして、
図12に示すように、ベースプレート31の内側面f1に形成した各ブラシボックス32a〜32fは、第2側壁W2にピグテールガイド凹部35が形成されている。
【0122】
同様に、
図12に示すように、ベースプレート31の内側面f1であって、第2、第4、第6ブラシボックス32b,32d,32fに第2側壁W2側には、第1導電部材80から延びた第1固定電極T1が突出形成されている。各第1固定電極T1は、それぞれ第2、第4、第6ブラシボックス32b,32d,32fに収容さえた第1ブラシB1から延びる第1ピグテールPT1と溶着されている。
【0123】
また、ベースプレート31の内側面f1であって、第1、第3、第5ブラシボックス32a,32c,32eに第2側壁W2側には、第2導電部材90から延びた第2固定電極T2が突出形成されている。各第2固定電極T2は、それぞれ第1、第3、第5ブラシボックス32a,32c,32eに収容さえた第2ブラシB2から延びる第2ピグテールPT2と溶着されている。
【0124】
そして、各第1固定電極T1にピグテールPT1を介して接続されたそれぞれの第1ブラシB1、及び、各第2固定電極T2にピグテールPT2を介して接続されたそれぞれの第2ブラシB2を、それぞれ上記実施形態と同様な方法でそれぞれのブラシボックス32a〜32fに装填する。
【0125】
この場合にも、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
○上記実施形態では、第1及び第2ピグテールPT1,PT2の断面形状は一様であった。
【0126】
これを、各工程において第1及び第2ピグテールPT1,PT2が湾曲する部分(第1及び第2湾曲部R1,R2)を、湾曲し易いように、事前に径方向に肉薄となる扁平形状に形成してもよい。これによって、第1及び第2ピグテールPT1,PT2は、より湾曲し易くなりより馴染んだ形状を容易に成形することができる。しかも、第1及び第2ピグテールPT1,PT2は、第1及び第2ブラシB1,B2の移動抵抗をより小さくでき、各ブラシB1,B2の整流子25(整流子片27)に対する圧接力を、より一様にかつ終始(消耗し使用不能になるまで)一定に保持できる。
【0127】
○上記実施形態では、押し出し工程と押し戻し工程をそれぞれ1度行ったが、これを複数回行って実施してもよい。これによって、ピグテールPT1,PT2を径方向内側に移動するのに、さらに馴染んだ形状に成形することができる。
【0128】
○上記実施形態では、ブラシボックスの数を6個としたが、これに限定されるものではなく適宜変更して実施してもよい。