(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記定着ユニットのウォーミングアップを行なう前に、前記モータにより提供される駆動力が前記定着ユニットに伝わっているか否かを判断し、前記モータにより提供される駆動力が前記定着ユニットに伝わっていない場合には、前記定着ユニットのウォーミングアップを行なわないこと
を特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
前記逆の方向に前記定着ローラ及び前記定着バックアップローラを回転させた場合に、前記調節機構は、前記定着バックアップローラを予め定められた位置まで移動させるように構成されていること
を特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
(構成の説明)
図1は、実施の形態1に係る画像形成装置としてのプリンタ100の要部構成を概略的に示す断面図である。
プリンタ100は、画像形成ユニット101K、101Y、101M、101C(以下、各々を特に区別する必要がないときは、画像形成ユニット101という)と、LEDヘッド102K、102Y、102M、102C(以下、各々を特に区別する必要がないときは、LEDヘッド102という)と、転写ローラ103K、103Y、103M、103C(以下、各々を特に区別する必要がないときは、転写ローラ103という)と、給紙ローラ104と、搬送ローラ105A、105B(以下、各々を特に区別する必要がないときは、搬送ローラ105という)と、搬送ベルト106と、駆動ローラ107と、従動ローラ108と、排出ローラ109A、109B(以下、各々を特に区別する必要がないときは、排出ローラ109という)と、スタッカ110と、INセンサ111と、書き込みセンサ112と、排出センサ113と、定着ユニット120とを備える。
【0010】
画像形成ユニット101は、現像剤像としてのトナー像を形成する。例えば、画像形成ユニット101は、静電潜像及びトナー像が形成される像担持体としての感光ドラム101aを有する。
LEDヘッド102は、感光ドラム101aに露光を行うことで、感光ドラム101a上に静電潜像を形成する露光装置である。
転写ローラ103は、画像形成ユニット101で形成されたトナー像を用紙等の媒体PAに転写する転写部である。
【0011】
給紙ローラ104は、媒体PAを一枚ずつ分離して、搬送ローラ105に供給する。
搬送ローラ105は、供給された媒体PAを搬送ベルト106に載せる。
搬送ベルト106は、無端状のベルトであり、駆動ローラ107と、従動ローラ108との間に張り渡されている。
駆動ローラ107は、矢印で示されたXの方向に回転することで、搬送ベルト106を動かす。
従動ローラ108は、搬送ベルト106の動きに従って回転する。
排出ローラ109は、定着ユニット120でトナーが定着された媒体PAをスタッカ110に排出する。
【0012】
INセンサ111は、媒体PAが給紙ローラ104から供給されてきたことを検出する。
書き込みセンサ112は、媒体PAの先頭を検出して書き出しタイミングを決定するためのセンサである。
排出センサ113は、定着ユニット120から排出される媒体PAを検出する。これにより、排出センサ113は、定着ユニット120に媒体PAが巻きついたことを監視するためのセンサとして機能する。
【0013】
定着ユニット120は、媒体PAを移動させながら加熱して、媒体PAにトナー像を定着させる。例えば、定着ユニット120は、媒体PAを移動させながら加熱する定着ローラ121及び定着バックアップローラ122を備える。
定着ローラ121は、例えば、内部にハロゲンランプ等の発熱体を有し、約200℃の温度になり、媒体PAを加熱する。定着バックアップローラ122は、媒体PAを定着ローラ121に押し付ける。そして、定着ローラ121及び定着バックアップローラ122が図中の矢印で示される予め定められた方向に回転することにより、媒体PAは予め定められた方向に移動されて、定着ユニット120から排出される。なお、定着ユニット120は、保守単位のユニットとして、ユーザ又は保守員が簡単に外せる構造になっている。
【0014】
また、
図1には図示されていないが、プリンタ100は、各ローラ類を回すためのモータ、最小媒体間隔以下の距離に敷設された搬送路上のローラ、搬送路上のローラへの動力伝達のON又はOFFのためのクラッチ等も有する。
【0015】
図2は、プリンタ100の制御部としての制御基板130の構成を概略的に示すブロック図である。
制御基板130は、メイン制御部としてのメインCPU131と、サブ制御部としてのサブCPU132と、記憶部としてのROM133と、LEDヘッド102を制御する画像処理部としての画像処理LSI134と、モータ150を制御するモータ制御部としてのモータドライバ135とを備える。なお、実施の形態1においては、メインCPU131、画像処理LSI134及びモータドライバ135により、プリンタ100での処理の全体を制御する制御部が構成される。なお、モータ150は、定着ユニット120に、媒体PAを移動させる駆動力を提供する。
【0016】
メインCPU131は、ROM105に書き込まれたプログラムによって動作し、プリンタ100での処理の内、主要な処理を制御する。特に、実施の形態1では、メインCPU131は、モータ150により提供される駆動力が定着ユニット120に伝わっているか否かを判断する。
例えば、メインCPU131は、定着ユニット120に設けられている有無検出部(有無検出センサ)としてのサーミスタ123で検出された電圧値に基づいて、定着ユニット120が取り付けられているか否かを判断する。具体的には、サーミスタ123で検出された電圧値が、予め定められた閾値よりも小さい場合に、メインCPU131は、定着ユニット120が取り外されていると判断する。そして、メインCPU131は、定着ユニット120が取り付けられた際に、モータ150を制御して、定着ユニット120に駆動力を提供させて、定着ローラ121及び定着バックアップローラ122の少なくとも何れか一方の位置を調整する調整動作を行なう。そして、メインCPU131は、この調整動作が成功した場合、言い換えると、モータ150からの駆動力が定着ローラ121及び定着バックアップローラ122に伝達されていることが確認できた場合に、定着ユニット120の初期化(ウォーミングアップ)を行なう。この調整動作が失敗した場合には、定着ユニット120の初期化は行なわれない。この調整動作については、後述するが、メインCPU131は、位置検出センサ140からの検出信号に基づいて、調整動作が成功したか否かを判断する。
【0017】
サブCPU132は、メインCPU131での処理を補助する。特に、実施の形態1においては、サブCPU132は、電源160からメインCPU131に電力が供給されていない、又は、電源160からメインCPUへの電力の供給が制限されている場合に、電源160から電力の供給を受けて、定着ユニットが取り外されたか否かを検出する。
例えば、サブCPU132は、プリンタ100の電源160がオフモードである場合及びネットワーク待機(スリープモード)である場合に、電源スイッチ及び予め定められたセンサの監視を行なう。特に、サブCPU132は、オフモード時又はスリープモード時に、定着ユニット120が取り外されたか否かを検出する。具体的には、
図3に示されているように、サブCPU132は、定着ユニット120に対してドロワコネクタ124を介して連結される信号線170に接続されている。また、定着ユニット120には、電源160から、信号線171を介して、常時、電圧がかけられている。定着ユニット120は、信号線171を介してかけられた電圧を信号線172を介して、信号線170にリターンしている。定着ユニット120が取り外された場合には、ドロワコネクタ124の連結も外されるため、サブCPU132に信号線170からの電圧がかからなくなる。信号線170からの電圧がかからなくなった場合には、サブCPU132は、メインCPU131への通知信号を「L」にすることで、定着ユニット120が取り外されたことを通知する。この通知は、メインCPU131からクリア信号でクリアコマンドを受け取るまで行なわれる。
【0018】
図2の説明に戻り、画像処理LSI134は、メインCPU131での画像処理を補助する。これは、メインCPU131のみでは、画像処理の処理速度が不足するためである。
モータドライバ135は、メインCPU131からの指示に応じて、モータ150を制御する。
【0019】
電源160は、プリンタ100の各部に電力を供給する。例えば、電源160は、メイン電源161と、サブ電源162とを有する。
メイン電源161は、通常モードにおいて、プリンタ100の各部に電力を供給する。
図2に示されている例では、メイン電源161は、LEDヘッド102、定着ユニット120、メインCPU131、ROM133、画像処理LSI134、モータドライバ135、位置検出センサ140、モータ150に電力を供給する。
サブ電源162は、スリープモード及びオフモードにおいて、プリンタ100の予め定められた部分に電力を供給する。
図2に示されている例では、サブ電源162は、サブCPU132及びドロワコネクタ124に電力を供給する。
【0020】
通常モードは、少なくとも定着ユニット120のヒータ125及びモータ150に電力を供給するモードである。実施の形態1では、通常モード時には、消費電力が大きいメインCPU131にも電力が供給されている。
スリープモードは、プリンタ100の予め定められた部分にのみ電力を供給することで、通常モードよりも消費電力が少ないモードである。スリープモードでは、ヒータ125及びモータ150の少なくとも何れか一方に電力が供給されていない。実施の形態1では、スリープモードにおける消費電力が4W以下となるように、メインCPU131、ヒータ125及びモータ150に電力が供給されていない。なお、メイン電源161は、スリープモード時に、予め定められた部分にのみ電力を供給してもよい。
オフモードは、電源160がオフにされているモードである。実施の形態1では、オフモードにおける消費電力が1W以下となるように、メインCPU131、ヒータ125及びモータ150に電力が供給されておらず、電源スイッチ及びユーザーが触ってアラームを上げる等の最低限のセンサの監視のみが行なわれている。
ここで、通常モードは、メイン電源161によりメインCPU131に電力が供給される第1のモードとなる。スリープモード及びオフモードは、メイン電源161によりメインCPU131に電力が供給されない第2のモードとなる。なお、スリープモード及びオフモード(第2のモード)においても、サブ電源162からメインCPU131に電力が供給されてもよいが、メインCPU131に供給される電力は、通常モード(第1のモード)よりも制限され、省電力となる。
電源160は、メインCPU131及びサブCPU132の制御により、メイン電源161及びサブ電源162の切替えを行う。これにより、上述した電力の供給モードを切り替えることができる。
【0021】
また、
図2には示されていないが、メインCPU131は、駆動系としてベルト、印刷媒体を搬送するためのモータ、及び、クラッチを駆動するためのモータ又はクラッチ駆動部を制御する。
【0022】
図4は、実施の形態1における定着ユニット120の構成を概略的に示す断面図である。なお、
図4の矢印Yは、媒体PAの搬送方向である。
定着ユニット120は、定着ローラ121と、定着バックアップローラ122と、アッパーサーミスタ123Aと、ロアサーミスタ123Bと、ヒータ125とを備える。
【0023】
ヒータ125は、メインCPU131の制御により電源160からの電力を受けて、定着ローラ121を加熱するハロゲンヒータである。定着ローラ121は、ヒータ125の熱を受けて蓄熱し、媒体PAに転写されたトナーに熱を加える。
アッパーサーミスタ123Aは、定着ローラ121の温度を検出する。
ロアサーミスタ123Bは、定着バックアップローラ122の温度を検出する。
なお、アッパーサーミスタ123A及びロアサーミスタ123Bにより、
図2に示されているサーミスタ123が構成される。
【0024】
定着ローラ121及び定着バックアップローラ122は、内側がアルミ又は鉄の管121a、122aになっており、外側は媒体との密着を高めるために、弾性部材であるゴム121b、122bで構成されている。
図4には示されていないが、定着ユニット120には、ゴム121b、122bを押し潰すように、定着ローラ121及び定着バックアップローラ122の少なくとも一方を付勢するスプリングが設けられている。
【0025】
以上のように構成されている定着ユニット120に、封筒等のように、複数の紙が重なった媒体が搬送されてきた場合には、定着ローラ121と、定着バックアップローラ122との間で回転速度に差が生じる等の理由で、しわの発生につながっていた。そのため、プリンタ100は、封筒等の厚い媒体を印刷する時にしわの発生を防止するため、定着ローラ121及び定着バックアップローラ122の押し付け圧力を軽減する調整機構(調整部)を有する。
【0026】
図5は、実施の形態1における調整機構の一例を示す概略図である。
調整機構180は、カム181と、第1の軸182と、アーム183と、第2の軸184と、レバー185とを備える。
カム181は、第1の軸182を中心にして回転する。
アーム183は、第2の軸184を中心にして回転する。アーム183の一端側は、カム181と接触している。カム181は、その表面と第1の軸182との間の厚さが異なるようにされている。このため、カム181が回転することにより、アーム183との接触部分が、カム181の厚さが薄い部分から厚い部分に変化すると、アーム183は、第2の軸184を中心にして、
図5の矢印Zの方向に回転する。
【0027】
アーム183の他端側には、定着バックアップローラ122の軸122cが取り付けられているため、アーム183が矢印Zの方向に回転することで、定着バックアップローラ122も矢印Zの方向に動かされる。以上のような調整機構180は、定着バックアップローラ122の両端に取り付けられている。そして、定着バックアップローラ122が矢印Zの方向に動かされると、定着ローラ121と、定着バックアップローラ122との間の距離が離れ、定着ローラ121及び定着バックアップローラ122の押し付け圧力が軽減される。
【0028】
アーム183には、レバー185が取り付けられており、位置検出センサ140は、このレバー185の位置の変化を検知する。例えば、位置検出センサ140は、図示してはいないが、発光部と、受光部とを有する光センサである。そして、例えば、アーム183がZ方向に動かされた場合、言い換えると、定着バックアップローラ122が予め定められた位置にまで移動された場合に、レバー185により発光部からの光が遮られる。これにより、位置検出センサ140は、定着バックアップローラ122が予め定められた位置にまで移動させられたこと、言い換えると、調整機構180が正常に動作したことを検知することができる。
【0029】
カム181は、定着ローラ121及び定着バックアップローラ122を回転させる駆動源であるモータ150から少なくとも1つのギアを有する伝達機構を介して回転される。
【0030】
図6は、モータ150からの駆動力をカム181、定着ローラ121及び定着バックアップローラ122に伝達する伝達機構を説明するための概略図である。
伝達機構151は、第1のギア152と、第2のギア153と、定着ローラギア154と、ワンウェイギア155と、第3のギア156と、カムギア157とを備える。
【0031】
モータ150により回転されるモータギア150aには、第1のギア152が噛み合っている。第1のギア152には、第2のギア153が噛み合っており、第2のギア153には、定着ローラ121に接続されている定着ローラギア154が噛み合っている。このため、モータ150によりモータギア150aが回転させられると、第1のギア152及び第2のギア153を介して、定着ローラギア154に駆動力が伝達されて、定着ローラ121が回転する。
【0032】
また、第2のギア153とともに回転する回転軸153aには、ワンウェイギア155が設けられている。ワンウェイギア155は、内部にクラッチを有している。そして、ワンウェイギア155は、このクラッチにより、回転軸153aが正転した場合、言い換えると、媒体PAを排出する方向に定着ローラ121が回転した場合には、回転せず、回転軸153aが逆転した場合にのみ回転するようになっている。
ワンウェイギア155は、第3のギア156に噛み合っており、第3のギア156は、カム181を回転させる第1の軸182に接続されているカムギア157に噛み合っている。
従って、モータ150によりモータギア150aが逆転された場合には、ワンウェイギア155、第3のギア156及びカムギア157により、カム181が回転させられ、アーム183がZ方向に動かされ、定着バックアップローラ122が予め定められた位置まで移動されて、定着ローラ121及び定着バックアップローラ122の押し付け圧力が軽減される。
即ち、調整機構180が正常に動作した場合には、以上に記載された伝達機構151にモータ150からの駆動力が伝達されていること、言い換えると、定着ローラ121及び定着バックアップローラ122にモータ150からの駆動力が伝達されていることになる。なお、通常、ギアは、確実に噛み合わされていないと、逆転させることはできない。このため、モータ150の逆転により、伝達機構151にモータ150からの駆動力が伝達されていることを確認することで、確実にギア同士が噛み合わされていることを確認することができる。
【0033】
なお、実施の形態1では、伝達機構151の全て又は一部は、定着ユニット120に備えられており、定着ユニット120が取り外された場合には、伝達機構151の全て又は一部は、定着ユニット120とともに取り外される。ここで、伝達機構151の一部は、例えば、第2のギア153、定着ローラギア154、ワンウェイギア155、第3のギア156及びカムギア157である。
【0034】
(動作の説明)
以下、実施の形態1におけるプリンタ100の動作について説明する。
図示されてはいないが、プリンタ100は、ケーブル又は無線を介して、ホストに接続されている。このホストから印刷データの転送を受けて、印刷の指示を受けると、メインCPU131は、給紙ローラ104を回転させて媒体PAを1枚、搬送ローラ105まで送り出させる。
【0035】
画像形成ユニット101は、給紙開始とほば同時にローラ類の回転を開始する。この回転開始に伴って、駆動ローラ107が回転し、搬送ベルト106も同一速度にて移動を開始する。
INセンサ111に到達した媒体PAは、給紙ローラ104で1枚分離された際にスキューしており、回転していない搬送ローラ105に突き当てられることで、スキューが取り除かれている。
【0036】
媒体PAが搬送ローラ105に突き当たると、搬送ローラ105は、クラッチで動力がつながって、回転する。これにより、媒体PAは、更に搬送されて、書き込みセンサ112をONにする。
書き込みセンサ112がONになった後、一定時間経過後にLEDヘッド102Kが露光を開始して静電潜像を感光体ドラム101a上に形成する。この形成された静電潜像に現像ローラ101bがトナーを供給し、トナー像が感光体ドラム101a上に形成される。このトナー像は、転写ローラ103Kに約+3000Vの電圧を掛けることで、媒体PA側に転写される。他の色の像についても、順次、同様に露光及び転写が行なわれる。
媒体PAへの転写が終わると、約200℃に加熱された定着ローラ121と定着バックアップローラ122との間で加熱及び加圧されて、媒体PAにトナー像が定着される。定着後、媒体PAは、排出センサ113をONした後、排出ローラ109にて、スタッカ110に排出される。
【0037】
ここで、定着ローラ121及び定着バックアップローラ122を駆動するギヤが外れる等により、モータ150からの駆動力が定着ローラ121及び定着バックアップローラ122に伝わらない場合、定着ローラ121の表面温度が200℃の温度に維持された状態で媒体PAが定着ユニット120に入り、媒体PAがとどまった状態で温度制御される。通常は媒体PAが移動中に加熱されるため、媒体PAの表面が100℃前後となるように加熱されるが、媒体PAがとどまると媒体PAも200℃前後にまで加熱されてしまう。媒体PAが紙である場合には、200℃で黄変する。また、媒体PAが耐熱性の低いフィルムである場合には、200℃で溶けて定着ローラ121及び定着バックアップローラ122に張り付いてしまう。フィルムが定着ローラ121及び定着バックアップローラ122に張り付いてしまうと、サーミスタ123の検出温度を狂わせてしまい印刷不良が生じる。
【0038】
そのため、実施の形態1では、上述した調整機構180を利用して、定着ユニット120の取り外しがあった場合に、モータ150からの駆動力が定着ローラ121及び定着バックアップローラ122に伝わっているか否かを確認する。具体的には、メインCPU131は、調整機構180を動作させて、定着バックアップローラ122が移動したことを位置検出センサ140が検出できれば、定着ユニット120が正常に装着されていると判断して、通常の印刷動作に移行する。一方、メインCPU131は、定着バックアップローラ122の移動が検出できなければ、エラーをユーザーに通知し、印刷動作に移行しない。実施の形態1では、調整動作は、メインCPU131がモータ150を逆転させることで行なわれる。
【0039】
なお、定着ユニット120の取り外しの監視は、メインCPU131及びサブCPU132で行なわれる。サブCPU132は、電源160のオフモード及びスリープモードでも電力が供給されているため、定着ユニット120の取り外しをオフモード及びスリープモードでも監視している。
【0040】
図7は、実施の形態1における定着ユニット120の監視処理を示すフローチャートである。
図7に示されているフローチャートは、電源160がオンにされた場合(オフモードから通常モードに復帰した場合)、電源160がスリープモードから通常モードに復帰した場合、及び、プリンタ100のカバーが閉じられた場合に開始される。これらの場合には、図示していない各レジスタに初期値が設定され、定着ユニット120の判別ルーチンが開始される。
【0041】
メインCPU131は、定着ユニット120がプリンタ100に取り付けられているか否かを判断する(S10)。例えば、メインCPU131は、サーミスタ123の検知電圧により、この判断を行なう。そして、定着ユニット120がプリンタ100に組み込まれていない場合(S10でNo)には、処理はステップS11に進み、定着ユニット120がプリンタ100に組み込まれている場合(S10でYes)には、処理はステップS12に進む。
【0042】
ステップS11では、メインCPU131は、ワークメモリとしてのメモリ131a上に確保されているヒータ無しビットを「ON」にする。この時、メインCPU131は、図示されていない表示部にエラー画面を表示する等によりユーザに通知を行ない、ステップS10に処理を戻す。なお、ヒータ無しビットは、プリンタ100の電源160が通常モードである場合に、定着ユニット120がプリンタ100から取り外されたか否かを示す情報である。
【0043】
ステップS12では、メインCPU131は、定着ユニット120の取り外し履歴があるか否かを判断する。メインCPU131は、サブCPU132からの通知信号が「L」である場合には、定着ユニット120が取り外された履歴があると判断し、それが「H」である場合には、定着ユニット120が取り外された履歴がないと判断する。ここで、定着ユニット120が取り外された履歴がある場合には、少なくともプリンタ100の電源160がオフモード又はスリープモード時に、定着ユニット120がプリンタ100から取り外されたことを示す。
そして、定着ユニット120が取り外された履歴がない場合(S12でNo)には、処理はステップS13に進み、定着ユニット120が取り外された履歴がある場合(S12でYes)には、処理はステップS14に進む。
【0044】
ステップS13では、メインCPU131は、メモリ131a上のヒータ無しビットが「ON」であるか否かを確認する。ヒータ無しビットが「ON」である場合(S13でYes)には、処理はステップS14に進み、ヒータ無しビットが「OFF」である場合(S13でNo)には、処理はステップS17に進む。
【0045】
ステップS14では、メインCPU131は、モータ150を逆転させて、調整機構180による調整動作を行なう。
そして、メインCPU131は、調整動作が成功したか否かを判断する(S15)。例えば、メインCPU131は、調整動作を開始してから予め定められた時間内に位置検出センサ140から検出信号を受け取った場合には、調整動作が成功したと判断し、予め定められた時間内に位置検出センサ140から検出信号を受け取らなかった場合には、調整動作が失敗したと判断する。調整動作が失敗した場合(S15でNo)には、処理はステップS16に進み、調整動作が成功した場合(S15でYes)には、処理はステップS17に進む。
【0046】
ステップS16では、メインCPU131は、エラー処理を行う。エラー処理としては、例えば、図示されていない表示部にエラー画面を表示する等によるユーザへの通知、動作しているモータ類があればその停止等が行なわれる。
【0047】
ステップS18では、メインCPU131は、プリンタ100、特に、定着ユニット120の初期化(ウォームアップ)を開始する。この初期化には、例えば、ヒータ125への通電が含まれる。
また、メインCPU131は、サブCPU132にクリア信号を送るとともに、メモリ131a上のヒータ無しビットを「OFF」にする。
【0048】
以上のように、実施の形態1によれば、定着ユニット120が脱着された場合には、定着ユニット120のウォームアップを開始する前に、モータ150からの駆動力が定着ユニット120に伝達されているか否かを確認することができる。このため、定着ユニット120のヒータ125に通電される前に、定着ユニット120の定着ローラ121及び定着バックアップローラ122の動作確認を行なうことができ、安全性を確保することができる。また、実施の形態1では、定着ユニット120の脱着がない場合には、定着ユニット120の動作チェックを行なわないため、このような場合には、定着ユニット120のウォームアップ時間を短縮して、印刷の再開時間を短縮することができる。
【0049】
以上のように、実施の形態1では、画像形成装置としてプリンタ100を例に説明したが、プリンタ100の他、電子写真方式による複写機、FAX、或いは、これらの装置の機能を複合させたMFP(Multi Function Peripheral)等の画像形成装置についても本発明を適用することができる。