【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、請求項1に記載のドライブヘッドにより解決される。本発明の実施形態は従属クレームにおいて規定されている。
【0005】
本発明によると、シリンジポンプのドライブヘッドであって、
前記シリンジの外筒に対し前記ピストンを移動させるべくシリンジのピストンに当接(bears against)するように構成された当接部と、
前記ピストンが前記当接部から離れるサイフォン運動を防止するべく前記シリンジピストンのフランジを保持する少なくとも1つの保持部材と、
前記ドライブヘッドの圧力センサー支持体に配置された、前記シリンジの内部圧力を求めるための圧力センサーと、
−前記圧力センサー支持体及び前記圧力センサーがその内側に配置されるハウジングと、
を備え、
前記保持部材は前記圧力センサー支持体を介して取り付けられる、ドライブヘッドが提供される。
【0006】
圧力センサーは、シリンジピストンによりドライブヘッドの当接部に印加される力を求めることによって、シリンジ内部の圧力を求めることができるようにする。この力Fは、シリンジの内部圧力p及びピストンの断面積Sによって、F=p・Sに従って求められるので、Fが知られている場合には内部圧力を求めることができる。
【0007】
したがって、シリンジの内部圧力をできる限り正確に求めるためには、シリンジピストンによって、当接部に負荷される力Fの正確な測定を実行できる必要がある。ドライブヘッドが動作しているときに(which in operation of)、シリンジピストンに当接するドライブヘッドの当接部に保持部材を介して寄生的な力が印加されることを回避するために、保持部材は、例えばドライブヘッドのハウジングを介してではなく、圧力センサー支持体を介して取り付けられる。以下に更に説明するように、保持部材はアンチサイフォンアーム(anti-siphon arm)とすることができる。
【0008】
圧力センサー支持体を介した保持部材の取付けにより、保持部材を介して当接部に、したがって圧力センサーに伝達される寄生的な力が減少するか又は回避される。また、当接部分(bearing section)に印加される実際の力から、保持部材を介して誘発される寄生的な力の分配を切り離すことが可能である。例えば、圧力センサーにより生じた電気信号は解析することができ、保持部材を介して誘発される力の寄与分を特定(identify)することができる。
【0009】
ドライブヘッドのハウジングは開口を有することができ、保持部材は、その開口の内側縁部に対し或る距離をあけて、すなわち保持部材が浮動する状態で取り付けられていると考えることができるように、その開口の縁部に留まることなく(without resting)その開口を通って延びる。この浮動状態(floatingly)で取付けられる保持部材は、圧力センサー信号の変形が可能な限り回避されるように、例えば、ドライブヘッドハウジングの変形が保持部材及び当接部を介して圧力センサーに伝達されることを防止する。
【0010】
さらに、圧力センサー支持体は、ドライブヘッドが動作しているときにシリンジに面しない(faces away from)当接部側に配置することができる。例えば、圧力センサー支持体は、当接部から或る距離をあけて配置される。すなわち、圧力センサー支持体は当接部と直接的に接触しない。例えば、圧力センサー支持体は金属又はプラスチックにより形成されたブロックであり、このブロックはドライブヘッドのハウジング内に配置される。
【0011】
当接部に対して或る距離をあけて配置されるにもかかわらず、シリンジピストンにより当接部に印加される力が圧力センサー支持体を介して圧力センサーに伝達されるように、圧力センサー支持体を静止(still)して配置することができる。例えば、圧力センサーは、圧力センサー支持体の、当接部に面しない表面に配置された歪みゲージを有する(comprise)。その例において、シリンジピストンにより当接部に印加される力は(直接的に又は間接的に)圧力センサー支持体に、そして圧力センサー支持体を介して歪みゲージに伝達される。
【0012】
例えば、圧力センサー支持体は、圧力センサーを担持する第1の部分及びそれを介して保持部材が取り付けられる第2の部分を有する。第2の部分は、保持部材の一部(例えば以下に述べるようなシャフト)が少なくとも部分的にそれを通って延びる開口を有することができる。第1の部分及び第2の部分は、互いに一体につながっていることができる。しかしながら、本発明の別の例において、第2の部分は、(例えば、閉鎖した状態又は力により閉鎖した状態で(in a form-closed of force-closed manner)連結手段を介して第1の部分に連結される。
【0013】
本発明の別の実施形態によると、圧力センサー装置の第1の部分は当接部を向く(facing towards)前側面と当接部分(bearing section)に面しない(facing away from)後側面とを有し、圧力センサーは後側面に連結される。例えば、前側面は後側面に対して平行に延びる(runs)。
【0014】
圧力センサー支持体は、(当接部を介して)前側面に印加される力の影響下で前側面が変形する場合に、後側面が同様に変形し、前側面及び後側面が変形する前にそれに沿って延びていた平面に対し前側面及び後側面の部分が平行なままとなるように設計することができる。これにより、ドライブヘッドが動作している間、シリンジフランジが当接部を押圧するときにセンサー支持体の第2の部分の傾斜を回避することができるように、圧力センサー支持体の前側面及び後側面は平行なままとなる。したがって、支持部分を介して圧力センサー支持体に力が印加される場合に、第2の部分を介して取り付けられる保持部材がシリンジピストンに対して傾斜することが回避される。
【0015】
例えば、圧力センサー支持体の設計は、圧力センサー支持体の後側面と本質的に平行に延びる貫通開口を提供することができる。一実施例によると、この貫通開口は、圧力センサー支持体の前側面及び後側面に対して平行に延びる想像線上にその中心が位置決めされた部分的に重なり合う2つの円により形成される断面を有する。これにより、圧力センサー支持体は、貫通開口の外側ではなく貫通開口の領域、すなわち(ドライブヘッドの運動方向に対し垂直な方向に見たときに)貫通開口の側方に湾曲する傾向がある。別の実施形態によると、圧力センサーは、貫通開口の領域において、圧力センサー支持体の後側面に、すなわち(ドライブヘッドの運動方向に対して平行な方向に見たときに)貫通開口の後方に配置される。
【0016】
さらに、ドライブヘッドは担持体に配置された圧力伝達部材を備えることができ、シリンジピストンが当接部上に力を印加する場合、担持体したがって圧力伝達部材が圧力センサー支持体に押しつけられるように、当接部の側面が担持体に向けて押圧される。例えば、圧力伝達部材は、例えば金属又はプラスチックにより形成された円筒、円錐、又は球面の部材である。
【0017】
本発明の別の実施形態によると、当接部はハウジングの一部に配置される。例えば、当接部はハウジングの一つの部分(例えばハウジングの側壁)であり、すなわちハウジングと一体に形成される。
【0018】
別の例において、当接部は当接部材を有し、この当接部材は、シリンジポンプのドライブヘッドが動作しているときにシリンジのピストンが当接部により押圧されるように、すなわち当接部材がシリンジピストンによって負荷される力を受けるとともにその力を圧力センサー支持体に向けて(直接的に又は間接的に)伝達するように配置される。特に、当接部は(弾性材料により形成される)可撓性部材、例えば薄膜を介してドライブヘッドハウジングに取り付けられる。
【0019】
例えば、当接部材はドライブヘッドハウジングの外側からシリンジピストンに向けて突出し、すなわち、シリンジピストンによって、印加されるピストン力を受けるとともにその力を圧力センサー支持体に伝達する「フィンガー(finger)」として形成される。例えば、当接部材は、上述したように圧力伝達部材を有する支持体に押圧される。
【0020】
突出している当接部材は、第1の部分を介して(例えば接着連結(bond connection)を介して)当接部材に連結されるとともに(また例えば接着(bonding)を介して)ハウジングに連結された第2の部分を有する薄膜の形態の可撓性部材によって、囲むことができる。
【0021】
さらに、保持部材は、圧力センサー支持体に回転可能に取り付けることができる。例えば、保持部材は、圧力センサー支持体がシャフト、したがって保持部材の回転運動を可能にするように、少なくとも部分的に圧力センサー支持体を通って延びるシャフトを有する。上述したように、保持部材は、シリンジピストンのフランジを保持する(例えば係合する)ための把持部材と、ドライブヘッドハウジングの開口を通って(例えば上述したように開口の縁部に当接することなしに)延びるとともに圧力センサー支持体を通って少なくとも部分的にも延びるシャフトとを有する、アンチサイフォンアームとすることができる。
【0022】
ドライブヘッドはまた、シリンジをドライブヘッドに配置するために使用可能な開放位置から(シリンジをドライブヘッドに配置した後に)保持部材がシリンジピストンのフランジを保持する閉鎖位置へと保持部材を移動させるべく、保持部材の(ドライブヘッドによって生じるシリンジピストンの運動方向に平行な軸線回りの)回転方向の運動及び/又は(ドライブヘッドに生じるシリンジピストンの運動方向に沿った)軸線方向の運動を生じさせるための手段を備えることができる。
【0023】
例えば、この手段は、保持部材を移動させるための作動装置を有し、この作動装置はハウジングの外側から手動で操作されるように構成され、作動装置を開始位置から開放位置へと移動させることによって、保持部材を閉鎖位置から開放位置に移動させることができ、かつ作動装置は開始位置において、保持部材から分離されるように構成される。
【0024】
さらに、回転方向及び/又は軸線方向の運動を生じさせる手段は作動装置を開始位置に保持するのに役立つ弾性手段を有することができ、作動装置の開始位置は保持部材の閉鎖した後側位置に対応する。例えば、作動装置は、弾性手段によって予め張力が負荷されたレバーを有する。作動装置が開始位置において、保持部材から分離されるので、ドライブヘッドハウジング及び作動装置を介した寄生的な力の保持部材への伝達が回避される。
【0025】
特に、保持部材の回転方向及び/又は軸線方向の運動を生じさせる手段は、作動装置に連結された第1の相互作用部材と(直接的に又は間接的に)保持部材に(例えば保持部材のシャフトに)連結された第2の相互作用部材とを有し、作動装置を操作することによって、第1の相互作用部材が第2の相互作用部材に押しつけられ、それによって、保持部材を開放位置に向けて枢動させるようになっている。さらに、回転方向及び/又は軸線方向の運動を生じさせるための手段は、作動装置に連結された(又は作動装置により形成された)第3の相互作用部材と、保持部材に連結された第4の相互作用部材とを有することができ、作動装置を操作することにより、保持部材が直線的に移動するように第3の相互作用部材が第4の相互作用部材に押圧される。これにより、作動手段を操作することによって、保持部材を第1の位置(閉鎖した後側位置)から第2の位置(開放した前側位置)に向けて移動させることができる。
【0026】
また、回転方向及び/又は軸線方向の運動を生じさせるための手段は、保持部材を閉鎖した後側位置に保持するのに役立つ弾性手段を有することができる。
【0027】
本発明の別の実施形態によると、ドライブヘッドは、保持部材を開放した前側位置に固定するラッチ係合機構を有する。保持部材がその位置に固定されたときに、作動装置は解放することができ、作動装置は弾性手段の復元力によって、その開始位置に戻る。シリンジピストンがドライブヘッドの当接部に押しつけられると、保持部材は解放されるとともに(上述した弾性手段による予張力によって)その閉鎖した後側位置に移動する。作動手段に復元力を印加する弾性手段は、保持部材が作動装置から分離されるように保持部材がその閉鎖した後側位置へとスナップバックする場合であっても、(作動装置に連結された)第1の相互作用部材及び第3の相互作用部材が(保持部材に連結された)第2の相互作用部材及び第4の相互作用部材から或る距離をあけて配置された位置に作動手段を移動させる。
【0028】
ここで留意されることは、保持部材の予張力により、ドライブヘッドハウジングの当接部に、したがって圧力センサー上に、寄生的な力が発生することである。しかしながら、この寄生的な力の値は求めかつ考慮することができる。
【0029】
特に、ドライブヘッドは、シリンジピストンを2つの保持部材の間でセンタリングすることができるように2つの回転可能な保持部材を有する。例えば、これらの保持部材の一方が回転した場合にその回転運動が他方の保持部材に伝達されて、これらの保持部材が追従する関係の回転を実行するように、これらの保持部材は互いに回転可能に連結される。例えば、この回転運動は、第1の保持部材及び第2の保持部材に配置されたギヤホイール部分を介して伝達される。しかしながら、保持部材のこの種類の継手は従来技術から原理的には既知であり、より詳細には説明されない。
【0030】
しかしながら、ここで留意されることはドライブヘッドが2つの回転可能な保持部材を備えることは必ずしも必要ではないことである。むしろ、ドライブヘッドは1つのみの回転可能な保持部材を有することができ、シリンジピストンは回転可能な保持部材と回転不能な保持部材(すなわち、ハウジングに対して回転することができない保持部材)との間に配置することができる。
【0031】
本発明はまた、上述したようにドライブヘッドを備えるシリンジポンプに関する。
【0032】
本発明の実施形態を、図面を参照して以下でより詳細に説明する。