特許第6134655号(P6134655)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134655
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】シリンジポンプのドライブヘッド
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20170515BHJP
   A61M 5/168 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   A61M5/145 510
   A61M5/145 506
   A61M5/168 516
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-558396(P2013-558396)
(86)(22)【出願日】2012年3月12日
(65)【公表番号】特表2014-513590(P2014-513590A)
(43)【公表日】2014年6月5日
(86)【国際出願番号】EP2012054282
(87)【国際公開番号】WO2012123417
(87)【国際公開日】20120920
【審査請求日】2014年10月16日
(31)【優先権主張番号】11158391.0
(32)【優先日】2011年3月16日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/453,143
(32)【優先日】2011年3月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511241734
【氏名又は名称】フレゼニウス ヴィアル エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】Fresenius Vial SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ロシェット,フランソワ
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0063447(US,A1)
【文献】 特開2001−029462(JP,A)
【文献】 米国特許第06551277(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/145
A61M 5/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジポンプのドライブヘッドであって、
前記シリンジの外筒に対し前記ピストンを移動させるべくシリンジのピストンに当接するように構成された当接部(3)と、
前記ピストンが前記当接部(3)から離れるサイフォン運動を防止するべく前記シリンジピストンのフランジを保持する少なくとも1つの保持部材(41、42)と、
該ドライブヘッド(1)の圧力センサー支持体(7)に配置された、前記シリンジの内部圧力を求めるための圧力センサー(6)と、
前記圧力センサー(6)及び前記圧力センサー支持体(7)がその内側に配置されるハウジング(2)と、
を備え、
前記保持部材(41、42)は前記圧力センサー支持体(7)を介して取り付けられ、
前記圧力センサー(6)は、前記圧力センサー支持体(7)の、前記当接部(3)に面しない側面(711)に配置された少なくとも1つの歪みゲージを含み、
前記圧力センサー支持体(7)が、前側面(712)及び後側面(711)を含み、かつ、前記前側面(712)及び前記後側面(711)に平行に延びる貫通開口(713)を含み、
前記貫通開口(713)が、2つの重なり合う円から構成される断面を有し、
前記前側面(712)の、該ドライブヘッドの運動方向に対して垂直な方向に見たときに、前記前側面(712)に前記当接部分(3)が力を負荷して、前記圧力センサー支持体が前記貫通開口(713)の領域において、変形するが、前記前側面(712)及び前記後側面(711)の、前記貫通開口(713)の側方に配置された部分が、前記負荷される力の方向のみに沿って変位し、それにより、前記力を負荷する前にそれに沿って延びていた平面に対し平行に延びるように、前記貫通開口(713)が構成されかつ配置されている、
ドライブヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載のドライブヘッドであって、前記圧力センサー支持体(7)は、前記当接部(3)の、該ドライブヘッド(1)が動作しているときに前記シリンジに面しない側に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のドライブヘッド。
【請求項3】
前記圧力センサー支持体(7)は、前記シリンジピストンにより前記当接部(3)上に印加される力が前記圧力センサー支持体(7)を通って前記圧力センサー(6)に伝達されるような方法で配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のドライブヘッド。
【請求項4】
前記当接部(3)は前記ハウジング(2)の一部に配置されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のドライブヘッド。
【請求項5】
請求項4に記載のドライブヘッドであって、前記当接部(3)は、該ドライブヘッド(1)が動作するときに前記シリンジピストンが当接部材(31)に当接するような方法で配置された該当接部材(31)を有し、前記当接部材(31)は可撓性部材(32)を介して前記ハウジング(2)に取り付けられることを特徴とする、請求項4に記載のドライブヘッド。
【請求項6】
前記ハウジング(2)は開口(211、212)を有し、前記保持部材(41、42)は、前記開口(211、212)の内側縁部に対し或る距離で該開口(211、212)を通って延びることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のドライブヘッド。
【請求項7】
前記保持部材(41、42)は、前記圧力センサー支持体(7)に回転可能に取り付けられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のドライブヘッド。
【請求項8】
前記保持部材(41、42)は、少なくとも部分的に前記圧力センサー支持体(7)を通って延びるシャフト(412、422)を有していることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のドライブヘッド。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のドライブヘッドであって、前記シリンジを該ドライブヘッドに配置するために使用可能な開放位置から、前記シリンジが該ドライブヘッドに配置された場合に前記保持部材(41、42)が前記シリンジピストンの前記フランジを保持する閉鎖位置へと、前記保持部材(41、42)を移動させるべく、前記保持部材(41、42)の回転方向及び/又は軸線方向の運動を生じさせる手段(8)を特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のドライブヘッド。
【請求項10】
前記手段(8)は前記保持部材(41、42)を移動させるための作動装置(850)を有し、前記作動装置(850)は前記ハウジング(2)の外側から手動で操作されるように構成され、前記保持部材(41、42)は前記作動装置(850)を開始位置から開放位置へと動かすことによって前記閉鎖位置から前記開放位置に動くことができ、かつ前記作動装置(850)は前記開始位置において前記保持部材(41、42)から分離されるように構成されていることを特徴とする、請求項9に記載のドライブヘッド。
【請求項11】
前記手段(8)は、前記作動装置(850)を前記開始位置に保持するのに役立つ弾性手段(89)を有していることを特徴とする、請求項10に記載のドライブヘッド。
【請求項12】
前記手段(8)は前記作動装置(850)に連結された第1の相互作用部材(830)及び前記保持部材(41、42)に連結された第2の相互作用部材(820)を有し、前記作動装置(850)を動作させることにより前記第1の相互作用部材(830)を前記第2の相互作用部材(820)に押しつけることができ、それによって、前記保持部材(41、42)を前記開放位置に向けて移動させるようになっていることを特徴とする、請求項10又は11に記載のドライブヘッド。
【請求項13】
前記圧力センサー支持体(7)は第1の部分(71)及び第2の部分(72)を有し、前記第2の部分(72)は連結手段(74)を介して前記第1の部分(71)に連結され、前記圧力センサー(6)は前記第1の部分(71)に配置されるとともに前記保持部材(41、42)は前記第2の部分(72)を介して取り付けられることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載のドライブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載のシリンジポンプのドライブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
シリンジを空にするためのシリンジポンプが従来技術から既知である。例えば、シリンジポンプは、シリンジに収容されている液体を人体に注射するために医療分野において使用される。既知のシリンジポンプは通常、ドライブヘッドを備えており、このドライブヘッドは、シリンジのピストンがドライブヘッドによってシリンジ外筒の内側に移動するように、ドライブヘッドの直線的な動きを生じさせるように構成されている駆動機構に連結されている。シリンジポンプが動作している間のシリンジの内部圧力を測定できるようにするために、ドライブヘッドに圧力センサーを配置することもまた既知である。そのようなドライブヘッドを備えるシリンジポンプは、例えば、欧州特許第0916353号に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、シリンジ内の内部圧力をできる限り正確に測定できるシリンジポンプ用ドライブヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、請求項1に記載のドライブヘッドにより解決される。本発明の実施形態は従属クレームにおいて規定されている。
【0005】
本発明によると、シリンジポンプのドライブヘッドであって、
前記シリンジの外筒に対し前記ピストンを移動させるべくシリンジのピストンに当接(bears against)するように構成された当接部と、
前記ピストンが前記当接部から離れるサイフォン運動を防止するべく前記シリンジピストンのフランジを保持する少なくとも1つの保持部材と、
前記ドライブヘッドの圧力センサー支持体に配置された、前記シリンジの内部圧力を求めるための圧力センサーと、
−前記圧力センサー支持体及び前記圧力センサーがその内側に配置されるハウジングと、
を備え、
前記保持部材は前記圧力センサー支持体を介して取り付けられる、ドライブヘッドが提供される。
【0006】
圧力センサーは、シリンジピストンによりドライブヘッドの当接部に印加される力を求めることによって、シリンジ内部の圧力を求めることができるようにする。この力Fは、シリンジの内部圧力p及びピストンの断面積Sによって、F=p・Sに従って求められるので、Fが知られている場合には内部圧力を求めることができる。
【0007】
したがって、シリンジの内部圧力をできる限り正確に求めるためには、シリンジピストンによって、当接部に負荷される力Fの正確な測定を実行できる必要がある。ドライブヘッドが動作しているときに(which in operation of)、シリンジピストンに当接するドライブヘッドの当接部に保持部材を介して寄生的な力が印加されることを回避するために、保持部材は、例えばドライブヘッドのハウジングを介してではなく、圧力センサー支持体を介して取り付けられる。以下に更に説明するように、保持部材はアンチサイフォンアーム(anti-siphon arm)とすることができる。
【0008】
圧力センサー支持体を介した保持部材の取付けにより、保持部材を介して当接部に、したがって圧力センサーに伝達される寄生的な力が減少するか又は回避される。また、当接部分(bearing section)に印加される実際の力から、保持部材を介して誘発される寄生的な力の分配を切り離すことが可能である。例えば、圧力センサーにより生じた電気信号は解析することができ、保持部材を介して誘発される力の寄与分を特定(identify)することができる。
【0009】
ドライブヘッドのハウジングは開口を有することができ、保持部材は、その開口の内側縁部に対し或る距離をあけて、すなわち保持部材が浮動する状態で取り付けられていると考えることができるように、その開口の縁部に留まることなく(without resting)その開口を通って延びる。この浮動状態(floatingly)で取付けられる保持部材は、圧力センサー信号の変形が可能な限り回避されるように、例えば、ドライブヘッドハウジングの変形が保持部材及び当接部を介して圧力センサーに伝達されることを防止する。
【0010】
さらに、圧力センサー支持体は、ドライブヘッドが動作しているときにシリンジに面しない(faces away from)当接部側に配置することができる。例えば、圧力センサー支持体は、当接部から或る距離をあけて配置される。すなわち、圧力センサー支持体は当接部と直接的に接触しない。例えば、圧力センサー支持体は金属又はプラスチックにより形成されたブロックであり、このブロックはドライブヘッドのハウジング内に配置される。
【0011】
当接部に対して或る距離をあけて配置されるにもかかわらず、シリンジピストンにより当接部に印加される力が圧力センサー支持体を介して圧力センサーに伝達されるように、圧力センサー支持体を静止(still)して配置することができる。例えば、圧力センサーは、圧力センサー支持体の、当接部に面しない表面に配置された歪みゲージを有する(comprise)。その例において、シリンジピストンにより当接部に印加される力は(直接的に又は間接的に)圧力センサー支持体に、そして圧力センサー支持体を介して歪みゲージに伝達される。
【0012】
例えば、圧力センサー支持体は、圧力センサーを担持する第1の部分及びそれを介して保持部材が取り付けられる第2の部分を有する。第2の部分は、保持部材の一部(例えば以下に述べるようなシャフト)が少なくとも部分的にそれを通って延びる開口を有することができる。第1の部分及び第2の部分は、互いに一体につながっていることができる。しかしながら、本発明の別の例において、第2の部分は、(例えば、閉鎖した状態又は力により閉鎖した状態で(in a form-closed of force-closed manner)連結手段を介して第1の部分に連結される。
【0013】
本発明の別の実施形態によると、圧力センサー装置の第1の部分は当接部を向く(facing towards)前側面と当接部分(bearing section)に面しない(facing away from)後側面とを有し、圧力センサーは後側面に連結される。例えば、前側面は後側面に対して平行に延びる(runs)。
【0014】
圧力センサー支持体は、(当接部を介して)前側面に印加される力の影響下で前側面が変形する場合に、後側面が同様に変形し、前側面及び後側面が変形する前にそれに沿って延びていた平面に対し前側面及び後側面の部分が平行なままとなるように設計することができる。これにより、ドライブヘッドが動作している間、シリンジフランジが当接部を押圧するときにセンサー支持体の第2の部分の傾斜を回避することができるように、圧力センサー支持体の前側面及び後側面は平行なままとなる。したがって、支持部分を介して圧力センサー支持体に力が印加される場合に、第2の部分を介して取り付けられる保持部材がシリンジピストンに対して傾斜することが回避される。
【0015】
例えば、圧力センサー支持体の設計は、圧力センサー支持体の後側面と本質的に平行に延びる貫通開口を提供することができる。一実施例によると、この貫通開口は、圧力センサー支持体の前側面及び後側面に対して平行に延びる想像線上にその中心が位置決めされた部分的に重なり合う2つの円により形成される断面を有する。これにより、圧力センサー支持体は、貫通開口の外側ではなく貫通開口の領域、すなわち(ドライブヘッドの運動方向に対し垂直な方向に見たときに)貫通開口の側方に湾曲する傾向がある。別の実施形態によると、圧力センサーは、貫通開口の領域において、圧力センサー支持体の後側面に、すなわち(ドライブヘッドの運動方向に対して平行な方向に見たときに)貫通開口の後方に配置される。
【0016】
さらに、ドライブヘッドは担持体に配置された圧力伝達部材を備えることができ、シリンジピストンが当接部上に力を印加する場合、担持体したがって圧力伝達部材が圧力センサー支持体に押しつけられるように、当接部の側面が担持体に向けて押圧される。例えば、圧力伝達部材は、例えば金属又はプラスチックにより形成された円筒、円錐、又は球面の部材である。
【0017】
本発明の別の実施形態によると、当接部はハウジングの一部に配置される。例えば、当接部はハウジングの一つの部分(例えばハウジングの側壁)であり、すなわちハウジングと一体に形成される。
【0018】
別の例において、当接部は当接部材を有し、この当接部材は、シリンジポンプのドライブヘッドが動作しているときにシリンジのピストンが当接部により押圧されるように、すなわち当接部材がシリンジピストンによって負荷される力を受けるとともにその力を圧力センサー支持体に向けて(直接的に又は間接的に)伝達するように配置される。特に、当接部は(弾性材料により形成される)可撓性部材、例えば薄膜を介してドライブヘッドハウジングに取り付けられる。
【0019】
例えば、当接部材はドライブヘッドハウジングの外側からシリンジピストンに向けて突出し、すなわち、シリンジピストンによって、印加されるピストン力を受けるとともにその力を圧力センサー支持体に伝達する「フィンガー(finger)」として形成される。例えば、当接部材は、上述したように圧力伝達部材を有する支持体に押圧される。
【0020】
突出している当接部材は、第1の部分を介して(例えば接着連結(bond connection)を介して)当接部材に連結されるとともに(また例えば接着(bonding)を介して)ハウジングに連結された第2の部分を有する薄膜の形態の可撓性部材によって、囲むことができる。
【0021】
さらに、保持部材は、圧力センサー支持体に回転可能に取り付けることができる。例えば、保持部材は、圧力センサー支持体がシャフト、したがって保持部材の回転運動を可能にするように、少なくとも部分的に圧力センサー支持体を通って延びるシャフトを有する。上述したように、保持部材は、シリンジピストンのフランジを保持する(例えば係合する)ための把持部材と、ドライブヘッドハウジングの開口を通って(例えば上述したように開口の縁部に当接することなしに)延びるとともに圧力センサー支持体を通って少なくとも部分的にも延びるシャフトとを有する、アンチサイフォンアームとすることができる。
【0022】
ドライブヘッドはまた、シリンジをドライブヘッドに配置するために使用可能な開放位置から(シリンジをドライブヘッドに配置した後に)保持部材がシリンジピストンのフランジを保持する閉鎖位置へと保持部材を移動させるべく、保持部材の(ドライブヘッドによって生じるシリンジピストンの運動方向に平行な軸線回りの)回転方向の運動及び/又は(ドライブヘッドに生じるシリンジピストンの運動方向に沿った)軸線方向の運動を生じさせるための手段を備えることができる。
【0023】
例えば、この手段は、保持部材を移動させるための作動装置を有し、この作動装置はハウジングの外側から手動で操作されるように構成され、作動装置を開始位置から開放位置へと移動させることによって、保持部材を閉鎖位置から開放位置に移動させることができ、かつ作動装置は開始位置において、保持部材から分離されるように構成される。
【0024】
さらに、回転方向及び/又は軸線方向の運動を生じさせる手段は作動装置を開始位置に保持するのに役立つ弾性手段を有することができ、作動装置の開始位置は保持部材の閉鎖した後側位置に対応する。例えば、作動装置は、弾性手段によって予め張力が負荷されたレバーを有する。作動装置が開始位置において、保持部材から分離されるので、ドライブヘッドハウジング及び作動装置を介した寄生的な力の保持部材への伝達が回避される。
【0025】
特に、保持部材の回転方向及び/又は軸線方向の運動を生じさせる手段は、作動装置に連結された第1の相互作用部材と(直接的に又は間接的に)保持部材に(例えば保持部材のシャフトに)連結された第2の相互作用部材とを有し、作動装置を操作することによって、第1の相互作用部材が第2の相互作用部材に押しつけられ、それによって、保持部材を開放位置に向けて枢動させるようになっている。さらに、回転方向及び/又は軸線方向の運動を生じさせるための手段は、作動装置に連結された(又は作動装置により形成された)第3の相互作用部材と、保持部材に連結された第4の相互作用部材とを有することができ、作動装置を操作することにより、保持部材が直線的に移動するように第3の相互作用部材が第4の相互作用部材に押圧される。これにより、作動手段を操作することによって、保持部材を第1の位置(閉鎖した後側位置)から第2の位置(開放した前側位置)に向けて移動させることができる。
【0026】
また、回転方向及び/又は軸線方向の運動を生じさせるための手段は、保持部材を閉鎖した後側位置に保持するのに役立つ弾性手段を有することができる。
【0027】
本発明の別の実施形態によると、ドライブヘッドは、保持部材を開放した前側位置に固定するラッチ係合機構を有する。保持部材がその位置に固定されたときに、作動装置は解放することができ、作動装置は弾性手段の復元力によって、その開始位置に戻る。シリンジピストンがドライブヘッドの当接部に押しつけられると、保持部材は解放されるとともに(上述した弾性手段による予張力によって)その閉鎖した後側位置に移動する。作動手段に復元力を印加する弾性手段は、保持部材が作動装置から分離されるように保持部材がその閉鎖した後側位置へとスナップバックする場合であっても、(作動装置に連結された)第1の相互作用部材及び第3の相互作用部材が(保持部材に連結された)第2の相互作用部材及び第4の相互作用部材から或る距離をあけて配置された位置に作動手段を移動させる。
【0028】
ここで留意されることは、保持部材の予張力により、ドライブヘッドハウジングの当接部に、したがって圧力センサー上に、寄生的な力が発生することである。しかしながら、この寄生的な力の値は求めかつ考慮することができる。
【0029】
特に、ドライブヘッドは、シリンジピストンを2つの保持部材の間でセンタリングすることができるように2つの回転可能な保持部材を有する。例えば、これらの保持部材の一方が回転した場合にその回転運動が他方の保持部材に伝達されて、これらの保持部材が追従する関係の回転を実行するように、これらの保持部材は互いに回転可能に連結される。例えば、この回転運動は、第1の保持部材及び第2の保持部材に配置されたギヤホイール部分を介して伝達される。しかしながら、保持部材のこの種類の継手は従来技術から原理的には既知であり、より詳細には説明されない。
【0030】
しかしながら、ここで留意されることはドライブヘッドが2つの回転可能な保持部材を備えることは必ずしも必要ではないことである。むしろ、ドライブヘッドは1つのみの回転可能な保持部材を有することができ、シリンジピストンは回転可能な保持部材と回転不能な保持部材(すなわち、ハウジングに対して回転することができない保持部材)との間に配置することができる。
【0031】
本発明はまた、上述したようにドライブヘッドを備えるシリンジポンプに関する。
【0032】
本発明の実施形態を、図面を参照して以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態によるシリンジポンプドライブヘッドの断面図である。
図2図1によるドライブヘッドの別の視点からの断面図である。
図3図1のドライブヘッドの構成部品の分解図である。
図4図3の構成部品の別の図である。
図5図1のドライブヘッドの別の分解図である。
図6図1図5によるドライブヘッドの内部の斜視図である。
図7】ドライブヘッドの更なる図である。
図8】ドライブヘッドの更なる図である。
図9A】ドライブヘッドの更なる図である。
図9B】ドライブヘッドの更なる図である。
図10】ドライブヘッドの更なる図である。
図11】ドライブヘッドの更なる図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1に示されている本発明によるシリンジポンプドライブヘッド1は、ドライブヘッドが動作しているときに少なくとも部分的にシリンジ(図示せず)に面する前側部分21と後側部分22とからなるハウジング2を備えている。
【0035】
前側ハウジング部分21の前側側壁に配置されているものはドライブヘッドの当接部3である。この当接部3は、シリンジピストンのフランジに押しつけられるとともに、シリンジから液体を放出するべくシリンジの外筒に対しピストンを移動させるように構成されている。シリンジポンプが動作する間、ドライブヘッドは、そのスクリュー駆動機構の軸線51に沿った当接部3の直線的な移動を生じさせるスクリュー駆動機構を備える移動機構5により移動される。
【0036】
ドライブヘッド1は、回転可能なアンチサイフォンアーム41、42の形態の2つの保持部材を更に備えているが、図1はそれらのアームのうちの一方の一部のみを示している。両方のアームは、例えば図4に示されている。
【0037】
アーム41、42は、ピストンのサイフォン運動、すなわち当接部3から離れる運動を防止するべく、シリンジピストンのフランジと係合するように構成されている。このため、アーム41、42は、把持部材411、421と、これらの把持部材411、421に連結されたシャフト412、422とをそれぞれ有し、アーム(すなわち把持部材)がシリンジピストンのフランジに係合しない開放位置と、アームがフランジに係合して、例えばピストンフランジとドライブヘッドの当接部3との接触を保持する閉鎖位置との間で、把持部材411、421が軸412、422によって、回転できるようになっている。
【0038】
ドライブヘッド1は、シリンジ内部の圧力を求める歪みゲージ6(図1においては見えない)の形態の圧力センサーを更に備えている。この歪みゲージ6は、ハウジング2の内部に配置された圧力センサー支持体7に取り付けられている。圧力センサー支持体7は、次には、シリンジピストンによって当接部3上に負荷される力が、圧力センサー支持体7を介して歪みゲージ6に伝達されるような方法で、配置されかつ構成されている。すなわち、当接部分3に作用する力、したがってシリンジの内部圧力は、歪みゲージ6が発生させる電気信号を用いて測定することができる。本実施形態においては歪みゲージが圧力センサーとして使用されているが、他の適切な圧力センサーを使用することもできる。
【0039】
アンチサイフォンアーム41、42の軸412、422は、圧力センサー支持体7によって、取り付けられている。特に、圧力センサー支持体7は、歪みゲージ6が取り付けられている第1の部分71と、軸412、422が取り付けられているアームマウント72の形態の第2の部分とを有している。第1の部分71は、ネジ75によって、アームマウント72に連結されている。
【0040】
シャフト412、422は、前側ハウジング部分21の貫通開口211、212及びアームマウント72により形成されている貫通開口721、722を通って延びている。さらに、シャフト412、422は、以下により詳細に説明するようなアーム41、42の回転運動を生じさせる手段に連結されている。
【0041】
さらに、シャフト412、422は、アームマウント72のみを介して取り付けられている。すなわち、シャフト412、422は前側ハウジング部分21の貫通開口211、212を通って延びているが、シャフト412、422はドライブヘッドが動作する間に開口211、212の内側縁部には当接しない(「浮動取り付け」アーム)。したがって、ドライブヘッドが動作する間に、アーム41、42の動きが歪みゲージ6に向かって当接部に伝達されることが回避され、それにより、そのようなアームの動きに起因する圧力センサー信号の変動が減少するか又は完全に回避される。
【0042】
図2及び図3に最も良く示されているように、当接部3は、ドライブヘッドが動作しているときにシリンジピストンフランジの端面が当接する当接部材31を有している。この当接部材31は、(図3に示されるような)楕円形の基礎部分と、この基礎部分から(したがって、前側ハウジング部分21から)突出してピストンフランジの端面と機械的に接触する長手方向の突出部311とを有している。
【0043】
この当接部材31は、環状の薄膜32の形態の可撓性の(かつ弾性的な)部材を介してハウジング2の前側部分21に取り付けられている。この薄膜32は、一方では当接部材31に、他方では前側ハウジング部分21に連結され(例えば接着剤で接合され)、このとき薄膜32の当接部材31及びハウジング部分21に対する連結は密封連結とすることができる。また、薄膜の材料及びその厚みは、当接部31の動きが圧力センサー支持体7に向けて、したがって歪みゲージ6に向けてできる限り正確に伝達されるように選択することができる。
【0044】
図2にも示されているように、圧力センサー支持体7は、単一の連結箇所のみを介してハウジング2(すなわち前側ハウジング部分21)に連結されており、ここで連結箇所はネジ73により実現されている。ここで留意されることは、ネジに代えて、単一の連結箇所を実現するための他の手段、例えばラッチ係合連結又は接着接合を想定することができることである。単一の連結箇所のみを設けることにより、ハウジングの変形が圧力センサーに伝達されることを回避するべく、ハウジングと圧力センサーとはできる限り分離される。
【0045】
さらに、ドライブヘッド1は、担持プレート91に配置された、球面部材9の形態の圧力伝達部材を備えている。この担持プレート91したがって球面部材9は、シリンジピストンが当接部3を押圧するときに移動し、それにより、球面部材9の一部はセンサー支持体7の第1の部分71に押しつけられる。したがって、当接部3に作用する力は、プレート91、球面部材9及び支持体の部分71を介し、歪みゲージ6に向けて伝達される。担持部分3が動いた(歪んだ)場合に担持プレート91が圧力センサー支持体7に向かって枢軸運動を行い、それによって、球面部材9を圧力センサー支持体7に押しつけるように、担持プレート91をハウジング2に枢動可能に取り付けることができる。
【0046】
図3は、図1及び図2のドライブヘッド1の構成部品のうちのいくつかを分解斜視図で示している。アーム41、42は図3においては前側ハウジング部分21の内側に示されているが、ドライブヘッドを組み立てた状態においては、把持部材411、421が前側ハウジング部分21の外側に置かれるとともにシャフト412、421がハウジング部分21の開口211、212を通って延びることは明らかである。
【0047】
アーム41、42のシャフト412、422は、圧力センサー支持体7のアームマウント72の開口721、722に取り付けられる。開口721、722の一部分はアームマウント72の基礎部分から突出する中空円筒部品により形成され、シャフト412、422は、アーム41、42の回転方向及び軸線方向の動きを生じさせるための手段8に向けて中空円筒部品を通って延びている。この手段8は、シャフト412、422に連結されるとともにアームマウント72を通って部分的に延びることもできる軸81、82を有している。
【0048】
さらに、軸81、82は、回転可能な連結が軸81、82の間に形成されるように、ギヤホイール部分83、84に連結されている。さらに、連結アーム85、86が軸81、82から延びており、そこにおいて、アンチサイフォンアーム41、42がそれらの閉鎖位置にとどまるのに役立つ連結アーム85、86を付勢するばね87に連結アーム85、86の自由端が連結されている。手段8の原理は、図4図6を参照してより詳細に説明される。
【0049】
図4は、図3に示されている構成部品を別の斜視図で示しており、センサー支持体7の第1の部分71の後面711に歪みゲージ6が連結されているのを見ることができる。更に示されているものは、例えば電源及び/又はセンサー信号を評価する手段(図示せず)に歪みゲージ6を連結するケーブル61である。後面711は、第1の支持体部分71の前面712と平行に延びている。後面711及び前面712はそれぞれ、センサー支持体7をハウジング2に連結するとともにアームマウント72を第1のセンサー支持部分71に連結するべく、それを通ってネジ73及び74が延びる連結部を提供するための切欠き7111、7121を有している。
【0050】
さらに、第1の支持体部分71は、後面711及び前面712に本質的に平行に延びる貫通開口713を有している。この貫通開口713は(後面711及び前面712に対し垂直に延びる平面に沿った)2つの重なり合う円から構成される断面を有しており、それらの円の中心は後面711及び前面712と平行に延びる線に沿って位置決めされている。貫通開口713のこの設計により、前面712が当接部分3を介して作用する負荷の下で変形すると、後面711が同様に変形し、それにより、支持部分71が変形しても後面711及び前面712は依然として互いに平行に延びる。
【0051】
特に、貫通開口713のアームマウント72に面する側及びアームマウント72から離れる方に面する側にそれぞれ配置された後面711及び前面712の部分は、前面711に力が作用しても、依然として互いに平行にかつ(支持部分71が変形する前に)後面711及び前面712が最初に延びていた平面に対して平行に延びる。このことは、支持部分71の、貫通開口713の側方に配置された部分に連結されているアームマウント72が、センサー支持部分71が変形しても傾かないという効果を有する。むしろ、センサー支持部分71はドライブヘッドの動き方向に沿って変位することができるのみであり、それにより、アーム41、42はシリンジの軸線に沿って移動することができるのみであってシリンジピストンフランジに対して傾かない(又は少なくとも僅かにのみ傾く)。
【0052】
そのうえ、回転方向及び軸線方向の動きを生じさせるための手段8は、シリンジがドライブヘッド上に配置されたときに、前側ハウジング部分21から離れるように或る特定の距離だけアームを移動させることができるようになるべく、アーム41、42の回転運動を生じさせるのみでなく直線運動も生じさせる。図4に示されているように、アームマウント72と下側連結アーム85との間に別のばね88が設けられているが、このばね88はアームを後側位置に保持するのに役立っている。したがって、ばね88は下側連結アーム85に(このアームが上側連結アーム86に連結されているときには上側連結アームにも)復元力を作用させ、アンチサイフォンアーム41、42がシリンジピストンの当接部3との接触を保持する後側位置に向かって戻るのに役立つようにする。
【0053】
図5及び図6は、アンチサイフォンアーム41、42の回転方向及び軸線方向の動きを生じさせる手段8の構成部品をより詳細に示している。
【0054】
この手段8は、ハウジング2の外側に配置されたレバー800を含む作動装置850を有している。レバー800は、ハウジング2の内部に配置された伝達部品810にハウジングの側壁を通って連結されている。これにより、レバー800の回転は伝達部品810の回転も生じさせる(すなわち、伝達部品810はレバーの回転に追従する)。
【0055】
さらに、手段8は、伝達部品810の突起部830の形態の第1の相互作用部材(すなわち、突起部830は作動装置850に一体的につながっている)及び下側連結アーム85に連結された円筒状の突出部820の形態の第2の相互作用部材を有している(したがって、突出部820はアンチサイフォンアーム41、42に連結アーム85、86とアーム41、42との間の連結を介して間接的に連結されている)。
【0056】
レバー800が開始位置から反時計方向に回転すると、突起部830は突出部820に押しつけられ、それにより、下側連結アーム85及び上側連結アーム86はばね87の付勢力に抗して回転する。連結アームの回転によりアンチサイフォンアーム41、42もまた回転するので、アーム41、42は、レバー800を反時計方向に回転させることにより、アーム間の距離が閉鎖位置における距離より大きい開放位置へと、閉鎖位置から回転することができる。
【0057】
駆動装置850は、下側軸81のテーパー端840の形態の更なる(第3の)相互作用部材を更に有している。テーパー端840に割り当てられているものは、伝達部品810の相互作用部分845の形態の第4の相互作用部材であり、この相互作用部分845は、レバーが反時計方向に枢動した場合にテーパー端840を押しやり、それにより下側軸81及び連結された上側軸82は(ドライブヘッドの動き方向に沿って)後側位置から前側位置に向かって軸線方向に移動する。
【0058】
軸81、82の直線的な動きに続いてアンチサイフォンアーム41、42もまた軸線方向に、すなわち当接部3から離れて前側位置へと移動する。これにより、レバー800を回転させることにより、アンチサイフォンアーム41、42は、第1の位置(閉鎖したアーム、当接部3に対して後側位置)から第2の位置(開放したアーム、当接部3に対して前側位置)へと、半径方向及び軸線方向に移動させることができる。アームの「前側位置」は、それらの当接部3から(すなわちハウジング2から)の距離が「後側位置」より大きいことを意味する。
【0059】
ドライブヘッド1は、レバー800を回転させることによって、アーム41、42が開放した前側位置に移動した後にアーム41、42を係止するラッチ係合機構を更に備える。このラッチ係合機構は係合部材92を有し、レバー800が開放した前側位置に回転した後、係合部材92の突起部921は上側アーム42のシャフト422に設けられている溝4221(図3)に係合し、アーム41、42が開放した前側位置に係止されるようにする。また、レバー800は、ばね89により付勢されているので、アーム41、42が開放位置に係止されると開始位置に戻る。レバー800の開始位置においては、アーム41、42が伝達部品810及びレバー800から分離するように、突起部830及び相互作用部分845はそれぞれもはや突出部820及びテーパー状端部840に接触しない。
【0060】
係合部材92はプレート担持体91の部分93に保持され、シリンジピストンが当接部材31を押しやると、担持プレートはハウジング2から離れるように移動する。これにより、係合部材も移動してその係止位置から解放され、アーム41、42はもはや係止されないようになる。シリンジがドライブヘッドから取り除かれると、当接部材は、周囲の薄膜32の弾性によって、再びその外側位置へと戻る。薄膜の代わりに又はそれに加えて、ばねを使用することができる。
【0061】
しかしながら、説明したラッチ係合機構が、ただ単にオプションであることに留意されたい。アーム41、42を手動で、すなわちシリンジをドライブヘッドに配置する間にレバー800をその「開放」位置に保持することによって、開放位置に保持することも可能である。シリンジを配置した後、アーム41、42が閉鎖した後側位置にスナップバックするようにレバー800が解放される。
【0062】
図7及び図8はドライブヘッド1の更なる図を示しており、シリンジ500はドライブヘッドに配置されて示され、シリンジ500はピストン501を有している。図7に示されている典型的なシリンジピストンは、メイン部分5011と、このメイン部分の端部に配置されたフランジ502とを有しており、このフランジはメイン部分から突出している、すなわちフランジ502はピストンのメイン部分5011より大きな直径を有している。
【0063】
シリンジは、シリンジピストン501のフランジ502の端面がドライブヘッドの当接部3に当接し、それにより、当接部3が移動するときにピストン501がシリンジ500の外筒503の内部に移動して液体がシリンジから放出されるように、ドライブヘッドに配置される。
【0064】
上述したように、ドライブヘッドは、開放した前側位置(「第2の位置」、図7)から閉鎖した後側位置(「第1の位置」、図8)へとアームを動かすべく、アンチサイフォンアーム41、42の回転方向及び軸線方向の運動を生じさせるための手段8を備えている。ドライブヘッドにシリンジを配置した後、把持部材411、421がフランジ502の周辺縁部5021に当接するように、アーム41、42は第1の位置、すなわち閉鎖した後側位置にスナップバックする。
【0065】
さらに、把持部材411、421はそれぞれ、第1の部分400a、400bと、これらの第1の部分を越えて突出する第2の部分401a、401bとを有しており、アーム41、42が閉鎖した後側位置にあるとき、把持部材411、421の第1の部分400a、400bのみがフランジ502の周辺縁部5021に当接し、第2の部分401a、401bは周辺縁部5021に当接せずにフランジ502の、当接部3から離れる側に面する前面(前側面)5022に当接する。
【0066】
しかしながら、ここで留意されることは、第2の部分401a、401bは、アーム41、42の閉鎖した後側位置において、フランジの前面5022に当接しないことも可能であることである。その場合、第2の部分401a、401bは、前面5022から或る距離に位置決めされるが、依然としてアーム41、42のサイフォン運動を妨げることができる、すなわちピストンフランジに依然として「係合する」ように位置決めされる。
【0067】
図9A及び図9Bはドライブヘッド1の断面を示しているが、図9Aによると、アーム41、42は、それらの閉鎖位置にあるものの、最も後側の位置にはまだ達していない。アーム41、42が(図9Aに示すように)フランジ502の周辺縁部5021に当接するまで手段8によって(すなわち、ばね87〜89の復元力によって)回転した後、図9Bに示すようにアーム41、42がフランジ502の内面5022に当接するまで、(同様にばね87〜89の復元力によって、)アームの後側への運動が始まるか又は継続する。
【0068】
この例においては、回転運動及び軸線方向の運動が少なくとも部分的に連続して実行される。この連続した運動を生じさせるために、(閉鎖した位置に向けたアームの回転運動を生じさせる)ばね87及び(後側位置に向けたアームの直線的運動を生じさせる)ばね88は、そのように適合される。例えば、ばね87はばね88より高いばね定数を有する。
【0069】
しかしながら、ここで留意されることは、(第2の位置から第1の位置への)アームの回転方向及び軸線方向の運動が同時に(又は少なくとも本質的に同時に)も実行可能であることである。
【0070】
ここで更に留意されることは、アームが後側位置に移動する前に閉鎖した位置へと回転する場合であっても、アームがフランジ502を通過することが回避されるように、前側位置においてはアーム41、42の当接部3からの距離がピストンフランジ502の厚みより小さいことである。これにより、閉鎖した位置のアームがフランジ502の周辺縁部5021に当接することが確実となる。
【0071】
「フィンガー」4011a、4011bが第1の部分400a、400bの内面4001a、4001bを超えて突出するように、把持部材411、421の第2の部分401a、401bは第1の部分400a、400bを越えて延びている。把持部材の第1の部分400a、400bの内面4001a、4001bはフランジ502の周辺縁部の表面5021に当接するが、その一方で第2の部分401a、401bがピストンのメイン部分5011に接触しないように、フィンガー4011a、4011bの長さはピストンフランジ502の高さより短い。
【0072】
フィンガー4011a、4011bが第1の部分400a、400bの内面4001a、4001bに対して垂直に配置されているので、第1の部分及び第2の部分の間に縁部が形成される。このとき、この縁部は、ピストンの軸線に対して垂直方向に見たときに、基本的に把持部材411、421の全長に沿って延びている。さらに、フィンガー4011a、4011bはピストン501に向けて僅かにテーパー状であり、このテーパーはフィンガー4011a、4011bの前側部分を曲げることにより実現されている。
【0073】
図10(アーム41、42の開放した位置に関連する)及び図11(閉鎖した位置)は、それぞれ図7及び図8に対応する斜視図を提供しているが、図11によると、アームは閉鎖した位置にはあるものの未だ最も後側の位置にはない。ここでわかることは、フィンガー31に作用する力が支持プレート91に回転を生じさせ、それにより球面部材9が支持プレート91の回転方向の運動によって圧力センサーデバイス6に押しやられるように、当接部分3のフィンガー31と圧力センサー6との間に配置された担持プレート91をハウジングのヒンジ部分に取り付け得ることである。
【0074】
ここで留意されることは、(第1の位置において、フランジの周辺縁部に当接するようにアームを移動させる)図7図9に関連して説明した手段8の原理を、任意の種類のシリンジポンプドライブヘッドに使用することができることである。特に、アーム41、42をフランジの周辺縁部に当接させる原理は、図1図6に関して説明したアーム41、42を浮動取付けするという構想から独立して使用することができ、すなわち、アーム41、42をフランジの周辺縁部に当接させる原理は、例えばドライブヘッドハウジングを介して従来通りに取り付けられる部材を保持することに関連して使用することもできる。
【符号の説明】
【0075】
1 ドライブヘッド
2 ハウジング
3 当接部
5 移動機構
6 歪みゲージ
7 圧力センサー支持体
8 回転方向及び軸線方向の動きを生じさせるための手段
9 球面部材
21 前側部分
22 後側部分
31 当接部
32 薄膜
41 第1のアーム
42 第2のアーム
51 軸線
61 ケーブル
71 第1の部分
72 アームマウント
73、74 ネジ
81、82 軸
83、84 ギヤホイール部分
85、86 アーム
87、88、89 ばね
91 担持プレート
92 係合部材
93 ラッチ構造部
211、212 貫通開口
311 突出部
400a、400b 第1の部分
401a、401b 第2の部分
411、421 把持部材
412、422 シャフト
500 シリンジ
501 ピストン
502 フランジ
503 外筒
711 後面
712 前面
713 貫通開口
721、722 開口
800 レバー
810 伝達部品
820 突出部
830 突起部
840 テーパー端
845 相互作用部分
850 駆動装置
4001a、4001b 内面
4011a、4011b フィンガー
4221 溝
5011 メイン部分
5021 周辺縁部
5022 前面
7111、7121 切欠き
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11