特許第6134660号(P6134660)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6134660射出成形機の操作説明の表示方法、及び射出成形機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134660
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】射出成形機の操作説明の表示方法、及び射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/76 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   B29C45/76
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-13848(P2014-13848)
(22)【出願日】2014年1月29日
(65)【公開番号】特開2015-139940(P2015-139940A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2016年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(74)【代理人】
【識別番号】100105809
【弁理士】
【氏名又は名称】木森 有平
(74)【代理人】
【識別番号】100151356
【弁理士】
【氏名又は名称】浅香 小百合
(72)【発明者】
【氏名】山本 真也
【審査官】 ▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−011660(JP,A)
【文献】 特開2003−191308(JP,A)
【文献】 特開2008−246712(JP,A)
【文献】 特開2009−262411(JP,A)
【文献】 特開平07−290544(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3048818(JP,U)
【文献】 特開平03−118131(JP,A)
【文献】 特開2015−098136(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0103184(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0102147(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルディスプレイの画面に射出成形機の複数の運転操作にそれぞれ関係する複数の操作説明のうちの所望の操作説明を選択的に表示させる射出成形機の操作説明の表示方法であって、操作者が前記所望の操作説明を前記画面に表示させるために操作するボタン画像を前記画面上の所定位置に予め表示させておくとともに、前記画面上に表示される前記複数の運転操作に関係する入力要素を示す画像にそれぞれ対応する前記画面中の予め定められた規定の表示領域を示すデータと関連付けて前記複数の操作説明を記憶媒体に記録しておき、前記操作者が所望の前記運転操作に関係する前記入力要素を示す画像を選択操作した状態で次に前記ボタン画像を操作したときに、前記所望の運転操作に関係する前記所望の操作説明を前記記憶媒体から読み出して前記画面上に表示させることを特徴とする射出成形機の操作説明の表示方法。
【請求項2】
記画面には、少なくとも射出条件設定画面と、型開閉条件設定画面と、温度条件設定画面があり、前記操作者が設定条件を入力する前記入力要素を示す画像を選択操作したときに前記規定の表示領域の一部ないしは全部が強調表示されることを特徴とする請求項1に記載の射出成形機の操作説明の表示方法。
【請求項3】
記画面に前記所望の操作説明をブラウザなどの表示アプリケーションによって表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の射出成形機の操作説明の表示方法。
【請求項4】
前記所定位置は、いずれも、前記画面四隅付近のうちいずれか一箇所であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の射出成形機の操作説明の表示方法。
【請求項5】
射出成形機の制御装置に付設のタッチパネルディスプレイの画面に射出成形機の複数の運転操作にそれぞれ関係する複数の操作説明のうちの所望の操作説明を選択的に表示させる射出成形機であって、前記制御装置が、操作者が前記所望の操作説明を前記画面に表示させるために操作するボタン画像を前記画面上の所定位置に予め表示させておくとともに、前記画面上に表示される前記複数の運転操作に関係する入力要素を示す像にそれぞれ対応する前記画面中の予め定められた規定の表示領域を示すデータと関連付けて前記複数の操作説明を記憶媒体に記録しておき、前記操作者が所望の前記運転操作に関係する前記入力要素を示す画像を選択操作した状態で次に前記ボタン画像を操作したときに、前記所望の運転操作に関係する前記所望の操作説明を前記記憶媒体から読み出して前記画面上に表示させることを特徴とする射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機の操作説明の表示方法、及び射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形は、加熱溶融させた材料を金型内に射出注入し、冷却し固化させる事によって、成形品を得る方法であり、複雑な形状の製品を大量生産するのに適している。射出成形の材料には、樹脂、金属、またはこれらの複合材料がある。一般に、射出成形は、型閉及び型締め、射出、保圧、冷却、計量、型開、取出、の順序で行われ、この成形サイクルの繰り返しで、製品を連続的に生産する。そして、成形サイクルが短時間であるほど生産性が高くなる。射出成形機は、一般に、コンピュータ制御装置によって可動型と固定型の型開閉制御を行うようにされている。このような射出成形機を運転操作するためには、コンピュータ制御装置に適切な複数の設定条件を与える必要がある。近年の射出成形機のコンピュータ制御装置には、タッチパネルディスプレイが付設されていている。つまり、タッチパネルディスプレイにて設定条件画面を表示して射出成形に要求される複数の設定条件を入力することができる構成となっている。
【0003】
操作者は、必要に応じて、射出成形機やその周辺機器の複数の運転操作にそれぞれ関係するより具体的で詳しい操作方法を確認するために、詳細に操作方法が記載されている相当頁数の操作説明書を閲覧する場合がある。操作説明書は、紙媒体や電子媒体で提供される。電子媒体には、画像を含む電子文書が各種電子ファイル形式で保管されている。電子文書は、ワード形式(Wordはマイクロソフトの商品名)、PDF形式(アドビシステムズが開発し提唱するPortable Document Format)、TIFF形式(マイクロソフトとアドビシステムズが開発し提唱するTagged Image File Format)、などの形式で作成される。電子媒体は、紙媒体と比較して、省スペースであり、検索し易いという特徴があるが、コンピュータや電子辞書等が手元に必要となる。
従来技術としては、射出成形機において、成形条件値等のデータをフラッシュメモリ(USBメモリ)やハードディスク等の読み出し可能な記録媒体にデータ蓄積し、コンピュータにてデータ処理してディスプレイ表示することは、従来から行われていた。
【0004】
特許文献1には、射出成形機の成形条件設定値データを含む各ショットサイクル中でひとつの数値だけの各種トレンドデータを一つのテーブルでファイル化し、インデックスファイルとして利用できるファイル構造として記録するとともに、射出プロファイルデータをショット毎にファイル化し、該ファイル名を該トレンドデータのファイルの1項目と関連づけて記録することによって、該トレンドデータの記録データを基に、該射出プロファイルデータを呼び出してモニタ表示すること(その請求項1)、が記載されている。
【0005】
特許文献2には、一連のコマンドが予め格納された画面テーブルから取り出されたコマンドが文字表示のための第1の文字表示コマンドである場合、コマンド中の第1の文字表示サブコマンドを解析し、文字表示情報を表示バッファに格納し表示するステップと、前記画面テーブルから取り出されたコマンドが図形表示のための第1の図形表示コマンドである場合、コマンド中の第1の図形表示サブコマンドを解析し、図形表示情報を前記表示バッファに格納し表示するステップと、前記画面テーブルから取り出されたコマンドが、レジスタ間でデータが等しいときにデータ処理コマンドを実行するレベル動作のための第2の文字表示コマンドである場合、前記第2の文字表示コマンド及び文字表示条件及び第2の文字表示サブコマンドをレベル動作バッファに追加するステップと、前記画面テーブルから取り出されたコマンドがレベル動作のための第2の図形表示コマンドである場合、前記第2の図形表示コマンド及び図形表示条件及び第2の図形表示サブコマンドを前記レベル動作バッファに追加するステップと、前記画面テーブルから取り出されたコマンドがキー動作のためのキー処理コマンドである場合、前記キー処理コマンド及び前記キー処理コマンドで指定された範囲のキー座標が押されたかを判定する座標条件をキー動作バッファに追加するステップと、前記レベル動作バッファから取り出されたコマンドが前記第2の文字表示コマンドである場合、前記文字表示条件が成立すれば、前記第2の文字表示サブコマンドを解析し、文字表示情報を前記表示バッファに格納し表示するステップと、前記レベル動作バッファから取り出されたコマンドが前記第2の図形表示コマンドである場合、前記図形表示条件が成立すれば、前記第2の図形表示サブコマンドを解析し、図形表示情報を前記表示バッファに格納し表示するステップと、キー動作がなされ、前記キー動作バッファから取り出された前記キー処理コマンドについての前記座標条件が成立すれば、設定ウィンドウプロセスを起動するステップとを備えたこと(その請求項1)、が記載されている。
【0006】
特許文献3には、1か月毎点検日に対応する定期点検表示モード画面が表示された当初の状態において、オペレータが、前記モード選択表示部位の点検開始表示の位置にカーソルを合わせると、前記演算制御手段はこれを認知して、マシンが運転状態にある場合には運転を停止させ、次に、オペレータがキー入力装置のカーソル移動キーを操作して、前記点検項目一覧部の所望の点検項目にカーソルを合わせると、この点検項目に対応した詳細が前記点検項目詳細説明部において図形パターン表示と注意書き文字表示とによつて表示される(その実施例)、との記述がある。
【0007】
特許文献4には、射出成形機に関し、前記異常告知メッセージの内容をサポートするヘルプメッセージを呼び出し可能としたこと(その請求項1)、が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−52590号公報(特許第3752979号)
【特許文献2】特開平11−099547号公報(特許第3469060号)
【特許文献3】特開平03−118131号公報(特許第2582166号)
【特許文献4】特開2003−191308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の通り、操作者は、射出成形機やその周辺機器の操作説明書を閲覧する場合がある。操作説明書が電子媒体であれば、紙媒体と比較して検索し易いが、コンピュータや電子辞書等が手元に必要となる。また、技術用語や専門用語が多く使用されることから、設定条件画面から電子媒体の操作説明に係る検索ワードを上手く選定しなければ、特定の運転操作に関連する必要な操作説明が閲覧できないことも少なからずある。
【0010】
しかしながら、特許文献1〜4記載の方法は、設定条件の管理に主眼が置かれており、機器を運転操作しようとするときに操作者に操作説明書に記載されているような具体的で詳しい操作説明を表示させることまでは想定していない。そのため、操作者が射出成形機を運転操作するときに、そのときの所望の運転操作に関して、より詳しい操作方法を知りたいとすると、その都度、相当頁数の操作説明書の中から所望の運転操作に関係する操作方法が記載されている該当のページを探し出して内容を確認する必要がある。仮に、操作説明書が電子媒体として手元にあったとしても、射出成形機の運転操作に十分な知識を有し、設定条件画面の内容をある程度理解していなければ、必要な操作説明を閲覧できず、これらの問題点については、改善されていないのが実情である。
【0011】
そこで本発明の目的は、操作者が、射出成形機やその周辺機器の複数の運転操作にそれぞれ関係する複数の操作説明のうちの所望の操作説明について操作説明書を閲覧したいときに、所望の操作説明が射出成形機の制御装置に付設のタッチパネルディスプレイで簡易に閲覧できる、射出成形機の操作説明の表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の射出成形機の操作説明の表示方法は、タッチパネルディスプレイの画面に射出成形機の複数の運転操作にそれぞれ関係する複数の操作説明のうちの所望の操作説明を選択的に表示させる射出成形機の操作説明の表示方法であって、操作者が前記所望の操作説明を前記画面に表示させるために操作するボタン画像を前記画面上の所定位置に予め表示させておくとともに、前記画面上に表示される前記複数の運転操作に関係する入力要素を示す画像にそれぞれ対応する前記画面中の予め定められた規定の表示領域を示すデータと関連付けて前記複数の操作説明を記憶媒体に記録しておき、前記操作者が所望の前記運転操作に関係する前記入力要素を示す画像を選択操作した状態で次に前記ボタン画像を操作したときに、前記所望の運転操作に関係する前記所望の操作説明を前記記憶媒体から読み出して前記画面上に表示させることを特徴とする。つまり、本発明では、操作者が所望の操作説明を所定画面(通常、条件設定画面)に表示させる指示をするための所定のボタン画像を所定画面上の所定位置に予め表示させておくとともに、所定画面上に表示される複数の運転操作に関係する画像にそれぞれ対応する所定画面中の予め定められた規定の表示領域を示すデータと関連付けて操作説明書の中に含まれる複数の操作説明のデータをハードディスクのような記憶媒体に記録しておき、操作者が所望の運転操作に関係する画像を選択操作をした状態でボタン画像を操作したときに、所望の運転操作に関連する所望の操作説明を記憶媒体から読み出して前記所定画面上に表示させる。
また本発明は、前記画面に前記所望の操作説明をブラウザなどの表示アプリケーションによって表示させることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、操作者がタッチパネルディスプレイに表示されている所定画面中の予め定められている規定の表示領域(所定エリア)をクリックするか、タッチするなどして選択操作をした状態で所定のボタン画像(ヘルプボタン)を操作したときに、ウェブブラウザなどの表示アプリケーションによって前記選択操作された所望の運転操作(実行、停止、入力、出力、表示)、例えば、ある設定条件を入力するという運転操作に対応する操作説明をタッチパネルディスプレイに表示させるので、操作者が操作説明書を閲覧したいときに、必要な操作説明が簡易に閲覧できる。
【0014】
コンピュータ制御装置は、一般に、ハードディスクや大容量内蔵型メモリ(ストレージ)のような二次記憶装置を備えている。例えば、射出成形機のコンピュータ制御装置は、二次記憶装置の所定の記憶領域にデータベースが記憶されている。そして、前記データベースは、フラッシュメモリやCD−ROM読取装置のような外部記憶装置(三次記憶装置)に保存しておくこともできる。以下、二次記憶装置と外部記憶装置を含めて記憶媒体と総称する。
【0015】
前記コンピュータ制御装置が行う制御としては、例えば、樹脂を溶かす熱制御、樹脂を型に入れる射出制御、金型の開閉を行う型開閉制御、型から製品を取り出す突出制御が挙げられる。
【0016】
ウェブブラウザ(Web browser)は、基本的には、ウェブページを閲覧するための表示アプリケーションであり、ここでは、単にブラウザと表記する。本発明では、ブラウザは、特に、操作説明書をディスプレイ表示するための表示アプリケーションを意味する。既知のブラウザとしては、例えば、米国マイクロソフト社のインターネットエクスプローラー、米国モジラファウンデーションのファイアフォックス、米国アップル社のサファリ、ノルウェーのオペラソフトウエア社のオペラ、米国グーグル社のグーグルクロームなどが知られている。
【0017】
本発明では、操作者が所望の運転操作に関係する画像を選択操作している状態を単にフォーカス、またはフォーカスする、と表記する場合がある。フォーカス(focus)は、基本的には、コンピュータが備える表示装置において、コンピュータの演算装置に何らかの動作命令またはデータを与えることができる操作画面上で、ウィンドウや入力要素のようなある特定の要素(要求)が選択されたときに、その要素を受付けている状態のことをいう。画面内に複数の要素がある場合、一度にすべてを操作・入力することはできないため、タッチパネルやキーによる操作でどれを対象の要素とするかを選択してフォーカスする。
また、本発明では、ブラウザのようなアプリケーションがマイクロソフトウィンドウズ(登録商標)のようなオペレーションソフトウェア上で作動してデータを重ね表示しているときの表示の態様をウィンドウという。一般には、ウィンドウを画面上から消す動作を“閉じる”という。また、画面上の特定の画像を指定することをクリックといい、画面中の所定エリアに触れることをタッチという。特に、本発明では、ヘルプボタンのような画面上に表示されるボタン画像をクリックするか、タッチするなどの動作をボタン操作という。
【0018】
本発明は、前記所定画面の前記所定位置に前記所望の操作説明を前記所定画面から閉じるためのクローズボタン画像を表示させておき、前記タッチパネルディスプレイにて前記運転操作に関する画像と前記操作説明とを画面切換えして表示させることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、前記タッチパネルディスプレイにて前記設定条件画面と前記操作説明画面を画面切換えして表示させるので、省スペースで合理的な操作説明ができる。
【0020】
前記クローズボタンは、「閉じるボタン」とも呼称され、表示しているウィンドウを閉じるためのボタンである。前記クローズボタンは、「×マーク」などのアイコンで表示される。
前記所定画面は、通常はすでに説明されている「設定条件画面」である。
【0021】
本発明は、前記画面には、少なくとも射出条件設定画面と、型開閉条件設定画面と、温度条件設定画面があり、前記操作者が設定条件を入力する前記入力要素を示す画像を選択操作したときに前記規定の表示領域の一部ないしは全部が強調表示されることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、操作者が閲覧したい順位の高い、射出条件設定画面と、型開閉条件設定画面と、温度条件設定画面が前記設定条件画面となっているので、合理的な設定となる。また、本発明によれば、前記フォーカスされた所定エリアの一部ないしは全部が強調表示されるので、ユーザフレンドリーな設定となる。
【0023】
本発明は、前記所定位置は、いずれも、前記画面四隅付近のうちいずれか一箇所であることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、前記タッチパネルディスプレイの画面四隅付近のうちいずれか一箇所に前記ヘルプボタンを表示させるので、前記ヘルプボタンの位置が把握し易い。
【0025】
前記ヘルプボタンは、「?マーク」などのアイコンで表示されることが好ましい。前記ヘルプボタンであることが直感的に認識できるからである。
【0026】
本発明の射出成形機は、射出成形機の制御装置に付設のタッチパネルディスプレイの画面に射出成形機の複数の運転操作にそれぞれ関係する複数の操作説明のうちの所望の操作説明を選択的に表示させる射出成形機であって、前記制御装置が、操作者が前記所望の操作説明を前記画面に表示させるために操作するボタン画像を前記画面上の所定位置に予め表示させておくとともに、前記画面上に表示される前記複数の運転操作に関係する入力要素を示す像にそれぞれ対応する前記画面中の予め定められた規定の表示領域を示すデータと関連付けて前記複数の操作説明を記憶媒体に記録しておき、前記操作者が所望の前記運転操作に関係する前記入力要素を示す画像を選択操作した状態で次に前記ボタン画像を操作したときに、前記所望の運転操作に関係する前記所望の操作説明を前記記憶媒体から読み出して前記画面上に表示させることを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、新人作業者や不慣れな作業者であったとしても、操作者が前記設定条件画面の所定エリアをフォーカスし、前記ヘルプボタンのような画面上に表示されるボタン画像をクリックするか、タッチするなどのボタン操作をすると、ブラウザによって前記フォーカスされた設定条件と対応する操作説明画面を表示させるので、使い勝手がよい射出成形機となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の射出成形機の操作説明の表示方法によれば、複数の運転操作に関係する画像がそれぞれ表示される設定条件画面のような所定画面上の規定の表示領域(所定エリア)に関連付けて複数の操作説明が記憶媒体に記録されているため、操作者が所望の運転操作に関係する画像を指定する選択操作をした状態、例えば、設定条件画面の所定エリアをフォーカスしてから、ヘルプボタンのようなボタン画像をクリックするかまたはタッチするなどのボタン操作をすると、選択された画像が示す運転操作に関連する操作説明の表示データを記憶媒体から読み出して、ブラウザのような表示アプリケーションによって所望の運転操作の詳しい内容を示す操作説明を表示させることができる。よって、操作者が操作説明書を閲覧したいときに、必要な操作説明が簡易に閲覧できる。本発明によれば、タッチパネルディスプレイにて前記設定条件画面と前記操作説明画面を画面切換えして表示させるので、省スペースで合理的な操作説明ができる。本発明によれば、操作者が閲覧したい順位の高い、射出条件設定画面と、型開閉条件設定画面と、温度条件設定画面が前記設定条件画面となっているので、合理的な設定となる。また、本発明によれば、前記フォーカスされた所定エリアの一部ないしは全部が強調表示されるので、ユーザフレンドリーな設定となる。本発明によれば、前記タッチパネルの画面四隅付近のうちいずれか一箇所に前記ヘルプボタンのような画面上に表示されるボタン画像を表示させるので、その位置が把握し易い。
【0029】
これら本発明によれば、新人作業者や不慣れな作業者であったとしても、ブラウザによってフォーカスされた設定条件と対応する操作説明画面を表示させるので、使い勝手がよい射出成形機となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の操作説明機能付き射出成形機におけるタッチパネルディスプレイの画面を示す図であり、射出条件設定画面を示す図である。
図2】前記射出成形機におけるタッチパネルディスプレイの画面を示す図であり、操作説明画面を示す図である。
図3】前記射出成形機の要部を示す構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら以下に説明する。
【0032】
(本発明の実施形態)
図3は、本発明に係る射出成形機を側面側から示す構造図である。本実施形態に係る射出成形機100は、可動型220と固定型210との型開閉制御を行う制御回路107を備える。射出成形機100は、コンピュータ制御によって可動型220と固定型210の型開閉制御を行い、条件入力可能なタッチパネルディスプレイ108にて設定条件画面を表示する射出成形機である。コンピュータ制御装置3には、操作説明のための画面切換えプログラム2とデータベース5とCPU4が搭載されており、制御回路107の制御機能の一部ないしは全部はコンピュータ制御となっている(図3)。コンピュータ制御装置3には、タッチパネルディスプレイ108が付設されている。
【0033】
コンピュータ制御装置3は、ハードディスクや大容量内蔵型メモリ(ストレージ)のような二次記憶装置を備えている。本実施形態の射出成形機100のコンピュータ制御装置3は、二次記憶装置の所定の記憶領域にデータベース5が記憶されている。データベース5は、フラッシュメモリのような外部記憶装置(三次記憶装置)に保存しておくこともできる。以下、二次記憶装置と外部記憶装置を含めて記憶媒体と総称する。データベース5には、射出成形機100の複数の運転操作にそれぞれ関係する複数の操作説明の表示データから構成される操作説明書が電子ファイル形式で保管されており、コンピュータ制御装置3上で操作説明画面切換えプログラム2が動作する(図3)。
【0034】
本実施形態の射出成形機100におけるデータベース5には、特に、複数の運転操作に関係する画像がそれぞれ表示される条件設定画面上、例えば、図1では射出条件設定画面上の所定エリアに関連付けて複数の操作説明が記憶媒体に記録されている。より具体的には、データベース5は、少なくとも、複数の運転操作の各運転操作にそれぞれ対応する画像が表示される上記画面上の所定エリアのデータと操作説明の特定の箇所のデータまたは特定の箇所を示すデータを所定エリアのデータと操作説明のデータとが対応するように関連付けられて記憶されている。例えば、本実施形態の表示方法の場合、図1に示される符号P1で示される運転操作のデータを名称を「保圧時間T4」とし、所定エリアのデータを識別子としてタッチパネルの複数のタッチセンサの位置番号とし、操作説明のデータを識別子としてページ番号として、それぞれが対応するように関連付けられてデータベース5に記録される。また、操作説明書は、既存の操作説明書のデータを利用できる。すでに説明されているPDF形式(アドビシステムズが開発し提唱するPortable Document Format)のファイルのようなブラウザによって表示できるファイル形式のデータで二次記憶装置または外部記憶装置に記録されている。そして、コンピュータ制御装置3は、操作者がフォーカスした所定エリアP1のデータから対応する操作説明書の該当するページのデータをデータベース5から抽出して、操作説明書のデータの中から運転操作「保持圧/保圧速度」の入力方法に該当する所望の操作説明を読み出して、ブラウザなどの表示アプリケーションによって射出条件設定画面上にウィンドウで重ね表示する。
【0035】
図3に示す例は、横型締め構造の型開閉ユニットである。金型200は固定型210と可動型220とが対面して配されており、固定型210はクランプ手段115によって固定プラテン(固定盤)111に取り付けられており、可動型220はクランプ手段116によって可動プラテン(可動盤)113に取り付けられている。固定プラテン111とバックプラテン117(支持盤)とはそれぞれ機台102上に固定されており、可動プラテン113はガイド部材191とレール部材192とからなるスライド手段190を介して水平方向にスライド自在に機台102上に配されている。固定プラテン111とバックプラテン117との間には可動プラテン113が配されており、固定プラテン111とバックプラテン117とで固定された複数のタイバー110が可動プラテン113に挿通されており、可動プラテン113が固定プラテン111とバックプラテン117との間でスライド自在となる構成である(図8)。固定型210は、その背面(固定型取り付け板の背面)にロケートリングが付設されており、このロケートリングが、固定プラテン111に形成されたロケートリング取り付け穴に挿入され取り付けられた状態で、射出ユニット103の射出ノズル103aがロケートリング121に挿入されて固定型210のスプルブシュ(図示省略)に当接する(図3)。図3に示す例では、型開閉ユニットの駆動装置114で進退動作する型締め軸114aによって可動プラテン113が右方向にスライドし型閉じ動作および型締め動作を行い、可動プラテン113が左方向にスライドし型開き動作を行なう。駆動装置114には、サーボモータが適用される。
【0036】
(本発明の射出成形機の操作説明の表示方法)
図1図2は、前記射出成形機におけるタッチパネルディスプレイの画面を示す図である。図1は、射出条件設定画面を示す図である。図2は、操作説明画面を示す図である。ここで、本発明では、タッチパネルと一体で配列されている多数のタッチセンサ(圧力センサ)とディスプレイにて表示される画面上の各画像の位置が密接に関係する状態で画像が表示されている画面を、タッチパネル画面または単にタッチパネルと表記する。
【0037】
図1の例では、先ず、射出成形機100を起動させて、タッチパネル108を操作し、射出条件設定画面を表示させる。このとき、ボタン操作によって操作者が所望の操作説明を所定画面に表示させる指示をするための所定のボタン画像、すなわち、本実施形態では、ヘルプボタンB1を射出条件設定画面上の所定位置である右下隅に予め表示させておく。ここで、操作者が所望の運転操作に関係する画像をクリックして選択操作すると、画像で表示されている運転操作が可能になる。より具体的には、例えば、操作者が「保圧時間を入力する」という運転操作をする場合、その所望の運転操作に関係する画像である、T4と示されている数値を入力するための入力領域を現す“フィールド画像”をクリックして選択操作をすることによって、保圧時間をという設定条件が入力できる状態(アクティブ)になり、符号P1で示す所定エリアが色付きで反転表示される。よって、フォーカスされていることがわかる。
【0038】
次に、操作者が「保圧時間を入力する」という運転操作をする場合に、「保圧時間を入力する」という運転操作に関係する操作説明を閲覧したいときには、操作者が画面右下隅のヘルプボタンB1をクリックする(図1)。ヘルプボタンB1は、「?」アイコンで表示されている。操作者が、ヘルプボタンB1をクリックすると、「保圧時間を入力する」という所望の運転操作に対応する上記フィールド画像が選択操作されている状態であるので、コンピュータ制御装置3は、タッチパネルにおける上記フィールド画像に対応する符号P1で示す所定エリアのタッチセンサの位置を検出して予め付されている所定エリアの識別子のデータに関連して記録されている操作説明書の対応する特定のページの識別子のデータを抽出する。そして、操作説明書のデータファイルの中から該当するページと一致する操作説明のデータを読み出して、その操作説明が、米国マイクロソフト社のインターネットエクスプローラーによって表示される(図2)。次の頁に読み進みたいときは、画面下の符号C2で示す「>」アイコンをクリックする。前の頁に戻りたいときは、画面下の符号C1で示す「<」アイコンをクリックする。射出条件設定画面に戻りたいときは、画面左上の符号B2で示す「×」アイコンをクリックする(図2)。クローズボタンB2は、「×」アイコンで表示されている。再度所望の操作説明を確認したいときは、ヘルプボタンB1をクリックするだけでよい。
【0039】
つまり本実施形態では、前記設定条件画面の所定エリアP1と当該所定エリアP1に対応する操作説明画面を予めリンクさせておいて、前記設定条件画面の所定位置にヘルプボタンB1を表示させておき、操作者が前記設定条件画面の所定エリアをフォーカスし、ヘルプボタンB1をクリックすると、ブラウザによって前記フォーカスされた設定条件と対応する操作説明画面を表示させる構成となっている。また、クローズボタンB2をクリックすると、ブラウザによって前記操作説明画面を閉じて、前記設定条件画面を表示させる構成となっている。
【0040】
本実施形態によれば、操作者が前記設定条件画面の所定エリアをフォーカスし、ヘルプボタンB1をクリックすると、ブラウザによって前記フォーカスされた設定条件と対応する操作説明画面を表示させるので、操作者が1回から2回のクリックまたはタッチによる選択操作とボタン操作で所望の運転操作に関係する操作説明を表示させ、またはその表示を閉じることができ、さらにはその前後のページを表示させることができる。そのため、操作者が操作説明書を閲覧したいときに、必要な操作説明が簡易に閲覧できる。本実施形態によれば、タッチパネル108にて前記設定条件画面と前記操作説明画面を画面切換えして表示させるので、省スペースで合理的な操作説明ができる。
【0041】
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。前記操作説明画面は、読み出し可能な記録媒体に電子ファイル形式で保管されていればよいので、データベース5を構成するのは、ハードディスクに限られず、USBメモリ、CD−ROM、DVD−ROM、MOディスク等既知の読み出し可能な記録媒体が適用できる。ブラウザは、ウェブページを閲覧するためのアプリケーションであればよいので、米国マイクロソフト社のインターネットエクスプローラーに限定されず、米国モジラファウンデーションのファイアフォックス、米国アップル社のサファリ、ノルウェーのオペラソフトウエア社のオペラ、米国グーグル社のグーグルクローム等既知のウェブブラウザが適用できる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0042】
100 操作説明機能付き射出成形機、
107 制御手段(制御回路)、
108 タッチパネル、
200 金型(可動型及び固定型)、
210 固定型、
220 可動型、
3 コンピュータ制御装置、
B1 ヘルプボタン、
B2 クローズボタン、
P1 所定エリア
図1
図2
図3