(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1以上の微粒子除去装置(722)が、前記流れ(730)の方向に、前記1以上の水除去装置(724)よりも前に配置される、請求項1又は請求項2に記載のシステム(700)。
前記1以上の微粒子除去装置(722)が、前記流れ(730)の方向に、前記2以上の放射性核種除去装置(726)よりも前に配置される、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシステム(700)。
前記1以上の水除去装置(724)が、前記流れ(730)の方向に、前記2以上の放射性核種除去装置(726)よりも前に配置される、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシステム(700)。
前記1以上の微粒子除去装置(722)の少なくとも1つが、重力沈下を使用して、前記流れ(730)から前記放射性物質の微粒子を機械的に除去する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のシステム(700)。
前記1以上の水除去装置(724)の少なくとも1つにおいて、前記流れ(730)を混ぜることによって、前記流れ(730)における熱拡散力を低減する、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のシステム(700)。
前記1以上の水除去装置(724)の少なくとも1つにおいて、前記流れ(730)からの熱遮断によって、前記流れ(730)における熱拡散力を低減する、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のシステム(700)。
前記2以上の放射性核種除去装置(726)の少なくとも1つにおいて、前記流れ(730)を混ぜることによって、前記流れ(730)における熱拡散力を低減する、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のシステム(700)。
前記2以上の放射性核種除去装置(726)の少なくとも1つにおいて、前記流れ(730)からの熱遮断によって、前記流れ(730)における熱拡散力を低減することによって、捕集を改良する、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のシステム(700)。
前記ろ過材(522)が、1以上の高性能(HEPA:high−efficiency particulate air)フィルタを含む、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のシステム(700)。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所は、重大な原子力事故中に放射能を施設外へ放出すること(例えば、部分的または完全な炉心溶融、溶解した核デブリによる原子炉容器の裂け目など)を軽減するためにフィルタ処理されるベントシステムを含むことができ、または他の任意の場合の格納容器からのベント時には、フィルタ処理することが必要である(例えば、長期の全電源喪失(「SBO」)、活発化格納容器の熱除去能力の喪失、設計基準を超える事故)。ウェットウェルまたはドライウェルのどちらかから、原子炉格納容器のそのようなベント、または減圧によって、気体、液体、および/または固体(例えば、微粒子)の形態の放射性物質を放出する可能性がある。
【0003】
当業者(「PHOSITA])なら理解するように、重大な原子力事故の場合、核分裂生成物が原子力発電所の格納容器の中に放出される可能性がある。万一そのような核分裂生成物が格納容器から逃げるとするならば、一般の人々の重大な懸念は、エアロゾル性質の核分裂生成物についてである(2009年12月17日付け、核エアロゾルに関する研究展望報告書によれば、重大な原子力事故の間に原子力発電所から逃げる可能性があるほとんどの放射性物質は、エアロゾルの形態で逃げることになるであろう)。そのような核分裂生成物は、例えば、希ガス(例えば、クリプトン、キセノン)、ハロゲン(例えば、臭素、ヨウ素)、アルカリ金属(例えば、セシウム、カリウム、ルビジウム)、テルル族(例えば、アンチモン、セレン、テルル)、バリウム、ストロンチウム、貴金属(例えば、コバルト、パラジウム、モリブデン、ロジウム、ルテニウム、テクニチウム)、セリウム族(例えば、セリウム、ネプツニウム、プルトニウム)およびランタン族(例えば、アメリシウム、キュリウム、ユーロピウム、ランタン、ネオジム、ノーベリウム、プラセオジム、プロメチウム、サマリウム、イットリウム、ジルコニウム)を含む可能性がある。
【0004】
2011年3月11日、部分的には福島第1原子力発電所の施設での災害の結果として、原子力規制委員会(「NRC」:Nuclear Regulatory Commission)は、多くの原子力発電所に対して信頼性のある
強化格納容器ベントシステム(「HCVS」:hardened containment venting systems)を規定した(NRCの2012年3月12日付け「信頼性のある
強化格納容器ベントに関する認可を緩和する命令、EA−12−050」を参照されたい)。そのようなHCVSは設計されたフィルタを含むことが必要とされる可能性がある(NRCの2013年6月6日付け「事故状況監視下で運転可能な信頼性のある
強化格納容器ベントに関する修正認可命令、EA−13−109」を参照されたい)。
【0005】
図1は、放射性物質を捕集するための関連する技術であるシステム100のブロック図である。
【0006】
図1に示すように、放射性物質(例えば、原子力発電所からの放射性排出物)の流れ102(例えば、ガス流)が、システム100(例えば、「オフガスシステム」)に入ることができる。流れ102は、気体、液体、および/または固体の形態の放射性物質を含む可能性がある。
【0007】
第1の配管103の中の流れ102が、予熱器106、再結合器108および第1の凝縮器110を含む再結合サブシステム104に入ることができる。予熱器106は、流れ102を加熱して、再結合器108内の水素再結合工程の効率を改善することができる。再結合器108は、水素再結合工程を格納することができる。第1の凝縮器110が流れ102を冷却して、同伴水を除去することができる。
【0008】
流れ102は、第2の凝縮器112を通過して更に流れ102を冷却するために、第1の配管103の中に引き続き留まることができる。流れ102が第2の凝縮器112を出るまでに、流れ102は事実上同伴水がない状態である可能性がある(例えば、「乾燥している」)。
【0009】
第2の配管113内の流れ102は、次いで第1のバルブ114を通過し、第3の配管115を経て、木炭吸着ベッド116まで進むことができる。木炭吸着ベッド116を出た後、第4の配管117内の流れ102は、第2のバルブ118を経てスタック(図示せず)および環境に進むことができる。
【0010】
図1に示すように、木炭吸着ベッド116までの流れ102は、第5の配管119、第3のバルブ120、第6の配管121、保護容器122、第7の配管123、および第4のバルブ124を経て、第1のバルブ114を迂回することができる(または第1のバルブ114と平行に走ることができる)。流れ102は、第5の配管119、第3のバルブ120、第6の配管121、保護容器122、第8の配管125、および第5のバルブ126を経て、第1のバルブ114および木炭吸着ベッド116を迂回することができる(または第1のバルブ114および木炭吸着ベッド116と平行に走ることができる)。流れ102は、第9の配管127、第6のバルブ128を経て、第1のバルブ114、木炭吸着ベッド116および/または保護容器122を迂回することができる(または第1のバルブ114、木炭吸着ベッド116および/または保護容器122と平行に走ることができる)。システム100内の流れ102のためのこれら、および他の潜在的組合せは、当業者なら理解するであろう。
【0011】
木炭吸着ベッド116は、ヨウ素およびセシウムなどの放射性物質の必要な除染係数(DF:Decontamination Factor)を提供することができる。木炭吸着ベッド116を通過する前に流れ102から水を除去することによって、DFを改善することができる(例えば、「乾燥」木炭吸着ベッド116に入る前に流れ102を脱水すること)。流れ102が木炭吸着ベッド116内で滞留する時間を増加すること(例えば、滞留時間)によって、DFを改善することができる。
【0012】
システム100は、例えば、ポンプおよび関連する電力供給源(図示せず)、外部冷却(図示せず)、ならびに木炭吸着ベッド116の交換を必要とする点で、能動的システムの実施例である。
【0013】
図2は、放射性物質を捕集するための関連技術のシステム200のブロック図である。
【0014】
図2に示すように、第10の配管204内の流れ202は、第1の隔離弁206および第2の隔離弁208を通過して、圧力容器210に進むことができる。圧力容器210は、下方高速ベンチュリ部212および上方金属繊維フィルタ部214を含むことができる。
【0015】
圧力容器210内で、第10の配管204が、第11の配管216と第12の配管218に分かれることができ、両配管とも高速ベンチュリ部212に通じることができる。第11の配管216は、冠水したベンチュリスクラバ運転(例えば、プール水220の水面下)を支持するように設計可能であり、一方、第12の配管218は、冠水していないベンチュリスクラバ運転(例えば、プール水220の水面上)を支持するように設計可能である。
【0016】
流れ202は、複数のベンチュリノズル(図示せず)を通ってプール水220に入ることができ、ベンチュリノズルはプール水220からの水を流れ202内に引き込む排出装置として働くことができる。この引込みにより、流れ202からのエアロゾルおよびヨウ素を洗浄することができ、それらをプール水220の中に保管することができる。プール水220に化学物質を加えて、下方高速ベンチュリ部212の性能を改良することができる。プール水220の水は格納容器(図示せず)に再循環され得る。
【0017】
洗浄済み流れ222は、上方金属繊維フィルタ部214まで通過することができる。上方金属繊維フィルタ部214は、液滴分離器(図示せず)、微細フィルタ(図示せず)、およびヨウ素吸着フィルタ(図示せず)を含むことができる。液滴戻り管224は、分離された液滴をプール水220に戻るよう導くことができる。
【0018】
洗浄され、フィルタ処理された流れ226は、第13の配管228、逆止弁230、オリフィス232および破裂ダイヤフラム234を経て、スタック(図示せず)および環境に進むことができる。
【0019】
システム200を用いて高いDFを達成するには、問題が提起される可能性がある。例えば、DFは、流れ202の速度、プール水220の温度、プール水220の圧力、プール水220内の気体の滞留時間、気体内の泡のサイズ、および/または圧力容器210、下方高速ベンチュリ部212、および/または上方金属繊維フィルタ部214の物理的寸法によって影響を受ける可能性がある。システム200は更に、初期費用、大きい設置面積、運転費用、維持費用、および/または内部閉塞に関連する問題を提起する可能性がある。加えて、システム200のDFは、圧力容器210の設置後に変更することができない。更に、運転中、プール水220は、少なくとも週に1回補給水が必要とする可能性があり(製造者によって販売カタログに記載されているように)、その結果、システム200の運転は、必要な事業者業務から独立していない。
【0020】
重大な原子力事故中、またはフィルタ処理を必要とする、格納容器から他の任意のベント時に、放射能を施設外へ放出することを軽減するために、気体、液体および/または固体の放射性物質を捕集するための完全に受動的なシステム、方法およびフィルタに対する必要性が存在する。
【0021】
放射性物質を捕集するための関連技術のシステム、方法、および/またはフィルタは、例えば、Green et al.の米国特許第5,688,402号(第’402号特許)、ならびにGardner et al.の米国特許第2011/0132817号A1公報(第’817号公報)の中で考察されている。第’402号特許および第’817号公報の開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0023】
実施例の実施形態は、放射性物質を捕集するためのシステムを提供することができる。実施例の実施形態は、放射性物質を捕集するための方法を提供することができる。実施例の実施形態は、放射性物質を捕集するためのフィルタを提供することができる。
【0024】
いくつかの実施例の実施形態では、流れから放射性物質を受動的にフィルタ処理するように構成されたシステムが、1つまたは複数の微粒子除去装置と、1つまたは複数の水除去装置と、1つまたは複数の放射性核種除去装置とを備えることができる。1つまたは複数の微粒子除去装置の少なくとも1つが、流れから放射性物質の微粒子を機械的に除去することができる。1つまたは複数の水除去装置の少なくとも1つが、流れから水を機械的に除去することができる。1つまたは複数の放射性核種除去装置の少なくとも1つが、設計されたろ過材を使用して、流れから放射性エアロゾル、反応性放射性ガス、または放射性エアロゾルおよび反応性放射性ガスを除去することができる。
【0025】
いくつかの実施例の実施形態では、放射性物質が、1つまたは複数の反応性ガス状の放射性物質、液体放射性物質、および微粒子放射性物質を含むことができる。
【0026】
いくつかの実施例の実施形態では、1つまたは複数の微粒子除去装置が、流れの方向に、1つまたは複数の水除去装置よりも前に配置されることができる。
【0027】
いくつかの実施例の実施形態では、1つまたは複数の微粒子除去装置が、流れの方向に、1つまたは複数の放射性核種除去装置よりも前に配置されることができる。
【0028】
いくつかの実施例の実施形態では、1つまたは複数の水除去装置が、流れの方向に、1つまたは複数の放射性核種除去装置よりも前に配置されることができる。
【0029】
いくつかの実施例の実施形態では、1つまたは複数の微粒子除去装置の少なくとも1つが、重力沈下を使用して、流れから放射性物質の微粒子を機械的に除去することができる。
【0030】
いくつかの実施例の実施形態では、1つまたは複数の水除去装置の少なくとも1つの中で、流れを混ぜることによって、流れの中の熱泳動力を低減することができる。
【0031】
いくつかの実施例の実施形態では、1つまたは複数の水除去装置の少なくとも1つの中で、流れからの熱遮断によって、流れの中の熱泳動力を低減することができる。
【0032】
いくつかの実施例の実施形態では、1つまたは複数の放射性核種除去装置の少なくとも1つの中で、流れを混ぜることによって、流れの中の熱泳動力を低減することができる。
【0033】
いくつかの実施例の実施形態では、1つまたは複数の放射性核種除去装置の少なくとも1つの中で、流れからの熱遮断によって、流れの中の熱泳動力を低減することによって、捕集を改良することができる。
【0034】
いくつかの実施例の実施形態では、ろ過材が、1つまたは複数の活性アルミナ(Al
2O
3)、活性炭、有機ワックス、およびプラスチックを含むことができる。
【0035】
いくつかの実施例の実施形態では、ろ過材が、1つまたは複数の高性能(HEPA:high−efficiency particulate air)フィルタを含むことができる。
【0036】
いくつかの実施例の実施形態では、流れから放射性物質を受動的にフィルタ処理するための方法が、流れから放射性物質の微粒子を機械的に除去するステップ、流れから水を機械的に除去するステップ、および/またはろ過材を使用して、流れから放射性エアロゾル、反応性放射性ガス、または放射性エアロゾルおよび反応性放射性ガスを除去するステップを含むことができる。
【0037】
いくつかの実施例の実施形態では、流れから放射性物質の微粒子を機械的に除去するステップが、流れから水を機械的に除去するステップに先行することができる。
【0038】
いくつかの実施例の実施形態では、流れから放射性物質の微粒子を機械的に除去するステップが、ろ過材を使用して、流れから放射性エアロゾル、反応性放射性ガス、または放射性エアロゾルおよび反応性放射性ガスを除去するステップに先行することができる。
【0039】
いくつかの実施例の実施形態では、流れから水を機械的に除去するステップが、ろ過材を使用して、流れから放射性エアロゾル、反応性放射性ガス、または放射性エアロゾルおよび反応性放射性ガスを除去するステップに先行することができる。
【0040】
いくつかの実施例の実施形態では、フィルタが、入口および出口を含む本体を備えることができる。本体が、ろ過材を格納するように構成され得る。本体が、ガス爆発からの圧力を収容するように更に構成され得る。本体が、入口で圧力が増加する場合、格納されたろ過材を出口に向かって移動させることができるように更に構成され得る。
【0041】
いくつかの実施例の実施形態では、入口で圧力が増加する場合、格納されたろ過材が出口に向かって移動することによって、入口での圧力の増加に関連するエネルギーを吸収することができる。
【0042】
いくつかの実施例の実施形態では、入口で圧力が増加する場合、格納されたろ過材が出口に向かって移動することによって、入口での圧力の増加に関連する出口での圧力増加を低減することができる。
【0043】
いくつかの実施例の実施形態では、入口で圧力が増加する場合、格納されたろ過材の少なくとも部分がフィルタを出ることを可能にするが、同時に格納されたろ過材の少なくとも部分を環境に放出することを防止するように、本体が更に構成され得る。
【0044】
いくつかの実施例の実施形態では、フィルタが、第2の出口を更に備えることができる。入口で圧力が増加する場合、格納されたろ過材の少なくとも部分が第2の出口を経てフィルタを出ることを可能にするが、同時に格納されたろ過材の少なくとも部分を環境に放出することを防止するように、本体が更に構成され得る。
【0045】
上記および/または他の態様および利点が、添付の図面と併せて考察されると、実施例の実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになり、より容易に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0047】
次いで、実施例の実施形態は、添付の図面を参照してより完全に説明される。しかし、実施形態は多くの様々な形態で実施可能であり、本明細書の中で記載される実施形態に限定されると考えるべきではない。むしろ、本開示が完全で、完璧であり、かつその範囲を十分に当業者に伝えるようにこれらの実施例の実施形態が提供される。図面の中で、層および領域の厚さは見やすいように拡大されている。
【0048】
ある要素が、他の要素に対して、「上に」、「結合されている」、「電気的に接続されている」、または「連結されている」と言及される場合、その要素は、他方の構成要素の直接上にある、結合される、電気的に接続される、または連結されることができ、または介在する構成要素が存在する可能性があることを理解されたい。対照的に、ある構成要素が、他の要素に対して、「直接上に」、「直接結合されている」、「直接電気的に接続されている」、または「直接連結されている」と言及される場合、介在する構成要素が存在しない。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目の1つまたは複数の任意の組合せ、およびすべての組合せを含む。
【0049】
第1の、第2の、第3のなどの用語は、本明細書で様々な要素、構成要素、領域、層、および/または部分を説明するために使用される場合があるが、これらの要素、構成要素、領域、層、および/または部分は、これらの用語によって限定されるべきではないということを理解されたい。これらの用語は、ある要素、構成要素、領域、層、および/または部分を他の要素、構成要素、領域、層、および/または部分から区別するために使用されるに過ぎない。例えば、第1の要素、構成要素、領域、層、および/または部分は、実施例の実施形態の教示から逸脱せずに、第2の要素、構成要素、領域、層、および/または部分と呼ぶことができる。
【0050】
「下に」、「より下に」、「下方の」、「より上の」、「上方の」などの空間的に相対的な用語は、図面に示されるように、1つの構成要素および/または特徴の他の構成要素および/または特徴に対する関係、または他方の構成要素および/または特徴に対する関係を説明するために表現を容易にするために本明細書で使用される場合がある。空間的に相対的な用語は、図面に示された配向に加えて、使用および運転の際に装置の異なる配向を包含するように意図されることを理解されたい。
【0051】
本明細書で使用される用語は、特定の実施例の実施形態のみを説明する目的で使用され、実施例の実施形態を限定することを意図されるのではない。本明細書で使用される場合、文脈で明確にそうではないと示さない限り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、複数形もまた含むように意図される。更に、「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」および/または「含んでいる(including)」という用語は、本明細書で使用される場合、述べた特徴、完全体、ステップ、運転、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、完全体、ステップ、運転、要素、構成要素および/またはそのグループの存在をまたは追加を排除するのではないことを更に理解されたい。
【0052】
そうではないと定義しない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学的用語を含む)は、実施例の実施形態が属する分野の当業者の1人によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。一般的に使用される辞書の中に定義される用語などの用語は、関連する技術の文脈の中の意味と一貫する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書に明確にそのように定義しない限り、理想的な、または過度に形式的な意味で解釈されるべきではないことを更に理解されたい。
【0053】
「熱
泳動(thermophoresis)」(熱拡散(thermodiffusion)としても公知である)という用語は、
移動微粒子の混合物で観察される現象であって、異なる種類の微粒子が温度勾配の力に対して異なる反応を表す
現象を意味する。この熱
泳動現象によって、温度勾配が存在するガスの中で浮遊
又は流動する小さい放射性微粒子は、ガス
の流
れとは異な
る動きをする可能性がある。
【0054】
「熱
泳動力」という用語は、熱
泳動現象に関連する力を意味する。例えば、ガス流内の小さい微粒子は、より高い温度によって獲得したより高い運動エネルギーのために、高温供給源から離れ
る速い流れを生成することができる。
熱泳動力は、1ミリメータまたはそれ未満の規模で観察され得る。
【0055】
熱拡散は、微粒子がより熱い領域からより冷たい領域に移動する場合、「正」であると考えられ、その逆
の場合、「負」であると考えることができる。混合物の中のより大きく/より量の多い化学種は、典型的に、正の拡散挙動を表すが、一方、より小さく/より量の少ない化学種は、負の拡散挙動を表す。サイズおよび/または量、温度勾配の峻度、化学種の熱伝導率、化学種の熱吸収、および他の要因が熱拡散
において役割を果たす。熱
泳動力は、異なる微粒子の種類が温度勾配の力の下で異な
る動きをする原因にな
るので、関連する力
を、微粒子の種類が混合された後、微粒子の種類を分離する
のに使用
することができ、またはそれらが既に分離されている場合、混合
が防止
される。
【0056】
次いで、添付の図面に図示されている実施例の実施形態を参照すると、同じ符号が全体を通して同じ構成要素を表すことができる。
【0057】
図3は、いくつかの実施例の実施形態による、放射性物質を捕集するためのシステム300のブロック図である。システム300は、受動システムであり、重大な原子力事故の後、わずか数日ではなく数か月で測定され得る発電所の安定性が事業者によって取り戻されるまで、必要な事業者業務から独立して作動することができる。システム300は、例えば、ベントされた放射性ガスを脱水すること、および脱水され、ベントされた放射性ガスにドライ捕集を使用することによって、関連技術のシステムの欠陥を克服することができる。
【0058】
図3に示すように、第14の配管304内の流れ302は、第1の隔離弁306および第2の隔離弁308を通過し、微粒子除去装置310に進むことができる。微粒子除去装置310から、流れ312は、第15の配管314を経て、水除去装置316に進むことができる。水除去装置316から、流れ318は、第16の配管320を経て、放射性核種除去装置322に進むことができる。放射性核種除去装置322から、流れ324は、第17の配管326を経て、スタック(図示せず)および環境に進むことができる。
【0059】
図3の微粒子除去装置310は、1つまたは複数の微粒子除去装置310を備えることができる。
図3の水除去装置316は、1つまたは複数の水除去装置316を備えることができる。
図3の放射性核種除去装置322は、1つまたは複数の放射性核種除去装置322を備えることができる。
【0060】
流れの方向に(例えば、流れ302、流れ312、流れ318)、1つまたは複数の微粒子除去装置310が、1つまたは複数の水除去装置316より前に配置され得る。流れ(例えば、流れ302、流れ312、流れ318)の方向に、1つまたは複数の微粒子除去装置310が、1つまたは複数の放射性核種除去装置322より前に配置され得る。流れ(例えば、流れ302、流れ312、流れ318)の方向に、1つまたは複数の水除去装置316が、1つまたは複数の放射性核種除去装置322より前に配置され得る。
【0061】
図3のシステム300は、1つまたは複数の微粒子除去装置310、1つまたは複数の水除去装置316、および/または1つまたは複数の放射性核種除去装置322を備えることができる。1つまたは複数の微粒子除去装置310、1つまたは複数の水除去装置316、および1つまたは複数の放射性核種除去装置322は、
図3に示すように、順序通りに配置可能であり、または異なる順序で配置可能である。例えば、第1の微粒子除去装置310の後に、第1の水除去装置316、第2の微粒子除去装置310、第2の水除去装置316、ならびに第1の放射性核種除去装置322、第2の放射性核種除去装置322および第3の放射性核種除去装置322を続いて配置することができる。したがって、異なる配置を使用して、システム300は、異なる量のエアロゾル、異なるサイズのエアロゾルの拡散、および/または異なる種類のエアロゾル(例えば、吸湿性)を処理するように設計され得る。
【0062】
図3の1つまたは複数の微粒子除去装置310は、例えば、流れ302から機械的に微粒子を除去することができる。そのような微粒子には、例えば、放射性物質の微粒子、および/または取り込まれた放射性物質によって汚染された非放射性物質が含まれる場合がある。
図3の1つまたは複数の微粒子除去装置310は、例えば、重力沈下を使用して、流れ302から機械的に微粒子を除去することができる。1つまたは複数の微粒子除去装置310は、流れ302から実質的な量の放射性物質を除去することができる。
【0063】
図3の1つまたは複数の水除去装置316は、例えば、流れ312から機械的に微粒子を除去することができる。1つまたは複数の水除去装置316の中で、流れ312を混ぜることによって、流れ312内の熱泳動力を低減することができる。1つまたは複数の水除去装置316の中で、流れ312からの熱遮断によって、流れ312内の熱泳動力を低減することができる。1つまたは複数の水除去装置316は、流れ312から実質的な量の放射性物質を除去することができる。
【0064】
図3の1つまたは複数の放射性核種除去装置322は、例えば、流れ318から残りの放射性物質をフィルタ処理することができる。そのような残りの放射性物質には、例えば、放射性エアロゾル(例えば、微細エアロゾル)および/または反応性放射性ガス(例えば、反応性ガス放射性核種)が含まれる可能性がある。1つまたは複数の放射性核種除去装置322の中で、流れ318を混ぜることによって、流れ318内の熱泳動力を低減することができる。1つまたは複数の放射性核種除去装置322の中で、流れ318からの熱遮断によって、流れ318内の熱泳動力を低減することによって、捕集を改良することができる。1つまたは複数の放射性核種除去装置322は、流れ318から実質的な量の放射性物質を除去することができる。
【0065】
1つまたは複数の放射性核種除去装置322は、設計されたろ過材を備えることができる。そのようなろ過材は、活性アルミナ(Al
2O
3)、活性炭、有機ワックス、およびプラスチック(例えば、リサイクルされたプラスチック製品)、樹脂、砂、シリカビーズ、石、および他の捕集薬剤の1つまたは複数を含むことができる。そのような設計されたろ過材は、例えば、活性アルミナおよび活性炭の二元混合物を含むことができる。そのような設計されたろ過材は、例えば、1つまたは複数のHEPAフィルタを含むことができる。
【0066】
「すべてのフィルタはフィルタ間隙を有する」(例えば、特定の大きさのターゲット材料のためのより低い除去効率)と言われてきた。1つまたは複数の放射性核種除去装置322は、異なるフィルタ間隙を有するフィルタを連続して配置することによって、この「フィルタ間隙」問題を最小にすることができる。したがって、1つまたは複数の放射性核種除去装置322は、「調製」(例えば、特定のフィルタ間隙によってフィルタを選択すること)および/または「積み重ね」(例えば、異なるフィルタ間隙を有する調整されたフィルタを連続して配置し、「フィルタ間隙」問題を最小にすること)可能である。一般的に、この調節および/または積み重ね手法は、クリプトンおよび/またはキセノンなどの希ガスには効果的ではない。
【0067】
図4は、いくつかの実施例の実施形態によって、放射性物質を捕集するための方法を図示する流れ図である。
【0068】
方法は、重大な原子力事故の後、わずか数日ではなく数か月で測定され得る、発電所の安定性が事業者によって取り戻されるまで、必要な事業者業務から独立して運転することができる受動的方法であることができる。方法は、例えば、ベントされた放射性ガスを脱水すること、および脱水され、ベントされた放射性ガスにドライ捕集を使用することによって、関連技術のシステムの欠陥を克服することができる。
【0069】
図4に示すように、方法は、流れから放射性物質の微粒子を機械的に除去するステップ(S400)と、流れから水を機械的に除去するステップ(S410)と、ろ過材を使用して、流れから放射性エアロゾル、反応性放射性ガス、または放射性エアロゾルおよび反応性放射性ガスを除去するステップ(S420)とを含むことができる。続いて、流れはスタックおよび環境に進むことができる。
【0070】
流れから放射性物質の微粒子を機械的に除去するステップ(S400)は、流れから放射性物質の実質的な量を除去することができる。流れから水を機械的に除去するステップ(S410)は、流れから放射性物質の実質的な量を除去することができる。ろ過材を使用して、流れから放射性エアロゾル、反応性放射性ガス、または放射性エアロゾルおよび反応性放射性ガスを除去するステップ(S420)は、流れから放射性物質の実質的な量を除去することができる。
【0071】
流れから放射性物質の微粒子を機械的に除去するステップ(S400)は、流れから水を機械的に除去するステップ(S410)に先行することができる。流れから放射性物質の微粒子を機械的に除去するステップ(S400)は、ろ過材を使用して、流れから放射性エアロゾル、反応性放射性ガス、または放射性エアロゾルおよび反応性放射性ガスを除去するステップ(S420)に先行することができる。流れから水を機械的に除去するステップ(S410)は、ろ過材を使用して、流れから放射性エアロゾル、反応性放射性ガス、または放射性エアロゾルおよび反応性放射性ガスを除去するステップ(S420)に先行することができる。
【0072】
図4に示すように、方法は、流れから放射性物質の微粒子を機械的に除去するステップ(S400)と、流れから水を機械的に除去するステップ(S410)と、ろ過材を使用して、流れから放射性エアロゾル、反応性放射性ガス、または放射性エアロゾルおよび反応性放射性ガスを除去するステップ(S420)とをその順番に含むことができる。しかし、流れから放射性物質の微粒子を機械的に除去するステップ(S400)と、流れから水を機械的に除去するステップ(S410)と、ろ過材を使用して、流れから放射性エアロゾル、反応性放射性ガス、または放射性エアロゾルおよび反応性放射性ガスを除去するステップ(S420)とは、異なる順番に配置することができる。例えば、流れから水を機械的に除去するステップ(S410)の後に、流れから放射性物質の微粒子を機械的に除去するステップ(S400)、次いで、ろ過材を使用して、流れから放射性エアロゾル、反応性放射性ガス、または放射性エアロゾルおよび反応性放射性ガスを除去するステップ(S420)を続いて実施することができる。
【0073】
加えて、流れから放射性物質の微粒子を機械的に除去するステップ(S400)と、流れから水を機械的に除去するステップ(S410)と、ろ過材を使用して、流れから放射性エアロゾル、反応性放射性ガス、または放射性エアロゾルおよび反応性放射性ガスを除去するステップ(S420)との1つまたは複数を繰り返すことができる。例えば、流れから放射性物質の微粒子を機械的に除去するステップ(S400)の後に、流れから水を機械的に除去するステップ(S410)、流れから放射性物質の微粒子を機械的に除去するステップ(2回目)、流れから水を機械的に除去するステップ(2回目)、次いで、ろ過材を使用して、流れから放射性エアロゾル、反応性放射性ガス、または放射性エアロゾルおよび反応性放射性ガスを除去するステップ(S420)を続いて実施することができる。
【0074】
流れから水を機械的に除去するステップ(S410)の中で、流れを混ぜることによって、流れの中の熱泳動力を低減することができる。流れから水を機械的に除去するステップ(S410)の中では、流れからの熱遮断によって、流れの中の熱泳動力を低減することができる。
【0075】
ろ過材を使用して、流れから放射性エアロゾル、反応性放射性ガス、または放射性エアロゾルおよび反応性放射性ガスを除去するステップ(S420)の中で、流れを混ぜることによって、流れの中の熱泳動力を低減することができる。ろ過材を使用して、流れから放射性エアロゾル、反応性放射性ガス、または放射性エアロゾルおよび反応性放射性ガスを除去するステップ(S420)では、流れからの熱遮断によって、流れの中の熱泳動力を低減することによって、捕集を改良することができる。
【0076】
ろ過材を使用して、流れから放射性エアロゾル、反応性放射性ガス、または放射性エアロゾルおよび反応性放射性ガスを除去するステップ(S420)の中で、ろ過材は、例えば、活性アルミナ、活性炭、有機ワックス、およびプラスチック(例えば、リサイクルされたプラスチック製品)、樹脂、砂、シリカビーズ、石、および他の捕集薬剤の1つまたは複数を含むことができる。ろ過材は、例えば、活性アルミナおよび活性炭の二元混合物を含むことができる。ろ過材は、例えば、1つまたは複数のHEPAフィルタを含むことができる。
【0077】
図5は、いくつかの実施例の実施形態による、フィルタ500の横断面図である。
【0078】
フィルタ500は、本体502、第1の入口504、多孔板506、排出管508、第1の出口510、第2の出口512、第3の出口514、および/またはバイパスライン516を備えることができる。設置される場合、フィルタ500は、第1の入口504が底部にあり、第1の出口510が頂部にあるように配向され得る。そのような配向では、ベントされた放射性ガスが、第1の入口504に入ることができ、第1の出口510に向かって上方に流れることができる。
【0079】
本体502は、多孔板506の第1の側面上に第1の部分518を備え、多孔板506の第2の側面上に第2の部分520を備えることができる。本体502は、第2の部分520の中にろ過材522を格納するように構成可能である。本体502は、格納されたろ過材522が第1の出口510を経てフィルタ500を出ることができるように構成可能である。本体502は、格納されたろ過材522が第1の出口510のみを経てフィルタ500を出ることができるように構成可能である。
【0080】
本体502は、第1のフランジ524および/または第2のフランジ526を備えることができる。第1のフランジ524および/または第2のフランジ526は、複数の本体502が連続して積み重ねられ、および/または一体に固定される(例えば、溶接、ナットおよびボルトなどによって)ことを可能にする。そのような積み重ねによって、上記に考察する「フィルタ間隙」問題を最小にすることができる。そのような積み重ねは、DF性能を損失することなく、および/または追加の本体502の再適格性確認を必要とせずに、本体502がほとんど任意の原子炉型、ユニットサイズ、格納容器の型、または他の設計パラメータに適合可能なようにすることができる。
【0081】
本体502は、例えば、多孔板506と本体502との間の第2の部分520の中に配置された収集トレイ528を備えることができる。収集トレイ528は、第3の出口514に作動可能に結合され得る。
【0082】
ベントされた放射性ガスが第1の入口504に入る場合、放射性ガスは、第1の部分518を通って第1の出口510に向かって上方に流れることができる。ベントされた放射性ガスが上方に流れるにしたがって、放射性ガスは、多孔板506と接触することができる。多孔板506は、脱水装置および/または放射性物質を捕集するための装置として機能することができ、ベントされた放射性ガスの中の同伴液体が凝縮することを可能にする表面を提供し、および/または収集トレイ528へ、第1のスクリーン530を通って、第3の出口514へ流れる重力流を提供することができる。多孔板506は先が細い形状にされて(例えば、コーン形状)、脱水、凝縮、および/または重力流を促進することができる。多孔板506は、熱泳動沈着によって、部分的に脱水装置として機能することができる。
【0083】
多孔板506を通過した後、ベントされた放射性ガスは上方に流れ続け、ろ過材522に入ることができる。ろ過材522は、脱水装置および/または放射性物質を捕集するための装置として機能することができる。ろ過材522は、例えば、活性アルミナ、活性炭、有機ワックス、およびプラスチック(例えば、リサイクルされたプラスチック製品)、樹脂、砂、シリカビーズ、石、および他の捕集薬剤の1つまたは複数を含むことができる。ろ過材522は、例えば、活性アルミナおよび活性炭の二元混合物を含むことができる。ろ過材522は、例えば、1つまたは複数のHEPAフィルタを含むことができる。ろ過材522は、ベントされた放射性ガスの中の同伴液体を凝縮することができる。液体が凝縮し、および/または十分な大きさの液滴に融合する場合、液滴は、収集トレイ528へ、第1のスクリーン530を通って、第3の出口514へ重力流を提供することができる。ろ過材522は、熱泳動沈着によって、部分的に脱水装置として機能することができる。
【0084】
ろ過材522を通過した後、ベントされた放射性ガスは上方に流れ続け、第1の出口510を経てフィルタ500を出ることができる。
【0085】
本体502を通る低い流れは、フィルタ500のDFを増加させることができる。特に、複数の本体502が連続して積み重ねられている場合、複数の本体502を通る低い流れが、積み重ねたフィルタ500のDFを増加させることができる。
【0086】
寒い気候では、水の氷点以下で、本体502を通る低い流れによって、多孔板506の表面に重大な凝縮をもたらす可能性がある。温度によるこの凝縮は、多孔板506上に氷を形成することによって流れの閉塞をもたらす原因になる可能性がある。バイパスライン516は、この問題の解決策を提供することができる。
【0087】
上記に考察するように、ベントされた放射性ガスが第1の入口504に入る場合、放射性ガスは、第1の部分518を通って第1の出口510に向かって上方に流れることができる。いくらかのベントされた放射性ガスは、更に第2のスクリーン532および第2の入口534を通って、バイパスライン516の中に、および上方へ破裂ディスク536まで流れることができる。第2のスクリーン532は、例えば、多孔板506の開口よりも100倍大きい開口を有することができて、第2のスクリーン532の閉塞を低減、または防止することができる。多孔板506の流れの閉塞が、第2の部分520に対する第1の部分518の圧力を十分に高める場合(例えば、多孔板506およびろ過材522に亘る圧力差)、そのとき破裂ディスク536は破裂し、ベントされた放射性ガスが多孔板506およびろ過材522を迂回して、バイパスライン516および第4の出口538を経て、第2の部分520に達することができる。バイパスライン516は、重大な面の粗さ、および/または多孔性(例えば、内部のふるい目)を有することができて、拡散による放射性核種沈着に貢献することができる。
【0088】
複数の本体502が連続して積み重ねられている場合、ベントされた放射性ガスは、更に放射性物質を捕集するためにスタックの中の次の本体502に進むことができる。
【0089】
設計基準を超える事故中に、フィルタ500を通るベントされた放射性ガスの高流量に対する潜在能力によって、フィルタ500は2つ以上のバイパスライン516を備えることができる。2つ以上のバイパスライン516は、例えば、フィルタ500の周りに円周方向に配置可能である。
【0090】
設置される場合、フィルタ500は、格納されたろ過材522が重力によって定位置に保持されるように配向され得る。本体502は、第1の入口504で圧力が増加する場合、格納されたろ過材522が第1の出口510に向かって移動することを可能にするように構成され得る。この移動は、格納されたろ過材522が、第1の入口504での圧力増加に関連する、第1の出口510での圧力増加を低減することに役立つようにすることができる。この移動は、遅いまたは速いに関わらず、格納されたろ過材522が第1の入口504での圧力増加を含むことに役立つようにすることができる。この移動は、遅いまたは速いに関わらず、格納されたろ過材522が、第1の入口504での圧力増加に関連するエネルギーを吸収することに役立つようにすることができる。この移動は、格納されたろ過材522が、第1の入口504での圧力増加を含むことに役立ち、および/または例えば、ガス爆発による、第1の入口504での圧力増加に関連するエネルギーを吸収することに役立つようにすることができる。
【0091】
本体502は、第1の入口504で圧力が増加する場合、格納されたろ過材522の少なくとも部分が第1の出口510を経てフィルタ500を出ることができるが、一方、格納されたろ過材522の少なくとも部分が環境に放出されることを防止するように構成可能である。このように格納されたろ過材522の少なくとも部分が出ることによって、格納されたろ過材522が第1の入口504での圧力増加を含むことに役立ち、および/または例えば、ガス爆発による、第1の入口504での圧力増加に関連するエネルギーを吸収することに役立つようにすることができる。
【0092】
複数の本体502が連続して積み重ねられている場合、本体502は、先行するフィルタ(図示せず)の格納されたろ過材の少なくとも部分が、第1の入口504で圧力が増加する場合、排出管508および第2の出口512を経てフィルタ500を出ることができるが、一方、前のフィルタの格納されたろ過材の少なくとも部分が環境に放出されることを防止するように構成可能である。例えば、ガス爆発によって、先行するフィルタの格納されたろ過材の少なくとも部分がそのフィルタを出て、本体502の第1の部分518に入る原因になる可能性がある。
【0093】
先行するフィルタの格納されたろ過材の少なくとも部分が、多孔板506を通過しない可能性がある。しかし、多孔板506の先が細くなった形状によって、先行するフィルタの格納されたろ過材の少なくとも部分を多孔板506のスロート540に向かって、排出管508内に、更に第2の出口512へと導く助けをすることができる。
【0094】
第3の出口514からの水は、第1のマニホールド542の中に流れることができる。先行するフィルタの格納されたろ過材の少なくとも部分が、第2の出口512から第2のマニホールド544内に出ることができる。
【0095】
いくつかの実施例の実施形態によれば、HEPAフィルタは、多孔板506の第1の部分518の側面上、第2のスクリーン532の第1の部分518の側面上、および/またはスロート540の第1の部分518の側面上に配置可能である(多孔板506の開口は、例えば、100〜10,000の係数によってサイズを増加することができて、HEPAフィルタのこのような使用を促進する)。そのようなHEPAフィルタは、直径0.3マイクロメートル(μm)以上の大気中の微粒子の少なくとも99.97%を除去することができる。空気流または圧力降下に対するHEPAフィルタの最小抵抗力は、通常の流量で約300Paに特定される。ベントされた放射性ガスの流量が高すぎる、および/または圧力降下が300Paを超える場合、そのときHEPAフィルタは、裂けて、より高い流量のベントされた放射性ガスを許容することができる。これによって、HEPAフィルタによる流れの閉塞を防止することができ、および/またはベントされた放射性ガスが次のフィルタ500に流れることを可能にする。
【0096】
いくつかの実施例の実施形態によれば、有機放射性エアロゾル(例えば、放射性セシウムまたはヨウ素を塗料または電線絶縁体などの有機物質と反応させることによって形成される)は、多孔板506の第2の部分520の側面上に被覆される標準のワックスまたは他の適合した有機化合物を使用することによって、捕集可能である(多孔板506の開口は、例えば、100〜10,000の係数によってサイズを増加することができて、標準のワックスまたは他の適合した有機化合物のこのような使用を促進する)。暑い夏の数か月の作動期間中、依然として固体の状態であるために、標準のワックスまたは他の適合した有機化合物の融点は50℃を超えることができる。
【0097】
標準のワックスまたは他の適合した有機化合物は、放射性有機物質が拡散することができる「可溶性媒体」を提供することができ、環境への放出を防止することができる。ベントされた放射性ガスの流量が高すぎる、および/または圧力降下が300Paを超える場合、そのとき標準のワックスまたは他の適合した有機化合物は、裂けて、より高い流量のベントされた放射性ガスを許容することができる。そのような引き裂きによって、放射性有機物質が拡散することができる標準のワックスまたは他の適合した有機化合物の表面積を増加させることができる。
【0098】
標準のワックスまたは他の適合した有機化合物に加えて、ろ過材522が、樹脂ビーズおよび/または細断プラスチック材料など、有機物質であることができ、やはり放射性有機物質が拡散することができる「可溶性媒体」を提供することができる。
【0099】
図6は、いくつかの実施例の実施形態によるフィルタ500の底面図である。
【0100】
図6は、本体502、バイパスライン516、収集トレイ528、第1のスクリーン530、第2のスクリーン532、スロート540、第1のマニホールド542および第2のマニホールド544を図示する。
【0101】
図7は、いくつかの実施例の実施形態による、放射性物質を捕集するためのシステム700の横断面図である。
【0102】
システム700は、原子力発電所で現在既存の
強化ベント配管に直接交換することができる。別法として、システム700は、既存の
強化ベント配管の近傍に、または平行して配置可能であり、その結果、運転要求に応じて、ガス流をそらせて現在既存の
強化ベント配管、システム700、またはその両方に流れ込ませることができるようになる。
【0103】
図7に示すように、原子炉建屋702は、斜面704上に建つことができる。やはり斜面704上に建つことができる
強化ベント配管706が、原子炉建屋702に、例えば、標準的管支持装置によって取り付け可能である。
強化ベント配管706は、免震構造体710上の基部708からベント口712まで上方に伸びることができる。
【0104】
基部708は、免震構造体710に封止され、および/または取り付けられることができ、システム700の構造的統合性を保証することができる。基部708は、水および固体を収集することができる。基部708は、逆止弁714を通って
強化ベント配管706および/またはベント口712に圧力を解放することができる。逆止弁714は、
強化ベント配管706の上方部分から基部708に水を排水することができる。
【0105】
図7に示すように、システム700は、微粒子除去部分716、水除去部分718、および/または放射性核種除去部分720を備えることができる。微粒子除去部分716、水除去部分718、および/または放射性核種除去部分720は、例えば、
図7に示すように順番に、または何らかの他の順番で積み重ねることができる。
【0106】
図7に示すように、システム700は、1つまたは複数の微粒子除去装置722、1つまたは複数の水除去装置724、および/または1つまたは複数の放射性核種除去装置726を備えることができる。1つまたは複数の微粒子除去装置722、1つまたは複数の水除去装置724、および/または1つまたは複数の放射性核種除去装置726は、例えば、
図7に示すように順番に、または何らかの他の順番で積み重ねることができる。特に、1つまたは複数の微粒子除去装置722は、1つまたは複数の水除去装置724と混合することができ、1つまたは複数の微粒子除去装置722は、1つまたは複数の放射性核種除去装置726と混合することができ、1つまたは複数の水除去装置724は、1つまたは複数の放射性核種除去装置726と混合することができる。
【0107】
微粒子除去部分716、水除去部分718、および/または放射性核種除去部分720の重量、あるいは1つまたは複数の微粒子除去装置722、1つまたは複数の水除去装置724、および/または1つまたは複数の放射性核種除去装置726の重量によって、システム700は、ガス流が上方に流れることを可能にし、および/またはこの重量を支持する「T」装置728を備えることができる。
【0108】
システム700の使用中、原子炉建屋702の格納容器(図示せず)からの流れ730が、「T」装置728の有孔デフレクタシールド732に導かれることができ、デフレクタシールド732は、微粒子除去部分716および/または1つまたは複数の微粒子除去装置722として働くことができる。有孔デフレクタシールド732は、より大きい放射性微粒子を下方へ導くことができる。有孔デフレクタシールド732は、より小さい放射性微粒子、水蒸気、および/またはガスが上方にガス分離器734の中に流れることを可能にする。
【0109】
水除去部分718および/または1つまたは複数の水除去装置724として働くことができるガス分離器734は、当業者に公知の「水蒸気分離器」技術を使用することができる。ガス分離器734は、入口案内羽根(図示せず)、水を捕集するための内部の制御/分割型金属部分(図示せず)、下方への水の流れを可能にする、外側縁部(図示せず)上の内部の流路、および上方案内羽根(図示せず)を備えることができる。ガス分離器734の垂直の範囲は、向上した混合およびガス分離器734の垂直の範囲に沿ってフィン(図示せず)による熱遮断によって、熱泳動力を最小にするように決定され得る。
【0110】
ガス分離器734によって除去された水は、放射性極性分子を捕集することができ、次いで放射性極性分子は、パイプおよびループシール736を経て第1のマニホールド738に運ばれ、次いでそれによって基部708に重力排水を提供することができる。
【0111】
ガス分離器734からの脱水されたガスは、放射性核種除去部分720および/または1つまたは複数の放射性核種除去装置726まで上方に流れることができる。
【0112】
放射性核種除去部分720および/または1つまたは複数の放射性核種除去装置726からのガスは、ベント口712まで上方に流れることができる。ガスが出ていくベント口712は、除去された水の中の可溶性極性分子である、極めて低減された含有量の放射性核種を含む可能性がある。
【0113】
ガス流が極めて急上昇する事故時には、第1の放射性核種除去装置726の中に格納されたろ過材の少なくとも部分が、第1の放射性核種除去装置726上方に、次の順番の第2の放射性核種除去装置726まで進むことができる。上記に考察するように、第2の放射性核種除去装置726まで進んだろ過材の少なくとも部分が、第2の放射性核種除去装置726の多孔板のスロートに導かれ、第2の放射性核種除去装置726の排出管内に、第2の放射性核種除去装置726の第2の出口へ導かれ、次いで第2のマニホールド740まで導かれることができ、それによって基部708に重力排水を提供することができる。当業者に公知のように、第2のマニホールド740の内径および/または平滑度は、通常の固体処理技術によって物質の停滞を軽減するように選択可能である。
【0114】
ろ過材の少なくとも部分が、第1の放射性核種除去装置726から除去可能であるが、ろ過材の少なくとも部分が、ろ過材の少なくとも部分の表面上に拡散され、吸着される捕集済み放射性核種を保有する可能性がある。
【0115】
液体捕集の大部分が、ガス分離器734の中で起きることができ、ガス分離器734は、水除去部分718および/または1つまたは複数の水除去装置724として働くことができる。しかし、追加の液体捕集が、放射性核種除去部分720および/または1つまたは複数の放射性核種除去装置726の中で起きることができる。これによって、除去された水の中の可溶性放射性極性分子の除去が継続する。水除去が繰り返された場合、流れがベント口712に向かって流れ続けるにつれて、システム700のDFが向上する。
【0116】
放射性核種除去部分720および/または1つまたは複数の放射性核種除去装置726は、上記に考察するように、HEPAフィルタを使用することができる。しかし、ぬれている場合、HEPAフィルタは崩壊を起こしやすいので、1つまたは複数の放射性核種除去装置726は、HEPAフィルタを通って流れるガスが乾燥しているように、ベント口712近傍に配置される必要のある可能性がある。
【0117】
強化ベント配管706は、結合バルブ742および/または結合部744を含むことができ、以下に考察する。
【0118】
図8A〜
図8Cは、いくつかの実施例の実施形態による放射性物質を捕集するためのシステム800の1次運転モードの図である。
図8A〜
図8Cは、原子炉建屋802、斜面804、
強化ベント配管806、ベント口808、免震構造体810、および結合バルブ812を図示する。
【0119】
システム800は、待機モード、活性モード、および/または回復モードの3つの1次運転モードを有することができる。
【0120】
図8Aに示すように、設置後、システム800は、低大気圧状態、または例えば、アルゴンガスによる圧力上昇814での不活性状態に封止され得る。低大気圧状態および不活性状態の両方が、作業員に、待機モードのシステム800が活性モードで運転する準備ができているかどうかを知らせることができる。待機運転モードの「流れがない」状態であれば、システム800内に格納されたろ過材は、その必要な最初の化学的および物理的形態を保有している。
【0121】
図8Bに示すように、システム800は、重大な原子力事故、または格納容器のベントを必要とする可能性がある他の事故によって、活性化され得る。活性化は、圧力上昇816をもたらす可能性がある。活性化は、ベント口808からガス流を発生させる可能性がある。システム800が活性化される場合、DFの無次元比は、システム800に入る汚染物質の量÷ベント口808を経てシステム800を出る汚染物質の量によって定義され得る。DFは、例えば、放射性核種除去部分内の複数の放射性核種除去装置(例えば、放射性核種除去部分720の中の複数の放射性核種除去装置726)を組み合わせることによって制御可能である。システム800は、重大な原子力事故の後、数日単位ではなく数か月単位で測定され得る、発電所の安定性が作業員によって取り戻されるまで、必要な作業員の動作から独立して活性モードで作動可能である。
【0122】
図8Cに示すように、作業員によって発電所の安定性が取り戻された後、原子力発電所の施設の除染および/または廃炉という仕事が開始することができる。ベント口808は、封止され得る。システム800のための格納容器バルブが閉鎖される可能性があり、その結果、システム800内の放射性核種の回復が発生する可能性がある。一時的な配管が、ベント口808、結合バルブ812、第1のマニホールド818および/または第2のマニホールド820に結合され得る。一時的なタンク822が、一時的な配管に結合され得る。
【0123】
回復によって、圧力低下824が発生する可能性がある。回復は、アルミナベッドおよび/またはフミン酸塩ベッドを含むことができる。
【0124】
放射性物質のバルクがシステム800から除去された場合、
強化ベント配管806内のフィルタ(例えば、フィルタ500)は、封止および除去され得る。ろ過材(例えば、ろ過材522)、および
強化ベント配管806の基部826内に収集された放射性物質は、同様の方法で処理可能である。
【0125】
実施例の実施形態を具体的に図示し、説明してきたが、当業者なら、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲から逸脱せずに、形態および詳細の様々な変形形態が作製可能であることを理解するであろう。