(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134711
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】位相ロックループ
(51)【国際特許分類】
H03L 7/093 20060101AFI20170515BHJP
H03L 7/099 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
H03L7/093
H03L7/099 150
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-523000(P2014-523000)
(86)(22)【出願日】2012年7月26日
(65)【公表番号】特表2014-522174(P2014-522174A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】US2012048333
(87)【国際公開番号】WO2013016530
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2015年7月13日
(31)【優先権主張番号】13/191,178
(32)【優先日】2011年7月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】アレグザンダー チェルカスキー
【審査官】
橋本 和志
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0006820(US,A1)
【文献】
特表2009−523394(JP,A)
【文献】
米国特許第06680632(US,B1)
【文献】
特開2007−282232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03L 7/093
H03L 7/099
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
参照信号を受け取るPFDと、
前記PFDに結合されるチャージポンプと、
前記チャージポンプに結合され、第1の帯域幅を有する第1のレジスタ・キャパシタ(RC)フィルタと、
前記チャージポンプに結合され、前記第1の帯域幅より大きい第2の帯域幅を有する第2のRCフィルタと、
前記第1のRCフィルタに結合され、第1の利得を有する第1の利得回路と、
前記第2のRCフィルタに結合され、第2の利得を有する第2の利得回路であって、前記第1の利得が前記第2の利得より大きい、前記第2の利得回路と、
前記第1及び第2の利得回路に結合される加算回路と、
前記加算回路と前記PFDとに結合されるリング発振器であって、リングを形成するように共に直列に結合される複数の遅延セルを含み、各遅延セルが前記加算回路に結合される、前記リング発振器と、
前記リング発振器と前記PFDとの間に結合されるディバイダと、
第1及び第2の供給レールと、
を含み、
各遅延セルが、
入力端子と出力端子と第1の電力端子と第2の電力端子とを有する第1のインバータであって、前記第1のインバータの前記第1の電力端子が前記加算回路に結合され、前記第1のインバータの前記第2の電力端子が前記第2の供給レールに結合される、前記第1のインバータと、
入力端子と出力端子と第1の電力端子と第2の電力端子とを有する第2のインバータであって、前記第2のインバータの前記第1の電力端子が前記加算回路に結合され、前記第2のインバータの前記第2の電力端子が前記第2の供給レールに結合される、前記第2のインバータと、
入力端子と出力端子と第1の電力端子と第2の電力端子とを有する第3のインバータであって、前記第3のインバータの前記第1の電力端子が前記加算回路に結合され、前記第3のインバータの前記第2の電力端子が前記第2の供給レールに結合され、前記第3のインバータの前記入力端子が前記第2のインバータの前記出力端子に結合され、前記第3のインバータの前記出力端子が前記第1のインバータの前記出力端子に結合される、前記第3のインバータと、
入力端子と出力端子と第1の電力端子と第2の電力端子とを有する第4のインバータであって、前記第4のインバータの前記第1の電力端子が前記加算回路に結合され、前記第4のインバータの前記第2の電力端子が前記第2の供給レールに結合され、前記第4のインバータの前記入力端子が前記第1のインバータの前記出力端子に結合され、前記第4のインバータの前記出力端子が前記第2のインバータの前記出力端子に結合される、前記第4のインバータと、
を含む、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1のRCフィルタが、前記チャージポンプと前記第1の利得回路との間に結合される第1のレジスタと、前記第1の供給レールと前記第1の利得回路との間に結合される第1のキャパシタとを更に含み、
前記第2のRCフィルタが、前記第1の供給レールに結合される第2のキャパシタと、前記第2の利得回路と前記第2のキャパシタと前記チャージポンプとに結合される第2のレジスタと、前記第1の供給レールと前記第2の利得回路との間に結合される第3のキャパシタとを更に含む、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
前記第1の利得回路が、そのソースで前記第1の供給レールに結合され、そのドレインで前記加算回路に結合され、そのゲートで前記第1のレジスタ及び第1のキャパシタに結合される、MOSトランジスタを更に含む、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、
前記MOSトランジスタが第1のMOSトランジスタを更に含み、前記第2の利得回路が、そのソースで前記第1の供給レールに結合され、そのドレインで前記加算回路に結合され、そのゲートで前記第2のレジスタと第2のキャパシタと第3のキャパシタと前記チャージポンプとに結合される、第2のMOSトランジスタを更に含む、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、
前記加算回路がノードを更に含む、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、
前記第1及び第2のMOSトランジスタが、それぞれ、第1及び第2のPMOSトランジスタを更に含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して位相ロックループ(PLL)に関し、更に特定して言えば、改善された位相ノイズ及びジッタを有するPLLに関連する。
【背景技術】
【0002】
図1は従来のPLL100の一例を示す。オペレーションにおいて、位相/周波数検出器(PFD)102が、参照信号REFとディバイダ110からのフィードバック信号FBとの間の位相誤差に応答してチャージポンプ104に対しアップ及びダウン制御信号を生成する。チャージポンプ104はその後、適切な電流(チャージ)を低域フィルタ(LPF)106(これは概して、キャパシタC1及びC2及びレジスタR1で構成される)に印加する。LPF106はその後、電圧を電圧制御された発振器(VCO)108(これは全CMOS VCOである)の制御ノードに供給する。VCO108が全CMOS VCOであるため、PLL100は、LPF106により生じる過剰な位相ノイズ及びジッタをこうむる。これは主に、VCO108のノードの制御を変調するフィルタレジスタR1からのノイズを効率的に増やす、(VCO108内の)CMOS発振器の非常に高いVCO利得(KVco)に起因し、そのため、LPF106からのノイズは主要ノイズ源であり、性能を制限する。
【0003】
改善されたPLLが求められている。
【0004】
従来の回路の幾つかの例が下記文献に記載されている。
【特許文献1】米国特許番号第7,167,056号
【特許文献2】米国特許番号第7,298,221号
【特許文献3】米国特許出願番号12/726,190
【発明の概要】
【0005】
例示の実施例が或る装置を提供する。この装置は、参照信号を受け取る位相/周波数検出器(PFD)、PFDに結合されるチャージポンプ、チャージポンプに結合される第1の利得制御回路、チャージポンプに結合される第2の利得制御回路、第1及び第2の利得制御回路に結合される加算回路、及び加算回路及びPFDに結合される電圧制御された発振器(VCO)を含む。第1の利得制御回路は、第1の利得及び第1の応答を有する。第2の利得制御回路は第2の利得及び第2の応答を有し、第2の利得は第1の利得より大きく、第1の応答は第2の応答より大きい。
【0006】
例示の実施例において、この装置は、VCOとPFDとの間に結合されるディバイダを更に含む。
【0007】
例示の実施例において、第1の利得制御回路は、チャージポンプに結合される低域フィルタ(LPF)と、LPFと加算回路との間に結合される利得回路とを更に含む。
【0008】
例示の実施例において、LPFは、第1の応答を少なくとも部分的に生成する第1の帯域幅を有する第1のLPFを更に含む。利得回路は、第1の利得を有する第1の利得回路を更に含む。第2の利得制御回路は、チャージポンプに結合される第2のLPFと、第2のLPFと加算回路との間に結合される第2の利得回路とを更に含む。第2のLPFは、第2の応答を少なくとも部分的に生成する第2の帯域幅を有する。
【0009】
例示の実施例において、VCOは、共に直列に結合されてリングを形成する複数の遅延セルを更に含み、各遅延セルは加算回路に結合される。
【0010】
例示の実施例において或る方法が提供される。この方法は、参照信号とフィードバック信号との間の比較に応答して制御信号を生成すること、それぞれ、第1及び第2の帯域幅を有する第1及び第2のLPFにチャージを提供することであって、第2の帯域幅が第1の帯域幅より大きいこと、それぞれ、第1及び第2の電圧を生成するように、それぞれ、第1及び第2の利得を第1及び第2のLPFから出力に印加することであって、第1の利得が第2の利得より大きいこと、及び第1及び第2の電圧の和からフィードバック信号を生成することを含む。
【0011】
例示の実施例において、制御信号は、第1の制御信号及び第2の制御信号を更に含む。制御信号を生成する工程は、参照信号とフィードバック信号との比較から位相誤差を生成すること、及び位相誤差に応答して第1及び第2の制御信号を生成することを更に含む。
【0012】
例示の実施例において、フィードバック信号を生成する工程は、和を遅延ラインの複数の遅延セルに印加することであって、各遅延セルが、リングを形成するため共に直列に結合されること、及び遅延ライン上のタップからフィードバック信号を生成することを更に含む。
【0013】
例示の実施例において或る装置が提供される。この装置は、参照信号を受け取るPFD、PFDに結合されるチャージポンプ、第1の帯域幅を有するチャージポンプに結合される第1のレジスタ・キャパシタ(RC)フィルタ、第1の帯域幅より大きい第2の帯域幅を有するチャージポンプに結合される第2のRCフィルタ、第1のRCフィルタに結合され、第1の利得を有する第1の利得回路、第2のRCフィルタに結合され、第2の利得を有する第2の利得回路、第1及び第2の利得回路に結合される加算回路、及び加算回路及びPFDに結合されるVCOを含む。第1の利得は第2の利得より大きい。
【0014】
例示の実施例において、この装置は、第1及び第2の供給レールを更に含む。第1のRCフィルタは、チャージポンプと第1の利得回路との間に結合されるレジスタと、第1の供給レールと第1の利得回路との間に結合されるキャパシタとを更に含む。
【0015】
例示の実施例において、レジスタは第1のレジスタを更に含む。キャパシタは第1のキャパシタを更に含む。第2のRCフィルタは、第1の供給レールに結合される第2のキャパシタと、第2の利得回路、第2のキャパシタ、及びチャージポンプに結合される第2のレジスタと、第1の供給レールと第2の利得回路との間に結合される第3のキャパシタとを更に含む。
【0016】
例示の実施例において、第1の利得回路はMOSトランジスタを更に含み、MOSトランジスタは、そのソースで第1の供給レールに、そのドレインで加算回路に、及びそのゲートで第1のレジスタ及び第1のキャパシタに結合される。
【0017】
例示の実施例において、MOSトランジスタは第1のMOSトランジスタを更に含む。第2の利得回路は、そのソースで第1の供給レールに、そのドレインで加算回路に、及びそのゲートで第2のレジスタ、第3のキャパシタ、及びチャージポンプに結合される第2のMOSトランジスタを更に含む。
【0018】
例示の実施例において、加算回路はノードを更に含む。
【0019】
例示の実施例において、第1及び第2のMOSトランジスタは、それぞれ、第1及び第2のPMOSトランジスタを更に含む。
【0020】
例示の実施例において、VCOは、リングを形成するように共に直列に結合される複数の遅延セルを更に含み、各遅延セルは加算回路に結合される。
【0021】
例示の実施例において、各遅延セルは、入力端子と、出力端子と、第1の電力端子と、第2の電力端子とを有する第1のインバータ、入力端子と、出力端子と、第1の電力端子と、第2の電力端子とを有する第2のインバータ、入力端子と、出力端子と、第1の電力端子と、第2の電力端子とを有する第3のインバータ、及び入力端子と、出力端子と、第1の電力端子と、第2の電力端子とを有する第4のインバータを更に含む。第1のインバータの第1の電力端子は加算回路に結合され、第1のインバータの第2の電力端子は第2の供給レールに結合される。第2のインバータの第1の電力端子は加算回路に結合され、第2のインバータの第2の電力端子は第2の供給レールに結合される。第3のインバータの第1の電力端子は加算回路に結合され、第3のインバータの第2の電力端子は第2の供給レールに結合され、第3のインバータの入力端子は第2のインバータの出力端子に結合され、第3のインバータの出力端子は第1のインバータの出力端子に結合される。第4のインバータの第1の電力端子は加算回路に結合され、第4のインバータの第2の電力端子は第2の供給レールに結合され、第4のインバータの入力端子は第1のインバータの出力端子に結合され、第4のインバータの出力端子は第2のインバータの出力端子に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
例示の実施例を添付の図面を参照して説明する。
【0023】
【0024】
【
図2】
図2は、例示の実施例におけるPLLの一例の図である。
【0025】
【
図3】
図3は、
図2のPLLのLPF及びVCOの一例の図である。
【0026】
【発明を実施するための形態】
【0027】
図2は位相ロックループPLL200の一例を示す。PLL200は概して、PLL100と同じループ帯域幅及び位相マージンを有するように構成される。しかし、PLL100とは対照的に、LPF106が、幾つかの利得制御回路と加算回路206とで置き換えられている。利得制御回路の数は用途に応じて変化し得るが、一例として及び図示を簡潔にするため、2つの利得制御回路が示されている。これらの利得制御回路は概して、LPF202−1及び202−2及び利得回路204−1及び204−2で構成される。これらの利得制御ループに対する応答又は速度(即ち、速いか又は遅い)及び利得は、1つ又は複数のLPF202−1及び202−2からのノイズを低減するように互いに対して変えられ得る。一例として、LPF202−1及び利得回路204−1を有する利得制御回路は、LPF202−2及び利得回路204−2を有する利得制御回路より低い応答(一層遅い)及びより高い利得(一層高いK
VCO)を有し得る。
【0028】
図3において、これらの利得制御回路及びVCO108を更に詳細に見ることができる。この例に示すように、LPF202−1及び202−2の各々が、信号CPOUTを受け取るようにチャージポンプ104に結合される。LPF202−2が2つのキャパシタ(即ち、キャパシタC3及びC4)とレジスタ(即ち、レジスタR2)とを含み、LPF202−1がレジスタR3とキャパシタC5とを含むという点で、LPF106と同様の構成を有する。レジスタR3及びキャパシタC5を含むことで付加的な零点及び付加的な極が導入されるが、レジスタR3及びキャパシタC5は、付加的な極及び零点が比較的低周波数であるように選択され得るため、安定性及びダイナミック性能は影響を受けない。オペレーションにおいて、LPF202−2及び利得回路204−2を有する利得制御回路が高帯域幅及び高応答を有する(即ち、速い)が、利得回路204−2(これは、供給レールVDDに結合されるNMOSトランジスタQ2であり得る)は低利得を有する。このことは、レジスタR2からのノイズが、レジスタR2からのノイズの影響を低減するように低利得で加算回路206(これは例えばノードN1であり得る)を介してVCO108の遅延要素302−1〜302−Nを変調することを意味する。これに対し、LPF202−1及び利得回路204−1(これは例えばPMOSトランジスタQ1であり得る)を有する利得制御回路は、低帯域幅及び低応答を有する(即ち、遅い)。レジスタR3及びキャパシタR5により導入される極は比較的低周波数であるため、利得回路204−1に対する高利得は、ノイズ性能に対する影響が実質的にないレジスタR3(これは、チャージポンプ104と利得制御回路204−1との間に結合される)となり得る。
【0029】
図3に示すように、VCO108の遅延要素302−1〜302−Nは、出力信号がタップの少なくとも1つから得られ得るようにリングを形成するため互いに共に結合される。遅延要素302−1〜302−N(後述では、302)の各々の一例を
図4に更に詳細に示す。各インバータ402−1〜402−4が、その電力端子で加算回路206及び供給レール(即ち、接地)に結合される。インバータ402−1及び402−2は、差動入力信号INM及びINPを反転し、インバータ402−3及び402−4は、インバータ402−1及び402−2の出力端子(即ち、差動出力信号OUTP及びOUTM)における値を保持する。
【0030】
当業者であれば、本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に変形が成され得ること、及び多くの他の実施例が可能であることが分かるであろう。