【実施例1】
【0020】
本発明の実施形態を添付図面にしたがって説明する。
図2はホログラフィを利用してディジタル情報を記録および/または再生する光情報記録媒体を用いた光情報記録再生装置を示すブロック図である。
【0021】
光情報記録再生装置300は、入出力制御回路390を介して外部記憶装置391と接続されている。記録する場合には、光情報記録再生装置300は外部制御装置391から記録すべき情報信号を入出力制御回路390により受ける。また、再生する場合には光情報記録再生装置300は再生した情報信号を入出力制御回路390により外部制御装置390に送る。
【0022】
光情報記録再生装置300は、ピックアップ200と、再生用参照光光学系312、キュア系70、ディスク回転角度検出用光学系314、情報の記録媒体であるディスク50、およびディスク50を回転させるモータ60、キュア系70を示しており、ディスク50はモータ60によって回転可能な構成となっている。
【0023】
ピックアップ200は、参照光と信号光をディスク50に照射してホログラフィを利用してディジタル情報をディスク50に記録する役割を果たす。この際、記録する情報信号はコントローラ389によって信号発生回路386を介してピックアップ200内の空間光変調器(以下、SLM(Spatial Light Modulator)と記す)に送られ、信号光は空間光変調器によって変調される。
【0024】
ディスク50に記録した情報を再生する場合は、ピックアップ200から出射された参照光を記録時とは逆の向きに光情報記録媒体に入射させる光波を再生用参照光光学系312にて生成する。再生用参照光によって再生される再生光をピックアップ200内の後述する光検出器(以下、カメラと記す)によって検出し、信号処理回路385によって信号を再生する。
【0025】
ディスク50に照射する参照光(後述111)と信号光(同101)の照射時間は、ピックアップ200内のシャッタ部30の開閉時間をコントローラ389によってシャッタ制御回路387を介して制御することで調整できる。
【0026】
キュア系70はディスク50のプリキュアおよびポストキュアに用いるキュア用光ビーム(後述70a)を生成する役割を果たす。プリキュアとは、ディスク50内の所望の位置に情報を記録する際、所望位置に参照光と信号光を照射する前にディスクの活性化等を図るために、予め所定の光ビームを照射する前工程である。ポストキュアとは、ディスク50内の所望の位置に情報を記録した後、該所望の位置に追記不可能とするために定着用に所定の光ビームを照射する後工程である。
【0027】
ディスク回転角度検出用光学系314はディスク50の回転角度を検出するために用いられる。ディスク50を所定の回転角度に調整する場合は、ディスク回転角度検出用光学系314によって回転角度に応じた信号を検出し、検出された信号を用いてコントローラ389によってディスク回転モータ制御回路388を介してディスク50の回転角度を制御する。
【0028】
光源駆動回路382からは所定の光源駆動電流がピックアップ200、キュア系70、ディスク回転角度検出用光学系314内の光源に供給され、各々の光源からは所定の光量で光ビームを発光することができる。
【0029】
また、ピックアップ200、そして、ディスクのキュア系70に対して、ディスク50が半径方向に位置をスライドできる機構が設けられており(図示せず)、アクセス制御回路381を介してディスクの位置制御が行われる。
【0030】
ところで、ホログラフィの角度多重の原理を利用した記録技術は、参照光角度のずれに対する許容誤差が極めて小さくなる傾向がある。
【0031】
従って、ピックアップ200内に、参照光角度のずれ量を検出する機構を設けて、サーボ信号生成回路383にてサーボ制御用の信号を生成し、サーボ制御回路384を介して前記ずれ量を補正するためのサーボ機構を光情報記録再生装置300内に備えることが必要となる。
【0032】
ここで、ピックアップ200、キュア系70、ディスク回転角度検出用光学系314は、いくつかの光学系構成または全ての光学系構成をひとつに纏めて簡素化しても構わない。
【0033】
図1は、本発明の第一の実施形態を示す光情報記録再生装置300(前出、
図2)におけるピックアップ200の基本的な光学系構成の一例における記録原理を示したものである。レーザー光源1を出射した光ビーム100は光学系2を透過し、シャッタ部30に入射する。ここで、前記の通りシャッタ部30はメカニカルシャッタ3aと、液晶素子を用いた液晶シャッタ4aから成る。メカニカルシャッタ3a、液晶シャッタ4aは光ビーム100に対して遮光、透過が可能なように後述のアクチュエータによってX方向に動くことが可能な構造となっている。また液晶シャッタ4aの後方にはプリズム5が配置される。液晶シャッタ4aが液晶ON/OFF制御回路4CによりON状態になった際(
図1の状態はOFF時)、前記プリズム5との組み合わせによりビーム光を遮断する機能を有している。
【0034】
プリズム5を通る光ビーム100は、直進して後述PBSプリズムに向かう光と、前記プリズム5にて略直角方向に折り曲げられる光121に分岐され、センサ122により、前記シャッタ部30が所定の動作を行っているか否かを検出する。このセンサ122は、シャッタ部の動作を検出可能なセンサであればよく、種類、構造、検出方法は特に限定されない。一例としては、一般的な受光素子、光検出器、フロントモニタ、などが考えられる。
【0035】
ここで
図1の状態、つまりメカニカルシャッタ3aがOpen、つまりシャッタOFF状態、さらに液晶シャッタ4aがOFF状態では、光ビーム100は前記両シャッタを通過する。つまりシャッタ30が開いている時は、光ビーム100はシャッタ30を通過し、シャッタの後方に配置されたプリズム5を通過する。その後、例えば2分の1波長板などで構成される図示しない光学素子等によってp偏光とs偏光の光量比が所望の比になるようになど偏光方向が制御された後、PBS(Polarization Beam Splitter)プリズム6に入射する。
【0036】
ここで、本実施例におけるシャッタ部30について詳説する。シャッタ30部は、機械式に往復運動、回転運動、開閉動作等の少なくともひとつ以上の動作をするメカニカルシャッタ3aと、該メカニカルシャッタ3aを駆動し、レーザー光源1より照射された光ビーム100を遮断、もしくは通過させるためのアクチュエータ3b、該アクチュエータ3bを制御するシャッタ制御回路387、また、液晶素子を用い、光ビームの透過、遮断を行う液晶シャッタ4a、液晶シャッタ4a自身をON/OFF制御する液晶ON/OFF制御回路4c、該液晶ON/OFF制御回路4cを制御するシャッタ制御回路387、さらに該液晶シャッタ4aをビーム光100の光路から(機械的に)退避させるための液晶シャッタ移動用アクチュエータ4bと、該アクチュエータ4bを制御するシャッタ制御回路387から構成される。なお、簡便のため、アクチュエータ3b、アクチュエータ4b、液晶ON/OFF制御回路4cの制御はシャッタ制御回路387にて行われる旨述べたが、もちろん、これらの制御は別々の回路を用いて行われても構わない。
【0037】
これらの構成により前記の通りメカニカルシャッタ3a、液晶シャッタ4aは光ビーム100に対して遮光、透過が可能なようにX方向に動くことが可能である。
【0038】
なお、本発明において、メカニカルシャッタ3aと液晶シャッタ4aの配置順はこれに限られず、逆の順番であってもよい。ただし、メカニカルシャッタ3aが液晶シャッタ4aよりもレーザー光源側に配置されている方が、レーザー光源による“液晶焼け”の影響が減少し液晶シャッタの高寿命化の観点からも望ましい。
【0039】
またここで、シャッタ制御回路387は前述
図2で説明したものと同様なものである。
【0040】
また、メカニカルシャッタ3aと液晶シャッタ4aの動作パターンについての詳細は後述する。
【0041】
PBSプリズム6によって信号光101と参照光111に分岐される。次にPBSプリズム6を透過した光ビームは、信号光101として働き、光学系11、例えば図示しないビームエキスパンダによって光ビーム径が拡大された後、位相マスク、リレーレンズを経て、PBSプリズム12、13を透過してSLM15に入射する。
【0042】
SLM15によって情報が付加された信号光は、(PBS)プリズム13を反射し、例えばミラー16を経由し光路を調整しつつ、光学系17を通過する。ここで光学系17には一例として図示しないリレーレンズならびに空間フィルタ314が含まれた構成となっている。その後、信号光101は対物レンズ18によってディスク50に集光する。
【0043】
一方、PBSプリズム6を反射した光ビームは参照光111として働き、ミラー20により方向を変化させた後、図示しない偏光方向変換素子等からなる光学系21を透過することで記録時または再生時に応じて所定の偏光方向に設定された後、ミラー22を経由してガルバノミラー25に入射する。ガルバノミラー23は図示しないアクチュエータによって角度を調整可能のため、光学系24を通過した後にディスク1に入射する参照光の入射角度を、所望の角度に設定することができる。なお、参照光の入射角度を設定するために、ガルバノミラーに代えて、参照光の波面を変換する素子を用いても構わない。
【0044】
このように信号光と参照光とをディスク50において、互いに重ね合うように入射させることで、記録媒体であるディスク50内には干渉縞パターンが形成され、このパターンを記録媒体に書き込むことで情報を記録する。また、ガルバノミラー23によってディスク50に入射する参照光の入射角度を変化させることができるため、角度多重による記録が可能となる。
【0045】
以降、同じ領域に参照光角度を変えて記録されたホログラムにおいて、1つ1つの参照光角度に対応したホログラムをページと呼び、同領域に角度多重されたページの集合をブックと呼ぶことにする。
【0046】
図3は、光情報記録再生装置300におけるピックアップ200の基本的な光学系構成の一例における再生原理を示したものである。記録した情報を再生する場合は、前述したように参照光をディスク50に入射し、ディスク50を透過した光ビームを、図示しないアクチュエータによって角度調整可能なガルバノミラー25にて反射させることで、その再生用参照光を生成する。
【0047】
この再生用参照光によって再生された再生光は、対物レンズ18、図示しないリレーレンズならびに空間フィルタ等からなる光学系17を伝播する。その後、再生光は(PBS)プリズム13を透過して光検出器(以下、カメラと記す)14に入射し、記録した信号を再生することができる。カメラ14としては例えばCMOSイメージセンサーやCCDイメージセンサーなどの撮像素子を用いることができるが、ページデータを再生可能であれば、どのような素子であっても構わない。
【0048】
以降、前述のメカニカルシャッタと液晶シャッタの動作モードについて
図4〜
図10を用いて詳説する。
【0049】
図4は説明のため、
図1、
図3に示す破線で囲まれたシャッタ30部を抜き出した図あり、本
図4では再生モード時としてメカニカルシャッタ3a、液晶シャッタ4a共に光ビーム100を遮らないようにそれぞれメカニカルシャッタ退避用アクチュエータ3b、液晶シャッタ移動用アクチュエータ4bにより退避している状態を示す。また本
図4では、液晶シャッタ4a自身もON/OFF制御回路により,OFF状態になってることを示している(前掲
図3の状態)。
【0050】
図5(a)は、メカニカルシャッタON、液晶シャッタが光ビームの光路に対して挿入、液晶シャッタがOFF状態を示している。結果として、光ビーム100は遮断状態となる。
【0051】
図5(b)は、メカニカルシャッタON、液晶シャッタが光ビームの光路に対して退避、液晶シャッタがOFF状態を示している。結果として、光ビーム100は遮断状態となる。
【0052】
このように、メカニカルシャッタは液晶シャッタより光ビームの発光元側にある(図示しないレーザー光源側にある)ため、メカニカルシャッタ3aがON状態、つまり光ビームの光路を遮断するように動作した場合、液晶シャッタの動作モードに依らず光ビームの遮断をすることができる。
【0053】
また本
図5(a),(b)では液晶シャッタはOFF状態であるが、光ビームの遮断には関与していないのでON状態に遷移していても構わない。
【0054】
また、液晶シャッタ4aが光ビームの光路に対して挿入状態で、メカニカルシャッタ3aが光ビームの光路から退避した状態を考えると、常時液晶シャッタ4aには、そのON/OFF状態に関わらず、光ビームが照射されることになり、光ビームが特に高出力レーザーからの出射光である場合、液晶シャッタの液晶素子を傷めてしまう可能性がある。そのため例えば再生時には、不要に長時間に亘って液晶シャッタに光ビームを当てないためにも液晶シャッタを光ビームから退避させる本構造が有効となる。
【0055】
図6、
図7は、シャッタ30の別なモードについての説明図である。ここでは一例として、記録モード時の状態を示している。
【0056】
メカニカルシャッタ3aは退避、つまりOFF状態、また、光ビーム100をディスクまで透過させる必要があるため液晶シャッタは光ビームの光路に対して挿入、さらに情報の記録中のため液晶シャッタもOFF状態を示している。
【0057】
一方、
図7では記録モード時ではあるがディスクに情報を記録してはいけないページ移動中、もしくはブック移動中の様子を示している。メカニカルシャッタ3aは前
図6同様にOFF状態であるが、記録情報のページ移動、もしくはブック移動中で記録を一旦中断している場合なので、ON/OFFの応答性の高速な液晶シャッタを光路に対して挿入し、さらに液晶シャッタをON状態にしている様子を示している。特にページ移動は情報の高速記録を実現するため、例えばμ(マイクロ)秒単位の高速で行われるため、イナーシャを持つメカニカルシャッタでは、高速なシャッタ動作に追従できす、さらに高速化に伴う不要な振動がメカニカルシャッタに生じ、情報の高速記録の足かせとなっていた。
【0058】
さらに、光情報記録再生装置の場合、再生、記録モード以外にも、
(1)電源を投入しレーザー安定化のため装置自体をON状態にしているモード、
(2)前記(1)でレーザー安定化後に記録または再生待ちとなるスタンバイモード、
(3)装置にディスクをローディング、もしくはアンローディングしているモード、
(4)ディスクをキュアしているモード、
等があり、前記(1)〜(4)のモードでは、ディスクに照射する不要な光ビームを遮断しなければならない。
【0059】
ここで、光情報記録再生装置の各種モードに対する望ましいシャッタの状態を整理し一例として
図8〜
図10に示す。
【0060】
図8は上記(1)〜(4)の装置状態でのメカニカルシャッタおよび液晶シャッタの状態を纏めた図、
図9は記録時のメカニカルシャッタおよび液晶シャッタの状態を纏めた図、
図10は再生時のメカニカルシャッタおよび液晶シャッタの状態を纏めた図、である。
【0061】
ここで、前述
図5(a)、
図5(b)では、液晶シャッタ4aはOFF状態の図を示しているが、これは、メカニカルシャッタ3aがON状態なので、液晶シャッタ4aはON状態でもOFF状態でも、また、液晶シャッタ4aが挿入または退避されてい状態であっても、光ビームの遮断という観点からはどちらでも構わない。そこで、制御性、消費電力が少ない、液晶素子の発熱状態、等を鑑みて装置としてON/OFFまたは、挿入または退避の何れの状態か適切な方を選択すれば良い。 なお、電源投入の際、スタンバイ時、ローディング時は、液晶シャッタは退避させておいても良い。これにより、次の動作が再生処理の場合、次に行う再生動作を迅速に開始することができる。
【0062】
また、キュアを行う際は、とりわけ、プリキュアを行う際は、液晶シャッタは光路に挿入されておいてもよい。これにより、次に行う記録動作を迅速に開始することが可能となる。
【0063】
以上、メカニカルシャッタと液晶シャッタを組み合わせて配置することにより、高い安定性、信頼性、長寿命を実現するメカニカルシャッタの特徴と、高速な液晶素子のON/OFF動作が可能な液晶シャッタと、お互いの特徴を活かすことで、光情報記録再生装置としても、高い安定性、信頼性、長寿命、さらに高速記録の対応を可能とする。
【0064】
ここで、本実施例によるメカニカルシャッタと液晶シャッタの動作フローを
図19を用いて説明する。
【0065】
図19は、ホログラフィを利用した光情報記録再生装置300における記録、再生の動作フローを示したものである。
【0066】
図19(a)は、光情報記録再生装置300に光情報記録媒体であるディスク50を挿入した後、記録または再生の準備が完了するまでの動作フローを示し、
図19(b)は準備完了状態から光情報記録媒体1に情報を記録するまでの動作フロー、
図19(c)は準備完了状態からディスク50に記録した情報を再生するまでの動作フローを示したものである。
また
図19(d)に、
図19(a)に示すシャッタモード設定601部の詳細フローを示す。
【0067】
図19(a)に示すようにディスク50を挿入すると光情報記録再生装置300の処理が開始する(600)、まずディスク50がどのようなディスクかを判別するため、ディスク信号読み取りモード、つまり再生モードに入るため、シャッタ30は、前記
図10に示した状態が選択され(601)、光情報記録再生装置300は、例えば挿入されたディスク状媒体がホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する媒体であるかどうかディスク判別を行う(602)。
【0068】
ディスク判別の結果、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生に対応するであると判断されると、光情報記録再生装置300はディスク50に設けられたコントロールデータを読み出し(603)、例えばディスク50に関する情報や、例えば記録や再生時における各種設定条件に関する情報を取得する。
【0069】
コントロールデータの読み出し後は、コントロールデータに応じた各種調整やピックアップ200に関わる学習処理(604)を行い、さらにシャッタ30におけるメカニカルシャッタ3a、および液晶シャッタ4aは前述
図10に示す再生時のシャッタ動作パターンを決定し(605)ながら、再生モードおよび/または記録モードで学習処理を続ける。学習処理(604)が終了すると、光情報記録再生装置300は、記録または再生の準備を完了する(606)。
【0070】
準備完了状態から情報を記録するまでの動作フローは
図19(b)に示すように、まず、シャッタ30の設定を前記
図9に示す記録時モードにし(611)、記録するデータを受信して(612)、該データに応じた情報をピックアップ200内の空間光変調器(SLM)15に送る。
【0071】
その後、光情報記録媒体に高品質の情報を記録できるように、必要に応じて例えばレーザー光源1のパワー最適化やシャッタ30による露光時間の最適化等の各種記録用学習処理を事前に行う(613)。
【0072】
その後、シーク動作(614)ではアクセス制御回路381を制御して、ピックアップ200ならびにキュア系70の位置に対し、ディスク50を所定の位置に位置づけする。このシーク動作時のシャッタモードは通常、再生時モードと同様な設定が一般的である。ディスク50がアドレス情報(CDやDVDで言うTOC(Table Of Contents))を持つ場合には、アドレス情報を再生し、目的の位置に位置づけされているか確認し、目的の位置に配置されていなければ、所定の位置とのずれ量を算出し、再度位置づけする動作を繰り返す。
【0073】
一方、ディスク50がTOC情報を持ち、シーク動作時の最初にディスク上のTOC情報を読み込み、所定位置までピックアップ200ならびにキュア系70の位置に対し、ディスク50を所定の位置に近づける間(粗調整時)については、シャッタはON状態であっても構わない。
【0074】
その後、キュア系70から出射する光ビーム70aを用いて所定の領域をプリキュアするため(616)に、事前にシャッタ30はシャッタモードを
図8に示すキュアモードに設定する(615)。プリキュア(616)を行った後は、シャッタ30はシャッタモードを
図9に示す記録モードに設定する(617)。そして、ピックアップ200から出射する信号光101と参照光111を用いてデータを記録する(6168)。
【0075】
データを記録した後は、再びシャッタモードを
図8に示すキュアモードに設定し(619)、キュア系70から出射する光ビーム70aを用いてポストキュアを行う(620)。ここで必要に応じてデータをベリファイしても構わない。
【0076】
準備完了状態から記録された情報を再生するまでの動作フローは
図19(c)に示すように、まずシーク動作(632)用にシャッタモードを設定する(631)。ここでシーク動作(632)用のシャッタモードは、一般的には
図10に示す再生時モードと同様である。シーク動作(632)では、アクセス制御回路381を制御して、ピックアップ200ならびに前述21、24の光学系を含んだ再生用参照光光学系の所定の位置にディスク50を位置づけする。ディスク50がアドレス情報を持つ場合には、アドレス情報を再生し、目的の位置に位置づけされているか確認し、目的の位置に配置されていなければ、所定の位置とのずれ量を算出し、再度位置づけする動作を繰り返す。
【0077】
その後、ピックアップ11から参照光を出射し、光情報記録媒体に記録された情報を読み出し(633)、再生データを送信する(634)。
【0078】
次に、光情報記録再生装置300の電源投入後、記録または再生開始までの動作フローを
図19(d)を用いて説明する。
【0079】
装置の電源が投入された後(640)、シャッタ30はシャッタモードは
図8に示す電源投入時モードに設定する(641)。本実施例による光情報記録再生装置では、装置電源ONによりレーザー光源からの光ビームが出射させる際、例えば図示しないレーザー光源部分の光モニタにより、光ビームの波長やパワーをモニタし、記録および再生に必要とされる波長やパワーが安定した後(642のYes時)、シャッターモードの設定を前記
図10に示す再生時モードへと遷移させる。これは、光ビームのパワーや波長が不安定な状態で、ディスク50に光ビームを照射させると、正確な信号情報の情報のやりとりが行えないためである。
【0080】
なお、波長やパワーが安定とは、例えば、レーザーの波長やパワーが所定の誤差の範囲内となる場合と設定してもよい。または、光ビームの波長やパワーをモニタするのでは無く、装置電源ONまたはレーザー光源がONしてから所定時間が経過した場合に波長やパワーが安定したと判別する構成であっても構わない。
【0081】
また、
図19(d)のような構成により、レーザーの波長やパワーが安定化するまでに多くの時間を要する装置において、液晶素子等の寿命を延ばすことが可能となる。
【0082】
次に、ホログラムのページ間移動中のシャッタ動作について記載する。ホログラムを用いた光情報記録再生装置では、例えば、各ページに対応した一つ、もしくは複数の参照光角度を予め計算、もしくはテーブルにデータとして持っている。この参照光角度データ、およびテーブルは例えばコントローラ389、サーボ信号生成回路383、乃至サーボ制御回路384に備えられている。本実施の形態では特にデータ記録時、シャッタはメカニカルシャッタが退避状態で、液晶シャッタのみをON/OFF駆動させている。その場合、ある一定の参照光角度で設定された前記
図1に示すガルバノミラー23の角度が定まった後に液晶シャッタがOFFとなり信号光101と参照光111がディスク50に照射され干渉が起こることでひとつのホログラムのページが形成される。引き続き次のページのホログラムを形成する時は、液晶シャッタがON、つまり光ビームが射光された状態になった後にガルバノミラー23が次の角度位置まで角度を変化させ、その角度が定まった時に、再び液晶シャッタがOFF、つまり信号光101と参照光111がディスク50に照射され、引き続き新たなホログラムのページが形成される。これを繰り返し、予め設定された複数ページのホログラムの形成を行う。
【0083】
図20のフローを用いて説明する。
図20は前記
図19(b)において、シャッタモード設定(記録モード)(617)及び、データ記録(618)を詳説したものである。
【0084】
プリキュア(616)の処理、つまりディスク記録部分の活性化が図られた後、シャッタモード設定(記録モード)(617)として、記録準備に向けて改めて慣性の大きなメカニカルシャッタ3aが退避(617(a))し、液晶シャッタが閉じられる(ON状態)(617(b))。引き続き、データ記録(618)として、ディスク上でデータを記録する所定の位置(ブック位置)に信号光101、参照光111が照射されるようにディスクを回転させるモータ60の位置を正確に移動させる(618(a))。次にディスク50上にホログラムを形成するページ位置に対応すべく、参照光角度を制御すべくガルバノミラー22制御用の角度データの読込みが行われ(618(b))、ガルバノミラー2の角度設定、つまりページ設定が行われる(618(c))。例えば、参照光がディスクに入射する角度は第1の角度にが設定される。
【0085】
引き続き、液晶シャッター4aをOFFにし(618(d))、光ビームを透過することでディスク上にホログラムを形成する(618(e))。ひとつのページデータの記録が終了すると、液晶シャッタがON状態つまり遮光状態に遷移し、次のページ記録の要否(618(g))の判定を行う。ここで、次のページに対応する参照光の入射角度は第1の角度とは異なる第2の参照光角度となる。そして、記録ブックの確認を行い(618(h))、ポストキュア処理を行なう(619)。そして終了する(620)。
【0086】
このように、
図20のようなフローに従えば、高速に記録動作を行うことが出来るとともに、液晶素子の高寿命化を図ることが出来る。
【0087】
ここで、本第1の実施の形態では、メカニカルシャッタと組み合わせて配置するシャッタを電子デバイスである液晶素子、つまり液晶シャッタを用いる例について記述しているが、本発明の適用は液晶素子に限られず、例えば電子ペーパー、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)を用いたシャッタを組み合わせても構わない。このことは以下の実施例においても同等である。
【0088】
以上本実施例によれば、寿命が長く信頼性・安定性の高いシャッターユニットを有する光情報記録光情報再生装置提供することが出来る。
【0089】
また、シャッタ30部はレーザー光源と信号光と参照光を分岐するプリズムの間に配置されているため、信号光101、参照光111を纏めて射光または通過させることができるため、不要な時に信号光101または参照光111がディスク50に照射され、ディスクが不用意に反応することも防ぐことが可能である。