特許第6134738号(P6134738)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6134738光情報記録再生装置、光情報記録再生方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134738
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】光情報記録再生装置、光情報記録再生方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 7/0065 20060101AFI20170515BHJP
   G11B 7/1381 20120101ALI20170515BHJP
   G11B 7/1369 20120101ALI20170515BHJP
   G11B 7/1395 20120101ALI20170515BHJP
【FI】
   G11B7/0065
   G11B7/1381
   G11B7/1369
   G11B7/1395
【請求項の数】13
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-551780(P2014-551780)
(86)(22)【出願日】2012年12月12日
(86)【国際出願番号】JP2012082127
(87)【国際公開番号】WO2014091571
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2015年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】509189444
【氏名又は名称】日立コンシューマエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】田口 博文
(72)【発明者】
【氏名】藤田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】中井 伸郎
(72)【発明者】
【氏名】西村 孝一郎
(72)【発明者】
【氏名】星沢 拓
(72)【発明者】
【氏名】山崎 和良
【審査官】 中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−004041(JP,A)
【文献】 特開2004−272949(JP,A)
【文献】 特開2010−175907(JP,A)
【文献】 特開昭64−000937(JP,A)
【文献】 特開昭62−188947(JP,A)
【文献】 特開2004−055096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 7/0065
G11B 7/1369
G11B 7/1381
G11B 7/1395
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラフィを用いて、情報を記録媒体に記録および/または記録媒体から情報を再生する光情報記録再生装置であって、
レーザー光を照射するレーザー光源と、
前記レーザー光源から発せられたレーザー光の透過と遮断を切替可能な、第1の遮光部と、
前記第1の遮光部の透過または遮断の切替を駆動する駆動回路と、
前記第1の遮光部を移動させる第1の移動部と、
前記レーザー光源から発せられたレーザー光を遮断するメカニカルシャッタである第2の遮光部と、
前記第2の遮光部を移動させる第2の移動部と、
前記レーザー光源からのレーザー光を前記第1の遮光部、もしくは前記第2の遮光部の少なくともどちらか一方に照射可能とする切替機構と、を備え、
前記第1の遮光部と前記第2の遮光部は同一のベースに一体的に載置され、
前記切替機構は、モード毎に定められる、前記駆動回路による前記第1の遮光部の透過状態、前記第1の移動部による前記第1の遮光部の前記レーザー光の光路への挿入状態および前記第2の移動部による前記第2の遮光部の前記レーザー光の光路への挿入状態の組合せにより、前記レーザー光の照射を切り替えることで、前記レーザー光に対する遮光の状態を制御することを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光情報記録再生装置であって、
前記レーザー光を信号光と参照光に分離するスプリッタを有し、
前記第1の遮光部と前記第2の遮光部は、前記レーザー光源と前記スプリッタの聞に配置されることを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光情報記録再生装置であって、
前記第2の遮光部は前記第1の遮光部よりも前記レーザー光源側に配置されていることを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光情報記録再生装置であって、
前記第1及び/または第2の移動部は、回転式の移動部であり、該移動部が回転することにより、レーザー光が遮断または透過することを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光情報記録再生装置であって、
前記記録媒体に情報を記録する際は、前記第2の遮光部は前記レーザーの光路に対して退避しているとともに、前記第1の遮光部は前記レーザーの光路に対して挿入されており、前記駆動回路は、前記第1の遮光部の透過と遮断の切替を行うことを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項6】
請求項1に記載の光情報記録再生装置であって、
前記記録媒体から情報を再生する際は、前記第1の遮光部と前記第2の遮光部は前記レーザーの光路に対して退避していることを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項7】
請求項1に記載の光情報記録再生装置であって、
前記光情報記録再生装置の電源が投入される際、前記光情報記録再生装置のスタンバイの際、または、前記光情報記録再生装置に前記記録媒体をローディングする際は、前記第2の遮光部は前記レーザーの光路に対して挿入しているとともに、前記第1の遮光部は前記レーザーの光路に対して退避されている状態であることを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項8】
請求項1に記載の光情報記録再生装置であって、
前記記録媒体にキュア処理を行う際は、前記第2の遮光部は前記レーザーの光路に対して挿入しているとともに、前記第1の遮光部は前記レーザーの光路に対して挿入されている状態であることを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項9】
請求項2に記載の光情報記録再生装置であって、
前記参照光の前記記録媒体への入射角度を変化させながら、前記記録媒体の同一の領域に複数のページデータを記録する際は、
前記第2の遮光部は前記レーザーの光路に対して退避しているとともに、前記第1の遮光部は前記レーザーの光路に対して挿入されてお前記第1の遮光部が前記レーザーを透過する状態で、第1の参照光角度で第1のページデータが前記記録媒体に記録され、
前記第1の参照光角度から第2の参照光角度に変化する際は、前記第1の遮光部は前記レーザーを遮断する状態であることを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項10】
請求項2に記載の光情報記録再生装置であって、
前記参照光の前記記録媒体への入射角度を変化させながら、前記記録媒体の同一の領域に複数のページデータを記録する際は、
前記第1の遮光部は前記レーザーの光路に対して挿入されており、前記第1の遮光部が前記レーザーを透過する状態で、第1の参照光角度で第1のページデータが前記記録媒体に記録され、
前記第1の参照光角度から第2の参照光角度に変化する際は、
前記第1の遮光部は前記レーザーを遮断する状態であることを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項11】
請求項1に記載の光情報記録再生装置であって、
前記光情報記録再生装置の電源が投入される際は、前記第1の遮光部と前記第2の遮光部は前記レーザーの光路に対して挿入しているとともに、前記第1の遮光部は前記レーザーを遮断する第1の状態であり、
前記レーザー光源が安定していると判断された後は、前記第1の状態から、前記第1の遮光部と前記第2の遮光部は前記レーザーの光路に対して退避している2の状態に切替えられることを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項12】
請求項1に記載の光情報記録再生装置であって、
前記第1の移動部と前記第2の移動部は共通であることを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項13】
ホログラフィを用いて、情報を記録媒体に記録および/または記録媒体から情報を再生する光情報記録再生装置を用いた光情報記録再生方法であって、
前記光情報記録再生装置は、レーザー光を照射するレーザー光源と、前記レーザー光源から発せられたレーザー光の透過と遮断を切替可能な、電子デバイスの素子である第1の遮光部と、前記第1の遮光部の透過または遮断の切替を駆動する駆動回路と、前記第1の遮光部を移動させる第1の移動部と、前記レーザー光源から発せられたレーザー光を遮断するメカニカルシャッタである第2の遮光部と、前記第2の遮光部を移動させる第2の移動部と、前記レーザー光を前記第1の遮光部、もしくは前記第2の遮光部の少なくともどちらか一方に照射可能とする切替機構と、を備え、
前記光情報記録再生装置は、前記第1の遮光部と前記第2の遮光部は同一のベースに一体的に載置され、
前記光情報再生装置の前記切替機構により、モード毎に定められる、前記駆動回路による前記第1の遮光部の透過状態、前記第1の移動部による前記第1の遮光部の前記レーザー光の光路への挿入状態および前記第2の移動部による前記第2の遮光部の前記レーザー光の光路への挿入状態の組合せにより、前記レーザー光の照射を切り替えることで、前記レーザー光に対する遮光の状態を制御することを特徴とする光情報記録再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィを用いて、記録媒体から情報を再生する、装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、青紫色半導体レーザーを用いた、Blu−ray Disc(TM)規格により、民生用においても50GB程度の記録容量を持つ光ディスクの商品化が可能となってきた。今後は、光ディスクでも100GB〜1TBというHDD(Hard Disk Drive)容量と同程度まで大容量化が望まれる。
【0003】
しかしながら、このような超高密度を光ディスクで実現するためには、レーザーの短波長化と対物レンズの高NA化による高密度化技術とは一線を画した異なる新しい方式による高密度化技術が必要である。
【0004】
次世代のストレージ技術に関する研究が行われる中、ホログラフィを利用してディジタル情報を記録するホログラム記録技術が注目を集めている。
【0005】
ホログラム記録技術とは、空間光変調器により2次元的に変調されたページデータの情報を有する信号光を、記録媒体の内部で参照光と重ね合わせ、その時に発生する干渉縞パターンによって記録媒体内に屈折率変調を生じさせることで情報を記録媒体に記録する技術である。
【0006】
情報の再生時には、記録時に用いた参照光を記録媒体に照射すると、記録媒体中に記録されているホログラムが回折格子のように作用して回折光を生じる。この回折光が記録した信号光と位相情報を含めて同一の光として再生される。
【0007】
再生された信号光は、CMOSやCCDなどの光検出器(カメラ)を用いて2次元的に高速に検出される。このようにホログラム記録技術は、1つのホログラムによって2次元的な情報を一気に光記録媒体に記録し、さらにこの情報を再生することを可能とするものであり、そして、記録媒体のある場所に複数のページデータを重ね書きすることができるため、大容量かつ高速な情報の記録再生を果たすことができる。
【0008】
ホログラム記録再生技術として、例えば特開2006−172582号公報(特許文献1)がある。本公報には、「また、半波長板24と偏光ビームスプリッタ26との間には記録時のビームの開閉を行うメカニカルシャッタ25が配置されており、このメカニカルシャッタ25の開閉のタイミングにより記録時間が決定される。」と記載されている。
【0009】
また、ホログラム記録再生技術として、例えば特開2007−40414号公報(特許文献2)がある。本公報には、「信号光100を空間変調する空間変調器(SLM)13に、データ記録とデータ記録の間の期間、全ての信号光が偏光板14で遮断されるような偏光を与えるパターンを表示する。これにより、記録と記録の間では信号光100がホログラム記録材料50には照射されなくなるため、ホログラム記録材料50に無用な記録がされ続けることを防止することができる。また、この場合、空間変調器13はシャッタとして機能しているが、動作は迅速で振動が発生しないため、正確な信号を記録することができると共に、転送レートを速くすることができる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−172582号公報
【特許文献2】特開2007−4041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、特許文献1記載のような機械式のシャッタ(以下、メカニカルシャッタと記す)を使用した場合、次に述べるような課題が発生する。まず第一に、転送レートを上げるため高速にホログラムをディスクに記録しようとした際、メカニカルシャッタはそれ自身のイナーシャ(慣性)を持つため、高速動作に限界が生じてしまい、シャッタ開閉が所望のスピードに追従しなくなる。第二に、メカニカルシャッタは、高速開閉、もしくは高速退避・高速挿入動作の際に、ビーム光に対し、不要な振動を発生させる。この振動中にホログラムをディスクに記録してしまうと、記録される波面が乱れてしまい、正確な情報信号を記録することが困難になる。そのため、振動の発生が収まった後に、記録再生を開始しなければいけなくなり、高速記録対応が困難となってしまっている。最悪の場合は所望の信号を全く記録できなくなる場合も生じる。結果的に、メカニカルシャッタの開閉に時間を要するが故に、転送レートの低下に繋がってしまう。
【0012】
そこで、特許文献2では、データ記録の可否を選択するシャッタにおいて、振動の発生する場合がある機械式のメカニカルシャッタではなく、液晶表示装置および偏光板の組み合わせで適宜シャッタ機能を有する構成をとっている。
【0013】
しかしながら、液晶素子にもホログラム式の記録再生装置のシャッタとして用いる場合には以下の問題がある。第一に、液晶は寿命劣化の理由で、長時間、常時ON、あるいはOFFの状態(駆動電源のON、OFFではない)に維持しておくことが液晶構造上、困難であり、シャッタ機能として長時間のON、OFF動作ができない。
【0014】
第二に、レーザーの光ビームの光路中に液晶素子が配置され、液晶素子は光ビームを常時受けているので、液晶素子が“焼けた”状態になり、耐光性の観点で寿命の劣化が懸念される。
【0015】
そこで、本発明は、前記問題点について鑑み提案されるものであって、本発明の目的は、寿命が長く、かつ高速な記録再生を可能とするシャッタユニットを有する光情報記録再生装置、光情報記録再生方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題は、例えば特許請求の範囲に記載の発明により解決される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、寿命が長く、かつ高速な記録再生を可能とするシャッタユニットを有する光情報記録再生装置、光情報記録再生方法をすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第1の実施の形態を表す概略図である。
図2】本発明による第1の実施の形態に係る光情報記録再生装置全体の概略を示すブロック図である。
図3】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第1の実施の形態を表す概略図である。
図4】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第1の実施の形態を表す概略図である。
図5(a)】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第1の実施の形態を表す概略図である。
図5(b)】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第1の実施の形態を表す概略図である。
図6】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第1の実施の形態を表す概略図である。
図7】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第1の実施の形態を表す概略図である。
図8】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第1の実施の形態を表す概略図である。
図9】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第1の実施の形態を表す概略図である。
図10】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第1の実施の形態を表す概略図である。
図11(a)】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第2の実施の形態を表す概略図である。
図11(b)】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第2の実施の形態を表す概略図である。
図12(a)】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第2の実施の形態を表す概略図である。
図12(b)】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第2の実施の形態を表す概略図である。
図13(a)】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第3の実施の形態を表す概略図である。
図13(b)】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第3の実施の形態を表す概略図である。
図14(a)】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第3の実施の形態を表す概略図である。
図14(b)】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第3の実施の形態を表す概略図である。
図15(a)】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第3の実施の形態を表す概略図である。
図15(b)】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第3の実施の形態を表す概略図である。
図16(a)】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第3の実施の形態を表す概略図である。
図16(b)】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第3の実施の形態を表す概略図である。
図17(a)】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第3の実施の形態を表す概略図である。
図17(b)】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第3の実施の形態を表す概略図である。
図18】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第3の実施の形態を表す概略図である。
図19(a)】光情報記録再生装置における再生の動作フローの実施の形態を示した図である。
図19(b)】光情報記録再生装置における記録の動作フローの実施の形態を示した図である。
図19(c)】光情報記録再生装置における再生の動作フローの実施の形態を示した図である。
図19(d)】光情報記録再生装置における再生の動作フローの実施の形態を示した図である。
図20】光情報記録再生装置における記録の動作フローの実施の形態を示した図である。
図21】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第4の実施の形態を表す概略図である。
図22】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第4の実施の形態を表す概略図である。
図23】本発明による光情報記録再生装置ピックアップの第4の実施の形態を表す概略図である。
図24】光情報記録再生装置における記録の動作フローの実施の形態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0020】
本発明の実施形態を添付図面にしたがって説明する。図2はホログラフィを利用してディジタル情報を記録および/または再生する光情報記録媒体を用いた光情報記録再生装置を示すブロック図である。
【0021】
光情報記録再生装置300は、入出力制御回路390を介して外部記憶装置391と接続されている。記録する場合には、光情報記録再生装置300は外部制御装置391から記録すべき情報信号を入出力制御回路390により受ける。また、再生する場合には光情報記録再生装置300は再生した情報信号を入出力制御回路390により外部制御装置390に送る。
【0022】
光情報記録再生装置300は、ピックアップ200と、再生用参照光光学系312、キュア系70、ディスク回転角度検出用光学系314、情報の記録媒体であるディスク50、およびディスク50を回転させるモータ60、キュア系70を示しており、ディスク50はモータ60によって回転可能な構成となっている。
【0023】
ピックアップ200は、参照光と信号光をディスク50に照射してホログラフィを利用してディジタル情報をディスク50に記録する役割を果たす。この際、記録する情報信号はコントローラ389によって信号発生回路386を介してピックアップ200内の空間光変調器(以下、SLM(Spatial Light Modulator)と記す)に送られ、信号光は空間光変調器によって変調される。
【0024】
ディスク50に記録した情報を再生する場合は、ピックアップ200から出射された参照光を記録時とは逆の向きに光情報記録媒体に入射させる光波を再生用参照光光学系312にて生成する。再生用参照光によって再生される再生光をピックアップ200内の後述する光検出器(以下、カメラと記す)によって検出し、信号処理回路385によって信号を再生する。
【0025】
ディスク50に照射する参照光(後述111)と信号光(同101)の照射時間は、ピックアップ200内のシャッタ部30の開閉時間をコントローラ389によってシャッタ制御回路387を介して制御することで調整できる。
【0026】
キュア系70はディスク50のプリキュアおよびポストキュアに用いるキュア用光ビーム(後述70a)を生成する役割を果たす。プリキュアとは、ディスク50内の所望の位置に情報を記録する際、所望位置に参照光と信号光を照射する前にディスクの活性化等を図るために、予め所定の光ビームを照射する前工程である。ポストキュアとは、ディスク50内の所望の位置に情報を記録した後、該所望の位置に追記不可能とするために定着用に所定の光ビームを照射する後工程である。
【0027】
ディスク回転角度検出用光学系314はディスク50の回転角度を検出するために用いられる。ディスク50を所定の回転角度に調整する場合は、ディスク回転角度検出用光学系314によって回転角度に応じた信号を検出し、検出された信号を用いてコントローラ389によってディスク回転モータ制御回路388を介してディスク50の回転角度を制御する。
【0028】
光源駆動回路382からは所定の光源駆動電流がピックアップ200、キュア系70、ディスク回転角度検出用光学系314内の光源に供給され、各々の光源からは所定の光量で光ビームを発光することができる。
【0029】
また、ピックアップ200、そして、ディスクのキュア系70に対して、ディスク50が半径方向に位置をスライドできる機構が設けられており(図示せず)、アクセス制御回路381を介してディスクの位置制御が行われる。
【0030】
ところで、ホログラフィの角度多重の原理を利用した記録技術は、参照光角度のずれに対する許容誤差が極めて小さくなる傾向がある。
【0031】
従って、ピックアップ200内に、参照光角度のずれ量を検出する機構を設けて、サーボ信号生成回路383にてサーボ制御用の信号を生成し、サーボ制御回路384を介して前記ずれ量を補正するためのサーボ機構を光情報記録再生装置300内に備えることが必要となる。
【0032】
ここで、ピックアップ200、キュア系70、ディスク回転角度検出用光学系314は、いくつかの光学系構成または全ての光学系構成をひとつに纏めて簡素化しても構わない。
【0033】
図1は、本発明の第一の実施形態を示す光情報記録再生装置300(前出、図2)におけるピックアップ200の基本的な光学系構成の一例における記録原理を示したものである。レーザー光源1を出射した光ビーム100は光学系2を透過し、シャッタ部30に入射する。ここで、前記の通りシャッタ部30はメカニカルシャッタ3aと、液晶素子を用いた液晶シャッタ4aから成る。メカニカルシャッタ3a、液晶シャッタ4aは光ビーム100に対して遮光、透過が可能なように後述のアクチュエータによってX方向に動くことが可能な構造となっている。また液晶シャッタ4aの後方にはプリズム5が配置される。液晶シャッタ4aが液晶ON/OFF制御回路4CによりON状態になった際(図1の状態はOFF時)、前記プリズム5との組み合わせによりビーム光を遮断する機能を有している。
【0034】
プリズム5を通る光ビーム100は、直進して後述PBSプリズムに向かう光と、前記プリズム5にて略直角方向に折り曲げられる光121に分岐され、センサ122により、前記シャッタ部30が所定の動作を行っているか否かを検出する。このセンサ122は、シャッタ部の動作を検出可能なセンサであればよく、種類、構造、検出方法は特に限定されない。一例としては、一般的な受光素子、光検出器、フロントモニタ、などが考えられる。
【0035】
ここで図1の状態、つまりメカニカルシャッタ3aがOpen、つまりシャッタOFF状態、さらに液晶シャッタ4aがOFF状態では、光ビーム100は前記両シャッタを通過する。つまりシャッタ30が開いている時は、光ビーム100はシャッタ30を通過し、シャッタの後方に配置されたプリズム5を通過する。その後、例えば2分の1波長板などで構成される図示しない光学素子等によってp偏光とs偏光の光量比が所望の比になるようになど偏光方向が制御された後、PBS(Polarization Beam Splitter)プリズム6に入射する。
【0036】
ここで、本実施例におけるシャッタ部30について詳説する。シャッタ30部は、機械式に往復運動、回転運動、開閉動作等の少なくともひとつ以上の動作をするメカニカルシャッタ3aと、該メカニカルシャッタ3aを駆動し、レーザー光源1より照射された光ビーム100を遮断、もしくは通過させるためのアクチュエータ3b、該アクチュエータ3bを制御するシャッタ制御回路387、また、液晶素子を用い、光ビームの透過、遮断を行う液晶シャッタ4a、液晶シャッタ4a自身をON/OFF制御する液晶ON/OFF制御回路4c、該液晶ON/OFF制御回路4cを制御するシャッタ制御回路387、さらに該液晶シャッタ4aをビーム光100の光路から(機械的に)退避させるための液晶シャッタ移動用アクチュエータ4bと、該アクチュエータ4bを制御するシャッタ制御回路387から構成される。なお、簡便のため、アクチュエータ3b、アクチュエータ4b、液晶ON/OFF制御回路4cの制御はシャッタ制御回路387にて行われる旨述べたが、もちろん、これらの制御は別々の回路を用いて行われても構わない。
【0037】
これらの構成により前記の通りメカニカルシャッタ3a、液晶シャッタ4aは光ビーム100に対して遮光、透過が可能なようにX方向に動くことが可能である。
【0038】
なお、本発明において、メカニカルシャッタ3aと液晶シャッタ4aの配置順はこれに限られず、逆の順番であってもよい。ただし、メカニカルシャッタ3aが液晶シャッタ4aよりもレーザー光源側に配置されている方が、レーザー光源による“液晶焼け”の影響が減少し液晶シャッタの高寿命化の観点からも望ましい。
【0039】
またここで、シャッタ制御回路387は前述図2で説明したものと同様なものである。
【0040】
また、メカニカルシャッタ3aと液晶シャッタ4aの動作パターンについての詳細は後述する。
【0041】
PBSプリズム6によって信号光101と参照光111に分岐される。次にPBSプリズム6を透過した光ビームは、信号光101として働き、光学系11、例えば図示しないビームエキスパンダによって光ビーム径が拡大された後、位相マスク、リレーレンズを経て、PBSプリズム12、13を透過してSLM15に入射する。
【0042】
SLM15によって情報が付加された信号光は、(PBS)プリズム13を反射し、例えばミラー16を経由し光路を調整しつつ、光学系17を通過する。ここで光学系17には一例として図示しないリレーレンズならびに空間フィルタ314が含まれた構成となっている。その後、信号光101は対物レンズ18によってディスク50に集光する。
【0043】
一方、PBSプリズム6を反射した光ビームは参照光111として働き、ミラー20により方向を変化させた後、図示しない偏光方向変換素子等からなる光学系21を透過することで記録時または再生時に応じて所定の偏光方向に設定された後、ミラー22を経由してガルバノミラー25に入射する。ガルバノミラー23は図示しないアクチュエータによって角度を調整可能のため、光学系24を通過した後にディスク1に入射する参照光の入射角度を、所望の角度に設定することができる。なお、参照光の入射角度を設定するために、ガルバノミラーに代えて、参照光の波面を変換する素子を用いても構わない。
【0044】
このように信号光と参照光とをディスク50において、互いに重ね合うように入射させることで、記録媒体であるディスク50内には干渉縞パターンが形成され、このパターンを記録媒体に書き込むことで情報を記録する。また、ガルバノミラー23によってディスク50に入射する参照光の入射角度を変化させることができるため、角度多重による記録が可能となる。
【0045】
以降、同じ領域に参照光角度を変えて記録されたホログラムにおいて、1つ1つの参照光角度に対応したホログラムをページと呼び、同領域に角度多重されたページの集合をブックと呼ぶことにする。
【0046】
図3は、光情報記録再生装置300におけるピックアップ200の基本的な光学系構成の一例における再生原理を示したものである。記録した情報を再生する場合は、前述したように参照光をディスク50に入射し、ディスク50を透過した光ビームを、図示しないアクチュエータによって角度調整可能なガルバノミラー25にて反射させることで、その再生用参照光を生成する。
【0047】
この再生用参照光によって再生された再生光は、対物レンズ18、図示しないリレーレンズならびに空間フィルタ等からなる光学系17を伝播する。その後、再生光は(PBS)プリズム13を透過して光検出器(以下、カメラと記す)14に入射し、記録した信号を再生することができる。カメラ14としては例えばCMOSイメージセンサーやCCDイメージセンサーなどの撮像素子を用いることができるが、ページデータを再生可能であれば、どのような素子であっても構わない。
【0048】
以降、前述のメカニカルシャッタと液晶シャッタの動作モードについて図4図10を用いて詳説する。
【0049】
図4は説明のため、図1図3に示す破線で囲まれたシャッタ30部を抜き出した図あり、本図4では再生モード時としてメカニカルシャッタ3a、液晶シャッタ4a共に光ビーム100を遮らないようにそれぞれメカニカルシャッタ退避用アクチュエータ3b、液晶シャッタ移動用アクチュエータ4bにより退避している状態を示す。また本図4では、液晶シャッタ4a自身もON/OFF制御回路により,OFF状態になってることを示している(前掲図3の状態)。
【0050】
図5(a)は、メカニカルシャッタON、液晶シャッタが光ビームの光路に対して挿入、液晶シャッタがOFF状態を示している。結果として、光ビーム100は遮断状態となる。
【0051】
図5(b)は、メカニカルシャッタON、液晶シャッタが光ビームの光路に対して退避、液晶シャッタがOFF状態を示している。結果として、光ビーム100は遮断状態となる。
【0052】
このように、メカニカルシャッタは液晶シャッタより光ビームの発光元側にある(図示しないレーザー光源側にある)ため、メカニカルシャッタ3aがON状態、つまり光ビームの光路を遮断するように動作した場合、液晶シャッタの動作モードに依らず光ビームの遮断をすることができる。
【0053】
また本図5(a),(b)では液晶シャッタはOFF状態であるが、光ビームの遮断には関与していないのでON状態に遷移していても構わない。
【0054】
また、液晶シャッタ4aが光ビームの光路に対して挿入状態で、メカニカルシャッタ3aが光ビームの光路から退避した状態を考えると、常時液晶シャッタ4aには、そのON/OFF状態に関わらず、光ビームが照射されることになり、光ビームが特に高出力レーザーからの出射光である場合、液晶シャッタの液晶素子を傷めてしまう可能性がある。そのため例えば再生時には、不要に長時間に亘って液晶シャッタに光ビームを当てないためにも液晶シャッタを光ビームから退避させる本構造が有効となる。
【0055】
図6図7は、シャッタ30の別なモードについての説明図である。ここでは一例として、記録モード時の状態を示している。
【0056】
メカニカルシャッタ3aは退避、つまりOFF状態、また、光ビーム100をディスクまで透過させる必要があるため液晶シャッタは光ビームの光路に対して挿入、さらに情報の記録中のため液晶シャッタもOFF状態を示している。
【0057】
一方、図7では記録モード時ではあるがディスクに情報を記録してはいけないページ移動中、もしくはブック移動中の様子を示している。メカニカルシャッタ3aは前図6同様にOFF状態であるが、記録情報のページ移動、もしくはブック移動中で記録を一旦中断している場合なので、ON/OFFの応答性の高速な液晶シャッタを光路に対して挿入し、さらに液晶シャッタをON状態にしている様子を示している。特にページ移動は情報の高速記録を実現するため、例えばμ(マイクロ)秒単位の高速で行われるため、イナーシャを持つメカニカルシャッタでは、高速なシャッタ動作に追従できす、さらに高速化に伴う不要な振動がメカニカルシャッタに生じ、情報の高速記録の足かせとなっていた。
【0058】
さらに、光情報記録再生装置の場合、再生、記録モード以外にも、
(1)電源を投入しレーザー安定化のため装置自体をON状態にしているモード、
(2)前記(1)でレーザー安定化後に記録または再生待ちとなるスタンバイモード、
(3)装置にディスクをローディング、もしくはアンローディングしているモード、
(4)ディスクをキュアしているモード、
等があり、前記(1)〜(4)のモードでは、ディスクに照射する不要な光ビームを遮断しなければならない。
【0059】
ここで、光情報記録再生装置の各種モードに対する望ましいシャッタの状態を整理し一例として図8図10に示す。
【0060】
図8は上記(1)〜(4)の装置状態でのメカニカルシャッタおよび液晶シャッタの状態を纏めた図、図9は記録時のメカニカルシャッタおよび液晶シャッタの状態を纏めた図、図10は再生時のメカニカルシャッタおよび液晶シャッタの状態を纏めた図、である。
【0061】
ここで、前述図5(a)、図5(b)では、液晶シャッタ4aはOFF状態の図を示しているが、これは、メカニカルシャッタ3aがON状態なので、液晶シャッタ4aはON状態でもOFF状態でも、また、液晶シャッタ4aが挿入または退避されてい状態であっても、光ビームの遮断という観点からはどちらでも構わない。そこで、制御性、消費電力が少ない、液晶素子の発熱状態、等を鑑みて装置としてON/OFFまたは、挿入または退避の何れの状態か適切な方を選択すれば良い。 なお、電源投入の際、スタンバイ時、ローディング時は、液晶シャッタは退避させておいても良い。これにより、次の動作が再生処理の場合、次に行う再生動作を迅速に開始することができる。
【0062】
また、キュアを行う際は、とりわけ、プリキュアを行う際は、液晶シャッタは光路に挿入されておいてもよい。これにより、次に行う記録動作を迅速に開始することが可能となる。
【0063】
以上、メカニカルシャッタと液晶シャッタを組み合わせて配置することにより、高い安定性、信頼性、長寿命を実現するメカニカルシャッタの特徴と、高速な液晶素子のON/OFF動作が可能な液晶シャッタと、お互いの特徴を活かすことで、光情報記録再生装置としても、高い安定性、信頼性、長寿命、さらに高速記録の対応を可能とする。
【0064】
ここで、本実施例によるメカニカルシャッタと液晶シャッタの動作フローを図19を用いて説明する。
【0065】
図19は、ホログラフィを利用した光情報記録再生装置300における記録、再生の動作フローを示したものである。
【0066】
図19(a)は、光情報記録再生装置300に光情報記録媒体であるディスク50を挿入した後、記録または再生の準備が完了するまでの動作フローを示し、図19(b)は準備完了状態から光情報記録媒体1に情報を記録するまでの動作フロー、図19(c)は準備完了状態からディスク50に記録した情報を再生するまでの動作フローを示したものである。
また図19(d)に、図19(a)に示すシャッタモード設定601部の詳細フローを示す。
【0067】
図19(a)に示すようにディスク50を挿入すると光情報記録再生装置300の処理が開始する(600)、まずディスク50がどのようなディスクかを判別するため、ディスク信号読み取りモード、つまり再生モードに入るため、シャッタ30は、前記図10に示した状態が選択され(601)、光情報記録再生装置300は、例えば挿入されたディスク状媒体がホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する媒体であるかどうかディスク判別を行う(602)。
【0068】
ディスク判別の結果、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生に対応するであると判断されると、光情報記録再生装置300はディスク50に設けられたコントロールデータを読み出し(603)、例えばディスク50に関する情報や、例えば記録や再生時における各種設定条件に関する情報を取得する。
【0069】
コントロールデータの読み出し後は、コントロールデータに応じた各種調整やピックアップ200に関わる学習処理(604)を行い、さらにシャッタ30におけるメカニカルシャッタ3a、および液晶シャッタ4aは前述図10に示す再生時のシャッタ動作パターンを決定し(605)ながら、再生モードおよび/または記録モードで学習処理を続ける。学習処理(604)が終了すると、光情報記録再生装置300は、記録または再生の準備を完了する(606)。
【0070】
準備完了状態から情報を記録するまでの動作フローは図19(b)に示すように、まず、シャッタ30の設定を前記図9に示す記録時モードにし(611)、記録するデータを受信して(612)、該データに応じた情報をピックアップ200内の空間光変調器(SLM)15に送る。
【0071】
その後、光情報記録媒体に高品質の情報を記録できるように、必要に応じて例えばレーザー光源1のパワー最適化やシャッタ30による露光時間の最適化等の各種記録用学習処理を事前に行う(613)。
【0072】
その後、シーク動作(614)ではアクセス制御回路381を制御して、ピックアップ200ならびにキュア系70の位置に対し、ディスク50を所定の位置に位置づけする。このシーク動作時のシャッタモードは通常、再生時モードと同様な設定が一般的である。ディスク50がアドレス情報(CDやDVDで言うTOC(Table Of Contents))を持つ場合には、アドレス情報を再生し、目的の位置に位置づけされているか確認し、目的の位置に配置されていなければ、所定の位置とのずれ量を算出し、再度位置づけする動作を繰り返す。
【0073】
一方、ディスク50がTOC情報を持ち、シーク動作時の最初にディスク上のTOC情報を読み込み、所定位置までピックアップ200ならびにキュア系70の位置に対し、ディスク50を所定の位置に近づける間(粗調整時)については、シャッタはON状態であっても構わない。
【0074】
その後、キュア系70から出射する光ビーム70aを用いて所定の領域をプリキュアするため(616)に、事前にシャッタ30はシャッタモードを図8に示すキュアモードに設定する(615)。プリキュア(616)を行った後は、シャッタ30はシャッタモードを図9に示す記録モードに設定する(617)。そして、ピックアップ200から出射する信号光101と参照光111を用いてデータを記録する(6168)。
【0075】
データを記録した後は、再びシャッタモードを図8に示すキュアモードに設定し(619)、キュア系70から出射する光ビーム70aを用いてポストキュアを行う(620)。ここで必要に応じてデータをベリファイしても構わない。
【0076】
準備完了状態から記録された情報を再生するまでの動作フローは図19(c)に示すように、まずシーク動作(632)用にシャッタモードを設定する(631)。ここでシーク動作(632)用のシャッタモードは、一般的には図10に示す再生時モードと同様である。シーク動作(632)では、アクセス制御回路381を制御して、ピックアップ200ならびに前述21、24の光学系を含んだ再生用参照光光学系の所定の位置にディスク50を位置づけする。ディスク50がアドレス情報を持つ場合には、アドレス情報を再生し、目的の位置に位置づけされているか確認し、目的の位置に配置されていなければ、所定の位置とのずれ量を算出し、再度位置づけする動作を繰り返す。
【0077】
その後、ピックアップ11から参照光を出射し、光情報記録媒体に記録された情報を読み出し(633)、再生データを送信する(634)。
【0078】
次に、光情報記録再生装置300の電源投入後、記録または再生開始までの動作フローを図19(d)を用いて説明する。
【0079】
装置の電源が投入された後(640)、シャッタ30はシャッタモードは図8に示す電源投入時モードに設定する(641)。本実施例による光情報記録再生装置では、装置電源ONによりレーザー光源からの光ビームが出射させる際、例えば図示しないレーザー光源部分の光モニタにより、光ビームの波長やパワーをモニタし、記録および再生に必要とされる波長やパワーが安定した後(642のYes時)、シャッターモードの設定を前記図10に示す再生時モードへと遷移させる。これは、光ビームのパワーや波長が不安定な状態で、ディスク50に光ビームを照射させると、正確な信号情報の情報のやりとりが行えないためである。
【0080】
なお、波長やパワーが安定とは、例えば、レーザーの波長やパワーが所定の誤差の範囲内となる場合と設定してもよい。または、光ビームの波長やパワーをモニタするのでは無く、装置電源ONまたはレーザー光源がONしてから所定時間が経過した場合に波長やパワーが安定したと判別する構成であっても構わない。
【0081】
また、図19(d)のような構成により、レーザーの波長やパワーが安定化するまでに多くの時間を要する装置において、液晶素子等の寿命を延ばすことが可能となる。
【0082】
次に、ホログラムのページ間移動中のシャッタ動作について記載する。ホログラムを用いた光情報記録再生装置では、例えば、各ページに対応した一つ、もしくは複数の参照光角度を予め計算、もしくはテーブルにデータとして持っている。この参照光角度データ、およびテーブルは例えばコントローラ389、サーボ信号生成回路383、乃至サーボ制御回路384に備えられている。本実施の形態では特にデータ記録時、シャッタはメカニカルシャッタが退避状態で、液晶シャッタのみをON/OFF駆動させている。その場合、ある一定の参照光角度で設定された前記図1に示すガルバノミラー23の角度が定まった後に液晶シャッタがOFFとなり信号光101と参照光111がディスク50に照射され干渉が起こることでひとつのホログラムのページが形成される。引き続き次のページのホログラムを形成する時は、液晶シャッタがON、つまり光ビームが射光された状態になった後にガルバノミラー23が次の角度位置まで角度を変化させ、その角度が定まった時に、再び液晶シャッタがOFF、つまり信号光101と参照光111がディスク50に照射され、引き続き新たなホログラムのページが形成される。これを繰り返し、予め設定された複数ページのホログラムの形成を行う。
【0083】
図20のフローを用いて説明する。図20は前記図19(b)において、シャッタモード設定(記録モード)(617)及び、データ記録(618)を詳説したものである。
【0084】
プリキュア(616)の処理、つまりディスク記録部分の活性化が図られた後、シャッタモード設定(記録モード)(617)として、記録準備に向けて改めて慣性の大きなメカニカルシャッタ3aが退避(617(a))し、液晶シャッタが閉じられる(ON状態)(617(b))。引き続き、データ記録(618)として、ディスク上でデータを記録する所定の位置(ブック位置)に信号光101、参照光111が照射されるようにディスクを回転させるモータ60の位置を正確に移動させる(618(a))。次にディスク50上にホログラムを形成するページ位置に対応すべく、参照光角度を制御すべくガルバノミラー22制御用の角度データの読込みが行われ(618(b))、ガルバノミラー2の角度設定、つまりページ設定が行われる(618(c))。例えば、参照光がディスクに入射する角度は第1の角度にが設定される。
【0085】
引き続き、液晶シャッター4aをOFFにし(618(d))、光ビームを透過することでディスク上にホログラムを形成する(618(e))。ひとつのページデータの記録が終了すると、液晶シャッタがON状態つまり遮光状態に遷移し、次のページ記録の要否(618(g))の判定を行う。ここで、次のページに対応する参照光の入射角度は第1の角度とは異なる第2の参照光角度となる。そして、記録ブックの確認を行い(618(h))、ポストキュア処理を行なう(619)。そして終了する(620)。
【0086】
このように、図20のようなフローに従えば、高速に記録動作を行うことが出来るとともに、液晶素子の高寿命化を図ることが出来る。
【0087】
ここで、本第1の実施の形態では、メカニカルシャッタと組み合わせて配置するシャッタを電子デバイスである液晶素子、つまり液晶シャッタを用いる例について記述しているが、本発明の適用は液晶素子に限られず、例えば電子ペーパー、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)を用いたシャッタを組み合わせても構わない。このことは以下の実施例においても同等である。
【0088】
以上本実施例によれば、寿命が長く信頼性・安定性の高いシャッターユニットを有する光情報記録光情報再生装置提供することが出来る。
【0089】
また、シャッタ30部はレーザー光源と信号光と参照光を分岐するプリズムの間に配置されているため、信号光101、参照光111を纏めて射光または通過させることができるため、不要な時に信号光101または参照光111がディスク50に照射され、ディスクが不用意に反応することも防ぐことが可能である。
【実施例2】
【0090】
引き続き第2の実施の形態について図11(a),(b)、図12(a),(b)を用いて説明する。
【0091】
図11(a),(b)、図12(a),(b)は前述までのメカニカルシャッタ部分を、別の形態に置き換えた図を示している。ここで図11(a)、図12(a)は、本第2の実施形態のメカニカルシャッタを光ビーム照射側から見た図であり、一方、図11(b)、図12(b)は同じく光ビーム照射方向に対して略直交方向から見た図、である。
【0092】
100は図示しないレーザー光源から出射される光ビーム、151はメカニカルシャッタ、150はメカニカルシャッタを駆動するための回転、もしくは回動式のアクチュエータ、150aは前記回転、もしくは回動式のアクチュエータの回転もしくは回動軸であり、この軸150aでメカニカルシャッタ151と一体固定されている。
【0093】
図11(a),(b)はメカニカルシャッタ151により、光ビーム100が遮断、つまりメカニカルシャッタがON状態の図であり、図12(a),(b)はアクチュエータ150の回転もしくは回動軸150aが矢印B方向に移動した図を示している。この時、メカニカルシャッタはOFF状態で、光ビーム100はメカニカルシャッタ151に遮られることなく進行する。
【0094】
以降の光ビーム100の進行については、前述第1の実施の形態と同様であり、前述図8図10の装置モードの遷移によるメカニカルシャッタ、液晶シャッタも同様な組み合わせ動作が可能であり、本第2の実施形態においても、前述第1の実施の形態同様の効果を実現することが可能である。
【0095】
本第2の実施形態では、前記第1の実施形態に比べ光ビームの厚み方向に装置を薄くできる、また、メカニカルシャッタ駆動用アクチェータと液晶シャッタ移動用アクチェータを兼用することができるため、装置の薄型化、部品点数削減による低コスト化の効果もある。
【実施例3】
【0096】
引き続き第3の実施の形態について図13(a),(b)、図14(a),(b)、図15(a),(b)、図16(a),(b)、図17(a),(b)を用いて説明する。
【0097】
ここで、3cは液晶素子から成る液晶シャッタ、3dは遮光板等から成るメカニカルシャッタ、であり、液晶シャッタ3cとメカニカルシャッタ3dは構造的に一体構造となっており、光ビーム100に対し、略直交した配置構成となっている。また3eは液晶シャッタ3cとメカニカルシャッタ3dの一体構成させたユニットを光ビーム100に対し、同図中X方向に退避もしくは挿入するためのメカニカルシャッタ/液晶シャッタ切替用のアクチュエータ、である。
【0098】
図13(a),(b)は示した光情報記録再生装置のモードが前述図9に示した記録時のモードに相当する。図13(a)は通常記録時でメカニカルシャッタOFFで液晶シャッタは光ビームの光路に対して挿入され、さらに液晶シャッタはOFFの状態を、図13(b)はページ移動時またはブック移動時の場合でメカニカルシャッタOFF、さらに液晶シャッタはON状態、をそれぞれ示している。
【0099】
図14(a),(b)は示した光情報記録再生装置のモードが前述図8に示した装置の各モード(電源投入時、あるいはスタンバイ、ディスクローディング、キュア時)に相当する。図14(a)は図8のそれぞれのモードでメカニカルシャッタ3dがONで、光ビーム100の光路に対して挿入された状態、加えて液晶シャッタ3cはOFFの状態を示し、図14(b)は同じく図8のそれぞれのモードでメカニカルシャッタ3dがONで液晶シャッタ3cのON状態、をそれぞれ示している。
【0100】
図14(b)では、前記第1の実施の形態同様、液晶シャッタ3cはON状態でもOFF状態でも光ビームの遮断という観点からはどちらでも構わないが、制御性、消費電力が少ない、液晶素子の発熱状態、等を鑑みて装置としてON/OFF何れの状態か適切な方を選択すれば良い。
【0101】
図15(a),(b)は、液晶シャッタ3c、メカニカルシャッタ3d共にメカニカルシャッタ/液晶シャッタ切替用のアクチュエータ3eにより光ビーム100から退避している様子を示しており、これは前出、図10の再生モード時の様子を示している。
【0102】
図16(a),(b)、図17(a),(b)は、それぞれ前述図14(a),(b)、図13(a),(b)において、メカニカルシャッタ、および液晶シャッタの位置をお互いに入れ替えた構成であり、それぞれの使用される装置のモードは前述図14(すなわち図8)、図13(すなわち図9)の場合と同様であるのでここでの説明は省略する。
【0103】
また本図13図14ではメカニカルシャッタ、液晶シャッタは往復式のメカニカルシャッタ/液晶シャッタ切替用アクチュエータによってスライド式に移動する構造について示しているが、これに限られず、円盤状の板の一部に液晶シャッタを組み込み、同じく液晶シャッタと同心円上に光ビームを
透過する穴、を設けた構造とし、その円盤の中心軸を回転させる構造としても、同様な効果を得ることが可能である。この形態の概略図を図18に示す。図18において、180は円盤シャッタ、181は図示しない回転式、もしくは回動式のアクチュエータの回転軸(回動軸)、182は液晶シャッタ、183は前記円盤シャッタ上に設けられた貫通穴、100は光ビーム、を示している。本図18では光ビーム100は、貫通穴182を通り、以降図示しない信号光、および/または参照光に分岐される。
【0104】
この円盤シャッタ180の回転(回動)制御、液晶シャッタ182のON/OFF制御をこれまで述べた装置各モードに対応するように制御すれば、前述第1乃至第3の実施の形態同様の効果を得ることが可能となる。
【0105】
以上の構成により、高信頼性、高安定性、さらには高速駆動が可能なシャッタユニットを実現することができ、ひいては光情報記録再生装置としても高信頼性、高安定性、高速情報記録の実現化を図ることが可能となる。
【0106】
ここで本第3の実施の形態では、前記第1の実施形態、前記第2の実施形態と比較し、構造が簡素化できるため低コスト化が可能、メンテナンスも容易であるという効果がある。
【実施例4】
【0107】
引き続き、第4の実施の形態について説明する。図21は、実施例4に対応するピックアップ200の光学系構成を示す図であり、図1とは、メカニカルシャッタ3aとメカニカルシャッタ3aを駆動するアクチュエータ3bが無い点で異なる。つまり、シャッタユニットは、メカニカルシャッタを含まないで液晶シャッタを有する。光学系上の相違点について、この点以外は図1と同様であるため説明を省略する。
【0108】
図22は記録時の液晶シャッタの状態を纏めた図、図23は再生時の液晶シャッタの状態を纏めた図、である。記録の際は、液晶シャッタは光路に挿入されている。再生の際は、液晶シャッタはアクチュエータ4bが移動させることにより光路から退避している。
【0109】
図24に記録の際のフローの一例を示す。処理が開始すると(2401)、液晶シャッタをON状態にして(2402)、プリキュア(2403)を行う。次に、光情報記録媒体上でデータを記録する目標のブック位置に信号光101、参照光111が照射されるように、光情報記録媒体50上を回転させるモータ60の位置を移動させる(2404)。なお、当該目標の位置は2403でプリキュアを行なった領域となる。
【0110】
次に光情報記録媒体50上にページデータを記録するために、参照光角度を制御すべくガルバノミラー22の制御用の角度データの読込みが行われる(2405)。そして、ガルバノミラー2の角度設定、つまりページ設定が行われる(2406)。例えば、参照光がディスクに入射する角度は第1の角度にが設定される。
【0111】
引き続き、液晶シャッター4aをOFFにし(2407)、光ビームを透過させること光情報記録媒体上にデータを形成する(2408)。ひとつのページデータの記録が終了すると、液晶シャッタがON状態つまり遮光状態に遷移し(2409)、次のページ記録の要否の判定を行う(2410)。ここで、次のページに対応する参照光の入射角度は第1の角度とは異なる第2の参照光角度となる。そして、記録ブックの確認を行い(2411)、ポストキュア処理(2412)が行われる。そして、処理が終了する(2413)。
【0112】
以上本実施例によれば、液晶シャッタを光路から退避させることにより、液晶シャッタの高寿命化が図れるとともに、高速に記録をすることが可能となる。また、実施例1に比べ装置の小型化が図れる。
【0113】
また、これまで説明した前記第1から第4の実施の形態ではホログラフィを用いた光情報記録再生装置として、一例として角度多重記録および/または再生方式を用いた光情報記録再生装置に適用した場合に付いて記述したきたが、本発明の適用範囲はこれに限られず、例えばモノキュラー光学系を用いた光情報記録再生装置、コリニア方式も含むシフト多重記録方式を用いた光情報記録再生装置、信号光と参照光を記録媒体であるディスクに対し対向して照射するマイクロホログラム方式を用いた光情報記録再生装置、に適用することも可能である。
【0114】
また、本発明による第1から第4の実施の形態では、メカニカルシャッタと液晶シャッタは、信号光と参照光に分岐される前段階の位置に配置した例について記述したが、例えば、光検出器(カメラ)の前側に配置し、光検出器(カメラ)用のシャッタとして機能させる光情報記録再生装置としても構わない。
【0115】
また、本発明による第1から第4の実施の形態では、メカニカルシャッタと液晶シャッタは、信号光と参照光に分岐される前段階の位置に配置した例について記述したが、図1に示す光学系2よりレーザー光源寄りに配置しても構わないので、レーザー光源と、メカニカルシャッタと液晶シャッタからなるシャッタユニットを包含し、ひとつに纏めたレーザーユニットとした構成であっても構わない。
【0116】
また本実施の形態では、本発明のシャッタ機能を光情報記録およびまたは記録再生装置に適用した場合について述べたが、適用の範囲はこれに限定されるものではなく、高速、高信頼性、高安定性の求められるデジタルカメラ等のシャッタ構成や、レーザー光源を用いた工作機械や露光装置等にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0117】
1…レーザー光源、2、11、17、21、24…光学系、
3…シャッタ部
3a…メカニカルシャッタ、3b…メカニカルシャッタ駆動用アクチュエータ、
4a…液晶シャッタ、4b…液晶シャッタ移動用アクチュエータ、
4c…液晶ON/OFF制御回路、
5、6…プリズム、
14・・・光検出器(カメラ)、
15・・・空間光変調器(SLM)、
50…光情報記録媒体(ディスク)、60…ディスクモータ、70…キュア系
100光ビーム、101…信号光、111…参照光
150…メカニカルシャッタ駆動用アクチュエータ、
150a…メカニカルシャッタ駆動用アクチュエータ150の駆動軸
151…メカニカルシャッタ
180…円盤シャッタ
182…液晶シャッタ
183…貫通穴
200…ピックアップ
300…光情報記録再生装置、
図1
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図6
図7
図8
図9
図10
図11(a)】
図11(b)】
図12(a)】
図12(b)】
図13(a)】
図13(b)】
図14(a)】
図14(b)】
図15(a)】
図15(b)】
図16(a)】
図16(b)】
図17(a)】
図17(b)】
図18
図19(a)】
図19(b)】
図19(c)】
図19(d)】
図20
図21
図22
図23
図24