特許第6134767号(P6134767)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134767
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】ウエハー及び薄膜温度の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20170515BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20170515BHJP
   G01J 5/00 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   H01L21/205
   C23C16/52
   G01J5/00 101C
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-214190(P2015-214190)
(22)【出願日】2015年10月30日
(65)【公開番号】特開2016-100601(P2016-100601A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2015年11月2日
(31)【優先権主張番号】103140562
(32)【優先日】2014年11月21日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504210994
【氏名又は名称】漢民科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼中遠
(72)【発明者】
【氏名】鍾歩青
【審査官】 正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−059497(JP,A)
【文献】 特開2006−093315(JP,A)
【文献】 特開2010−100914(JP,A)
【文献】 特開2003−282461(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0343426(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0055351(US,A1)
【文献】 特表2015−522953(JP,A)
【文献】 特開2008−270589(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0183613(US,A1)
【文献】 特開2004−063670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/52
G01J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸の周りを回転するサセプタと、
前記サセプタに位置し、第一表面と、該第一表面と反対側にある第二表面とを有するウエハーを各々載置させて自転を行う複数のウエハー載置器と、
プロセスガスであって、前記ウエハーの第一表面に近接し、加熱によって前記プロセスガスの反応物が反応して薄膜が形成されて前記第一表面上で成長するプロセスガスと、
正面と、該正面と反対側にある背面とを有し、前記ウエハーの第二表面に設置され、前記正面が前記ウエハーの第二表面と対向して、前記ウエハーの加熱に使用される等温平板と、
前記ウエハーの第二表面側に設置され、前記等温平板の背面の温度を獲得し、且つ前記背面の温度により前記ウエハーのウエハー温度を推測する1つ或いは複数の温度測定器と、を備え
前記ウエハー側温度は、前記ウエハーの前記第一表面の温度、前記等温平板の前記正面の温度、または前記薄膜の表面温度であり、
獲得した前記等温平板の背面の温度に、前記1つ或いは複数の温度測定器の設定温度と前記ウエハー側温度との温度差ΔTを加えた値を、前記1つ或いは複数の温度測定器の設定温度として用い、
前記1つ或いは複数の温度測定器の設定温度に対し、前記ΔTが0になるまでフィードバック制御が続けられることを特徴とする、
化学気相成長のウエハー及び薄膜温度の制御システム。
【請求項2】
前記第一表面側に設置され、前記ウエハーの前記ウエハー温度を測定するための1つ或いは複数のウエハー温度測定器をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の化学気相成長のウエハー及び薄膜温度の制御システム。
【請求項3】
前記1つ或いは複数の温度測定器は3つの遠赤外線温度測定器であり、前記等温平板の前記ウエハーに対向する内部、中央部、及び外側の背面の温度の測定にそれぞれ使用され、前記等温平板の背面の温度が、前記内部、中央部、及び外側の背面の温度のサンプリングにより推測されることを特徴とする、請求項1に記載の化学気相成長のウエハー及び薄膜温度の制御システム。
【請求項4】
サセプタを提供し、軸の周りを回転させ、前記サセプタはウエハーをそれぞれ載置させると共に自転を行う複数のウエハー載置器を備える工程と、
記ウエハー第一表面に近接するプロセスガスを提供し、加熱反応により前記プロセスガスの反応物が反応して薄膜が形成されて前記第一表面上で成長する工程と、
正面と該正面と反対側にある背面とを有し、前記正面が前記ウエハーの前記第一表面と反対側にある第二表面と対向するように等温平板を提供する工程と、
前記第二表面に近接される一側に1つ或いは複数の温度測定器を提供し、前記等温平板の前記背面の温度を獲得する工程と、
前記背面の温度により前記ウエハーのウエハー温度を推測する工程と、を含み、
前記ウエハー側温度は、前記ウエハーの前記第一表面の温度、前記等温平板の前記正面の温度、または前記薄膜の表面温度であり、
獲得した前記等温平板の背面の温度に、前記1つ或いは複数の温度測定器の設定温度と前記ウエハー側温度との温度差ΔTを加えた値を、前記1つ或いは複数の温度測定器の設定温度として用い、
前記1つ或いは複数の温度測定器の設定温度に対し、前記ΔTが0になるまでフィードバック制御が続けられることを特徴とする、
化学気相成長のウエハー及び薄膜温度の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学気相成長システム及びそのウエハー、並びに薄膜温度の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属有機化学気相成長(Metal−Organic Chemical Vapor Deposition、MOCVD)の原理は、キャリアガス(carrier gas)が気相反応物を運ぶか、或いは前駆物質をウエハーが装設されるキャビティ中に進入させて、ウエハーの下方のサセプタ(susceptor)が特定の加熱方式によりウエハー及びウエハーに近接するガスを加熱させて温度を上昇させ、高温により単一或いは複数のガス間の化学反応式を励起させ、通常は気体の反応物が固体の生成物に変換され、ウエハーの表面上で成長させる。
【0003】
金属有機化学気相成長のプロセスにおいては、ウエハー側の温度制御は工程の歩留りに影響を与える重要な要素である。例えば、特許文献1に記載されている窒化ガリウム形成システムの温度制御は、二重波長非接触式温度測定器70を採用してウエハーのサセプタの温度及びウエハーの表面温度の測定を行い、且つ特定の波長の熱放射信号或いは偏移を吸収する装置80によりエピタキシ過程中の薄膜の温度の測定を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】アメリカ特許出願公開第US2013/0343426号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、測定する温度区域はプロセス区域であり、ウエハーの表面は塵がエピタキシ過程中に表面に付着すると、熱放射信号が塵の影響を受けて光信号が弱まり、温度読取値が実際の温度より低くなってしまう。この温度のエラーにより制御のフィードバックが行われると、設定された制御される目標温度が本来予期された実際の温度より高くなってしまう。
このため、プロセスの歩留りに影響するほか、システムの加熱温度が高くなり過ぎ、キャビティ内部の各部材の許容可能な温度を超えると、反応炉内の部材の耐用年数に被害を与える。
【0006】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に到った。
【0007】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、気相成長システム及びそのウエハー、並びに薄膜温度の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、上記目的を達成するための本発明に係る化学気相成長温度制御システムは、サセプタと、複数のウエハー載置器と、プロセスガスと、等温平板と、1つ或いは複数の温度測定器とを備える。
前記サセプタが軸の周りを回転させる。前記複数のウエハー載置器は前記サセプタに位置され、各前記ウエハー載置器にはウエハーが載置され、自転が行われる。前記プロセスガスは前記ウエハーの第一表面に近接、加熱反応を経て薄膜が形成されて前記第一表面上で成長する。前記等温平板は正面と、該正面と反対側にある背面とを有し、前記ウエハーの第二表面に設置され、前記正面が前記ウエハーの第二表面と対向して、前記ウエハー加熱使用され。前記1つ或いは複数の温度測定器は前記第二表面側に設置され、前記等温平板の背面の温度を獲得し、させ、前記背面の温度により前記ウエハーのウエハー側温度が推測される。
【0009】
好ましい実施形態では、前記化学気相成長システムはウエハーが上に向けられる金属有機化学気相成長システムである。
【0010】
好ましい実施形態では、前記化学気相成長システムはウエハーが下に向けられる金属有機化学気相成長システムである。
【0011】
本発明の他の実施形態による化学気相成長温度制御方法は、サセプタを提供し、軸の周りを回転させ、前記サセプタはウエハーをそれぞれ載置させると共に自転を行う複数のウエハー載置器を備える工程と、前記ウエハーの第一表面に近接するプロセスガスを提供し、加熱反応により前記プロセスガスの反応物が反応して薄膜が形成されて前記第一表面上で成長する工程と、正面と該正面と反対側にある背面とを有し、前記正面が前記ウエハーの前記第一表面と反対側にある第二表面と対向するように等温平板を提供する工程と、前記第二表面側に1つ或いは複数の温度測定器を提供し、前記等温平板の前記背面の温度を獲得する工程と、前記背面の温度により前記ウエハーのウエハー側温度を推測する工程とを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ウエハー側温度の測定において、プロセスによる干渉を回避させる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の好ましい実施形態(ウエハーが下向き)による気相成長システム及び方法を示す一部ブロックの概念図である。
図2図1に示す温度制御機構及び方法を示す概念図である。
図3図1に示す他の温度制御機構及び方法を示す概念図である。
図4】本発明の他の実施形態(ウエハーが上向き)による気相成長システム及び方法を示す一部ブロックの概念図である。
図5図4に示す温度制御機構及び方法を示す概念図である。
図6図4に示す他の温度制御機構及び方法を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。なお、いつくかの実施形態において、同じないしは相似する部材の符号は同じ、相似する、ないしは類似する部材及び/或いは素子を示すが、但しいくつかの実施形態においては、異なる部材を示す。いくつかの実施形態では、方向を示す名詞の上、下、左、右、上向き、下向き、超過、上方、下方、後面、前面等は字義通り解釈するが、但し他の実施形態では字義通りに解釈しない。また、本発明の部材を分かりやすく表示するため、図中では一部の部材を省略する。明細書において、読者に本発明の理解を促すために、特定の部分を仔細に亘って図示する。然しながら、本発明ではこれらの特定の細部を一部或いは全部省略しても実施可能である。
【実施例】
【0015】
図1は本発明の好ましい実施形態による化学気相成長システム及び方法を示す一部ブロックの概念図である。本実施形態はウエハーが下に向けられる(Face Down)構造であるが、ただし同じ原理はウエハーが上に向けられる(Face Up)成長システムにも応用される。
【0016】
まず、本実施形態について図1を参照しながら説明する。
成長システム(deposition system)、例えば金属有機化学気相成長システムは、サセプタ18及びウエハー載置器16を備え、両者はそれぞれ公転及び自転を行う。図には成長システムの半分のみを示し、残りの半分は軸15の他側に対称に分布される。サセプタ駆動システム100によりサセプタ18が連動されて軸15の周りを公転させる。ウエハー載置器16にはウエハーが載置される。ウエハー載置器16の正面或いは下方の一定の距離をおく箇所には対向板13を有し、対向板13とウエハー載置器16との間にはプロセス区域11を有する。
プロセスガス12はプロセス区域11を通過させ、加熱反応を経た後に、一部の反応生成物がウエハー10の表面上で成長して薄膜が形成され、他の部分は排気区域14を通過させて排出される。このほか、ウエハー載置器16の背面にはヒーター8を有し、例えば等温平板8であり、ウエハー10の加熱に用いられる。ウエハー載置器16と等温平板8との間には(空気)間隙9を有する。
【0017】
また、等温平板8の上方(背面側)の固定の距離をおく箇所には1つ或いは複数の温度測定器20(21/22/23を含む)を有し、例えば遠赤外線温度測定器20であり、等温平板の背面(上方)の温度の測定に用いられる(図1参照)。
本実施形態では、等温平板の上方(背面側)には3つの遠赤外線温度測定器21/22/23を有し、3つのビューポート201/202/203によりそれぞれ等温平板の上方の測定、即ち、ウエハーの反対側の表面の内部区域温度301、中央部区域温度302、及び外側区域温度303の温度の測定を行う。ここで、内部、中央部、及び外側とはサセプタ18が公転する際の軸との距離を指す。
【0018】
以上の機制により、サセプタ18が1回転すると、等温平板の上方の1つ或いは複数の温度が得られ、例えば、内部区域温度301、中央部区域温度302、及び外側区域温度303が得られる。サンプリングにより各ウエハーの位置の等温平板の背面(上方の温度が得られ、且つ演算法により一点の温度、複数点の平均温度、或いは複数点の個別の温度が得られる。
【0019】
さらに、等温平板8の下方(正面側)の固定の距離をおく箇所には1つ或いは複数の温度測定器30(31/32/33を含む)を有する。これは例えば遠赤外線温度測定器30であり、「ウエハー側温度」の測定に用いられる。「ウエハー側温度」とは、例えば、ウエハーの表面上のエピタキシ薄膜の温度であり、適時監視制御されるパラメータである。ウエハー10の基板の種類及び波長測定等の要素により、遠赤外線温度測定器30により測定されたウエハー側温度に差異が生じる点について、以下に説明する。
ウエハー10の基板が温度測定器30に対して透明である場合、例えば、ウエハー10の基板がサファイア基板である場合、温度測定器30によりサファイア基板を透過させて等温平板8の下表面(正面)の温度が測定される。ウエハー10の基板が温度測定器30に対して不透明である場合、例えば、ウエハー10の基板がシリコン基板である場合、温度測定器30によりウエハー10の(下)表面の温度が測定される。
【0020】
温度測定器30が特定の波長により熱放射信号を測定し、且つエピタキシ薄膜材料が波長に対して全て吸収させる場合、ウエハー10上のエピタキシ薄膜の表面温度が測定される。例えば、本実施形態では、温度測定器30の波長の範囲は450から400nmであり、温度測定器30によりウエハー10上のエピタキシ薄膜の表面温度が測定される。
【0021】
本実施形態によると、等温平板8の下方には3つの遠赤外線温度測定器31/32/33を有し、3つのビューポート211/212/213により等温平板の下方の表面の内部区域温度311、中央部区域温度312、及び外側区域温度313がそれぞれ測定される。
以上の機制により、サセプタ18が1回転すると、等温平板の下方の1つ或いは複数の温度、例えば、内部区域温度311、中央部区域温度312、及び外側区域温度313が得られる。サンプリングにより、各ウエハーの位置の等温平板の下方の温度が得られ、且つ演算法により一点の温度、複数点の平均温度、或いは複数点の個別の温度が得られる。
【0022】
本実施形態によれば、等温平板8の下方には3つの遠赤外線温度測定器31/32/33を有し、3つのビューポート211/212/213によりウエハーの(下方)表面の内部区域温度321、中央部区域温度322、及び外側区域温度323がそれぞれ測定される。
以上の機制により、サセプタ18が1回転すると、各ウエハーの下方の1つ或いは複数の温度が得、例えば、内部区域温度321、中央部区域温度322、及び外側区域温度323が得られる。サンプリングにより各ウエハーの位置のウエハーの下方の表面温度が得られ、且つ演算法により一点の温度、複数点の平均温度、或いは複数点の個別の温度が得られる。
【0023】
内部区域ヒーター1、中央部区域ヒーター2、及び外側区域ヒーター3等の各ヒーターは熱源7、例えば、内部区域熱電対或いはヒートパイプ4、中央部区域熱電対或いはヒートパイプ5、及び外側区域熱電対或いはヒートパイプ6に接続される。
内部区域ヒーター1、中央部区域ヒーター2、及び外側区域ヒーター3は内部区域熱電対或いはヒートパイプ4、中央部区域熱電対或いはヒートパイプ5、及び外側区域熱電対或いはヒートパイプ6にそれぞれ接続され、これは温度制御システム70に接続される。温度制御システム70は内部区域熱電対PID71 (proportional−integral−derivative controller、比例積分微分制御器)、中央部区域熱電対PID72、中央部区域遠赤外線温度測定器PID73、外側区域熱電対PID74、全体熱電対PID75、及び/或いは全体遠赤外線温度測定器PID76を備える。また、1つ或いは複数の電源供應器は、例えば、内部区域電源供給装置81、中央部区域電源供給装置82、及び外側区域電源供給装置83は電流を内部区域ヒーター1、中央部区域ヒーター2、及び外側区域ヒーター3にそれぞれ提供する。
【0024】
プロセスガス12はアンモニアを含み、且つ内部区域ヒーター1、中央部区域ヒーター2、及び外側区域ヒーター3がいかなる保護膜もなく、或いは非金属材質を使用せずに製造される場合、内部区域ヒーター1、中央部区域ヒーター2、及び外側区域ヒーター3はアンモニアにより攻撃され、耐用年数が縮まる。
本実施形態では、透明遮蔽板50は内部区域ヒーター1、中央部区域ヒーター2、外側区域ヒーター3、及びサセプタ18の間に存在する。加熱すると、内部区域ヒーター1、中央部区域ヒーター2、及び外側区域ヒーター3の熱放射が透明遮蔽板50を通過させる。透明遮蔽板50はサファイア材質であり、一体式構造或いは複数片が装設されて形成され、内部区域ヒーター1、中央部区域ヒーター2、及び外側区域ヒーター3が製造工程でアンモニアに攻撃されないように保護する。
ただし、他の実施形態では、内部区域ヒーター1、中央部区域ヒーター2、及び外側区域ヒーター3の材質はアンモニアの攻撃を受けないように保護されるため、透明遮蔽板50が不要である。加熱すると、内部区域ヒーター1、中央部区域ヒーター2、及び外側区域ヒーター3が発する熱放射は透明遮蔽板50を透過させて等温平板8の上方まで伝えられ、続いて、熱が等温平板8の下方まで伝導され、間隙9を経由して加熱目標を加熱させ、ウエハー10を加熱させる。
【0025】
ヒーターは加熱目標物との距離が遠くなるほど、加熱目標物の制御が困難になり、加熱目標物はプロセスの条件の影響により温度読取値の変異が発生する。例えば、窒化ガリウム(GaN)薄膜をエピタキシャル成長させる場合、熱放射信号が窒化ガリウム薄膜の厚さの違いにより干渉現象を発生させ、温度読取値が変化してしまう。これは以下の方式により校正される。
(1)ウエハー側温度測定器30の放射率を校正させて温度を校正させる。
(2)450から400nmUVの周波帯の温度測定器を利用してGaN薄膜の表面温度を測定させる。
(3)白色光光源により異なる波長の透過率の偏移を測定させて薄膜の表面温度を獲得させる。
【0026】
然しながら、製造工程のパラメータの調整過程では、塵があったり或いは表面がプロセスで粗造されてしまうと、共にウエハーの温度読取値が影響を受ける。本発明では、等温平板8の上方の温度のフィードバック制御を行うことで、前述の欠点を回避させる。
【0027】
また、遠赤外線温度測定器20により測定された等温平板の上方の温度と、ウエハー側温度測定器30により測定された「ウエハー側温度」との間には温度差ΔTが存在する。プロセスを実行する前に、先に等温平板の上方の温度及びウエハー側温度測定器30により測定されたウエハーの温度を取得させ、続いて、反応炉の工程でパラメータをプロセスの条件まで調整させ、一定時間が経過した後に温度の校正を行う。このさい、遠赤外線温度測定器20により等温平板の上方の温度T1が得られ、ウエハー側温度測定器30によりウエハー側温度T2が得られる。
【0028】
温度の制御を行う場合、温度T1が4つのモードに分けられる。内部を例にして以下に説明する。
(1)ウエハー10が移動してビューポート201を経過させると、遠赤外線温度測定器量21により等温平板8の上方の内部区域温度301が測定され、対応されるウエハー10の等温平板8の上部の内部区域温度301が即時出力される。仮に、サセプタ18が合計11枚のウエハーを有する場合、サセプタ18が1回公転すると11枚の対応されるウエハー10の等温平板8の上方の内部区域温度301が出力される。
(2)ウエハー10が移動してビューポート201を経過させると、遠赤外線温度測定器21により等温平板8の上方の内部区域温度301が測定され、対応される各ウエハー10の等温平板8の上方の内部区域温度301の「平均温度」が即時出力される。仮に、サセプタ18が合計11枚のウエハー10を有する場合、サセプタ18が公転すると、ウエハー10がビューポート201まで移動し、前記11枚のウエハー10の等温平板8の上方の内部区域温度301の平均温度が出力される。
(3)サセプタ18が公転して移動してビューポート201を経過させると、遠赤外線温度測定器21によりサセプタ18の上表面温度が測定され、対応されるサセプタ18の上表面温度が即時出力される。
(4)サセプタ18が公転して移動してビューポート201を経過させると、遠赤外線温度測定器量21によりサセプタ18の上表面温度が測定され、対応される各位置のサセプタ18の上表面温度の平均温度が即時出力される。
本実施形態によれば、(1)のモードが採用され、等温平板8の上方の内部区域温度301、中央部区域温度302、及び外側区域温度303が即時測定される。
【0029】
T1と類似し、温度の制御を行う場合、温度T2は4つのモードに分けられる。内部を例にすると、仮に、ウエハーがウエハー側温度測定器30に対して透明(たとえば、サファイア基板)である場合、以下に説明する。
(1)ウエハー10が移動してビューポート211を経過させると、ウエハー側温度測定器31により等温平板8の下方(下表面)の内部区域温度311が測定され、対応されるウエハー10の等温平板8の下方の内部区域温度311が即時出力される。仮に、サセプタ18が合計11枚のウエハー10を有する場合、サセプタ18が1回公転すると11枚の対応されるウエハー10の等温平板8の下部の内部区域温度311が出力される。
(2)ウエハー10が移動してビューポート211を経過させると、ウエハー側温度測定器測定器31により等温平板8の下方の内部区域温度311が測定され、全てのウエハー10の等温平板8の下方の内部区域温度311の平均温度が即時出力される。仮に、サセプタ18が合計11枚のウエハーを有する場合、サセプタ18が公転するとウエハー10がビューポート211まで移動し、前記11枚のウエハー10の等温平板8の下方の内部区域温度311の平均温度が出力される。
(3)サセプタ18が公転して移動してビューポート211を経過させると、ウエハー側温度測定器31によりサセプタ18の下表面温度が測定され、対応されるサセプタ18の下表面温度が即時出力される。
(4)サセプタ18が公転して移動してビューポート211を経過させると、ウエハー側温度測定器31によりサセプタ18の下表面温度が測定され、対応される各位置のサセプタ18の下表面温度の平均温度が即時出力される。
本実施形態では、(2)のモードが採用され、等温平板8の下方の内部区域温度311の平均温度が獲得される。
【0030】
仮に、ウエハー10がウエハー側温度測定器30に対して不透明である場合、例えば、シリコン基板である場合、温度T2の4つのモードは、内部を例にして以下に説明する。
(1)ウエハー10が移動してビューポート211を経過させると、ウエハー側温度測定器31によりウエハー10の内部表面温度321が測定され、ウエハー10の内部表面温度321が即時出力される。仮に、サセプタ18が11枚のウエハーを有する場合、サセプタ18が1回公転すると、11枚の対応されるウエハー10の(ウエハー)内部表面温度321が出力される。
(2)ウエハー10が移動してビューポート211を経過させると、ウエハー側温度測定器測定器31によりウエハー10の内部表面温度321が測定され、対応される各ウエハー10の内部表面温度321の平均温度が即時出力される。仮に、サセプタ18が合計11枚のウエハーを有する場合、サセプタ18が公転してウエハー10がビューポート211まで移動すると、前記11枚の対応されるウエハー10のウエハーの内部表面温度321の平均温度が出力される。
(3)サセプタ18が公転して移動してビューポート211を経過させると、ウエハー側温度測定器31によりサセプタ18の下表面温度が測定され、対応されるサセプタ18の下表面温度が即時出力される。
(4) サセプタ18が公転して移動してビューポート211を経過させると、ウエハー側温度測定器31によりサセプタ18の下表面温度が測定され、対応される各位置のサセプタ18の下表面温度の平均温度が即時出力される。
本実施形態によると、(2)のモードが採用され、ウエハー10の下方の内部区域温度321の平均温度が獲得される。
【0031】
工程を開始させると、設定温度値SET1とウエハー側温度測定器30により測定されたウエハー側温度T2との温度差ΔTが得られる。前記温度差ΔTにより遠赤外線温度測定器20により測定された等温平板の上方の温度T1を補償させ、T1+ΔTを遠赤外線温度測定器20の設定温度とし、この設定温度を温度制御機制にフィードバックする。次に、このように反復してフィードバック制御を行い、ΔTを0に近づけ、T1+ΔT=T1とし、制御が必要なウエハー側温度測定器30により測定されたプロセスの温度を獲得させる。
内部区域ヒーター1、中央部区域ヒーター2、及び外側区域ヒーター3が低温にある場合熱源/全体熱電対或いはヒートパイプ7により制御を行い、プロセスの温度が制御されると、遠赤外線温度測定器20により測定された温度が切り換えられて全体遠赤外線温度測定器 PID76にフィードバックされて全体電源供給装置80の電力が制御されて対応される各内部区域ヒーター1、中央部区域ヒーター2、及び外側区域ヒーター3まで出力される。
【0032】
図2に示すように、上述の温度制御方法は特定の1つの遠赤外線温度測定器21/22/23を使用し、例えば、中央部区域遠赤外線温度測定器22により測定された温度が中央部区域熱電対或いはヒートパイプ5の設定温度の制御に用いられるのみならず、他の2つの内部区域熱電対或いはヒートパイプ4/外側区域熱電対或いはヒートパイプ6の設定温度の制御にも用いられる。
または、好ましい実施形態では、内部区域温度測定器/遠赤外線温度測定器21、中央部区域温度測定器/遠赤外線温度測定器22、及び外側区域温度測定器/遠赤外線温度測定器23は独立して制御され、同一の時間では全て遠赤外線温度測定器20により温度のフィードバック制御が行われる。同一の時間では全て熱源/全体熱電対或いはヒートパイプ7に切り換えられて温度のフィードバック制御が行われる。
【0033】
図4は本発明の他の実施形態による気相成長システム及び方法を示す一部ブロックの概念図である。この成長システムと前述のシステムとの差異は、このシステムはウエハーが上に向けられるシステムである点である。
遠赤外線温度器21/22/23により等温平板8の下方の表面が測定され、或いは等温平板8の背面の内部区域温度301、中央部区域温度302、及び外側区域温度303と称され、ウエハー側温度測定器31/32/33によりウエハー側温度T2が測定される。ウエハーがウエハー側温度測定器31/32/33に対して透明である場合、T2は等温平板8の上方の表面となり、或いは等温平板8の正面の内部区域温度311、中央部区域温度312、及び外側区域温度313と称される。
ウエハーがウエハー側温度測定器31/32/33に対して不透明である場合、T2はウエハー8の表面の内部区域温度321、中央部区域温度322、及び外側区域温度323となる。このほか、前述の方法により、T2によりウエハー上のエピタキシ薄膜の表面温度が測定される。この成長システムの詳細な温度制御方法は前述と同じであるため、再述しない。
【0034】
図5に示すように、図4の成長システムにおいて、上述の温度制御方法は特定の1つの遠赤外線温度測定器21/22/23を使用し、例えば、中央部区域遠赤外線温度測定器22により測定された温度が中央部区域熱電対或いはヒートパイプ5の設定温度の制御に使用されるのみならず、他の2つの内部区域熱電対或いはヒートパイプ4/外側区域熱電対或いはヒートパイプ6の設定温度の制御にも使用される。
または、図6のような好ましい実施形態では、内部区域温度測定器/遠赤外線温度測定器21、中央部区域温度測定器/遠赤外線温度測定器22、及び外側区域温度測定器/遠赤外線温度測定器23は独立して制御を行い、同一の時間では全て遠赤外線温度測定器20により温度のフィードバック制御が行われる。同一の時間では全て熱源/全体熱電対或いはヒートパイプ7に切り換えられて温度のフィードバック制御が行われる。
【0035】
本発明の実施形態では、等温平板のウエハーに対向させる表面の温度のフィードバック制御を行い、この温度はプロセス区域ではなく、プロセスの影響を受けず、放射率の変化が発生し、温度読取値が変異する。
【0036】
ちなみに、本明細書に記載する各/全ての実施形態は、本技術分野に習熟する者にとっては各種の修飾、変化、結合、交換、省略、代替、相等の変化が可能であり、互いに排斥し合わないものであれば、全て本発明の概念に属し、本発明の範囲に含まれる。本発明の実施形態の特徴に対応するか相関する構造や方法、及び/或いは本発明者や譲受者が出願、放棄、或いは既に認められた出願案も皆本文に引用し、本発明の明細書の一部とする。
引用する部分は、それが対応する、相関する、及び部分的或いは全面的な修飾を含み、(1)操作及び/或いは構造に関するもの、(2)本技術分野に習熟する者による操作及び/或いは構造の修飾、(3)本発明の明細書、本発明に相関する出願案、及び本技術分野に習熟する者の常識及び判断によるあらゆる部分の実施/製造/使用或いは結合を含む。特に説明がない限り、これらの条件句或いは助詞、例えば「できる(can)」、「可能(could)」、「でもよい(might)」、或いは「場合(may)」等は、通常は本発明の実施形態を表現するが、但し不要な特徴、部材、或いは工程と解釈してもよい。他の実施形態では、これらの特徴、部材、或いは工程は不要な場合もある。
【0037】
なお、本文の前述の文件の内容を本文に引用し、本発明の明細書の一部分とする。本発明の実施形態は例示に過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の特徴或いは方法工程及び技術を含む他の特徴や、出願案の特徴或いは構造に対する部分的或いは全面的なあらゆる結合や変更も、本発明とは不等な別の代替できない実施形態である。
本発明の特徴及び方法に対応するか関連するものや、文中から導き出されるものと矛盾しないもの、及び本技術分野に習熟する者による部分的或いは全面的な修飾、例えば、(1)操作及び/或いは構造的なもの、(2)本技術分野に習熟する者による操作及び/或いは構造の修飾、(3)本発明の明細書の如何なる部分に対する実施/製造/使用或いは結合、例えば、(I)本発明に関連する如何なる構造及び方法の一部或いは複数の部分、及び/或いは(II)如何なる1つ或いは複数の特徴或いは実施形態の内容に対する如何なる変更及び/或いは組み合わせを含む、本発明の1つ或いは複数の発明の概念及び部分的な内容に対する如何なる変更及び/或いは組み合わせも本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1 内部区域ヒーター
2 中央部区域ヒーター
3 外側区域ヒーター
4 内部区域熱電対或いはヒートパイプ
5 中央部区域熱電対或いはヒートパイプ
6 外側区域熱電対或いはヒートパイプ
7 熱源/全体熱電対或いはヒートパイプ
8 等温平板
9 間隙
10 ウエハー
11 プロセス区域
12 プロセスガス
13 対向板
14 排気区域
15 軸
16 ウエハー載置器
17 中心歯車部材
18 サセプタ
20 全体遠赤外線温度測定器
21 内部区域温度測定器/遠赤外線温度測定器
22 中央部区域温度測定器/遠赤外線温度測定器
23 外側区域温度測定器/遠赤外線温度測定器
30 ウエハー側温度測定器
31 内部区域温度測定器
32 中央部区域温度測定器
33 外側区域温度測定器
50 透明遮蔽板
70 温度制御システム
71 内部区域熱電対PID
72 中央部区域熱電対PID
73 中央部区域遠赤外線温度測定器PID
74 外側区域熱電対PID
75 全体熱電対PID
76 全体遠赤外線温度測定器
80 全体電源供給装置
81 外側区域電源供給装置
82 中央部区域電源供給装置
83 内部区域電源供給装置
100 サセプタ駆動システム
201 ビューポート
202 ビューポート
203 ビューポート
211 ビューポート
212 ビューポート
213 ビューポート
301 内部区域温度
302 中央部区域温度
303 外側区域温度
311 内部区域温度
312 中央部区域温度
313 外側区域温度
321 内部区域温度
322 中央部区域温度
323 外側区域温度
図1
図2
図3
図4
図5
図6