(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、混練装置内に投入する繊維が不連続に切断されている時、多くの量の繊維を混練装置内へ投入することが困難であるため、複合材料を効率よく製造できないという課題に着目した。上記特許文献1の副原料投入装置を用いることにより、繊維長の短い繊維を樹脂に混合しやすくなるものの、まだ改良の余地が残されている。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、複合材料の製造効率を向上する押込装置及び混練装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、環境負荷を低減することを目的として、樹脂と混練する繊維として、リサイクルされた繊維を用いることを考えた。リサイクルされた繊維は、巻回された連続繊維と異なり、繊維長の短い不連続繊維である。不連続繊維を混練機内に多くの量を投入できないという問題は、不連続繊維の嵩密度が低いため、混練装置内に導入しにくいことに起因しているという着想を得た。そこで、本発明者は、不連続繊維の嵩密度を高めるために鋭意検討し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明の一の局面における押込装置は、繊維と樹脂とを混練する混練装置に接続される押込装置であって、不連続繊維が導入されるケーシングと、このケーシング内に配置されたスクリューとを備え、スクリューのピッチは、上流側から下流側に向けて減少している。
【0008】
本発明の一の局面における押込装置によれば、スクリューのピッチが上流側から下流側に向けて減少しているので、スクリューの1リードあたりの搬送容積を順次低減することにより、効率的な機械減容を可能としている。これにより、混練装置との接続領域(混練装置における不連続繊維の導入部)に向けて不連続繊維の嵩密度を高めることができる。したがって、混練装置における不連続繊維の導入部から、多くの量の不連続繊維を混練装置内に導入できるので、複合材料の製造効率を向上することができる。
【0009】
また、本発明の他の局面における押込装置は、繊維と樹脂とを混練する混練装置に接続される押込装置であって、不連続繊維が導入されるケーシングと、このケーシング内に配置されたスクリューとを備え、ケーシングには、ケーシング内を減圧する減圧ポンプと接続する排気口が形成されている。
【0010】
本発明の他の局面における押込装置によれば、ケーシングの排気口に減圧ポンプを接続することにより、不連続繊維が導入されたケーシング内を効率的に減圧することができる。このため、押込装置内に供給された不連続繊維中の空気を取り除くことができるので、不連続繊維の嵩密度を高めることができる。したがって、混練装置における不連続繊維の導入部から、多くの量の不連続繊維を混練装置内に導入できるので、複合材料の製造効率を向上することができる。
【0011】
本発明の他の局面における押込装置において好ましくは、スクリューのピッチは、上流側から下流側に向けて減少している。
【0012】
これにより、混練装置における不連続繊維の導入部に向けて不連続繊維の嵩密度をさらに高めることができるので、複合材料の製造効率をより向上することができる。
【0013】
本発明の他の局面における押込装置において好ましくは、排気口を被覆する金属製のフィルタをさらに備えている。
【0014】
これにより、ケーシング内を減圧する際に、不連続繊維がケーシング外に漏れることを防止できる。
【0015】
本発明の他の局面おける押込装置においてより好ましくは、ケーシングとスクリューとの間にフィルタが配置され、フィルタは焼結金網である。
【0016】
これにより、スクリューとの摩擦を低減できるとともに、ケーシングの役割を担うこともできる。
【0017】
本発明の一の局面及び他の局面の押込装置において好ましくは、スクリューの外径は、上流側から下流側に向けて減少している。
【0018】
これにより、混練装置における不連続繊維の導入部に向けて不連続繊維の嵩密度をさらに高めることができるので、樹脂と繊維との混練による複合材料の製造効率をより向上することができる。
【0019】
本発明の一の局面及び他の局面の押込装置において好ましくは、スクリューの上流側の端部には、切り欠きが形成されている。
【0020】
これにより、不連続繊維の一部は切り欠きを通過して下流側に移動できるので、押込装置内において不連続繊維の嵩密度を高める効率を向上することができる。このため、樹脂と繊維との混練による複合材料の製造効率をより向上することができる。
【0021】
本発明の混練装置は、本発明の一の局面または他の局面における押込装置と、この押込装置に接続されたシリンダーと、このシリンダー内に配置され、押込装置から導入される繊維と、樹脂とを混練する混練軸とを備えている。
【0022】
本発明の混練装置によれば、押込装置で嵩密度が高くなった不連続繊維を導入できるので、多くの量の不連続繊維を混練装置内に導入できる。このため、混練軸によって、樹脂と繊維との混練による複合材料の製造効率を向上することができる。
【0023】
本発明の混練装置において好ましくは、混練軸は、押込装置から繊維を導入する導入部よりも下流側に配置されたパドルをさらに有している。
【0024】
パドルにより、シリンダー内においてパドル周辺の樹脂の充満率を高めることができるので、樹脂中における不連続繊維の分散性を高めることができる。また、充満率を高めることにより、パドルとシリンダーとの隙間を樹脂でシールすることができるので、押込装置から繊維が導入される導入部からパドルまでの間を効率的に減圧できるため、押込装置内において不連続繊維の嵩密度を効率的に高めることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の押込装置及び混練装置によれば、複合材料の製造効率を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。また、本明細書において、原料が導入される方(
図1における右側、
図2における上側)を上流側とし、原料が排出される方(
図1における左側、
図2における下側)を下流側とする。
【0028】
図1〜
図7を参照して、本発明の一実施形態の混練装置1及び押込装置30について説明する。
図1に示すように、本発明の実施の形態の混練装置1は、樹脂と繊維とを混練して、複合材料を製造する装置であり、詳細には、連続繊維と不連続繊維と樹脂とを混練して、複合材料を製造する装置である。また、
図2に示すように、本発明の実施の形態の押込装置30は、混練装置1の第1混練機10に接続される装置であって、不連続繊維の嵩密度を高める機構を有する装置である。
【0029】
連続繊維とは、連続した長い繊維であり、繊維が巻回された繊維原料である。連続繊維は、例えば、複数本(例えば1万2千本以上)の繊維の束が巻回されたロービングである。不連続繊維とは、短く切断された繊維であり、リサイクルされた繊維であることが好ましい。不連続繊維は、例えば、FRP(繊維強化プラスチック)などから再利用された繊維であり、0.5mm〜5mm程度の長さを有している。不連続繊維は、短繊維であるので、連続繊維に比べて、嵩密度が低く、混練装置1内に持ち込む空気が多い。
【0030】
連続繊維及び不連続繊維の材料は特に限定されず、炭素繊維、ガラス繊維、有機繊維、金属繊維などを用いることができる。連続繊維と不連続繊維とは、同じ材料であってもよく、異なる材料であってもよいが、異なる材料であることが好ましい。本実施の形態では、連続繊維としてコスト面及び耐衝撃性で有利なガラス繊維を用い、不連続繊維として剛性(弾性率)で有利な炭素繊維を用いている。詳細には、連続繊維はガラス繊維のロービングであり、不連続繊維はリサイクルされた炭素繊維である。
【0031】
混練装置1は、第1混練機10と、第2混練機20と、押込装置30と、連続繊維供給部40とを備えている。第1混練機10は、樹脂と、不連続繊維と、連続繊維とを混練する。第2混練機20は、第1混練機10に導入される樹脂を、第1混練機10内での繊維との混練に先立って、混練・溶融する。押込装置30は、第1混練機10内での樹脂との混練に先立って、第1混練機10に導入される不連続繊維の嵩密度を高めて、第1混練機10に供給する。連続繊維供給部40は、第1混練機10に連続繊維を供給する。
【0032】
<第1混練機>
第1混練機10は、混練軸11と、シリンダー12と、駆動部13aと、減速機13bと、堰体14と、ダイ15とを含んでいる。
【0033】
混練軸11は、樹脂と繊維とを混練し、スクリュー11aと、パドル11bと、回転軸11cとを有している。第1混練機10は、1本の混練軸11を有する単軸混練機であってもよく、複数本の混練軸11を含む多軸混練機であってもよいが、本実施の形態では、互いに並列に配置された2本の混練軸11を含んだ2軸混練機としている。2本の回転軸11cは、軸方向に相互に回転可能に配設されており、互いの回転方向は同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0034】
この回転軸11cに、スクリュー11a及びパドル11bが組み込まれている。スクリュー11aは、混練軸11における上流側の端部と下流側の端部に配置され、パドル11bは、混練軸11における中間部に配置されている。スクリュー11a及びパドル11bは、回転することによって樹脂と繊維とを混練する。スクリュー11aは推進する機能が高く、パドル11bは混練する機能が高い。スクリュー11a及びパドル11bは、回転軸11cと別部材であってもよく、回転軸11cと一体成形されていてもよい。スクリュー11aには、山(フライト)と谷(溝)とが形成されている。
【0035】
なお、回転軸11cには、スクリュー11aのみが配置されていてもよいが、中間部にパドル11bが配置されていることにより、その周辺の樹脂充満率を高めることができるので、繊維の分散性を高めることができる。この観点から、パドル11bは、ヘリカルパドル及び/またはニーディングパドルであることが好ましく、不連続繊維導入部12bよりも下流側に配置されていることが好ましい。
【0036】
パドル11bは、ヘリカルパドル及びニーディングパドル(ニーディングディスク)の両方を含んでいてもよく、ヘリカルパドルのみであってもよく、ニーディングパドルのみであってもよく、他のパドルをさらに含んでいてもよい。ただし、充満率を高めることにより、パドル11bとシリンダー12との隙間を樹脂でシールすることができるので、押込装置30から不連続繊維が導入される不連続繊維導入部12bからパドル11bまでの間を効率的に減圧できるため、パドル11bの上流に位置する押込装置30内に第1混練機10から空気が流れ込むことを防止できる。この観点から、パドル11bは、シリンダー12との隙間が小さいものが好適に用いられ、例えば、シリンダー12と対向する部分が延在方向に延びる平面である(螺旋形状のものを除く)ものが好ましい。このようなパドルとして、ニーディングパドルが挙げられる。このため、パドル11bは、ニーディングパドルを含んでいることが好ましく、複数のニーディングパドルを含んでいることがより好ましい。
【0037】
この2本の混練軸11を内部に収容するようにシリンダー12が設けられている。シリンダー12と混練軸11との隙間は、樹脂及び/または繊維が通過する流路となる。シリンダー12は、第2混練機20から供給される樹脂を第1混練機10内に導入するための樹脂導入部12aと、押込装置30から供給される不連続繊維を第1混練機10内に導入するための不連続繊維導入部12b(第2導入部)と、連続繊維供給部40から供給される複数本の連続した繊維を第1混練機10内に導入するための連続繊維導入部12c(第1導入部)とを有している。連続繊維導入部12cには、連続繊維を切断するためのカットフライトスクリューなどの切断部が設けられてもよいが、本実施の形態では切断部は省略されており、連続繊維供給部40から導入される連続した繊維をそのまま第1混練機10内へ送る。
【0038】
不連続繊維導入部12bは、連続繊維導入部12cよりも上流側に位置している。また、不連続繊維導入部12bの下流にはパドル11bが配置されており、不連続繊維が樹脂に均一に分散されることを促進している。連続繊維導入部12cは、パドル11bの下流に配置されており、連続繊維が短く切断されることを抑制している。
【0039】
本実施の形態の混練軸11において、混練軸11の直径(D)に対する樹脂導入部12a下から先端までの長さ(L)の有効長(L/D)は、例えば、4以上15以下であり、6以上13以下であることが好ましい。
【0040】
混練軸11の一方(上流側)の軸端には、混練軸11にトルクを分配する減速機13bを経由して駆動部13aが接続されている。減速機13bは、混練軸11を所定の回転速度で同期させて回転させる。
【0041】
混練軸11の他方(下流側)の軸端側には、堰体14が接続されている。堰体14は、ブレーカープレートと中間軸受とを兼用でき、混練物の流路に設けられている。堰体14は、混練物の流路と交差する方向に延びるように配置されるので、混練物に背圧を与える。堰体14は、例えば金属製、具体的には特殊高力黄銅で、混練物が通過する開口部にはCrN等の耐摩耗処理が施されており、
図3〜
図5に示すように平板円状である。
【0042】
図4及び
図5に示すように、堰体14は、2本の混練軸11のスクリュー11aのそれぞれの回転方向に沿う円弧状の開口部14aを複数有している。このように、開口部14aは、混練軸11ごとに対応して設けられている。
【0043】
開口部14aは、混練軸11の回転軸11cを中心とした円弧状である。
図4に示すように、開口部14aのそれぞれは、周縁として、外側輪郭線14a1と、内側輪郭線14a2と、側部輪郭線14a3とで構成されている。外側輪郭線14a1及び内側輪郭線14a2は、同心円弧である。側部輪郭線14a3は、外側輪郭線14a1と内側輪郭線14a2の一端同士及び他端同士を結んでいる。
【0044】
図3に示すように、開口部14aの外側輪郭線14a1は、ダイ15側に位置するスクリュー11aの山11a1に沿った円弧であり、開口部14aの内側輪郭線14a2は、ダイ15側に位置するスクリュー11aの谷11a2に沿った円弧である。つまり、開口部14aの外側輪郭線14a1は、ダイ15側から見て、下流のスクリュー11aの山11a1と重なり合い、開口部14aの内側輪郭線14a2は、ダイ15側から見て、下流のスクリュー11aの谷11a2と重なり合う。混練軸11とシリンダー12との間の流路において、スクリュー11aの山11a1と谷11a2との間を移動する樹脂及び繊維は、スクリュー11aの回転による影響が大きく、他の領域よりも速度が速い。スクリュー11aの回転方向に沿って樹脂及び繊維が移動するので、外側輪郭線14a1がスクリュー11aの山11a1に沿った円弧であり、内側輪郭線14a2がスクリュー11aの谷11a2に沿った円弧であると、スクリュー11aの推進力を混練物に効率的に伝達することができる。
【0045】
開口部14aのそれぞれの外側輪郭線14a1の長さは、20mm以上50mm以下であることが好ましく、25mm以上40mm以下であることがより好ましい。この場合、連続繊維の未開繊の繊維の通過を防止できる。
【0046】
図3及び
図4に示すように、堰体14は、混練軸11の下流側の軸端部を挿通させることにより軸端部を支持する貫通孔14bをさらに有している。貫通孔14bに混練軸11の軸端部が嵌合される場合には、堰体14は耐摩耗性の材料で形成される。耐摩耗性の材料は、例えば、特殊高力黄銅などの銅系材料である。このように、混練軸11を2点支持することで、スクリュー11aと胴体とが撓みにより接することを防止し、スクリューフライトの厚みを小さく、パドル−パドル間の隙間を大きくする等が可能になり、せん断による繊維の折損を防止できる。
【0047】
なお、貫通孔14bは省略されてもよい。この場合には、混練軸11の下流側の軸端は、堰体14よりも上流側に位置する。つまり、堰体14は、ダイ15と混練軸11との間に配置される。
【0048】
混練軸11の先端が堰体14の下流側に位置する場合には、
図5に示すように、堰体14の直前(上流側)に位置する樹脂及び繊維の流路の横断面積S1に対する堰体14の開口部14aの面積S2の割合(S2/S1)は、48%以上69%以下であることが好ましく、52%以上58%以下であることがより好ましい。混練軸11の先端が堰体14の上流側に位置する場合には、堰体14の直前(上流側)に位置する樹脂及び繊維の流路の横断面積S1に対する堰体14の開口部14aの面積S2の割合(S2/S1)は、35%以上50%以下であることが好ましく、38%以上42%以下であることがより好ましい。(S2/S1)の上限がこの範囲であると、未開繊を効果的に防止でき、(S2/S1)の下限がこの範囲であると、圧力損失を低減できるので、繊維の折損を防止できる。なお、堰体14の直前に位置する樹脂及び繊維の流路の横断面積S1とは、シリンダー12の内周面12d(
図3及び
図4参照)を堰体14に投影した面積から、堰体14においてダイ15と反対側の面に接する混練軸11の面積S3を引いた値である。混練軸11の先端が堰体14の上流側に位置する場合には、堰体14においてダイ15と反対側の面に接する混練軸11の面積は0である。開口部14aの面積S2は、複数の開口部14aの合計の面積である。
【0049】
図4及び
図5に示すように、本実施の形態の開口部14aは、2本の混練軸11を中心として、それぞれ2つずつ形成されているが、開口部14aの個数は、スクリュー11aの大きさにより任意に選択できる。例えば、スクリュー11aが
図4よりも大きい場合には、例えば、2本の混練軸11を中心として、それぞれ4つ以上ずつ形成されていてもよい。
【0050】
図1及び
図3に示すように、この堰体14においてスクリュー11aと反対側には、ダイ15が設けられている。ダイ15は、複合材料を排出する排出口15aを有している。
【0051】
<第2混練機>
図1に示すように、上述した第1混練機10のシリンダー12の樹脂導入部12aに導入される樹脂を第2混練機20内で予め溶融する。第2混練機20は、スクリュー21aを有する混練軸21と、シリンダー22と、駆動部23aと、減速機23bと、ホッパー24とを含んでいる。第2混練機20は、1本の混練軸21を有する単軸混練機であってもよく、複数本の混練軸21を含む多軸混練機であってもよい。混練軸21は、スクリュー21aのみが回転軸21bに組み込まれていてもよく、中間部にスクリューに代えてパドルが組み込まれていてもよい。スクリュー(パドルを含む場合にはスクリュー及びパドル)は、回転軸21bと別部材であってもよく、回転軸21bと一体成形されていてもよい。シリンダー22は、溶融された樹脂を第1混練機10に供給する排出口22aを有している。駆動部23a及び減速機23bは、混練軸21を所定の回転速度で回転させる。ホッパー24は、混練軸21とシリンダー22との間で混練される樹脂原料50を受ける。
【0052】
<押込装置>
図1に示すように、第1混練機10のシリンダー12の不連続繊維導入部12bに導入される不連続繊維を、押込装置30は供給する。つまり、押込装置30は、第1混練機10の不連続繊維導入部12bと連通するように接続される。押込装置30は、第1混練機10に着脱可能に構成されている。
【0053】
図2に示すように、押込装置30は、搬送部31と、ケーシング32と、回転軸33と、スクリュー34と、フィルタ35と、駆動部36と、減速機37とを含んでいる。
【0054】
搬送部31は、不連続繊維をケーシング32に搬送する。この搬送部31には、ケーシング32が接続されており、ケーシング32には不連続繊維が導入される。ケーシング32内には、回転軸33が不連続繊維の移動方向に沿って延在するように配置されている。
【0055】
この回転軸33には、スクリュー34が組み込まれている。スクリュー34は、回転軸33と別部材であってもよく、回転軸33と一体成形されていてもよい。
【0056】
スクリュー34には、山(フライト)と谷(溝)とが形成されている。スクリュー34の最上端は、ケーシング32の不連続繊維が導入される搬送部31との接続部分よりも下方に位置している。
【0057】
スクリュー34のピッチP1〜P5は、上流側から下流側に向けて減少している。ここで、「減少している」とは、上流側から下流側に向けて(不連続繊維の移動する方向に)、スクリュー34のピッチP1〜P5が常に同じまたは減少しており、かつ最上流のピッチよりも最下流のピッチが小さいことを意味する。つまり、「減少している」とは、上流側から下流側に向けて増加している部分が含まれていない。また、スクリュー34のピッチP1〜P5とは、上流側から下流側に向けた方向において、山の一周分の長さである。例えば、ピッチP1、P2は60mmで、ピッチP3〜P5は40mmである。
【0058】
スクリュー34の外径は、上流側から下流側に向けて減少している。ここで、「減少している」とは、上流側から下流側に向けて(不連続繊維の移動する方向に)、スクリュー34の外径が常に同じまたは減少しており、かつ最上流に位置する外径よりも最下流に位置する外径が小さいことを意味する。つまり、「減少している」とは、上流側から下流側に向けて増加している部分が含まれていない。
【0059】
また、
図6に示すように、スクリュー34の上流側の端部には、切り欠き34aが形成されている。本実施の形態では、スクリュー34の最上流に位置する1ピッチにおいて、4箇所に切り欠き34aが形成されている。ケーシング32内に導入された不連続繊維は、嵩密度が小さいので、切り欠き34aを通過して下流に向けて効率的に移動するので、搬送部31で多くの量の不連続繊維をケーシング32内に導入することができ、単位時間当たりの処理量を高めることができる。
【0060】
図2に示すように、ケーシング32には、ケーシング32内を減圧する減圧ポンプPと接続する排気口32aが形成されている。この排気口32aを被覆するように、フィルタ35が設けられている。フィルタ35により、ケーシング32内の不連続繊維がケーシング32の外部に排出されることを防止できる。本実施の形態では、ケーシング32とスクリュー34との間にフィルタ35が配置されている。ケーシング32とスクリュー34との隙間を微小にすることが好ましく、この場合、フィルタ35が金属製であると摩擦を低減できる。この観点から、フィルタ35は、焼結金網であることが好ましい。また、フィルタ35が焼結金網であると、焼結金網はケーシング32の役割も担う。
【0061】
減圧ポンプPは、押込装置30に着脱可能に接続される。減圧ポンプPは、ケーシング32の内部の圧力を低減できれば特に限定されないが、真空ポンプを用いることが好ましい。
【0062】
また、ケーシング32には、嵩密度が高められた不連続繊維を第1混練機10に排出するための排出口32bが形成されている。排出口32bは、スクリュー34の下流に設けられている。
【0063】
回転軸33におけるスクリュー34と反対側の軸端には、回転軸33にトルクを分配する減速機37を経由して駆動部36が接続されている。駆動部36及び減速機37は、回転軸33を所定の回転速度で回転させる。
【0064】
<連続繊維供給部>
図1に示すように、第1混練機10のシリンダー12の連続繊維導入部12cに導入される連続繊維を、連続繊維供給部40は供給する。連続繊維供給部40は、複数本の連続する繊維の束が巻回された繊維原料41を載置する載置部42を含んでいる。載置部42は、繊維原料41から繊維の束の先端を取り出し、第1混練機10のシリンダー12の連続繊維導入部12cに導入するための第1及び第2案内部42a、42bを有している。繊維の束が巻回された繊維原料41が複数配置されている場合には、第1案内部42aには、複数本の繊維原料の繊維の束の先端のそれぞれが通されて、集合される。第1案内部42aは、繊維を通すための孔部が形成された板状部材を備えた案内板であってもよい。また、載置部42は、第1案内部42aを通った連続した繊維を第1混練機10の連続繊維導入部12cに導くための第2案内部42bをさらに有していてもよい。第2案内部42bは、例えば載置部42の上端から突出させるロール状部材であり、繊維の束に張力を加えるとともに繊維の束がほどけないようにしている。
【0065】
続いて、
図1〜
図5に示す本実施の形態の混練装置1を用いて、複合材料を製造する方法について説明する。最初に、
図2に示す押込装置30において不連続繊維の嵩密度を高める方法について説明する。
【0066】
まず、不連続繊維を準備する。不連続繊維として、例えば、リサイクルされた炭素繊維を準備する。
図2に示すように、この不連続繊維を搬送部31に載置し、ケーシング32内に不連続繊維を搬送する。
【0067】
駆動部36及び減速機37を用いて回転軸33を所定の回転速度で回転させることにより、スクリュー34を回転させる。ケーシング32内に導入された不連続繊維は、スクリュー34のピッチP1〜P5が上流側から下流側に向けて減少しているので、不連続繊維中の空気を取り除くことにより、第1混練機10との接続領域(押込装置30の排出口32b及び第1混練機における不連続繊維導入部12b)に向けて効率的に不連続繊維の嵩密度を高めることができる。
【0068】
また、ケーシング32の排気口32aに減圧ポンプPを接続し、減圧ポンプPを起動させる。これにより、不連続繊維が導入されたケーシング32内を減圧できるので、不連続繊維中の空気を取り除くことにより、不連続繊維の嵩密度を効率的に高めることができる。また、排気口32aを被覆するフィルタ35により、ケーシング32の内部に導入された不連続繊維が外部に漏れることを防止できる。また、フィルタ35がケーシング32とスクリュー34との間に配置された焼結金網であれば、ケーシングの役割を担うとともに、摩擦を低減できる。
【0069】
本実施の形態では、
図6に示すように、スクリュー34の上流側の端部には、切り欠き34aが形成されている。このため、不連続繊維の一部は切り欠き34aを通過して下流側に移動できる(
図2では、不連続繊維の一部を下方に落下させる)ので、不連続繊維の推進が促進されるため不連続繊維の嵩密度を高める効率を向上することができる。
【0070】
このように、押込装置30に導入された不連続繊維が、スクリュー34により下流に向けて推進されて排出口32bに到達すると、不連続繊維中の空気が抜けて、嵩密度を高めることができる。このため、第1混練機10における不連続繊維導入部12bから、多くの量の不連続繊維を第1混練機10内に導入できる。したがって、第1混練機10において、樹脂と不連続繊維との混練による複合材料の製造効率を向上することができる。
【0071】
また、連続繊維を準備する。連続繊維は、複数本の連続した繊維原料41であり、複数本とは、例えば1万2千本以上であり、2万4千本以上であってもよく、5万本以上であってもよい。本実施の形態では、繊維原料41として、1万2千本以上の繊維の束(ロービング)とし、この繊維の束を複数束準備する。連続繊維は、例えばガラス繊維である。具体的には、複数本の連続した繊維が巻回された繊維原料41を連続繊維供給部40の載置部42に載置し、繊維原料41の先端部を第1案内部42aに通し、第2案内部42bに支持させる。
【0072】
また、
図1に示すように、第2混練機20に導入される樹脂原料50を溶融する。具体的には、スクリューフィーダより第2混練機20のホッパー24を経由して樹脂原料50を供給する。樹脂原料50は、例えば、ペレット状である。樹脂原料50は、複数の種類の樹脂を用いてもよく、添加剤などを含んでいてもよい。樹脂原料50は、熱可塑性樹脂である。駆動部23a及び減速機23bを用いて混練軸21を所定の回転速度で回転させ、混練軸21によりシリンダー22内の樹脂原料50を混練する。
【0073】
次に、第1混練機10に、第2混練機20で混練した樹脂と、押込装置30から供給される不連続繊維と、連続繊維供給部40から供給される連続繊維とを導入する。この工程では、第2混練機20の排出口22aから排出される溶融された樹脂を、第1混練機10の樹脂導入部12aに導入する。また、押込装置30の排出口32bから排出された嵩密度が高くなった不連続繊維を、不連続繊維導入部12bに導入する。また、連続繊維供給部40の第1案内部42a及び第2案内部42bから導かれる複数本の連続繊維の先端部を、第1混練機10の連続繊維導入部12cに導入する。
【0074】
次に、不連続繊維と、連続繊維と、樹脂とを混練することで、複合材料を製造する。この工程では、例えば以下のように行う。
【0075】
第1混練機10の混練軸11の回転速度と、搭載するスクリュー11aの相当直径により連続繊維及び不連続繊維の供給量を決定する。目標とする繊維長に応じて第1混練機10内が適切な圧力分布になるように、スクリュー11a及びパドル11bを配置する。
【0076】
駆動部13aを用いて回転軸11cを回転させることにより、混練軸11を所定の回転速度で回転させる。なお、第1混練機10の混練軸11の回転速度は、第2混練機20の混練軸21の回転速度よりも遅い。この場合、第2混練機20で樹脂をよく練って、第1混練機10で繊維を樹脂に絡めることができる。
【0077】
不連続繊維を連続繊維よりも上流側の位置から導入しているので、まず、第2混練機20から供給された溶融樹脂と、押込装置30から供給された不連続繊維とが混練される。混練軸11は不連続繊維導入部12bよりも下流側にパドル11bが配置されているため、
図7に示すように、パドル11bでその周辺の樹脂の充満率を高めることができるので、樹脂中に不連続繊維を分散させて、不連続繊維のそれぞれに樹脂を含浸できる。その状態で連続繊維供給部40から連続繊維が導入され、樹脂と不連続繊維と連続繊維とが混練される。不連続繊維を連続繊維よりも上流側の位置から導入することにより、不連続繊維を樹脂中に分散するために堰体14手前で充満率を下げる必要がないので、単位時間当たりの処理量を高めることができる。
【0078】
また、パドル11bはスクリュー11aに比べて混練の機能が高いので、充満率を高めることにより、パドル11bとシリンダー12との隙間を樹脂でシールすることができるので、パドル11bの周辺を減圧域にすることができる。このため、下流側に位置する第1混練機10から押込装置30に空気が流れ込むことを防止できるので、押込装置30内の減圧状態を効率的に維持できる。したがって、押込装置30内において不連続繊維の嵩密度を効率的に高めることができるので、単位時間当たりの処理量を高めることができる。
【0079】
樹脂中に不連続繊維が分散された状態で、連続繊維が混練される。混練軸11の回転によって、混練軸11とシリンダー12との間に形成される流路を移動する樹脂、不連続繊維及び連続繊維に圧力が加えながら、樹脂と不連続繊維と連続繊維とを混練する。
【0080】
スクリュー11aの回転に伴って、混練軸11とシリンダー12との間の流路を移動した混練物は、
図7に示すように、最下流に位置するスクリュー11aと堰体14との間に充満され、スクリュー11aが回転しない領域で適度な背圧が加えられるので、連続繊維のショートパスした未開繊の繊維をばらばらにできる。このため、開繊された繊維に、樹脂を含浸させることができる。また、充満部で開繊された繊維は、樹脂中に分散されるので、混練物を均質化することができる。なお、堰体14の開口部14aの円弧の長さと開口率とを調整することにより、過剰に長い未開繊の繊維の束の排出を抑制できる。
【0081】
この混練物は、堰体14の開口部14aを通過し、低い圧力下(例えば1〜5kgf/cm
2)でダイ15の排出口15aから排出される。上記工程を実施することにより、樹脂と繊維とが混練された複合材料を製造できる。
【0082】
本実施の形態の混練装置1は、2本の混練軸11のスクリュー11aのそれぞれの回転方向に沿う円弧状の開口部14aを複数有する堰体14を備えている。開口部14aは周方向に長いので、圧力損失を低減し、スクリュー11aの推進力を効率的に伝えることができる。このため、第1混練機10内の圧力分布を調整し、堰体14の手前でスクリュー11aの回転しない充満部の繊維と樹脂とを混練した混練物に適度な抵抗を加えることができるので、連続繊維の複数本の繊維の束をばらばらにすることができる。このため、開繊した複数本の繊維のそれぞれに樹脂を含浸しやすいので、含浸率を向上できる。このように、堰体14手前の充満部にスクリュー11aを設けず、圧力で開繊を促進するので、第1混練機10内の上流側の配列の自由度が大きくなり、スクリュー11aの回転速度の影響が極めて小さい。このため、回転速度によらず、繊維の折損を防止できるので、長い繊維長を維持できる。したがって、複合材料に含有される連続繊維由来の繊維の繊維長を、例えば、10mm以上30mm程度と長くすることができる。
【0083】
本実施の形態の混練装置1及び混練方法によれば、連続繊維と不連続繊維とを混練装置に導入している。このため、複合材料に含有される不連続繊維由来の繊維の繊維長が短くても、連続繊維由来の繊維の繊維長が長いので、耐衝撃性、強度等の特性を補うことができる。したがって、不連続繊維を用いても、高い特性を有する複合材料を製造することができる。
【0084】
このため、不連続繊維としてリサイクル繊維を用いることができるので、本実施の形態の混練装置1及び混練方法は、環境負荷を低減することができる。
【0085】
以上より、本実施の形態の混練装置1及び混練方法は、不連続繊維を用いても、高い特性を有する複合材料を製造できる。このため、本実施の形態の混練装置1及び混練方法により製造された複合材料は、自動車の用途などに好適に用いることができる。
【0086】
ここで、本実施の形態では、樹脂を混練するための第2混練機20と、この第2混練機20で混練された樹脂と繊維とを混練する第1混練機10とを備える2段式の混練装置1を例に挙げて説明したが、本発明の混練装置は2段式に限定されない。例えば、ペレット状の樹脂原料を上流側に導入し、シリンダー内において樹脂が溶融される領域に繊維を導入することで、1段式の混練装置を実現することもできる。
【0087】
また、本実施の形態では、複合材料に含有される連続繊維由来の繊維の繊維長を長くするために、開口部14aを有する堰体14で調整しているが、特に限定されず、他の手段で調整してもよい。このため、本発明の混練装置は、堰体14が省略されていてもよい。
【0088】
また、本実施の形態では、樹脂に混練される繊維原料として、連続繊維と不連続繊維とを例に挙げて説明したが、本発明の混練装置は、押込装置30から供給される不連続繊維のみが導入されてもよい。
【0089】
また、本実施の形態の押込装置30は、スクリュー34のピッチが上流側から下流側に向けて減少しており、かつ、ケーシング32内を減圧する減圧ポンプと接続する排気口32bが形成されているが、本発明の押込装置は、いずれか一方のみの構成を備えていてもよい。
【0090】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【解決手段】本発明の押込装置(30)は、不連続繊維が導入されるケーシングと、このケーシング内に配置されたスクリューとを備えている。スクリューのピッチは、上流側から下流側に向けて減少している。また、ケーシングには、ケーシング内を減圧する減圧ポンプと接続する排気口が形成されている。本発明の混練装置(1)は、押込装置(3)に接続されたシリンダー(12)と、このシリンダー(12)内に配置され、押込装置(30)から導入される繊維と、樹脂とを混練する混練軸(11)とを備えている。