特許第6134773号(P6134773)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6134773光共振装置及び共振器において一周時間を調節する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134773
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】光共振装置及び共振器において一周時間を調節する方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/13 20060101AFI20170515BHJP
   H01S 3/067 20060101ALI20170515BHJP
   H01S 3/10 20060101ALI20170515BHJP
   H01S 3/098 20060101ALI20170515BHJP
   G02F 1/37 20060101ALI20170515BHJP
   G01J 9/02 20060101ALI20170515BHJP
   G01B 9/02 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   H01S3/13
   H01S3/067
   H01S3/10 Z
   H01S3/098
   G02F1/37
   G01J9/02
   G01B9/02
【請求項の数】25
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-248420(P2015-248420)
(22)【出願日】2015年12月21日
(65)【公開番号】特開2016-119476(P2016-119476A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2016年2月19日
(31)【優先権主張番号】10 2014 226 973.3
(32)【優先日】2014年12月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511266597
【氏名又は名称】メンロ システムズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(74)【代理人】
【識別番号】100202016
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 喬
(72)【発明者】
【氏名】ロナルト ホルツヴァルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング ヘンゼル
【審査官】 島田 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−337236(JP,A)
【文献】 特表2016−511442(JP,A)
【文献】 特開平08−222791(JP,A)
【文献】 特開2003−084254(JP,A)
【文献】 特開2011−041307(JP,A)
【文献】 特開2014−041273(JP,A)
【文献】 特開2013−187542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S3/00−3/30
G01B9/02
G01J9/02
G02F1/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共振器(2)を有する光共振装置(1)であって、
少なくとも第1及び第2干渉計レッグ(9a,9b)を有する干渉計(9)が、前記共振器(2)内に配置され、
前記第1干渉計レッグ(9a)は第1光路長(L1)を有し、前記第2干渉計レッグ(9b)は前記第1光路長(L1)と異なる第2光路長(L2)を有し、
前記干渉計(9)が、前記共振器(2)内を循環する放射線(8)を前記第1及び第2干渉計レッグ(9a,9b)に分割する分割比が、可変に調節可能であり、
さらに前記光共振装置(1)は、前記第1及び第2干渉計レッグ(9a,9b)のための前記共振器(2)内を循環する前記放射線(8)の前記分割比を変更することで、前記共振器(2)の繰り返し率及び搬送エンベロープオフセット周波数(f)を変更するように構成されており、それにより周波数領域では、前記共振器内を循環する前記放射線(8)の周波数(f)のコムが固定点(ffix)の周りでアコーディオンのように広がり又は収縮する、光共振装置。
【請求項2】
前記光共振装置(1)は前記分割比を調節するためのアクチュエーター(15)を有し、前記アクチュエーター(15)は好ましくは、少なくとも10kHz、少なくとも100kHz又は少なくとも1000kHzの制御バンド幅を有する、請求項に記載の光共振装置。
【請求項3】
前記光共振装置(1)は、前記アクチュエーター(15)で得られる共振線のシフトを測定するように構成された測定装置(11)を有する、請求項に記載の光共振装置。
【請求項4】
前記光共振装置(1)は、前記共振器(2)の繰り返し率(frep)と前記共振器(2)で発生される又は受信される周波数コムの搬送エンベロープオフセット周波数(f)の少なくとも1つを測定するように構成された測定装置(11)を有する、請求項2に記載の光共振装置。
【請求項5】
前記干渉計(9)は、偏光依存伝播時間シフトと位相シフトの少なくとも1つを有する少なくとも1つの光学素子(33,34,35)を有し、又はこのような素子(33,34,35)により実現される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光共振装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの光学素子(33,34,35)が複屈折光学素子である、請求項5に記載の光共振装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光学素子(33,34,35)が、2πの整数倍又は半整数倍の位相シフトを生じる、請求項5又は6に記載の光共振装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの光学素子(33,34,35)が、目標波長(λz)のための整数又は半整数波長板(33,34,35)である、請求項5又は6に記載の光共振装置。
【請求項9】
前記干渉計(9)は、以下の光学素子、すなわち偏光フィルター(36,37)、偏光調節器、λ板、n≧2を有するnλ板、λ/2板、λ/4板、電気光学変調器(40)、可変に調節可能な液晶(40)の1又は複数を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の光共振装置。
【請求項10】
偏光依存位相シフトを有する少なくとも2つの光学素子(34,35)が前記共振器(2)に存在し、前記第1及び第2干渉計レッグ(9a,9b)のための前記共振器(2)内を循環する前記放射線(8)の分割比が、前記2つの光学素子(34,35)の向きを互いに調節することにより及び/又は前記2つの光学素子(34,35)を通過する放射線の偏光に異なって影響を与えることにより、調節可能である、請求項5〜のいずれか一項に記載の光共振装置。
【請求項11】
前記共振器(2)内に、前記共振器(2)内を循環する前記放射線(8)のためにレーザー媒体(7)又は増幅器媒体(7)及び/又はモード結合素子(M,17)が配置され、前記レーザー媒体及び前記増幅器媒体はそれぞれポンピングされるように構成される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の光共振装置。
【請求項12】
前記第1及び第2干渉計レッグ(9a,9b)ための前記放射線(8)の分割比の変更の際、そこを循環する前記放射線(8)のための前記共振器(2)の透過率が、一定又は実質的に一定である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の光共振装置。
【請求項13】
前記共振器のモード間隔が前記共振器に入射する放射線のモード間隔の整数倍である、又は前記共振器のモード間隔と入射放射線が有理比によって互いに関連付けられる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の光共振装置。
【請求項14】
前記光共振装置(1)が、光放射(111)をフィルターにかける及び/又は増幅するように構成され、非線形光学素子(45)が前記光共振装置(1)の前記共振器(2)内に配置され、前記非線形光学素子(45)は、前記共振器内を循環する放射線(110)の第二高調波又はより高調波を生成するように、和周波発生及び差周波発生によって放射線を生成するように、又は光パラメトリックプロセスにより放射線を生成若しくは増幅するように、選択される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の光共振装置。
【請求項15】
前記非線形光学素子(45)はガスジェット又は結晶である、請求項14に記載の光共振装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の光共振装置(1)を有する、ファイバーレーザー(1)、周波数コムジェネレータ(1)、モード結合素子(M,17)を有する能動若しくは受動モード結合レーザー(1)、又はインジェクション安定化レーザー(1)。
【請求項17】
共振器(2)の繰り返し率(frep)又は共振器(2)内を循環する放射線(8)又はパルス(110)の一周時間(τ)を調節する方法であって、
前記共振器(2)内に位置する干渉計(9)によって、前記共振器(2)内を循環する前記放射線(8)又はパルス(110)を、第1光路長(L1)を有する第1干渉計レッグ(9a)を通過する第1パルス部分(8a)と、第2光路長(L2)を有する第2干渉計レッグ(9b)を通過する第2パルス部分(8b)とに分割し、
前記第1及び第2パルス部分(8a,8b)を、前記干渉計(9)を通過後に互いに干渉させ、
さらに、前記干渉計(9)が前記共振器(2)内を循環する前記放射線(8)又はパルス(110)を前記第1及び第2パルス部分(8a,8b)に分割する分割比を変更し、
さらに前記第1及び第2干渉計レッグ(9a,9b)のための前記共振器(2)内を循環する前記放射線(8)又はパルス(110)の前記分割比を変更することで、前記共振器(2)の繰り返し率及びは搬送エンベロープオフセット周波数(f)が変更され、それにより周波数領域では、前記共振器内を循環する前記放射線(8)又はパルス(110)の周波数(f)のコムが固定点(ffix)の周りでアコーディオンのように広がり又は収縮する、方法。
【請求項18】
前記分割比を変更する際に、前記共振器(2)内を循環する前記放射線(8)又はパルス(110)の群一周時間(τ)が、前記共振器(2)内の搬送波(120)の位相一周時間を変えることなく変更される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記干渉計(9)が前記共振器(2)内を循環する前記放射線(8)又はパルス(110)を前記第1及び第2パルス部分(8a,8b)に分割する分割比を変更するときに、前記共振器(2)内を循環する前記放射線(8)又はパルス(110)の一周ロスが変わらない又は実質的に変わらない、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記放射線(8)又はパルス(110)が搬送波(120)である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記干渉計(9)が、偏光依存位相シフトを有する少なくとも1つの光学素子を有し、前記干渉計(9)が前記共振器(2)内を循環する前記放射線(8)又はパルス(110)を前記第1及び第2パルス部分(8a,8b)に分割する分割比が、前記共振器(2)の光軸の周りに前記光学素子を回転させることで、又はこの光学素子にて偏光を変えることで、変更される、請求項1720のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの光学素子が複屈折素子である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記光学素子が、所与の目標波長(λz)に対してm・0.5・πの偏光依存位相シフトを生じさせ、mは整数である、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
mが偶数である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記共振器(2)内を循環する前記放射線(8)又はパルス(110)が前記第1及び第2パルス部分(8a,8b)に分割される分割比の変更は、前記干渉計(9)の入口にて前記放射線(8)又は前記パルス(110)の偏光依存位相及び/又は偏光角を変更することで達成される、請求項1724のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共振器を備えた光共振装置、及びこのような共振器のモードの位置や共振器内で循環する光パルスの群一周時間(及び/又は位相一周時間)を調節する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
共振器の目的は、特定の周波数に対して共振振幅を与えることである。或るスペクトル領域内で、これらの共振の位置は、スペクトル線の絶対位置と隣接するスペクトル線の間隔によって特徴付けられる。これらの共振の位置の制御は、特に短パルス及び超短パルスの分野及び周波数コム技術において重要である。
【0003】
特に超短パルスの分野でこのような共振器を使用する用途のために、共振の位置はしばしば、2つの値、すなわち、この共振器内を循環するパルスのパルス繰り返し数に対応する先に述べた共鳴線の間隔と、より小さい周波数に向かって一定間隔を有する共振を継続するときに0に対する最小の共鳴線の間隔を示す、所謂搬送エンベロープ周波数によって特徴づけられる。搬送エンベロープ周波数の重要性は、規則的なレーザーパルス若しくは関連する周波数コムの生成及び/又はフィルタリングのためにこの共振器を使用することから生じる。
【0004】
図1aは、時間に対する電場の図面における規則的なレーザーパルスを示す。レーザーパルス110のエンベロープ(包絡線)とレーザーパルス110の搬送波の両方が示されている。搬送波120は光周波数の範囲で正弦振動によって表される。
【0005】
図1bは、図1aのレーザーパルス110に関連する周波数コムを示す。この周波数コムは、frepだけ互いから離間している多数のレーザーモードfを含む。ここで、frepは周波数コムの隣接するモードの間隔である。周波数コムのモードfは、上述のように、以下の式で表せる。
=m×frep+f (1)
【0006】
ここで、mは自然数である。当然、実際の周波数コムのモードは周波数領域において有限の幅の端から端まで延びる。周波数コムのパラメータfは、以下では、周波数コムの搬送エンベロープオフセット周波数又は(搬送エンベロープ)オフセット周波数と呼ぶ。このオフセット周波数fの存在は、レーザーモードfの周波数が必ずしも互いの倍数ではないという事実にある。共振器のモードf、特に周波数コムジェネレータのモードを調節又は言い換えれば制御するために、隣接するモードfrep及び/又はオフセット周波数fの間の間隔が調節可能であると有利である。
【0007】
特許文献1、特許文献2及び特許文献3は、例えばオフセット周波数fやモード間隔frepなどの周波数コムの自由度がどのようにして固定値に設定又は調整されるかに関して幾つかの方法を記述している。共通の方法は、適当な装置、例えばf〜2f干渉計により1つのパラメータとしてオフセット周波数fを測定し、第2パラメータとして例えばモード間隔を測定することである。
【0008】
この目的のため、それぞれのスタビライザーや制御ループが設置される。第1スタビライザーはモード間隔に関連する。このスタビライザーのための測定値として、前述したように、モード間隔に対応するパルス繰り返し数(場合によってはより良い検出可能な領域に分割される又は増やされる)が使用されてもよい。評価及び比較ユニットは、測定値を、パルス繰り返し数のための予め定められた基準値と比較する。モード間隔を変更するため又は決定されたズレに対する予め定められた基準値にモード間隔を調整するため、スタビライザーは、発振器の光路長と従ってパルス繰り返し数とを変更するアクチュエーターを駆動する。例えば、アクチュエーターは、発振器の共振器エンドミラーのためのリニアドライブ、電気光学素子又はピエゾアクチュエーターである。
【0009】
第2スタビライザーがオフセット周波数fを或る値に調節する。この目的のため、周波数コムの或るモードfが、(例えば連続波レーザーからの)外部の正確に分かっている基準周波数又は同じ周波数コムからの周波数倍モードを有する検出器(例えばフォトダイオードや光電子増倍管)に重畳される。この重ね合わせにより、無線周波数範囲でうなり周波数が生成される。評価及び比較ユニットがうなり周波数を、予め定められた、場合により可変に調節可能な基準周波数と比較する。この場合にズレが得られたら、第2スタビライザーは、発振器の位相と群一周時間との差を変更するアクチュエーターを制御する。これは、周波数に依存して発振器の光路長を変更するために、例えば、モードが空間的に分離して通過する共振器ブランチにおいて共振器エンドミラーを僅かに傾けることで達成されてもよい。速い応答時間(1μs未満)と非常にダイナミックな器具への依存性の両方をもたらす別な制御オプションは、偏光状態の発展において幾何学的位相を使用する。特に、それにより、クロストーク無しに搬送エンベロープオフセット周波数を共振器のパルス繰り返し数及び/又は一周ロスに対して調節することができる。それに代えて、発振器ロスは例えば、強度変調器により又は発振器内に場合により存在する増幅器用のポンプパワーを変えることにより、変更でき、透明な傾斜可能プレート等の1組のプリズムのような分散素子が発振器の光路に挿入され、その位置を変更されてもよく、又は光ガイド部品、特に「チャープ」ファイバー・ブラッグ回折格子が膨張又は温度により変えられてもよい。
【0010】
特許文献1,2,3に記載されている手段を用いて、全体として完全に固定された(安定化した)周波数コムが生成される。その個々のモードは正確に知られた周波数に位置決めされていて、互いにコヒーレントである。これら手段の詳細な記述に関しては、前述の文献を参照されたい。
【0011】
共振器又は周波数コムレーザーを固定させる前述した技術は多数の可能性のうちの1つにすぎない。アプリケーションの種類や技術的可能性に依存して、様々なタイプの固定・安定化が合目的的である。特に、エラー信号の生成は複数の方法で実行されてもよい。(例えばf〜2f干渉計を用いた)オフセット周波数の測定と繰り返し数の測定に加えて、例えば基準レーザーの使用によって、個々の共振線の位置を決定することが望ましい。例えば、オフセット周波数と共にパルスレーザーの搬送周波数の位置が固定化のために使用されてもよい。この場合には、繰り返し数を用いた固定化とは異なり、基準のノイズが非常に増大されて光共振線に移されないことが特に有利である。
【0012】
いずれにしろ、完全な固定化のために、2つの線形依存するエラー信号が共振線の位置に必要である。調節のために、アクチュエーターは、そのそれぞれの一方が2つのエラー信号のうちの1つに作用する一方、他方がなるべく影響されないように、選択されると有利である。エラー信号の異なる質のために、エラー信号を直交させることは可能であるが、特に使用されるアクチュエーターが様々な制御速度を有するときに、固定化の全体的な質は悪くなる。ゆえに、自由度を物理的に分離することが好都合である。
【0013】
例えば、周波数コムレーザーが(0に近い)オフセット周波数及び例えば搬送周波数fcに近い光学モードに固定された場合、第1エラー信号は搬送周波数fcの近傍で共振器モードの位置を構成し、第2エラー信号はオフセット周波数fcを構成する。理想的な第1アクチュエーターは、搬送周波数を変更させながらオフセット周波数に(実質的に)影響しないように0の周りで共振周波数の位置を広げる。理想的な第2アクチュエーターは、搬送周波数fcの周りで共振周波数を広げ、従って搬送周波数をシフトさせずにオフセット周波数を変更する。このようなアクチュエーターの効果は図5に示されている。図5aでは、変化していない周波数コムが示されるのに対し、図5bは、搬送周波数fcの周りの回転後の同じ周波数コムを示している。
【0014】
(大ざっぱに)ゼロ周波数の周りの共振線を広げ又は収縮する、すなわちオフセット周波数で実質的なクロストーク無しにパルス繰り返し数を調整するアクチュエーターは主に、大きな移動と高い調整速度を伴う調整を全体として可能にする電気光学位相変調器と移動可能ミラーである。0以外の固定点周りでの共振線の膨張と収縮はそれぞれ、達成するのがより難しい。オフセット周波数のための前述したアクチュエーターの中にはこれを達成するものが幾つかあるが、異なる器具は異なる制限を有する。
【0015】
例えば、従来技術では、既存のアクチュエーターが主に機械的効果又は熱効果を利用するときに、これらアクチュエーターの調整速度が制限されることが不都合である。迅速な調整のために、慣習的に、カー効果によってオフセット周波数に作用する、共振器の強度の変調が主に使用される。この場合、強度は、共振器又はポンプパワーのキュー(quality factor)によって変えられる。ここで、強度の本質的に好ましくない変調が生じることが不都合である。さらに、共振器における強度の変調が、熱効果と結びつくと不都合であり、熱効果は付加的なスローシステムレスポンスを生じさせ、それゆえ制御を妨害し又は妨げもする。とりわけ、強度の変調は主にレーザー共振器にとって適当であるが、フィルター共振器やゲイン共振器にはあまり適当でない。
【0016】
さらに、固定点の位置がしばしば具体的に制御可能でなく、絶対的に使用される部品に依存することが不都合である。最後に、多数のアクチュエーターは、制御信号に対してそれぞれ限られたレンジと限られた感度しか有しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】DE19911103A1
【特許文献2】EP1161782B1
【特許文献3】DE10044404C2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、優れた操作を提供し又はより速い調節を可能にするために、繰り返し率、共振器内を循環するパルスの群一周時間及び/又は共振器放射の搬送オフセット周波数を変更又は制御する可能性を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的は、本発明により、請求項1の特徴を有する光共振装置により又は請求項17の特徴を有する方法により達成される。本発明の有利な実施形態は従属請求項にて説明される。
【0020】
本発明によれば、2以上の干渉計レッグ(干渉計アーム)を有する干渉計が共振器に設置される。この干渉計は、共振器内を循環する放射線、すなわち共振器内を循環するパルスを、干渉計レッグの一方のための第1部分と第2の干渉計レッグのための第2部分に分ける(2以上の干渉計レッグが存在する場合、別な部分が寄与する)。本発明によれば、2つの干渉計レッグに沿う光路長は互いに異なる。これは、干渉計を通過した後、再結合されたとき、すなわち互いに干渉したとき、2つの放射線部分の群一周時間及び/又は位相一周時間が互いに異なることを意味する。本発明の1つの例示の実施形態では、位相n×2×πを有する特定の目標周波数fz(および関連する目標波長λz)の光が干渉し、それゆえ構造的に重なるように、干渉計レッグは構成される。
【0021】
本発明によれば、干渉計が共振器内を循環する放射線を第1干渉計レッグと第2干渉計レッグに分割する分割比は可変的に調節できる。2つの干渉計レッグに沿う光路長を同時に変更せずに干渉計の分割比を変えると、周波数fzに関連する波の干渉位相は変わらない。他方で、搬送周波数fc=fzで循環するパルスの群中心は変わる、すなわち、干渉計を通過した後、生じる放射線は全体的に、分割比を変える際共振器内での群一周時間の変化を受けた。群一周時間の変化は共振器の繰り返し率(同義語:パルス繰り返し率)の変化を生じるので、分割比の変更はこの繰り返し率の変化を同時に生じる。
【0022】
周波数領域(図1B)では、これは、周波数fのコムが固定点ffix=fzの周りでアコーディオンのように広がり、すなわち隣接する節間の間隔が一様の倍率で増加又は減少することを意味する。これは、もちろん同時に搬送エンベロープオフセット周波数f、すなわち図1Bに示される所謂周波数コムのオフセット周波数が変化することを意味する。干渉計のk個の異なる経路からの干渉のための群遅延は、経路i=1・・・、kに沿う電場の個々の振幅から数学的に計算できる。
【0023】
本発明は、光共振装置、特にレーザー共振器装置の分野で特に有利に適用できる。特に有利には、本発明は、周波数コムの生成又は微調整、及び、短パルス若しくは超短パルス共振器の特性(例えば繰り返し率)の調節のために使用できる。各々のレーザーパルスは、ピコ秒又はフェムト秒の範囲にパルス周期を有してもよい。他方で、本発明は、より大きい又はより少ないパルス周期に対しても適用可能である。
【0024】
本発明は、専用の方法で固定点の周りで共振器の共振線を拡大又は収縮することができる。固定点の位置は或る範囲内で自由に選択でき、好ましい実施ではその位置は影響されるレーザー放射線の搬送周波数の近傍にある。ここで本発明は、低くて特に速い調節時間、特に1μs未満の調節時間を可能にする。特に特徴的なのは、この新規な方法が、同等の速い繰り返し率コントローラより相当大きい範囲を可能にし、それで適当な状況下において増大された範囲の付加的なスロー素子を必要としないことである。搬送エンベロープオフセット周波数への同時の影響が問題でなければ、本発明はまた、ゼロの周りで共振線をそれぞれ拡大及び収縮するクラシックな繰り返し率コントローラに取って代わる又は補充する。
【0025】
ゆえに、本発明の特有の利点は、共振線が具体的に選択した固定点回りで、特に光放射の搬送周波数の周りで拡大又は収縮されるという事実にある。これは、光学基準周波数に対する周波数コムの安定化のために特に有益である。1つの特定の実施形態では、本発明は、特に速い制御速度、特に1μs未満の調節を可能にする。加えて、速い変形例の範囲又は感度は従来の速い繰り返し率コントローラよりもかなり大きい。特に頑強な実施が導波管を用いて達成される。大きい達成可能な信号感度のために、自由ビーム素子を用いた実施も有利であり、これは特にこのようにして挿入ダンピングが低レベルで維持され、10%、5%又は1%未満のロスが一般的だからである。本発明のさらなる利点は、当該方法が可動部品なしで実施でき、それにより非常にコンパクトで堅牢な構造がもたらされるという事実である。とくに、それは自由ビームレーザー(固体レーザー、気体レーザー又は色素レーザー)における、又は一般にレーザー共振器が比較的高いQを有するレーザーにおける使用に適している。
【0026】
好ましくは、共振装置は、放射線の2つの干渉計レッグへの分割比を調節するためのアクチュエーター又は制御素子を有している。アクチュエーターにより、分割比の自動的で従ってずっと速い調節が可能になる。アクチュエーターは理想的には、少なくとも10kHz、少なくとも100kHz又は少なくとも1000kHzの制御バンド幅を有し、従って放射線の2つの干渉計レッグへの分割比の非常に速い変更を可能にし、ゆえに共振器内のパルスの一周時間(往復時間)の非常に速い調節を可能にする。
【0027】
先に記載したように、干渉計は2つの干渉計レッグを有するだけでなく、3以上の干渉計レッグを有してもよい。とりわけ、これは多数の二光束干渉計を交互配置することで達成されてもよい。この場合、好ましくは、干渉計のうちの1つが共振器内を循環する放射線を2つの干渉計レッグに分割する分割比が可変に調節可能である。それに代えて同時に、分割比は3以上の干渉計レッグに対して与えられてもよい。
【0028】
好ましくは、共振装置は、共振の位置を測定するように、特に共振器で発生される又は得られる周波数コムの搬送エンベロープオフセット周波数及び/又は繰り返し率を決定するように構成された測定装置を有する。測定装置の信号はコントローラ又は評価ユニットに入力されてもよく、所望の繰り返し率を調節するために適当な評価、例えば目標値との比較の後に使用されてもよい。
【0029】
干渉計が少なくとも1つの複屈折光学素子を有すること、又は干渉計全体がこのような複屈折光学素子により実現されることが考えられる。その際、異なる干渉計レッグが2つの偏光方向に沿って実現される。これは、2つの光学干渉計レッグが幾何学的に同一であってもよい、すなわち非常にコンパクトで安定した共振装置が得られるという利点を有する。さらに、分割比を変えるために、それぞれの複屈折光学素子は非常に速く制御できる。複屈折効果に代えて、偏光依存する一周時間遅延及び/又は位相遅延をもたらす他のいかなる効果が使用されてもよい。例えば、これは、非球面状の湾曲ミラーでの反射の際の位相遅延、又は非直交入射での反射の際のs偏光とp偏光との位相オフセットである。位相オフセットの大きさは場合によっては例えば反射角度によって調節可能である。
【0030】
特に、前記少なくとも1つの複屈折光学素子は、共振器における放射線の共振搬送波のための整数波長板、すなわちn×λ板であってもよく、nはn≧1を有する整数である。このような複屈折光学素子は、2つのレッグを有する干渉計の非常にコンパクトな形状を表す。干渉計の第1レッグは普通でないビーム部分の経路からなり、第2レッグは干渉計内を循環する放射線の普通のビーム部分からなる。整数波長板は、2つのビーム部分のポジティブな干渉が波長板の通過後に、すなわち或る目標周波数fzに対して達成されるような力をまさに有する。1つの好ましい実施形態では、fzは共振器内を循環する放射線の搬送周波数fcの近傍で選択される。例えば放射線の入射偏光を変えることで又は整数波長板自体を回転させることで、この干渉計での分割比を変える際、放射線の平均群一周遅延と、従って共振器の繰り返し率とが変えられる。一般に、干渉計(又は干渉計の特定の構成部品)が共振する目標周波数fzは、伝送損失が共振器の使用に合致するように選択される。
【0031】
好ましくは、干渉計は以下の光学素子、すなわち偏光フィルター、偏光調節器又はアクチュエーター、λ板、n≧2を有するnλ板、λ/2板、λ/4板、電気光学変調器(EOM)及び/又は可変に調節可能な液晶又は強誘電体結晶の1又は複数を含む。ここで、EOM又は可変に調節可能な液晶は、特に偏光の変化又は複屈折の向き及びそれに関連する、異なる干渉計レッグにおける、例えば調節可能な複屈折物質自体の又は別な複屈折素子の異なる軸におけるビーム部分間の分割比の変化に関して、制御可能な、従って変更可能な複屈折素子として使用される。
【0032】
さらに本発明の共振装置は、本発明の干渉計をレーザー放射線が両方向に通過するように、線形構造を有し又は線形経路を含むことが考えられる。この場合、構成部品が繰り返し使用され及び/又は優れた制御精度と頑強性が実現されるように、干渉計は反射を利用することで構成されてもよい。また、構成部品の有利な使用並びに増加した安定性が幾何学的な折り曲げによって達成されてもよい。
【0033】
共振器、特に線形経路を有する共振器は、特定の実施形態において、非線形光学ループミラー(NOLM)又は他の飽和性吸収体、特にカーレンズ又は半導体ベースの飽和性吸収体を含んでもよい。
【0034】
長さL1,L2を有する干渉計の前記少なくとも2つの干渉計レッグに加えて、この干渉計と交互配置される干渉計が存在してもよい。このようにして、適当な基本状態の周りの伝送帯域及び/又は共振線の所望のオフセットのバンド幅は、このような交互配置された干渉計のないときよりも大きい。このような交互配置された装置は、例えば複屈折物質の速い軸と遅い軸のそれぞれが互いに実質的に正反対である、少なくとも2つの複屈折光学素子(例えば波長板)を使用することで実現されてもよい。分割比を変えるために、波長板の互いに対する向きが変えられ、特に2つの波長板の一方だけがその向きを変えられ、及び/又は、2つの波長板での放射線の偏光が異なって影響を受ける。
【0035】
本発明は理想的には、利得媒体を含む共振器に関連して又は共振器に結合する放射線のための利得媒体も増幅器媒体も含まない所謂「冷たい」共振器に関連して使用されてもよい。
【0036】
特に本発明は、短パルス又は周波数コムの発生のために使用されると望ましい。この目的のため、増幅器媒体に加えて、能動若しくは受動モード結合素子が共振器に備えられる。ここで適当な候補は、振幅変調器若しくは位相変調器、又はカー素子、カーレンズなどの非線形光学素子、非線形光学ループミラー及び/又は半導体ベースの飽和性吸収体である。
【0037】
1又は複数の増幅媒体を有する本発明に係る共振器は有利には、例えばレーザー共振器を1又は複数のインジェクション源に対して同調させるために、モード結合素子無しでも使用できる。このようなインジェクション源は個々のレーザー周波数を与えるが、特に例えばモード結合レーザーのための多数の構成部品の周波数コム状スペクトルを与える。
【0038】
さらに、本発明に係る共振器はレーザーモードをさらにフィルターにかけるために、モード結合レーザー内で使用されてもよく、それによりこのようにして周囲のレーザー共振器の調和モード結合が生じる。
【0039】
本発明に係る多数の共振器が有利には、装置内で、連続配置と交互配置の両方で使用されてもよい。
【0040】
また、1つの共振器内で、多数の干渉計が連続的に又は介在的に配置されもよい。特に、多数の制御素子が存在してもよい。有利には、異なる固定点周波数ffix,f’fixの周りで共振器モードを拡大又は収縮する制御素子が同時に使用されもよい。
【0041】
本発明の共振器は有利には、共振器に結合する放射線をフィルターにかける及び/又は増幅するための増幅媒体を用いて又は用いずに使用される。フィルタリングは例えば、共振器に結合するレーザー放射線のパルス繰り返し率を増やすために使用される。1つの有利な実施形態では、本発明の共振器のモード間隔はこの場合共振器に結合する放射線の整数倍である。別な実施形態では、本発明の共振器は、入射放射線のモード間隔に比べて1以外の有理数の分割比を有するモード間隔を有してもよい。このようにして、多数のパルスが本発明の共振器内を同時に循環してもよく、包含されるモード周波数のフィルタリングは多数のパルスの入射と同時に実現されてもよい。分割比が1/kと記載され、kが整数であるときに、同時フィルタリングの無い多数のパルスの循環が得られる。
【0042】
共振器内部の増幅は、非線形プロセスを行うために、特にガスジェットにおいてより高調波周波数の生成によりUV光及びEUV光を調達するのに、特に意義深い。この場合、より高調波の生成のために使用される共振器内部の媒体が高調波周波数の生成の間にその屈折率、特にその分散を非常に激しく変え、そのため共振器が共振器に結合する放射線に対して離調されることは望ましくない。ここで提案する本発明により、共振の位置に関して及び共振の間隔に関しても共振器の速い再調節が可能となる。同様にして、増幅は有利には、基本波の第二高調波の光の生成のため、和周波数及び差周波数の生成による光の調達のため、及び光パラメトリックプロセスによる光の生成及び増幅のために使用されてもよい。
【0043】
さらには、本発明は、共振装置の共振位置を多数の目標共振に適合させるために使用できる。例えば、1又は2の共振の位置が特に調節できる。有利なアプリケーションは、和周波数の形成中の連続波レーザーの増幅と、光パラメトリック発振器(OPO)のチューニングである。さらに、本発明は基準共振器のために使用できる。例えば、本発明により、平均値を変えずに共通の共振器に対して安定化された2つのレーザーの互いに対して周波数を離調することができる。これに関連して、使用される波長に対して2πの整数倍、例えば第一波長に対して2×2π、第二波長に対して3×2πの位相オフセットを示す波長板を使用すると有利である。
【0044】
さらに本発明は、共振器の繰り返し率又は共振器内を循環するパルスの群一周時間及び/又は位相一周時間を調節するための方法にも関する。群一周時間の調節は共振器の繰り返し率の調節に等しい。本発明の方法は、2以上のレッグを有する干渉計が共振器に配置され、干渉計が共振器内を循環するパルスを2つの異なるパルス部分に分割する分割比が変更される又は特に調節されることを特徴とする。このようにして、前述した利点が得られる。
【0045】
本方法は、前述のように特定された構造的特徴又は図に関連して記載された特徴の1又は複数の使用法を適切に含んでもよい。
【0046】
必要なら、本発明は、分割比を異なる干渉計レッグに変える又は変更する際、共振器内の搬送波の位相一周時間を同時に変えることなく共振器内を循環するパルスの群一周時間の変更を可能にする。これにより、群一周時間(すなわち、繰り返し率)の変更の間、搬送周波数fcの周りの或る周波数ffixの大きさが正確に一定に維持され、すなわち共振器で生成された周波数コムのモードが正確にこの一定の周波数のように互いから遠ざかって(又は互いに向かって)アコーディオンのように又はファンのようにシフトすることになる。これは、共振器の安定化がこの一定の周波数ffixで又は近くに隣接する周波数で生じるときに特に有利である。
【0047】
他方で、放射線の2つの干渉計レッグへの分割比が変えられる場合、パルスの群一周時間と搬送波の位相一周時間を同時に変更することも可能である。このような効果は、例えば分割比の調節の際に生じる付加的な位相シフトによって達成できる。特定の範囲内で、これは、搬送波fcと異なるように干渉計の共振周波数fzを選択することで、達成できる。周波数領域では、これは、その周りで周波数コムがファンのように拡大(又は収縮)する固定点がパルスの搬送周波数と一致しないことを意味する。特に、固定点周波数ffixは共振器内を循環するスペクトルの外側にあってもよい。
【0048】
干渉計が共振器内を循環するパルスを第1パルス部分と第2パルス部分に分割する分割比を変更する際に、共振器内を循環するパルスの一周ロスが理想的には全く変化しない又は僅かしか変化しない(例えば1%、5%、10%又はせいぜい20%未満)と有益である。このようにして、共振器を出る放射線の平均出力は繰り返し率と一周時間のそれぞれの変化と無関係である。これは、繰り返し率を調節する際の強度変化であって、特にアクティブな共振器のための別なレーザーパラメーターに望ましくないクロストークを生じさせる強度変化の発生を低減する。先に特定した割合は、パルス繰り返し率frepのfrep/mだけの変化に関連し、ここでmは方程式(1)に従う共振器の縦モード数であり、又はモード間隔frepに従う搬送エンベロープオフセット周波数fの変化に関連する。パルス繰り返し率の小さめの変化に対しては、伝送の変化は対応的に減少する。
【0049】
共振器内を循環するパルスの目標波長λzのための少なくとも1つの整数波長板が干渉計として使用され、分割比を調節するために共振器の光軸の周りに回転される場合、共振器における偏光放射線のための干渉計は便利な態様で実現、調節できる。それに代えて、波長板に入射する偏光が回転されたり、その長円率を変更されたりしてもよい。
【0050】
このタイプの一般的なアプリケーションでは、偏光は、例えば偏光選択素子、特に偏光フィルター又はポールビームスプリッターによって、共振器における少なくとも1つの位置で固定される。干渉計入口に存在する偏光を変化させる光学素子が共振器に備えられる。干渉計だけが共振器に配置され、偏光が外部の状況、例えば共振器に結合する放射線により設定されることも考えられる。干渉計において、2以上のパルス部分への、対応する数への分割、すなわち2以上の干渉計レッグへの分割が適用でき、干渉計が共振器内を循環するパルスをこれら干渉計レッグの2以上に分割する分割比が可変に調節できることは既に説明した。
【0051】
一定の周波数ffixが搬送周波数fcの少なくとも1.1倍、すなわちffix>1.1fcであると、本発明にとって特に有益である。一定の周波数ffixが搬送周波数fcの1/10より大きく、同時に0.9倍より小さい、すなわち0.1fc<ffix<0.9fcであるときにも有益である。
【0052】
以下では、本発明の有利な実施形態を図面を参照しつつより詳細に説明する。特に図は以下のようである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1図1aは、連続パルスのうちの2つの続いて生じるレーザーパルスとそれに関連する搬送波を示す。水平軸は時間を表し、縦軸は電場を表す。図1bは、図1aのレーザーパルスに関連する周波数コムを示す。水平軸は周波数を表し、縦軸はそれぞれの周波数の強度を表す。
図2】リング共振器を含む共振装置の第1実施形態を示す。
図3】線形共振器を含む共振装置の第2実施形態を示す。
図4】共振装置内の干渉計の概略図である。
図5a】繰り返し率frepを有する図1bに対応する周波数コムを示す。
図5b】変更された繰り返し率インサートを有する第2周波数コムを示す。
図6】干渉計の分割アクチュエーターの実施形態を示す。
図7】干渉計の第2実施形態を示す。
図8】干渉計の第3実施形態を示す。
図9】干渉計の第4実施形態を示す。
図10】偏光アクチュエーターの実施形態を示す。
図11】フィルター共振器又はゲイン共振器の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
全図を通して、同様の部品は同じ参照符号で示されている。
【0055】
図2は、ここではリング共振器として構成された共振器2を有する、本発明に係る共振装置1を概略的に示す。共振器2は、2つの湾曲ミラー3,4及び2つの平面偏向ミラー5,6を有する。レーザー媒体7、例えばTi:Saなどのレーザークリスタルが、2つの湾曲ミラー3,4の間、特に2つの湾曲ミラー3,4の凹面曲率で定められる焦点の位置に配置されている。1つの湾曲ミラー3は半透明であり、それゆえポンプ光Pを共振器2へ結合させる結合ミラーとして使用される。1つの平面ミラー6も共振器2の折られた軸上を循環する放射線8に対して半透過性であり、それゆえレーザー放射線を共振器2から外へ結合させる外結合ミラーとして使用される。放射線8は、例示で示された1又は複数のパルス110の形式で共振器2内を循環する(図1aも参照)。ミラー3〜6の間の光路長にわたって、共振器は周波数fcを有する搬送波120に共振するように構成されている。
【0056】
リング共振器2の内部には、干渉計9が設置されている。この干渉計の構成と本発明にとってのその重要性を以下でより詳細に説明する。さらに、共振器2は、この実施形態によれば、モード結合器M、例えばカーレンズモード結合器(KLM)、半導体ベースの飽和性吸収体又は非線形光学ループを有する。
【0057】
共振器2の外側で、共振装置1は放射線8の光路内に、レーザー放射線8の一部を測定装置11に導くビームスプリッター10を有する。測定装置11は、共振器2を出る放射線8の1又は複数の特性(例えばレーザーパルス110が共振器2を出る際のパルス繰り返し数や(同義の)繰り返し率)、共振器2を出る周波数コムの特定のモードfcの正確な位置、及び/又は、共振器2の(平均)出力を検出するように構成されている。
【0058】
この目的のため、測定装置11は、多数の測定手段やセンサー(例えばフォトダイオード)からなる好適な群を有してもよい。
【0059】
データ線12を介して、測定信号が測定装置11から評価・制御ユニット13に伝送される。評価・制御ユニットは例えば制御エレクトロニクス、コンピューター又はCPUであってもよい。評価・制御ユニットは、測定信号から情報を生成し、所定の、場合によりプログラム可能な目標閾値から測定信号のずれを決定するように適当に設計及び/又はプログラムされている。評価・制御ユニットは次に、適当な制御線14を介して、干渉計9に作用するアクチュエーター又は制御素子15にアクセスする。アクチュエーター15は、共振器2内を循環する放射線8が干渉計9の様々なレッグに分配される分割比を変更又は調節するように構成されている。
【0060】
図3は、この場合「線形共振器2」を有する共振装置1の第2実施形態を示す。共振器端部ミラーのうちの1つは平面ミラー16である。このミラー16は、共振器2の半透明外結合ミラーとして構成されてもよい。しかし、この実施形態では他の共振器端部ミラーは、非線形光学ループミラー(Nonlinear Optical Loop Mirror, NOLM)17の形式のモード結合器Mである。これはここでは、非線形増幅光学ループミラー(Nonlinear amplifying Optical Loop Mirror, NALM)として構成されている。NALMは光ファイバー18を有し、その2つの端部はビームスプリッター又は結合器19に統合されている。結合器19はNALMを共振器2の線形部に結合する。NALMにおいて、すなわちループミラー17において、増幅部分21、すなわち適当な不純原子をドープしたファイバー18の領域が設けられている。当該ドープ領域はポンプ結合器20を介して光学ポンプ光源22によって励起される。共振器の線形部、すなわち平面端部ミラー16とループミラー17の間の部分には、本発明に従う干渉計9を配置している。
【0061】
増幅非線形ループミラー17に代えて、図3の線形共振器2は、別な平面端部ミラー又は他の種類の光学後方反射素子(例えばブラッグ格子、ファイバーブラッグ格子)又は場合により非増幅型の光学線形ループミラー若しくは光学非線形ループミラーを有してもよい。加えて、よりコンパクトな共振装置1を得るために、2つの共振器端部ミラー16,17の間の放射線8の経路は折り曲げられてもよく、例えばV型、Z型、W型を有してもよい。また放射線が両方向(すなわち、前後)に所謂線形部分上を伝播する限り、このように折られた共振装置は本発明の意味の範囲内で「線形共振器」と見なされる。
【0062】
この点で、本発明に係る共振装置1のどの形式も場合により、活性レーザー媒体7(図2,3に例示的に示される)を具備してもよく、又は活性レーザー媒体を具備しなくてもよい、すなわち「冷たい」共振器として構成されてもよいことに留意されたい。
【0063】
図3に従う共振装置1は、ちょうど図2に従う実施形態のように、素子10〜15、すなわちビームスプリッター10、測定装置11、評価・制御ユニット13、データ・制御線12,14、及び、放射線8が干渉計9の2以上のレッグに分配される分割比を調節・偏向するように設計されたアクチュエーター又は制御素子15を有する。単に明確性のために、これらの部品は図3には示されていない。
【0064】
図4は、概略図の形式で、本発明に係る共振装置1における干渉計9の第1実施形態を示す。放射線8は入口23にて干渉計9に入る一方、出口24にて干渉計9を出る。干渉計9はさらに、入射放射線8を第1干渉計レッグ9aに沿う第1部分8aと第2干渉計レッグ9bを通過する第2ビーム部分8bとに分割する第1ビームスプリッター25を有する。
【0065】
ミラー26,27が2つの干渉計レッグ9a,9bの各々に設置されている。ミラーは、それぞれの干渉計レッグ9a,9bの放射線8a,8bを、光が出口24にて干渉計9を出る前に2つの干渉計レッグ9a,9bからの放射線又はパルス部分8a,8bが互いに干渉する第2ビームスプリッター28へ導く。
【0066】
本発明の重要な側面は、第1干渉計レッグ9aが、第2干渉計レッグ9bの光路長L2とは異なる光路長L1を有することである。光路長L1,L2の各々はここでは、それぞれの干渉計レッグ9a,9bのための幾何学的長さと屈折率の積に対する積分として定義される。本発明の枠組み内で、群速度と位相速度を区別することが重要であり、ゆえに光路長は、パルスの群中心(添え字「g」)と搬送波の位相(添え字「ph」)に対して示される。積分を計算する際、それぞれの屈折率が役立つ。本発明にとって重要なことは、とりわけ、干渉計レッグに沿う群波長の多様性である。図4に示すように、幾何学的光路長が同一であっても、2つの干渉計レッグ9a,9bの一方がそこに、少なくとも部分的に、他方の干渉計レッグ9a,9bに備えられた物質とは異なる屈折率の物質を有する場合、光路長L1,L2は互いに異なってもよい。
【0067】
義務的ではないが様々な使用のケースで明確に望ましい構成は、2つの光(位相)路長Lph1,Lph2の差の大きさが、波長λ又は共振器が作動される搬送波120の整数倍n×λに正確に一致するという性質である。2つの干渉計レッグ9a,9bでの光路長Lph1,Lph2は好ましくは共振装置1の操作の間一定である。
【0068】
本発明によれば、第1ビームスプリッター25が入射してくる放射線8を第1ビーム部分8aと第2ビーム部分8bに分割する分割比は可変に調節でき、当該ビーム部分8a,8bの各々は2つの干渉計レッグ9a,9bのそれぞれ1つに沿って干渉計9を通過する。第1干渉計レッグ9aにおける第1ビーム部分8aはここで、例えば0〜100%の間で連続的に可変であるが、0〜1%、0〜5%、47〜53%又は40〜60%などのより小さい範囲内で調節されてもよい。適切な選択は、一周時間の変更の際実現すべき範囲に従い及び干渉計の所望の光学バンド幅に従い判断される。短めのパルス波は一般的に大きめのバンド幅を必要とする。次に、補足的な第2ビーム部分8bはビームスプリッター25から第2干渉計レッグ9bに伝えられる。非常に単純な実施形態の場合、分割比はビームスプリッター25を手動で調節することで変更できる。より便利な実施形態によれば、図2,3に示すように、アクチュエーター又は制御素子15が設けられ、これは、自動的に、すなわちユーザー側の付加的な動作無しに、ビームスプリッター25及び/又はビームスプリッター28に作用し、2つの干渉計レッグ9a,9bに関する分割比を変化させることができる。
【0069】
2つの干渉計レッグ9a,9b間の光路長差Lph1−Lph2の大きさが共振器2で共振する搬送周波数fcの整数倍n×λc(n≧1)に一致する特別な場合のために、図5a,5bは本発明が実現できることを示す。図5aはここでは、共振器2のパルス繰り返し率(繰り返し率)と搬送エンベロープオフセット周波数(CEO周波数)fに一致する、隣接する全体の等距離モード間の間隔frepを有する図1bで既に示された同じ周波数コムを再度示している。周波数コムは周波数fcでその強度最大値に達する。ここで概略的に示された変形例では、周波数fc(及び波長λc=c/fc)を有する搬送波が干渉計9の出口でポジティブに干渉するように、干渉計9は調節される。図5aは、例えば分割比A=a:bの場合に得られ、aは第1干渉計レッグ9aでの放射線の部分を表すのに対し、bは第2干渉計レッグ9bでの放射線の部分を表す。
【0070】
ここで議論したケースでは、第1干渉計レッグ9aでの光路長L1は第2干渉計レッグ9bでの光路長L2より小さい。本発明に従う方法では、すなわち共振装置1が操作中のときに、例えば第2分割比A’=a’:b’=(a+x):(b−x)が得られるように、分割比Aは今変えられる。言い換えれば、放射線8の大部分が「短い」第1干渉計レッグ9aに伝えられるように、ビームスプリッター25はアクチュエーター15によって手動で又は自動で修正される。ここで、光が干渉計9の出口で依然としてポジティブに干渉するように2つの光路長L1,L2は一定のままであるが、分割比の変更は、放射線8の大部分が共振器2における以前より短い群一周時間を有する効果をもたらす。それにより、共振器2での放射線8の平均群一周時間が減少し、従って共振器2の繰り返し率が増大して新たな大きめの値f’repが得られることになる。これは、新たなモード間隔f’repを有する結果的に生じる周波数コムを示す図5bにおいて見られる。
【0071】
固定点、すなわち共振周波数fcでは、周波数コムの強度最大値が依然として生じており、共振点fcはシフトしていない。しかしながら、この固定点fcの周りで、他のモードが、ファン形状に又はコンサーティーナのように「広がって」いる。これはまた、オフセット周波数f’が変化するという効果をもたらした。本実施形態では、先のオフセット周波数fが言わばゼロ線を超えてシフトし、それで共振器2の新たな線が新たなオフセット周波数f’を画定する程に、共振器2の繰り返し率は変えられた。
【0072】
言うまでもなく、共振装置1は対応する態様で逆方向に作用する。分割比A(図5a参照)から始まって、循環する放射線8の大部分が「長い」第2干渉計レッグ9bに伝達された場合、平均群一周時間が増加し、それゆえ図5aから始まって繰り返し率frepが減少する。周波数コムは固定点fcの周りで言わば収縮する(近寄る)。
【0073】
分割比の変化の後、共振器2がもはや搬送周波数fcに対して共振せず、新たな共振周波数に対して共振する構成も考えられる。この場合、全体の周波数コムは、搬送周波数fcとは異なる固定点ffixの周りで広がる又は収縮する。
【0074】
図6は、干渉計9と特にそのビームスプリッターを巨視的に実現する第1の可能性を示す。図4に従う2つのビームスプリッター25,28の各々はここでは、偏光ビームスプリッター29及び偏光ビームスプリッター30の組み合わせとして構成されている。偏光ビームスプリッター30はアクチュエーター15で制御され回転する複屈折素子、より具体的には回転可能な半波長板30であってもよい。半波長板30の回転位置の変化は、2つの干渉計レッグ9a,9bのための2つのビーム部分8a,8bに対する入射放射線8の分割比の変化を生じさせる。
【0075】
図7は、第1の変形例よりもっと頑強な干渉計の第2の実施形態を示す。図7に従う干渉計9も入口23と出口24を有し、これらの間に第1偏光子31と第2偏光子32が設置され、これら偏光子の間に、向きが可変に調節可能なn×λ(n≧1)を有する整数波長板である複屈折素子33が設置されている。共振器2で使用されるとき、幾つかの他の偏光素子又は偏光選択素子が一般に既に存在するので、偏光子31,32はこの実施形態の場合オプションである。加えて、偏光は幾つかのケースでは外側から、例えば結合される放射線の偏光によって予め決定できる。共振器内の偏光素子の利点は、共振器の二重モード状態とそれから生じる偏光モード分割が避けられる点に見られる。
【0076】
nλ波長板33は、その表面で入ってくる放射線8を、普通の軸に沿う第1ビーム部分8aと複屈折の普通でない軸(特別な軸)に沿う第2ビーム部分8bに分割する。波長板33の出口面では、2つのビーム部分8a,8bが再びポジティブに重なり、光路長差Lph1−Lph2は固定点周波数ffixの波長の整数倍である。普通及び普通でないビーム部分8a,8bの2つの経路はここでは幾何学的に重なっており、すなわちそれらは幾何学的に一致する。しかし、それらビーム部分は屈折率の点で、従って光路長L1,L2に関して互いに異なる。これは図7に概略的に示されている。したがって、干渉計9の2つのレッグ9a,9bは、複屈折素子33の2つの表面の間で共振器2の軸方向に延びる。
【0077】
分割比の変化、従って平均群一周速度の変化、従って最終的に共振器2の繰り返し率の変化が、波長板33を回転させることで達成される。本実施形態がアクチュエーター15を有するとき、これはロータリーアクチュエーターの形式で波長板33に作用してもよい。
【0078】
2つの干渉計レッグ9a,9bの差が大きいほど、すなわち差Lph1−Lph2の大きさが大きいほど、平均群一周遅延の、2つのビーム部分8a,8bの分割比への依存が高くなる。波長板33による実施の場合、波長板33の高めの次数nによって高めの角度感度、すなわち波長板33の同じ回転に基づく共振器2の繰り返し率の大きめの変化が達成される。最も高い角度感度は±45°のまわりで、すなわち両方の干渉計レッグでのビーム部分が略同一であるときに達成される。しかしながら、整数nλ波長板の過度に高い次数nは、伝送及び/又は意図する線シフトの高い波長依存をもたらし、それにより共振装置1のバンド幅が制限される。
【0079】
図8は、干渉計9の別な実施形態を示す。単一の複屈折素子がここでは2つの複屈折素子34,35に置き換えられており、これらは(オプションの)偏光子31,32の間に再び配置されている。2つの複屈折素子34,35の各々は、共振周波数fzの同じ波長λzのための整数波長板34,35からなる。好ましい変形例によれば、波長板34,35は、互いに異ならない又は互いに少ししか異ならない次数n,n’を有する(例えば、|n−n’|=0)。再度好ましい変形例によれば、波長板は互いに実質的に対向して置かれ、すなわち互いに約90°の角度で配置されるように、これら波長板は互いに対して指向している。2つの波長板のうちの少なくとも1つ、例えば第2波長板35は可変の向きを有し、入射偏光は便宜的に波長板の光軸に対して約45°傾いている。この装置において、調節可能な複屈折素子35は図7における素子33と同様に使用されるが、固定された複屈折素子34はその平常位置(初期位置)で調節可能な素子35の複屈折を補償する。このようにして、装置の高い光伝送帯域が実現される。
【0080】
より複雑な表現では、図8に概略的に示す装置は4本レッグ干渉計として描写されている。ここでは幾何学的に同一である、レッグ9aa’,9ab’,9ba’,9bb’を有するこの4本レッグ干渉計の光路長L1+L1’,L1+L2’,L2+L1’,L2+L2’が図8に示されている。簡単のために、第2干渉計レッグ9b,9b’の部分が、第1干渉計レッグ9a,9a’の部分に対してサイドに僅かにずれて示されている。図7に従う変形例とは対照的に、図8に従う干渉計9の実施形態は、回転感知可能な平常位置で、全てのビーム部分がそれぞれに長さL1+L2’,L2+L1’を有する2つの干渉計レッグに案内される、という利点を有する。波長板の次数nとn’(特にn=n’に対して)の小さな差がある場合、これは、干渉計9の伝送が波長依存しないこと、又は波長依存のロスが補償波長板無しよりも小さいことを意味する。平常位置からのずれがある場合、小さい強度成分が他の2つのレッグに付加されるのに対し、オリジナルレッグの部分は一次で変わらないままである。これは、波長板の互いに対する小さい角度偏向にとって、特に10°より小さい又は1°より小さい角度にとって、波長依存のロスが補償波長板無しよりも小さいことを意味する。次数n’と補償波長板の軸の向きの選択によって、伝送の広帯域化及び/又は目標とする共振線離調の調節が可能となる。全体として前記補償は、個々の波長板の比較的高い次数(例えばn=n’=5)が選択されても、高バンド幅が維持されるという効果を有する。従って、特に干渉計のスペクトル光学バンド幅及び従って共振器により生成された又は受信した周波数コムのスペクトル幅に実質的に影響せずに、搬送エンベロープオフセット周波数fの高制御感度を達成することができる。
【0081】
前記補償はまた、干渉計が共振するように調節される周波数fzが循環する放射線の周波数範囲の外にある時に意味を成す。搬送周波数fcに近い目標周波数fzのために、固定点周波数ffix=fzが補償波長板を有しない装置の場合のように得られる。目標周波数fzがfcとは明らかに異なるように選択される場合、補償されるセットアップは、固定点ffixが目標周波数fzともはや一致しなくなる傾向を示す。ここで記載する好ましい変形例では、ffixはfzに対してfcから離れてシフトする。これは、干渉計が共振するように調節される目標周波数fzが、狙いとする固定点周波数ffixよりfcに近く選択できることを意味する。ここで、伝送損失を所望の使用のケースに合致させるために搬送周波数fcに十分近い目標周波数fzを選択することは適切である。従って、適切に選択された目標周波数fzは固定点周波数ffixを調節するための大きい範囲を与える。
【0082】
例えば素子35の複屈折の補償が対称モードの装置において素子35の前後で1つの別な複屈折素子34だけでなく複数の複屈折素子(例えば2つの複屈折素子)によっても達成される限り、図8に示す装置は明らかな態様で改変できる。この改変された対称バージョンでのみ設けられる複屈折素子34’は図8において破線で示されている。さらに、波長板34の向きや波長板34に存在する循環放射線の偏光が調節可能なだけでなく、付加的な複屈折素子の向きやそこに存在するそれぞれの循環放射線の偏光も調節可能である。
【0083】
図9は、図7,8における干渉計9の回転可能な波長板(例えば、33,35)の別な又は拡張した実施形態を示す。この波長板33は、固定の向き(例えば45°)又は先のように可変の向きを有してもよい。装置は、複屈折素子33のまわりに配設された第1偏光調節器、第2偏光調節器を有する。2つの偏光調節器36,37及び/又は波長板33はアクチュエーター15がアクセス可能であり、それにより可変に調節できる。偏光調節器36,37はここでは特に、波長板33に達する放射線8の偏光を変えるように調節、例えば回転できる。このために、偏光調節器36,37は例えば、波長板と電気光学変調器との組み合わせ、ファラデー回転子、液晶要素又は強誘電体結晶を有して、調節可能な半波長板として実現される。図9では再び、2つの干渉計レッグ9a,9bが複屈折素子33の2つの表面の間に配置され、幾何学的に互いの上に位置することが示されている。再び、図9における2つの干渉計レッグ9a,9bの間のずれは、優れた明瞭性のためにのみ導入されている。目標範囲に依存して、2つの偏光調節器のうちの1つは省略されても、偏光子と置き換えられてもよい。
【0084】
図10は、偏光調節器36,37の各々がどのようにして詳細に構成されるかを示す。具体的には、偏光調節器36,37の各々は第一1/4波長板38と第二1/4波長板39を含み、波長λは好ましくは循環放射線の波長λcである。可変に調節可能な位相器40が2つの1/4波長板38,39の間に位置決めされる。これは、例えば、電気光学変調器(EOM)、制御可能な液晶、強誘電体結晶などの調節可能な複屈折素子、及び/又は、熱調節可能な、圧力調節可能な若しくは歪み調節可能な複屈折素子である。それは複屈折に熱的及び電気的に同時に影響を与えると予期される。特に、複屈折を調節するために、理想的には互いに対して90°だけ回転した軸を有する2以上の結晶が使用されてもよい。この場合、熱調節は2以上の結晶の間の温度差によって実行されてもよい。
【0085】
使用される位相器40の種類に応じて、残りの効果に重なる、付加的な全体的な位相遅延及び群遅延が生じてもよい。それら遅延は高周波数の固定点ffixの特定の調節のために使用されてもよい。例えば、電気光学結晶では、応力依存する全体的な位相遅延及び群遅延の大きさは結晶軸のアライメントと光ビームに対する電場により影響を受ける。偏光調節器36,37のために例えば光路の折り曲げ及び/又は反射により共通の素子を使用すると有利である。
【0086】
破線で、特定の目標波長(好ましくはλc)のための半波長板41,42が、第一1/4波長板38と位相器40の間及び/又は第二1/4波長板39と位相器40の間にオプションで挿入されることが描かれている。この半波長板41,42を回転させることで、放射線が循環的に偏光される位置で、複屈折の向きが変えられる。従って、このようにして、放射線8の位相は群遅延Δφを同時に生じることなく変えられる。
【0087】
例えば電気光学変調器を使用する際に有利には使用される、一種の光学レバレッジ効果を有する群遅延を引き起こせることは本発明の特有の特徴である。共振器2において1つの光学周期Tc=1/fcだけ一周時間を変化させるために、共振器における光路は1波長だけ変えられねばならない。この変化は自由ビーム領域における2πの位相シフト(位相ずれ)に対応する。この位相シフトは、例えば可動ミラーによって又は電気光学位相変調器によって引き起こされ、そのため一般に群遅延は位相遅延に略等しい。本発明によれば、経路の直接変化に代えて干渉計9の2つの部分の間での移行(Ueberblenden)による光路長が使用される。例えば、移行プロセスは、偏光ビームスプリッターの前又は複屈折素子の前で偏光角θを調節することで実現されてもよい。|L1−L2|=n*λの干渉計レッグ9a,9bの経路の差に対して、光路長の変化はΔL=n*λ/2*cos(2θ)=n*λ/2*sin(2(θ−45°))である。光路長の変化ΔLは、Δφ=2π/λ*Lのパルス110の群遅延差と等価である。2つの偏光方向の間の位相シフトの変化Δφが図10に従って偏光を回転させるために使用される場合、Δθ=Δφ/2の偏光の回転が得られる。これは今度は、ΔL=n*λ/2*sin(Δφ)の光路長の変化を生じさせ、小さいΔφに対して線形依存性ΔL=n*λ*Δφ/2となる。ΔL=λ*Δφ/(2π)を有する光路長の直接的変化と比べて、n*πの効果の拡張が得られる。この利点は、装置が搬送エンベロープ周波数のためのアクチュエーターとして使用されるときにも当てはまる。
【0088】
特に興味深いのは、干渉計9の透過率に併発する影響なしに又は少なくとも実質的な影響なしに群一周時間の変更が達成される干渉計9が実現されることである。先に説明した全ての実施形態で、分割比、従ってパルス110の平均群遅延の変更の際に搬送周波数fcの透過率に全く影響がない、又は実質的に影響がない。干渉計のバンド幅の適合に依存して、循環光全体に対する透過率の変更も低いレベルで又は無視できるレベルで維持される。
【0089】
しかしながら、干渉計の透過率が一定でない付加的な装置が考慮されもよい。このような状況は、干渉計レッグの間の光路差が搬送波λcの整数倍でないときに起こり得る。例えば、(n+1/2)*λcの光路差と後続の偏光子によって、依然として有利な構成が実現され、適当な基本状態で搬送周波数fcでの透過率が略1であり、二次式においてのみ基本状態からのずれだけ変化する一方、群一周時間はこのずれだけ線形的に変化する。
【0090】
本発明の共振装置1は、例えば固体レーザー又は他の種類のレーザーにおいて自由ビーム共振器によって使用できるだけでなく、ファイバーレーザーにおいても使用できる。共振装置1又は少なくとも干渉計9を導波管により微視的に実施することが考えられる。
【0091】
例えば、本発明は特に、特定のモードfc、所与の繰り返し率又は所定のオフセット周波数fの可変の調節性及び/又は安定化を伴う、光放射の増幅やフィルタリング及び周波数コムと超短パルスの発生にそれぞれ適している。
【0092】
図11は、本発明の共振器2がフィルタリング及び/又は増幅共振器として使用される実施形態を示す。4つのミラー3,4,5,6を有するリング共振器としてこの例で構成された共振器は、入口43で、好ましくは2以上の異なるスペクトル成分を含む光放射111を受ける。共振器の共振(モード)の位置が干渉計9により調節されるように、干渉計9は共振器2内に配置されている。共振器2により、入射放射線111の部分又は全体が増幅され、従って共振装置1の共振器2内で改変放射線110として循環する。オプションで、非線形光学素子45が共振器2に配置され、さらに共振器内部放射線110をさらに改変し、特に和周波混合及び/又は差周波混合によりその周波数を変更する。非線形素子45はそれに代えて、和周波混合及び差周波混合のために適切に構成されてもよく、又は光パラメトリックプロセスにより光を生成若しくは増幅するために又は基本波若しくは搬送波120の第二高調波(SHG)若しくはもっと高調波で放射線を生成するために選択されてもよい。例えばより高調波の生成によって、EUV光のためのUV光が生成できる。この目的のため、非線形光学素子45は例えばガスジェット又は非線形光学結晶であってもよい。場合により改変された共振器内部放射線は、出口44で(出る放射線112として)共振器2の外側に結合する。共振器2の幾何学的構成は説明的性質を有する。例えば、線形共振器2も使用されてもよく、又は入口43と出口44が結合されてもよい。
【0093】
例示した実施形態に基づき、本発明の共振装置1はこの目的のために多くの方法で変形されてもよい。特に、干渉計9内に1つの第1干渉計レッグ9a及び1つの第2干渉計レッグ9bが設けられるだけでなく、3以上のレッグが設けられ、分割比が多数の干渉計レッグの2以上に可変に調節可能であることが考えられる。これは、例えば図4に従う干渉計9における干渉計レッグ9a,9bの一方または両方において、別な干渉計が組み合わされるときに実現されうる。その構成は再び図4に従う構成と一致し、例えば図6〜10に示された変形例のうちの1つにおいて実現されてもよい。図9自体は、このような交互配置された干渉計9のための例である。既に記載したように、全ての波長板が同じ波長(例えばλc)の周りに調整されて、固定点に影響を及ぼすポテンシャルを与える必要はない。さらに、光路の反射又は偏向が最適で部品節約な構成を可能にすることは明らかである。複屈折に変えて、伝播時間又は位相の偏光依存シフトを引き起こす他の効果が使用されてもよい。
【0094】
周波数コムアプリケーションで使用されるとき、本発明の共振器は従来のレーザー源に取って代わる。従って、生成放射線は、非線形ステップにより、特にスペクトル広がり、周波数二倍又は逓倍、差周波発生、和周波発生又はラマンシフトによってその特性を変えられてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 光共振装置
2 共振器
8 放射線
9 干渉計
9a 第1干渉計レッグ
9b 第2干渉計レッグ
L1 第1光路長
L2 第2光路長
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
図11