(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の回路部および前記第2の回路部のそれぞれに含まれたスイッチング素子は、前記測定部の測定結果に応じてターンオン/ターンオフされる電力用半導体素子であることを特徴とする、請求項1または2に記載の直流遮断器。
前記第1のスイッチング素子は、前記測定部の測定結果に応じて前記直流電流を遮断して、前記直流電流が前記第2の回路部に迂回されるようにしてあることを特徴とする、請求項5に記載の直流遮断器。
前記第1の接点部は、通常時には閉路されており、前記第2の回路部に含まれた駆動コイルに電流が流れるときに開路されることを特徴とする、請求項5に記載の直流遮断器。
前記インピーダンス素子は、正常状態時に、前記第2の回路部のインピーダンスが前記第1の回路部のインピーダンスより高く維持されるようにしてあることを特徴とする、請求項11に記載の直流遮断器。
前記キャパシタは、前記第2の接点部が閉路されるときから、前記第1の接点部が開路されて前記第1の接点部で発生したアークが消滅するときまで、迂回した前記直流電流を充電することを特徴とする、請求項14に記載の直流遮断器。
前記第2の接点部は、通常時には開路されており、前記第2の回路部に含まれた駆動コイルに電流が流れるときに閉路されることを特徴とする、請求項14に記載の直流遮断器。
【背景技術】
【0002】
電力系統で故障が発生する場合、電力機器および設備を保護するために、遮断器により故障電流を遮断する。系統で故障が発生すると、継電器は、故障状態を判断して開放のためのトリップ信号を遮断器に送信する。遮断器は、トリップ信号を受信した後、駆動装置により、故障電流が流れる遮断器接点を開放して電流を遮断する。この際、遮断器接点の両端にアーク電流が流れることとなり、十分な絶縁条件が確立されないと、アーク電流によって故障電流が流れ続けることになる。AC系統の場合、一定周期で電流0点を通るため、接点距離が十分である場合には、0点に到達する瞬間にアーク電流が消滅し、故障電流が遮断される。しかし、DC系統の場合、電流0点がないため、アーク電流の消滅が非常に困難である。通常、3000V以下の場合には、アークの拡散によりDC故障電流の遮断が可能であるが、それ以上の場合にはアーク電流の消滅が困難である。そのため、様々な方法を用いて、AC系統のように電流0点を作って遮断する技術を実現しなければならない。今まで実現されているDC遮断技術としては、上述のように接点で発生するアークを拡散させる逆電圧方式、別の共振回路を構成し直流電流を共振して遮断する共振方式、予め並列キャパシタに電荷を充電させ、故障発生時にアーク電流と反対方向に投入して電流重畳により遮断する逆電流方式、およびターンオン/ターンオフが可能な電力用半導体を用いた遮断器などが開発されている。
【0003】
このような従来技術の例が
図1〜
図3に図示されており、これらを参照して従来技術の構成および動作を説明する。
【0004】
図1は従来の複合型超電導限流器の構成を示した構成図である。
【0005】
図2は従来の複合型限流器の構成を示した構成図である。
【0006】
図3は従来の直流遮断器の構成を示した構成図である。
【0007】
図1に図示された従来の複合型超電導限流器は、超電導体(P1)および高速スイッチ(P4)で構成された主回路、前記主回路と並列に連結された高速スイッチ駆動コイル(P2)、駆動コイル(P2)と直列に連結され故障電流の遮断を担う電力用半導体(P13)、高速スイッチにより迂回される故障電流を制限するCLR(P14)が並列に構成された限流回路で構成されている。
【0008】
前記複合型超電導限流器の具体的な動作は次のとおりである。
【0009】
1)系統で故障が発生して、主回路の超電導体(P1)の臨界電流を超えると、超電導体(P1)がクエンチして抵抗が発生する。
【0010】
2)この抵抗により、故障電流は主回路と限流回路とに分流されて駆動コイル(P2)に流れる。
【0011】
3)この際、駆動コイル(P2)で発生する磁場により高速スイッチ(P4)の電磁気反発板に逆起電力が誘導され、リンク(P5a)で連結された高速スイッチ接点(P5)が開放される。
【0012】
4)高速スイッチ接点(P5)が開放されることで、主回路電流は遮断され、故障電流は限流回路に流入する。
【0013】
5)その後、高速スイッチの開放状態が制御器(P6a)により確認されると、通電状態の電力用半導体(P13)をターンオフして故障電流をCLR(P14)に迂回させ、故障電流エネルギーを減少させることで、限流が行われる。
【0014】
図2に図示された従来の複合型限流器は、故障電流を検出する事故検知部(P10)、事故検知部と直列に連結された高速スイッチ(P20)の接点部(P25)、ターンオフが可能な電力用半導体(P30)で構成された主回路と、前記主回路と並列に連結されて故障電流を充電するキャパシタ(P40)と、前記キャパシタ(P40)の充電が完了された後に故障電流を限流するCLR(P50)と、で構成されている。
【0015】
前記複合型限流器の具体的な動作は次のとおりである。
【0016】
1)系統で故障が発生すると、事故検知部(P10)が故障を検出して開放トリップ信号を高速スイッチ(P20)の電源部に伝達する。
【0017】
2)開放トリップ信号が受信されると、高速スイッチの電源部の電力用半導体(P21)をターンオンし、予め充電された内部キャパシタ(P22)により電流を通電させて高速スイッチ(P20)の駆動ドライバー(P23)を励磁させ、電磁気反発板(P24)を高速で駆動させて、高速スイッチの接点(P25)を開放する。
【0018】
3)接点(P25)の開放に伴い、制御器(P26)は、電力用半導体(P30)にターンオフトリップ信号を送信して主回路の電流を遮断する。
【0019】
4)これにより、故障電流は主回路と並列に連結されたキャパシタ(P40)に通電される。この際、機器の両端で発生する電圧は、高速で開放された高速スイッチ接点(P25)の両端に印加され、電力用半導体(P30)には電圧が印加されない。
【0020】
5)キャパシタ(P40)が充電されると、CLR(P50)側に事故電流が流れることにより、故障電流エネルギーが減少して限流される。
【0021】
図3に図示された従来のDC遮断器は、
図1および
図2に図示された従来技術と類似の構成を有しており、高速スイッチ(P300)および電力用半導体(P400)で構成された主回路と、主回路と並列に連結されたキャパシタ(P500)と、前記回路と並列に連結されてエネルギーを消去するアレスタ(P600)と、で構成されている。
【0022】
前記DC遮断器の具体的な動作は次のとおりである。
【0023】
1)系統で故障が発生すると、電力用半導体(P400)がターンオフされ、これと略同時に高速スイッチ(P300)が開放される。
【0024】
2)主回路の電流が遮断され、並列に連結されたキャパシタ(P500)側に通電されてキャパシタが充電される。
【0025】
3)高速スイッチ(P300)が高速で開放され、キャパシタ(P500)が充電されると、系統内の残留エネルギーがアレスタ(P600)により消去される。
【0026】
4)残留エネルギーの消去が完了されると、電流が遮断される。
【0027】
図1に図示された従来技術の場合、主回路に超電導体を用いるため、高価の冷却システムが必要であるという問題がある。また、主回路における超電導体がクエンチするときに発生するインピーダンスと、並列に連結された限流回路の駆動コイル(P2)のインピーダンスと、の差により故障電流が分流される。超電導体(P1)がクエンチするときに発生するインピーダンスが小さい場合、限流回路側に迂回される電流が小さくなるため、駆動コイル(P2)に流れる電流が低く、高速スイッチの駆動が遅れるおそれがあるという欠点がある。
【0028】
図2および
図3に図示された従来技術の場合、高速スイッチの接点が開放されるときに、不意にキャパシタ回路側に電流が流れることとなって、接点距離が絶縁に十分に至る前にキャパシタが充電される可能性があるという問題がある。
【0029】
このように、従来技術は、既存の超電導体の使用による電流の分流により、駆動ドライバーに十分な磁場が発生しないという問題、超電導体を適用することで、極低温冷却システムが必要となり、これにより発生するコストの問題、さらに、通電電流が増加すると損失も大きくなるため、冷却コストが大きく増加するという問題により、高速スイッチの適用が容易ではないという限界があった。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本明細書に開示の発明は、直流遮断器およびその遮断方法に適用することができる。しかし、本明細書に開示の技術はこれに限定されず、本発明の技術的思想を適用することができる既存の遮断器、開閉器、継電器、サージ吸収器、電子接触器および遮断器などの全ての保護機器や、保護機器に含まれた電流制限器回路にも適用することができる。
【0059】
本明細書で用いられる技術的用語は、単に特定の実施例を説明するために用いられたものであり、本明細書に開示された技術の思想を限定するためのものではないことに留意しなければならない。また、本明細書で用いられる技術的用語は、本明細書で特に他の意味に定義しない限り、本明細書に開示の技術が属する分野において通常の知識を有する者にとって一般的に理解される意味として解釈されるべきであり、過度に包括的な意味として解釈したり、過度に縮小した意味として解釈してはならない。
【0060】
また、本明細書で用いられる技術的用語が、本明細書に開示された技術の思想を正確に表現していない誤った技術的用語である場合、当業者が正しく理解できる技術的用語に直して理解されるべきである。また、本明細書で用いられる一般的な用語は、辞書に定義されている通りに、または前後文脈に照らして解釈されるべきであり、過度に縮小した意味として解釈してはならない。
【0061】
また、本明細書で用いられる単数の表現は、文脈から明らかでない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「構成される」または「含む・備える」などの用語は、明細書上に記載された様々な構成要素または様々な段階の全てを必ず備えるという意味で解釈されてはならず、それらの一部の構成要素または一部の段階を備えないこともあり、または追加の構成要素または段階をさらに備えることもあるという意味として解釈されるべきである。
【0062】
以下、添付図面を参照して本明細書に開示の実施例を詳細に説明するが、図面符号にかかわらず同一または類似の構成要素には同一の参照番号を付し、その重複説明は省略する。
【0063】
また、本明細書に開示の技術を説明するにあたり、係る公知技術についての具体的な説明が本明細書に開示の技術の要旨を不明瞭にする可能性があると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。また、添付図面は、本明細書に開示された技術の思想を容易に理解させるためのものであり、添付図面によりその技術の思想が制限されると解釈されてはならないことに留意するべきである。
【0064】
先ず、
図4から
図9を参照して、本明細書に開示の直流遮断器について説明する。
【0065】
図4は本明細書に開示の直流遮断器の構成を示した構成図である。
【0066】
図5は
図4に図示された直流遮断器の実施例による構成を示した構成図である。
【0067】
図6Aは本明細書に開示の直流遮断器の実施例によるスイッチング素子の例を示した例示図である。
【0068】
図6Bは本明細書に開示の直流遮断器の実施例によるスイッチング素子の例を示した例示図である。
【0069】
図7は
図4に図示された直流遮断器の実施例による構成を示した構成図である。
【0070】
図8は本明細書に開示の直流遮断器の構成を示した構成図である。
【0071】
図9は
図8に図示された直流遮断器の実施例による構成を示した構成図である。
【0072】
前記直流遮断器100は、
図4に図示されたように、第1の回路部20に通電される直流電流を測定する測定部10と、前記直流電流を通電および遮断する前記第1の回路部20と、前記第1の回路部20から迂回した前記直流電流を通電および遮断し、前記測定部10の測定結果に応じて前記第1の回路部20の開閉を制御する第2の回路部30と、を備え、前記第1の回路部20と前記第2の回路部30とは、それぞれに含まれたスイッチング素子が並列構造からなるように連結されている。
【0073】
前記直流遮断器100は、HVDCなどをはじめとする直流系統で用いられる遮断器とすることができる。
【0074】
前記直流遮断器100は、直流系統で発生する事故や故障などから系統および機器を保護する遮断器とすることができる。
【0075】
前記直流遮断器100は、直流系統の電源と機器または負荷の前段との間に設けられ、前記直流電流が通電されるようにしてもよい。
【0076】
前記直流遮断器100において、前記測定部10は、前記直流電流の電流値を測定し、前記第1の回路部20は、前記直流電流を機器または負荷に通電し、前記第2の回路部30は、前記直流遮断器100の遮断動作を制御することが可能である。
【0077】
前記直流遮断器100において、前記測定部10は事故や故障を検出する機能を、前記第1の回路部20は前記直流電流を通電する主回路の機能を、前記第2の回路部30は前記直流遮断器100の遮断動作を制御する機能を、それぞれ担うことができる。
【0078】
前記直流遮断器100の実施例による構成は、
図5に図示されたとおりである。
【0079】
以下、
図5を参照して前記直流遮断器100の実施例を説明する。
【0080】
前記測定部10は、前記第1の回路部20に通電される前記直流電流を測定する。
【0081】
前記測定部10は、測定された前記直流電流の電流値に基づいて、事故や故障を検出することができる。
【0082】
例えば、測定された前記直流電流の電流値が定格電流値以上である場合、直流系統で発生した事故や故障によって前記直流電流の電流値が定格電流値以上になったと判断して、事故や故障を検出することができる。
【0083】
前記測定部10は、前記第1の回路部20の前段に備えられ、前記直流電流を測定する変流器11と、前記変流器11の測定結果に基づいて故障有無を判断する判断部12と、を備えたものとできる。
【0084】
前記変流器11は、前記第1の回路部20に通電される前記直流電流の電流値を測定するCT(Current Transformer)とすることができる。
【0085】
前記変流器11は、前記測定結果を前記判断部12に伝達することができる。
【0086】
前記判断部12は、前記測定結果に基づいて事故や故障の発生有無を判断する故障検出器とすることができる。
【0087】
前記判断部12は、前記測定結果に基づいて、測定された前記直流電流の電流値が定格電流値以上である場合、直流系統で発生した事故や故障によって前記直流電流が定格電流値以上になったと判断して、事故や故障の発生を判断することができる。
【0088】
前記判断部12は、判断結果に応じて、前記第1の回路部20および前記第2の回路部30のそれぞれに含まれたスイッチング素子を動作させることができる。
【0089】
前記判断部12は、前記判断結果に応じて、前記第1の回路部20および前記第2の回路部30のそれぞれに含まれた第1のスイッチング素子21および第2のスイッチング素子31の動作の根拠となる開閉信号を生成し、その開閉信号を前記第1の回路部20および前記第2の回路部30のそれぞれに含まれた第1のスイッチング素子21および第2のスイッチング素子31に伝達することができる。
【0090】
前記開閉信号は、前記第1の回路部20および前記第2の回路部30のそれぞれに含まれた第1のスイッチング素子21および第2のスイッチング素子31が開路動作または閉路動作するように制御する信号とすることができる。
【0091】
すなわち、前記第1の回路部20および前記第2の回路部30のそれぞれに含まれた第1のスイッチング素子21および第2のスイッチング素子31は、前記判断部12で生成された前記開閉信号に応じて開閉動作することができる。
【0092】
前記判断部12は、前記第1の回路部20および前記第2の回路部30のそれぞれに含まれた第1のスイッチング素子21および第2のスイッチング素子31のそれぞれに対して前記開閉信号を生成し、それぞれ生成された前記開閉信号を、前記第1の回路部20および前記第2の回路部30それぞれに含まれた第1のスイッチング素子21および第2のスイッチング素子31に伝達することができる。
【0093】
例えば、前記第1の回路部20に含まれた第1のスイッチング素子21には開路動作の信号を、前記第2の回路部30に含まれた第2のスイッチング素子31には閉路動作の信号を伝達することができる。
【0094】
前記第1の回路部20および前記第2の回路部30のそれぞれに含まれた第1のスイッチング素子21および第2のスイッチング素子31は、前記開閉信号に基づいて開閉動作することができる。
【0095】
前記第1の回路部20および前記第2の回路部30のそれぞれに含まれた第1のスイッチング素子21および第2のスイッチング素子31が開路動作する場合は、前記直流電流を遮断することになり、閉路動作する場合は、前記直流電流を通電することになる。
【0096】
すなわち、前記判断部12は、前記判断結果に応じて、前記第1の回路部20および前記第2の回路部30で前記直流電流を通電または遮断させることができる。
【0097】
前記第1の回路部20および前記第2の回路部30のそれぞれに含まれた第1のスイッチング素子21および第2のスイッチング素子31は、前記測定部10の測定結果に応じてターンオン/ターンオフされる電力用半導体素子とすることができる。
【0098】
前記電力用半導体素子のターンオンは、閉路動作を意味するものとできる。
【0099】
前記電力用半導体素子のターンオフは、開路動作を意味するものとできる。
【0100】
前記電力用半導体素子は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、IGCT(Integrated Gate Controlled Thyristor)などのように、ターンオン/ターンオフが可能な半導体素子とすることができる。
【0101】
前記電力用半導体素子は、2つの半導体素子が互いに異なる方向に電流を通電させる両方向性構造からなることが可能である。
【0102】
前記電力用半導体素子は、2つの半導体素子が直列または並列構造からなり、互いに異なる方向に電流を通電させる両方向性構造からなることが可能である。
【0103】
例えば、
図6Aに図示されたように、2つの半導体素子が直列に連結された両方向性構造からなっていてもよく、または、
図6Bに図示されたように、2つの半導体素子が並列に連結された両方向性構造からなっていてもよい。
【0104】
前記電力用半導体素子が両方向性構造からなることで、前記直流遮断器100の遮断動作により、
図4および
図5に図示されたような順方向だけでなく、逆方向の事故電流または故障電流も遮断できることになる。
【0105】
ここで、逆方向の事故電流または故障電流とは、直流系統の電源側で発生した事故または故障でなく、負荷側で発生した事故または故障による電流を意味する場合がある。
【0106】
または、前記直流遮断器100に含まれた各構成の内部動作により発生するサージ、故障、電磁力、または逆起電力などによる逆方向電流を含む意味である場合もある。
【0107】
すなわち、前記直流遮断器100は、両方向性構造からなるスイッチング素子により、直流系統の電源側だけでなく、負荷側、または前記直流遮断器100の内部的な問題により発生する事故や故障からも、系統および機器を保護することができる。
【0108】
前記第1の回路部20は、前記直流電流を通電および遮断する第1のスイッチング素子21と、前記第1の回路部20を開閉する第1の接点部22と、を備えたものとできる。
【0109】
前記第1のスイッチング素子21と前記第1の接点部22は、直列に連結させることができる。
【0110】
前記第1のスイッチング素子21は、一端を前記直流電流が入力される入力端に連結させることができる。
【0111】
前記第1の接点部22は、他端を前記直流電流が出力される出力端に連結させることができる。
【0112】
前記第1のスイッチング素子21は、上述の前記電力用半導体素子とすることができる。
【0113】
前記第1のスイッチング素子21は、開閉動作により前記直流電流を通電および遮断することができる。
【0114】
例えば、前記第1のスイッチング素子21は、閉路動作(ターンオン)して前記直流電流を通電し、または開路動作(ターンオフ)して前記直流電流を遮断することができる。
【0115】
前記第1のスイッチング素子21は、通常時に閉路動作(ターンオン)して前記直流電流を通電することができる。
【0116】
前記第1のスイッチング素子21が閉路動作する通常時には、前記直流電流が前記第1の回路部20を介してのみ通電されるようにすることができる。
【0117】
前記第1のスイッチング素子21は、前記測定部10の測定結果に応じて前記直流電流を遮断することで、前記直流電流が前記第2の回路部30に迂回されるようにすることができる。
【0118】
前記第1のスイッチング素子21は、開路動作(ターンオフ)により前記直流電流を高速で遮断することができる。
【0119】
前記第1のスイッチング素子21は、前記測定部10の測定結果に基づいて、前記直流電流が事故や故障によって定格電流値以上になったと判断されると、前記測定部10から前記開閉信号を受信して開路動作(ターンオフ)することで、前記直流電流を遮断することができる。
【0120】
前記第1のスイッチング素子21は、前記直流電流を遮断することで、前記直流電流が前記第2の回路部30に迂回されるようにすることができる。
【0121】
すなわち、前記第1のスイッチング素子21を介して前記第1の回路部20に通電されていた前記直流電流が、前記第1のスイッチング素子21が開路動作(ターンオフ)することで、前記第1の回路部20への通電が遮断されて、前記第2の回路部30に迂回されることになる。
【0122】
前記第1の接点部22は、通常時には閉路されており、前記第2の回路部30に含まれた駆動コイル32に電流が流れるときに開路されるようにすることができる。
【0123】
前記第1の接点部22は、開閉が行われる接点スイッチを意味するものとできる。
【0124】
前記第1の接点部22は、電子式スイッチとすることができる。
【0125】
前記第1の接点部22は、前記駆動コイル32により動作が行われる電子式スイッチとすることができる。
【0126】
前記第1の接点部22は、前記駆動コイル32に電流が流れて前記駆動コイル32で発生した電磁力により動作が行われる電子式スイッチとすることができる。
【0127】
前記第1の接点部22を、通常時には閉路されており、前記駆動コイル32で発生した電磁力により開路させることができる。
【0128】
前記第1の接点部22は、前記第1の回路部20の通電経路を回路上において完全に遮断する機能を担うことができる。
【0129】
すなわち、前記第1の接点部22は、通常時には閉路されて前記第1の回路部20の通電経路を維持し、前記駆動コイル32に電流が流れるときに開路されて、前記第1の回路部20の通電経路を遮断することができる。
【0130】
すなわち、前記第1の回路部20において、前記第1のスイッチング素子21は前記直流電流が迂回されるようにして1次的に遮断する機能を、前記第1の接点部22は2次的に前記第1の回路部20の通電経路を遮断する機能を、それぞれ担うことができる。
【0131】
前記第2の回路部30は、前記第1の回路部20から迂回した前記直流電流を通電および遮断する第2のスイッチング素子31と、電流が流れるときに前記第1の回路部20に含まれた前記第1の接点部22が開路されるようにする前記駆動コイル32と、を備えたものとできる。
【0132】
前記第2のスイッチング素子31と前記駆動コイル32は、直列に連結させることができる。
【0133】
前記第2のスイッチング素子31は、一端を前記第1のスイッチング素子21の一端と連結させることができる。
【0134】
前記駆動コイル32は、他端を前記第1のスイッチング素子21の他端と連結させることができる。
【0135】
すなわち、前記第2のスイッチング素子31および前記駆動コイル32は、直列に連結され、前記第1のスイッチング素子21と並列に連結されることが可能である。
【0136】
すなわち、前記第1のスイッチング素子21と前記第2のスイッチング素子31を、並列構造からなるものとできる。
【0137】
前記第2のスイッチング素子31は、上述の前記電力用半導体素子とすることができる。
【0138】
前記第2のスイッチング素子31は、開閉動作により前記直流電流を通電および遮断することができる。
【0139】
例えば、前記第2のスイッチング素子31は、閉路動作(ターンオン)して前記直流電流を通電し、または開路動作(ターンオフ)して前記直流電流を遮断することができる。
【0140】
前記第2のスイッチング素子31は、通常時に閉路動作(ターンオン)するが、前記駆動コイル32のインピーダンスによって前記直流電流が通電されないようにすることができる。
【0141】
すなわち、前記第2のスイッチング素子31が閉路動作する通常時にも、前記直流電流を前記第1の回路部20を介してのみ通電させることができる。
【0142】
前記第2のスイッチング素子31は、開路動作(ターンオフ)により前記直流電流を高速で遮断することができる。
【0143】
前記第2のスイッチング素子31は、前記第1の回路部20によって前記直流電流が迂回されると、迂回した前記直流電流を通電することができる。
【0144】
前記第2のスイッチング素子31は、前記第1のスイッチング素子21が開路動作(ターンオフ)することで、前記第1の回路部20への通電が遮断され、迂回した前記直流電流を前記第2の回路部30に通電することができる。
【0145】
前記第2のスイッチング素子31は、前記第1の回路部20から前記直流電流が迂回されると、迂回した前記直流電流を通電することで、前記駆動コイル32に電流が流れるようにすることができる。
【0146】
前記駆動コイル32は、前記第1の回路部20を迂回して前記第2のスイッチング素子31を介して通電することになった前記直流電流が流れるときに、前記第1の接点部22が開路されるようにすることができる。
【0147】
前記駆動コイル32は、電子式スイッチの開閉を制御するリレーとすることができる。
【0148】
前記駆動コイル32は、前記電子式スイッチをはじめとする開閉スイッチの動作を制御することができる。
【0149】
前記駆動コイル32は、電流が流れるときに発生する電磁力(電磁気反発力)により開閉スイッチの開閉を制御することができる。
【0150】
前記駆動コイル32は、前記第1の回路部20の前記第1の接点部22が開路されるように制御して、前記第1の回路部20の通電経路が遮断されるようにする機能を担うことができる。
【0151】
すなわち、前記駆動コイル32は、迂回した前記直流電流が流れるときに発生する電磁力(電磁気反撥力)により前記第1の接点部22が開路されるように制御して、前記第1の回路部20の通電経路が遮断されるようにすることができる。
【0152】
前記第2のスイッチング素子31は、前記駆動コイル32により前記第1の接点部22が開路された後、迂回した前記直流電流を遮断することができる。
【0153】
すなわち、前記駆動コイル32に電流が流れ、前記駆動コイル32が前記第1の接点部22を開路されるように制御して、前記第1の回路部20の通電経路が遮断された後、前記第2のスイッチング素子31は、迂回した前記直流電流を遮断することができる。
【0154】
すなわち、前記第2の回路部30において、前記第2のスイッチング素子31は、迂回した前記直流電流を通電させて前記駆動コイル32に流れるようにし、前記駆動コイル32によって前記第1の回路部20の通電経路を遮断させた後、迂回した前記直流電流を遮断する機能を、前記駆動コイル32は、2次的に前記第1の回路部20の通電経路を遮断する機能を、それぞれ担うことができる。
【0155】
上述のような前記直流遮断器100の具体的な動作過程を、前記直流電流の通電観点で説明すれば次のとおりである。
【0156】
先ず、通常時には前記直流電流を前記第1の回路部20を介して通電させることができる。
【0157】
前記直流電流は、前記第1のスイッチング素子21の閉路動作(ターンオン)により通電され、前記第1のスイッチング素子21を経て閉路された前記第1の接点部22を介して流れることで、前記第1の回路部20を介して通電させることができる。
【0158】
この場合、前記第2の回路部30の前記第2のスイッチング素子31も閉路動作(ターンオン)しているが、前記駆動コイル32のインピーダンスにより、前記直流電流を、相対的に低いインピーダンスを有する前記第1の回路部20を介して通電させることができる。
【0159】
すなわち、通常時の前記直流電流は、前記第1のスイッチング素子21および前記第1の接点部22の順に通電させることができる。
【0160】
直流系統で事故や故障が発生して前記直流電流が定格電流値以上になると、前記測定部10がそれを判断し、それに対する開閉信号を前記第1のスイッチング素子21に伝達する。前記第1のスイッチング素子21は、前記開閉信号に応じて開路動作(ターンオフ)して前記直流電流を遮断する。前記第1のスイッチング素子21の開路動作(ターンオフ)によって、前記第1の回路部20のインピーダンスが前記第2の回路部30より高くなることで、前記直流電流が前記第1の回路部20を迂回して前記第2の回路部30に通電されることになる。
【0161】
前記第1の回路部20から迂回した前記直流電流が前記第2の回路部30に通電されると、前記第2のスイッチング素子31が閉路動作(ターンオン)中であるため、迂回した前記直流電流が、前記第2のスイッチング素子31を介して前記駆動コイル32に流れることになる。
【0162】
すなわち、迂回した前記直流電流を、前記第2のスイッチング素子31および前記駆動コイル32の順に通電させることができる。
【0163】
前記駆動コイル32に電流が流れると、前記駆動コイル32で発生した電磁力によって前記第1の回路部20の前記第1の接点部22が開路され、前記第1の回路部20の通電経路が完全に遮断される。前記第1の接点部22が開路された後、前記第2のスイッチング素子31が開路動作(ターンオフ)して、迂回した前記直流電流を前記第2のスイッチング素子31により遮断させることができる。
【0164】
すなわち、通常時には前記第1の回路部20に通電されていて、事故や故障が発生したときに前記第1の回路部20から迂回した前記直流電流を、前記第2の回路部30に通電させて、前記駆動コイル32が前記第1の回路部20の前記第1の接点部22を開路制御するようにし、その後、前記第2のスイッチング素子31の開路動作(ターンオフ)により前記第2の回路部30への通電を遮断させることができる。
【0165】
上述のような動作が行われる前記直流遮断器100は、
図7に図示されたような構成からなってもよい。
【0166】
前記直流遮断器100における前記第2の回路部30は、
図7に図示されたように、前記第2のスイッチング素子31にかかる過電圧を防止するためのインピーダンス素子33をさらに備えたものとできる。
【0167】
前記第2のスイッチング素子31が前記電力用半導体からなる場合、動作のためには一定の電圧が必要であるが、前記第2のスイッチング素子31に過電圧がかかると、前記第2のスイッチング素子31に損傷が与えられるおそれがある。これを防止するために、前記第2のスイッチング素子31にかかる過電圧を分圧することができる前記インピーダンス素子33を前記第2の回路部30に備えることができる。
【0168】
前記インピーダンス素子33は、抵抗とすることができる。
【0169】
前記インピーダンス素子33は、一定の抵抗値を有するインピーダンス素子とすることができる。
【0170】
前記インピーダンス素子33は、抵抗値が変わる可変抵抗であってもよい。
【0171】
前記インピーダンス素子33は、抵抗値の調節が可能なインピーダンス素子とすることができる。
【0172】
前記インピーダンス素子33は、前記第2のスイッチング素子31にかかる過電圧を防止することができる抵抗値を有することができる。
【0173】
また、前記インピーダンス素子33は、前記第2のスイッチング素子31にかかる電圧を安定させることができる抵抗値を有することができる。
【0174】
前記第2のスイッチング素子31が前記電力用半導体からなる場合、動作のためには一定の電圧が必要であるが、前記第1の回路部20のインピーダンス、前記第2のスイッチング素子31自体のインピーダンス、または前記駆動コイル32によって動作するために必要な電圧が不安定にかかるおそれがあるため、これを防止するために前記第2の回路部30は前記インピーダンス素子33を備えたものとできる。
【0175】
前記インピーダンス素子33は、一端を前記第2のスイッチング素子31の他端と連結させ、他端を前記駆動コイル32の一端と連結させることができる。
【0176】
すなわち、前記第2のスイッチング素子31、前記インピーダンス素子33、および前記駆動コイル32を、直列に連結させることができる。
【0177】
前記インピーダンス素子33は、正常状態時に前記第2の回路部30のインピーダンスを前記第1の回路部20のインピーダンスより高く維持させることができる。
【0178】
すなわち、前記インピーダンス素子33は、前記第2のスイッチング素子31にかかる過電圧を防止することができ、且つ前記第2の回路部30のインピーダンスが前記第1の回路部20のインピーダンスより高く維持されるようにする抵抗値を有することができる。
【0179】
前記インピーダンス素子33は、また、前記第1の回路部20から迂回した前記直流電流を制限することができる。
【0180】
前記第1の回路部20から迂回した前記直流電流は大電流であるため、迂回した前記直流電流により、前記第2の回路部30に損傷が与えられるおそれがある。これを防止するために、前記インピーダンス素子33により迂回した前記直流電流を制限して、迂回した前記直流電流の前記第2の回路部30への通電が安全に行われるようにすることができる。
【0181】
前記インピーダンス素子33は、前記第1の回路部20から迂回した前記直流電流を制限し、且つ前記駆動コイル32が正常動作できる大きさに制限可能な大きさの抵抗値を有することができる。
【0182】
すなわち、前記インピーダンス素子33は、前記第2のスイッチング素子31にかかる過電圧を防止し、前記第2のスイッチング素子31にかかる電圧が安定になるようにし、正常状態時の前記第2の回路部30のインピーダンスが前記第1の回路部20のインピーダンスより高く維持されるようにし、前記第1の回路部20から迂回した前記直流電流を制限する機能を担うことができる。
【0183】
上述のような前記測定部10、前記第1の回路部20、および前記第2の回路部30は、前記直流遮断器100の基本構成であり、上述のような動作により前記直流電流を遮断することができる。
【0184】
以下に、前記直流遮断器100のより具体的な実施例について説明する。
【0185】
前記直流遮断器100は、前記測定部10と、前記第1の回路部20と、前記第2の回路部30と、を備え、
図8に図示されたように、前記第1の回路部20および前記第2の回路部30から迂回した前記直流電流を充電する充電部40と、前記充電部40の充電が完了された後、前記充電部40から放電される電流を制限する制限部50と、をさらに備えたものとできる。
【0186】
前記充電部40と前記制限部50は、並列に連結させることができる。
【0187】
前記充電部40および前記制限部50は、前記第1の回路部20と並列に連結させることができる。
【0188】
すなわち、前記充電部40および前記制限部50の一端を前記第1の回路部20の一端と連結させ、前記充電部40および前記制限部50の他端を前記第1の回路部20の他端と連結させることができる。
【0189】
前記充電部40は、前記第1の回路部20で1次的に遮断されて前記第2の回路部30に迂回した後、前記第2の回路部30で2次的に遮断されて迂回した前記直流電流を充電することで、前記直流電流を制限する機能を担うことができる。
【0190】
前記制限部50は、前記第1の回路部20および前記第2の回路部30から迂回した前記直流電流が前記充電部40に充電完了された後、前記充電部40から放電される電流を制限することで、前記直流電流を最終的に制限する機能を担うことができる。
【0191】
前記充電部40および前記制限部50を含む前記直流遮断器100の具体的な構成は、
図9に図示されたとおりである。
【0192】
前記充電部40は、
図9に図示されたように、前記第1の回路部20と並列に連結されており、前記第1の回路部20および前記第2の回路部30から迂回した前記直流電流を充電するキャパシタ41と、前記充電部40を開閉する第2の接点部42と、を備えたものとできる。
【0193】
前記キャパシタ41と前記第2の接点部42は、直列に連結させることができる。
【0194】
前記キャパシタ41は、一端が前記第1の回路部20に含まれた前記第1のスイッチング素子21の一端と連結され、前記第2の接点部42は、他端が前記第1の回路部20に含まれた前記第1の接点部22の他端と連結されたものとできる。
【0195】
前記キャパシタ41は、キャパシタンス値を有する素子を意味するものとできる。
【0196】
前記キャパシタ41は、キャパシタンス値に応じて電流を充電および放電することができる容量性素子とすることができる。
【0197】
前記キャパシタ41は、前記第2の回路部30から迂回した前記直流電流を充電することができるキャパシタンス値を有することができる。
【0198】
前記キャパシタ41は、前記第2の回路部30から迂回した前記直流電流を充電し、充電が完了された後、充電された電流を前記制限部50に放電することができる。
【0199】
前記キャパシタ41は、前記第2の接点部42が閉路されるときから、前記第1の接点部22が開路されて前記第1の接点部22で発生したアークが消滅するときまで、迂回した前記直流電流を充電することができる。
【0200】
すなわち、前記キャパシタ41は、前記第1の回路部20および前記第2の回路部30の遮断動作が行われて完了する間に、前記第2の回路部30から迂回した前記直流電流を充電して前記直流電流を制限することができる。
【0201】
前記第2の接点部42は、開閉が行われる接点スイッチを意味するものとできる。
【0202】
前記第2の接点部42は、電子式スイッチとすることができる。
【0203】
前記第2の接点部42は、前記駆動コイル32により動作が行われる電子式スイッチとすることができる。
【0204】
前記第2の接点部42は、前記駆動コイル32に電流が流れて前記駆動コイル32で発生した電磁力により動作が行われる電子式スイッチとすることができる。
【0205】
すなわち、前記第2の接点部42は、前記第1の接点部22と同様の電子式スイッチとすることができる。
【0206】
前記第2の接点部42は、通常時には開路されており、前記第2の回路部30に含まれた前記駆動コイル32に電流が流れるときに閉路させることができる。
【0207】
すなわち、前記第2の接点部42は、前記第2の回路部30に迂回した前記直流電流が通電されるときに前記駆動コイル32によって閉路されて、前記キャパシタ41に前記第2の回路部30から迂回した前記直流電流を充電するようにすることができる。
【0208】
前記第2の接点部42は、前記充電部40の通電経路を連結する機能を担うことができる。
【0209】
すなわち、前記第2の接点部42は、通常時には開路されて前記充電部40の通電経路を遮断させ、前記駆動コイル32に電流が流れるときに閉路されて前記充電部40の通電経路を連結させることができる。
【0210】
すなわち、前記充電部40において、前記キャパシタ41は前記第2の回路部30から迂回した前記直流電流を充電および放電する機能を、前記第2の接点部42は前記充電部40の通電経路を連結して前記キャパシタ41の充電および放電が行われるようにする機能を、それぞれ担うことができる。
【0211】
前記充電部40において、前記キャパシタ41は前記第2の回路部30から迂回した前記直流電流を充電し、充電が完了されると、前記キャパシタ41は充電された電流を前記制限部50に放電して、放電された電流が前記制限部50により制限されるようにすることができる。
【0212】
前記制限部50は、前記充電部40から放電された電流を制限することができる。
【0213】
前記制限部50は、電流を制限する電流制限器、限流器、または電流制限インピーダンス素子とすることができる。
【0214】
前記制限部50は、制限対象電流に応じてインピーダンス値が変わる電流制限器とすることができる。
【0215】
前記制限部50は、電流を制限することができる少なくとも一つのインピーダンス素子を備えたものとできる。
【0216】
前記制限部50は、正常状態時に、または前記充電部40の充電が行われるときに、前記直流電流が通電されないように、前記第1の回路部20、前記第2の回路部30、および前記充電部40のインピーダンスより高いインピーダンスを有することができる。
【0217】
すなわち、正常状態では、前記制限部50に電流が流れず、前記第1の回路部20および前記第2の回路部30が遮断され、前記充電部40の充電が完了された状態となった後に前記制限部50に電流が流れるようにすることができる。
【0218】
前記直流遮断器100は、また、前記直流電流が入力される入力端および前記直流電流が出力される出力端のそれぞれに、アレスタ60a、60bを備えたものとできる。
【0219】
前記アレスタ60a、60bは、前記直流遮断器100の遮断動作後、前記直流遮断器100の内部に残存する残余電気エネルギーを消去することができる。
【0220】
前記アレスタ60a、60bは、また、急激に発生した事故や故障による電流が前記直流遮断器100に急激に流入することを防止することができる。
【0221】
すなわち、前記アレスタ60a、60bは、前記直流遮断器100の内部または外部の問題から前記直流遮断器100を保護する機能を担うことができる。
【0222】
前記直流遮断器100の構成における追加的な特徴として、
図9に図示されたように、前記第1の接点部22、前記第2の接点部42、および前記駆動コイル32を連動して動作させることができる(SW)。
【0223】
すなわち、前記駆動コイル32に電流が流れると、前記駆動コイル32で発生した電磁力により、前記第1の接点部22は閉路状態から開路状態に、前記第2の接点部42は開路状態から閉路状態にすることができる。
【0224】
すなわち、前記駆動コイル32は、前記第1の接点部22および前記第2の接点部42の動作を制御することができる。
【0225】
このような動作は、前記駆動コイル32の電磁力が発生した時点に高速に行われ、各接点部の動作は、同時に行われてもよく、各接点部の動作特性によって所定の時間差を置いて行われてもよい。
【0226】
上述のような構成からなる前記直流遮断器100の具体的な動作過程を説明すれば、次のとおりである。
【0227】
先ず、通常時には、前記直流電流を前記第1の回路部20を介して通電させることができる。
【0228】
前記直流電流は、前記第1のスイッチング素子21の閉路動作(ターンオン)により通電され、前記第1のスイッチング素子21を経て閉路された前記第1の接点部22を介して流れることで、前記第1の回路部20を介して通電させることができる。
【0229】
この場合、前記第2の回路部30の前記第2のスイッチング素子31も閉路動作(ターンオン)しているが、前記駆動コイル32のインピーダンスにより、前記直流電流が相対的に低いインピーダンスを有する前記第1の回路部20を介して通電させることができる。
【0230】
また、前記充電部40の前記第2の接点部42は開路された状態であり、前記制限部50は高いインピーダンスを有するため、前記直流電流を、相対的に低いインピーダンスを有する前記第1の回路部20を介して通電させることができる。
【0231】
すなわち、通常時の前記直流電流を、前記第1の回路部20において前記第1のスイッチング素子21および前記第1の接点部22の順に通電させることができる。
【0232】
直流系統で事故や故障が発生して前記直流電流が定格電流値以上になると、前記測定部10がそれを判断し、それに対する開閉信号を前記第1のスイッチング素子21に伝達する。前記第1のスイッチング素子21は、前記開閉信号に応じて開路動作(ターンオフ)して前記直流電流を遮断する。前記第1のスイッチング素子21の開路動作(ターンオフ)によって、前記第1の回路部20のインピーダンスが前記第2の回路部30より高くなることで、前記直流電流が前記第1の回路部20を迂回して前記第2の回路部30に通電されることになる。
【0233】
前記第1の回路部20から迂回した前記直流電流が前記第2の回路部30に通電されると、前記第2のスイッチング素子31が閉路動作(ターンオン)中であるため、迂回した前記直流電流が、前記第2のスイッチング素子31を介して前記駆動コイル32に流れることになる。
【0234】
この場合、前記充電部40の前記第2の接点部42は開路された状態であり、前記制限部50は高いインピーダンスを有するため、前記直流電流を、相対的に低いインピーダンスを有する前記第2の回路部30を介して通電させることができる。
【0235】
すなわち、迂回した前記直流電流を、前記第2の回路部30において前記第2のスイッチング素子31および前記駆動コイル32の順に通電させることができる。
【0236】
前記駆動コイル32に電流が流れると、前記駆動コイル32で発生した電磁力によって前記第1の回路部20の前記第1の接点部22が開路され、前記第1の回路部20の通電経路が完全に遮断される。また、前記充電部40の前記第2の接点部42が閉路されて、前記充電部40の通電経路を連結させることができる。
【0237】
前記第1の接点部22が開路された後、前記第2のスイッチング素子31が開路動作(ターンオフ)して、迂回した前記直流電流が前記第2のスイッチング素子31により遮断され、前記第2のスイッチング素子31から迂回した前記直流電流を前記充電部40に通電させて、前記キャパシタ41に充電させることができる。
【0238】
すなわち、通常時には前記第1の回路部20に通電されていて、事故や故障が発生したときに前記第1の回路部20から迂回した前記直流電流が前記第2の回路部30に通電されて、前記駆動コイル32が前記第1の回路部20の前記第1の接点部22を開路、また前記充電部40の前記第2の接点部42を閉路制御するようになっている。その後、前記第2のスイッチング素子31の開路動作(ターンオフ)により前記第2の回路部30への通電が遮断され、前記第2の回路部30から迂回した前記直流電流を前記キャパシタ41に充電させることができる。
【0239】
前記第2の回路部30から迂回した前記直流電流は、前記第2の接点部42が閉路されるときから、前記第1の接点部22が開路されて前記第1の接点部22で発生したアークが消滅するときまで、前記キャパシタ41に充電させることができる。
【0240】
すなわち、前記第2の回路部30から迂回した前記直流電流が前記キャパシタ41に充電されることで、前記直流電流を前記制限部50により制限される前まで一時的に制限させることができる。
【0241】
前記キャパシタ41への充電が完了すると、前記キャパシタ41から充電された電流が前記制限部50に放電され、前記制限部50により前記キャパシタ41から放電された電流を制限することができる。
【0242】
前記キャパシタ41から放電された電流は、前記キャパシタ41により充電および放電させることで一時的に制限され、前記第1の回路部20および前記第2の回路部30から迂回した状態に比べ大きさを減少させることができる。
【0243】
前記制限部50は、前記キャパシタ41から放電された電流を制限して、前記直流電流を最終的に制限することができる。
【0244】
前記直流電流が前記制限部50により最終的に制限されることで、前記直流遮断器100の遮断動作を最終的に行うことができる。
【0245】
前記直流遮断器100が前記アレスタ60a、60bをさらに含む場合、前記アレスタ60a、60bにより、遮断動作後に残存する残余電気エネルギーを消去することができる。
【0246】
以下、
図10を参照するとともに、
図8をさらに参照して、本明細書に開示の直流遮断器の遮断方法について説明する。
【0247】
図10は本明細書に開示の直流遮断器の遮断方法の手順を示したフローチャートである。
【0248】
前記直流遮断器の遮断方法(以下、遮断方法という)は、上述の前記直流遮断器100の遮断方法とすることができる。
【0249】
前記遮断方法は、第1の回路部20に通電される直流電流を測定する測定部10と、前記直流電流を通電および遮断する前記第1の回路部20と、前記第1の回路部20から迂回した前記直流電流を通電および遮断し、前記測定部10の測定結果に応じて前記第1の回路部20の開閉を制御する第2の回路部30と、前記第2の回路部30から迂回した前記直流電流を充電する充電部40と、前記充電部40の充電が完了して、前記充電部40から放電される電流を制限する制限部50と、を備える直流遮断器100の遮断方法とすることができる。
【0250】
前記遮断方法は、前記測定部10により前記直流電流を測定するステップ(S10)と、測定結果に応じて前記第1の回路部20により前記直流電流を遮断するステップ(S20)と、前記第1の回路部20から迂回した前記直流電流を前記第2の回路部30に通電させるステップ(S30)と、前記第2の回路部30により、前記第1の回路部20が開路されるように制御し、前記充電部40が閉路されるように制御するステップ(S40)と、前記第2の回路部30により迂回した前記直流電流を遮断するステップ(S50)と、前記第2の回路部30から迂回した前記直流電流を前記充電部40に充電するステップ(S60)と、前記充電部40により充電された電流を前記制限部50に放電するステップ(S70)と、前記制限部50により放電された電流を制限するステップ(S80)と、を有する。
【0251】
先ず、通常時には、前記直流電流を前記第1の回路部20を介して通電させることができる。
【0252】
前記測定部10により前記直流電流を測定するステップ(S10)では、通常時に前記第1の回路部20を介して通電される前記直流電流の大きさを測定することができる。
【0253】
前記測定部10により前記直流電流を測定するステップ(S10)では、測定された前記直流電流の電流値に基づいて、事故や故障を検出することができる。
【0254】
例えば、測定された前記直流電流の電流値が定格電流値以上である場合、直流系統で発生した事故や故障により前記直流電流の電流値が定格電流値以上になったと判断し、事故や故障を検出することができる。
【0255】
前記測定部10により前記直流電流を測定するステップ(S10)では、前記測定結果、測定された前記直流電流の電流値が定格電流値以上である場合、直流系統で発生した事故や故障により前記直流電流が定格電流値以上になったと判断し、事故や故障の発生を判断することができる。
【0256】
測定結果に応じて前記第1の回路部20により前記直流電流を遮断するステップ(S20)では、前記測定部10により前記直流電流を測定するステップ(S10)による測定結果に基づき、前記直流電流が事故や故障により定格電流値以上になったと判断された場合、前記測定部10から前記開閉信号を受信して開路動作(ターンオフ)することで、前記直流電流を遮断することができる。
【0257】
測定結果に応じて前記第1の回路部20により前記直流電流を遮断するステップ(S20)では、前記直流電流を遮断することで、前記直流電流が前記第2の回路部30に迂回するようにすることができる。
【0258】
前記第1の回路部20から迂回した前記直流電流が前記第2の回路部30に通電されるステップ(S30)では、測定結果に応じて前記第1の回路部20により前記直流電流を遮断するステップ(S20)により前記直流電流が遮断され、前記第1の回路部20から迂回した前記直流電流を、前記第2の回路部30に通電させることができる。
【0259】
前記第2の回路部30により、前記第1の回路部20が開路されるように制御し、前記充電部40が閉路されるように制御するステップ(S40)では、迂回した前記直流電流が前記第2の回路部30に通電されて前記第2の回路部30に含まれた駆動コイルに電流が流れることとなり、このように前記駆動コイルに電流が流れることにより前記駆動コイルで発生した電磁力によって、前記第1の回路部20が開路されるように制御し、前記充電部40が閉路されるように制御することができる。
【0260】
前記第2の回路部30により迂回した前記直流電流を遮断するステップ(S50)では、前記第2の回路部30により、前記第1の回路部20が開路されるように制御し、前記充電部40が閉路されるように制御するステップ(S40)によって、前記第1の回路部20が開路されるようにし、前記充電部40が閉路されるようにした後、迂回した前記直流電流を遮断することができる。
【0261】
前記第2の回路部30から迂回した前記直流電流を前記充電部40に充電するステップ(S60)では、前記第2の回路部30により迂回した前記直流電流を遮断するステップ(S50)によって前記第2の回路部30が遮断され、迂回した前記直流電流が前記充電部40に通電され、前記充電部40を充電させることができる。
【0262】
前記第2の回路部30から迂回した前記直流電流を前記充電部40に充電するステップ(S60)では、前記充電部40が閉路されるときから、前記第1の回路部20の開路が完全に完了するときまで、前記第2の回路部30から迂回した前記直流電流を前記充電部40に充電することができる。
【0263】
前記充電部40により充電された電流を前記制限部50に放電するステップ(S70)では、前記充電部40の充電が完了した後、充電された電流を前記制限部50に放電することができる。
【0264】
前記制限部50により放電された電流を制限するステップ(S80)では、前記充電部40により充電された電流を前記制限部50に放電するステップ(S70)により放電された電流を、前記制限部50が制限することができる。
【0265】
前記制限部50により放電された電流を制限するステップ(S80)では、前記キャパシタ41から放電された電流を制限して、前記直流遮断器100が遮断しようとする前記直流電流を最終的に制限することができる。
【0266】
本明細書に開示の直流遮断器およびその遮断方法は、本発明の技術的思想が適用され得る既存の遮断器、開閉器、継電器、サージ吸収器、電子接触器および遮断器などの全ての保護機器、保護機器に含まれた電流制限器回路に適用されて実施されてもよい。
【0267】
本明細書に開示の直流遮断器およびその遮断方法は、遮断動作時における高速スイッチング動作を改善することができるとともに、高速スイッチの適用が容易であり、直流電流の遮断を安定的かつ効率的に行せることができる。
【0268】
また、本明細書に開示の直流遮断器およびその遮断方法は、既存の超電導体を用いる場合のように、主回路の超電導体がクエンチして、そのときに生じる抵抗差により分流される故障電流によって発生する高速スイッチの駆動力に比べ、主回路の電力用半導体がターンオフされることで故障電流全体を駆動回路に伝達することができるため、同一の故障電流に対して、超電導体を用いた駆動方式に比べさらに高速の性能を実現することができる。
【0269】
さらに、本明細書に開示の直流遮断器およびその遮断方法は、高速スイッチの遮断接点と機械的に連動して並列キャパシタ回路に投入接点を追加することで、正常状態および不所望の状態でキャパシタが充電されることを防止することができる。
【0270】
以上で説明した本発明の好ましい実施例は、技術的課題を解決するために開示されたものであって、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者(当業者)であれば、本発明の思想および範囲内で多様な修正、変更、付加などが可能であり、このような修正および変更などは、添付の特許請求の範囲に属するとみなすべきである。
【0271】
例えば、本発明の一実施例では、第2の回路部30が、第2のスイッチング素子31にかかる過電圧を防止するためのインピーダンス素子33を含む構成について説明したが、本発明はこれに制限されない。本発明の他の実施例では、第1の回路部20も、第1のスイッチング素子21にかかる過電圧を防止するためのインピーダンス素子を、第1のスイッチング素子21と第1の接点部22との間に含むことができる。
【0272】
前記インピーダンス素子は抵抗とすることができる。また、前記インピーダンス素子は、一定の抵抗値を有するインピーダンス素子とすることができる。さらに、前記インピーダンス素子は、抵抗値が変わる可変抵抗であってもよい。