【実施例】
【0056】
本明細書に開示される研究では、ラットに実験的な外傷性脳損傷(TBI)を施し、7日後に、十分な運動および神経系の欠損を有するラットは損傷エリアにSB623細胞の移植またはビヒクルを受けた。運動および神経系の性能の値は、TBIの前(ベースライン値)、TBIの7日後(移植前)に再び、その後はTBI後の3カ月間毎月評価した。
【0057】
TBIの1カ月後および3カ月後の行動試験の完了後、4%パラホルムアルデヒドによる心臓横断灌流によってランダムに選択した動物を安楽死させた(1群につきn=10)。移植された細胞の持続性、損傷エリアの内外の脳組織の組織学的外観、損傷エリアの内外の様々な神経マーカーの発現、および損傷エリアの内外の酵素原活性の評価のために、それらの脳を取り出し、切断した。
【0058】
以下の基準を用いて移植転帰を評価した:1)上昇ボディスイング試験(EBST)およびRotorodによる運動行動;2)Bederson改変神経学的検査による神経系の性能;3)組織学(H&E染色切片)による病変容量;4)ヒト細胞を特異的に検出する抗体(HuNu)を用いる免疫組織化学による移植片生存;ならびに5)移植されたヒト細胞および宿主細胞に対する抗体を用いた神経保護および/または再生の機構ベースの免疫組織化学的分析。
【0059】
(実施例1)
MSCおよびSB623細胞の調製
成人ヒトドナーからの骨髄穿刺液を、Lonza Walkersville,Inc.(Walkersville、MD)から得、10%ウシ胎児血清(Hyclone、Logan、UT)、2mMのL−グルタミン(Invitrogen、Carlsbad、CA)およびペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogen)を補充したα−MEM(Mediatech、Herndon、VA)に平板培養した。細胞を37℃および5%CO
2で3日間培養して、接着細胞の単層を得た。非接着細胞の除去の後、同じ条件の下で培養を2週間継続した。この間に、0.25%トリプシン/EDTAを用いて、細胞を2回継代させた。第2継代からの細胞の一部を、MSCとして冷凍した。
【0060】
サイトメガロウイルスプロモーターに作動可能に連結したNotch細胞内ドメインをコードする配列を含有するプラスミド(pCMV−hNICD1−SV40−Neo(登録商標))と一緒にFugene6(Roche Diagnostics、Indianapolis、IN)を用いて、第2継代からの残りの細胞を平板培養し、トランスフェクトした。このプラスミドは、SV40プロモーターの転写制御下の、ネオマイシンおよびG418への耐性をコードする配列も含有した。トランスフェクション細胞は、100μg/mlのG418(Invitrogen、Carlsbad、CA)を補充した前の段落に記載の成長培地において、37℃および5%CO
2で培養した。7日後に、G418耐性コロニーを増殖させ、培養を2回継代させた。第2継代の後、細胞を収集し、SB623細胞として冷凍した。
【0061】
さらなる研究のために、本明細書に記載されるように調製したMSCおよびSB623細胞を必要に応じて解凍して用いた。
【0062】
(実施例2)
ラットモデルでのTBIの誘導
ベースライン時(TBI外科手術の前)に正常な行動(EBSTで50〜60%バイアススイング活性;Rotorodで60秒の滞在期間;および最大0〜0.5の平均Bedersonスコア)を示すと特定された合計40匹の動物が、下記の通りのTBI外科手術を受けた。
【0063】
全ての外科的手技は、無菌状態下で実行された。成人雄Sprague−Dawleyラットを1.5%イソフルラン(isofluorane)で麻酔をかけ、疼痛反射をチェックした。深い麻酔下、動物は以下の通り中等度TBIモデルを受けた。各動物を定位フレームに置き、ガスマスクを通して投与された1〜2%イソフルランで麻酔を維持した。頭蓋を曝露させた後に、4mm骨切除開頭を左前頭頭頂の皮質に施し、その中心は前頂に対し−2.0mm APおよび+2.0mm MLであった。直径3mmの圧縮空気作動金属インパクターを用いて、6.0m/sの速度で脳に衝撃を与え、硬膜層の1.0mm下の深さに到達させ、脳内に150ミリ秒の間残存した。衝撃部位での脳表面の接線面に直角になるように、インパクターロッドは垂直から15°の角度にした。一貫性を検証するために、インパクターに接続した線状可変型変位変換器(Macrosensors、Pennsauken、NJ)を用いて速度および持続時間を測定した。
【0064】
制御された皮質衝撃損傷に続いて、出血が終わった後、切開を縫合した。フィードバック制御を有する一体化された加熱パッドおよび直腸検温器ユニットは、正常限度での体温度の維持を可能にした。麻酔から回復するまで、全ての動物を監視した。さらに、TBIの誘導の後、3日連続で毎日動物を計量、観察し、その後週に2回計量し、健康状態および問題点または合併症を示す任意の徴候について全研究期間中の毎日監視した。
【0065】
(実施例3)
SB623細胞の移植
TBIを施した動物のうち、TBI後の7日目に以下の度合いの行動機能障害を有する動物だけを移植研究のために選択した:EBSTで少なくとも75%バイアススイング活性;Rotorodで30秒以下の滞在期間;および少なくとも2.5の平均Bedersonスコア。選択した動物は、SB623移植を受けた群(n=20)またはビヒクル注入を受けた群(n=20)のいずれかにランダムに割り当てた。移植の標的エリアは内側皮質であり、そこは、類似した定位植込剤のために前に確立された標的部位に基づく損傷周囲の皮質エリアに対応した。
【0066】
全ての外科的手技は、無菌状態下で実行した。動物を1.5%イソフルランで麻酔をかけ、疼痛反射をチェックした。深い麻酔が達成されると(疼痛反射の喪失で判断される)、手術切開のエリア(頭蓋エリア)の周囲の毛を剃り、手術部位の汚染を防止するのに十分な境界を残した。この後に、部位の外科殺菌スクラブを2回行い、滅菌ドレープを掛けた。
【0067】
次に動物を定位固定装置(Kopf Instruments、Tujunga、CA)に固定し、バーで頭蓋に小開口部を設けた。開口部の座標は、前頂の0.5mm前および1.0mm横、ならびに硬膜表面の2.0mm下であった。これらは、PaxinosおよびWatson(1998年)の地図に基づいて、コア損傷部位に隣接する皮質エリアに対応するように選択された。試験材料を含有する26ゲージのハミルトンシリンジを、次に開口部まで下げた。1回の針の通過で、各々3μlの3つのデポジットが形成された。各デポジットは、3分間にわたって注入された3μlのPlasmalyte A中の、100,000個の生存細胞からなった。さらなる2分の吸収時間の後、針を引き込ませ、ステンレス鋼創傷クリップで傷口を閉じた。加熱パッドおよび直腸検温器は、外科手術の間中および麻酔からの回復後も、体温度を約37℃に維持することを可能にした。対照注射は、Plasmalyte Aだけを含有した。
【0068】
処置動物および対照動物は、ベースライン時(TBI前)、TBIの7日後(移植直前)およびその後TBIの3カ月後まで月1回、上昇ボディスイング試験(EBST、実施例4)、神経学的検査(実施例5)およびRotorod試験(実施例6)を受けさせた。
【0069】
さらに、傷害の度合い(実施例8および9);宿主細胞の増殖、移動および神経分化の程度(実施例10);ならびに酵素原活性の存在(実施例11)を判定するために、TBIの1カ月後および3カ月後に、処置動物および対照動物の脳を組織学的に特徴づけた。
【0070】
(実施例4)
上昇ボディスイング試験(EBST)
動物を試験した全ての研究者は、処置条件に盲検化された。EBSTは、動物をその尾によって扱い、動物がその頭部を振った方向を記録することによって実行した。試験機器は、透明なプレキシグラスボックス(40×40×35.5cm)からなった。動物を尾の基部で優しくつまみあげ、動物の鼻が表面から2インチ(5cm)の高さになるまで尾をもって上昇させた。動物の頭部が体の正中位置からおよそ10度側方に動いたとき、スイングの方向(左または右)を記録した。1回のスイングの後、動物をプレキシグラスボックスに戻し、再試験の前に30秒間自由に行動させた。これらのステップは、各動物について合計20回のアッセイで繰り返した。損傷を受けていないラットは、50%のスイングバイアス、すなわち左および右に同じ数のスイングを示す。75%のスイングバイアスは、20回の試みの間、1つの方向に15回のスイングおよびもう1つの方向に5回のスイングを示した。EBSTを利用した以前の結果は、片側に障害を起こした動物が、黒質線条体病変または片側性半球体損傷の1カ月後に75%を超える偏ったスイング活性を示すこと、およびそのような非対称は最高6カ月間安定していることを示した
3、26。
【0071】
EBSTの結果を
図1に示す。TBIの後、事実上全ての動物は偏ったスイング活性を示した。SB623細胞を移植された動物では、偏ったスイング活性は、TBIおよび移植に続く3カ月の期間に着実にわたって低下した。対照的に、ビヒクルを移植された動物では、TBIの後に偏ったスイング活性を示す動物の百分率は、事実上不変であった。
【0072】
(実施例5)
改変Bederson神経学的検査
EBSTの終結の約1時間後に、軽微な改変を加えた前述の手順
3、26に従って、改変Bederson神経学的検査を実行した。各ラットの神経学的スコアは、(1)2〜3cm横に変位した後、前肢を元に戻す動物の能力を測定する前肢引込み、0(即時の返還)から3(数秒後の返還または返還なし)まで等級付け;(2)ビーム歩行能力、幅2.4cm、長さ80cmのビームを容易に横断したラットの0から、ビーム上に10秒間留まることができないラットの3まで等級付け;および(3)直径2mmの鋼鉄製ロッドにしがみつく能力を測定した両側前足把握、正常な前足把握行動を有するラットの0から、前足で把握することができないラットの3まで等級付けを含む3つの試験を用いて得られた。各調査日に約15分間にわたって実行された全ての3つの試験からのスコアを加算して、平均の神経学的欠損スコアを与えた(可能な最大スコア、9ポイントを3つの試験で割る=3)。
【0073】
これらの神経学的検査の結果を、
図2に示す。TBIの後、平均の神経学的スコアは、全ての動物で2.5(3のうち)であった。SB623細胞を移植した動物では、このスコアは、TBIおよび移植に続く3カ月の期間にわたって着実に低下した(改善した神経機能を示す)。SB623細胞を移植した動物での神経機能の改善は、ビヒクルを注入した動物と比較して、統計的に有意であった(p<0.05)。
【0074】
(実施例6)
Rotorod(登録商標)試験
神経学的検査の完了の1時間後、動物をRotorod(登録商標)試験にかけた。この試験は、60秒間にわたって4rpmから40rpmまで加速する回転トレッドミルの上に動物を置くことを含んだ(Rotorod(登録商標)、Accuscan,Inc.、Columbus、OH)。動物がトレッドミルの上に残ることができた合計秒数を記録し、共調運動の指数として用いた。TBIモデル系を用いた以前の結果は、偽手術をしたか正常な対照と比較して、損傷動物が有意により短い時間Rotorodの上に残ることができたことを示した。
【0075】
このアッセイの結果を、
図3に示す。損傷を受けていない動物は、平均60秒の間トレッドミルの上に残ることができた。トレッドミルの上での平均時間は、TBIの7日後に20秒未満に低下した。TBIの後にSB623細胞を移植した動物では、トレッドミルの上での平均時間はおよそ40秒に倍加した。ビヒクルを注入したTBIを施した動物と比較して、これらの改善は統計的に有意であった。
【0076】
(実施例7)
灌流および切片作製
TBIの1カ月後および3カ月後、実施例4〜6に記載の行動試験の完了後、4%パラホルムアルデヒドによる心臓横断灌流によってランダムに選択したラットを安楽死させた(1群につきn=10)。脳を解剖し、4%パラホルムアルデヒドで一晩の間後固定し、次に30%スクロースに浸漬した。前頂から前方に−5.2mmから始まり、前頂から−8.8mmになるまで後方に移動して、各前脳を40μmの冠状切片に切断した。切片は、実施例8および9に記載される通り、病変周囲エリアでの脳傷害の判定および細胞生存の分析のために処理した。
【0077】
(実施例8)
脳傷害の測定
脳傷害の程度および宿主細胞生存を特定するために、脳切片の調製および検査を行った。脳につき少なくとも4つの冠状組織切片を、ヘマトキシリンおよびエオジン(H&E)またはニッスル染色のために処理した。対側半球の面積から同側半球の無傷の面積を引き算することによって計算された間接病変面積を判定することによって、脳傷害を定量化した。病変容量は、連続切片からの病変面積を合計することによって、対側半球と比較した病変の容量百分率として提示した。
【0078】
図4Bに定量的に示す結果は、SB623細胞の移植を受けた、TBIを施した動物が、ビヒクルの注入を受けた、TBIを施した動物と比較して、皮質コアおよび損傷周囲の皮質エリアへの傷害が有意により少ないことを示す。
【0079】
(実施例9)
TBI周囲病変エリアでの細胞生存の分析
損傷周囲の皮質エリアに対応する、ランダムに選択された高倍率視野を検査して、この領域に生存する宿主細胞を計数した。結果を、
図4Aに示す。
【0080】
(実施例10)
免疫組織化学
浮動切片を、免疫蛍光顕微鏡検査のために処理した。簡潔には、40μmのクリオスタット切片組織を4倍の倍率で検査し、PCベースの画像ツールコンピュータプログラムを用いてデジタル化した。齧歯動物のタンパク質と交差反応しなかったモノクローナルヒト特異抗体HuNuを用いて、移植されたSB623細胞の生着を調査した。細胞増殖(Ki67)、移動(ダブルコルチンまたはDCX)および神経分化(ネスチン)に重点を置いて、脳組織試料の機構ベースの免疫組織化学的分析のために、さらなる脳切片を処理した。脳切片をブラインドコード化し、Abercrombieの式を用いて免疫陽性細胞の総数を計算した
3、26。
【0081】
これらの分析の結果は、SB623細胞の移植が、SVZと、高度に増殖性の、神経的に献身的な移動性の細胞からなる衝撃を受けた皮質の間でバイオブリッジの形成を誘導することを示した。TBIの1カ月後、免疫蛍光および共焦鏡検は、損傷周囲の皮質エリアおよび脳室下帯(SVZ)での、SB623細胞の移植を受けた動物の脳梁(CC)に沿った移動性細胞(ダブルコルチンを発現する細胞)の流れを伴う、内因性細胞増殖(Ki67を発現する細胞によって証明される)および未熟な神経分化(ネスチンを発現する細胞)の急増を明らかにした。ビヒクルだけを受けた動物からの脳は、損傷周囲の皮質エリアにおいて、限定的な細胞増殖および神経分化、ならびに散乱移動を示し、新たに形成された細胞はSVZにほとんど存在しなかった。TBIの3カ月後には、SB623移植を受けた動物からの脳は、SVZから衝撃を受けた皮質までCCに沿うだけでなくそれを越えて移動する神経標識細胞(ネスチンおよびダブルコルチンの両方を発現する)の充実流を伴って、損傷周囲の皮質エリアを取り囲むずっと大量の細胞増殖および神経分化を示した。対照的に、ビヒクルを注入した動物からの脳では、細胞増殖は強化されたが、新たに形成された細胞はSVZおよびCCの中に「捕獲され」、ほんの少しの細胞だけが衝撃を受けた皮質に到達することができた。SVZ、CCおよびCTXでのKi67、ネスチンおよびDCX免疫標識細胞の定量分析は、移植された動物とビヒクルを注入された動物の間で統計的に有意な差を明らかにした(
図5〜7)。
【0082】
(実施例11)
ザイモグラフィ
損傷脳へのSB623細胞の移植後のタンパク質分解酵素の存在および/または活性について試験するために、その分析が実施例4〜10に記載されたものとは別個の動物のコホートを用いた。ラットにTBIを施し、次にSB623細胞またはビヒクルを移植した。年齢をマッチさせ、偽手術をした成体Sprague−Dawleyラットの対照群に、同じ実験手順を受けさせた(1群につきn=3ラット)。TBIの1カ月後および3カ月後に、SVZから衝撃を受けた皮質まで移動する細胞によって形成されるバイオブリッジに対応する組織を、レーザー解剖によって得た。抽出後、組織をクライオチューブに入れ、液体窒素で瞬間冷凍した。ホモジナイゼーションまで、チューブを−80℃のフリーザーに保管した。
【0083】
50mMのトリス−HCl(pH7.5)、75mMのNaClおよび1mMのPMSFを含有する450μLの低温加工緩衝液で、試料をホモジナイズした。組織を10分間ホモジナイザーで処理し、4℃で20分間、13000rpmで遠心分離した。上清を分離、冷凍し、使用時まで−80℃に保った。上清中の総タンパク濃度は、Bradford法によって調査した。
【0084】
ザイモグラフィを実行した日に、50μgの総タンパクと同等の容量を、新たに提供したゼラチンザイモグラフィゲルに投入した。全てのゲルは、酵素量(ng)およびゼラチン溶解活性(相対的光学密度単位で表される、下記を参照)の両方の標準として用いられた、0.5ngの組換えMMP−9を投入した対照レーンを有していた。100Vの非還元条件下のゲルで、タンパク質を電気泳動的に分離した。電気泳動の後、ゲルを125mlの2.5%Tritonで20分間、2回洗浄した。次に、37℃で20時間、活性化緩衝液(Zymogram Development Buffer、Bio−Rad、Hercules、CA)でゲルをインキュベートした。翌日、ゲルをクーマシーブルーR−250染色液(Bio−Rad)で3時間染色し、脱色液(Bio−Rad)で25分間脱色した。試料のゼラチン溶解活性は、バンドの濃度測定分析(Gel−Pro v3.1、Media Cybernetics、Carlsbad、CA)によって調査した。溶解活性を示すゲル領域中のタンパク質の分子量は、同じゲルの上を流した前染色標準タンパク質マーカー(Bio−Rad)との比較により判定した。活性は、標準としてゲルに流した0.5ngの組換えMMP−9のそれに対する光学密度で表した。
【0085】
結果を、
図8に示す。TBI後にSB623細胞を移植した動物からのレーザー捕捉バイオブリッジ(SVZと衝撃を受けた皮質の間の脳組織に対応する)は、TBIの1カ月後および3カ月後に高レベルのMMP−9ゼラチン溶解活性を表した。SB623処置動物でのレベルは、ビヒクルを注入した偽手術をした動物からのバイオブリッジでのそれらより、両時点で有意に高かった(p<0.05)。ビヒクルを注入した動物からのバイオブリッジは、TBIの1カ月後の偽手術をした動物と比較してMMP−9活性の有意な増加を示したが、これらのレベルはTBIの3カ月後に対照レベルに戻った(すなわち、偽手術をした動物のそれらと有意に異ならない)。
【0086】
ブロットの上の検出のために、膜をブロットグレードの脱脂粉乳(Bio−Rad)でブロックした。0.1%トゥイーン20−トリス緩衝食塩水(TTBS)による洗浄の後、膜を4℃で一晩、1μg/mlの抗MMP−9モノクローナルマウス抗体とインキュベートした。膜をTTBSで再び洗浄し、二次抗体(西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートヤギ抗マウスIgGの1:1,000希釈溶液、Calbiochem)と1時間インキュベートし、最後に西洋ワサビペルオキシダーゼ現像溶液(ECLアドバンス検出キット、Amersham)で現像した。膜は、オートラジオグラフィフィルム(Hyblot CL、Denville Scientific Inc.)に曝露させた。ザイモグラムのための試料バンドの密度は、標準バンド(0.5ngの組換えMMP−9)に対する最大光学密度として表した。
【0087】
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