【実施例】
【0028】
以下、発明を実施例を通じてより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は本発明を例示するためのものであって、本発明は、下記の実施例によって限定されず、多様に修正および変更可能である。
【0029】
<実施例および比較例>
下記の表1に示した構成の通り、実施例と比較例の成熟した樹状細胞を製造した。
【0030】
【表1】
【0031】
実施例1.抗原と樹状細胞成熟化組成物の同時処理による樹状細胞の製造
【0032】
前記表1に示した構成の通り、実施例1の成熟した樹状細胞を製造した。
【0033】
(1)末梢血液単核細胞(PBMC)からの未成熟樹状細胞の分化(PBMC→imDC)
【0034】
健康な個体の血液単核細胞に対して、室温のFicoll−Paque Plus(Endotoxin−free grade)を用いた密度勾配遠心分離(Density gradient Centrifugation)を行い、赤血球(reticulocyte)、顆粒球(granulocyte)、血小板(platelet)、血漿などが除去された末梢血液単核細胞(PBMC)を収集した。
【0035】
前記末梢血液単核細胞を採取して遠心分離して細胞を収穫し、細胞を一定濃度で自己血漿の含まれているRPMI1640培地に懸濁し、細胞培養器に入れて培養した。凍結したPBMCを用いる場合には、解凍して、HBSS溶液と無血清培地で洗浄して使用することができる。
【0036】
末梢血液単核細胞からの単核球の分離は、動物細胞培養器の通常の材質であるプラスチックに対する吸着性(plastic adherency)を利用して実施した。単核球が細胞培養器の底材質であるプラスチックに対する吸着性(plastic adherency)が非常に高いため、培地に懸濁させた末梢血液単核細胞を37℃で培養した後、浮遊細胞(nonadherent細胞)を培地と共に除去することによって、選択的に患者の単核球細胞が全体血液細胞数の80%以上に調整された、分画としての付着細胞(adherent細胞)を得た。
【0037】
単核球からの樹状細胞の分化を誘導する樹状細胞分化培地としては、サイトカイン(Cytokine)混合物(E.coli発現ヒト組換え蛋白質のIL−4(Interleukin−4、最終濃度:500ng/mL以下)とGM−CSF(JW CreaGene、最終濃度:100ng/mL以下)が添加されたRPMI1640培地を使用した。
【0038】
(2)未成熟樹状細胞に抗原を感作
【0039】
培養開始3日後、底から落ちて浮遊する細胞を採取して計数した後、一定量ずつ培養容器に移して抗原処理培養を行った。
【0040】
癌特異的免疫反応のために、癌−特異的抗原(AFP、GPC−3またはMAGE−1;5〜10μg/mL、JW CreaGene)、または癌組織粉砕物(T98G tumor cell line lysate;50〜100μg/mL、自体製造)を一定濃度でそれぞれの培養容器に処理した。
【0041】
(3)未成熟樹状細胞の成熟化誘導(imDC→mDC)
【0042】
前記(2)の抗原感作と同時に、未成熟樹状細胞の成熟化を誘導した(
図1のB)。すなわち、樹状細胞の成熟化誘導のために、TNF−α(Tumor necrosis factor−α;10ng/mL)、IL−1β(Interleukin−1β;10ng/mL)、IL−6(Interleukin−6;10ng/mL)、PGE
2(Prostaglandin E
2;1μg/mL)を一定割合で入れた。この培地にはさらに、樹状細胞の成熟化および活性化因子であって細胞性免疫誘導因子として、TLR信号物質として知られているPoly IC(最終濃度:10μg/mL)とピシバニール(OK432)(医薬品、Picibanil、中外製薬、最終濃度:1〜2μg/mL)とIFN−γ(LG生命科学、最終濃度:30〜1000U/mL)を一定濃度で添加した。
【0043】
培養最終日に浮遊細胞を最終治療剤として採取して2回洗浄し、細胞凍結安定化剤[DMSOを含むヒト血清アルブミン(human serum albumin)またはヒト血漿]に懸濁して、原液を完成した。
【0044】
実施例2.ピシバニール(OK432)の時間差処理による樹状細胞の製造
【0045】
抗原(2)およびピシバニール以外の成熟化因子を処理(3)し、4時間経過後、ピシバニールを処理した点を除いて、前記実施例1と同様の方法で樹状細胞を製造した(
図1のA)。
【0046】
実施例3.ピシバニール(OK432)の時間差処理による樹状細胞の製造
【0047】
抗原(2)およびピシバニール以外の成熟化因子の処理(3)時点と、ピシバニール(OK432)の処理時点を次のようにそれぞれ調節した点を除いて、前記実施例1と同様の方法で樹状細胞を製造した(
図1参照)。
【0048】
【表2】
【0049】
比較例1〜4.抗原を感作しなかったり、ピシバニール(OK432)を処理しなかった樹状細胞の製造
【0050】
前記表1に示した構成の通り、抗原処理(2)するステップを行わない点、および/またはピシバニールを処理しない点を除いて、実施例1と同様の方法で樹状細胞を製造した。
【0051】
<実験例>
【0052】
実験例1.樹状細胞の成熟化過程での樹状細胞の分泌物質の測定
【0053】
実施例1−1(MAGE−1/OK+)および比較例1−1(MAGE−1/OK−)の樹状細胞を製造する時、成熟化過程中に各樹状細胞が分泌した培養液でのIL−12とIL−10の量を測定して
図2に示し、末梢血液細胞から分離したT細胞と前記実施例1−1および比較例1−1の樹状細胞の共培養時、T cellの増殖とIFN−γを測定してそれぞれ
図3および
図4に示した。
【0054】
具体的には、IL−12とIL−10の量を測定するために、抗原処理および成熟化過程で樹状細胞が分泌した培養液でIL−12とIL−10をELISA方法で分析した。実験方法は、ELISA kit提供会社のマニュアルに従って進行させた。実験の結果を
図2に示した。
【0055】
また、T cellの増殖を測定するために、Nylon woolで分離した自己T細胞1x10
5個と樹状細胞1x10
4個を10:1の割合で96well plateにtriplicateして、5日間培養した。培養後、MTT溶液を用いて、生きている細胞染色により細胞の増殖を確認した。実験の結果を
図3に示した。
【0056】
IFN−γを測定するために、自己T細胞と樹状細胞を5日間培養後、培養液でのIFN−γをELISA方法で分析した。その結果を
図4に示した。
【0057】
実験例2.ピシバニール(OK432)による非特異的T細胞の誘導効果の確認(Non−specific T cell induction by OK432)
【0058】
ピシバニール(OK432)による非特異的T細胞の誘導効果を確認するために、実施例と比較例により製造した成熟した樹状細胞(mDC)を用いて、次のような実験を行った。
【0059】
実施例1−2(AFP/OK+)、比較例2(Un/OK+)、比較例3−2(AFP/OK−)および比較例4(Un/OK−)の樹状細胞と末梢血液細胞(PBMC)から分離した自己T細胞を、次のように反応させ、毎刺激1日目の培養液を通してIFN−γの量を測定した。樹状細胞の製造に使用された同じヒトの末梢血液細胞から、nylon woolを用いてT細胞を分離した。成熟した樹状細胞と分離されたT細胞を1:10(2x10
5:2x10
6)の割合で混合して、6〜7日間培養した。一次刺激したT細胞は採取して、抗原に感作した樹状細胞と同じ割合(1:10)で再刺激を行った。培養培地(RPMI1640+10%AB serum)は、培養2〜3日ごとに新しい培地を添加または交換して、適切な培養環境を提供した。最初の刺激時にIL−7(Peprotech)を5ng/mLの濃度で添加し、2番目の刺激からはIL−2(Proleukin)を100U/mL処理した。抗原−感作した樹状細胞で2〜4回繰り返しT細胞を刺激して誘導したCTLに対して、抗原−特異性およびCTLの活性試験を行った。誘導過程中にT細胞と樹状細胞の共培養時、刺激の翌日に上層液の一部を採取して、IFN−γの分泌量をELISA方法で測定した。その結果を
図5に示した。
【0060】
また、GPC−3抗原をそれぞれの樹状細胞で誘導された活性T細胞に対して、抗原−特異的免疫反応を確認するために、実施例1−3(GPC−3/OK+)、比較例2(Un/OK+)、比較例3−3(GPC−3/OK−)および比較例4(Un/OK−)の樹状細胞で誘導したCTLの抗原−特異性をIFN−γ ELISPOT分析した。具体的には、ピシバニール(OK432)が処理された樹状細胞(
図6のw/OK432)、またはピシバニール(OK432)を処理しなかった樹状細胞(
図6のw/o OK432)で刺激してIFN−γを分泌する活性T細胞の数を測定した。1〜2x10
4個の活性T細胞と1〜2x10
3個の樹状細胞を10:1の割合で18〜24時間細胞培養器で培養後、kitで提示する方法に従ってELISPOT分析を行った。その結果を
図6に示した。
【0061】
誘導したCTLの活性および抗原−特異的な反応を確認するために、実施例1−2(AFP/OK+)、比較例2(Un/OK+)、比較例3−2(AFP/OK−)および比較例4(Un/OK−)の樹状細胞によって誘導されたCTLの活性を標的(Target)細胞と反応させて、培養液に分泌されたIFN−γの量を測定した。具体的には、CTLとHLA typeが一致しながら、抗原(AFP)を発現する標的細胞のHepG2細胞1x10
4個と誘導したCTL1x10
5個を1:10の割合で処理して、18〜24時間細胞培養器で反応させた後、上澄液を採取して、これからIFN−γの分泌量をELISA方法で測定した。このように測定されたIFN−γの量を
図7に示した。
【0062】
実験の結果、樹状細胞(DC)にピシバニール(OK432)を処理すると、抗原−非特異的免疫が強く誘導されることが分かった。
【0063】
実験例3.ピシバニール(OK432)の樹状細胞成熟化効果の確認
【0064】
抗原感作後の成熟化過程時、ピシバニール(OK432)の処理の有無による樹状細胞(DC)の機能を評価するために、AFPまたはGPC−3を抗原に用いた実施例1−2(AFP/OK+)および比較例3−2(AFP/OK−)、実施例1−3(GPC−3/OK+)および比較例3−3(GPC−3/OK−)の樹状細胞を用いてCTL誘導時、細胞の増殖および培養液での成熟化効果を次のように測定した。
【0065】
具体的には、実施例1−2(AFP/OK+)および比較例3−2(AFP/OK−)の樹状細胞を製造する時、成熟化過程中に各樹状細胞が培養液に分泌したIL−12とIL−10の量をELISA方法で測定して
図8に示した。
【0066】
Nylon woolで分離した自己T細胞1x10
5個と、実施例1−3(GPC−3/OK+)および比較例3−3(GPC−3/OK−)の樹状細胞1x10
4個を10:1の割合で96well plateにtriplicateして、5日間培養した。培養後、MTT溶液を用いて、生きている細胞染色により細胞の増殖を確認し、その結果を
図9に示した。
【0067】
また、実施例1−2(AFP/OK+)および比較例3−2(AFP/OK−)の樹状細胞を用いて末梢血液細胞から分離したT細胞との共培養時、培養液でのIFN−γをELISA方法で分析した結果を
図10に示した。
【0068】
実施例1−3(GPC−3/OK+)および比較例3−3(GPC−3/OK−)の樹状細胞を用いてCTL誘導時、細胞の増殖を測定した結果を
図11に示し、各樹状細胞とT細胞の繰り返し刺激時、毎刺激1日目に取った上澄液を採取して、ELISA方法で測定したIFN−γの量を分析して
図12に示した。
【0069】
実験の結果、ピシバニール(OK432)の処理によりTh1免疫反応誘導において重要なIL−12が増加し(
図8:抗原AFP使用)、T細胞の増殖能が向上し(
図9:抗原GPC−3使用)、Th1免疫反応の強化を誘導(
図10:抗原AFP使用)することが分かった。また、活性T細胞の増殖能力の向上(
図11:抗原GPC−3使用)および機能(IFN−γ)強化(
図12:抗原GPC−3使用)につながることが分かった。
【0070】
実験例4.抗原とピシバニール(OK432)の時間差投与による効果の確認(RPMI1640培地)
【0071】
GPC−3を抗原に感作後、ピシバニール(OK432)の処理時期を調節して成熟化誘導した実施例1−3と実施例2−3を対象として、次のようにELISPOT分析および細胞毒性活性試験(CV)を行った。
【0072】
ピシバニール(OK432)を抗原および成熟化因子と同時に処理した群(simultaneous)(実施例1−3)と、4時間経過後、ピシバニール(OK432)を処理した群(4h)(実施例2−3)の樹状細胞を用意した。それぞれの樹状細胞を自己T細胞と反応させて誘導したCTL1〜5x10
4個と、ピシバニール(OK432)を処理しなかった樹状細胞1〜5x10
3個を10:1の割合で、IFN−γ capture抗体でコーティングされたプレートで18〜20時間細胞培養器で培養した。以後、ELISPOTキットで提供したマニュアルに従って実験を進行させた。すなわち、培養後、各ウェルを蒸留水と洗浄用バッファーで洗浄した後、検出用抗体を入れて反応させた。以後、二次抗体を入れて1時間反応させた後、酵素に適した基質を入れて反応させた後、反応を終了した。1日間乾燥させた後、ELISPOT reader(ImmunoSpot)を用いてspot数をcounting後、分析し、その結果を
図13に示した。
【0073】
それぞれ誘導されたCTLを標的細胞と反応させた後、細胞毒性の活性を測定した。標的細胞としては、HLA−typeが一致し、抗原を発現する細胞(HepG2)、HLA−typeは一致するものの、抗原を発現しない細胞(Hep3B)と、両方とも一致しない細胞株(SN12C)を標的細胞として細胞毒性活性試験を行った。標的細胞1x10
4個を反応1日前に96well flat bottomed plateに分注し、翌日、CTL活性試験に使用した。活性T細胞は、標的細胞に一定割合で入れて18〜24時間培養後、10%のformalinで1時間固定させ、0.4%のcrystal violetで30分間染色した後、80%のmethanolを添加し、570nmで吸光度を測定して細胞毒性の活性を確認した。その結果を
図14に示した。
【0074】
実験の結果、抗原処理4時間経過後、ピシバニール(OK432)を処理した群(実施例2−3)で、同時処理した群(実施例1−3)より高い抗原−特異性を確認(
図13)することができ、細胞毒性の結果においても、4時間後の処理群で高い活性を示した(
図14)。
【0075】
実験例5.抗原とピシバニール(OK432)の時間差投与による効果の確認
【0076】
AFP、GPC−3およびMAGE−1をそれぞれ抗原に感作後、ピシバニール(OK432)の処理時期を調節して成熟化誘導した実施例3−1〜3−5を対象として、次のように樹状細胞の免疫誘導能力およびCTLの抗原−特異的免疫反応誘導能力を確認した。
【0077】
まず、分離した自己T細胞5x10
6の細胞を2mLの培養培地に懸濁し、CFSE(carboxyfluorescein diacetate、succinimidyl ester)の最終濃度が5〜25μMの濃度となるように添加して、37℃の培養器で15分間培養した。培養培地で2回洗浄した後、細胞を計数して、1ウェルあたり1x10
5の細胞で入れて用意された樹状細胞1x10
4個と5日間培養した。培養後、CD3抗体で染色して、フローサイトメトリー(FACS)を行って増殖したT細胞(CD3+CFSE
10)の割合を分析し、その結果は、AFP、GPC−3およびMAGE−1を抗原に用いたそれぞれの結果を取りまとめて
図15に示した。
【0078】
また、分離した自己T細胞と樹状細胞を10:1の割合で混合して5日培養後、培養液を採取して、ELISA方法でIFN−γを分析し、AFP、GPC−3およびMAGE−1を抗原に用いたそれぞれの結果を取りまとめて
図16に示した。
【0079】
それぞれ誘導されたCTLは、比較例3の樹状細胞で10:1の割合で18〜20時間反応させた後、IFN−γを分泌する細胞をELISPOT分析法で分析し、AFP、GPC−3およびMAGE−1を抗原に用いたそれぞれの結果を取りまとめて
図17に示した。実験の結果、抗原処理後、4時間後にピシバニール(OK432)処理グループのkilling activity、ELISPOTの抗原特異性に優れていることを確認した。