特許第6134796号(P6134796)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134796
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】増加した界面積を有するアルカリ電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 6/08 20060101AFI20170515BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20170515BHJP
   H01M 2/26 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   H01M6/08 A
   H01M2/02 E
   H01M2/26 A
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-528719(P2015-528719)
(86)(22)【出願日】2013年8月27日
(65)【公表番号】特表2015-530707(P2015-530707A)
(43)【公表日】2015年10月15日
(86)【国際出願番号】US2013056800
(87)【国際公開番号】WO2014035969
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2015年2月20日
(31)【優先権主張番号】61/693,505
(32)【優先日】2012年8月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】315014051
【氏名又は名称】デュラセル、ユーエス、オペレーションズ、インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート、マイケル、デイビス
(72)【発明者】
【氏名】ジャビット、アーメド、ドレイク
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー、ピー.ヘインズ
【審査官】 冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03335031(US,A)
【文献】 仏国特許出願公開第00262235(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 6/08
H01M 2/02
H01M 2/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端部及び上端部を有するハウジングと、前記ハウジング内に配置された電極アセンブリと、を備えるアルカリ電池であって、前記電極アセンブリが、単一の第1電極と、単一の第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置されたセパレータと、電解質と、を備え、
前記第1電極が、中空外側本体と、前記中空外側本体の内部に位置付けられた少なくとも1つの内側本体と、を備え、前記中空外側本体及び前記少なくとも1つの内側本体が前記ハウジングの内部で接合されて、均一の電極特性を有する、単一の均質の構造を形成し、 前記第2電極が、中間体を備え、前記中間体は、前記第1電極の前記中空外側本体と前記第1電極の前記少なくとも1つの内側本体との間に少なくとも部分的に配置され、前記中間体は、前記第1電極の前記中空外側本体及び前記第1電極の前記少なくとも1つの内側本体から電気的に絶縁され、
前記第1電極が、前記ハウジングの前記下端部に隣接して配置され、前記中空外側本体と前記少なくとも1つの内側本体とを一体的に相互連結して、前記単一の均質の構造を形成する、少なくとも1つの第1端部ディスクを備える、アルカリ電池。
【請求項2】
前記少なくとも1つの内側本体が、前記中空外側本体と同軸上に位置付けられるか、または、前記中空外側本体の長手方向軸に対してある角度をなして位置付けられる、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項3】
前記中間体が、前記中間体の中に少なくとも1つの空間を有し、前記少なくとも1つの空間が前記少なくとも1つの内側本体によって少なくとも部分的に占められる、請求項1又は2に記載のアルカリ電池。
【請求項4】
前記中間体が、前記中空外側本体及び前記少なくとも1つの内側本体の少なくとも1つと同軸上にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルカリ電池。
【請求項5】
前記中空外側本体、前記少なくとも1つの内側本体、及び前記中間体の少なくとも1つが、円筒、角柱、多面体、トーラス、錐体、円錐、球体、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される形状を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のアルカリ電池。
【請求項6】
前記ハウジング、前記中空外側本体、前記少なくとも1つの内側本体、及び前記中間体のそれぞれが、円筒を含む形状を有し、前記ハウジング、前記中空外側本体、前記少なくとも1つの内側本体、及び前記中間体が、共通長手方向軸を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のアルカリ電池。
【請求項7】
前記第1電極が、前記ハウジングの前記上端部に隣接して配置され、前記中空外側本体と前記少なくとも1つの内側本体とを一体的に相互連結して、前記単一の均質の構造を形成する、第2端部ディスクを更に備える、請求項6に記載のアルカリ電池。
【請求項8】
前記アルカリ電池が、前記少なくとも1つの内側本体の内部に配置され、前記ハウジングの前記上端部及び前記下端部の1つに前記第1電極を電気的に接続する、少なくとも1つの第1集電器を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のアルカリ電池。
【請求項9】
前記アルカリ電池が、前記ハウジング又は前記ハウジングの前記上端部及び前記下端部の1つのいずれかに前記第2電極を電気的に接続する、少なくとも1つの第2集電器を含む、請求項8に記載のアルカリ電池。
【請求項10】
前記第1集電器及び前記第2集電器の少なくとも1つが、鋼、青銅、及びこれらの任意の組み合わせを含む、請求項9に記載のアルカリ電池。
【請求項11】
前記第1集電器、前記第2集電器、及び前記ハウジングの少なくとも1つが、低電気接触抵抗を有する材料でめっきされ、前記低電気接触抵抗を有する材料が、ニッケル、コバルト、カーボン含有塗料、及びこれらの任意の組み合わせを含む、請求項9又は10に記載のアルカリ電池。
【請求項12】
前記第1電極が正極(カソード)であり、前記第2電極が負極(アノード)である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のアルカリ電池。
【請求項13】
前記第1電極が負極(アノード)であり、前記第2電極が正極(カソード)である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のアルカリ電池。
【請求項14】
前記第1電極から前記ハウジングの内面を絶縁するために、前記ハウジングが、プラスチックで裏打ちされた金属で少なくとも部分的に作製されているか、または、金属化プラスチックで作製されている、請求項1〜13のいずれか一項に記載のアルカリ電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増加したアノード−カソード界面積を形成する、単一アノード及び単一カソードを有するアルカリ電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の円筒形アルカリ亜鉛−二酸化マンガン電池(「アルカリ電池」とも呼ばれる)、例えば、単3電池、単4電池、及び単1電池などは、単一アノード及び単一カソードを収容する、従来のボビン構造を使用する。かかる従来のアルカリ電池の出力特性は、通常、アノードとカソードとの間に存在する限定的な界面積及び非常に厚い電極(アノード及びカソードの両方)のために限定される。アノード−カソード界面積の増加は、電池の出力特性を高めるであろう。
【0003】
アノードとカソードとの間でより高い界面積を得るために多極電極を使用する電池構造は既知であり、かかる設計は、より薄い電極も使用し得る。例えば、ある既知の設計は、単一カソードと組み合わせた複数のアノード又は単一アノードと組み合わせた複数のカソードを使用する。あるいは、どちらの種類についても複数の電極を組み合わせて使用することもできる。
【0004】
しかし、多極電極を使用する、かかる既知の設計は、複数の別個のアノード及び/又はカソード構体を電気的に相互接続し、同一電極種/極性の様々な部分の間に並列電気接続、すなわち、アノード−アノード接続及びカソード−カソード接続を本質的に生じさせて、エネルギーの放電及び伝達を同時に実行可能にする必要性により複雑化する。
【0005】
例えば、米国特許第5,869,205号は、カソードなど第1電極と、アソードなど複数の第2電極と、を有する電気化学電池を目的とする。カソード内に複数のキャビティが形成され、集電器がアノードを電気的に接続する。米国特許第7,341,803号は、改善された高率かつ高性能の放電容量を有するアルカリ電池を目的とし、この電池は、追加のアノード又はカソードを有する。
【0006】
国際公開第2004/095606 A2号は、電池のハウジング内に配置された、少なくとも1つのプリフォームペレットを有し、ある材料から形成された外側電極部を含んで、幾何学的にペレットを固形に形成する、電池を目的とする。このペレットは、セパレータによって封入された内側電極を含み、外側電極部の材料内に埋め込まれる。国際公開第2005/022671 A1号は、セパレータによって封入された内側電極を備え、折り畳み構造の薄い断面を有し、内側電極は、その外側範囲が、ハウジングの内面によって画定された輪郭に概して適合するように形成される、円筒形アルカリ電池など電池を目的とする。
【0007】
上記の試みの一部においては、電極界面積を増加することができ、アノード電極及びカソード電極の両方の有効厚さを、通常の円筒形アルカリ電池の有効厚さに対して減少させることができると見られる。しかし、これらの方法では、複雑かつ高価な製造プロセスが必要となり得る。複雑さ及び費用は、複数のアソード及び複数のカソードを電気的に相互接続する必要性、非対称の非同心円形状をもたらす必要性、及び電池内部で相互接続手段を絶縁させる必要性によって生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,869,205号
【特許文献2】米国特許第7,341,803号
【特許文献3】国際公開第2004/095606 A2号
【特許文献4】国際公開第2005/022671 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、増加した電極界面積を有し、したがって、優れた高率性能を提供するが、電池内で複数のアノードとカソードとの相互接続を必要としない電池に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、増加した電極界面積、したがって、低減した有効電極厚さに基づいた優れた高率性能を備えるが、複数のアノードとカソードとの相互接続を必要としない設計を有する、電池設計を提供する。本発明は、下端部及び上端部を有するハウジングと、ハウジング内に配置された電極アセンブリと、を備える、アルカリ電池を目的とする。電極アセンブリは、単一の第1電極と、単一の第2電極と、第1電極と第2電極との間に配置されたセパレータと、電解質と、を備える。第1電極は、中空外側本体と、外側本体の内部に位置付けられた、少なくとも1つの内側本体と、を備える。外側本体及び少なくとも1つの内側本体は、ハウジングの内部で構造的に接合されて、その内部に、本質的に均一の電極特性、例えば、電気伝導性などを有する、単一の実質的に均質の構造を形成する。第2電極は、外側本体と少なくとも1つの内側本体との間に少なくとも部分的に配置された、中間体を備える。中間体は、外側本体及び少なくとも1つの内側本体から電気的に絶縁されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書は、本発明をなすとみなされる主題を具体的に指摘しかつ明確に主張する特許請求の範囲を結論とするが、本発明は、添付の図面と関連してなされる以下の説明により、更に理解されると考えられる。
図1】第1電極と、第2電極と、を備える、本発明の電池の実施形態の概略断面図であり、第1電極が、第1電極集電器として機能する電池のハウジングと接触する電池の構造を示す。
図2】本発明の電池の別の実施形態の概略断面図であり、第1電極及び第2電極の相対位置が、図1の実施形態の相対位置と逆転している。
図3図2に示される実施形態の変形の概略断面図である。
図4】本発明の電池の実施形態の概略断面図であり、第1電極は、缶によって形成された電池のハウジングに接触し、第2電極は、その内部に2つの空間を有し、それぞれ第1電極の一部(内側本体)によって占められている。
図5】線5−5に沿って切断された、図4に示される実施形態の概略断面図である。
図6図4及び5に示される設計の変形の概略断面図であり、第1電極の3つの内側本体は、第2電極の空間の内部に、外側本体の長手方向軸に対して鋭角に配置されている。
図7】線7−7に沿って切断された、図6に示される実施形態の概略断面図である。
図8】本発明の電池の別の実施形態の概略断面図であり、第2電極は、概して円錐を含む形状を有する。
図9】電池の実施形態の概略断面図であり、第2電極は、概して凹状の外側を有する円錐を含む形状を有する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の電池10は、ハウジング20を備える。ハウジング20は、少なくとも部分的に、例えば、缶によって形成されてよい。電池は、2つの相互に対向する端部である第1端部、すなわち下端部11、及び第2端部、すなわち上端部12を有する。当業者は、「上」及び「下」、「上に」及び「下に」などの用語は、本明細書の複数の図に示されるように電池を説明する慣習的な相対用語であることを容易に理解するであろう。使用する際、電池10は別の方向に配向されてよい。
【0013】
ハウジング20は、アルカリ一次電池において通常使用される、任意の従来の種類であってよく、任意の好適な材料、例えば、ニッケルめっきした冷間圧延鋼又はプラスチックなどで作製されてよい。上端部12に隣接するものとして図に示される封止部70は、例えば、ポリアミド(ナイロン)で作製されてよい。ハウジング20は、従来の円筒形状を有してよいか、任意の他の好適な非円筒形状、例えば、角柱状を有してよい。ハウジング20の内壁は、電極に対して低電気接触抵抗を有する金属、例えば、カーボンなどで加工されてよい。ハウジング20の内壁は、例えば、ニッケル、コバルトでめっきされてよいか、カーボン含有塗料で塗られてよい。
【0014】
ハウジング20の内部に配置された電極アセンブリは、単一の第1電極30と、単一の第2電極40と、を備える。現在の文脈における用語「単一の」は、固体、半固体、又は液体にかかわらず、電極が、1本又は複数本のワイヤなどによって相互に接続された2つ又は複数の別個の電極とは対照的に、単一の実質的に均質の構造を備えることを示す。この単一の実質的に均質の構造は、単一本体の全体として形成されるか、2つ以上の個々の構成要素から組み立てられるかのいずれかであってよい。後者の場合、個々の構成要素が組み立てられて、その本体全体で本質的に均一の電極特性、例えば、電気伝導性/抵抗などを有する、単一の実質的に均質の電極を形成する。
【0015】
第1電極30及び第2電極40の一方は、正電荷を有し、他方は、負電荷を有する。電極30、40は、電極30と電極40との間に配置されたセパレータ50によって互いから電気的に絶縁されている。電池10では、任意の好適なセパレータ、例えば、従来のアルカリ電池型セパレータなどを使用してよい。セパレータ50としては、例えば、少なくとも1つの不織布材料層と組み合わされたセロハン層が挙げられ得る。単3型電池では、例えば、セパレータ50は、0.30mm未満、具体的には0.20mm未満、及びより具体的には0.10mm未満の湿潤厚さと、0.10mm未満、具体的には0.07mm未満、及びより具体的には0.06mm未満の乾燥厚さと、を有してよい。セパレータ50の取り付けには、任意の従来の方法を使用してよい。
【0016】
第1電極30は、実質的に中空外側本体31と、外側本体31の内側に位置付けられた、少なくとも1つの内側本体32と、を備える。外側本体31及び少なくとも1つの内側本体32は、ハウジング20の内部で接合されて、本質的に均一の電極特性、例えば、電気伝導性などを全体にわたって有する、単一の実質的に均質の構造を形成する。したがって、第1電極30の部分を相互接続するためのワイヤ又は同様の手段は不要であり、使用されない。
【0017】
当業者は、用語「中空」、「空」、「均質」、「固体」などは、本発明の電極に適用されるとき、記載した要素間の相対的な構造差異をそのようなものとして、電池内部の電解質、1つ以上の電極に挿入された集電器、又は他方の電極の内部に配置された一方の電極にかかわらず説明するために本明細書で使用されることを容易に理解するであろう。換言すれば、これらの用語は、(例えば、内部に存在するという理由で)記載の要素に関連し得る他の要素から切り離して、要素の構造を説明する。したがって、挿入された集電器を有する、別の面で均質の電極は、本明細書において「均質」と記載されてよい。同様に、内部に電解質及び/又は別の電極の一部を有する、カップ状電極は、本明細書において「中空」と記載されてよい。更に、電極内部の空隙又は空洞は、かかる空隙が、組み立てられた電池10において別の電極の一部によって占められたとしても、本明細書において「空間」と記載されてよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、第1電極30は、垂直の、実質的に円筒の壁31a(図1)を含む、カップ状の、本質的に円筒形の、又は管状の本体31と、少なくとも第1(下)ディスク33(厚さ「D」を有する)と、を備える。ディスク33は、実質的に壁31aに垂直に配置され、後者と相互連結する。用語「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」などは、本明細書の図に示されるように、電池10の複数の要素を参照して本明細書において使用される、慣習的な説明用語である。垂直壁は、電池10の長手方向軸99及び電池のハウジング20の壁に実質的に平行であってよい。
【0019】
図1〜3の実施形態において、第1電極30の内側本体32は、外側中空本体31の内部、かつその同軸上に位置付けられる、本質的に均質の円筒によって形成される。内側本体32は、内側本体32と壁31aとを相互連結して、本質的に均一の電極特性、例えば、電気伝導性などを有する第1電極30の単一の実質的に均質の構造を形成する、第1ディスク33と接触し、これに従属する。換言すれば、外側中空本体31及び内側本体32は、電池10の下端部11に隣接して配置された、少なくとも第1端部ディスク33によって接合されて、単一の第1電極構造を形成する。
【0020】
第2電極40は、第1電極30の外側本体31と少なくとも1つの内側本体32との間に少なくとも部分的に配置された中間体41を備える。第2電極40の中間体41は、第1電極30の外側本体31及び少なくとも1つの内側本体32から電気的に絶縁されている。
【0021】
図1〜3の例示の実施形態において、端部ディスク33は、セパレータ50と共に、電池の下端部11の内表面から第2電極40を分離する。これらの実施形態において、ハウジング20、外側本体31、少なくとも1つの内側本体32、及び中間体41のそれぞれは、円筒壁を備える形状を有し、ハウジング20、外側本体31、少なくとも1つの内側本体32、及び中間体41は同軸上にある。すなわち、これらすべては、共通の長手方向軸99を有する、つまり軸方向に揃っている。
【0022】
従来の集電器35は、第1電極30の内側本体32に挿入され得る。集電器35は、鋸歯状(図1)であって、第1電極30の材料と接触する表面を増加させてよい。集電器35は、図1に示されるように、例えば、スポット溶接によって、又は任意の他の好適な既知の技法によって、電池10の下端部11に電気的に接続されてよい。集電器35は、金属、例えば、鋼、又は任意の他の好適な材料で作製されてよい。これは、ニッケル、コバルト、又は集電器35と第1電極30との間で低電気接触抵抗を示す別の好適な材料によって、所望によりめっきされてよく、追加的に、又はあるいは、カーボン含有塗料でコーティングされてよい。
【0023】
当業者は容易に理解するであろうように、第1電極30及び第2電極40の一方は、正極(カソード)であり、他方は負極(アノード)である。例えば、いわゆる「従来の」電池構造を示す図1の実施形態において、第1電極30は、ハウジング20の内面と接触する正極であり、一方、第2電極40は、ハウジング20から電気的に絶縁された負極である。この実施形態において、ハウジング20は、正極集電器として機能する。第2電極40は、これに挿入された1つ以上の集電器45を有してよい。これらの集電器45は、上端部12まで延在して、例えば、封止部70によってハウジング20から絶縁される封止部アセンブリ60を含む、上端キャップに電気的に接続されてよい。
【0024】
例として、図1に示される電池は、以下の方法で組み立てられてよい。好適な円筒状ダイ(図示なし)の内部に第1電極集電器35を配置する。ダイを第1電極材料で充填し、第1電極集電器35を囲む。第1電極材料が集電器35に付着するように、集電器35の周囲でこの材料を圧縮する。これを複数回繰り返して、内部に第1電極集電器35が埋め込まれた、第1電極材料の円筒を構築できる。内部に第1電極集電器35が埋め込まれた、圧縮第1電極材料で作製された円筒、すなわち、第1電極30の内側本体32を備える、結果として得られた第1電極サブアセンブリは、ダイから取り外し、取っておくことができる。
【0025】
第1電極30の中空外側本体31は、ハウジングの壁に隣接して、ハウジング20の内部で形成してよい。例えば、第1電極材料で構成される一連のリングをハウジング20に挿入して、その中で押し付けてよい。ハウジング20内でこれらのリングを更に圧縮して、中空外側本体31を形成し、リング/本体31とハウジング20との電気的接触を向上させることができる。当事者は理解するであろうように、リングはやや大きめに押し付けてよく、先細の挿入ダイを使用することによって、ハウジング20に締まりばめされてよい。
【0026】
内部に第1電極集電器35が組み込まれた、第1電極30の内側本体32は、次いで、内側本体32と外側本体31との間に管状の空間が形成されるように、中空外側本体31を内部に有するハウジング20内に配置してよい。第1電極集電器35が組み込まれた内側本体32をハウジング20と同軸上に位置付け、電池10の下端部11にスポット溶接して、ハウジング20の内部に内側本体32を固定し、第1電極集電器35とハウジング20との間に電気接点を作製してよい。
【0027】
中空外側本体31と内側本体32との間に形成された環状空間から第1電極材料の追加部分を流し込み、上から強く押し付けて、第1端部ディスク33を形成し、中空外側本体31と内側本体32との間を埋め、その結果、第1電極30の単一の均質本体を形成してよい。中空外側本体31と内側本体32との間に形成された第1電極30の残りの環状空間は、第2電極40の中間体を受容するように構造化し、構成する。
【0028】
あるいは、又は加えて、第1電極30は、単一工程で実行し得るか、多工程プロセスを含み得る、押出成形を使用して形成してよい。例えば、中央集電器35は、ハウジング20に任意の第1電極材料を配置する前に、電池の長手方向軸99に沿って、この同軸上に位置付け、定位置に溶接してよい。次いで、例えば、粒状としてなどの第1電極材料の固定重量又は体積を計量して、ハウジング20に投入してよい。ハウジング20は、雌型ダイ内で支持されてよく、一方、押出パンチを配合物の中に押下げて、1回の操作で第1電極30を形成する。第1電極パンチでの好適な先細形状は、第1電極30を損なうことなく引き込むことができるものであってよい。
【0029】
次いで、第1電極30の中空外側本体31と内側本体32との間に形成された環状空間は、例えば、液体が塗布されたセパレータ又は従来の不織布若しくはセロハンセパレータの形態の任意の好適なセパレータ50で裏打ちしてよい。次に、中空外側本体31と内側本体32との間に形成された空間を、第2電極材料で充填して、第2電極40を形成してよい。あるいは、例えば、亜鉛など粒子材料の圧縮成形体を予備成形し、外側本体31と内側本体32との間に形成されたセパレータで裏打ちされた空間に配置してよい。ある実施形態において、例えば、粒子状の第2電極材料の圧縮円筒をセパレータ50で巻くか、コーティングし、次いで、第1電極30の中空外側本体31と内側本体32との間に形成された空間に挿入してよい。
【0030】
次いで、電池10に電解質を分注して、例えば、ピペットで移して、その内部にあるすべての構成要素を湿潤させてよい。電池10では、任意の好適な電解質を使用してよい。例えば、電解質は、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムなど水酸化アルカリの水溶液を含んでよい。電解質はまた、塩化亜鉛、塩化アンモニウム、過塩素酸マグネシウム、臭化マグネシウム、又はそれらの組み合わせなどの塩類電解質の水溶液であることもできる。
【0031】
次いで、封止部70を含むキャップアセンブリ60を取り付けてよい。これは、1つ以上の第2電極集電器45(図1)を取り付けることを含んでよい。当業者が認めるであろうように、これらの集電器45は、例えば、好適な低ガス発生金属、りん青銅、錫めっき黄銅などで作製されてよい。集電器45は、第2電極40に部分的に浸すか、別の方法で第2電極40と接触させる。
【0032】
単一の第1電極(例えば、カソード)と、単一の第2電極(例えば、アノード)と、を含む、組み立てられた電池10は、それらの間に、増加した界面積を呈する。加えて、電池10は、従来のように構築されたアルカリ電池よりも有効厚さが薄い電極を有すると言うことができる。現在の文脈における用語「有効厚さが薄い」は、電極の物理総厚は従来の電池のそれと同じであるか、同様であり得るが、これらの電極の両側から同時に放電する能力は、従来の電極に対して、これらの「電気化学的」厚さを効率的に最小化することを意味する。加えて、第2電極40は、電池10の下端部に配置された少なくとも第1端部ディスク33と並べられた、第3側部から放電することができる。
【0033】
本明細書に記載されるように、第1電極30又は第2電極40のいずれかはカソードであってよく、第2電極40又は第1電極30のいずれかはアノードであってよい。図1において、例えば、第1電極30がカソードを構成し得、第2電極40がアノードを構成し得る場合、図2及び3において、例えば、カソード及びアノードの相対位置は、図1に示される相対位置に対して逆転していると言うことができる。図2及び3の実施形態において、第1電極30は、外側中空本体31と、内側本体32と、を備える、アノードを構成してよく、第2電極40は、アノードの外側中空本体31と内側本体32との間に配置された中間中空本体41を備える、カソードを構成してよい。
【0034】
第1電極がアノードを構成する実施形態において、例えば、鋼で作製されたハウジング20は、プラスチックで裏打ちされて、深刻な水素ガスの発生をもたらし得る、亜鉛アノードと鋼との直接接触を回避させてよい。プラスチックは、自立式の成形インサートを含んでよい。あるいは、ハウジング20の壁は、プラスチックでコーティングされてよい。第1電極集電器35(図2及び3においては、負集電器)は、アノードスラリーに挿入された、従来の青銅くぎ又は黄銅くぎを備えてよい。カソードは、例えば、所望によりカーボンコーティングを施された鋼又はニッケルめっき鋼など金属グリッド49に押し付けられ、中空円筒に形成された、従来のカソードブレンドを含んでよい。絶縁ワイヤ80は、カソード金属グリッド49に取り付けられて、最終的に鋼ハウジング20に接続できるようにしてよい。
【0035】
図2及び3の例示の実施形態において、ハウジング20は、アノード亜鉛スラリーで充填されてよい。中間体41を備える第2電極40は、セパレータ50(液体が塗布された、又は従来の不織布若しくはセロハン)で囲まれていてよく、完全に浸るようにアノードスラリーに挿入され、電池10の上端部12に隣接してカソードの最上部の上に配置されたスラリーのブリッジを残し、第1電極30の内側本体32(図2において、アノード中央円筒を備える)を外側中空本体31に接続させる。カソード円筒は、ハウジング20の底部まで完全には押し込まれられず、ハウジングの底部の内面から距離Dにおいて浮遊できて、アノードスラリーの別のブリッジが、電池10の下端部に隣接するカソードの下に留まることができるようにし、また、内側本体32を外側中空本体31に接続させる。組み立てられた電池10において、カソードの最上部の上に配置されたアノードスラリーのブリッジは、第1端部ディスク33を形成し、カソードの下に配置されたアノードスラリーのブリッジは、厚さD2を有する、第2端部ディスク34を形成する。
【0036】
カソードグリッド49に取り付けられた絶縁ワイヤ80は、封止部アセンブリ60を通り抜けてよく、次いで、電池10の上に配置され、クリンプされてよい。第1電極集電器35(従来の青銅材料又は黄銅材料を含み得る)は、アノードの中央部分に挿入され、これを電池の負端子に接続してよい。集電器グリッド49に接続された絶縁ワイヤ80はまた、正電荷を有するハウジング20に接続されてよい(例えば、スポット溶接されてよい)。鋼ハウジング20内で一体成形された接続は、正端子を形成する。
【0037】
図3の実施形態において、ハウジング20はプラスチックで作製されてよい。両方向への透湿を回避するため、プラスチックは、外面を金属化されてよい。この実施形態における正電荷を有する絶縁導線は、ハウジング20とは別個のアセンブリを備え得る、正端子に直接接続される。接続ワイヤ80は、電池のラベルの下に位置付けられた、薄い金属製フラットリボンの形態を取ってよい。プラスチックハウジングは、鋼ハウジングと比較して、製造費用が低いという利点を有する。しかしながら、プラスチックは、鋼のような剛性及び強度のいずれも有さないので、より厚いプラスチックのハウジング壁が必要となり得る。したがって、電池の使用可能内部体積が減少する。
【0038】
図4〜5及び6〜7の実施形態において、第1電極30は、中空外側本体31と、外側本体31の内部に位置付けられた複数の内側本体32と、を備える。図4及び5の例示の実施形態において、第1電極30は、2つの内側本体32を備え、図6及び7の例示の実施形態において、第1電極30は3つの内側本体32を備える。どちらの実施形態においても、内側本体32は、第1電極30の外側本体31と同軸上にはない。すなわち、これらの実施形態において、内側本体32は、外側本体31の長手方向軸99(及び電池10)に対してある角度をなして位置付けられる。図4及び5の実施形態において、内側本体32は、実質的に電池10及び外側本体32の共通長手方向軸99に垂直である。図6及び7の実施形態において、内側本体32は、電池10の長手方向軸99に対して鋭角に位置付けられる。上記の実施形態において、第1電極30の外側本体31及び内側本体32は、ハウジング20の内部で接合されて、その全体で本質的に均一の電極特性、例えば、電気伝導性を有する、第1電極30の単一の実質的に均質の構造体を形成する。
【0039】
図4〜5及び6〜7の上記の例示の実施形態において、第2電極40の中間体41は、その中に少なくとも1つの空隙又は空間を有する。この少なくとも1つの空隙又は空間は、内側本体32によって少なくとも部分的に占められる。図4及び5の実施形態において、中間体41は、その中に2つの空間を有し、それぞれ少なくとも部分的に内側本体32によって占められる。図6及び7の実施形態において、第2電極40の中間体41は、その中に3つの空間を有し、それぞれ少なくとも部分的に内側本体32によって占められる。換言すれば、第1電極30の内側本体32のそれぞれは、第2電極40の中間体41に形成された、対応する空間又は空隙内に少なくとも部分的に配置される。
【0040】
本発明では、外側本体31、内側本体32、及び中間体41の少なくとも一部が、円筒、角柱(図示なし)、多面体(図示なし)、トーラス(図示なし)、錐体(図示なし)、円錐(円錐台又は円錐様形状を含む)、球体(半球又は部分球形状を含む)(図示なし)、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される形状を有する実施形態が想到される。
【0041】
図8の例示の実施形態において、例えば、第2電極40の内側本体41は円錐を備える。図9は、第2電極40の内側本体41が湾曲した、凹状側面を有する「円錐」を備える円錐様形状を有する、電池10の別の例示の実施形態を示す。第2電極40が凸状側面を有する「円錐」を備える円錐様形状を有する、電池10の別の実施形態(図示なし)も想到される。
【0042】
電池10の上記の実施形態のすべては、増加した界面積を提供する。したがって、上記の実施形態のすべてにおいて、より高い出力特性が期待される。上記の実施形態のすべては、本発明の範囲内である。
【0043】
本発明の電池10では、任意の既知アノードを使用できる。アノードは、アノード活性物質、ゲル化剤、及びガス発生防止剤などの微量の添加剤で形成されることができる。アノード活性物質の例としては、亜鉛が挙げられる。アノード材料は、従来の亜鉛スラリー、又は固体亜鉛、例えば、微粒子亜鉛で形成され、従来の亜鉛スラリーの比表面積と同様に高比表面積を有するものなどを含んでよい。アノードは、電子的に絶縁性であるが、イオン電導性であるセパレータによってカソードから電気的に絶縁されていてよい。好ましくは、カソードにおいて増加した活性物質と平衡させるために、アノード活性物質は微粒子サイズ、例えば約175マイクロメートル未満の平均粒子サイズを有する亜鉛を含む。アルカリ電池中におけるこの種の亜鉛の使用は、例えば米国特許第6,521,378号に記載され、この開示を参照として本明細書に組み込む。亜鉛含有量もまた、電池の変形程度に影響を及ぼす傾向があり、含有量が高いほどアノードを大きく膨張させる傾向にある。アノードの製造に使用される亜鉛スラリー中の亜鉛含有量は、約64%〜約69%、及びより具体的には約66%〜68%であってよい。ゲル化剤の例としては、ポリアクリル酸、グラフト化デンプン材料、ポリアクリル酸の塩、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの塩(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム)又はこれらの組み合わせを挙げることができる。ガス発生防止材としては、例えば、ビスマス、錫、又はインジウムなどの無機物が挙げられ得る。あるいは、ガス発生防止剤としては、例えば、リン酸エステル、イオン性界面活性剤、又は非イオン性界面活性剤などの有機化合物を挙げることができる。
【0044】
集電器及び亜鉛活性物質の支持体として機能するアノード金属グリッド及び箔としては、例えば、黄銅、青銅、ケイ素青銅、りん青銅、銅又は銀など任意の低ガス発生金属又は合金が挙げられ得、例えば、錫、インジウム、銀、銅、鉛、又はカドミウムでコーティングされるか、めっきされて、更にガス発生を低減させてよい。
【0045】
本発明の電池10では、任意の既知のカソード物質を使用できる。カソード物質は、「硬質」(MnO、黒鉛、KOH、HO、任意の結合剤、及び少量の添加剤)又は「軟質」(MnO、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、KOH、HO、任意の黒鉛、結合剤、及び少量の添加剤)であってよい。MnOは、EMD(電解二酸化マンガン)又はCMD(化学二酸化マンガン)又はブレンドであってよい。黒鉛は、天然、合成、膨張、又は非膨張であってよい。カーボンブラックは、従来のカーボンブラック(アセチレンブラック、ランプブラック、チャンネルブラック)又は黒鉛化カーボンブラックであってよい。カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー又は他の導電補助剤(金属フレーク、ファイバー、粉末)は、黒鉛及びカーボンと共に、又はこれらの代わりに使用されてよい。
【0046】
集電器及びカソードブレンドの支持体として機能するカソード金属グリッド及び箔は、鉄、鋼、ニッケルめっき鋼(NPS)、ニッケル、ニッケル合金で構成されてよく、ニッケル、コバルト、金、又はこれらの金属の合金でめっきされてよく、カーボン含有導電性塗料でコーティングされてもよい。
【0047】
カソード材料は、圧縮ペレットの形態で提供されてもよい。最適に加工するために、一般にはカソードが約2.5%〜約5%、及びより具体的には約2.8%〜約4.6%の範囲の水分レベルを有することがより好ましい。また、カソードの製造可能性とエネルギー密度と一体性との良好なバランスを得るために、約22%〜約30%の気孔率を有するカソードを有することも一般に有益である。
【0048】
カソードで使用され得る結合剤の例としては、ポリエチレン、ポリアクリル酸、又はPVDF若しくはPTFEなどのフルオロカーボン樹脂が挙げられる。ポリエチレン結合剤の一例は、商標名COATHYLENE HA−1681としてHoechst又はDuPontから入手可能である。他の添加剤の例は、例えば、米国特許第5,698,315号、同第5,919,598号、及び同第5,997,775、並びに米国特許出願第10/765,569号に記載されている。
【0049】
本発明者らは、本明細書に記載の増加した界面積を有する本発明の電池は、等価パラメータを有する従来のボビン型設計の同等の電池よりも改善された性能を提供すると考える。模擬放電性能試験は、電池性能を予測するために、特定の放電条件下で発生する物質移行、アノード及びカソードの反応速度など主要現象をモデル化する第1原理数学モデルに基づくことができる。模擬放電性能試験の放電手順は、電池が0.9Vのカットオフ電圧に達するまで、特定の電池設計に250mAの定電流放電を加えるシミュレーションを行うことからなる。模擬電池がカットオフ電圧に達するまでの総時間数、つまり実行時間を報告する。
【0050】
増加した界面積を有する電極を備える単3電池(図1に概略的に示される)のパラメータが、模擬放電性能試験モデルへの入力用に選択される。模擬電池はアノードを有し、水性電解質中に4.34gの亜鉛(Zn)を含む。模擬電池は、3.82gの水性電解質(水中に33重量%の水酸化カリウム(KOH)及び2重量%の酸化亜鉛(ZnO)を含む)を含む。模擬電池は、10.1gの量の電解二酸化マンガン(EMD)及び0.46gの黒鉛を含む、カソードを有する。カソードは26%の気孔率を有する。模擬電池は、不活性かつ多孔性であるセパレータも含む。模擬電池は、不活性かつ電子導電性である集電器も含む。
【0051】
模擬放電性能試験は、上記の電池パラメータを使用した模擬実行である。図1に示される設計の増加した界面積の電池は、10.7時間の模擬放電性能をもたらし得る。これは、ボビン電池のアノード区画内の中心に配置された集電器くぎと共に、活性物質の量、電極処方、及びセパレータなど界面積の増加した電池の等価パラメータを有する従来のボビン設計の単3電池の模擬性能と比較したとき、約11%の向上である。
【0052】
本明細書に開示されているすべての寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳密に制限されるものとして理解すべきではない。むしろ、別段の指定のない限り、かかる寸法及び/又は値のそれぞれは、列挙した寸法/値及びその寸法/値の近辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図している。例えば、本明細書において、「0.30mm」、「0.20mm」、及び「0.10mm」として開示された寸法は、それぞれ「約0.30mm」、「約0.20mm」、及び「約0.10mm」を意味することを意図する。
【0053】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、添付の請求項は、本発明の範囲内にある、かかるすべての変更及び修正を含むことを意図する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9