(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
372℃で30分熱処理した場合の加熱重量減少量が0.1重量%以下である請求項1、2、3又は4記載のテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のテトラフルオロエチレン(TFE)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系共重合体は、MFRが特定の範囲にあり、スウェルが特定の範囲にあり、特定の末端基の数が特定数以下であるものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明のTFE/HFP系共重合体は、TFEに由来する重合単位(TFE単位)と、HFPに由来する重合単位(HFP単位)と、を含有するものである。
本発明のTFE/HFP系共重合体は、TFE単位及びHFP単位のみからなる2元共重合体であってもよいし、TFE単位、HFP単位、並びに、TFE及びHFPと共重合可能な他の単量体に由来する重合単位を含有する3元以上の共重合体であってもよい。
【0021】
上記他の単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、(パーフルオロアルキル)エチレン、ハイドロフルオロオレフィン、(フルオロアルキル)エチレン、パーフルオロ(アルキルアリルエーテル)等から適宜選択することができる。
上記他の単量体を構成するパーフルオロアルキル基は、炭素数が1〜10であるものが好ましい。
【0022】
上記PAVEとしては、例えば、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕等が挙げられる。
【0023】
本発明のTFE/HFP系共重合体は、より優れた電気特性を有することからパーフルオロ共重合体であることも好ましい。
【0024】
上記他の単量体は、耐クラック性の観点からPAVEであることが好ましく、PPVEであることがより好ましい。
すなわち、本発明のTFE/HFP系共重合体は、TFE単位と、HFP単位と、PAVEに由来する重合単位(PAVE単位)と、を含有するTFE/HFP/PAVE共重合体であることが好ましく、TFE/HFP/PPVE共重合体であることがより好ましい。
【0025】
本発明のTFE/HFP系共重合体は、成形性の観点から、TFE/HFPが質量比で、80〜97/3〜20であることが好ましく、84〜92/8〜16であることがより好ましい。
【0026】
また、本発明のTFE/HFP系共重合体がTFE/HFP/PAVE共重合体である場合、TFE/HFP/PAVEが質量比で、70〜97/3〜20/0.1〜10であることが好ましく、81〜92/5〜16/0.3〜5であることがより好ましい。
【0027】
上記TFE/HFP系共重合体における各重合単位の質量比は、各重合単位の含有率をNMR分析装置(例えば、ブルカーバイオスピン社製、AC300 高温プローブ)、又は、赤外吸収測定装置(パーキンエルマ社製、1760型)を用いて測定することにより得ることができる。
【0028】
本発明のTFE/HFP系共重合体は、372℃で測定したメルトフローレート(MFR)が35.0〜45.0g/10分である。
本発明のTFE/HFP系共重合体は、MFRが上記範囲であることによって、電線成形時にランプが発生しにくく、ランプが発生したとしてもサイズの大きなランプが発生しにくいものとなる。
上記MFRは、電線成形時のランプの発生をより抑制できることから、その下限は35.1/10分であることが好ましく、35.5g/10分であることがより好ましく、36.0g/10分であることが更により好ましく、その上限は44.5g/10分であることが好ましく、44.0g/10分であることがより好ましく、42.0g/10分が更に好ましい。
上記MFRは、ASTM D−1238に準拠して、直径2.0mで長さが8mmのダイにて、荷重5kg、372℃で測定した値である。
【0029】
本発明のTFE/HFP系共重合体は、スウェルが−8.0〜5.0%である。
本発明のTFE/HFP系共重合体は、スウェルが上記範囲であることによって、電線成形時にランプが発生しにくく、ランプが発生したとしてもサイズの大きなランプが発生しにくいものとなる。
電線成形時のランプの発生をより抑制できることから、上記スウェルは、その下限は−6.0%であることが好ましく、−5.0%であることがさらに好ましく、−4.0%であることがより更に好ましい。上記スウェルは5.0%未満であることが好ましく、4.9%以下であることがより好ましく、4.5%以下であることがさらに好ましく、4.0%以下がよりさらに好ましい。
また、スウェルを上記範囲にすることで、成形する際の温度条件を幅広く選択することもできる。
上記スウェルは、例えば、重合して得られたTFE/HFP系共重合体の乾燥粉体を、2軸スクリュー型押し出し機を用いてペレット化する際に、スクリュー速度(回転数)を調整することで調整することができる。
【0030】
上記スウェルは、「ダイスウェル」とも呼称され、例えば、特公昭48−20788号公報では、「%膨張」として定義されており、特公平2−7963号公報では「膨張率」として表示されている。
TFE/HFP系共重合体は、不溶性でしかも高分子量のために、分子量分布を直接測定することは不可能である。そのため、分子量分布に関係していると考えられている溶融押出時の膨張傾向(スウェル)を用いて分子量分布の尺度とするのが一般的である。
スウェルが大きければ分子量分布が広く、逆に小さければ分子量分布が狭いことを意味する。
上記スウェルの測定方法は以下の通りである。
まず、メルトインデックステスター(例えば、KAYNESS メルトインデックステスター〔形式4002〕)を用い、約2gの樹脂を372℃±0.5℃に保たれた0.376インチシリンダーに投入し、5分間放置して温度が平衡状態に達した後、5000gのピストン荷重のもとで直径1mm(誤差+0.002mm以下)のダイスウェル測定用オリフィスを通して押し出し、押出されたストランドを室温に冷却した後、その直径を測定する。
ここでストランド長は30±5mmとし、ストランドの直径として採用するのは、先端(先に押出された部分)から5±1mm上部の部分の値とし、同時期に採取する3本の直径を平均し、以下の式によりダイスウェルを算出する。
ダイスウェル(%)=〔(SD−OD)/OD〕×100
SD:ストランドの直径(3本の平均値)
OD:オリフィスの直径(1mm)
【0031】
本発明のTFE/HFP系共重合体は、−CF
2H基及び不安定末端基の合計数が炭素数1×10
6個当たり120個以下である。
上記−CF
2H基及び不安定末端基の合計数が上記範囲であることによって、電線成形時にランプが発生しにくく、ランプが発生したとしてもサイズの大きなランプが発生しにくいものとなる。
上記−CF
2H基及び不安定末端基の合計数は、電線成形時のランプの発生をより抑制できることから、炭素数1×10
6個あたり50個以下であることが好ましく、20個以下であることがより好ましい。
また、上記−CF
2H基及び不安定末端基の合計数は、30個以上であってもよい。この場合、−CF
2H基及び不安定末端基の合計数が30個未満の共重合体と比べて、ランプの発生数が若干多くなる可能性があるが、電線の被覆材とした場合に、芯線と被覆材との接着強度が高くなることが期待できる。
上記不安定末端基は、主鎖末端に存在する−COF基、−COOH基、−COOCH
3基、−CONH
2基及び−CH
2OH基を意味する。
上記−CF
2H基及び不安定末端基の数は、国際公開第2008/047906号や国際公開第2009/044753号などに記載されているようにNMRや赤外吸収スペクトル測定から得ることができる。
【0032】
具体的には、上記−CF
2H基の数は、核磁気共鳴装置AC300(Bruker−Biospin社製)を用い、測定温度を(ポリマーの融点+20)℃として
19F−NMR測定を行い、−CF
2H基のピークの積分値から求めることができる。
上記不安定末端基の数は、本発明のTFE/HFP系共重合体が粉末である場合には、TFE/HFP系共重合体の粉末を350℃で30分間圧縮成形して厚さ0.25〜0.30mmのフィルムを得て、ペレットの場合にはコ−ルドプレスにて厚さ0.25〜0.30mmのフィルムを得て、赤外吸収スペクトル分析し、既知のフィルムの赤外吸収スペクトルと比較して末端基の種類を決定して、その差スペクトルから次式により個数を算出する。
末端基の個数(炭素数1×10
6個あたり)=(l×K)/t
l:吸光度
K:補正係数
t:フィルム厚(mm)
上記補正係数は、モデル化合物の赤外吸収スペクトルから決定することができ、後述の表1に示す補正係数を用いることができる。
【0033】
上記−CF
2H基及び不安定末端基の合計数が上記範囲のTFE/HFP系共重合体は、フッ素化処理することにより得ることができる。
フッ素化処理されていない共重合体は、−CF
2H基や、熱的及び電気特性的に不安定な末端基(不安定末端基)を有する場合がある。
これらの末端基の数は、上記フッ素化処理により低減することができる。
上記−CF
2H基及び不安定末端基の合計数は、フッ素化の程度により調整することができる。従って、上記フッ素化処理は、フッ素化処理されていない共重合体を完全にフッ素化するものであってもよいし、不完全にフッ素化するものであってもよい。
また、上記−CF
2H基及び不安定末端基の合計数は、TFE/HFP系共重合体を分解することにより上記−CF
2H基及び不安定末端基を生成させることにより調整することもできるし、異なる合計数の−CF
2H基及び不安定末端基を有する2つ以上のTFE/HFP系共重合体を混合することにより、調整することもできる。
【0034】
上記フッ素化処理は、フッ素化処理されていないTFE/HFP系共重合体とフッ素含有化合物とを接触させることにより行うことができる。
上記フッ素含有化合物としては特に限定されないが、フッ素化処理条件下にてフッ素ラジカルを発生するフッ素ラジカル源が挙げられる。上記フッ素ラジカル源としては、F
2ガス、CoF
3、AgF
2、UF
6、OF
2、N
2F
2、CF
3OF、及び、フッ化ハロゲン(例えばIF
5、ClF
3)等が挙げられる。
上記F
2ガス等のフッ素ラジカル源は、100%濃度のものであってもよいが、安全性の面から不活性ガスと混合し5〜50質量%、好ましくは15〜30質量%に希釈して使用することが好ましい。上記不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等が挙げられるが、経済的な面より窒素ガスが好ましい。
上記フッ素化処理の条件は、特に限定されず、溶融させた状態のTFE/HFP系共重合体とフッ素含有化合物とを接触させてもよいが、通常、TFE/HFP系共重合体の融点以下、好ましくは20〜220℃、より好ましくは100〜200℃の温度下で行うことができる。上記フッ素化処理は、一般に1〜30時間、好ましくは5〜20時間行う。
上記フッ素化処理は、フッ素化処理されていないTFE/HFP系共重合体をフッ素ガス(F
2ガス)と接触させるものが好ましい。
上記フッ素化処理において、特に温度又は時間を調整することにより、適切なフッ素化の程度を実現することが可能である。
【0035】
本発明のTFE/HFP系共重合体は、揮発分が高いと電線被覆などの成形時に気泡が発生し、成形が不安定となる傾向にある。この様な観点から、372℃で30分熱処理した場合の加熱重量減少量が0.1重量%以下であることが好ましく、0.09重量%以下であることがより好ましく、0.08重量%以下であることが更に好ましく、0.07重量%であることがより特に好ましく、0.06重量%であることが更により好ましく、0.05重量%であることが殊更に好ましい。
上記加熱重量減少量は、下記手順で測定した値である。
ターンテーブルを備えた電気炉を用い、サンプル(ペレット状のTFE/HFP系共重合体)を精密天秤(0.1mgまで測定できるもの)を使用し、あらかじめ372℃で1時間空焼きしておいたアルミカップ(重量をAとする)に20±0.1gの範囲内になるように精秤する。全体の重量をBとする。
1回の測定につき、アルミカップに精秤したサンプルを2個準備する。
これらを372℃に温調しておいた電気炉のターンテーブル上に素早く乗せる。この時のターンテーブルの回転数は6rpmとする。
内温が372℃に復帰した時点から30分後に取り出し、すぐにデシケーター中に保管する。1時間以上放冷した後、先の精密天秤にてサンプル重量を精秤する。この重量をCとする。
以下の式により、2個のサンプルの372℃、30分間での重量減少をそれぞれ計算し、2個のサンプルの平均を加熱重量減少量(重量%)とする。
加熱重量減少量(重量%)=〔(B−C)/(B−A)〕×100
【0036】
本発明のTFE/HFP系共重合体は、耐熱性の観点から、融点の下限が245℃であることが好ましく、250℃であることが更に好ましい。また、加工のしやすさの観点から融点の上限は280℃であることが好ましく、270℃であることがより好ましく265℃であることが更に好ましい。
上記融点は、示差走査熱量測定装置を用いて、昇温速度10℃/分で測定したときのピークに対応する温度である。
【0037】
本発明のTFE/HFP系共重合体は、TFE及びHFP、並びに、必要に応じてPAVE等の他の単量体を、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合、気相重合等の通常の重合方法を用いて重合することにより合成することができる。重合条件も通常の条件で行うことができる。
上記重合において、メタノール等の連鎖移動剤を使用することもある。
金属イオン含有試薬を使用することなく、重合かつ単離することにより本発明のTFE/HFP系共重合体を製造してもよい。
【0038】
本発明のTFE/HFP系共重合体は、直径20.1milの芯線に、被覆成形速度1,600フィート/分で、2時間連続して、線径33.7milとなるよう本発明のTFE/HFP系共重合体を被覆成形して被覆材を形成した場合、被覆材に発生するランプサイズが20mil以上のランプの総数を10個以下にすることができる。更に、7個以下とすることもできる。
上記ランプのサイズ(高さ)及び数は、ランプ検知器KW32TRIO(Zumbach社製)により測定することができる。
上記のようにランプの数が少ない被覆材を形成することができるため、本発明のTFE/HFP系共重合体は、電線の被覆材形成用の材料として特に好適なものである。
【0039】
本発明のTFE/HFP系共重合体はペレットの形状であってもよい。上記ペレットは、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機等の従来公知の溶融混練機を用いる方法により混練することで得ることができる。
上記ペレットは、2軸スクリュー押出機により混練して得られたものであることが好ましい。2軸スクリュー押出機を用いた混練において、スクリュー速度(回転数)を調整することでスウェルを調整することができる。
【0040】
本発明の電線は、芯線と、本発明のTFE/HFP系共重合体を含む被覆材と、を備えるものである。通常、上記被覆材は、芯線の外周に配置される。
本発明の電線は、上記被覆材が本発明のTFE/HFP系共重合体から形成されたものであるため、ランプの数が少なく、仮にランプが発生していたとしてもランプのサイズが小さい被覆材を備えるものとなる。
【0041】
上記芯線の材料としては、例えば、銅、アルミ等の金属導体材料を用いることができる。芯線は、直径0.02〜3mmであるものが好ましい。芯線の直径は、0.04mm以上であることがより好ましく、0.05mm以上が更に好ましく、0.1mm以上が特に好ましい。芯線の直径は、2mm以下がより好ましい。
芯線の具体例としては、例えば、AWG(アメリカンワイヤゲージ)−46(直径40マイクロメートルの中実銅製ワイヤー)、AWG−26(直径404マイクロメートルの中実銅製ワイヤー)、AWG−24(直径510マイクロメートルの中実銅製ワイヤー)、AWG−22(直径635マイクロメートルの中実銅製ワイヤー)等を用いてもよい。
【0042】
上記被覆材は、本発明のTFE/HFP系共重合体を含むものである。上記被覆材は、本発明のTFE/HFP系共重合体のみからなるものであってもよいし、本発明のTFE/HFP系共重合体以外に、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の充填材等を含むものであってもよい。
上記被覆材は、被覆材に対して本発明のTFE/HFP系共重合体が70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、95質量%以上であることが特に好ましく、実質的に100質量%であることが殊更に好ましい。
【0043】
上記充填材としては、例えば、グラファイト、炭素繊維、コークス、シリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ガラス、タルク、マイカ、雲母、窒化アルミニウム、リン酸カルシウム、セリサイト、珪藻土、窒化珪素、ファインシリカ、アルミナ、ジルコニア、石英粉、カオリン、ベントナイト、酸化チタン等が挙げられる。上記充填材の形状としては特に限定されず、繊維状、針状、粉末状、粒状、ビーズ状等が挙げられる。
【0044】
上記被覆材は、更に、本発明のTFE/HFP系共重合体以外の熱可塑性樹脂を含有するものであってもよい。本発明のTFE/HFP系共重合体以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂等の汎用樹脂;ナイロン、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等のエンジニアリングプラスチックが挙げられる。
【0045】
上記被覆材は、更に、添加剤等のその他の成分を含有するものであってもよい。その他の成分としては、例えば、ガラス繊維、ガラス粉末、アスベスト繊維等の充填材や、補強剤、安定剤、潤滑剤、顔料、その他の添加剤等が挙げられる。
【0046】
上記被覆材は、更に、発泡核剤を含むものであってもよい。後述するように被覆材が発泡することにより得られるものである場合、発泡核剤が使用されるので、通常、被覆材が発泡核剤を含む。
上記発泡核剤としては、スルホン酸、ホスホン酸又はそれらの塩や、窒化ホウ素、多原子アニオン含有無機塩等が挙げられる。
上記被覆材において、発泡核剤の含有量は、得られる電線の用途等によって適宜決定すればよいが、例えば、被覆材に対して0.1〜10質量%である。
上記窒化ホウ素は、粉砕及び/又は分級されたものであってもよい。
上記多原子アニオン含有無機塩としては、米国特許第4,764,538号明細書に開示されているものが挙げられる。
【0047】
上記被覆材は、発泡することなく得られたものであってもよいし、発泡させて得られたものであってもよい。
上記被覆材が、発泡させて得られたものである電線を発泡電線という。本発明の電線は、発泡電線であることも好ましい。
【0048】
上記被覆材が発泡させて得られたものである場合、伝送損失の小さい被覆電線とすることができる。
上記被覆材は、発泡率が10〜80%であることが好ましい。
上記被覆材は、気泡の平均直径が5〜100μmであることが好ましい。
なお、上記被覆材において、発泡率は、発泡前後の比重の変化率を意味し、その発泡体を構成する材料固有の比重と、発泡体の見かけの比重との変化率を、水中置換法により測定した値であり、気泡の平均直径は断面の顕微鏡写真から算出される。
【0049】
上記被覆材は、従来公知の方法で発泡させることができる。このような方法として、例えば、(1)発泡核剤を加えた本発明のTFE/HFP系共重合体のペレットを予め作製し、該ペレットに連続的にガスを導入しながら押出被覆成形を行う方法、(2)本発明のTFE/HFP系共重合体を溶融させた状態で化学的発泡剤を混和させて押出被覆成形を行うことにより、化学的発泡剤を分解させてガスを発生させ、気泡を得る方法が挙げられる。
上記(1)の方法において、上記発泡核剤は、窒化ホウ素(BN)等の従来公知のものであればよい。上記ガスとしては、例えば、クロロジフルオロメタン、窒素、二酸化炭素、これらの混合物等が挙げられる。
上記(2)の方法における化学的発泡剤としては、例えばアゾジカルボンアミド、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドが挙げられる。上記(1)の方法における発泡核剤の添加量やガスの挿入量、上記(2)の方法における化学発泡剤の添加量等、各方法における各種条件は、使用する樹脂や芯線の種類、所望の被覆材の厚みに応じて適宜調整することができる。
【0050】
本発明の電線は、被覆材の外周に他材の層が設けられてもよいし、芯線と被覆材との間に他材の層が設けられていてもよい。
【0051】
他材の層は、特に限定されずTFE/PAVE共重合体、TFE/エチレン系共重合体、フッ化ビニリデン系重合体、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂からなる樹脂層であってよいこれらの中でも、コスト的にPE及びPVCが好ましい。
【0052】
他材の層及び被覆材の厚みは特に限定されず、他材の厚みは1mil〜20milであってよく、被覆材の厚みは1mil〜20milであってよい。
【0053】
本発明の電線が発泡電線である場合、芯線と上記被覆材の間に非発泡層を挿入した2層構造(スキン−フォーム)や、外層に非発泡層を被覆した2層構造(フォーム−スキン)、更にはスキン−フォームの外層に非発泡層を被覆した3層構造(スキン−フォーム−スキン)であってもよい。
上記発泡電線における非発泡層は特に限定されず、TFE/HFP系共重合体、TFE/PAVE共重合体、TFE/エチレン系共重合体、フッ化ビニリデン系重合体、ポリエチレンPE等のポリオレフィン樹脂、PVC等の樹脂からなる樹脂層であってよい。
【0054】
本発明の電線は、通信用絶縁電線として好適に採用される。通信用絶縁電線としては、例えばLAN用ケーブルのようなデータ伝送用ケーブル等のコンピューター及びその周辺機器を接続するケーブル類が挙げられ、例えば建物の天井裏の空間(プレナムエリア)等において配線されるプレナムケーブルとしても好適である。
【0055】
本発明の電線は、高周波同軸用ケーブル、フラットケーブル、耐熱ケーブル等に好適であり、なかでも高周波同軸用ケーブルに好適である。
同軸ケーブルにおける外層は、特に限定されず、金属メッシュ等の外部導体からなる導体層であってもよいし、TFE/HFP系共重合体、TFE/PAVE系共重合体等のTFE単位を有する含フッ素共重合体、PVC、PE等の樹脂からなる樹脂層(シース層)であってもよい。
上記同軸ケーブルは、上述した本発明の被覆電線周りに金属からなる外部導体層が形成され、その外部導体層の周りに上記樹脂層(シース層)を形成してなるケーブルであってもよい。
【0056】
次に本発明の電線の製造方法について説明する。
【0057】
本発明の電線は、本発明のTFE/HFP系共重合体を芯線に被覆することにより被覆材を形成する工程を含む製造方法により得ることができる。
【0058】
本発明のTFE/HFP系共重合体を芯線に被覆する方法としては、押出機を用いた従来公知の被覆成形方法を用いることができる。
【0059】
上記被覆材を形成する方法は、本発明のTFE/HFP系共重合体と、上述した充填材、本発明のTFE/HFP系共重合体以外の熱可塑性樹脂、添加剤等のその他の成分、発泡核剤、化学的発泡剤等と、を含む組成物を被覆するものであってよい。
上記組成物は、本発明のTFE/HFP系共重合体と、上述した充填材、本発明のTFE/HFP系共重合体以外の熱可塑性樹脂、添加剤等のその他の成分、発泡核剤等とを混合することにより得ることができる。
また、上記組成物は、フッ素化処理されていないTFE/HFP系共重合体と、上述した充填材、本発明のTFE/HFP系共重合体以外の熱可塑性樹脂、添加剤等のその他の成分、発泡核剤、化学的発泡剤等とを混合し、その後、フッ素化処理されていないTFE/HFP系共重合体をフッ素化処理することにより得ることもできる。
上記混合の方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンミキサー、Vブレンダー、ボールミル等を用いる方法なども挙げられる。また、例えば、溶融混錬により混合する方法もあげられる。
【0060】
上記組成物は、上記混合により得られた混合物を混練して得られたものであってもよい。上記混練により、ペレットを得ることができる。上記混練は、例えば、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機等の従来公知の溶融混練機を用いる方法により行うことができる。
上記フッ素化処理は、上記混練により組成物(例えば、ペレット)を得た後、行ってもよい。例えば、上記混練により得られたペレットと、上述したフッ素含有化合物とを接触させることにより行ってよい。
【0061】
上記被覆材が発泡することなく得られるものである場合、ランプの発生をより抑制できることから、被覆成形における被覆成形速度は、500〜2500フィート/分であることが好ましく、1000〜1600フィート/分であることがより好ましい。
【0062】
本発明の電線は、発泡電線であることも好ましい。
【0063】
上記被覆材が発泡させて得られたものである場合、すなわち、本発明の電線が発泡電線である場合、本発明の電線は、本発明のTFE/HFP系共重合体を用いること以外は、従来と同様の方法で作成することができ、例えば、押出発泡成形を用いて製造することができる。好ましい成形条件は、使用する組成物の組成や芯線のサイズに応じて適宜選択することができる。
【0064】
本発明のTFE/HFP系共重合体を芯線に被覆する方法としては、例えば、溶融した本発明のTFE/HFP系共重合体(溶融樹脂)に可溶性であるガスを使用し、発泡操作用に設計されたスクリュー押出機に、本発明のTFE/HFP系共重合体を投入し、連続的なガス射出法を用いる方法等が挙げられる。上記ガスとしては、発泡成形体の製造方法に用いられるガスと同じものを使用できる。
【0065】
得られる被覆材は、本発明のTFE/HFP系共重合体の溶融固化体及び気泡を含有するものであって、上記気泡が溶融固化体中に均一に分布しているものであることが好ましい。
上記気泡の平均泡径は限定されるものではないが、例えば、60μm以下であることが好ましく、45μm以下であることがより好ましく、35μm以下であることが更に好ましく、30μm以下であることが更により好ましく、25μm以下であることが特に好ましく、23μm以下であることが殊更に好ましい。また、平均泡径は、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。
上記平均泡径は、走査型電子顕微鏡(SEM)により被覆材断面の画像を取り、画像処理により各泡の直径を算出し、平均することにより求めた値である。
【0066】
上記被覆材は、発泡率が10%以上であることが好ましい。より好ましくは20%以上であり、更に好ましくは30%以上であり、更により好ましくは35%以上である。上限は特に限定されないが、例えば、80%である。発泡率の上限は60%であってもよい。
上記発泡率は、((TFE/HFP系共重合体の比重−発泡体の比重)/TFE/HFP系共重合体の比重)×100として求めた値である。上記発泡率は、例えば上記押出機中のガスの挿入量の調節等により、あるいは、溶解するガスの種類を選択することにより、用途に応じて適宜調整することができる。
【実施例】
【0067】
つぎに本発明を実施例をあげて説明する。
【0068】
本明細書における各種の特性については、つぎの方法で測定した。
【0069】
(組成)
上記TFE/HFP系共重合体における各重合単位の質量比は、各重合単位の含有率をNMR分析装置(例えば、ブルカーバイオスピン社製、AC300 高温プローブ)、又は、赤外吸収測定装置(パーキンエルマ社製、1760型)を用いて測定した。
【0070】
(融点)
TFE/HFP系共重合体の融点は、示差走査熱量測定装置(商品名:RDC220、セイコー電子社製)を用いて、昇温速度10℃/分で測定したときのピークに対応する温度を融点とした。
【0071】
(MFR)
TFE/HFP系共重合体のMFRは、ASTM D−1238に準拠して、KAYENESS メルトインデクサー Series4000(安田精機社製)を用い、直径2.1mmで長さが8mmのダイで、372℃、5kg荷重にて測定した時の値とした。
【0072】
(スウェル(Swell))
まず、KAYNESS メルトインデックステスター〔形式4002〕を用い、約2gの樹脂を372℃±0.5℃に保たれた0.376インチシリンダーに投入し、5分間放置して温度が平衡状態に達した後、5000gのピストン荷重のもとで直径1mm(誤差+0.002mm以下)のダイスウェル測定用オリフィスを通して押し出し、押出されたストランドを室温に冷却した後、その直径を測定した。
ここでストランド長は30±5mmとし、ストランドの直径として採用するのは、先端(先に押出された部分)から5±1mm上部の部分の値とし、同時期に採取する3本の直径を平均し、以下の式によりダイスウェルを算出する。
ダイスウェル(%)=〔(SD−OD)/OD〕×100
SD:ストランドの直径(3本の平均値)
OD:オリフィスの直径(1mm)
【0073】
(−CF
2H基の数)
−CF
2H基の数は、核磁気共鳴装置AC300(Bruker−Biospin社製)を用い、測定温度を(ポリマーの融点+20)℃として
19F−NMR測定を行い、−CF
2H基のピークの積分値から求めた。
(不安定末端基の数)
得られたペレットを用いて、コ−ルドプレスにて厚さ0.25〜0.30mmのフィルムを作製し、赤外吸収スペクトル分析し、既知のフィルムの赤外吸収スペクトルと比較して末端基の種類を決定し、その差スペクトルから次式により個数を算出した。
末端基の個数(炭素数1×10
6個あたり)=(l×K)/t
l:吸光度
K:補正係数
t:フィルム厚(mm)
対象となる末端基の補正係数と吸収周波数を下記表1に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
上記補正係数は炭素数1×10
6個あたりの末端基を計算するためにモデル化合物の赤外吸収スペクトルから決定した。
【0076】
(加熱重量減少量)
ターンテーブルを備えた電気炉を用い、サンプル(ペレット状のTFE/HFP系共重合体)を精密天秤(0.1mgまで測定できるもの)を使用し、あらかじめ372℃で1時間空焼きしておいたアルミカップ(重量をAとする)に20±0.1gの範囲内になるように精秤する。全体の重量をBとする。
1回の測定につき、2個のサンプルを準備する。
これらを372℃に温調しておいた電気炉のターンテーブル上に素早く乗せる。この時のターンテーブルの回転数は6rpmとする。
内温が372℃に復帰した時点から30分後に取り出し、すぐにデシケーター中に保管する。1時間以上放冷した後、先の精密天秤にてサンプル重量を精秤する。この重量をCとする。
以下の式により、2個のサンプルの372℃、30分間での重量減少をそれぞれ計算し、2個の平均を加熱重量減少量(重量%)とする。
加熱重量減少量(重量%)=〔(B−C)/(B−A)〕×100
【0077】
(ランプサイズ)
ランプのサイズ(高さ)は、ランプ検知器KW32TRIO(Zumbach社製)により20mil以上のランプを測定した。表2における平均ランプサイズは、2時間の成形で発生したランプの算術平均サイズである。
【0078】
(ランプ頻度)
ランプ頻度(ランプ発生数)は、ランプ検知器KW32TRIO(Zumbach社製)により20mil以上のランプを測定した。
【0079】
実施例1
(重合)
攪拌機付きオートクレーブ(容積1000L)に脱イオン水265kgを投入しオートクレーブ内を十分に真空窒素置換した。その後、オートクレーブ内を真空脱気し、真空状態となったオートクレーブ内にHFP274kgとTFE31kg、PPVE3.0kgを投入し、オートクレーブを32℃に加温した。次に8%のジ(ω−ヒドロパーフルオロヘキサノイル)パーオキサイド(以下DHPと略す)パーフルオロヘキサン溶液1.7kgをオートクレーブ内に投入して重合を開始した。重合開始時点のオートクレーブの内部圧力を1.04MPaに設定し、TFEを連続追加することで設定圧力を保つようにした。重合開始から2時間後、4時間後に8%DHPパーフルオロヘキサン溶液1.7kgを追加投入するとともに内部圧力を0.01MP下げた。また、重合開始から6時間後、8時間後、10時間後に8%DHPパーフルオロヘキサン溶液1.3kgを追加投入するとともに内部圧力を0.01MP下げた。さらに2時間毎に8%DHPパーフルオロヘキサン溶液1.7kgを追加投入し、その都度内部圧力を0.01MP下げた。なお、PPVEはTFEの連続追加投入量が53kg、106kg、159kgに達した時点でそれぞれ0.7kg追加投入した。
また、TFEの追加投入量が40kgに達した時点で4.0kgのメタノールをオートクレーブ内に投入した。
そして、TFEの追加投入量が233kgに達したところで重合を終了させた。重合終了後、未反応のTFE及びHFPを放出し、湿潤粉体を得た。そしてこの湿潤粉体に純水を加えて撹拌洗浄後、150℃で10時間乾燥し、273kgの乾燥粉体を得た。
【0080】
(ペレット化)
次いで、得られた乾燥粉体を2軸スクリュー型押し出し機を用いて370℃、スクリュー速度300rpmの条件でペレット化を行い、その後200℃で8時間の脱気を行った。
(フッ素化処理)
得られたペレットを真空振動式反応装置にいれ、200℃に昇温した。真空引き後、N
2ガスで20%に希釈したF
2ガスを大気圧まで導入した。F
2ガス導入から3時間後、一旦真空引きし、再度F
2ガスを導入した。上記F
2ガス導入及び真空引きの操作を計6回行い、最後に反応器内をN
2ガスで置換して反応を終了した。得られたペレットのMFRは37.4g/10分、Swellは−0.1%、CF
2H基および不安定末端基の合計数は0個、加熱重量減少量は0.05重量%、融点は256.5℃であった。
TFE/HFP/PPVE共重合体の組成を評価した結果、TFE/HFP/PPVE(重量比)は87.5/11.5/1.0であった。
【0081】
実施例2
(重合)
投入したメタノール量を4.1kgに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行い乾燥粉体を得た。
(ペレット化)
得られた乾燥粉体を用いて、スクリュー速度を297rpmにしたこと以外は実施例1と同様の方法でペレット化した。F
2ガスで処理した後のMFRは36.3g/10分であった。Swell、CF
2H基および不安定末端基の合計数、加熱重量減少量、融点は表2に示す通りであった。
TFE/HFP/PPVE共重合体の組成を評価した結果、TFE/HFP/PPVE(重量比)は87.5/11.5/1.0であった。
【0082】
実施例3
(重合)
投入したメタノール量を3.2kgに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行い乾燥粉体を得た。
(ペレット化)
得られた乾燥粉体を用いて、スクリュー速度315rpmにしたこと以外は実施例1と同様の方法でペレット化した。F
2ガスで処理した後のMFRは35.1g/10分であった。Swell、CF
2H基および不安定末端基の合計数、加熱重量減少量、融点は表2に示す通りであった。
TFE/HFP/PPVE共重合体の組成を評価した結果、TFE/HFP/PPVE(重量比)は87.5/11.5/1.0であった。
【0083】
実施例4
(重合)
投入したメタノール量を4.2kgに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行い乾燥粉体を得た。
(ペレット化)
得られた乾燥粉体を用いて、スクリュー速度320rpmにしたこと以外は実施例1と同様の方法でペレット化した。F
2ガスで処理した後のMFRは44.1g/10分であった。Swell、CF
2H基および不安定末端基の合計数、加熱重量減少量、融点は表2に示す通りであった。
TFE/HFP/PPVE共重合体の組成を評価した結果、TFE/HFP/PPVE(重量比)は87.5/11.5/1.0であった。
【0084】
比較例1
(重合)
投入したメタノール量を4.9kgに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行い乾燥粉体を得た。
(ペレット化)
得られた乾燥粉体を用いて、スクリュー速度275rpmにしたこと以外は実施例1と同様の方法でペレット化した。F
2ガスで処理した後のMFRは37.0g/10分であった。Swell、CF
2H基および不安定末端基の合計数、加熱重量減少量、融点は表2に示す通りであった。
TFE/HFP/PPVE共重合体の組成を評価した結果、TFE/HFP/PPVE(重量比)は87.5/11.5/1.0であった。
【0085】
比較例2
(重合)
投入したメタノール量を1.6kgに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行い乾燥粉体を得た。
(ペレット化)
得られた乾燥粉体を用いて、スクリュー速度360rpmにしたこと以外は実施例1と同様の方法でペレット化した。押し出し機で得られたペレットのMFRは34.9g/10分であり、F
2ガスで処理した後のMFRは35.8g/10分であった。Swell、CF
2H基および不安定末端基の合計数、加熱重量減少量、融点は表2に示す通りであった。
TFE/HFP/PPVE共重合体の組成を評価した結果、TFE/HFP/PPVE(重量比)は87.5/11.5/1.0であった。
【0086】
比較例3
(ペレット化)
比較例1で得られた乾燥粉体を用いて、スクリュー速度325rpmにしたこと以外は実施例1と同様の方法でペレット化した。F
2ガスで処理した後のMFRは52.2g/10分であった。Swell、CF
2H基および不安定末端基の合計数、加熱重量減少量、融点は表2に示す通りであった。
【0087】
比較例4
(重合)
投入したメタノール量を3.1kgに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行い乾燥粉体を得た。
(ペレット化)
得られた乾燥粉体を用いて、スクリュー速度295rpmにしたこと以外は実施例1と同様の方法でペレット化した。押し出し機で得られたペレットのMFRは29.0g/10分であり、F
2ガスで処理した後のMFRは30.5g/10分であった。Swell、CF
2H基および不安定末端基の合計数、加熱重量減少量、融点は表2に示す通りであった。
TFE/HFP/PPVE共重合体の組成を評価した結果、TFE/HFP/PPVE(重量比)は87.5/11.5/1.0であった。
【0088】
比較例5
(ペレット化)
実施例4で得られた乾燥粉体を用いて、F
2ガス処理を行わなかったこと以外は実施例4と同様の方法でペレット化を行った。押し出し機で得られたペレットのMFRは42.0g/10分であった。Swell、CF
2H基および不安定末端基の合計数、加熱重量減少量、融点は表2に示す通りであった。
【0089】
(電線の製造)
実施例1〜4及び比較例1〜5で得られたペレットを用いて電線を製造して、ランプサイズ、ランプ頻度を評価した。比較例3はサージングのため連続して成形ができなかったため、ランプの測定ができなかった。
具体的には、Davis−Standard社製、シリンダー軸径2インチ、L/D=30の単軸押出成形機にUnitek社製クロスヘッドを装着、クロスヘッドには内径0.280インチのダイと外径0.160インチのチップを装着した。AWG24(外径0.0201インチ)の芯線を用い、1600フィート/分の速度で2時間、電線仕上がり外径が0.0337インチとなるように表3に示す温度条件にて、電線を製造し、ランプサイズ及びランプ数を評価した。
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】