(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、ディスプレイを360度反転可能に構成することにより、通常のノート型PCとして或いはタブレット型PCとして利用可能なコンバーチブル型PCが提案されている。このようなコンバーチブル型PCやさらなる薄型化を図ったノート型PC等の携帯用情報機器では、その底面に接続端子を設けることが難しい場合がある。そこで、この種の携帯用情報機器では側面に接続端子を設け、この側面の接続端子に対し、外付けの拡張機器をケーブル接続することが行われている。
【0006】
ところが、拡張機器をケーブル接続する構成の場合、ユーザは携帯用情報機器の接続端子の位置を視認で確かめてからケーブル先端のコネクタを接続する必要があって手間がかかる。このため、機器載置部に携帯用情報機器を載置することで位置決めできる従来のドッキング装置と比べると利便性が低い。
【0007】
そこで、ドッキング装置の機器載置部の側方に水平方向のコネクタを設け、携帯用情報機器の側面に設けられた接続端子に接続させる構成が考えられる。ところが、携帯用情報機器はその機種や仕様によって筐体の厚みが異なり、当然に底面からの接続端子の高さ位置も異なる。このため、ドッキング装置に単なる水平方向のコネクタを設けただけでは、ドッキング装置が所定仕様の携帯用情報機器の専用品となり、汎用性に欠ける。
【0008】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、側面に接続端子が設けられた複数種類の携帯用情報機器に対しても確実にコネクタ接続を行うことができると共に、高い汎用性を確保することができるドッキング装置及び携帯用情報機器とドッキング装置を備える電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るドッキング装置は、携帯用情報機器を載置する機器載置部を備えたドッキング装置であって、前記機器載置部の側部で起立し、前記機器載置部に載置された携帯用情報機器の側面に対面する壁部を有した接続機構部と、前記接続機構部の前記壁部から進退可能に設けられ、前記機器載置部に載置された携帯用情報機器の側面に設けられた接続端子に対して接続可能なコネクタと、前記接続機構部に設けられ、前記コネクタを上下方向に昇降させる昇降機構とを備えることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、例えば携帯用情報機器の本体筐体の厚みの違いによってその底面からの高さ位置が異なる接続端子を有する複数仕様の携帯用情報機器を装着する際、昇降機構によってコネクタの高さ位置を所望の高さ位置に設定することができる。これにより、側面に接続端子が設けられた複数種類の携帯用情報機器に対し、接続機構部の壁部から進退するコネクタを確実に接続することが可能となり、高い汎用性が得られる。
【0011】
前記機器載置部に載置された携帯用情報機器の後端面と当接することで、該機器載置部上での前記携帯用情報機器の前後方向位置を位置決めする位置決め部と、前記コネクタを前後方向に移動させる移動機構とを備える構成であってもよい。そうすると、携帯用情報機器の底面からの高さ位置だけでなく後端面からの距離が異なる接続端子を有する複数仕様の携帯用情報機器を装着する際、移動機構によってコネクタの前後方向位置を所望の位置に設定することができる。その結果、ドッキング装置に対して接続可能な携帯用情報機器の仕様が増え、一層高い汎用性が得られる。
【0012】
前記昇降機構と前記移動機構の動作を連動させ、前記コネクタの上下方向位置と前後方向位置を相関的に設定するリンク機構を備える構成であってもよい。そうすると、コネクタの前後方向位置と上下方向位置とが一対一で対応するようになる。従って、各携帯用情報機器毎の接続端子の底面からの高さ位置及び後端面からの距離の仕様に応じた設定位置に円滑に且つ確実にコネクタを配置することが可能となり、高い操作性と汎用性が得られる。
【0013】
前記リンク機構は、前記コネクタの上下方向位置と前後方向位置を相互に位置決めする設定位置を複数有する構成であってもよい。そうすると、1台のドッキング装置に対して複数仕様の携帯用情報機器を装着する際、コネクタを円滑に且つ容易に所望の位置に設定できる。
【0014】
前記リンク機構は、前記コネクタと一体的に上下方向に昇降可能なリンクピンと、前記リンクピンの一端側が摺動可能な前後方向の傾斜面を有すると共に、前記リンクピンを所定位置で位置決め保持するピン保持部を前記傾斜面上に複数設けたカム部材とを有する構成であってもよい。そうすると、簡素な構造でコネクタの前後方向位置と上下方向位置とを一対一で対応させることができる。
【0015】
前記コネクタ及び前記リンクピンは、前記接続機構部の筐体に対して前後方向に相対移動不能な状態で支持されると共に、前記接続機構部の筐体に対して前記昇降機構を介して上下方向に相対移動可能な状態で支持され、前記カム部材は、前記機器載置部と一体的に固定され、前記移動機構は、前記接続機構部の筐体を前記機器載置部に対して前後方向に相対移動させるスライド部を有し、前記スライド部を介して前記接続機構部の筐体が前後方向に移動した場合に該筐体と共に前後方向に移動するリンクピンが前記カム部材の傾斜面を摺動する構成であってもよい。
【0016】
前記コネクタは、前記接続機構部の前記壁部からの進退方向に沿って設けられた回動軸により、前記接続機構部の筐体に対して相対的に回動可能に支持された構成であってもよい。そうすると、コネクタをより円滑に接続端子に接続することが可能となる。
【0017】
本発明に係る電子機器は、上記構成のドッキング装置と、前記携帯用情報機器とを備えることを特徴とする。
【0018】
前記ドッキング装置では、前記接続機構部の前記壁部からの前記コネクタの進退方向に沿って設けられた回動軸により、該コネクタが前記接続機構部の筐体に対して相対的に回動可能に支持されると共に、該コネクタの側部には回動軸によって該コネクタと一体的に回動可能なガイドピンが突設され、前記携帯用情報機器は、その側面に前記ガイドピンを挿入可能なガイド穴が設けられ、前記ガイドピン及び前記ガイド穴には、それぞれ互いに吸着可能な極性を有する磁石が配設された構成であってもよい。そうすると、互いの磁石の吸着作用によってガイドピンがより円滑にガイド穴に挿入されるため、コネクタの接続端子に対する位置決めも確実に図られ、コネクタをより円滑に接続端子に接続することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、コネクタの高さ位置を所望の高さ位置に設定することができる。これにより、側面に接続端子が設けられた複数種類の携帯用情報機器に対し、接続機構部の壁部から進退するコネクタを確実に接続することが可能となり、高い汎用性が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るドッキング装置について、この装置に着脱される携帯用情報機器との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係るドッキング装置10と携帯用情報機器12とを分離させた状態での分解斜視図であり、
図2は、ドッキング装置10に携帯用情報機器12を装着した状態での斜視図である。また、
図3は、携帯用情報機器12の側面図であり、
図4は、
図3に示す携帯用情報機器12とは仕様の異なる携帯用情報機器12Aの側面図である。
【0025】
本実施形態に係るドッキング装置10は、例えばノート型PCである携帯用情報機器12を着脱可能である。ドッキング装置10は、装着された携帯用情報機器12を複数の周辺機器やネットワークに接続させる等その機能を拡張するものであり、ドッキング装置10と携帯用情報機器12によって本実施形態に係る電子機器が構築される。ドッキング装置10は、ノート型PC以外の携帯用情報機器の拡張用として使用することもでき、例えばタブレット型PC、携帯電話、スマートフォン又は電子手帳等の機能拡張用として用いてもよい。
【0026】
以下、
図2に示すようにドッキング装置10に携帯用情報機器12を搭載した状態を基準とし、
図2における手前側を前側(前方)、奥側を後側(後方)、ドッキング装置10の厚み方向を上下方向、幅方向を左右方向と呼んで説明する。
【0027】
図3に示すように、ドッキング装置10への接続対象の一例としての携帯用情報機器12は、本体筐体16に対してディスプレイ筐体18をヒンジ20によって開閉可能に連結した構成のノート型PCである。携帯用情報機器12は、本体筐体16の上面にキーボード22が設けられ、ディスプレイ筐体18の下面にディスプレイ24が設けられている。本体筐体16の左側面(側面16a)には、接続端子26と、接続端子26の両側部に配置された一対のガイド穴28,28とが設けられている。
【0028】
接続端子26には、ドッキング装置10のコネクタ30(
図1参照)を接続可能である。コネクタ30を接続端子26に接続することにより、ドッキング装置10に設けた各種拡張機能を携帯用情報機器12で使用することが可能となる。
【0029】
一対のガイド穴28,28には、ドッキング装置10のコネクタ30の両側部に設けた一対のガイドピン32,32(
図1参照)を挿入可能である。ガイドピン32がガイド穴28に挿入されることにより、コネクタ30が接続端子26に位置決めされ、両者が確実に且つ円滑に接続される。ガイド穴28及びガイドピン32は、それぞれ一対設けた2組の構成でなくてもよく、例えばそれぞれ1つ設けた1組の構成であってもよい。ドッキング装置10及び携帯用情報機器12には、両者間を機械的に連結する機構や、その連結状態の分離をロックするロック機構等を設けてもよい。
【0030】
本実施形態に係るドッキング装置10は、例えば
図3に示す携帯用情報機器12と本体筐体16の厚みが異なる等の理由により、ドッキング装置10に載置された際に接続端子26及びガイド穴28の位置が異なるように設定された別仕様の携帯用情報機器12A(
図4参照)を着脱することもできる。
【0031】
例えば
図3に示す携帯用情報機器12の本体筐体16の後端面16bから接続端子26の中心までの距離を距離L1、本体筐体16の底面16cから接続端子26の中心までの高さを高さH1と称する。そうすると、例えば
図4に示す携帯用情報機器12Aでは、後端面16bから接続端子26の中心までの距離が距離L1より長い距離L2、底面16cから接続端子26の中心までの高さが高さH1よりも低い高さH2となる。
【0032】
ドッキング装置10には、距離L2より長く且つ高さH1より高い位置に接続端子26が配置されたさらに別仕様の携帯用情報機器(図示せず)も着脱可能である。すなわち、詳細は後述するが、ドッキング装置10はコネクタ30の位置を上下前後に移動させる機構を備える。これにより、ドッキング装置10には、後端面16bからの距離及び底面16cからの高さで特定される接続端子26の配置が異なる3つの仕様の携帯用情報機器を接続することができる。
【0033】
図1及び
図2に示すように、ドッキング装置10は、携帯用情報機器12等の本体筐体16を載置させた状態で用いられるものであり、機器載置部36及び接続機構部38を有する。
【0034】
機器載置部36は、携帯用情報機器12の後側略半分の部分を載置することのできる大きさの上面を有し、合成樹脂等で形成された薄い箱体である。機器載置部36は、前側から後側に向かうに従って漸次高さ寸法が大きくなるように傾斜し、携帯用情報機器12の底面16cが着地する載置台36aを備える。載置台36aの後側には、載置台36aより一段低く形成された逃げ面36bが設けられている。逃げ面36bは、携帯用情報機器12の後方下面から図示しないバッテリ等が突出している場合に該バッテリ等を避けるための部分である。
【0035】
接続機構部38は、機器載置部36よりも大きな高さ寸法を有し、合成樹脂等で形成された直方体状の箱体である筐体38aを有する。接続機構部38は、機器載置部36の側方となる位置で前後方向に移動可能に設けてある。筐体38aは、機器載置部36の側部で起立し、機器載置部36に載置された携帯用情報機器12の側面16aに対面する側壁部(壁部)38bを有する。コネクタ30及びガイドピン32は、側壁部38bに形成された開口39から携帯用情報機器12の側面16aに向かって進退可能に設けられている。筐体38aの上面には、コネクタ30及びガイドピン32を側壁部38bから進退移動させるための操作レバー40が設けられている。
【0036】
接続機構部38の後側には、接続機構部38と略同一の高さ寸法を有し、合成樹脂等で形成された直方体状の箱体である位置決め筐体41が設けられている。位置決め筐体41は、機器載置部36の側部に一体的に設けられている。携帯用情報機器12の側面16aに対面する位置決め筐体41の側壁部には、位置決め部材42が突設されている。位置決め部材42は、機器載置部36に携帯用情報機器12を載置する際にその前面で後端面16bを当接支持する。すなわち、位置決め部材42は携帯用情報機器12の前後方向位置を位置決めする位置決め部として機能する(
図2参照)。
【0037】
次に、接続機構部38の構成及びコネクタ30の昇降動作及び前後への移動動作の概要を説明する。
【0038】
図5は、接続機構部38の構成を模式的に示す斜視図である。
図6は、接続機構部38でのコネクタ30の可動状態を模式的に示す側面図であり、
図6(A)は、コネクタ30が第1設定位置に配置された状態を示す図であり、
図6(B)は、コネクタ30が第2設定位置に配置された状態を示す図であり、
図6(C)は、コネクタ30が第3設定位置に配置された状態を示す図である。
【0039】
図2及び
図5に示すように、接続機構部38と対向する機器載置部36の載置台36aの側縁部上面にはカム部材46が設けられている。カム部材46は前後方向に延びた幅狭な部品であり、その最上面が載置台36aの上面と面一に設定されている(
図6も参照)。
【0040】
図5及び
図6に示すように、カム部材46の上面には後側から前側に向かって順に、上方を向いた湾曲面形状の第1ピン保持部46a、第2ピン保持部46b及び第3ピン保持部46cが設けられている。第3ピン保持部46cは載置台36aの上面と同一又は僅かに低い位置に設けられ、第1ピン保持部46aは第3ピン保持部46cよりも低い位置に設けられ、第2ピン保持部46bは第1ピン保持部46aよりもさらに低い位置に設けられている。第1ピン保持部46aと第2ピン保持部46bとの間は前下がりに傾斜した第1傾斜面46dで連接され、第2ピン保持部46bと第3ピン保持部46cとの間は前上がりに傾斜した第2傾斜面46eで連接されている。
【0041】
図5及び
図6に示すように、接続機構部38は、コネクタ30を前後方向に移動させる移動機構50と、コネクタ30を側壁部38bから進退させる進退機構52と、コネクタ30を上下方向に昇降させる昇降機構54と、移動機構50と昇降機構54の動作を連動させるリンク機構56とを備える。
【0042】
移動機構50は、接続機構部38の筐体38a自体を機器載置部36に対して前後方向に移動させることで、コネクタ30を前後方向に移動させる機構である。移動機構50は、筐体38aの底面部(スライド部)58の機器載置部36側への突出部分の上面に突設された前後一対のスライドピン58a,58aを有する。各スライドピン58aが機器載置部36に形成された前後方向の長孔59に挿入されて前後方向にガイドされ、これにより筐体38aが前後方向に移動可能とされている。
【0043】
進退機構52は、筐体38aの側壁部38bに形成された開口39からコネクタ30及びガイドピン32を一体的に進退させる機構である。進退機構52は、操作レバー40の進退操作に伴い、コネクタ30及びガイドピン32を開口39から進退させる。昇降機構54は、進退機構52によって筐体38a内に退動しているコネクタ30を、機器載置部36に載置される携帯用情報機器12,12Aの接続端子26の高さ位置に合わせるために上下方向に昇降させる機構である。これら進退機構52及び昇降機構54の具体的な構成例は後述する。
【0044】
リンク機構56は、移動機構50によって移動するコネクタ30の前後方向位置と、昇降機構54によって昇降するコネクタ30の上下方向位置とを相関的に設定する機構である。リンク機構56により、移動機構50及び昇降機構54によって調整されるコネクタ30の前後方向位置と上下方向位置とが一対一で対応する。リンク機構56は、略T字状に形成された側壁部38bの開口39の鉛直長孔部分から筐体38a外に突出したリンクピン60と、このリンクピン60を上下方向に移動させるカム部材46とを有する。
【0045】
リンクピン60は、昇降機構54によってコネクタ30と一体的に上下方向に昇降可能である一方、前後方向にはコネクタ30と共に筐体38aに対して一体的に拘束されている。リンクピン60は、コネクタ30と共に下降方向に弾性付勢されている。リンクピン60は、開口39の鉛直長孔部分で上下動可能であると共に、その先端部がカム部材46の上面に摺動可能に配置されている。移動機構50によって筐体38aが前後方向に移動すると、リンクピン60が前後方向に移動しつつカム部材46の上面を摺動する。この際、カム部材46の上面には第1傾斜面46d等が形成されているため、該上面の傾斜形状に沿ってリンクピン60が上下動し、同時にコネクタ30も上下動する。
【0046】
図6(A)に示すように、リンクピン60が第1ピン保持部46aに保持された状態では、位置決め部材42からコネクタ30の中心までの距離が距離Laとなり、載置台36aの上面からコネクタ30の中心までの高さが高さHaとなった第1設定位置にコネクタ30が配置される。この第1設定位置を規定する距離La及び高さHaは、例えば
図3に示す携帯用情報機器12の距離L1及び高さH1と一致するように設定されている。
【0047】
同様に、
図6(B)に示すように、リンクピン60が第1ピン保持部46aから第1傾斜面46dを前進しつつ下降して第2ピン保持部46bに保持された状態では、位置決め部材42からコネクタ30の中心までの距離が距離Lbとなり、載置台36aの上面からコネクタ30の中心までの高さが高さHbとなった第2設定位置にコネクタ30が配置される。この第2設定位置を規定する距離Lb及び高さHbは、例えば
図4に示す携帯用情報機器12Aの距離L2及び高さH2と一致するように設定されている。さらに、
図6(C)に示すように、リンクピン60が第2ピン保持部46bから第2傾斜面46eを前進しつつ上昇して第3ピン保持部46cに保持された状態では、位置決め部材42からコネクタ30の中心までの距離が距離Lcとなり、載置台36aの上面からコネクタ30の中心までの高さが高さHcとなった第3設定位置にコネクタ30が配置される。この第3設定位置を規定する距離Lc及び高さHcは、例えば携帯用情報機器12,12Aとは仕様の異なる図示しない携帯用情報機器の接続端子26の距離及び高さの設定位置と一致するように設定されている。
【0048】
このようにコネクタ30の上下前後方向位置を規定するカム部材46は、載置台36aの上面に形成された凹状部に着脱可能に嵌合されてもよい。すなわち、ピン保持部の位置や高さ、傾斜面の傾斜の異なるカム部材を交換することにより、ドッキング装置10でのコネクタ30の設定位置を容易に変更することができる。また、カム部材46によるコネクタ30の設定位置は、2つ又は4つ以上に構成されてもよい。
【0049】
次に、接続機構部38の具体的な構成例を説明する。
【0050】
図7は、接続機構部38の内部構造の構成例を示す分解斜視図である。
図8〜10は、第1〜第3設定位置でのリンク機構56による移動機構50と昇降機構54の連動動作を示す模式説明図であり、各図(A)は、一部断面平面図であり、各図(B)は、一部断面側面図である。
図11は、進退機構52によるコネクタ30の進退動作を示す模式説明図であり、
図11(A)は、一部断面平面図であり、
図11(B)は、一部断面側面図である。
【0051】
図7及び
図8に示すように、接続機構部38の筐体38aは、機器載置部36側の一側面と底面が開口した外箱部材62と、外箱部材62の一側面及び底面を塞ぐ側壁部38b及び底面部58とを有する。底面部58の上面には、その天面及び一側面が開口した内箱部材64が固定されると共に外箱部材62内に収容される。
【0052】
進退機構52は、底面部58及び内箱部材64の上面上で左右方向に進退可能に設けられた進退部材66と、筐体38aの上部で揺動可能な揺動アーム69と、操作レバー40とを有する。
【0053】
進退部材66は、側面視略L字状の部品である。進退部材66は、底面部58に螺合固定されるガイドねじ67が左右方向の長孔66aに挿通されることで、筐体38aに対して左右方向の進退可能に支持される一方、前後上下方向には拘束されている。進退部材66の進退方向基端側の上面には、前後に一対の支柱部材66b,66bが立設されている。
【0054】
昇降機構54は、進退部材66の上面側で上下方向に昇降可能に支持された昇降部材68と、昇降部材68の上面側に設けられた昇降ベース70とを備える。
【0055】
昇降部材68は、内側に中空形状を有したブロック状の部品である。昇降部材68は、進退部材66の各支柱部材66bが摺動可能に挿通される上下一対のガイド孔68a,68aを前後に一対有する。昇降部材68の機器載置部36側の側面には、前後一対のボス状の突起を挟んで基板72が連結固定される。基板72は、コネクタ30が接続された電子基板であり、昇降部材68側とは反対側の裏面にコネクタ30及びガイドピン32が突設されている。昇降部材68の基板72が連結された側面の下部には、孔部68bが形成されている。孔部68bには、リンクピン60の基端側が軸方向に摺動可能に挿通されると共に抜け止めされる。基板72の下縁部には、リンクピン60との干渉を回避する凹状の逃げ部72aが形成されている。
【0056】
昇降ベース70は、昇降部材68と略同一の外形を有する矩形の板状部材である。昇降ベース70は、昇降部材68の上下のガイド孔68aを挿通した支柱部材66bの先端に対し、ねじ71を用いて一体的に固定される(
図7参照)。昇降ベース70の下面と昇降部材68の上面との間には、昇降部材68を支柱部材66bに沿って常時下方に付勢する弾性部材74が配設されている(
図8(B)参照)。弾性部材74は、例えばコイルばねである。昇降部材68は、進退部材66の上面と昇降ベース70の下面との間で支柱部材66bに沿って上下動可能にガイドされると共に、弾性部材74によって常時下降方向に付勢されている。
【0057】
昇降ベース70の上面には、前後方向の長孔70aが開口形成されている。この長孔70aには、進退機構52の揺動アーム69の作用ピン69aが摺動可能に挿入されている。
【0058】
揺動アーム69は、一端側から下方に突出した作用ピン69aと、作用ピン69aの裏側から上方に突出した駆動ピン69bと、作用ピン69a及び駆動ピン69b側とは反対側の他端側に設けられた軸孔69cとを有する。駆動ピン69bは、筐体38a(外箱部材62)の上面に形成された左右方向の長孔62aを挿通し、操作レバー40に嵌合されている。軸孔69cには、軸ピン76が挿通されると共に、該軸ピン76の先端は筐体38a(外箱部材62)の天面に設けられた軸取付部62aに嵌合固定される。
【0059】
次に、ドッキング装置10と携帯用情報機器12の装着動作について説明する。
【0060】
携帯用情報機器12等を装着する前の状態(初期状態)では、ドッキング装置10は操作レバー40が左側に後退した初期位置にある(
図5、
図8(B)、
図9(B)、
図10(B)参照)。この状態では、進退部材66も左側に後退した初期位置にあり、コネクタ30及びガイドピン32は筐体38a内に収納されている。
【0061】
この初期状態にあるドッキング装置10に対して携帯用情報機器12等を装着する場合は、先ず、装着する携帯用情報機器の接続端子26の位置に関する仕様、例えば
図3に示す携帯用情報機器12や
図4に示す携帯用情報機器12Aの接続端子26の設定位置に応じた前後上下位置に一致する設定位置にコネクタ30を移動させる。
【0062】
例えば接続端子26が第1設定位置にある携帯用情報機器12を装着する場合は、
図6(A)、
図8(A)及び
図8(B)に示すように、移動機構50を介して接続機構部38の筐体38aを前後方向で最も退動させた位置に配置し、リンクピン60をカム部材46の第1ピン保持部46aに保持させる。例えば第2ピン保持部46bにリンクピン60がある場合、筐体38aを後方に移動させるとリンクピン60がカム部材46の第1傾斜面46dを摺動して上動し、昇降部材68及び基板72を介してコネクタ30及びガイドピン32も上動する。そして、リンクピン60を第1ピン保持部46aに保持させると、昇降部材68が弾性部材74の付勢力に抗して上動した位置に保持される。その結果、コネクタ30が
図6(A)、
図8(A)及び
図8(B)に示す第1設定位置に配置される。
【0063】
このようにコネクタ30が第1設定位置にある状態のドッキング装置10に対し、例えば接続端子26が第2設定位置にある携帯用情報機器12Aを装着する場合は、
図6(B)、
図9(A)及び
図9(B)に示すように、移動機構50を介して接続機構部38の筐体38aを前方に移動させ、リンクピン60をカム部材46の第2ピン保持部46bに保持させる。この際、筐体38aの前方への移動に伴い、リンクピン60が昇降部材68に対する弾性部材74の付勢力によってカム部材46の第1傾斜面46dを摺動しながら下動し、昇降部材68及び基板72を介してコネクタ30及びガイドピン32も下動する。その結果、コネクタ30が
図6(B)、
図9(A)及び
図9(B)に示す第2設定位置に配置される。
【0064】
また、接続端子26が第3設定位置にある携帯用情報機器を装着する場合も同様であり、
図6(C)、
図10(A)及び
図10(B)に示すように、移動機構50を介して接続機構部38の筐体38aを前後方向に移動させ、リンクピン60をカム部材46の第3ピン保持部46cに保持させる。これにより、コネクタ30が
図6(C)、
図10(A)及び
図10(B)に示す第3設定位置に配置される。
【0065】
なお、例えばカム部材46の各ピン保持部46a〜46cを視認可能な位置、例えばカム部材46の上面に近接する載置台36aの上面に、第1設定位置〜第3設定位置を示す図示しないマークを付しておくことも有効である。すなわち、携帯用情報機器12等についても、例えば接続端子26の近傍や底面16c等に当該携帯用情報機器12等が如何なる設定位置を持った仕様であるかを示す図示しないマークを付しておく。これにより、携帯用情報機器12等のコネクタ30の各設定位置が明示されるため、利便性が向上する。
【0066】
このように、装着対象となる携帯用情報機器12等に対応した設定位置へのコネクタ30の配置が完了した後、続いて携帯用情報機器12等を載置台36aに載置する。すなわち、携帯用情報機器12等の後端面16bを位置決め部材42で位置決めし、その側面16aを位置決め筐体41の側面で位置決めした状態で載置台36a上に載置する。これにより、携帯用情報機器12等の接続端子26及び各ガイド穴28と、接続機構部38のコネクタ30及び各ガイドピン32とが互いに対向するように配置される。
【0067】
次いで、例えば
図11(A)及び
図11(B)に示すように、進退機構52を介してコネクタ30を接続端子26に接続する。すなわち、操作レバー40を右側に移動させると、揺動アーム69が軸孔69cに設けた軸ピン76を揺動軸として揺動する。そして、作用ピン69aが昇降ベース70の長孔70a内で前後方向に摺動しつつ、進退部材66による左右方向へのガイド作用下に昇降ベース70、昇降部材68及び進退部材66が右側に進動する。そうすると、昇降部材68に固定された基板72から突出したコネクタ30も進動して側壁部38bの開口39から突出する。その結果、コネクタ30よりも突出しているガイドピン32が携帯用情報機器12等のガイド穴28に挿入されつつ、そのガイド作用下にコネクタ30が接続端子26に接続される。
【0068】
一方、ドッキング装置10に装着された携帯用情報機器12等を取り外す際には、操作レバー40を左側に移動させ、コネクタ30を退動させて接続端子26から抜き取ることにより、携帯用情報機器12等を機器載置部36から取り外すことができる。
【0069】
なお、例えば本体筐体16の厚みの違いによって単に底面16cからの高さ位置のみが異なる接続端子26を有する複数仕様の携帯用情報機器12等を当該ドッキング装置10の装着対象とする場合は、移動機構50及びリンク機構56を省略し、昇降機構54を例えば操作レバー40と類似した上下方向の操作レバーで所望の高さ位置に調整し保持することができる構成とすればよい。
【0070】
以上のように、本実施形態に係るドッキング装置10は、機器載置部36の側部で起立し、機器載置部36に載置された携帯用情報機器12等の側面に対面する側壁部38bを有した接続機構部38と、接続機構部38の側壁部38bから進退可能に設けられ、機器載置部36に載置された携帯用情報機器12等の側面16aに設けられた接続端子26に対して接続可能なコネクタ30と、接続機構部38に設けられ、コネクタ30を上下方向に昇降させる昇降機構54とを備える。
【0071】
従って、当該ドッキング装置10では、例えば本体筐体16の厚みの違いによってその底面16cからの高さ位置が異なる接続端子26を有する複数仕様の携帯用情報機器12等を装着する際、昇降機構54によってコネクタ30の高さ位置を所望の高さ位置に設定することができる。これにより、本体筐体16の側面16aに接続端子26が設けられた複数種類の携帯用情報機器12等に対し、接続機構部38の側壁部38bから進退するコネクタ30を確実に接続することが可能となり、高い汎用性が得られる。
【0072】
当該ドッキング装置10では、機器載置部36に載置された携帯用情報機器12等の後端面16bと当接することで、該機器載置部36上での携帯用情報機器12等の前後方向位置を位置決めする位置決め部材42と、コネクタ30を前後方向に移動させる移動機構50とを備える。これにより、本体筐体16の底面16cからの高さ位置だけでなく後端面16bからの距離が異なる接続端子26を有する複数仕様の携帯用情報機器12等を装着する際、移動機構50によってコネクタ30の前後方向位置を所望の位置に設定することができる。その結果、ドッキング装置10に対して接続可能な携帯用情報機器12等の仕様が増え、一層高い汎用性が得られる。
【0073】
当該ドッキング装置10では、昇降機構54と移動機構50の動作を連動させ、コネクタ30の上下方向位置と前後方向位置を相関的に設定するリンク機構56を備える。これにより、コネクタ30の前後方向位置と上下方向位置とが一対一で対応するようになる。従って、各携帯用情報機器12等毎の接続端子26の底面16cからの高さ位置及び後端面16bからの距離の仕様に応じた設定位置(本実施形態では第1設定位置〜第3設定位置)に円滑に且つ確実にコネクタ30を配置することが可能となり、高い操作性と汎用性が得られる。リンク機構56は省略してもよい。
【0074】
換言すれば、例えば当該ドッキング装置10の接続対象となる各携帯用情報機器12等が接続端子26の底面16cからの高さ位置のみが異なり、後端面16bからの距離が全て同一に設定された仕様とされている場合を考察する。この場合も、上記のように昇降機構54によって各仕様の接続端子26に対してコネクタ30を接続することが可能となる。ところが、例えば2つの仕様の携帯用情報機器12等の接続端子26の高さ位置が近接している場合等には、コネクタ30を接続すべき接続端子26の設定位置よりも高位置に設定した場合であっても、底面16cが載置台36a上に完全に着地していない状態で接続端子26に接続できてしまう可能性があり、コネクタ30や接続端子26に負荷がかかる。この点、当該ドッキング装置10では、リンク機構56によってコネクタ30の上下方向位置と前後方向位置を相関的に設定可能としている。このため、例えば、その接続対象となる携帯用情報機器12等についても各仕様毎に接続端子26の上下前後位置が異なる構成としておくことで、上記のような誤ったコネクタ接続を確実に回避できる。
【0075】
ところで、当該ドッキング装置10は水平方向にコネクタ30を進退させて携帯用情報機器12等の接続端子26に接続する構成である。このため、例えば載置台36aに載置した携帯用情報機器12等の傾斜角度の僅かな違いやずれ等により、コネクタ30の接続端子26に対する円滑な接続が難しくなる可能性がある。
【0076】
そこで、
図12(A)及び
図12(B)に示すように、コネクタ30及びガイドピン32を設けた基板72と昇降部材68との間を、例えば基板72の上部中央に設けた回動軸80によって連結支持した構成としてもよい。これにより、基板72が昇降部材68に対して振り子状に揺動可能となる。その結果、進退機構52によって進動するコネクタ30をより円滑に接続端子26に接続することが可能となる。
【0077】
さらにこのように回動軸80を設けた構成において、ドッキング装置10側のガイドピン32に磁石82Sを配設し、携帯用情報機器12等側のガイド穴28に磁石82Sと極性の異なる磁石82Nを配設してもよい(
図3参照)。例えば、磁石82Sはガイドピン32の表面にS極を設けた磁石であり、磁石82Nはガイド穴28の内面にN極を設けた磁石であり、両者の極性関係は逆でもよい。これにより、進退機構52によって進動するガイドピン32が回動軸80による揺動動作も相まって磁石82N,82Nの吸引力によってガイド穴28に引き寄せられる。その結果、ガイドピン32がより円滑にガイド穴28に挿入されるため、コネクタ30の接続端子26に対する位置決めも確実に図られ、コネクタ30をより円滑に接続端子26に接続することが可能となる。
【0078】
なお、このような回動軸80及び磁石82S,82Nを用いる構成は、コネクタ30を上下前後に移動させる昇降機構54、移動機構50及びリンク機構56を設けず、進退機構52でコネクタ30を進退可能に構成し、携帯用情報機器12等の側面16aの接続端子26に接続する構成のドッキング装置に対しても有効に利用できる。
【0079】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【課題】側面に接続端子が設けられた複数種類の携帯用情報機器に対しても確実にコネクタ接続を行うことができると共に、高い汎用性を確保することができるドッキング装置及び携帯用情報機器とドッキング装置を備える電子機器を提供する。
【解決手段】ドッキング装置10は、機器載置部36の側部で起立し、機器載置部36に載置された携帯用情報機器12等の側面に対面する側壁部38bを有した接続機構部38と、接続機構部38の側壁部38bから進退可能に設けられ、機器載置部36に載置された携帯用情報機器12等の側面16aに設けられた接続端子26に対して接続可能なコネクタ30と、接続機構部38に設けられ、コネクタ30を上下方向に昇降させる昇降機構54とを備える。