特許第6134831号(P6134831)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タキゲン製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6134831-植物誘引用吊り紐の巻き取り装置 図000002
  • 特許6134831-植物誘引用吊り紐の巻き取り装置 図000003
  • 特許6134831-植物誘引用吊り紐の巻き取り装置 図000004
  • 特許6134831-植物誘引用吊り紐の巻き取り装置 図000005
  • 特許6134831-植物誘引用吊り紐の巻き取り装置 図000006
  • 特許6134831-植物誘引用吊り紐の巻き取り装置 図000007
  • 特許6134831-植物誘引用吊り紐の巻き取り装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6134831
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】植物誘引用吊り紐の巻き取り装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/12 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   A01G9/12 B
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-55022(P2016-55022)
(22)【出願日】2016年3月18日
【審査請求日】2016年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】原田 卓摩
【審査官】 門 良成
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−75042(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0342131(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0125457(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側を植物に係止して当該植物を誘引する吊り紐の基端側を巻き止めて上方の支持線に掛けて用いられる屈曲した鋼線からなる吊り紐ホルダあって、互いの先端が向き合った内側に相対向するように屈曲した一対のフック部と、このフック部の基端側に一端側が連続しそれぞれ概略V字状に外側に開く凹部を形成するように屈曲した一対の起立部と、一端側が一対の起立部の他端側にそれぞれ連続し互いに向き合う方向に屈曲することによって対向一対の折り返し曲部を形成し他端側が互いに連続する接続部とを有するものに、吊り紐を巻き取るための装置であって、
支持機体に、水平方向に相互間隔を置いて、水平の回転軸により、それぞれ垂直平面に沿って回転自在に支持される複数のホルダ保持機構と、
前記支持機体に支持され、前記各ホルダ保持機構の回転軸に回転伝動部機構を介して接続されるモータと、
前記各ホルダ保持機構の下方に位置して前記支持機体に支持される複数のテンションローラと、
前記各テンションローラの下方に配置され、前記紐ロールを保持するロール保持部材と、を具備し、
前記ホルダ保持機構は、中央で前記回転軸に支持され回転軸に直交する方向に延びる支持ベースと、この支持ベースの両端部において、当該支持ベースとの間で前記紐ホルダの一対の折り返し曲部を着脱自在に保持する一対の挟持部材とを具備し、
前記挟持部材は、前記支持ベースとの間に前記ホルダの折り返し曲部を挿入できる間隔を置いて支持ベース上に固定された押さえ部材と、この押さえ部材を貫通してボールが支持ベースに当接するように固定されたボールプランジャとを具備し、
前記ボールプランジャは、前記紐ホルダの折り返し曲部が支持ベースと押さえ部材との間に圧入されるとき、ボールが折り返し曲部を外側から内側へ乗り越えて折り返し曲部の内側に落ち込み、折り返し曲部に嵌合するように配置され、
前記テンションローラは、前記紐ロールから引き出された吊り紐の延長途上を掛け回し可能に設けられ、それによってテンションローラから紐ホルダまでの吊り紐に所定の張力を付与可能に構成されることを特徴とする植物誘引用吊り紐の巻き取り装置。
【請求項2】
前記ホルダ保持機構の回転数を積算する積算部と、積算回転数を表示する表示部と、手動スイッチによるモータの始動・停止および積算回転数が所定値に達したときのモータの停止を制御する制御部とを有する制御盤をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の植物誘引用吊り紐の巻き取り装置。
【請求項3】
前記支持機体は、高さ調節自在の左右一対の支持脚と、この支持脚間の上部に水平に架設された上部フレームと、この上部フレームの下方に位置して支持脚間に水平に架設された下部フレームとを具備し、
前記複数のホルダ保持機構と前記モータは前記上部フレーム上に支持され、 前記複数のテンションローラは前記下部フレームに支持されることを特徴とする請求項1に記載の植物誘引用吊り紐の巻き取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物誘引用の吊り紐を巻いて支持線に係止するために用いられる吊り紐ホルダに、紐ロールから吊り紐を引き出して巻き付ける巻き取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば温室内でのトマト等の植物の栽培において、図6に示すように、上方に水平に張られた支持線31から誘引用の吊り紐32を垂下させ、その先端を植物33の枝に係止し、吊り紐32によって植物33の枝を所望の方向へ誘引することが行われている。
この場合、吊り紐32は、基端側に長い余長部33を有しており、この余長部33が、図7に示すように、吊り紐ホルダ34に巻き付けられる。吊り紐ホルダ34は、屈曲した鋼線からなり、支持線31に掛ける一対のフック部35を有し、支持線31に対する掛け止め位置を移動させることができる。吊り紐32の垂下部分36は、ホルダ34から余長部33を巻きほぐして伸ばしたり、巻き取って縮めたりすることができる。
使用済みの吊り紐32は、ホルダ34に巻き付けられた余長部33を残して途上で切断され、収穫が終わった植物と共に処分される。吊り紐ホルダ34に巻かれている吊り紐の残余部分(巻き付け部分)33は、次の使用の際に順次巻きほぐされる。全て巻きほぐされて吊り紐32が空になった吊り紐ホルダ34には、新たに吊り紐32が巻き付けられる。多数の紐ホルダ34が使用されるので、吊り紐32の巻き取り作業は機械化されている。
その一例が特許文献1に記載されている(同文献の図8ないし図11参照)。装置は、巻き取り機構と、吊り紐ホルダを保持する取り付け部とを有する。巻き取り機構は、垂直軸上に設けられた巻き付けアームを有する。巻き付けアームは、自由端部にガイドアイ部を有し、モータにより回転する。垂直軸は中空で、紐ロールから引き出される吊り紐が中空部を通ってガイドアイ部へ導かれる。ホルダ取り付け部は、2つのクランプを有し、両クランプ間に吊り紐ホルダが、その両端部において挟持される。クランプは、固定顎と可動顎とを有し、可動顎が電磁駆動体で回転することにより両顎間で吊り紐ホルダを挟持したり解放したりする。垂直軸により巻き付けアームが回転し、吊り紐を送り出しながら、それを吊り紐ホルダに巻き付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許公開0507378A1公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、一時に多数の吊り紐ホルダに吊り紐を巻き付けることができる構造の簡易な植物誘引用吊り紐の巻き取り装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明の巻き取り装置1は、支持機体2上に構築され、複数のホルダ保持機構3と、モータ4と、複数のテンションローラ5と、ロール保持部材6とを具備する。ホルダ保持機構3は、水平方向に相互間隔を置いて、水平の回転軸7により、それぞれ垂直平面に沿って回転自在に支持機体2に支持される。モータ4は、支持機体2に支持され、各ホルダ保持機構3の回転軸7に、回転伝動部機構8を介して接続される。複数のテンションローラ5は、各ホルダ保持機構3の下方に位置して支持機体2に支持される。ロール保持部材6は、各テンションローラ5の下方に配置され、吊り紐32のロール37を、それの巻き心を垂直に向けて保持する。ホルダ保持機構3は、支持ベース9と、一対の挟持部材10とを具備する。支持ベース9は、中央で回転軸7に支持され、回転軸7に直交する方向に延びる。挟持部材10は、支持ベース9の両端部において、当該支持ベース9との間で吊り紐ホルダ34の一対の折り返し曲部40を着脱自在に保持する。挟持部材10は、支持ベース9との間にホルダの折り返し曲部40を挿入できる間隔を置いて、支持ベース9上に固定された押さえ板11と、この押さえ板11を貫通して、ボール13が支持ベース9に当接するように固定されたボールプランジャ12とを具備する。ボールプランジャ12は、紐ホルダ34の折り返し曲部40が支持ベース9と押さえ板11との間に圧入されるとき、ボール13が折り返し曲部40を外側から内側へ乗り越えて折り返し曲部40の内側に落ち込み、折り返し曲部40に嵌合するように配置される。テンションローラ5は、紐ロール32から引き出され吊り紐32の延長途上を掛け回し可能に設けられ、それによってテンションローラ5から紐ホルダ34までの吊り紐32に所定の張力を付与する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の植物誘引用吊り紐の巻き取り装置1は、一時に多数の吊り紐ホルダ34に吊り紐32を巻き付けることができる構造の簡易な植物誘引用吊り紐の巻き取り装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る巻き取り装置の正面図である。
図2図1の巻き取り装置の側面図である。
図3図1の巻き取り装置の平面図である。
図4図1の巻き取り装置におけるホルダ保持機構の平面図である。
図5図1の巻き取り装置におけるホルダ保持機構の正面図である
図6】本発明に係る植物誘引用の吊り紐と吊り紐ホルダの使用状態を示す説明図である。
図7】本発明に係る吊り紐ホルダの使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1に示すように、発明に係る吊り紐巻き取り装置1は、金属線材を屈曲して形成された吊り紐ホルダ34に、紐ロール37から吊り紐32を引き出して巻き付ける装置である。
【0009】
図7に示すように、吊り紐ホルダ34は、互いの先端が向き合って内側に相対向するように屈曲した一対のフック部35と、このフック部35の基端側に一端側が連続し、それぞれ概略V字状に外側に開く凹部38を形成するように屈曲した一対の起立部39と、一端側が一対の起立部39の他端側にそれぞれ連続し、互いに向き合う方向に屈曲することによって対向一対の折り返し曲部40を形成し、他端側が互いに連続する接続部41とを有する。吊り紐32は、吊り紐ホルダ34の一対の凹部38間に巻きつけられる。
【0010】
図1において、巻き取り装置1は、支持機体2上に構築され、複数のホルダ保持機構3と、モータ4と、複数のテンションローラ5と、ロール保持部材6とを具備する。
【0011】
支持機体2は、垂直に立て置かれる両側一対の支持脚14と、支持脚14に水平に架設される上下2つの支持フレーム15,16を具備する。支持脚14は、レベルアジャスタ17を具え、設置面の変化に対応できる。
【0012】
ホルダ保持機構3は、上部支持フレーム15上に、水平方向に相互間隔を置いて、水平の回転軸7により、それぞれ垂直平面に沿って回転自在に支持される。
【0013】
ホルダ保持機構3は、支持ベース9と、一対の挟持部材10とを具備する。支持ベース9は、中央で回転軸7に支持され、回転軸7に直交する方向に延びる。挟持部材10は、支持ベース9の両端部において、当該支持ベース9との間で吊り紐ホルダ34の一対の折り返し曲部40を着脱自在に保持する。挟持部材10は、支持ベース9との間に吊紐ホルダ34の折り返し曲部40を挿入できる間隔を置いて、支持ベース9上に固定された押さえ板11と、この押さえ板11を貫通して、ボール13が支持ベース9に当接するように固定されたボールプランジャ12とを具備する。ボールプランジャ12は、紐ホルダ34の折り返し曲部40が支持ベース9と押さえ板11との間に圧入されるとき、ボール13が折り返し曲部40を外側から内側へ乗り越えて折り返し曲部40の内側に落ち込み、折り返し曲部40に嵌合するように配置される。
【0014】
モータ4は、上フレーム15に支持され、各ホルダ保持機構3の回転軸7に、回転伝動部機構8を介して接続される。
【0015】
複数のテンションローラ5は、各ホルダ保持機構3の下方に位置して下フレーム16に支持される。テンションローラ5は、紐ロール32から引き出される吊り紐32の延長途上を掛け回し可能に設けられ、それによって吊り紐ホルダ34までの吊り紐32に所定の張力を付与する。
【0016】
ロール保持部材6は、各テンションローラ5の下方に配置され、吊り紐32のロール37を、それの巻き心を垂直に向けて保持する。ロール保持部材6は、板状部材で、中央に円形凹部を有し、突出した巻き心の端部を受け入れて保持できるようになっている。
【0017】
上フレーム15上に支持される制御盤18は、ホルダ保持機構3の回転数を積算する積算部と、積算回転数を表示する表示部と、手動スイッチによるモータの始動・停止および積算回転数が所定値に達したときモータ4を停止するように制御する制御部を具備する。
【0018】
吊り紐ホルダ34に吊り紐32を巻き付ける場合には、吊り紐ホルダ34をホルダ保持機構3に装着する。このとき、吊り紐ホルダ34のフック部35を手前に向けて、折り返し曲部40を支持ベース9と押さえ板11との間に圧入すると、ボール13が折り返し曲部40を外側から内側へ乗り越えて折り返し曲部40の内側に落ち込み、折り返し曲部40に嵌合すると同時に、押さえ板11が上から折り返し曲部40を押さえ付ける。各ロール保持部材6上に紐ロール37を置き、そこから吊り紐32を引き出す。吊り紐32は、テンションローラ5を経由して、ホルダ保持機構3に保持されている吊り紐ホルダ34に先端を結びつける。
【0019】
制御盤18を操作して、吊り紐ホルダ34に巻く吊り紐32の巻き数を設定し、モータ4を始動させる。伝動機構8を介してホルダ保持機構3が吊り紐ホルダ34と共に回転し、吊り紐ホルダ34の凹部38間に吊り紐32を巻き付けていく。巻き数が設定値に達すると、モータ4が停止する。巻き取りが完了したら、吊り紐ホルダ34をホルダ保持機構3から取り外し、吊り紐32を巻き終端付近で切断し、終端を吊り紐ホルダ34に結び付け、使用に備えて保管する。
【符号の説明】
【0020】
1 巻き取り装置
2 支持機体
3 ホルダ保持機構
4 モータ
5 テンションローラ
6 ロール保持部材
7 回転軸
8 伝動機構
9 支持ベース
10 挟持部材
11 押さえ板
12 ボールプランジャ
13 ボール
14 支持脚
15 上フレーム
16 下フレーム
17 レベルアジャスタ
18 制御盤
31 支持線
32 吊り紐
33 余長部
34 吊り紐ホルダ
35 フック部
36 垂下部分
37 紐ロール
38 凹部
39 起立部
40 折り返し曲部
41 接続部
【要約】
【課題】一時に多数の吊り紐ホルダに吊り紐を巻き付けることができる構造の簡易な植物誘引用吊り紐の巻き取り装置を提供する。
【解決手段】巻き取り装置1は、支持機体2上の複数のホルダ保持機構3と、これを回転させるモータ4と、複数のテンションローラ5と、ロール保持部材6とを具備する。ホルダ保持機構3は、支持ベース9と、一対の挟持部材10とを具備する。挟持部材10は、押さえ板11とボールプランジャ12とを具備し、両者間に吊り紐ホルダ34の曲部40が圧入されると、ボール13が曲部40を乗り越えて内側に落ち込み嵌合する。吊り紐32の一端が係止された吊り紐ホルダ34が回転すると、テンションローラ5を介して所定の張力を持って紐ロール37から引き出される吊り紐32が、吊り紐ホルダ34の凹部38間に巻き付けられる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7