特許第6134864号(P6134864)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6134864飲料を生成するための飲料調製システム、カプセル、及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134864
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】飲料を生成するための飲料調製システム、カプセル、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/36 20060101AFI20170515BHJP
   A47J 31/06 20060101ALI20170515BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   A47J31/36 120
   A47J31/06 320
   B65D85/50 Z
【請求項の数】54
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-512434(P2016-512434)
(86)(22)【出願日】2014年5月16日
(65)【公表番号】特表2016-524484(P2016-524484A)
(43)【公表日】2016年8月18日
(86)【国際出願番号】IB2014000852
(87)【国際公開番号】WO2014184651
(87)【国際公開日】20141120
【審査請求日】2015年11月6日
(31)【優先権主張番号】1308927.1
(32)【優先日】2013年5月17日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516386029
【氏名又は名称】コーニンクレイケ ダウ エグバーツ ビー.ヴイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ハリデー, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】シャブディン, エサク
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー, サイモン
(72)【発明者】
【氏名】バニスター, スチュアート
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−517838(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0087051(US,A1)
【文献】 特表2015−529506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00 − 31/60
B65D 85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料成分を含むカプセルと、
飲料調製マシンと、を備える飲料製造システムであって、
前記カプセルが、カップ形状の本体と、蓋と、を備え、前記カップ形状の本体が、基部と、側壁とを有し、前記蓋は、前記カップ形状の本体に対して密封されており、
前記カプセルが、
前記飲料成分との相互作用から飲料を製造するために、前記飲料調製マシンに挿入して、加圧液体が前記カプセルを通過できるように設計されており、
前記飲料調製マシンが、封入部材を有し、前記封入部材が、前記飲料調製マシンへの前記カプセルの挿入を可能にする開放位置と、前記封入部材が前記カプセルと密封係合する閉鎖位置との間を選択的に可動であるように構成されており
前記側壁が、前記封入部材が前記閉鎖位置へと移動すると、前記封入部材と接触して前記側壁を座屈させ、前記封入部材にまたがる谷部を形成する寸法であり、
前記谷部が前記封入部材と前記側壁との間に少なくとも1つの密封界面を形成するように前記側壁が構成される、飲料製造システム。
【請求項2】
前記谷部が、前記封入部材の先端縁部と密封界面を形成する、請求項1に記載の飲料製造システム。
【請求項3】
前記側壁は、前記封入部材の閉鎖中に前記側壁が前記封入部材の前記先端縁部を横切って塑性延伸されるように構成される、請求項2に記載の飲料製造システム。
【請求項4】
前記谷部が、前記飲料調製マシン側のカプセルホルダに押し付けられて挟まれるように構成される、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
【請求項5】
前記側壁が、前記座屈中に塑性変形を受けるように構成される、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
【請求項6】
前記側壁が、前記側壁の座屈に続いて、前記側壁が前記封入部材外に位置する隆起部を画定するように構成される、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
【請求項7】
前記隆起部が、前記封入部材の外側表面に向かって内側に押し付けられて、前記封入部材の前記外側表面と密封界面を形成するように構成される、
請求項6に記載の飲料製造システム。
【請求項8】
挿入前には、前記側壁がフレア形状を有する、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
【請求項9】
挿入前には、前記側壁の少なくとも一部が凹状に湾曲している、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
【請求項10】
前記カプセルが、前記基部から離れた前記カップ形状の本体の一端に形成されたリムを備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
【請求項11】
前記リムが前記カップ形状の本体と一体に形成される、請求項10に記載の飲料製造システム。
【請求項12】
前記リムが前記側壁の折り返し部分によって形成される、
請求項10又は請求項11に記載の飲料製造システム。
【請求項13】
挿入前には、前記カプセルが、任意に設けられたリムを除いて、フランジを有さない、
請求項1〜12のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
【請求項14】
挿入前には、前記側壁が前記基部から、前記基部から離れた前記カップ形状の本体の一端に形成されたリムまで延在して、形状の角度を急に変化させることなく、湾曲面を画定する、
請求項1〜13のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
【請求項15】
挿入前には、前記側壁が、
前記側壁の確実な変形を促進するように構成されているか、処理されている、予め選択された区域を備える、
請求項1〜13のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
【請求項16】
挿入前には、前記側壁が、前記基部に近接した円錐台形部と、前記基部に対して遠位のフレア部と、を備える、
請求項1〜15のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
【請求項17】
前記フレア部が、前記カプセルの長手方向高さの40〜80%の距離を延在する、請求項16に記載の飲料製造システム。
【請求項18】
前記フレア部が、前記カプセルの長手方向高さの50〜70%の距離を延在する、請求項16又は請求項17に記載の飲料製造システム。
【請求項19】
前記フレア部が、前記カプセルの長手方向高さの約60%の距離を延在する、
請求項16〜18のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
【請求項20】
前記蓋が、使用中の、前記側壁における前記封入部材の先端縁部の接触点よりも半径方向内側の位置において前記側壁に対して密封される、
請求項1〜19のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
【請求項21】
前記側壁が、前記蓋が前記側壁に対して密封される位置を超えて延在する遠位部を備える、
請求項20に記載の飲料製造システム。
【請求項22】
前記側壁の前記遠位部が、前記カプセルの折り返し縁部を形成する、
請求項21に記載の飲料製造システム。
【請求項23】
前記封入部材の先端縁部が複数の溝又は刻み目を備え、
前記側壁が、前記側壁の塑性変形によって前記側壁前記溝又は前記刻み目に適合させて有効な密封部をもたらすように構成される、
請求項1〜22のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
【請求項24】
前記カップ形状の本体が、アルミニウム、アルミニウム合金、又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金から形成された少なくとも1つの層を含む積層体から形成される、請求項1〜23のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
【請求項25】
前記蓋が、アルミニウム、アルミニウム合金、又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金から形成された少なくとも1つの層を含む積層体から形成される、
請求項1〜24のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
【請求項26】
前記カップ形状の本体が、
80〜500マイクロメートルの範囲の厚さを有する、
請求項1〜25のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
【請求項27】
カップ形状の本体と、蓋と、を備える飲料を調製するためのカプセルであって、
前記カップ形状の本体が、基部と、側壁とを有し、前記蓋は、前記カップ形状の本体に対して密封されており、
前記カプセルが、飲料成分との相互作用から飲料を製造するために、飲料調製マシンに挿入して、加圧液体が前記カプセルを通過できるように設計されており、
前記飲料調製マシンが、封入部材を有する種類のものであり、前記封入部材が、前記飲料調製マシンへの前記カプセルの挿入を可能にする開放位置と、前記封入部材が前記カプセルと密封係合する閉鎖位置との間を選択的に可動であるように構成されており、
前記側壁が前記封入部材が前記閉鎖位置へと移動すると、前記封入部材と接触して前記側壁を座屈させ、前記封入部材にまたがる谷部を形成する寸法であり、
前記谷部が前記封入部材と前記側壁との間に少なくとも1つの密封界面を形成するように前記側壁が構成される、カプセル。
【請求項28】
前記側壁が、前記座屈中に塑性変形を受けるように構成される、
請求項27に記載のカプセル。
【請求項29】
前記側壁がフレア形状を有する、請求項27又は請求項28に記載のカプセル。
【請求項30】
前記側壁の少なくとも一部が凹状に湾曲している、請求項2729のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項31】
前記カプセルが、前記基部から離れた前記カップ形状の本体の一端に形成されたリムを備える、
請求項2730のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項32】
前記リムが前記カップ形状の本体と一体に形成される、請求項31に記載のカプセル。
【請求項33】
前記リムが前記側壁の折り返し部分によって形成される、請求項31又は請求項32に記載のカプセル。
【請求項34】
前記側壁が、前記基部から、前記基部から離れた前記カップ形状の本体の一端に形成されたリムまで延在して、形状の角度を急に変化させることなく、湾曲面を画定する、
請求項2733のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項35】
前記側壁が、
前記側壁の確実な変形を促進するように構成されているか、処理されている、予め選択された区域を備える、
請求項2733のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項36】
前記カプセルが、任意に設けられたリムを除いて、フランジを有さない、
請求項2735のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項37】
前記側壁が、前記基部に近接した円錐台形部と、前記基部に対して遠位のフレア部と、を備える、
請求項2736のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項38】
前記フレア部が、前記カプセルの長手方向高さの40〜80%の距離を延在する、請求項37に記載のカプセル。
【請求項39】
前記フレア部が、前記カプセルの長手方向高さの50〜70%の距離を延在する、請求項37又は請求項38に記載のカプセル。
【請求項40】
前記フレア部が、前記カプセルの長手方向高さの約60%の距離を延在する、
請求項3739のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項41】
前記蓋が、使用中の、前記側壁における前記封入部材の先端縁部の接触点よりも半径方向内側の位置において前記側壁に対して密封される、
請求項2739のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項42】
前記側壁が、前記蓋が前記側壁に対して密封される位置を超えて延在する遠位部を備える、
請求項41に記載のカプセル。
【請求項43】
前記側壁の前記遠位部が、前記カプセルの折り返し部を形成する、請求項42に記載のカプセル。
【請求項44】
前記カップ形状の本体が、アルミニウム、アルミニウム合金、又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金から形成された少なくとも1つの層を含む積層体から形成される、請求項2743のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項45】
前記蓋が、アルミニウム、アルミニウム合金、又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金から形成された少なくとも1つの層を含む積層体から形成される、
請求項2744のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項46】
前記カップ形状の本体が
80〜500マイクロメートルの範囲の厚さを有する、
請求項2745のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項47】
飲料を調製するための方法であって、
−請求項2746のいずれか一項に記載のカプセルを準備する工程と、
−封入部材を有する飲料調製マシンを準備する工程と、
−前記封入部材を開放位置に移動する工程と、
−前記カプセルを前記飲料調製マシンに挿入する工程と、
−前記封入部材が前記カプセルと密封係合するように前記封入部材を閉鎖する工程と、
−加圧液体に前記カプセルを通過させて前記飲料成分との相互作用から飲料を製造する工程と、
−消費するために前記飲料を注出する工程と、を含み、
前記封入部材を閉鎖すると、前記カプセルの前記側壁が前記封入部材と接触しそれによって前記側壁を座屈させて、前記封入部材にまたがる谷部を形成し、
前記谷部が、前記封入部材と前記側壁との間に、少なくとも1つの密封界面を形成する、方法。
【請求項48】
前記側壁が、前記座屈中に塑性変形を受ける、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記谷部が、前記封入部材の先端縁部と密封界面を形成する、請求項47又は請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記側壁が、前記封入部材の前記先端縁部を横切って塑性延伸される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記谷部が、前記飲料調製マシン側のカプセルホルダに押し付けられて挟まれる、
請求項49又は請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記側壁の座屈により、前記封入部材外に位置する隆起部が形成される、
請求項4751のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記隆起部が、前記封入部材の外側表面に向かって内側に押し付けられて、前記封入部材の前記外側表面と密封界面を形成する、
請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記封入部材の先端縁部が複数の溝又は刻み目を備え、前記側壁が塑性変形されて、前記側壁を前記溝又は前記刻み目に適合させて有効な密封部をもたらす、
請求項4753のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飲料を生成するための飲料調製システム、カプセル、及び方法に関する。飲料調製システムは、飲料調製マシンを備える種類であり、カプセル内に含まれる飲料成分との相互作用から飲料を製造するために、カプセルを飲料調製マシンに挿入して、加圧液体がカプセルを通過できるようにカプセルが設計されている。
【背景技術】
【0002】
飲料調製マシンと、飲料成分を含むカプセルと、を備える飲料調製システムは、当該技術分野において既知である。1つのかかるシステムは、カップ状の基体と、閉鎖ホイル部材と、を備えるカプセルを開示する、欧州特許第1700548号に教示されている。このカプセルは、飲料製造装置内で挿入するように設計されており、この装置では、カプセル内の成分と相互作用して、消費するために注出される飲料を生成するために、加圧下の液体がカプセルに入る。欧州特許第1700548号のカプセルには、使用中にカプセルの外側周囲のバイパス流を遮断する専用密封部材が設けられる。この密封部材は、カプセルの外側表面の中空密封部材の形態、例えば、飲料調製マシンの封入部材を閉鎖部すると接触する、階段の形態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第1700548号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、かかる飲料調製システムの一部として使用されてよい別のカプセルを提供する。このカプセルは、製造費用が安く、使用中に効果的な密封性をもたらしてよい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様において、本開示は、
飲料成分を含むカプセルと、
飲料調製マシンと、を備える飲料製造システムを提供し、
カプセルは、カップ形状の本体と、蓋と、を備え、カップ形状の本体は、基部と、側壁と、を有し、蓋は、カップ形状の本体に対して密封されており、
カプセルは、飲料成分との相互作用から飲料を製造するために、飲料調製マシンに挿入して、加圧液体がカプセルを通過できるように設計されており、
飲料調製マシンは、飲料調製マシンへのカプセルの挿入を可能にする開放位置と、封入部材がカプセルと密封係合する閉鎖位置との間を選択的に可動であるように構成されている封入部材を有し、
側壁は、封入部材が閉鎖位置へと移動すると、封入部材と接触して側壁を座屈させ、封入部材にまたがる谷部を形成する寸法であり、
側壁は、該谷部が、封入部材と側壁との間に、少なくとも1つの密封界面を形成するように構成される。
【0006】
第2の態様において、本開示は、カップ形状の本体と、蓋と、を備える、飲料を調製するためのカプセルを提供し、カップ形状の本体は、基部と、側壁と、を有し、蓋は、カップ形状の本体に対して密封されており、
カプセルは、飲料成分との相互作用から飲料を製造するために、飲料調製マシンに挿入して、加圧液体がカプセルを通過できるように設計されており、
飲料調製マシンは、飲料調製マシンへのカプセルの挿入を可能にする開放位置と、封入部材がカプセルと密封係合する閉鎖位置との間を選択的に可動であるように構成されている封入部材を有する種類であり、
側壁は、封入部材が閉鎖位置へと移動すると、封入部材と接触して側壁を座屈させ、封入部材にまたがる谷部を形成する寸法であり、
側壁は、該谷部が、封入部材と側壁との間に、少なくとも1つの密封界面を形成するように構成される。
【0007】
第3の態様において、本開示は、
−上記のようにカプセルを準備する工程と、
−封入部材を有する飲料調製マシンを準備する工程と、
−封入部材を開放位置に移動する工程と、
−カプセルを飲料調製マシンに挿入する工程と、
−封入部材がカプセルと密封係合するように封入部材を閉鎖する工程と、
−加圧液体にカプセルを通過させて、飲料成分との相互作用から飲料を製造する工程と、
−消費するために飲料を注出する工程と、を含む飲料を調製するための方法を提供し、
封入部材を閉鎖すると、カプセルの側壁が封入部材と接触し、それによって側壁を座屈させて、封入部材にまたがる谷部を形成し、
該谷部が、封入部材と側壁との間に、少なくとも1つの密封界面を形成する。
【0008】
有利には、上記の態様では、側壁の座屈によって比較的大規模な側壁の変形が生じることができて、封入部材にまたがる谷部を形成できる。この変形としては、側壁の材料の折り畳み、並びに/又は側壁の材料の弾性及び/若しくは塑性歪みが挙げられてよい。
【0009】
上記の態様は、1つ以上の以下の特徴を更に含んでよい。
谷部は、封入部材の先端縁部と密封界面を形成してよい。
【0010】
側壁は、封入部材の閉鎖中に、側壁が封入部材の先端縁部を横切って塑性延伸されるように構成されてよい。有利には、これにより側壁が、先端縁部に設けられた任意の溝(又は、類似のもの)の形状に適合できてよい。
【0011】
谷部は、飲料調製マシン側のカプセルホルダに押し付けられて挟まれるように構成されてよい。
【0012】
側壁は、該座屈中に塑性変形を受けるように構成されてよい。
【0013】
側壁は、側壁の座屈に続いて、側壁が封入部材外に位置する隆起部を画定するように構成されてよい。上記のように、側壁の座屈によって、比較的大規模な側壁の変形を生じさせることができて、隆起部を形成できる。この変形としては、側壁の材料の折り畳み、並びに/又は側壁の弾性及び/若しくは塑性歪みが挙げられてよい。
【0014】
隆起部は、封入部材の外側表面に向かって内側に押し付けられて、封入部材の外側表面と密封界面を形成するように構成されてよい。
【0015】
有利には、密封界面は、封入部材の先端縁部及び外側表面の両方に設けられてよい。加えて、谷部が形成されると、側壁が封入部材の内面にかける外向きの圧力によって、更なる密封界面を形成させる。
【0016】
挿入前には、側壁はフレア形状を有してよい。
【0017】
挿入前には、側壁の少なくとも一部は、凹状に湾曲していてよい。
【0018】
挿入前には、側壁は、45〜80度の角度で蓋から離れる方向に延出してよい。
【0019】
カプセルは、基部から離れたカップ形状の本体の一端に形成されたリムを備えてよい。
【0020】
リムは、カップ形状の本体と一体に形成されてよい。
【0021】
リムは、側壁の折り返し部分によって形成されてよい。
【0022】
挿入前には、カプセルは、任意に設けられたリムを除いて、フランジを有さなくてよい。
【0023】
挿入前には、側壁は、基部からリムまで延在して、形状の角度を急に変更させることなく、湾曲面を画定してよい。
【0024】
挿入前には、側壁は、側壁の確実な変形を促進するように構成されているか、処理されている、予め選択された区域を備えてよい。予め選択された区域は、側壁の円周線又は帯であってよい。予め選択された区域は、予め選択された区域内の(又はそこに隣接する)側壁の剛性、強度、延性、又は他の好適な材料特性を変更することによって構成又は処理されて、封入部材の閉鎖中の側壁の確実な変形を促進してよい。側壁の剛性、強度、延性、又は他の好適な材料特性は、側壁の材料の加工硬化、局部的な厚化、筋付け、折り目付け、又は薄化のうちの1つ以上によって変更されてよい。
【0025】
挿入前には、側壁は、基部に近接した円錐台形部と、基部に対して遠位のフレア部と、を備えてよい。
【0026】
フレア部は、カプセルの長手方向高さの40〜80%の距離、又はカプセルの長手方向高さの50〜70%の距離、又はカプセルの長手方向高さの約60%の距離を延在してよい。
【0027】
蓋は、使用中の、側壁における封入部材の先端縁部の接触点よりも半径方向内側の位置において、側壁に対して密封される。蓋は、側壁の内面に対して密封されてよい。蓋は、封入部材の先端縁部の接触点よりも上の側壁上の位置で密封されてよい。蓋は、側壁の遠位端から2.5〜3.0mmの距離で位置付けられてよい。この距離は、リムが存在する場合には、リムの高さのほぼ2倍になるように選択されてよい。一例では、リムは1.35mmの高さを有してよく、蓋は側壁の遠位端よりも2.7mm上に位置してよい。これらの特徴部は、単独で、又は相まって、密封部の液密性への有害な影響を有し得る、封入部材によるカプセルの圧迫が生じないようにするのに役立ち、先端縁部とカプセルホルダとの間に飲料成分を挟み込むようにする。
【0028】
側壁は、蓋が側壁に対して密封される位置を超えて延在する遠位部を備えてよい。
【0029】
側壁の遠位部は、カプセルの折り返し縁部を形成してよい。
【0030】
封入部材の先端縁部は複数の溝又は刻み目を備えてよく、側壁は、側壁の塑性変形によって側壁が溝又は刻み目に適合して、有効な密封部をもたらすように構成されてよい。
【0031】
カップ形状の本体は、アルミニウム、アルミニウム合金、又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金から形成された少なくとも1つの層を含む積層体から形成されてよい。ラッカー層は、カップ形状の本体の片面又は両面に施されてよい。
【0032】
あるいは、別の、好適な延性材料が、アルミニウム又はアルミニウム合金の代わりに使用され得る。
【0033】
アルミニウム合金は、例えば、3005、3105、8011、又は8079の等級であってよい。好ましくは、アルミニウム合金は「0」の調質定格を有する。
【0034】
積層体が使用される場合、積層体は、ポリマーから形成された弾性層と共に、アルミニウム又はアルミニウム合金などの材料から形成された延性構造層を含んでよい。積層体は、ポリマーの単一層及びアルミニウム又はアルミニウム合金に施された、任意のラッカー層と共に、アルミニウム又はアルミニウム合金の単層のみを含んでよい。
【0035】
ポリマー層は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、ポリクロロプレン、又はイソブチレンからなる群から選択される材料を含んでよい。
【0036】
蓋は、アルミニウム、アルミニウム合金、又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金から形成された少なくとも1つの層を含む積層体から形成されてよい。あるいは、別の好適な延性材料を使用できる。
【0037】
カップ形状の本体は、単一片の材料から形成されてよい。単一片の材料は冷間成形されて、任意のフレア部などカップ形状の本体の形状を形成してよい。深絞り法を使用して、カップ形状の本体を冷間成形してよい。カップ形状の本体の材料がポリマー層を含む積層体を含む場合、温延伸法が使用されてよく、この方法は、材料を高温に曝して、アルミニウム層の材料特性に有害な影響を与えずに、ポリマー材料の容易な変形を促進する。
【0038】
カップ形状の本体及びリムは一体であってよい。
【0039】
カップ形状の本体は、80〜500マイクロメートルの範囲の厚さを有してよい。いくつかの態様では、この厚さは、90〜300マイクロメートルの範囲であってよい。カップ形状の本体がアルミニウム又はアルミニウム合金のみから形成される(所望により、1つ以上のラッカー層を備える)場合、80〜120マイクロメートルの範囲の厚さが好ましいことがある。カップ形状の本体がポリマー層を含む積層材料から形成される場合、100〜500マイクロメートルの範囲の厚さが好ましい。材料の厚さは、カップ形状の本体にわたって異なっていてよい。
【0040】
リムは、約37mmの外径を有してよい。
【0041】
挿入前には、カプセルは、25〜31mmの高さを有してよい。いくつかの態様において、この高さは29〜30mmであってよい。使用中のカプセルの変形は、長手方向の高さを減少させる傾向にある。
【0042】
カプセルは、単回使用の使い捨て要素を形成してよい。
【0043】
カプセルは、飲料成分、又は飲料成分の混合物を含んでよい。非限定例として、飲料成分は、レギュラーコーヒーを含んでよい。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
飲料成分を含むカプセルと、
飲料調製マシンと、を備える飲料製造システムであって、
前記カプセルが、カップ形状の本体と、蓋と、を備え、前記カップ形状の本体が、基部と、側壁とを有し、前記蓋は、前記カップ形状の本体に対して密封されており、
前記カプセルが、
前記飲料成分との相互作用から飲料を製造するために、前記飲料調製マシンに挿入して、加圧液体が前記カプセルを通過できるように設計されており、
前記飲料調製マシンが、
前記飲料調製マシンへの前記カプセルの挿入を可能にする開放位置と、封入部材が前記カプセルと密封係合する閉鎖位置との間を選択的に可動であるように構成されている封入部材を有し、
前記側壁が、前記封入部材が前記閉鎖位置へと移動すると、前記封入部材と接触して
前記側壁を座屈させ、前記封入部材にまたがる谷部を形成する寸法であり、
前記谷部が、前記封入部材と前記側壁との間に、少なくとも1つの密封界面を形成するように前記側壁が構成される、飲料製造システム。
(項目2)
前記谷部が、前記封入部材の先端縁部と密封界面を形成する、項目1に記載の飲料製造システム。
(項目3)
前記封入部材の閉鎖中に、前記側壁が
前記封入部材の前記先端縁部を横切って塑性延伸されるように構成される、項目1又は項目2に記載の飲料製造システム。
(項目4)
前記谷部が、前記飲料調製マシン側のカプセルホルダに押し付けられて挟まれるように構成される、
項目1〜3のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
(項目5)
前記側壁が、前記座屈中に塑性変形を受けるように構成される、
項目1〜4のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
(項目6)
前記側壁が、前記側壁の座屈に続いて、前記側壁が前記封入部材外に位置する隆起部を画定するように構成される、
項目1〜5のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
(項目7)
前記隆起部が、前記封入部材の外側表面に向かって内側に押し付けられて、前記封入部材の前記外側表面と密封界面を形成するように構成される、
項目6に記載の飲料製造システム。
(項目8)
挿入前には、前記側壁がフレア形状を有する、
項目1〜7のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
(項目9)
挿入前には、前記側壁の少なくとも一部が凹状に湾曲している、
項目1〜8のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
(項目10)
前記カプセルが、前記基部から離れた前記カップ形状の本体の一端に形成されたリムを備える、項目1〜9のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
(項目11)
前記リムが前記カップ形状の本体と一体に形成される、項目10に記載の飲料製造システム。
(項目12)
前記リムが前記側壁の折り返し部分によって形成される、
項目10又は項目11に記載の飲料製造システム。
(項目13)
挿入前には、前記カプセルが、任意に設けられたリムを除いて、フランジを有さない、
項目1〜12のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
(項目14)
挿入前には、前記側壁が前記基部から前記リムまで延在して、形状の角度を急に変化させることなく、湾曲面を画定する、
項目1〜13のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
(項目15)
挿入前には、前記側壁が、
前記側壁の確実な変形を促進するように構成されているか、処理されている、予め選択された区域を備える、
項目1〜13のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
(項目16)
挿入前には、前記側壁が、前記基部に近接した円錐台形部と、前記基部に対して遠位のフレア部と、を備える、
項目1〜15のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
(項目17)
前記フレア部が、前記カプセルの長手方向高さの40〜80%の距離を延在する、項目16に記載の飲料製造システム。
(項目18)
前記フレア部が、前記カプセルの前記長手方向高さの50〜70%の距離を延在する、項目16又は項目17に記載の飲料製造システム。
(項目19)
前記フレア部が、前記カプセルの前記長手方向高さの約60%の距離を延在する、
項目16〜18のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
(項目20)
前記蓋が、使用中の、前記側壁における前記封入部材の先端縁部の接触点よりも半径方向内側の位置において前記側壁に対して密封される、
項目1〜19のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
(項目21)
前記側壁が、前記蓋が前記側壁に対して密封される位置を超えて延在する遠位部を備える、
項目20に記載の飲料製造システム。
(項目22)
前記側壁の前記遠位部が、前記カプセルの折り返し縁部を形成する、
項目21に記載の飲料製造システム。
(項目23)
前記封入部材の先端縁部が複数の溝又は刻み目を備え、
前記側壁が、前記側壁の塑性変形によって前記側壁が前記溝又は前記刻み目に適合して有効な密封部をもたらすように構成される、
項目1〜22のいずれか一項に記載の飲料製造システム。
(項目24)
カップ形状の本体と、蓋と、を備える飲料を調製するためのカプセルであって、
前記カップ形状の本体が、基部と、側壁とを有し、前記蓋は、前記カップ形状の本体に対して密封されており、
前記カプセルが、飲料成分との相互作用から飲料を製造するために、飲料調製マシンに挿入して、加圧液体が前記カプセルを通過できるように設計されており、
前記飲料調製マシンが、
前記飲料調製マシンへの前記カプセルの挿入を可能にする開放位置と、封入部材が前記カプセルと密封係合する閉鎖位置との間を選択的に可動であるように構成されている
封入部材を有する種類であり、前記側壁が、
前記封入部材が前記閉鎖位置へと移動すると、前記封入部材と接触して前記側壁を座屈させ、前記封入部材にまたがる谷部を形成する寸法であり、
前記谷部が、前記封入部材と前記側壁との間に、少なくとも1つの密封界面を形成するように前記側壁が構成される、カプセル。
(項目25)
前記側壁が、前記座屈中に塑性変形を受けるように構成される、
項目24に記載のカプセル。
(項目26)
前記側壁がフレア形状を有する、項目24又は項目25に記載のカプセル。
(項目27)
前記側壁の少なくとも一部が凹状に湾曲している、項目24〜26のいずれか一項に記載のカプセル。
(項目28)
前記カプセルが、前記基部から離れた前記カップ形状の本体の一端に形成されたリムを備える、
項目24〜27のいずれか一項に記載のカプセル。
(項目29)
前記リムが前記カップ形状の本体と一体に形成される、項目28に記載のカプセル。
(項目30)
前記リムが前記側壁の折り返し部分によって形成される、項目28又は項目29に記載のカプセル。
(項目31)
前記側壁が、前記基部から前記リムまで延在して、形状の角度を急に変化させることなく、湾曲面を画定する、
項目24〜30のいずれか一項に記載のカプセル。
(項目32)
前記側壁が、前記側壁の確実な変形を促進するように構成されているか、処理されている、予め選択された区域を備える、
項目24〜30のいずれか一項に記載のカプセル。
(項目33)
前記カプセルが、任意に設けられたリムを除いて、フランジを有さない、
項目24〜32のいずれか一項に記載のカプセル。
(項目34)
前記側壁が、前記基部に近接した円錐台形部と、前記基部に対して遠位のフレア部と、
を備える、
項目24〜33のいずれか一項に記載のカプセル。
(項目35)
前記フレア部が、前記カプセルの長手方向高さの40〜80%の距離を延在する、項目34に記載のカプセル。
(項目36)
前記フレア部が、前記カプセルの前記長手方向高さの50〜70%の距離を延在する、項目34又は項目35に記載のカプセル。
(項目37)
前記フレア部が、前記カプセルの前記長手方向高さの約60%の距離を延在する、
項目34〜36のいずれか一項に記載のカプセル。
(項目38)
前記蓋が、使用中の、前記側壁における前記封入部材の先端縁部の接触点よりも半径方向内側の位置で、前記側壁に対して密封される、
項目24〜36のいずれか一項に記載のカプセル。
(項目39)
前記側壁が、前記蓋が前記側壁に対して密封される位置を超えて延在する遠位部を備える、
項目38に記載のカプセル。
(項目40)
前記側壁の前記遠位部が、前記カプセルの折り返し端部を形成する、項目39に記載のカプセル。
(項目41)
前記カップ形状の本体が、アルミニウム、アルミニウム合金、又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金から形成された少なくとも1つの層を含む積層体から形成される、項目24〜40のいずれか一項に記載のカプセル。
(項目42)
前記蓋が、アルミニウム、アルミニウム合金、又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金から形成された少なくとも1つの層を含む積層体から形成される、
項目24〜41のいずれか一項に記載のカプセル。
(項目43)
前記カップ形状の本体が
80〜500マイクロメートルの範囲の厚さを有する、
項目24〜42のいずれか一項に記載のカプセル。
(項目44)
飲料を調製するための方法であって、
−項目24〜43のいずれか一項に記載のカプセルを準備する工程と、
−封入部材を有する飲料調製マシンを準備する工程と、
−前記封入部材を開放位置に移動する工程と、
−前記カプセルを前記飲料調製マシンに挿入する工程と、
−前記封入部材が前記カプセルと密封係合するように前記封入部材を閉鎖する工程と、
−加圧液体に前記カプセルを通過させて、
前記飲料成分との相互作用から飲料を製造する工程と、
−消費するために前記飲料を注出する工程と、を含み、
前記封入部材を閉鎖すると、前記カプセルの前記側壁が前記封入部材と接触し、
それによって前記側壁を座屈させて、前記封入部材にまたがる谷部を形成し、
前記谷部が、前記封入部材と前記側壁との間に、少なくとも1つの密封界面を形成する、方法。
(項目45)
前記側壁が、前記座屈中に塑性変形を受ける、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記谷部が、前記封入部材の先端縁部と密封界面を形成する、項目44又は項目45に記載の方法。
(項目47)
前記側壁が、前記封入部材の前記先端縁部を横切って塑性延伸される、項目46に記載の方法。
(項目48)
前記谷部が、前記飲料調製マシン側のカプセルホルダに押し付けられて挟まれる、
項目46又は項目47に記載の方法。
(項目49)
前記側壁の座屈により、前記封入部材外に位置する隆起部が形成される、
項目44〜48のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
前記隆起部が、前記封入部材の外側表面に向かって内側に押し付けられて、前記封入部材の前記外側表面と密封界面を形成する、
項目49に記載の方法。
(項目51)
前記封入部材の先端縁部が複数の溝又は刻み目を備え、前記側壁が塑性変形されて、前記側壁を前記溝又は前記刻み目に適合させて有効な密封部をもたらす、
項目44〜50のいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0044】
ここで、例示のみを目的として、添付図面を参照しながら本開示の実施例をより詳細に説明する。
図1】本開示によるカプセルの第1の実施形態の断面図である。
図2図1の詳細の拡大図である。
図3】飲料調製マシンの封入部材と共に示す図1のカプセルの概略図である。
図4図3の詳細の拡大図である。
図5】封入部材が閉鎖位置にある、図3の構成の概略図である。
図6図5の詳細の拡大図である。
図7】本開示によるカプセルの更なる実施形態の斜視図である。
図8】飲料調製マシンへの挿入後の、図7のカプセルの一部の概略断面図を示す。
図9】本開示によるカプセルの更なる実施形態の斜視図である。
図10】飲料調製マシンへの挿入後の、図9のカプセルの一部の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図3は、本開示による飲料調製システムの一部を概略的に示している。この飲料調製システムは、飲料調製マシンと、カプセル1と、を備える。
【0046】
図1及び2は、飲料調製マシンで使用する、本開示によるカプセル1の第1の実施形態を示している。カプセル1は、以下でより詳細に説明するが、一端にある基部42と、蓋41によって閉鎖される対向端部に向かって基部42から延出する側壁43と、を有するカップ形状の本体40という一般形態を有してよい。
【0047】
図3に示されるように、飲料調製マシンは、封入部材2と、カプセルホルダ20と、を備える。封入部材2は、カプセルホルダ20に対して、カプセル1の飲料調製マシンへの挿入を可能にする開放位置と、封入部材が、下記に記載の方法でカプセルホルダ20に押し付けてカプセル1と密封係合する閉鎖位置と、の間を選択的に可動である。
【0048】
封入部材2は、当該技術分野において周知の従来の機構によって開放位置と閉鎖位置との間を移動してよい。例えば、この手段は、手動により可動のレバーによって起動される機械的機構、又はモータによって動作が駆動される、自動、若しくは半自動機構を含んでよい。封入部材2は、カプセルホルダ20の静止中に移動してよい。
【0049】
あるいは、封入部材2は静止し、カプセルホルダ20が移動してよい。更に別の構成では、開放及び閉鎖操作中に、封入部材2及びカプセルホルダ20の両方が移動してよい。
【0050】
閉鎖位置にある封入部材2及びカプセルホルダ20は、注出操作中にカプセル1を保持する入れ物3を共に画定する。
【0051】
飲料調製マシンは、添付の図面に図示されておらず、飲料調製マシンの技術分野において周知の他の従来の要素を更に備えてよい。例えば、飲料調製マシンは、内部タンクなど水媒体を貯蔵するための設備、又は水道水など水媒体の外部供給源への接続設備のいずれかを備えてよい。水媒体は、通常、水である。加圧状態の水媒体をカプセル1に供給するために、ポンプ又は同等物が設けられてよい。水媒体は、通常、0.9〜1.4MPa(9〜14バール)までの圧力で供給される。水媒体を所望の温度に加熱するために、ヒータが設けられてよい。ヒータは、タンク内の水媒体を加熱してよい(存在する場合)、又は入れ物3に通じる導管若しくはサーモブロックを通過するときにオンデマンドで水媒体を加熱してよい。飲料調製マシンは、カプセル1の基部42を穿孔して、水媒体がカプセル1に入り、その中で飲料成分と相互作用できるようにする、基部穿孔手段を備えてよい。あるいは、カプセル1には、1つ以上の予め形成された開口部が設けられていて、水媒体が入れ物3からカプセル1に入れるようにしてよい。
【0052】
封入部材2は、欧州特許第1700548号に記載の種類であってよく、環状リムの形態で先端縁部23を有する環状要素22と、入れ物3に面する内面25と、外側に面する外面24と、を備える。先端縁部23には、欧州特許第1700548号に教示されるように、複数の溝が設けられてよい。封入部材2の上端部(図示なし)は、水媒体の供給源に連結されてよく、また、使用中にカプセル1の基部42を穿孔することを意図する、1つ以上の穿孔要素用の取り付け部が設けられてよい。
【0053】
カプセルホルダ20は、欧州特許第1700548号に記載の種類であってよく、カプセル1の蓋41を破断させ、穿孔するように設計されているリリーフ要素21を備える。蓋41の破断は、流入する水媒体によるカプセル1の内部加圧が原因で生じてよい。リリーフ要素21は、ホイル部材を部分的に破断させることができる任意の凸形状、例えば、錐体、針、突起、円筒、又は細長リブなどを有してよい。
【0054】
図1に示されるように、第1の実施形態のカプセル1は、飲料成分又は飲料成分の混合物で充填されていてよい、飲料成分チャンバ50を共に密閉するカップ形状の本体40と、蓋41と、を備える。非限定例として、飲料成分は、レギュラーコーヒーを含んでよい。
【0055】
例示の実施例では、カップ形状の本体40は、アルミニウム又はアルミニウム合金で作製されている。しかしながら、他の材料が使用されてよい。カップ形状の本体40は、基部42と、側壁43と、を含む。図示されるように、基部42と側壁43との接合部において、例えば肩部57の形態で、幾何学的不連続性が存在してよい。あるいは、基部42及び側壁43は、円滑な幾何学的移行部を有してよい。
【0056】
カップ形状の本体40は、80〜500マイクロメートルの範囲の厚さを有してよい。材料の厚さは、カップ形状の本体40にわたって異なっていてよい。例示の実施例では、厚さは120マイクロメートルである。
【0057】
側壁43はフレア形状を有してよく、蓋端部におけるカプセルの直径は、基部42よりも大きい。フレア形状は、例えば、カプセル1の外側から見たときに、側壁43が凹状に湾曲している少なくとも一部を有するように構成することによって、実現してよい。
【0058】
側壁43の軸線方向の全長は張り出していてよく、例えば、凹状に湾曲している。あるいは、基部42に対して遠位のフレア部45のみが張り出していてよい。例えば、フレア部45は、カプセルの長手方向高さの40〜80%の距離、好ましくは、カプセルの長手方向高さの50〜70%の距離を延在してよい。一例では、フレア部45は、カプセルの長手方向高さの約60%の距離を延在する。
【0059】
図1に示される実施例では、側壁43は、基部42に近接する円錐台形部44と、基部42に対して遠位のフレア部45と、を備える。
【0060】
カプセル1には、基部42から離れたカップ形状の本体40の一端に形成されたリム47が設けられてよい。リム47は、カップ形状の本体40と一体に形成される。示された実施例では、リム47は、側壁43の折り返し部分48によって形成される。
【0061】
リム47が設けられる場合、側壁43は、基部42からリム47まで延在して、形状の角度を急に変化させることなく、湾曲面を画定してよい。例えば、フレア部45から円錐台形部44(又は別の形状、例えば円筒状の区域)までの任意の移行部は、例えば、図1に示されるように位置46において、平滑であるように構成され得る。
【0062】
本開示によると、カプセル1は、任意に設けられたリム47を除いて、フランジを有さなくてよい。換言すれば、側壁43は、側壁43から実質的に垂直に延在する、欧州特許第1700548号の実施例に教示されるフランジを含まなくてよい。
【0063】
蓋41は、アルミニウム、アルミニウム合金、又はアルミニウムを含有する積層体から形成されてよい。蓋41は、位置58において、使用中の、側壁43における封入部材2の先端縁部23の接触点よりも半径方向内側かつその上で、側壁43に対して密封されてよい。例えば、蓋41は、側壁43の遠位端からリム47の高さの2倍離れた距離に位置付けられてよい。例示の実施例では、リム47は、1.35mmの高さを有してよい。したがって、蓋41は、側壁43の遠位端よりも2.7mm上に位置してよい(この場合、リム47の最下端部に相当する)。これは、密封部の液密性への有害な影響を有し得る、封入部材2によるカプセル1の圧迫が生じないようにするのに役立ち、先端縁部23とカプセルホルダ20との間に飲料成分を挟み込むようにする。これを実現するために、蓋41は、従来技術のように側壁に対して実質的に垂直に延在するフランジに対してではなく、側壁43のフレア部45に対して密封されていてよい。
【0064】
側壁43は、蓋41が側壁43に対して密封される位置58を超えて延在する遠位部59を備えてよい。遠位部59は、リム47が存在する場合には、リム47の折り返し部分48を含んでよい。
【0065】
飲料調製システムの使用中、封入部材2は、まず開放位置へと移動され、カプセル1がカプセルホルダ20と封入部材2との間の位置に挿入される。飲料調製マシンの設計に応じて、カプセル1は、重力によって、又は手動配置によって、又はこれらの組み合わせによって挿入されてよい。加えて、初期挿入により、カプセル1は、封入部材2の以降の移動によって、それと共にカプセル1がカプセルホルダ20との係合へと導かれるように、封入部材2に近接して配置される。あるいは、初期挿入により、カプセル1は、封入部材2の閉鎖中にカプセル1が実質的に固定されるように、カプセルホルダ20に近接して配置される。
【0066】
次いで、封入部材2は、封入部材2がカプセル1と密封係合するように、閉鎖される。この工程中、カプセル1の基部42は、封入部材2の穿孔要素によって穿孔されてよい。
【0067】
次いで、加圧水媒体がカプセル1に流入して、飲料成分との相互作用から飲料を製造する。この工程中、飲料成分チャンバ50の内部加圧により蓋41がカプセルホルダ20のリリーフ要素21に押し付けられて外向きに変形し、少なくとも部分的に蓋41を破断させ、飲料用カプセル1からの出口路を開く。
【0068】
次いで、消費するために飲料が注出される。
【0069】
図4及び5に示されるように、カプセルホルダ20に対する封入部材2の閉鎖工程中には、カプセル1の側壁43は封入部材2と接触し、それによって側壁43を座屈させて、封入部材2にまたがる谷部51を形成する。谷部51は、封入部材2と側壁43との間に、少なくとも1つの密封界面を形成する。
【0070】
環状要素22の先端縁部23とカプセル1との間の接触点は、側壁43のフレア部上にある。重要なことに、接触点は、側壁43がカプセルホルダ20に押し付けられて挟まれる前に、側壁43が、谷部51を形成できるように十分にカプセルホルダ20に向かって下方に変形する空間が存在するように、カプセルホルダ20から軸方向に離間した側壁43上の位置にある。側壁43の座屈及び誘導運動によって、側壁43は塑性変形を受ける。具体的には、側壁43が下方に変形するに従って、側壁43は、封入部材2の先端縁部23を横切って塑性延伸されてよく、側壁43の材料が先端縁部23の溝に密着して適合するように促される。したがって、谷部51は、封入部材2の先端縁部23と密封界面を形成してよい。
【0071】
谷部51の形成により、封入部材2が閉鎖位置に達したときに、その外に位置する隆起部52も形成されてよい。図6に最も明確に示されるように、隆起部52は、環状要素22の外側表面24に隣接する内壁54と、封入部材2の反対方向に面する外壁55と、を有する環状機構を備えてよい。隆起部52の頂点53は、カプセル1の基部42へと後方に向かっている。
【0072】
変形中の隆起部52の材料の圧縮により、頂点53及び/又は隆起部52の内壁54は外側表面24に向かって内側に押し付けられて、封入部材2と密封界面を形成してよい。
【0073】
更に、谷部51の形成により、側壁43が封入部材2の内面25にかける外向きの圧力によって、更なる密封界面も形成してよい。
【0074】
カプセル1が、上記のようにポリマー層を有する積層材料から形成される側壁43を備える場合、封入部材2を閉鎖すると、上記の任意の密封界面の形成時に、積層材料の少なくともポリマー層を圧縮させる。ポリマー層の圧縮により、側壁43が先端縁部23の形状に変形しやすくなってよい。具体的には、ポリマー層は、先端縁部23における溝の存在により生じる任意の間隙を埋めやすくしてよい。好ましくは、ポリマー層は外向きであって、先端縁部23と直接接触する。加えて、使用中に温水が入れ物3を通過すると、ポリマー層の材料を若干軟化させるように作用してよい。かかる軟化は、封入部材2の圧縮荷重下で側壁43の更なる変形を引き起こしてよい。この効果は、そこを流れる温水が漏れる任意の間隙を密閉する傾向にあることによって、封入部材2とカプセル1との間の液体シールの補強に役立ってよい。
【0075】
谷部51の形成はまた、カプセル1の長手方向高さを挿入前の高さに対して減少させてよい。
【0076】
図7〜10は、本開示によるカプセル1の更なる変形例を示している。第1の実施形態及びこれらの変形例の対応する特徴部は、対応する参照符号で示されている。第1及びこれらの変形例の特徴部は、所望に応じて置き換えてよい。
【0077】
挿入前には、側壁43には、確実に座屈させ、谷部51を形成するために、予め選択された区域が設けられている。予め選択された区域は、側壁の円周線又は帯であってよい。予め選択された区域は、予め選択された区域内の(又はそこに隣接する)側壁43の剛性、強度、延性、又は他の好適な材料特性を変更することによって構成又は処理されて、封入部材2の閉鎖中に側壁の確実な変形を促進してよい。側壁43の剛性、強度、延性、又は他の材料特性は、側壁の材料の加工硬化、局部的な厚化、筋付け、折り目付け、又は薄化のうちの1つ以上によって変更されてよい。
【0078】
例えば、図7に示すように、加工硬化された円周帯49が側壁43の周りに形成されてよい。加工硬化は、側壁材料の筋付け及び筋伸ばしによって、又は他の好適な手段によって行われてよい。
【0079】
加工硬化による帯の代わりとしては、厚さの増した領域、ないしは別の方法で、図9に示されるように、材料49’の薄化部分が設けられた側壁43、側壁43にスコア線が設けられた側壁43、又は延伸の前後のいずれかに熱処理を受ける側壁の区域が挙げられる。
【0080】
封入部材2の閉鎖中、加工硬化帯49は、側壁43の隣接する区域よりも座屈耐性が高い。したがって、図8に示されるように、隆起部63の頂点67は、加工硬化帯49と側壁43の隣接部分との界面に確実に形成される。側壁43の局部的な厚化部分が設けられる場合には、同様の作用が生じる。反対に、例えば、薄化部分49’又は折り目付けによって局部的に側壁43が弱体化された場合、この位置で座屈が促進される。したがって隆起部の頂点67は、図10に示されるように、薄化部分49’内/スコア線において確実に形成される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10