【文献】
ルーフリース事業、日本でも開始,環境ビジネス,日本,株式会社日本ビジネス出版,2012年 4月 1日,第118巻,p.48
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、契約支援システム1のハードウェア構成を例示する図である。
図1に例示するように、契約支援システム1は、携帯端末3と、契約支援サーバ4とを含む。
携帯端末3は、賃貸借契約を行うユーザ(貸主及び貸主)が操作する携帯型のコンピュータ端末である。本例では、屋根又は屋上の全部又は一部を貸す貸主が携帯端末3Bを操作し、屋根又は屋上を借りる借主が携帯端末3Aを操作する形態を具体例として説明する。
契約支援サーバ4は、サーバ装置であり、携帯端末3とネットワークを介して接続している。本例の契約支援サーバ4は、貸主と借主との間の賃貸借契約の成立を支援する。
【0014】
図2は、契約支援システム1により支援される賃貸借契約及びこの契約に伴うビジネススキームを模式的に表す図である。
図2に例示するように、本実施形態では、貸主が、工場の屋上900Aの全部又は一部や、建物の屋根900Bの全部又は一部を、借主に対して賃貸する。
借主は、賃貸の対価として、エコ物品950を貸主に提供する。エコ物品950とは、代替物品との関係で、二酸化炭素排出量の削減が期待できる物品であり、例えば、LEDライト950Aや、蓄電装置950Bなどである。なお、貸主に提供される提供物品は、エコ物品に限定されるものではなく、防災物品などであってもよい。
借主は、賃借りした屋上900A又は屋根900Bに、太陽光パネル960を設置して発電し、発電した電力を電力会社に販売して、代金を得る。
【0015】
契約支援サーバ4は、貸主と借主との間の賃貸借契約の契約条件の決定を支援する。また、契約支援サーバ4は、
図2に例示するように、賃貸した屋根等で発電された電力量と、借主から提供されたエコ物品とに基づいて、二酸化炭素排出量の削減に関する貢献度を貸主毎に算出し、算出された貢献度に基づいて、貸主のランキングを定期的に公表する。
ランキングを公表することにより、屋根等の賃貸借契約が地球環境保護に貢献していることを外部に発信できる。例えば、大きな工場やビルを所有する企業が貸主となった場合、企業イメージの向上が期待できる。
【0016】
図3は、契約支援サーバ4のハードウェア構成を例示する図である。
図3に例示するように、契約支援サーバ4は、CPU400、メモリ402、HDD404、ネットワークインタフェース406(ネットワークIF406)、表示装置408、及び入力装置410を有し、これらの構成はバス412を介して互いに接続している。
CPU400は、例えば、中央演算装置である。
メモリ402は、例えば、揮発性メモリであり、主記憶装置として機能する。
HDD404は、例えば、ハードディスクドライブ装置であり、不揮発性の記録装置としてコンピュータプログラムやその他のデータファイルを格納する。
ネットワークIF406は、有線又は無線で通信するためのインタフェースであり、インターネットを介した携帯端末3との通信を実現する。
表示装置408は、例えば、液晶ディスプレイである。
入力装置410は、例えば、キーボード及びマウスである。
【0017】
図4は、契約支援サーバ4の機能構成を例示する図である。
図4に例示するように、本例の契約支援サーバ4には、契約支援プログラム50がインストールされると共に、契約基礎情報データベース600(契約基礎情報DB600)及び実績情報データベース610(実績情報DB610)が構成される。
契約支援プログラム50は、条件受付部500、予想売電量算出部510、物品決定部520、実績特定部530、貢献度算出部540、及び順位決定部550を有する。
なお、契約支援プログラム50の一部又は全部は、ASICなどのハードウェアにより実現されてもよい。
【0018】
契約支援プログラム50において、条件受付部500は、屋上900A又は屋根900Bの賃貸借に関する条件の入力を受け付ける。
例えば、条件受付部500は、屋上900A又は屋根900Bの面積、傾斜角度、方位、及び地域と、賃貸期間とを賃貸借の条件として受け付ける。面積とは、賃貸借の対象となる屋根又は屋上の面積である。傾斜角度とは、賃貸借の対象となる面(屋上900A又は屋根900Bの面)の傾き角度である。方位とは、賃貸借の対象となる面が向いている方位である。地域とは、賃貸借の対象となる屋上900A又は屋根900Bが存在する地域である。賃貸期間は、20年などの固定的な期間でもよいし、年単位で貸主が指定した期間でもよいし、貸主が任意に始期及び終期を指定した期間であってもよい。
本例の条件受付部500は、貸主の携帯端末3Bから、屋上900A又は屋根900Bの面積、傾斜角度、方位、及び地域と、賃貸期間とを貸主の賃貸借条件としてインターネット経由で受信する。
【0019】
予想売電量算出部510は、条件受付部500により受け付けた貸主の賃貸借条件に基づいて、賃貸期間における予想売電量を算出する。
例えば、予想売電量算出部510は、条件受付部500により受け付けた屋根又は屋上の面積、傾斜角度、方位、及び地域と、賃貸期間とに基づいて、賃貸借の対象となる屋根又は屋上に太陽光パネル960を設置した場合の賃貸期間における予想売電量を算出する。
本例の予想売電量算出部510は、地域テーブル602、傾斜・方位テーブル604及び契約期間テーブル606(
図5を参照して後述)を参照して、条件受付部500により受け付けた貸主の賃貸借条件に対応する発電係数及び売電係数を読み出し、読み出された発電係数及び売電係数に基づいて、予想売電量を算出する。
【0020】
物品決定部520は、予想売電量算出部510により算出された予想売電量に基づいて、賃貸借の対価として貸主に提供される提供物品(エコ物品950など)を決定する。エコ物品は、本発明に係る提供物品の一例であり、省エネ商品として認定された物品である。
例えば、物品決定部520は、予想売電量算出部510により算出された予想売電量に基づいて賃貸価格を決定し、決定された賃貸価格の範囲内で、複数のエコ物品950の組合せを提供物品として決定する。
本例の物品決定部520は、予想売電量算出部510により算出された予想売電量に基づいて賃貸価格を決定し、決定された賃貸価格の範囲内で、貸主が選択したエコ物品950を提供物品として決定する。
【0021】
実績特定部530は、賃貸借された屋根又は屋上に設置された太陽光パネル960による発電量を特定する。
本例の実績特定部530は、太陽光パネル960から電力会社に送電した電力量を月単位で特定する。
【0022】
貢献度算出部540は、実績特定部530により特定された発電量と、物品決定部520により決定されたエコ物品(すなわち、貸主に提供された物品)とに基づいて、二酸化炭素排出削減に対する貢献度を算出する。二酸化炭素排出削減に対する貢献度とは、例えば、貸主に提供されたエコ物品が使用された場合の使用期間における二酸化炭素排出削減量(同等の機能を有する商品から、エコ物品に置き換えた場合の排出削減量)と、太陽光発電による二酸化炭素排出削減量(火力発電等による電力を太陽光発電による電力で置換したことによる排出削減量)との合計である。
本例の貢献度算出部540は、物品決定部520により決定されたエコ物品について、物品テーブル608(
図6を参照して後述)を参照して、提供されたエコ物品に対応するエコ貢献度を読み出し、読み出されたエコ貢献度の合計に、実績特定部530により特定された当月の発電量を加算して、各貸主の月次貢献度総計を算出する。
【0023】
順位決定部550は、貢献度算出部550により算出された各貸主の貢献度に基づいて、貸主の順位を決定する。
本例の順位決定部550は、貢献度算出部550により算出された各貸主の月次貢献度総計に基づいて、各月の貸主の順位を決定し、決定された順位をランキング表にしてウェブサイトにアップロードする。
【0024】
図5は、契約基礎情報DB600に格納される情報を例示する図である。
図5に例示するように、契約基礎情報DB600は、地域テーブル602、傾斜・方位テーブル604、及び、契約期間テーブル606を格納する。
地域テーブル602は、屋根等が存在する地域と、発電係数とを互いに関連付ける。具体的には、地域毎に日照時間が異なるため、日照時間が長いほど発電係数が大きくなるように、地域毎に発電係数が設定される。このように設定された発電係数は、地域に関連付けて地域テーブル602に登録される。
傾斜・方位テーブル604は、屋根等の傾斜角度及び方位の組合せと、発電係数とを互いに関連付ける。具体的には、屋根等の傾斜角度及び方位によって発電効率が変化するため、傾斜角度及び方位の組合せに対応する発電効率に基づいて、発電係数が設定される。このように設定された発電係数は、屋根等の傾斜角度及び方位の組合せに関連付けて傾斜・方位テーブル604に登録される。
契約期間テーブル606は、賃貸借契約の契約期間と、売電係数とを互いに関連付ける。具体的には、売電するタイミングによって売電価格が変動しうる。さらに、太陽光パネル960の発電効率が時間の経過に伴って低下しうる。このような変動要因を加味して、各契約期間の売電係数が設定される。このように設定された売電係数は、賃貸借契約の各期間に関連付けて契約期間テーブル606に登録される。
【0025】
図6は、実績情報DB610に格納される情報を例示する図である。
図6に例示するように、実績情報DB610は、物品テーブル608及び実績テーブル612を格納する。
物品テーブル608は、提供物品の物品名、物品の提供価格、及び、物品(エコ物品)によるエコ貢献度を互いに関連付ける。
実績テーブル612は、貸主の屋根等で発電された累積発電量、貸主に提供された提供物品によるエコ貢献度の合計、及び、これらの総計を、各貸主に関連付けて格納する。本例の実績テーブル612は、実績特定部530により特定された月間の発電量、貢献度算出部540により算出されるエコ貢献度の合計、及び、貢献度算出部540により算出される月次貢献度総計を、各貸主に関連付けて格納する。なお、本例では、月間の総計が算出される形態を説明するが、これに限定されるものではなく、契約時から現時点までの総計、又は、年間の総計などが算出され、実績テーブル612に登録されてもよい。
【0026】
次に、契約支援システム1の動作を説明する。
図7は、契約支援サーバ4による契約条件設定処理(S10)のフローチャートである。
図7に例示するように、ステップ100(S100)において、契約支援サーバ4の条件受付部500は、貸主の携帯端末3から、賃貸する屋上900A又は屋根900B(屋根等)の面積、傾斜角度、方位、及び地域と、賃貸期間とを貸主の賃貸借条件としてインターネット経由で受信する。
【0027】
ステップ105(S105)において、予想売電量算出部510は、
図5に例示する地域テーブル602、傾斜・方位テーブル604及び契約期間テーブル606を参照して、条件受付部500により受け付けた貸主の賃貸借条件に対応する発電係数及び売電係数を読み出し、賃貸する屋根等の面積に、読み出された発電係数及び売電係数を乗算して、予想売電量を算出する。
【0028】
ステップ110(S110)において、物品決定部520は、予想売電量算出部510により算出された予想売電量に基づいて賃貸価格を決定する。賃貸価格は、例えば、予想売電量に対応する予想売電価格から、事務手数料、太陽光パネルの設置費用などを差し引いた金額である。
【0029】
ステップ115(S115)において、物品決定部520は、貸主の賃貸価格から提供物品(エコ物品)の価格を差し引いた残額が既定値以下であるか否かを判断する。
契約支援プログラム50は、残額が既定値以下である場合に、S135の処理に移行し、残額が既定値を超える場合に、S120の処理に移行する。
【0030】
ステップ120(S120)において、物品決定部520は、物品テーブル608に登録されている物品名のリストを、貸主の携帯端末3に送信して、提供物品の物品名を表示させる。
ステップ125(S125)において、物品決定部520は、貸主の携帯端末3から、貸主が選択した物品名を受信すると、選択された物品の価格を、賃貸価格の残額から差し引いて、賃貸価格の残額を更新する。
【0031】
ステップ130(S130)において、物品決定部520は、貸主の携帯端末3から、貸主が提供物品の選択を終了する操作を行ったか否かを判断する。
契約支援プログラム50は、提供物品の選択を終了する操作が行われた場合に、S145の処理に移行し、提供物品の選択を終了する操作が行われなかった場合(例えば、提供物品の選択を続行する操作が行われた場合)に、S115の処理に戻る。
【0032】
ステップ135(S135)において、物品決定部520は、貸主の携帯端末3から、貸主が提供物品の選択を終了する操作を行ったか否かを判断する。
契約支援プログラム50は、提供物品の選択を終了する操作が行われた場合に、S145の処理に移行し、提供物品の選択を終了する操作が行われなかった場合に、S140の処理に移行する。
【0033】
ステップ140(S140)において、物品決定部520は、選択を解除する提供物品の物品名を、貸主の携帯端末3から受信すると、受信した物品名の提供物品を選択解除して、この提供物品の価格を、賃貸価格の残額に加算して、賃貸価格の残額を更新する。
契約支援プログラム50は、残額の更新が完了すると、S115の処理に戻る。
【0034】
このように、契約支援プログラム50は、貸主から提示された賃貸借条件に応じて、契約期間における予想売電量を算出し、算出された予想売電量に対応する賃貸価格の範囲内で、貸主に提供する提供物品の組合せを決定する。
【0035】
図8は、契約支援サーバ4による順位公表処理(S20)のフローチャートである。
図8に例示するように、ステップ200(S200)において、契約支援サーバ4の順位決定部550は、順位公表の時期になるまで待機し(S200:No)、順位公表の時期(例えば、月末)になると、S205の処理に移行する(S200:Yes)。
【0036】
ステップ205(S205)において、順位決定部550は、実績特定部530に対して、当月の実績を特定するよう指示する。
実績特定部530は、各貸主の屋根等に設置された太陽光パネル960について、電力会社に送電した当月の電力量を貸主毎に特定し、実績テーブル612に登録する。
【0037】
ステップ210(S210)において、貢献度算出部540は、物品決定部520により決定されたエコ物品について、物品テーブル608(
図6)を参照して、提供されたエコ物品に対応するエコ貢献度を読み出し、読み出されたエコ貢献度の合計に、実績特定部530により特定された当月の発電量を加算して、各貸主の月次貢献度総計を算出し、実績テーブル612に登録する。
【0038】
ステップ215(S215)において、順位決定部550は、更新された実績テーブル612の月次貢献度総計を参照して、貸主の順位を決定する。
ステップ220(S220)において、順位決定部550は、決定された順位を、
図2に例示するエコ貢献度ランキング表にしてウェブサイトにアップロードする。
【0039】
このように、契約支援サーバ4は、各貸主のエコ貢献度を公表して、屋根等の貸出による環境活動を発信する。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の契約支援システム1は、貸主が提示した賃貸借契約条件に基づいて、契約期間における予想売電量を算出し、算出された予想売電量に基づいて賃貸価格を決定し、決定された賃貸価格の範囲内で、賃貸の対価として提供される提供物品(エコ物品)を決定する。これにより、複雑な変動因子が含まれた屋根等の賃貸借に関して、迅速かつ簡易に契約条件を決定することができる。
また、契約支援システム1は、賃貸した屋根等で発電された電力量と、借主から提供されたエコ物品とに基づいて、二酸化炭素排出量の削減に関する貢献度を貸主毎に算出し、算出された貢献度に基づいて、貸主のランキングを定期的に公表する。これにより、屋根等の賃貸借契約が地球環境保護に貢献していることを外部に発信できる。
【0041】
なお、上記実施形態では、契約支援サーバ4を含むクライアントサーバシステムを具体例として説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、タブレット端末などのコンピュータ装置に、契約支援プログラム50等をインストールして、このコンピュータ装置を用いて、貸主の面前で契約条件設定処理を実行してもよい。
また、物品決定部520は、予想売電量算出部510により算出された予想売電量と、貸主に提供する提供物品の価格と、太陽光パネル等の設置費用とに基づいて、賃貸借契約期間における借主の収支を算出し、算出された借主の収支を借主の携帯端末3に表示させてもよい。より具体的には、物品決定部520は、予想売電量算出部510により算出された予想売電量、貸主に提供する提供物品の価格、太陽光パネルの設置費用、太陽光パネルに対する保険料、太陽光パネルのメンテナンス費用、及び初期投資に対する利息に基づいて、賃貸借契約期間における借主の収支を算出する。
また、実績特定部530は、各太陽光パネル960による発電量に基づいて、太陽光パネルに発生した異常を検知し、借主等の携帯端末3に通知してもよい。具体的には、実績特定部530は、太陽光パネルによる発電量の変化(発電量の減少率が基準を超える場合など)、又は、同一地域に存在する他の太陽光パネルの発電量との比較に基づいて、太陽光パネルの異常を検知し、太陽光パネルのメンテナンスを行うよう警告する。
また、貢献度算出部540は、借主毎に貢献度を算出し、順位決定部550は、各借主の貢献度に基づいて、貸主の順位を決定し、公表してもよい。具体的には、貢献度算出部540は、各借主と契約した借主の貢献度を合算し、この合算値を借主の貢献度とし、順位決定部550は、各借主の貢献度(合算値)に基づいて、借主の順位を決定する。本ビジネススキームをフランチャイズ展開する場合などに、フランチャイジー(すなわち、借主)の成績又は環境貢献度が公表されるため好適である。