特許第6134959号(P6134959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日東工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6134959-配線用遮断器 図000002
  • 特許6134959-配線用遮断器 図000003
  • 特許6134959-配線用遮断器 図000004
  • 特許6134959-配線用遮断器 図000005
  • 特許6134959-配線用遮断器 図000006
  • 特許6134959-配線用遮断器 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134959
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】配線用遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/28 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   H01H73/28 A
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-172476(P2013-172476)
(22)【出願日】2013年8月22日
(65)【公開番号】特開2015-41534(P2015-41534A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】伊東 雄一
(72)【発明者】
【氏名】川畑 拓也
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−299000(JP,A)
【文献】 特開2006−236874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 73/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接点を開閉するための開閉機構を備えた配線用遮断器であって、
前記開閉機構は、線材を折り曲げて軸部を形成したピンと、このピンに連結される軸受部材とを含むものであり、
該軸受部材は、前記軸部が挿通される孔部が両腕部にそれぞれ形成された断面が略コ字状の連結部を備え、
前記孔部のうち、前記ピンの折り曲げによって内側に生ずる曲げ膨れ部を内包する側の孔部の径を他方の孔部の径よりも拡大したことを特徴とする配線用遮断器。
【請求項2】
前記ピンの軸部の外側位置を揃えて、前記孔部をそれぞれ形成したことを特徴とする請求項1に記載の配線用遮断器。
【請求項3】
接点を開閉するための開閉機構を備えた配線用遮断器であって、
前記開閉機構は、線材を折り曲げて軸部を形成したピンと、このピンに連結される軸受部材とを含むものであり、
該軸受部材は、前記軸部が挿通される孔部が両腕部にそれぞれ形成された断面が略コ字状の連結部を備え、
前記孔部は、前記ピンの折り曲げによって内側に生ずる曲げ膨れ部を内包する側の孔部を傾斜させることにより、他方の孔部の径よりも拡大したことを特徴とする配線用遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線材を折り曲げて軸部を形成したピンと、このピンの軸部を挿通する軸受部材とを介して、クロスバを押圧して開閉動作を行う開閉機構を備えた配線用遮断器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配線用遮断器の開閉機構として、特許文献1のように、接点の開閉作業を行うハンドルと、このハンドル操作と連動して動作する軸受部材との間を、線材の端部を折り曲げて軸部を形成した略コ字状のピンによって連結した技術が開示されている。
【0003】
しかしながら、前記ピンの端部を略コ字状に折り曲げて、図6のように軸部101を形成した際には、折り曲げ部102の内側には曲げ膨れ部103が発生するため、軸受部材104を曲げ膨れ部103に係るまで挿入した場合には、曲げ膨れ部103に軸受部材104が引っ掛かり、軸受部材104のピン105に対する回動を阻害することがある。これを回避するためには、軸受部材と曲げ膨れ部との距離間を大きくすればよいが、製品の横幅が大きくなってしまう。また、横幅を抑えるために、ピンの横幅方向に潰し部を形成する構造とすることもできるが、加工コストがかかってしまう。さらに、軸受部材と曲げ膨れ部との間に薄板を設けて引っ掛かりを防止する構造では、部品点数が増え、同様にコスト高となる点が問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−236874
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は前記した従来の問題点を解決し、部品点数、加工数、および製品の横幅を増やすことなく、軸受部材をピンに対してスムーズに回動させることができる配線用遮断器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明は、接点を開閉するための開閉機構を備えた配線用遮断器であって、前記開閉機構は、線材を折り曲げて軸部を形成したピンと、このピンに連結される軸受部材とを含むものであり、該軸受部材は、前記軸部が挿通される孔部が両腕部にそれぞれ形成された断面が略コ字状の連結部を備え、前記孔部のうち、前記ピンの折り曲げによって内側に生ずる曲げ膨れ部を内包する側の孔部の径を他方の孔部の径よりも拡大したことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の配線用遮断器において、前記ピンの軸部の外側位置を揃えて、前記孔部をそれぞれ形成したことを特徴とするものである。
【0008】
請求項3記載の発明は、接点を開閉するための開閉機構を備えた配線用遮断器であって、前記開閉機構は、線材を折り曲げて軸部を形成したピンと、このピンに連結される軸受部材とを含むものであり、該軸受部材は、前記軸部が挿通される孔部が両腕部にそれぞれ形成された断面が略コ字状の連結部を備え、前記孔部は、前記ピンの折り曲げによって内側に生ずる曲げ膨れ部を内包する側の孔部を傾斜させることにより、他方の孔部の径よりも拡大したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る配線用遮断器は、軸受部材に、軸部が挿通される孔部を両腕部にそれぞれ形成した断面が略コ字状の連結部を備え、前記孔部のうち、ピンの折り曲げによって内側に生ずる曲げ膨れ部を内包する側の孔部の径を他方の孔部の径よりも拡大した。これにより、ピンと軸受部材とを連結した際、部品点数や加工数、さらに製品の横幅等を増やすことなく、軸受部材をピンに対してスムーズに回動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態の開閉機構を示すオン状態の正面図である。
図2】本発明の実施形態の開閉機構を示すオフ状態の正面図である。
図3】本発明の実施形態のラッチとピンを示す図である。
図4】本発明の実施形態のラッチにピンを挿入した際の拡大図である。
図5】本発明のその他の実施形態を示す拡大図である。
図6】従来の軸受部材にピンを挿入した際の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1において、配電用遮断器は、端子部1と、接点の開閉を行う可動接触子2および固定接触子3と、可動接触子2を駆動する開閉機構と、過電流が流れた際に接点の引き外しを行う遮断機構部としてのトリガー4とからなる。前記開閉機構は、オン、オフを切り替えるハンドル5と、ハンドル5に連結されたピン6と、ピン6に連結された軸受部材としてのラッチ7と、ラッチ7の下方に位置するクロスバ8とからなるものである。
【0012】
ハンドル5には、ハンドル5の軸から斜め下方に延びる延設部9が形成されており、その先端にはハンドル連結孔部10が形成されている。ピン6は、図1および図3のように、ハンドル5とラッチ7とを連結するための部材であり、金属製の線材の端部を略コ字状に折り曲げて軸部18としたものであり、上端がハンドル連結孔部10に枢着され、下端がラッチ連結孔部11に枢着されるものである。またラッチ7は、金属製であり、図1および図3のように、ピン6と連結するための断面が略コ字状の連結部12を備えている。さらに、ラッチ7の下方にはクロスバ8が位置し、クロスバ8の下方には可動接触子2が位置している。
【0013】
前記ピン6は、図3のように断面が略コ字状に折り曲げ形成されるため、折り曲げ部17の内側には曲げ膨れ部13が形成されることとなる。このピン6に連結されたラッチ7は、図3のように断面が略コ字状に形成された連結部12を備えており、その両腕部にはそれぞれピン6の軸部18を挿通するラッチ連結孔部11が形成されている。さらに、ピン6の曲げ膨れ部13の全体もしくは一部を内包する側のラッチ連結孔部11の外径を、他方のラッチ連結孔部11の外径に対して大きくなるよう形成するものとした。これにより、部品点数や加工数、さらに製品の横幅等を増やすことなく、ラッチ7のピン6に対する回動をスムーズなものとすることができる。また、他方のラッチ連結孔部11を拡大しないことにより、ピン6とラッチ7とのがたつきを最小限に抑えることができる。
【0014】
なお、図4のように、ピン6の軸部18の外側位置を揃えて、ラッチ連結孔部11をそれぞれ形成することがより好ましい。
【0015】
その他の実施形態として、ピン6の曲げ膨れ部13を内包する側のラッチ連結孔部11を、ピン6の軸部18が挿入される開口側に向かってラッチ連結孔部11の径が拡大するように傾斜させることによって、他方のラッチ連結孔部11の径よりも拡大した傾斜部14を備えるものとしてもよい。なお、傾斜部14は少なくともラッチ連結孔部11の上部にあればよい。またその他にも、ラッチ連結孔部11は、ラッチ7にピン6の軸部18を挿通した際に、曲げ膨れ部13がラッチ7の回動を妨げない形状であればよい。
【0016】
以上のように構成された配線用遮断器において、接点の閉極の際には、ハンドル5の動作によってピン6が下方に移動し、ラッチ連結孔部11がピン6に対して回転しながら、下方に移動する。これによってラッチ7の下方に位置するクロスバ8が下方に押圧され、さらにクロスバ8が可動接触子を下方に押圧することとなり、可動接触子2の可動接点15と、固定接触子3の固定接点16とが接触することで図1に示すオン状態となる。
【0017】
接点の開極の際には、ハンドル5の動作によってピン6が上方に移動し、ラッチ連結孔部11がピン6に対して回転しながら、上方に移動することによって、ラッチ7の下方に位置するクロスバ8への押圧が解除されクロスバ8が上昇し、可動接触子2の可動接点15と、固定接触子3の固定接点16とが解離し、図2に示すオフ状態となる。
【0018】
また、ラッチ7には遮断機構部としてのトリガー4が係止されており、過電流が生じてトリガー4が作動すると、ラッチ7とトリガー4との係止が解除され、常時開方向に付勢されたクロスバ8の押圧が解除され、可動接触子2の可動接点15と、固定接触子3の固定接点16とが解離するものとした。
【0019】
なお、ラッチ7は開閉機構内でピン6と回動可能に連結するものであれば、本実施形態の位置および機能に限定されることはなく、またラッチ7にはトリガー4に係止される箇所を含まずに、別部材とした構造であってもよい。また、本実施形態においてはピン6の一端がハンドル5と連結しているが、これに限定されず、その他開閉機構に回動可能に連結される構造や、ピン6の他端のみが開閉機構に回転可能に連結される構造にも、本発明を適用することができるものとする。
【符号の説明】
【0020】
1 端子部
2 可動接触子
3 固定接触子
4 トリガー
5 ハンドル
6 ピン
7 ラッチ
8 クロスバ
9 延設部
10 ハンドル連結孔部
11 ラッチ連結孔部
12 連結部
13 曲げ膨れ部
14 傾斜部
15 可動接点
16 固定接点
17 折り曲げ部
18 軸部
101 軸部
102 折り曲げ部
103 曲げ膨れ部
104 軸受部材
105 ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6