特許第6134968号(P6134968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134968
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20170522BHJP
   G09F 9/40 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   G06F3/041 430
   G06F3/041 490
   G06F3/041 550
   G09F9/40 301
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-148972(P2013-148972)
(22)【出願日】2013年7月17日
(65)【公開番号】特開2015-22447(P2015-22447A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143085
【弁理士】
【氏名又は名称】藤飯 章弘
(72)【発明者】
【氏名】鴻野 勝正
【審査官】 野村 和史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/132846(WO,A1)
【文献】 特開2012−079194(JP,A)
【文献】 特開2010−020053(JP,A)
【文献】 特表2008−545164(JP,A)
【文献】 特開2013−008102(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/036675(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/041−3/047
G09F9/00−9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ本体及び前記ディスプレイ本体の表示面上に配置されるタッチパネルを有するタッチパネル付きディスプレイを複数台隣接配置することにより構成される表示装置であって、
前記各タッチパネルは、透明基板と、前記透明基板上に形成される複数のタッチ電極部と、前記各タッチ電極部に電気的に接続し、前記透明基板の少なくとも一の側縁に向けて引き出される複数の引き出し配線とを備え、
折り曲げ部にて折り曲げることにより形成された隣り合う前記一の側縁を含む第1の面、及び、前記一の側縁を含まない第2の面のうち、前記第1の面は、前記ディスプレイ本体の側面に沿って配置されており、
前記各タッチ電極部は、前記第2の面の面内領域に形成されており、
前記各引き出し配線は、前記折り曲げ部を跨ぐように形成されており、
前記折り曲げ部に対応する位置に形成される前記引き出し配線の一部分は、前記引き出し配線の他の部分と異なる導電性材料により形成されている表示装置。
【請求項2】
ディスプレイ本体及び前記ディスプレイ本体の表示面上に配置されるタッチパネルを有するタッチパネル付きディスプレイを複数台隣接配置することにより構成される表示装置であって、
前記各タッチパネルは、透明基板と、前記透明基板上に形成される複数のタッチ電極部と、前記各タッチ電極部に電気的に接続し、前記透明基板の少なくとも一の側縁に向けて引き出される複数の引き出し配線とを備え、
折り曲げ部にて折り曲げることにより形成された隣り合う前記一の側縁を含む第1の面、及び、前記一の側縁を含まない第2の面のうち、前記第1の面は、前記ディスプレイ本体の側面に沿って配置されており、
前記複数のタッチ電極部の少なくとも一部は、前記折り曲げ部を跨ぐように形成されており、前記折り曲げ部に対応する位置に形成される前記タッチ電極部の一部分は、前記タッチ電極部の他の部分と異なる導電性材料により形成されている表示装置。
【請求項3】
前記複数のタッチパネル付きディスプレイにおいて、前記各タッチパネルの前記第1の面は、前記各ディスプレイ本体に対して、同一方向側の側面に沿って配置されている請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記引き出し配線の前記一部分は、導電性高分子、金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ、及び、グラフェンから構成される一群から選択される材料から形成されている請求項1から3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記各タッチ電極部および前記各引き出し配線は金属薄膜で形成されており、かつ前記タッチ電極部の少なくとも一部が網目状である請求項1から4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記折り曲げ部は、前記一の側縁に対して略平行となるように形成されている請求項1から5いずれかに記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、特に、タッチパネル付きディスプレイを複数台隣接配置することにより構成される表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行端末(キャッシュディスペンサー)、券売機、パソコン、OA機器、電子手帳、PDA、携帯電話等のディスプレイにタッチパネルを取り付けたタッチパネル付きディスプレイが知られている。タッチパネルは画面表示を邪魔せずに、どこをタッチしたかを検出するセンサであり、いろいろな方式が考案され、実用化されている。
【0003】
代表的なタッチパネルは、それぞれ所定のパターン形状を有する複数のタッチ電極部を備えた一対の基板を重ね合わせることにより構成されている。また、タッチパネルにおいては、各基板に形成される複数のタッチ電極部の端部のそれぞれに、一方端が接続する引き出し配線が基板の周縁部に形成されており、図12のタッチパネル分解斜視図に示すように、これら各引き出し配線の他方端101,102は、各基板の側縁103,104の所定個所に一纏まりとなるように配置されている。また、一纏まりに配置される引き出し配線の各他方端101,102には、フレキシブル配線板の端子が電気的に接続されており、タッチ信号を外部のタッチ位置判別用回路に導いてタッチ位置を検出できるように構成されている。
【0004】
また、近年、図13に示すように、複数のディスプレイ105を隣接配置することによって単一の大型ディスプレイを構成し、このような大型ディスプレイの表示面側に単一のタッチパネル106を配置して、タッチ位置を検出可能な表示装置107が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−159955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示の表示装置は、複数のディスプレイによって構成される画面全体に対して単一のタッチパネルを配置する構成であるため、画面全体の大型化を図る場合、必然的にその画面サイズに対応した大型のタッチパネルが必要となり、製造コストが高いという問題があった。また、タッチパネルの大型化にも限界があることから、ディスプレイの数を増やして表示装置の更なる大型化を図ろうとしても、当該表示装置の画面に対応するタッチパネルを製造することが実質的に困難になってしまい、特許文献1に開示の表示装置の大型化にも限界があるという問題があった。
【0007】
また、従来からあるタッチパネル付きディスプレイを複数台連結して、タッチ位置検出可能な大型の表示装置を構成することも考えられるが、各タッチパネルの側縁近傍にはフレキシブル配線板を接続するための所定領域が存在すると共に、当該領域に接続するフレキシブル配線板が存在するため、表示画面の見栄えが損なわれるという問題があった。このような問題の解決策の一つとして、フレキシブル配線板を小型化すると共に、フレキシブル配線板が接続されるタッチパネルの所定領域(タッチパネルの側縁の領域)を狭く構成する試みも検討されているが、フレキシブル配線板の小型化には限界があり、また、フレキシブル配線板が接続されるタッチパネルの所定領域を完全になくすことは実質的に不可能であることから、表示画面の見栄え向上にも限界がある。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、複数のタッチパネル付きディスプレイを隣接配置して構成されるタッチ位置検出可能な表示装置であって、安価に製造することができ、かつ、表示画面の見栄えが良好な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、ディスプレイ本体及び前記ディスプレイ本体の表示面上に配置されるタッチパネルを有するタッチパネル付きディスプレイを複数台隣接配置することにより構成される表示装置であって、前記各タッチパネルは、透明基板と、前記透明基板上に形成される複数のタッチ電極部と、前記各タッチ電極部に電気的に接続し、前記透明基板の少なくとも一の側縁に向けて引き出される複数の引き出し配線とを備え、折り曲げ部にて折り曲げることにより形成された隣り合う前記一の側縁を含む第1の面、及び、前記一の側縁を含まない第2の面のうち、前記第1の面は、前記ディスプレイ本体の側面に沿って配置されており、前記各タッチ電極部は、前記第2の面の面内領域に形成されており、前記各引き出し配線は、前記折り曲げ部を跨ぐように形成されており、前記折り曲げ部に対応する位置に形成される前記引き出し配線の一部分は、前記引き出し配線の他の部分と異なる導電性材料により形成されている表示装置により達成される。
【0010】
また、本発明の上記目的は、ディスプレイ本体及び前記ディスプレイ本体の表示面上に配置されるタッチパネルを有するタッチパネル付きディスプレイを複数台隣接配置することにより構成される表示装置であって、前記各タッチパネルは、透明基板と、前記透明基板上に形成される複数のタッチ電極部と、前記各タッチ電極部に電気的に接続し、前記透明基板の少なくとも一の側縁に向けて引き出される複数の引き出し配線とを備え、折り曲げ部にて折り曲げることにより形成された隣り合う前記一の側縁を含む第1の面、及び、前記一の側縁を含まない第2の面のうち、前記第1の面は、前記ディスプレイ本体の側面に沿って配置されており、前記複数のタッチ電極部の少なくとも一部は、前記折り曲げ部を跨ぐように形成されており、前記折り曲げ部に対応する位置に形成される前記タッチ電極部の一部分は、前記タッチ電極部の他の部分と異なる導電性材料により形成されている表示装置により達成される。
【0011】
また、前記複数のタッチパネル付きディスプレイにおいて、前記各タッチパネルの前記第1の面は、前記各ディスプレイ本体に対して、同一方向側の側面に沿って配置されていることが好ましい。
【0012】
また、前記引き出し配線の前記一部分は、導電性高分子、金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ、及び、グラフェンから構成される一群から選択される材料から形成されていることが好ましい。
【0013】
また、前記各タッチ電極部および前記各引き出し配線は金属薄膜で形成されており、かつ前記タッチ電極部の少なくとも一部が網目状であることが好ましい。
【0014】
また、前記折り曲げ部は、前記一の側縁に対して略平行となるように形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数のタッチパネル付きディスプレイを隣接配置して構成されるタッチ位置検出可能な表示装置であって、安価に製造することができ、かつ、表示画面の見栄えが良好な表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の概略構成正面図である。
図2図1のA−A断面線における要部拡大概略断面図である。
図3】タッチパネルが備える第1透明面状体及び第2透明面状体の概略構成平面図である。
図4】タッチパネルの概略構成断面図である。
図5】タッチパネルが備える第1透明面状体及び第2透明面状体の変形例を示す概略構成平面図である。
図6】タッチパネルの要部拡大平面図である。
図7】タッチパネルの変形例を示す概略構成平面図である。
図8】タッチパネルの変形例を示す概略構成平面図である。
図9】本発明に係る表示装置の変形例を示す概略構成断面図である。
図10】タッチパネルにおけるタッチ電極部の変形例を示す概略構成平面図である。
図11】タッチパネルにおける折り曲げ部形成位置の変形例を示す概略構成平面図である。
図12】従来のタッチパネルの構成を説明するための説明図である。
図13】複数のディスプレイを隣接配置して大型ディスプレイを構成しつつ、タッチ位置検出可能に構成された従来の表示装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実態形態にかかるタッチ位置検出可能な表示装置1について添付図面を参照して説明する。尚、各図面は、構成の理解を容易にするため、実寸比ではなく部分的に拡大又は縮小されている。図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置1の概略構成正面図であり、図2は、図1のA−A断面線における要部拡大概略断面図である。本発明の一実施形態に係る表示装置1は、タッチパネル付きディスプレイ2を複数台隣接配置することにより構成される表示装置1である。図1においては、上下方向及び左右方向にそれぞれ5台ずつ(計25台)のタッチパネル付きディスプレイ2をその側面が互いに接するように組み合わせることにより構成している。また、複数のタッチパネル付きディスプレイ2は、それぞれの画像表示面によって略フラットな平面を構成するように配置されている。なお、表示装置1は、タッチパネル付きディスプレイ2毎に異なる映像を表示するように構成してもよく、或いは、複数のタッチパネル付きディスプレイ2により形成される画像表示面全体で一つの映像を表示できるように構成してもよい。或いは、複数のタッチパネル付きディスプレイ2により形成される画像表示面全体を任意の領域に分割し、各分割された表示領域毎に、異なる映像を表示するように構成してもよい。更に、別途設けられる表示切替手段によって、タッチパネル付きディスプレイ2毎の異なる映像表示と、複数のタッチパネル付きディスプレイ2により形成される画像表示面全体での映像表示等とを切り替えることができるように構成してもよい。
【0020】
表示装置1を構成する各タッチパネル付きディスプレイ2は、図2の断面図に示すように、ディスプレイ本体3及び当該ディスプレイ本体3の表示面31上に配置されるタッチパネル4を有している。タッチパネル4は、粘着材等を介して、ディスプレイ本体3の表示面31上に貼着されている。また、タッチパネル4は、その一部分で折り曲げられ、当該タッチパネル4の一の側縁T1を含む面41が、ディスプレイ本体3の側面32に沿って配置されるように構成されている。また、一の側縁T1を含む面41には、後述するタッチ電極部が検出するタッチ信号を外部に配置されるタッチ位置判別回路(図示せず)へと伝達するフレキシブル配線板7が接続されている。なお、このフレキシブル配線板7は、ディスプレイ本体3の裏側に向けて引き出されている。
【0021】
ディスプレイ本体3は、表示面31において映像等を表示する装置であり、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等種々のディスプレイを採用することができる。また、ディスプレイ本体3としては、それ自体が可撓性を有し、湾曲可能に構成されるものを採用することもできる。また、ディスプレイ本体3の表示面31としては、平面状、或いは、湾曲面状等種々の面形状の形態のものを採用することができる。なお、本発明は、複数のディスプレイの画像表示面31を組み合わせて大型の表示画面を構成するものであることから、ディスプレイ本体3の画像表示面の周囲を取り囲むベゼル幅(縁幅)が狭いものを用いることが好ましい。
【0022】
タッチパネル4は、上述のように、一の側縁T1を含む面41を折り曲げて、当該面をディスプレイ本体3の側面32に沿って配置されるように構成されているが、タッチパネル4の構成の理解を容易ならしめるために、以下、折り曲げられる前段階のタッチパネル4について、その構成を説明する。タッチパネル4は、静電容量式のタッチパネル4であり、第1透明面状体5と第2透明面状体6とを備えている。図3(a)の平面図に示すように、第1透明面状体5は、透明基板51と、当該透明基板51上にパターニングされて形成される複数のタッチ電極部52と、当該透明基板51上に形成される複数の引き出し配線53とを備えている。各引き出し配線53は、各タッチ電極部52に電気的に接続し、透明基板51の一の側縁51aに向けて引き出されている。
【0023】
同様に、第2透明面状体6は、図3(b)の平面図に示すように、透明基板61と、当該透明基板61上にパターニングされて形成されるタッチ電極部62と、当該透明基板61上に形成される複数の引き出し配線63とを備えている。各引き出し配線63は、各タッチ電極部62に電気的に接続し、透明基板61の一の側縁61aに向けて引き出されている。
【0024】
第1透明面状体5と第2透明面状体6とは、図4(a)に示すように、第1透明面状体5の透明基板51の裏面側(タッチ電極部52が形成されていない面側)と第2透明面状体6のタッチ電極部62とが互いに対向するようにして、粘着層7を介して貼着されている。なお、図4(b)に示すように、第1透明面状体5と第2透明面状体6とを、それぞれのタッチ電極部52,62が対向する向きとなるようにして貼着してもよく、或いは、図4(c)に示すように、第1透明面状体5のタッチ電極部52と第2透明面状体6の透明基板61の裏面側(タッチ電極部62が形成されていない面側)とが互いに対向するようにして貼着してもよい。
【0025】
透明基板51,61は、高い誘電率を有し、透明性が高い材料からなることが好ましく、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリアクリル(PAC)、アクリル、非晶質ポリオリフィン系樹脂、環状ポリオリフィン系樹脂、脂肪族環状ポリオレフィン、ノルボルネン系の熱可塑性透明樹脂などの可撓性フィルムやこれら2種以上の積層体などを挙げることができる。透明基板51,61の厚みは、20〜500μm程度が好ましい。また、透明基板51,61の片面又は両面には、ペンや指が前記表面に接触することがある場合には、透明性、耐擦傷性、耐摩耗性、ノングレア性等向上のため、ハードコート加工を施してもよい。
【0026】
また、透明基板51,61を形成する場合、予め、タッチ電極部52,62が形成される面側に透明性や密着性等を向上させる為のアンダーコート層を設けるようにして構成してもよい。アンダーコート層の材料としては、酸化珪素、酸化チタン、酸化錫などの金属酸化物を例示することできる。このような金属酸化物からなる薄膜層を、スパッタリング法、抵抗蒸着法、或いは、電子ビーム蒸着法などにより、透明基板51,61の表面に形成することによってアンダーコート層を構成することができる。また、アンダーコート層は、光屈折率が異なる2以上の薄膜層を積層することにより構成することもできる。特に、特開2010-208169等に記載されるようなインデックスマッチング機能を有するアンダーコート層とした場合、透明導電膜のある部分(タッチ電極部52,62)と無い部分との光学特性の差が小さくなるため、タッチパネル4の視認性が改善される。
【0027】
各タッチ電極部52,62は、図3(a)及び図3(b)の平面図に示すように、互いに平行に延びる矩形の帯状形状として形成されており、帯状の各タッチ電極部52,62は、第1透明面状体5及び第2透明面状体6を重ね合わせた場合に、互いに直交するように配置されている。
【0028】
タッチ電極部52,62のパターン形状は、指などの接触ポイントを検出可能である限り、任意の形状とすることが可能である。例えば、図5(a)及び図5(b)の平面図に示すように、タッチ電極部52,62を、複数の菱形が直線状に連結された菱形連結帯状形状として構成し、第1透明面状体5及び第2透明面状体6を重ね合わせた場合に、各タッチ電極部52,62の長手方向が互いに直交し、且つ、平面視において上下の菱形電極体52a,62aが重なり合わないように配置してもよい。なお、タッチパネル4の分解能などの動作性能については、第1透明面状体5と第2透明面状体6とを重ね合わせた場合に、タッチ電極部52,62が存在しない領域を少なくする構成を採用する方が優れている。このような観点から、タッチ電極部52,62のパターン形状として、図3に示す矩形の帯状形状よりも、複数の菱形が直線状に連結された菱形連結帯状形状の方が望ましい。
【0029】
タッチ電極部52,62は、透明性が高い材料からなることが好ましく、具体的には、インジウム錫酸化物(ITO:Indium
Tin
Oxide)、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、カリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛や、酸化亜鉛−酸化錫系、酸化インジウム−酸化錫系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系、酸化亜鉛、スズ酸化膜等の透明導電材料、或いは、スズ、銅、アルミニウム、ニッケル、クロムなどの金属材料、金属酸化物材料を例示することができ、これら2種以上を複合して形成してもよい。また、金属単体でも導電材料として使用できる。
【0030】
また、カーボンナノチューブやカーボンナノホーン、カーボンナノワイヤ、カーボンナノファイバー、グラファイトフィブリルなどの極細導電炭素繊維や銀素材からなる極細導電繊維をバインダーとして機能するポリマー材料に分散させた複合材をタッチ電極部52,62の材料として用いることもできる。ここでポリマー材料としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリp−フェニレン、ポリ複素環ビニレン、PEDOT:poly(3,4-ethylenedioxythiophene)などの導電性ポリマーを採用することができる。なお、このような導電性ポリマー単体でタッチ電極部52,62を形成してもよい。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、アクリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、脂肪族環状ポリオレフィン、ノルボルネン系の熱可塑性透明樹脂などの非導電性ポリマーを採用することができる。
【0031】
タッチ電極部52,62の形成方法は、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などのPVD法や、CVD法、塗工法、印刷法などを例示することができる。またタッチ電極部52,62の厚みは、例えばスパッタリング法でITO膜を成膜する場合は、60nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。なお、膜厚が5nm以下では連続した膜になり難く、安定な導電層を形成することは困難である。
【0032】
タッチ電極部52,62のパターニングは、透明基板51,61上にそれぞれ形成された導電層の表面に、所望のパターン形状を有するマスク部を形成して露出部分を酸液などでエッチング除去した後、アルカリ液などによりマスク部を溶解させて行うことができる。
【0033】
タッチ電極部52,62に電気的に接続する引き出し配線53,63は、タッチ電極部52,62がそれぞれ検出したタッチ信号を、フレキシブル配線板7を介して、外部に配置されるタッチ位置判別用回路(図示せず)に導くためのものである。なお、本実施形態においては、タッチパネル付きディスプレイ2毎に個別のタッチ位置判別用回路を接続する構成を採用している。
【0034】
図3(a)の平面図に示すように、各引き出し配線53の一方端53aは、各タッチ電極部53の端部に個別に接続し、他方端53bは、透明基板51の一の側縁51a近傍に配置されている。透明基板51の一の側縁51a近傍に配置される各引き出し配線53の他方端53bは、所定間隔をあけて一纏まりに集積され、第1配線集積部54を形成している。
【0035】
同様に、図3(b)の平面図に示すように、第2透明面状体6における各引き出し配線63の一方端63aは、各タッチ電極部62の端部に個別に接続し、他方端63bは、透明基板61の一の側縁61a近傍に配置されている。各引き出し配線63は、その一方端63aを起点として透明基板61の周縁に沿うように引き回され、透明基板61の一の側縁61a近傍に導かれるように構成されている。透明基板61の一の側縁61a近傍に配置される各引き出し配線63の他方端63bは、所定間隔をあけて一纏まりに集積され、第2配線集積部64を形成している。
【0036】
これら第1配線集積部54及び第2配線集積部64は、第1透明面状体5と第2透明面状体6とを重ね合わせてタッチパネル40を形成する際に、図6の要部拡大平面図に示すように、当該タッチパネル4の平面視において、タッチパネル4の同一の一の側縁T1近傍にて、互いに隣接して配置されるように構成されている。これら第1配線集積部54及び第2配線集積部64には、フレキシブル配線板(図示せず)の端子が電気的に接続され、タッチ電極部52,62がそれぞれ検出したタッチ信号が、外部に配置されるタッチ位置判別用回路(図示せず)に導かれる。
【0037】
引き出し配線53,63の形成方法としては、種々の方法を採用することができる。例えば、(A)銀などの金属の導電性粒子を含む導電性ペーストを透明基板51,61上にスクリーン印刷する方法、(B)銅などの金属箔を透明基板51,61上に積層し、金属箔の上にレジストパターンを形成し、金属箔をエッチングする方法(特開2008−32884等参照)が挙げられる。また、上述のタッチ電極部52,62と同様の材料(インジウム錫酸化物(ITO))を用いて、スパッタリング法等により引き出し配線53,63を形成してもよい。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリp−フェニレン、ポリ複素環ビニレン、PEDOT:poly(3,4-ethylenedioxythiophene)などの導電性ポリマー(導電性高分子)を印刷することにより引き出し配線53,63を形成してもよい。
【0038】
上記(A)の形成方法における導電性粒子としては、銀を主成分とする微粒子を挙げることができる。また、例えば、金、銀、銅、金と銀の合金、金と銅の合金、銀と銅の合金、金と銀と銅の合金のいずれか一を主成分とする微粒子でもよい。また、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウムに酸化亜鉛を混合した導電性酸化物(IZO[indium
zinc oxide])、または酸化インジウムに酸化珪素を混合した導電性酸化物(ITSO)を主成分とする微粒子でもよい。また、導電性粒子としては、銀などの金属ナノワイヤーや、カーボンナノチューブ、グラフェン等の微粒子を使用してもよい。
【0039】
本発明に係る表示装置1が備える各タッチパネル付きディスプレイ2は、以上の構成を備えるタッチパネル4の一部を折り曲げることにより、フレキシブル配線板7が接続されるタッチパネル4の一の側縁T1を含む面をディスプレイ本体3の側面32に沿って配置するように構成されている。より具体的には、図6の平面図において鎖線で示すように、タッチパネル4の一の側縁T1と略平行な仮想ラインLを折り曲げ部45とし、この折り曲げ部45にてタッチパネル4を折り曲げることにより、隣り合う一の側縁T1を含む第1の面41、及び、当該一の側縁T1を含まない第2の面42を形成し、図2に示すように、第1の面41をディスプレイ本体3の側面32に沿って配置し、第2の面42をディスプレイ本体3の画像表示面31に重ねて配置して、タッチパネル付きディスプレイ2を構成している。本実施形態に係る表示装置1においては、タッチパネル4における第2の面42の面内領域にタッチ電極部52,62が配置されるように形成され、各引き出し配線53,63は、折り曲げ部45を跨ぐように形成されている。また、複数のタッチパネル付きディスプレイ2において、各タッチパネル4の第1の面41は、互いに隣接配置される各ディスプレイ本体3に対して、同一方向側の側面32に沿って配置されるように構成されている。また、タッチパネル4における一の側縁T1に対して垂直なタッチパネル4の二つの側縁T2,T3近傍においてタッチ電極部52,62が形成されていない領域や、タッチパネル4における一の側縁T1に対向する側縁T4近傍においてタッチ電極部52,62が形成されていない領域は、ディスプレイ本体3の画像表示面の周囲を取り囲むベゼルに重なるように配置することが好ましい。
【0040】
なお、タッチパネル4における一の側縁T1に対して垂直なタッチパネル4の側縁T2近傍において、引き出し配線63が形成されている領域の幅が、ディスプレイ本体3の画像表示面の周囲を取り囲むベゼルの幅よりも大きくなる場合には、図7の平面図に示される第2の折り曲げ部46にて、当該側縁T2を含む面(第3の面43:引き出し配線63が形成されている領域)を折り曲げてディスプレイ本体3の側面に沿って配置するように構成してもよい。
【0041】
タッチパネル4を折り曲げ部45により折り曲げる手法としては、例えば、折り曲げ部45に対応する位置を、棒状の加熱器具によって線状に加熱押圧しながら第1の面41を屈曲させる手法を挙げることができる。このような手法によれば、簡便にかつタッチパネル4を損傷させることなく折り曲げることができる。また、予め、折り曲げ部45に対応する透明基板51,61の表面部分にハーフカット加工、又は、ミシン目加工を施すことにより、折り曲げ部45を形成しておき、タッチパネル4の第1の面41を折り曲げてもよい。なお、ハーフカット加工やミシン目加工により折り曲げ部45を形成する場合、形成されるハーフカットライン(ハーフカットによる溝)やミシン目ラインを複数本互いに略平行となるように形成してもよい。このように互いに平行となる複数本のハーフカットラインやミシン目ラインにより折り曲げ部45を形成することにより、タッチパネル4の第1の面41を折り曲げ部45により折り曲げた場合、折曲部分の折り曲げ形状を滑らかな曲線状にすることができ、当該折曲部分に発生する応力集中を緩和でき、折曲部分を起点としたタッチパネル4の破損を効果的に防止することができる。
【0042】
以上の構成を備える各タッチパネル付きディスプレイ2において、タッチ位置の検出方法は、従来の静電容量式のタッチパネル付きディスプレイ2と同様であり、露出面側のタッチパネル4の表面における任意の位置を指などで触れると、タッチ電極部52,62は、接触位置において人体の静電容量を介して接地され、タッチ電極部52,62を流れる電流値をタッチ位置判別用回路が検出することにより、各タッチパネル付きディスプレイ2の画像表示面上での接触位置の座標が算出される。また、各タッチパネル付きディスプレイ2に接続するタッチ位置判別用回路により検出・算出されたタッチ位置に関する座標データは、コンピュータ等の演算処理装置に入力され、複数のタッチパネル付きディスプレイ2を連結することにより構成される表示装置1の画像表示面での座標系に変換され、表示装置1の画像表示面上でのタッチ位置座標が演算される。なお、タッチパネル付きディスプレイ2毎にタッチ位置判別用回路を接続する構成の代わりに、各タッチパネル付きディスプレイ2におけるタッチパネル4に接続するフレキシブル配線板を直接的に、タッチ位置判別用回路を有するコンピュータ等の演算処理装置に接続し、表示装置1の画像表示面上でのタッチ位置座標を演算するように構成してもよい。
【0043】
本発明に係る上記表示装置1は、当該表示装置1を構成する各タッチパネル付きディスプレイ2が有するタッチパネル4において、フレキシブル配線板7が接続されるタッチパネル4の一の側縁T1を含む面41を、ディスプレイ本体3の側面32に沿って配置するように構成しているため、タッチパネル4におけるフレキシブル配線板7との接続箇所を表示装置1の画像表示面上から排除することが可能となり、表示画面の見栄えを向上させることが可能となる。
【0044】
また、本発明に係る表示装置1は、複数のタッチパネル付きディスプレイ2を複数隣接配置して構成されるものであり、タッチパネル付きディスプレイ2の台数や並べ方を変化させるだけで、簡単に種々の大きさ・形状の画像表示面を有する表示装置1を構成することができる。また、複数のディスプレイによって構成される画面全体に対して単一のタッチパネルを配置する従来の表示装置107の場合、画面サイズに対応した大型のタッチパネル106を必要とするが、本発明の表示装置1の場合には、このような大型のタッチパネル106を必要としないため、低コストで大型画面の表示装置1を製造することが可能となる。
【0045】
また、上述のように、複数のタッチパネル付きディスプレイ2において、各タッチパネル4の第1の面41が、互いに隣接配置される各ディスプレイ本体3に対して、同一方向側の側面に沿って配置されるように構成することにより、同一のタッチ位置座標演算プログラムを有するタッチ位置判別用回路を使用することができ、表示装置1の製造コストや製作に要する作業性を向上させることができる。
【0046】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。上記実施形態においては、各タッチパネル4において、折り曲げ部45に対応する位置に形成される引き出し配線53,63の一部分を、当該引き出し配線53,63の他の部分と異なる導電性材料により形成してもよい。例えば、引き出し配線53,63の一部分を、導電性高分子、銀等の金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ、及び、グラフェンから構成される一群から選択される材料から形成し、引き出し配線53,63の他の部分を、タッチ電極部52,62と同様の材料(インジウム錫酸化物(ITO)等)から形成してもよい。折り曲げ部45に対応する位置に形成される引き出し配線53,63の一部分を、導電性高分子、銀等の金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ、及び、グラフェンといった材料により形成した場合、折り曲げ部45における引き出し配線53,63の剥離や割れ等が発生することを効果的に防止することが可能となり、タッチパネル4の耐久性向上を図ることが可能となる。このように、折り曲げ部45に対応する位置に形成される引き出し配線53,63の一部分を、当該引き出し配線53,63の他の部分と異なる導電性材料により構成する方法としては、例えば、折り曲げ部45に対応する位置に形成される引き出し配線53,63の一部分以外の他の部分について、銀などの金属の導電性粒子を含む導電性ペーストをスクリーン印刷等により印刷して形成した後、導電性高分子、又は、金属ナノワイヤーやカーボンナノチューブ等の導電性粒子を含む導電性ペーストをスクリーン印刷等により印刷して、折り曲げ部45に対応する位置に形成される引き出し配線53,63の一部分を形成する方法を例示できる。
【0047】
また、上記実施形態においては、透明基板51に形成される引き出し配線53の他方端53bの集合として形成される第1配線集積部54と、透明基板61に形成される引き出し配線63の他方端63bの集合として形成される第2配線集積部64とを、タッチパネル4の同一の一の側縁T1にて、互いに隣接して配置されるように構成されているが、このような構成に特に限定されない。例えば、図8に示すように、第1配線集積部54をタッチパネル4の一の側縁T1近傍に配置するように構成し、第2配線集積部64をタッチパネル4の一の側縁T1とは異なる他の側縁T2近傍に配置するように構成し、それぞれ異なるフレキシブル配線板に接続されるように構成してもよい。このような構成を採用する場合、折り曲げ部45によりタッチパネル4を折り曲げて、第1配線集積部54が形成される一の側縁T1を含む面(第1の面41)をディスプレイ本体3の側面32に沿って配置するように構成し、第2の折り曲げ部46によりタッチパネル4を折り曲げて、第2配線集積部64が形成される他の側縁T2を含む面(第3の面)をディスプレイ本体3の他の側面に沿って配置するように構成する。なお、第2の折り曲げ部46によるタッチパネル4の折り曲げを容易にするために、折り曲げ部45及び第2の折り曲げ部46の交点と、当該交点近傍のタッチパネル4の角部とを結ぶラインに沿って切込み48を形成してもよい。
【0048】
また、上記実施形態においては、複数のタッチパネル付きディスプレイ2のそれぞれの画像表示面31によって単一のフラットな平面を構成するように、表示装置1が構成されているが、このような構成に特に限定されず、各タッチパネル付きディスプレイ2の設置角度を段階的に変化させ、図9(a)の概略構成断面図(表示装置1の水平方向断面図に相当)に示すように、表示装置1全体での画像表示面1aが湾曲面を形成するように構成してもよい。或いは、図9(b)の概略構成断面図(表示装置1の水平方向断面図に相当)に示すように、表示装置1全体での画像表示面1aが、角柱状体の周面や、円柱状体の周面を形成するように構成してもよい。
【0049】
また、上記実施形態においては、各タッチパネル付きディスプレイ2のタッチパネル4は、第1透明面状体5及び第2透明面状体6を重ね合わせるようにして構成しているが、例えば、第1透明面状体5或いは第2透明面状体6のいずれか一方を省略して、タッチパネル4を構成してもよい。また、透明基板51の一方面側にタッチ電極部52を形成し、他方面側にタッチ電極部62を形成してタッチパネル4を構成してもよい。また、透明基板51の一方面側に、タッチ電極部52及びタッチ電極部62を形成すると共に、タッチ電極部52及びタッチ電極部62の重なり部分には絶縁層を介在させるようにしてタッチパネル4を構成してもよい。
【0050】
また、上記実施形態においては、各タッチパネル4の構成として、タッチ電極部52(タッチ電極部62)を帯状形状となるように形成しているが、例えば、図10に示すように、タッチ電極部52をアイランド状に形成してもよい。このようにアイランド状にタッチ電極部52を構成する場合、各タッチ電極部52に、引き出し配線53が接続するように構成するため、引き出し配線53の一部は、各タッチ電極部52の間を通過するように配置される。なお、図10に示すように、タッチ電極部52をアイランド状に構成し、各タッチ電極部52に、引き出し配線53がそれぞれ接続するように構成した場合、当該タッチ電極部52を有する第1透明面状体5のみでタッチパネル4としての機能を備える。
【0051】
また、上記実施形態においては、タッチパネル4が有する各タッチ電極部52,62を、ITO膜等の導電膜により構成しているが、例えば、金属線を網目状に配設することにより各タッチ電極部52,62を構成してもよい、網目状の具体例としては、金属線を格子状にした形状を挙げることができる。格子状形状としては、透明基板51,61の各辺に平行となるように金属線を配置して格子状形状を形成してもよく、透明基板51,61の各辺に対して所定角度傾くように金属線を配置して格子状形状を形成してもよい。金属線は、極細線であり、金属線同士は略等間隔に並べられている。金属線の線幅は、3μm〜50μmの範囲とすることが好ましく、特に4μm〜30μmの範囲とすることが好ましい。また、隣接する金属線同士の間隔は、100μm〜1000μmの範囲とすることが好ましい。
【0052】
また、上記実施形態においては、タッチパネル4の折り曲げ部45を挟んだ一方の面(第2の面42)の面内領域に各タッチ電極部52,62が配置されるように構成されているが、このような構成に特に限定されない。例えば、図11に示すように、帯状のタッチ電極部52が、折り曲げ部45を跨ぐように形成し、タッチ電極部52の一部が第1の面41の面内領域に配置されるように構成してもよい。また、このような構成において、折り曲げ部45に対応する位置に形成されるタッチ電極部52の一部分を、タッチ電極部52の他の部分と異なる導電性材料により形成してもよい。例えば、折り曲げ部45に対応する位置に形成されるタッチ電極部52の一部分を、導電性高分子、金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ、及び、グラフェンから構成される一群から選択される材料から形成し、タッチ電極部52の他の部分を、インジウム錫酸化物(ITO)から形成するように構成してもよい。折り曲げ部45に対応する位置に形成されるタッチ電極部52の一部分を、導電性高分子、銀等の金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ、及び、グラフェンといった材料により形成した場合、折り曲げ部45におけるタッチ電極部52の剥離や割れ等が発生することを効果的に防止することが可能となり、タッチパネル4の耐久性向上を図ることが可能となる。このように、折り曲げ部45に対応する位置に形成されるタッチ電極部52の一部分を、タッチ電極部52の他の部分と異なる導電性材料により構成する方法としては、例えば、折り曲げ部45に対応する位置に形成されるタッチ電極部52の一部分以外の他の部分について、インジウム錫酸化物(ITO)等のタッチ電極部形成用の導電材料をスパッタリング法等により形成した後、導電性高分子、又は、金属ナノワイヤーやカーボンナノチューブ等の導電性粒子を含む導電性ペーストをスクリーン印刷等により印刷して、折り曲げ部45に対応する位置に形成されるタッチ電極部52の一部分を形成する方法を例示できる。
【0053】
また、上記実施形態において、各タッチ電極部52,62および各引き出し配線53,63を銅や銀などの金属薄膜により形成してもよい。このような構成を採用する場合、タッチ電極部52,62の少なくとも一部が網目状となるように構成してもよい。このように、各タッチ電極部52,62および各引き出し配線53,63を金属薄膜により構成する場合、各タッチ電極部52,62および各引き出し配線53,63を同時に形成することが可能となり、製造上の作業性を向上できると共に、製造コストを低く押させることができる。また、タッチパネル4の見栄えを良好なものとすることができる。また、金属薄膜によりタッチ電極部52,62や引き出し配線53,63を形成した場合、曲げに対する電極部52,62や引き出し配線53,63の強度を向上させることが可能となり、折り曲げ部45に対応する位置に形成される引き出し配線53,63(或いは、折り曲げ部45に対応する位置に形成されるタッチ電極部52)に割れ等が発生することを効果的に抑制することができる。また、金属薄膜によりタッチ電極部52,62および各引き出し配線53,63形成する方法としては、上述のように、銀などの金属の導電性粒子を含む導電性ペーストを透明基板51,61上にスクリーン印刷する方法や、銅などの金属箔を透明基板51,61上に積層し、金属箔の上にレジストパターンを形成し、金属箔をエッチングする方法等を例示することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 表示装置
2 タッチパネル付きディスプレイ
3 ディスプレイ本体
31 表示面
32 側面
4 タッチパネル
41 第1の面
42 第2の面
43 第3の面
45 折り曲げ部
46 第2の折り曲げ部
5 第1透明面状体
51 透明基板
52 タッチ電極部
53 引き出し配線
54 第1配線集積部
6 第2透明面状体
61 透明基板
62 タッチ電極部
63 引き出し配線
64 第2配線集積部
7 フレキシブル配線板
T1〜T4 タッチパネルの側縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図13