【文献】
谷川 英和、外1名,特許工学:特許ライフサイクルに情報学を適用した新しい研究領域,情報処理,日本,社団法人情報処理学会,2008年 4月15日,第49巻,第4号,p.458−465
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記割当手段は、予め取得した各参照用文字列と2種以上に分類された各解決コンセプトとの連関性を参照し、上記マイニング手段により抽出された文字列に応じた参照用文字列と解決コンセプトとの連関性に基づき、1以上の解決コンセプトを割り当てること
を特徴とする請求項1記載の文献データ解析システム。
上記割当手段は、予め2種以上に定義された発明に関する付帯項目のうち、1以上の付帯項目を上記発明に対して上記マイニング手段により抽出された他の文字列を介して割り当て、上記割り当てた解決コンセプトと、上記割り当てた付帯項目との結びつき度をより強くするように制御すること
を特徴とする請求項1又は2記載の文献データ解析システム。
上記割当手段は、予め取得した各参照用文字列と2種以上に分類された各付帯項目との連関性を参照し、上記マイニング手段により抽出された文字列に応じた参照用文字列と付帯項目との連関性に基づき、1以上の付帯項目を割り当てること
を特徴とする請求項3記載の文献データ解析システム。
上記割当手段は、複数の文献について上記解決コンセプトの割り当て及び上記付帯項目の割り当てを行うことで、上記解決コンセプトと上記付帯項目との結びつき度を都度更新すること
を特徴とする請求項3〜5のうち何れか1項記載の文献データ解析システム。
上記割当手段は、人工知能により制御され、予め取得した各参照用文字列と2種以上に分類された各解決コンセプトとの3段階以上の連関度、予め取得した各参照用文字列と2種以上に分類された各付帯項目との3段階以上の連関度を学習すること
を特徴とする請求項4又は5記載の文献データ解析システム。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を適用した文献データ解析システムについて、図面を参照しながら詳細に説明をする。
【0025】
本発明を適用した文献データ解析システム1は、例えば
図1に示すような構成により具現化される。この文献データ解析システム1は、システムを利用するユーザ用の端末装置11と、この端末装置11に対して公衆通信網12を介して接続されるサーバ13とを備えている。
【0026】
公衆通信網12は、端末装置11間及びサーバ13を通信回線を介して接続されるインターネット網等である。ちなみにこの端末装置11を一定の狭いエリア内で運用する場合には、この公衆通信網12を、LAN(Local Area Network)で構成してもよい。また、この公衆通信網12につきいわゆる光ファイバ通信網で構成してもよい。また、この公衆通信網12は、有線通信網に限定されるものではなく、無線通信網で実現するようにしてもよい。
【0027】
端末装置11は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末、ノート型のパーソナルコンピュータ(PC)等であり、少なくともユーザの操作に基づいて公衆通信網12を介して通信可能なデバイスである。端末装置11は、ユーザが携帯可能とすることにより、常時持ち運びを可能とするデバイスであるが、これに限定されるものではなく、そえ置き型のPC等、あらゆる電子機器を含む概念である。
【0028】
なお、この端末装置11は、後述する文献データ解析プログラムを公衆通信網12を介してダウンロードすることなく、店頭で販売されているパッケージソフトをインストールする場合には、公衆通信網12を介した通信を行わない機器であってもよい。以下の例では、この端末装置11につき、スマートフォンを適用する場合を例にとり説明をする。
【0029】
図2は、端末装置11の具体的な構成例を示している。この端末装置11は、ROM(Read Only Memory)22と、データの蓄積や展開等に使用する作業領域としてのRAM(Random Access Memory)23と、端末装置11全体を制御するためのCPU(Central Processing Unit)24と、操作ボタンやキーボード等を介して各種制御用の指令を入力するための操作部25と、各種情報の表示を制御するための出力I/F16と、ハードディスク等に代表され、実行すべき検索を行うためのプログラムを格納するための記憶部27と、外部から端末装置11内へデータを入力し、或いは端末装置11において生成されたデータを外部へ出力するためのデータ入出力部29が内部バス21にそれぞれ接続されている。さらに、この内部バス21には、通信I/F28、音声入力部31が接続されている。また、出力I/F16には、実際に情報を表示するモニタとしての表示部26が接続されている。
【0030】
ROM22は、端末装置11全体のハードウェア資源を制御するためのプログラムが格納されている。RAM23は、端末装置11全体のハードウェア資源を制御するときの各種命令を一時的に記憶する。
【0031】
CPU24は、内部バス21を介して制御信号を送信することにより、端末装置11内に実装された各構成要素を制御するためのいわゆる中央演算ユニットである。また、このCPU24は、操作部25を介したユーザの操作に応じて各種制御用の指令を内部バス21を介して伝達する。
【0032】
操作部25は、タッチパネル等で具体化され、ユーザが実際に解決したい問題に関する情報が入力される他、文献データ解析プログラムを実行するための実行命令がユーザから入力される。この操作部25は、上記実行命令がユーザにより入力された場合には、これをCPU24に通知する。この通知を受けたCPU24は、上記プログラムを記憶部27から読み出して実行する。
【0033】
出力I/F16は、CPU24による制御に基づいて表示画像を作り出すグラフィックコントローラにより構成されている。この出力I/F16に接続される表示部26は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等によって実現される。
【0034】
記憶部27は、ハードディスクで構成される場合において、CPU24による制御に基づき、各アドレスに対して所定の情報が書き込まれるとともに、必要に応じてこれが読み出される。また、この記憶部27には、本発明を実行するための文献データ解析プログラムが格納されている。このプログラムはCPU24により読み出されて実行されることになる。
【0035】
通信I/F28は、公衆通信網12と接続するための回線制御回路や、他の端末装置との間でデータ通信を行うための信号変換回路等が実装されている。通信I/F28は、内部バス21からの各種命令に変換処理を施してこれを公衆通信網12側へ送出するとともに、公衆通信網12からのデータを受信した場合にはこれに所定の変換処理を施して内部バス21、或いはCPU24へ送信する。
【0036】
データ入出力部29は、PC等の電子機器との間でUSB接続するためのコード等が接続される。このデータ入出力部29を介して外部の機器との間でデータを入出力することが可能となる。
【0037】
音声入力部31は、ユーザから入力された音声を電子データに変換するためのデバイスである。
【0038】
サーバ13には、所定のデータベースが構築されている。このデータベースには、公衆通信網12を介して送られてきた情報が蓄積される。また、このサーバ13は、端末装置11からの要求に基づいて、この蓄積した情報を公衆通信網12を介して端末装置11へと送信する。
【0039】
なお、端末装置11における何れか1以上の構成要素、或いはサーバ13は、人工知能により制御されるものであってもよい。本発明への人工知能の具体的な応用方法は、従来における全ての公知の人工知能に関する情報の何れか1以上に基づくものであってもよい。
【0040】
本発明を適用した文献データ解析システム1は、端末装置11又はサーバ13側内にインストールされた文献データ解析プログラムを介して実行していくこととなる。端末装置11又はサーバ13は、これにインストールされている文献データ解析プログラムを通じ、各種解析を行っていくこととなる。
【0041】
文献データ解析プロセスにおいては、特許明細書等のような、過去において提案された発明に関する情報が記述された文献データから文字列を抽出するところから開始する。
【0042】
ここでいう文献データは、特許明細書、実用新案の明細書、意匠公報の記載等、いわゆる出願書類に限定されるものではなく、論文や学会の予稿集、或いは会社内で発行される技報等、発明に関する情報が記載されたあらゆるデータを含むものである。このような文献データを電子情報として取得し、解析を行っていくこととなる。
文献データを取得後、実際に文献データ解析プログラムが処理動作を実行していくこととなる。この文献データ解析プログラムの処理動作フローを
図3に示す。
【0043】
文献データ解析プログラムは、ステップS11において取得した文献データについて解析を行う(ステップS12)。この解析については、既存のあらゆるテキストマイニング技術、データマイニング技術、言語解析処理技術等を用いるようにしてもよい。
【0044】
次に、この文献データ解析プログラムは、解析対象の文献データを単語、形態素、句、節等、あらゆる文法上の構造単位の中から何れか1以上の単位に亘り、文字列の抽出を行う。例えば、「特許明細書における特許請求の範囲に定義された発明の限定度合をカウントして表示することが可能な特許明細書分析表示装置について、更に高精度に発明の限定度合いを表示することを目的とする。」というテキストデータがあった場合には、「特許明細書」、「特許請求の範囲」、「定義」、「発明」、「限定度合」、「カウント」、「表示する」、「特許明細書分析表示装置」「高精度に」、「目的とする」等といった文字列を抽出することとなる。
【0045】
この文献データに記載されている情報は、発明のコンセプトや構成以外に、解決しようとする課題の欄等、作用効果の欄、解決手段の欄等、特許明細書におけるいかなる欄から抽出するようにしても良い。例えば「安くて作りやすい」という文字列を抽出した場合、これをテキストマイニングにより解析することにより、「安」「安い」、「作り」、「作りやすい」等のように、文法上の構造単位の中から何れか1以上の単位に亘り、文字列の抽出が行われる。
【0046】
次に文献データ解析プログラムは、ステップS13へ移行し、ステップS12において抽出した文字列と連関性の高い解決コンセプトの割り当てを開始する。この割り当てを行う前において、端末装置11は、
図4に示すように参照用文字列と2種以上に分類されてなる抽象化された解決コンセプト(以下、解決コンセプトという。)の連関性を予め取得しておく。
【0047】
解決コンセプトは、問題を解決するための抽象化されたコンセプトである。この解決コンセプトA1、A2、A3、B1、B2、B3、C1、C2、C3、・・・は、予めシステム側において定義されているものである。この解決コンセプトは、例えば等価変換理論、TRIZ(古典的TRIZに加え、発展的なあらゆるTRIZも含む)、ARIZ、QFD、タグチメソッド等、既に公知になっているあらゆる問題解決法を含む概念である。この解決コンセプトの例としては、例えば古典的TRIZの40の発明原理を例に挙げるのであれば、セグメンテーション(細分化)、非対称性、逆(リバース)、ダイナミック性、フィードバック、入れ子構造、先取り作用、等位性、機械的な振動、事前の内部応力、害を益に変換(災い転じて福となす)等に相当するものである。
【0048】
端末装置11又はサーバ13は、このような文字列と解決コンセプトが互いにどの程度関連しているかの度合いを示す、連関性を取得しておく。この連関性の表現方法としては、例えば
図4に示すような矢印で繋がっている参照用文字列と解決コンセプトは、互いに連関しており、矢印で繋がっていない参照用文字列と解決コンセプトは、互いに連関していない形態で表現するようにしてもよい。例えば解決コンセプトA2は、参照用文字列c11、a21には連関しているが、これ以外の解決コンセプトとは連関していないという形で表現するようにしてもよい。即ち、このケースでは、参照用文字列と解決コンセプトの連関の有無を真または偽の2値により、デジタル的に表現することとなる。
【0049】
これ以外の連関性の表現方法としては、アナログ的な表現方法を採用するようにしてもよい。例えば解決コンセプトB3は、参照用文字列a21、b21には80%の割合で連関しており、更に参照用文字列c11が60%、参照用文字列b11が45%、参照用文字列c21が24%、参照用文字列a11が0%等の連関度として表現されていてもよい。例えば、参照用文字列として、「微細化」、「分割」、「細分化」、については、連関度が80%の解決コンセプトとして、セグメンテーション(細分化)が表現されていてもよい。この解決コンセプトとしてのセグメンテーションとしては、連関度が50%の参照用文字列として、「分室化」、「別々に」等を登録するようにしてもよい。
【0050】
解決コンセプトとしての「使い捨て」という技術思想については、連関度が80%の参照用文字列として、「使い捨て」、連関度が60%の参照用文字列として、「交換」、「廃棄」等が登録されているようにしてもよい。
【0051】
解決コンセプトとしての「事前の内部応力」については、連関度が80%の参照用文字列として、「事前の応力」、「予歪み」等、連関度が60%の参照用文字列として「荷重」、「力の負荷」等が、連関度が45%の参照用文字列として「押圧」が、登録されているようにしてもよい。
【0052】
解決コンセプトとして、「二重構造による強化」は、連関度が70%の参照用文字列として、「重ねる」、「カバー」、「二重」等、連関度が40%の参照用文字列として「被覆」、「当てがう」等が登録されているようにしてもよい。
【0053】
端末装置11又はサーバ13は、ステップS13の解析前までに、参照用文字列と解決コンセプトとの連関性を自らの記憶部27等に記憶しておき、いつでも読み出せるようにしておく。
【0054】
ステップS13に移行後、文献データ解析プログラムは、ステップS12において抽出した文字列に基づき、解決コンセプトを1又は2以上に亘り割り当てる。この割り当てるルールはいかなるものであってもよいが、一例として以下に説明する方法に基づくようにしてもよい。
【0055】
この抽出した文字列から解決コンセプトの選択についても、予め取得した参照用文字列と解決コンセプトとの連関性を参照するようにしてもよい。例えば、文献データから抽出した文字列が「予歪み」である場合には、これと同一の参照用文字列がc21において存在していた場合、その参照用文字列c21である「予歪み」と連関性の高いのはC1にある「事前の内部応力」である。このため、この解析した「予歪み」という文字列に対して連関性の高い「事前の内部応力」をその文献データの発明の解決コンセプトとして割り当てることとなる。
【0056】
例えば、文献データから解析した文字列が「交換」である場合には、参照用文字列と解決コンセプトとの連関性を参照した場合、その「交換」と連関性の高いのは「使い捨て」である。但し、この「交換」と「使い捨て」はそれほど連関度が高いものではないため、解決コンセプトとしてこれを割り当てるか否かは、様々なルールに基づいて判断するようにしてもよい。その判断のルールとしては、例えば同じ「使い捨て」の連関性の高い他の参照用文字列が同一文献データ内にある場合や、他の文献データにおいて、「交換」と「廃棄」がそのデータ内において出現する頻度が高い等の場合等、条件をつけるようにしてもよい。
【0057】
また抽出した文字列が「押された状態」と「予め」という文言が含まれていた場合、全く同一の参照用文字列は無かったものの、解決コンセプトとしての「事前の内部応力」と連関性のある「予歪み」の「予」が一部一致しており、更に「押される」の「押」が、同じ解決コンセプトとしての「事前の内部応力」と連関性のある「押圧」が一部一致している場合には、この2つの文字列が含まれている文献データの発明につき、解決コンセプトとして「事前の内部応力」を割り当てるようにしてもよい。
【0058】
更に文献データから抽出した文字列が「線膨張係数」であった場合に、材料間の線膨張係数の差異があれば事前に内部応力が負荷させることは明確であることから、参照用文字列との間に、完全一致又は一部一致しなかった場合であっても、「事前の内部応力」との間では、意味概念において類似性がある。この意味概念の類似性を予めシステム側において設定し、その類似性の高い参照用文字列と連関性の高い解決コンセプトを割り当てるようにしてもよい。
【0059】
即ち、この抽出した文字列は、参照用文字列と文字が一部一致又は完全一致しているか否か、意味概念の類似性の度合いのみならず、抽出した文字列に対して何らかの対応関係がある参照用文字列であれば、その参照用文字列と連関性の高い解決コンセプトを割り当てるようにしてもよい。
【0060】
解析した文字列と連関性のより高い解決コンセプトを判別する方法は、上述した方法に限定されるものではない。例えば、参照用文字列と解決コンセプトとの間で予め連関度が設定され、その連関度に基づいて解決コンセプトを選択する場合のみならず、この連関度が連関の有無のみ設定されている場合、つまりデジタル的に真偽のみが設定されている場合も同様である。かかる場合には、その連関度の有無のみに基づいて解決コンセプトを選択していくこととなる。
【0061】
次にステップS14に移行し、ステップS12において抽出した文字列と連関性の高い付帯項目の割り当てを開始する。この割り当てを行う前において、端末装置11又はサーバ13は、
図5に示すように参照用文字列と2種以上に定義された、発明に関する付帯項目(以下、付帯項目という。)の連関性を予め取得しておく。
【0062】
付帯項目は、発明に関するあらゆる情報を含む概念である。付帯項目は、一般的には発明の目的、問題点、解決しようとする課題、作用効果、発明の構成、実施する上での形態、組立方法、実施するための方法等、発明に関するものであればよい。以下では、この付帯項目について解決しようとする課題とする場合を例に挙げて説明をする。かかる場合における付帯項目は、例えば「安価」、「製造容易性」、「汎用性」等が予め定義されているものと仮定する。この付帯項目D1、D2、D3、E1、E2、E3、F1、F2、F3、・・・は、予めシステム側において定義されているものである。
【0063】
端末装置11又はサーバ13は、抽出した文字列と付帯項目が互いにどの程度関連しているかの度合いを示す、連関性を取得しておく。この連関性の表現方法としては、例えば
図5に示すような矢印で繋がっている参照用文字列と付帯項目は、互いに連関しており、矢印で繋がっていない参照用文字列と付帯項目は、互いに連関していない形態で表現するようにしてもよい。即ち、このケースでは、参照用文字列と付帯項目の連関の有無を真または偽の2値により、デジタル的に表現することとなる。
【0064】
これ以外の連関性の表現方法としては、アナログ的な表現方法を採用するようにしてもよい。例えば付帯項目E3は、参照用文字列d21、e21には80%の割合で連関しており、更に参照用文字列f11が60%、参照用文字列e11が45%、参照用文字列f21が24%、参照用文字列d11が0%等の連関度として表現されていてもよい。
【0065】
例えば、付帯項目「安価」、については、連関度が80%の参照用文字列として、「費用」、「安く」、「コスト」等、連関度が50%の参照用文字列として「部品点数」等が登録されていてもてよい。また、付帯項目「製造容易性」については、連関度が80%の参照用文字列として「作りやすい」、「作業性」等が、連関度50%の参照用文字列として「少ない工程」等が登録されていてもよい。また付帯項目「汎用性」については、連関度が80%の参照用文字列として「使い易さ」、連関度40%の参照用文字列として「用途」等が登録されていてもよい。
【0066】
端末装置11又はサーバ13は、ステップS14の解析前までに、参照用文字列と付帯項目との連関性を自らの記憶部27等に記憶しておき、いつでも読み出せるようにしておく。
【0067】
この抽出した文字列から付帯項目を選択する際において、上述した予め取得した参照用文字列と付帯項目との連関性を参照するようにしてもよい。例えば、抽出した文字列が「コスト」である場合には、参照用文字列と付帯項目との連関性を参照した場合、その「コスト」と連関性の高いのは「安価」である。このため、この解析した「コスト」という文字列に対して連関性の高い「安価」をその文献データの発明の付帯項目として割り当てることとなる。
【0068】
例えば、抽出した文字列が「用途」である場合には、参照用文字列と付帯項目との連関性を参照した場合、その「用途」と連関性の高いのは「汎用性」である。但し、この「用途」と「汎用性」はそれほど連関度が高いものではないため、解決コンセプトとしてこれを割り当てるか否かは、様々なルールに基づいて判断するようにしてもよい。その判断のルールとしては、例えば同じ「汎用性」の連関性の高い他の参照用文字列が同一文献データ内にある場合や、他の文献データにおいて、「汎用性」に対して連関性の低い「用途」と、連関性の高い「使い易さ」がその同じデータ内において出現する頻度が高い等の場合等、条件をつけるようにしてもよい。
【0069】
また抽出した文字列の参照用文字列への当てはめは、ステップS13において説明した方法を随時適用するようにしてもよい。更に抽出した文字列と解決コンセプトの場合と同様に、この抽出した文字列と付帯項目との関係において、一致する参照用文字列が無い場合においても意味概念において類似性を予めシステム側において設定し、その類似性の高い参照用文字列と連関性の高い付帯項目を割り当てるようにしてもよい。
【0070】
即ち、この抽出した文字列は、参照用文字列と文字が一部一致又は完全一致しているか否か、意味概念の類似性の度合いのみならず、抽出した文字列に対して何らかの対応関係がある参照用文字列であれば、その参照用文字列と連関性の高い付帯項目を割り当てるようにしてもよい。
【0071】
このステップS14が終了すると、この文献データに記載されている発明につき、1以上の解決コンセプトと、1以上の付帯項目が割り当てられることとなる。即ち、この文献データに記載されている発明は、その割り当てられた付帯項目(解決しようとする課題)の下、その割り当てられた解決コンセプトに基づいて問題解決をしようとした発明であることが判別されることとなる。即ち、上述の例において、割り当てられた付帯項目が「製造容易性」であり、割り当てられた解決コンセプトが「二重構造」であれば、製造容易性を向上させることを目的とし、その解決コンセプトとして二重構造化を行った発明であることが判別されたこととなる。
【0072】
次にステップS15へ移行し、その文献データに記載されている発明につき、割り当てられた付帯項目と、割り当てられた解決コンセプトとの結びつき度を更新する。各付帯項目と各解決コンセプトは互いに
図6に示すように、その結びつき度を介して互いの関連性が記述される。各付帯項目と各解決コンセプトとの結びつき度は、端末装置11又はサーバ13において記憶される。ステップS14を経て、その文献データに記載されている発明につき、付帯項目と解決コンセプトが割り当てられたため、その解決コンセプトには、その付帯項目における解決課題と互いに結びつきが相対的に強いものと判別することができる。このため、その文献データに記載の発明について割り当てられた付帯項目と、解決コンセプトとの結びつき度を相対的により強くするように更新する。割り当てられた付帯項目と、解決コンセプトとの結びつき度をどの程度強くするかについては、ステップS13、14における参照用文字列との連関度等に基づくようにしてもよいし、他のいかなるルールを適用するようにしてもよい。
【0073】
ステップS15を終了させたあと、その他の文献データが存在しない場合には、そのまま終了となるが、解析対象の他の文献データが存在する場合には、再びステップS15に戻り、上述した処理を繰り返し実行する。
【0074】
その結果、付帯項目と、解決コンセプトとの結びつき度の更新が随時行われていくこととなる。これを多数の文献データについて実行することにより、付帯項目と、解決コンセプトの結びつき度の関係を多くのデータから反映させることができ、より信憑性の高い両者間の関係が得られることとなる。
【0075】
本発明を適用した文献データ解析システムでは、これを構成する端末装置11やサーバ13に人工知能を実装させることにより、上述した処理動作を何れも人工知能を介して学習させながら行うことができる。
【0076】
この人工知能による学習については、参照用文字列と解決コンセプトとの関係を学習させるようにしてもよいし、参照用文字列と付帯項目との関係を学習させるようにしてもよい。また、解決コンセプトと付帯項目との関係についても、結びつき度を都度更新させ、これを学習させるようにしてもよい。これらの学習の過程においては、人工知能の一つであるニューラルネットワークの考え方を取り入れ、両者間の連関性や結びつき度の強弱関係を繰り返し学習させるようにしてもよい。また、その他人工知能におけるいかなる周知の学習方法を適用するようにしてもよい。
【0077】
文献データの数が多くなるにつれてこの学習精度がより高まり、上述した両者間の連関性や結びつき度の強弱関係がより高精度のものとなる。本発明は、このステップS15を終了させた時点で完了させるようにしてもよい。一方、本発明を適用した文献データ解析システム1では、このようにして得られた参照用文字列と解決コンセプトとの連関性、参照用文字列と付帯項目との連関性、解決コンセプトと付帯項目との連関性を利用し、以下に説明するようなイノベーションの創造する上での支援を行うようにしてもよい。
【0078】
イノベーション創造プロセスにおいては、新たに人為的に創作される創作物に関する情報をユーザ自身が入力するところから開始する。
【0079】
このユーザにより入力される情報の例としては、社会的ニーズ、問題点、以前に提案されている従来技術、解決しようとする課題、新たに創造した発明の構成、アイデアのシーズ、アイデアのコンセプト、作用効果等を何れもテキストデータ化することが可能な文章や文字列、言語等で表現していくこととなる。このようにしてユーザから入力された情報を、以下、基本情報という。
【0080】
ユーザは、この基本情報の入力を携帯端末11における操作部25を介して手動で行い、又は音声入力部31を介して音声により入力する。この入力において、他の携帯端末11やPC等の電子機器において作成した基本情報をデータ入出力部29から入力するようにしてもよい。またユーザが他の携帯端末11やPC等の電子機器において作成したテキストデータを、公衆通信網12を介して実際に問題解決支援プログラムがインストールされた携帯端末11に送信するようにしてもよい。
【0081】
このようにして送信又は入力された基本情報は、記憶部27に記憶されることとなる。
【0082】
このようにして基本情報が入力された後に、実際に
図7に示すようなイノベーション創造支援が行われていくこととなる。
【0083】
問題解決支援プログラムは、ステップS21において入力された基本情報について解析を行う。(ステップS22)。この解析については、既存のあらゆるテキストマイニング技術、データマイニング技術、言語解析処理技術等を用いるようにしてもよい。
【0084】
次に、この問題解決支援プログラムは、解析対象の基本情報を単語、形態素、句、節等、あらゆる文法上の構造単位の中から何れか1以上の単位に亘り、文字列の抽出を行う。この文字列の抽出は、上述したステップS12と同様の手法を用いるようにしてもよい。
【0085】
或いは、この基本情報が断片的にキーワードや単語そのもので入力される場合もある。例えば「ペットのお尻拭き」と入力された場合には、「ペット」「お尻拭き」という文字列を抽出することができる。また、この基本情報は、発明のコンセプトや構成が入力される以外に、解決しようとする課題が入力される場合がある。例えば、「安くて作りやすい」と入力される場合には、これをテキストマイニングにより解析することにより、「安」「安い」、「作り」、「作りやすい」等のように、文法上の構造単位の中から何れか1以上の単位に亘り、文字列の抽出が行われる。
【0086】
次に問題解決支援プログラムは、ステップS23へ移行し、ステップS22において抽出した文字列と連関性の高い解決コンセプト、又はステップS22において抽出した文字列と連関性の高い付帯項目の探索を開始する。この探索を行う前において、携帯端末11は、
図5に示すように参照用文字列と2種以上に分類されてなる抽象化された解決コンセプト、或いは参照用文字列と付帯項目の連関性は上述したように既に取得されている。
【0087】
この基本情報から抽出した文字列から解決コンセプト又は付帯項目の選択についても、予め取得した参照用文字列と解決コンセプトとの連関性を参照するようにしてもよい。
【0088】
例えば
図8に示すように、基本情報から解析した文字列が「予歪み」である場合には、上述のように予め作成した参照用文字列と解決コンセプトとの連関性を参照した場合、その「予歪み」と連関性の高いのは「事前の内部応力」である。このため、この解析した「予歪み」という文字列に対して連関性の高い「事前の内部応力」を解決コンセプトとして探索することとなる。この解決コンセプトの探索は、上述したステップS13に基づくものであってもよい。
【0089】
このように基本情報から抽出した文字列から、参照用文字列を介して直接的に解決コンセプトを探索するようにしてもよいが、一般的には、基本情報から抽出した文字列から、参照用文字列を介して先ず付帯項目を選択し、その選択した付帯項目と結びつき度の高い解決コンセプトを選択する場合の方が多い。
【0090】
かかる場合には、先ず
図9に示すように、基本情報から抽出した文字列から付帯項目を選択していくこととなる。例えば、抽出した文字列が「コスト」である場合には、上述の如く作成した参照用文字列と付帯項目との連関性を参照した場合、その「コスト」と連関性の高いのは「安価」である。このため、この解析した「コスト」という文字列に対して連関性の高い「安価」をその基本情報に対する付帯項目として割り当てることとなる。
【0091】
例えば、抽出した文字列が「用途」である場合には、参照用文字列と付帯項目との連関性を参照した場合、その「用途」と連関性の高いのは「汎用性」である。但し、この「用途」と「汎用性」はそれほど連関度が高いものではないため、解決コンセプトとしてこれを割り当てるか否かは、様々なルールに基づいて判断するようにしてもよい。また抽出した文字列と参照用文字列との間で、文字の一致度の高低、社会通念上の概念の同一性等も含めて、判断するようにしてもよい。その判断のルールは、上述したステップS14と同様のものであってもよい。
【0092】
このようにして、入力した基本情報に対して付帯項目が選択されると、次は
図6に示す解決コンセプトと付帯項目の結びつき度を参照し、選択した付帯項目と結びつき度の高い解決コンセプトを選択する。基本情報が解決課題の文字列である場合、その文字列と連関性の高い付帯項目が選択され、さらに当該付帯項目と結びつき度の強い解決コンセプトが選択される。この結びつき度が高い解決コンセプトは、過去の文献データを解析し、その付帯項目を構成する解決課題や作用効果と関連性の高いものである。即ち、付帯項目を構成する課題を解決する上で、作用効果を起こさせる上で、過去において頻繁に選択されている解決コンセプトであることを意味する。このため、入力した基本情報に対して連関性の高い付帯項目が選択された場合においても、当該付帯項目につき過去において頻繁に選択される解決コンセプトを提示することとなる。
【0093】
即ち、この問題解決支援プログラムは、基本情報を解析することで得られた文字列から、これに見合った解決コンセプトを付帯項目を介して即座に選択し、これを出力することができる。この付帯項目と解決コンセプトの結びつき度は、人工知能を介した学習を通じてその精度は高いものとなっている。このため、この付帯項目に対してピンポイントに応えることができる解決コンセプトを高精度に選択することが可能となる。
【0094】
次に、本発明の他の実施の形態について説明をする。
【0095】
上述の例では、あくまで一の参照用文字列に対して1又は2以上の解決コンセプトの連関性を参照するものであるのに対して、
図10の例では、複数の参照用文字列間の組み合わせに対する各解決コンセプト(付帯項目)との連関性を参照するものである。
【0096】
図10では、参照用文字列として、a〜g等があり、これらの組み合わせに対してそれぞれ付帯項目A1、A2、・・・が割り当てられている。実線がその連関性を示すものであり、点線はその組み合わせを示すものである。例えば、aとbとが互いに点線でつながっており、そこから実線が、A2、C1に伸びている。これは、aとbの組み合わせに対する連関性の高い付帯項目(解決コンセプト)がA2、C1であることを示している。つまり参照用文字列がaのみであると、何を解決したいのか、何が問題になっているのかが分からない。これに対して、aとbが組み合わさると、条件が付加された結果に具体的に何のイノベーションかが分かる。つまり、参照用文字列が「犬」のみであると、犬の何を解決したいのか、何が問題になっているのかが分からない。これに対して、「犬」と「尻拭き」が組み合わさると、犬が糞をした後の肛門を拭くためのイノベーションであることがある程度絞られ、これに応じた付帯項目(解決コンセプト)を絞り込むことが可能となる。aとbとcが組み合わさった場合、つまり、「犬」、「尻拭き」、「ポリ袋」が組み合わさる点線においては、更にA2、B2の付帯項目(解決コンセプト)が連関性の高いものとして繋がる。これは上述した犬の尻拭きに更にポリ袋が加わることで、ポリ袋を使って犬の尻拭きをするための付帯項目(解決コンセプト)が更に絞られてくることを意味する。
【0097】
上述した参照用文字列の組み合わせは名詞−名詞であるが、例えば、「シール」と「貼る」の組み合わせのように名詞−動詞であってもよい。名詞と動詞が結びつくことにより、実現しようとする命題が「シールを貼る」のように明確になる。そして、このシールを貼ることに対する連関性の高い付帯項目(解決コンセプト)としてB3がリンクすることとなる。また、これに加えて、更に「ポリ袋」という参照用文字列が組み合わされば、ポリ袋にシールを貼るための付帯項目(解決コンセプト)が絞られてくることとなる。また「安価」という参照用文字列が加われば、ポリ袋にシールを安価に貼るための付帯項目(解決コンセプト)が絞られてくることとなる。
【0098】
このような各参照用文字列の組み合わせに対する1以上の付帯項目(解決コンセプト)の連関性を上述した例と同様に予め人工知能を通じて学習して取得しておくことにより、実際に基本情報から解析した文字列から付帯項目(解決コンセプト)を選択する際に、これを参照することが可能となる。特にこの参照用文字列単独よりも、これらを互いに組み合わせにより、意図している付帯項目(解決コンセプト)をより絞り込むことができ、ユーザが本当に所望する付帯項目(解決コンセプト)を効果的に選択して提案することも可能となる。
【0099】
実際にこの各参照用文字列の組み合わせに対する1以上の付帯項目(解決コンセプト)の連関性を参照する際には、基本情報から複数の文字列を抽出する。そして、この抽出した複数の文字列に応じた、複数の参照用文字列間の組み合わせに対して連関性が高い付帯項目(解決コンセプト)を選択することとなる。かかる場合も上述と同様に、基本情報から解析した文字列は、参照用文字列と文字が一部一致又は完全一致しているか否か、意味概念の類似性の度合いのみならず、基本情報からの文字列に対して何らかの対応関係がある参照用文字列であれば、その参照用文字列と連関性の高い解決コンセプトを探索するようにしてもよい。
【0100】
このとき、複数の参照用文字列間の組み合わせは、名詞−動詞、名詞−形容詞、形容詞−動詞、名詞−名詞の何れかの組み合わせとされていてもよい。基本情報から文字列を抽出する際には、単語又は句として名詞−動詞、名詞−形容詞、形容詞−動詞、名詞−名詞の何れか1以上の組み合わせで構成される複数の文字列を抽出し、参照用文字列における同じ品詞の組み合わせを参照しながら解決コンセプトを探索するようにしてもよい。
【0101】
また、サーバ13が人工知能により制御される場合には、参照用文字列と付帯項目(解決コンセプト)との連関性を学習させるようにしてもよい。つまり、参照用文字列と解決コンセプトや付帯項目の連関性や、参照用文字列間の組み合わせと解決コンセプトや付帯項目との連関性を人工知能による学習により随時更新していく。人工知能は、外部からサーバ13に対して公衆通信網12を介して提供された情報に基づいて学習を行う。このサーバ13に対して外部から提供される情報は、例えば本システムを使用する携帯端末11から送信されるものであってもよい。携帯端末11により、本発明を適用した問題解決支援プログラムが使用される結果、ユーザにより選択された参照用文字列と解決コンセプトや付帯項目の関係、或いはユーザにより選択されなかった参照用文字列と解決コンセプトや付帯項目の関係等、過去の履歴情報を携帯端末11側において記録しておく。そして、これら過去の履歴情報を携帯端末11からサーバ13へ送信する。サーバ13を制御する人工知能は、この送信されてきた過去の履歴情報に基づいて、参照用文字列と解決コンセプトや付帯項目との連関性を更新する。つまり、ユーザにより選択された参照用文字列と解決コンセプトや付帯項目の関係については連関性を高く更新し、またユーザにより選択されなかった参照用文字列と解決コンセプトや付帯項目の関係は連関性をより低く更新する。この更新については、ニューラルネットワーク等を利用してもよい。
【0102】
このような過去の履歴情報を、本システムを利用する全ての携帯端末11からサーバ13へ集められることにより、参照用文字列と解決コンセプトや付帯項目との連関性は、大量のデータに基づいて随時学習がなされ、よりユーザがより受け入れ易く、また解決に最も近道となるような解決コンセプトを提供しやすくなる。
【0103】
サーバ13における参照用文字列と解決コンセプトや付帯項目との連関性の学習を、携帯端末11側に実装した人工知能に行わせるようにしてもよいことは勿論である。
【0104】
ちなみに、この人工知能が学習する上での外部からのデータは、上述した本システムを利用した携帯端末11の過去の履歴情報のみならず、公衆通信網を介して取得可能な全てのインターネット情報、ビックデータを利用するものであってもよい。また、特許庁の特許情報プラットフォームから取得可能な特許情報にアクセスし、文字列と解決コンセプトの関係をそこから取得することで、参照用文字列と解決コンセプトや付帯項目との連関性を人工知能による学習により更新するものであってもよい。
【0105】
例えば、「犬」と「尻拭き」という2つの文字列をand条件でインターネットで検索した場合、犬が糞をした後の肛門を拭くための様々な解決方法が掲載されているホームページが出てくる。そのホームページに記載されている解決方法のテキスト情報を取得し、これをテキストマイニングすることで、いかなる解決コンセプトや付帯項目に対応するのかを人工知能により見出していく。かかる例において、二層に布を重ねることで汚れが指に付着しない旨の解決方法をテキスト情報として取得した場合には、これをテキストマイニング分析し、「二層」という文言から解決コンセプトの「幾層にも積層させて対処する」に関連するものと考えた場合には、「犬」と「尻拭き」という2つの参照用文字列と、解決コンセプトの「幾層にも積層させて対処する」との連関性を強くするように更新する。
【0106】
また、本発明によれば、文献データや基本情報から解析した文字列と、参照用文字列との対応関係を人工知能により学習させるようにしてもよい。この人工知能による学習は、携帯端末11側又はサーバ13側の何れにおいて実行するようにしてもよい。
【0107】
例えば、
図11に示すように、文献データや基本情報から解析した文字列がどの範囲まで参照用文字列「尻拭き」と対応するかを考えるとき、先ず文字列「尻拭き」は、参照用文字列「尻拭き」とほぼ100%対応する。これに対して、参照用文字列「尻拭き」に対して、文字列「体拭き」は70%、文字列「体洗い」は50%、文字列「ブラシ入れ」は35%、文字列「エサやり」は5%等、対応関係をパーセント等の数値を介して把握するようにしてもよい。そして外部から提供される情報に基づいて、この対応関係の数値を変更したり、或いは新しい文字列と参照用文字列との関係を定義するようにしてもよい。例えば、インターネットから取得した情報、或いは外部から読み込んだ文書から、「体拭き」と「尻拭き」との共起度(一つのホームページ内、一つの文書内において共に出願する確率)が高い場合には、上述した対応関係のパーセントの数値を上げ、共起度が低い場合には、上述した対応関係のパーセントの数値を下げるように制御するようにしてもよい。
【0108】
文献データや基本情報から解析した文字列と、参照用文字列との対応関係は、文字が一部一致又は完全一致しているか否か以外に、意味概念の類似性の度合いについても、インターネットから取得した情報、或いは外部から読み込んだ文書から人工知能により学習させるようにしてもよい。例えば「尻拭き」と「糞取り」は、文言上は一致する所は無いものの一つのホームページ内、一つの文書内において共に出願する確率が高い場合には、意味概念が類似のものとして、新たに参照用文字列「尻拭き」に対応する文言として登録するようにしてもよい。
【0109】
また本発明によれば、ユーザに対して新たに基本情報の入力を促すプロセスを導入するようにしてもよい。この基本情報の入力の促進は、基本情報をマイニングすることで抽出した文字列、又はステップS13における解決コンセプトの探索結果に応じて行うようにしてもよい。
【0110】
例えば、基本情報から抽出した文字列が、単に「尻拭き」、「安価」のみであった場合、人や犬等、何を対象とした尻拭きであるかを特定しないと解決コンセプトが絞り込めない場合がある。かかる場合には、基本情報をマイニングした結果、尻拭きの対象と考えられる文字列が他に出てこなかった場合には、その対象を特定するために、更なる基本情報の入力を促すようにしてもよい。
【0111】
また、「犬」、「尻拭き」、「ポリ袋」、「貼る」が基本情報から抽出できた場合には、犬を対象とした尻拭きであり、ポリ袋に貼り付け可能であることは読み取ることができる。特に
図10に示すような複数の参照用文字列の組み合わせに対して連関性の高い解決コンセプトを絞り込む上で、どうしてもその解決課題に関する情報があると更に望ましい場合があるとする。かかる場合において、基本情報をマイニングした結果、解決課題と考えられる文字列が他に出てこなかった場合には、その対象を特定するために、更なる基本情報の入力を促すようにしてもよい。解決課題に対応する文字列の有無の判断は、例えば「安価」、「製造容易性」、「汎用性」等の解決課題のグループ毎に、これらを示す文字列を予め登録しておき、その登録した文字列と全部一致又は一部一致する文字列が基本情報内にあるか否かを判断するようにしてもよい。
【0112】
更に本発明によれば、基本情報から抽出された文字列、又は提案された解決コンセプトに基づいて具体的な発明の構成を探索してこれを表示するようにしてもよい。或いは基本情報から抽出された文字列及び提案された解決コンセプトの双方に基づいて具体的な発明の構成を探索してこれを表示するようにしてもよい。何れの場合においても、これらの作業は人工知能を介して行うこととなる。
【0113】
かかる場合において、抽出された文字列として「犬」、「尻拭き」、「指先」、「シール状」、「ポリ袋」、「糞取りの効率性」であり、解決コンセプトが、「フィット性の向上」である場合には、犬の尻拭きにおいてシール状でポリ袋の貼り付るところまでは、文字列をつなげるだけですぐに導き出すことができる。かかる場合において、人工知能は、
図12(a)に示すように、ポリ袋7にシール状の犬用の尻拭き体70を貼り付けるところまでは、インターネット上にある画像の素材等を組み合わせることで簡単に描くことができる。
【0114】
人工知能は、次に、「指先」、「糞取りの効率性」という文字列と、「フィット性の向上」という解決コンセプトを読み出し、この尻拭き体70に対して更に構成を付加していく。
図12(b)に示すように、指先とフィット性から、ちょうど指先にフィットするような溝76、77、78を設け、右手であれば溝78に人差し指、溝77に中指、溝76に薬指をはめ込んでフィットさせることで、犬の糞取りの効率性をさせることを人工知能自身が考える。人工知能は、フィット性という文言から、例えばインターネット等から情報を引き出し、フィット性を実現するために対象物の回りを取り囲む、取り囲み体があることを見つけ出し、この取り囲み体はあくまで指を対象としているところまでを見出すことができる。そして、指を取り囲むためには、溝状にシール体を形成させればよいことは、これもインターネット等から周知の技術として抽出することができる。
【0115】
このようにして、最終的に出来上がった
図12(b)の形態を表示部26上に表示する。この表示された形態をユーザ自身が理解することにより、コンセプトを纏め上げて商品化へと進めることが可能となる。
【解決手段】発明に関する情報が記述された文献データから文字列を抽出するマイニングステップと、予め2種以上に定義された各解決コンセプトのうち、1以上の解決コンセプトに上記マイニングステップにおいて抽出した文字列を割り当てる割当ステップとを有し、この割当ステップでは、予め2種以上に定義された発明に関する付帯項目のうち、1以上の付帯項目を上記発明に対してマイニングステップにより抽出された他の文字列を介して割り当て、上記割り当てた解決コンセプトと、上記割り当てた付帯項目との結びつき度をより強くするように制御する。