特許第6134974号(P6134974)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6134974ガスフィルター、金型装置、金型内部情報計測センサー、金型内のガス抜き方法及び射出成形品製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134974
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】ガスフィルター、金型装置、金型内部情報計測センサー、金型内のガス抜き方法及び射出成形品製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/22 20060101AFI20170522BHJP
   B22D 17/14 20060101ALI20170522BHJP
   B22C 9/06 20060101ALI20170522BHJP
   B22C 9/00 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   B22D17/22 G
   B22D17/14
   B22C9/06 P
   B22C9/00 E
【請求項の数】14
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-133323(P2012-133323)
(22)【出願日】2012年6月12日
(65)【公開番号】特開2013-255932(P2013-255932A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2015年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】510095651
【氏名又は名称】株式会社ダイレクト21
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100152261
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】岩本 典裕
(72)【発明者】
【氏名】加藤 俊
【審査官】 池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−164959(JP,A)
【文献】 特開平07−124694(JP,A)
【文献】 特開平10−249509(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/115276(WO,A1)
【文献】 特開平10−005968(JP,A)
【文献】 特開2011−183431(JP,A)
【文献】 実開昭48−047813(JP,U)
【文献】 英国特許出願公告第0362261(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 17/00−17/32
B22C 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属で形成され、多重管構造を有する複数の管を備え、
前記複数の管同士の間に軸方向に貫通するスリット状空間部が形成された金型のキャビティ内からガス抜きを行うガスフィルターにおいて、
前記複数の管のうち最も小さい管には位置決め部材が挿通されており、
前記位置決め部材は、その一方の端部側の外周面に位置し、前記複数の管の端面と当接する張出部を設け、
前記張出部には、前記スリット状空間部に連通する連通路が形成されていることを特徴とするガスフィルター。
【請求項2】
前記複数の管それぞれの外周面には、該外周面から一定の高さを有する間隔保持部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のガスフィルター。
【請求項3】
前記複数の管それぞれの内周面には、該内周面から一定の高さを有する間隔保持部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のガスフィルター。
【請求項4】
前記間隔保持部は、軸方向に沿って複数形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のガスフィルター。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載のガスフィルターを、金型のキャビティに通じるガス抜き配管に配設した金型装置。
【請求項6】
前記ガス抜き配管に接続された切替バルブと、
前記ガス抜き配管の前記ガスフィルターが配設された位置と前記切替バルブが接続された位置との間に設けられ、前記切替バルブにより前記ガス抜き配管を大気から遮断した状態で前記ガス抜き配管内のガス圧の計測するガス圧センサーと、
を備えたことを特徴とする請求項5に記載の金型装置。
【請求項7】
前記ガス圧センサーにより計測されたガス圧の低下勾配に基づいて、前記ガスフィルターの目詰まりを判定する制御手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載の金型装置。
【請求項8】
前記切替バルブに接続されたエア源を備え、
前記エア源は、前記切替バルブの切替により前記ガス抜き配管と接続された際に、前記ガス抜き配管を介して前記ガスフィルターに圧縮空気を供給することを特徴とする請求項6に記載の金型装置。
【請求項9】
前記切替バルブに接続された真空タンクを備え、
前記真空タンクは、前記切替バルブの切替により前記ガス抜き配管と接続された際に、 前記ガス抜き配管及び前記ガスフィルターを介して前記キャビティ内のガスを真空吸引することを特徴とする請求項6又は7に記載の金型装置。
【請求項10】
金型に穿設され前記金型のキャビティに開口する装着孔に装着可能なロッド形ケーシングと、
前記ロッド形ケーシングの先端に配置された請求項1から4の何れか1項に記載のガスフィルターと、
前記ガスフィルターの後方に設けられ前記ガスフィルターを通じて前記キャビティ内のガスを導入する導入室と、
前記導入室内のガスの圧力を検出するガス圧センサーと、
を有することを特徴とする金型内部情報計測センサー。
【請求項11】
溶湯を金型のキャビティ内に充填して射出成形品を製造する際の金型内のガス抜き方法であって、
前記キャビティに通じるように前記金型に穿設されたガス抜き配管に、請求項1から4の何れか1項に記載されたガスフィルターを配設し、前記ガスフィルターを介して前記キャビティ内のガス抜きを行うことを特徴とする金型内のガス抜き方法。
【請求項12】
金型のキャビティに通じるように前記金型に穿設されたガス抜き配管に請求項1から4の何れか1項に記載されたガスフィルターを配設した前記金型を用いて、射出成形品を製造する射出成形品製造方法であって、
前記キャビティ内に溶湯を射出する工程で、前記ガス抜き配管の大気開放又は真空引きを行い、前記ガスフィルターを介して前記キャビティ内のガスを放出することを特徴とする射出成形品製造方法。
【請求項13】
前記金型のキャビティ面への離型剤の塗布時と、型締め時と、型開き時とに、前記ガスフィルターに圧縮空気を供給することを特徴とする請求項12に記載の射出成形品製造方法。
【請求項14】
前記圧縮空気の供給が終了した後に、前記ガス抜き配管内のガス圧を計測することを特徴とする請求項13に記載の射出成形品製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイカスト装置、重力鋳造機、低圧鋳造機、射出成形機等の金型のキャビティ内からガスを排出するガスフィルター、当該ガスフィルターを用いた金型装置、金型内の溶湯の圧力を検知して鋳造・樹脂成形品の良否を判定するのに好適な金型内部情報計測センサー、金型のキャビティ内からガスを排出する金型内ガス抜き方法、当該ガスフィルターを用いて射出成形品を製造する射出成形品製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイカスト製品の品質は、金属溶湯を金型内に充填する際の射出速度や射出圧力に影響されることが知られている。ダイカスト装置における金型に金属溶湯を充填する射出工程では、プランジャスリーブに溶湯を供給し、溶湯の空気の巻き込み等を避けるためにプランジャを低い射出速度で駆動し、プランジャスリーブと製品ライナー部が満杯になるまで前進する。次いで、溶湯の先端が金型の湯口に達する位置までプランジャが移動したら、プランジャを高速の射出速度に切り換えて駆動し、溶湯を金型のキャビティに急速に充填する。次いで、金型のキャビティに溶湯が充填されたらプランジャの圧力を上昇させて、溶湯を加圧する。
【0003】
一般に、ダイカスト装置に使用される金型は、図22に示すように可動金型1aと固定金型1bで構成されている。両金型1a、1bで形成されるキャビティ2には、射出シリンダに続く、鋳込口3a、湯道3b、湯口3cが設けられ、さらにキャビティ2内のガスを抜くガス抜き通路4、湯溜り5が設けられている。
【0004】
図23は、ダイカスト装置において、金型のキャビティ2に金属を充填する状態を示す断面図である。同図において、プランジャスリーブ6の注湯口6aを通じて所定量の金属溶湯MLを、ラドルを使用して供給する。この図では、所定量の金属溶湯MLをプランジャスリーブ6内に供給した状態からプランジャ7を低速駆動させて射出している状態を示している。低速射出状態では、プランジャチップ7aの前方には金属溶湯MLとともにガスGが存在しており、プランジャスリーブ6内の金属溶湯MLをキャビティ2に導く湯道3bにもガスGが存在している。また、図23に示す位置FPは、プランジャ7を低速移動から高速移動に切り替えるポイントである。プランジャチップ7aがこの位置FPまで到達すると、プランジャスリーブ6内および湯道3bに金属溶湯MLが充填される。金属溶湯MLの先端部が、湯口3cに達する位置、すなわち、キャビティ2への金属溶湯MLの充填が開始される充填開始位置である。
【0005】
金型のキャビティ2に溶湯を射出し、鋳物製品を鋳造する場合、射出時における金型内の溶湯の圧力、溶湯の温度、溶湯の充填によって圧縮されたキャビティ2内のガスの圧力等を測定することは、製品の品質管理上重要である。これらの情報を用いて、鋳造ショット毎に、ダイカスト製品が十分な強度を有するものであるか否かを判定することができれば、不良品を後段の工程に流すことが防止され、結果として歩留まりを向上させることができる。
【0006】
しかしながら、従来においては、金型内のこれらの情報を簡易かつ確実に計測する方法は存在しなかった。
【0007】
また、キャビティ2内のガスを外部に確実に放出することも、製品の品質管理上重要である。従来においては、予めキャビティ2にガス抜き通路4を開口させており、キャビティ2への溶湯の充填により、キャビティ2内のガスをガス抜き通路4に押出し、当該ガス抜き通路4から大気に開放させている。
【0008】
溶湯は時間とともに溶融状態から半溶融に変態し、さらには固体へと変態するが、充填時間を短くして、溶湯を溶融状態でキャビティ2内に充填することが良品の製造につながると考えられている。しかしながら、キャビティ2内に射出された溶融状態の溶湯は、ガス抜き通路4や金型の隙間に入り込み、バリやフラッシュを発生させてしまう。このようなバリやフラッシュは鋳造品の生産に支障をきたすので、金型の隙間やガス抜き通路4をできるだけ狭くすることが行われている。
【0009】
しかしながら、キャビティ内に存在するガスは、溶湯の充填に伴って短時間で排気されるべきところ、隙間が狭いと排気できなくなる可能性が生じる。排気できなかったガスは製品に巻き込まれ、巻き込み巣となって製品不良の原因となってしまう。
【0010】
このようなことから、従来のダイカスト装置では、ガス抜き通路4の開口部分の厚さは、先端の溶湯が金型で冷されて凝固することで後から押し出されてくる溶湯をシールする湯先凝固を利用するために、0.1mm程度の狭窄部とされている。
【0011】
キャビティ内のガス抜きの技術としては、例えば特許文献1に、加圧ピンの先端にシール部(加圧ピンが摺動できる範囲での最小隙間)を設け、該先端部より後方に金型外部と連通させるガス通路を設け、当該加圧ピンを金型キャビティ内の最終充填箇所に配設して、該金型キャビティ内を直接加圧するとともに該キャビティ内のガス抜きを行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−39154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、加圧ピンにガス抜き機能を付加しているため、加圧ピンが配設されたキャビティ内の最終充填箇所のみでしかガス抜きを行うことができない。また、シール部で形成される隙間の大きさを一定に調整することが難しいため、溶湯が隙間を通過してしまう場合や、キャビティ内のガスを外部に十分に排出できない場合があり得る。
【0014】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、金型のキャビティ内からガス抜きを確実に行うことを可能とするガスフィルター、これを用いた金型装置、金型内部情報計測センサー、金型内ガス抜き方法及び射出成形品製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
また、金型のキャビティ内に充填して形成された射出成形品の良否判定を行うのに必要な情報として、少なくともガス圧を確実かつ正確に計測できるようにした金型内部情報計測センサーを提供することを目的としている。
【0016】
また、ガスフィルターの目詰まりを防止する鋳造品製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題の少なくとも1つを解決するために、本発明に係るガスフィルターは、金型のキャビティ内からガス抜きを行うガスフィルターであって、金属で形成され、軸方向に貫通するスリット状空間部を有する棒状部材を備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、ガスフィルターは、金属で形成され、軸方向に貫通するスリット状空間部を有する棒状部材を備えていることにより、熱伝達性が高く、溶湯の冷却能力が高いため、溶湯をスリット状空間部で湯先凝固させ、ガスのみを通すことができる。また、熱衝撃に強く強度が高いため破損する恐れがない。したがって、キャビティ内からのガス抜きを確実に行うことができる。
【0019】
上記発明において、前記棒状部材は、多重管構造を有する複数の管であり、前記複数の管同士の間に前記スリット状空間部が形成されていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、ガスフィルターは、溶湯を湯先凝固させてガスのみを通すことができ、また、強度が高いため、金型のキャビティ内からのガス抜きを確実に行うことができる。
【0021】
上記構成において、前記複数の管のうち最も小さい管には位置決め部材が配置され、前記位置決め部材の一方の端部側の外周面に位置し、前記複数の管の端面と当接する張出部を設け、前記張出部には、前記スリット状空間部に連通する連通路が形成されていることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、複数の管を位置決め部材に挿通することで、位置決め部材の張出部によって、ガスフィルターを簡易に精度高く作成することができる。また、スリット状空間部と連通路を通じて、ガスフィルターの軸方向にガスを通すことができる。
【0023】
上記発明において、前記複数の管それぞれの外周面には、該外周面から一定の高さを有する間隔保持部が形成されていることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、管の外周面から一定の高さを有する間隔保持部を形成することで、管同士の距離を一定にし、スリット状空間部の厚さを一定にすることができる。
【0025】
上記発明において、前記複数の管それぞれの内周面には、該内周面から一定の高さを有する間隔保持部が形成されていることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、管の内周面から一定の高さを有する間隔保持部を形成することで、管同士の距離を一定にし、スリット状空間部の厚さを一定にすることができる。
【0027】
上記発明において、前記間隔保持部は、軸方向に沿って複数形成されていることを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、軸方向にガスを通り易くすることができる。
【0029】
更に、本発明は、金型のキャビティ内からガス抜きを行うガスフィルターであって、金属で形成された棒状部材を備え、前記棒状部材は、中心付近から放射状に延びる1又は複数の軸方向に貫通したスリット状空間部を有するガスフィルターにおいて、そのスリット状空間部の横断面形状は曲線形状を含むことを特徴としている。
【0030】
本発明によれば、カット距離を長くすることができるため、スリット状空間部の容積を大きくすることができ、キャビティ内のガスを確実に多く排出することができる。また、棒状部材の強度を確保することができる。
【0031】
上記発明において、前記複数の管のうち径の最も小さい管には、位置決め部材が挿通され、前記位置決め部材の一方の端部側の外周面には張出部が設けられ、前記張出部には、前記スリット状空間部に連通する連通路が形成されていることを特徴とする。
【0032】
本発明によれば、複数の管を位置決め部材に挿通することで、位置決め部材の張出部によって複数の管の位置決めをすることができ、ガスフィルターを簡易に精度高く作成することができる。また、スリット状空間部と連通路を通じて、ガスフィルターの軸方向にガスを通すことができる。
【0033】
また、本発明に係る金型装置は、上記ガスフィルターを、金型のキャビティに通じるガス抜き配管に配設したことを特徴とする。
【0034】
本発明によれば、金属で形成されたガスフィルターは、冷却能力と強度が高いため、該ガスフィルターをガス抜き配管に配設することで、金型のキャビティ内からのガス抜きを確実に行うことができる。
【0035】
上記発明において、前記ガス抜き配管に接続された切替バルブと、前記ガス抜き配管の前記ガスフィルターが配設された位置と前記切替バルブが接続された位置との間に設けられ、前記切替バルブにより前記ガス抜き配管を大気から遮断した状態で前記ガス抜き配管内のガス圧を計測するガス圧センサーと、を備えたことを特徴とする。
【0036】
本発明によれば、前記切替バルブにより前記ガス抜き配管を大気から遮断した状態で前記ガス抜き配管内のガス圧をキャビティ内のガス圧として計測することができ、ガスフィルターをガス抜き以外の用途にも利用することができる。
【0037】
上記発明において、前記ガス圧センサーにより計測されたガス圧の低下勾配に基づいて、前記ガスフィルターの目詰まりを判定する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0038】
本発明によれば、ガスフィルターの目詰まりを自動で判定することができる。
【0039】
上記発明において、前記切替バルブに接続されたエア源を備え、前記エア源は、前記切替バルブの切替により前記ガス抜き配管と接続された際に、前記ガス抜き配管を介して前記ガスフィルターに圧縮空気を供給することを特徴とする。
【0040】
本発明によれば、切替バルブの切り替えにより、ガスフィルターに圧縮空気を供給し、ガスフィルターの冷却とクリーニングを行うことができる。
【0041】
上記発明において、前記切替バルブに接続された真空タンクを備え、前記真空タンクは、前記切替バルブの切替により前記ガス抜き配管と接続された際に、前記ガス抜き配管及び前記ガスフィルターを介して前記キャビティ内のガスを真空吸引することを特徴とする。
【0042】
本発明によれば、真空タンクを用いた真空吸引により、キャビティ内から確実にガスを抜くことができる。
【0043】
また、本発明に係る金型内部情報計測センサーは、金型に穿設され前記金型のキャビティに開口する装着孔に装着可能なロッド形ケーシングと、前記ロッド形ケーシングの先端に配置された上記ガスフィルターと、前記ガスフィルターの後方に設けられ前記ガスフィルターを通じて前記キャビティ内のガスを導入する導入室と、前記導入室内のガスの圧力を検出するガス圧センサーと、を有することを特徴とする。
【0044】
本発明によれば、ガスフィルターは冷却能力と強度が高いため、該ガスフィルターを通じてキャビティ内のガスを導入室に導入し、導入室内のガスの圧力を検出することで、確実かつ正確にキャビティ内のガス圧を測定することができる。
【0045】
また、本発明に係る金型内のガス抜き方法は、溶湯を金型のキャビティ内に充填して射出成形品を製造する際の金型内のガス抜き方法であって、前記キャビティに通じるように前記金型に穿設されたガス抜き通路に、上記ガスフィルターを配設し、前記ガスフィルターを介して前記キャビティ内のガス抜きを行うことを特徴とする。
【0046】
本発明によれば、前記ガスフィルターを介してキャビティ内のガス抜きを行うことで、金型のキャビティ内のガス抜きを確実に行うことができる。
【0047】
また、本発明に係る射出成形品製造方法は、金型のキャビティに通じるように前記金型に穿設されたガス抜き配管に上記ガスフィルターを配設した前記金型を用いて、射出成形品を製造する射出成形品製造方法であって、前記キャビティ内に溶湯を射出する工程で、前記ガス抜き配管の大気開放又は真空引きを行い、前記ガスフィルターを介して前記キャビティ内のガスを放出することを特徴とする。
【0048】
本発明によれば、前記ガスフィルターは冷却能力と強度が高いため、金型のキャビティ内からのガス抜きを確実に行うことができる。
【0049】
上記発明において、前記金型のキャビティ面への離型剤の塗布時と、型締め時と、型開き時とに、前記ガスフィルターに圧縮空気を供給することを特徴とする。
【0050】
本発明によれば、ガスフィルターを冷却しクリーニングすることができ、ガスフィルターに離型剤や水滴が付着して目詰まりするのを防止することができる。
【0051】
上記発明において、前記圧縮空気の供給が終了した後に、前記ガス抜き配管内のガス圧を計測することを特徴とする。
【0052】
本発明によれば、圧縮空気の供給が終了した後に、ガスフィルターが目詰まりしているか否かをチェックすることができる。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、ガスフィルターは、金属で形成され、軸方向に貫通するスリット状空間部を有する棒状部材を備えていることにより、熱伝達性が高く溶湯の冷却能力が高いため、溶湯をスリット状空間部で湯先凝固させ、ガスのみを通すことができる。また、熱衝撃に強く強度が高いため破損する恐れがない。したがって、金型のキャビティ内からのガス抜きを確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】ガスフィルターの正面図である。
図2】ガスフィルターのA−A’線断面図である。
図3】最も径の大きい管の正面図である。
図4図3に示す管のB−B’線断面図である。
図5】最も径の管に挿通される管の正面図である。
図6図5に示す管のC−C’線断面図である。
図7】位置決め部材の正面図である。
図8図7に示す位置決め部材のD−D’線断面図である。
図9】ガスフィルターの使用例を示す模式的断面図である。
図10】変形例に係るガスフィルターの正面図である。
図11】変形例に係るガスフィルターの側面図である
図12】他の変形例に係るガスフィルターの正面図である。
図13】他の変形例に係るガスフィルターの側面図である。
図14】第1の実施形態におけるダイカスト装置の模式的断面図である。
図15】ガスフィルターの設置箇所の模式的側面図である。
図16】第1の実施形態に係る鋳造品製造工程の説明図である。
図17】第2の実施形態におけるダイカスト装置の模式的断面図である。
図18】第2の実施形態における金型内部情報計測センサーの断面図である。
図19】第2の実施形態における鋳造品製造工程の説明図である。
図20】第3の実施形態におけるダイカスト装置の模式的断面図である。
図21】第3の実施形態における鋳造品製造工程の説明図である。
図22】従来におけるダイカスト装置に使用される金型を示す図である。
図23】従来におけるダイカスト装置において、金型のキャビティに金属を充填する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して詳細に説明する。
【0056】
図1は本発明の実施形態に係るガスフィルター50の正面図であり、図2はガスフィルター50のA−A’線断面図である。ガスフィルター50は、金型のキャビティに通じる通路に配設され、当該キャビティ内のガスを排出するために用いられる。これらの図に示すように、ガスフィルター50は、径の異なる複数の管51、52及び位置決め部材55を、同心状に配設した多重管構造を有している。管51、52及び位置決め部材55は、金属で形成されている。ここで「金属」とは、広義に解し、熱をよく伝え、強度が高く、常温で固体の物質をいう。
【0057】
図3は最も径の大きい管51の正面図であり、図4図3に示す管51のB−B’線断面図である。図5は管51に挿通される小さい径の管52の正面図であり、図6図5に示す管52のC−C’線断面図である。図7は管52に挿通される位置決め部材55の正面図であり、図8図7に示す位置決め部材55のD−D’線断面図である。
【0058】
管51、52それぞれの外周面には、当該外周面から一定の高さを有する4つの間隔保持部53が、軸方向に沿って等間隔に配置されており、管52を管51に挿通した場合、管52の間隔保持部53が管51の内周面に接触するようになっている。したがって、管52を管51に挿通した状態では、図1に示すように、管51、52の間に、軸方向に貫通した、厚さの薄いスリット状空間部54が形成される。
【0059】
位置決め部材55は、冷却効果を向上させるために、ベリリウム鋼材で形成されている。位置決め部材55は、図1、2、7、8に示すように、円筒部55aを有している。円筒部55aの外周面にも、管51、52と同様に、当該外周面から一定の高さを有する4つの間隔保持部53が軸方向に沿って等間隔に配置されており、円筒部55aを管52に挿通した場合、円筒部55aの間隔保持部53が管52の内周面に接触するようになっている。円筒部55aの一方の端部側の外周面には、当該外周に沿って張出部55bが設けられている。張出部55bには、外周面から内側に向かって切り欠かれたスリット状の連通路55cが設けられている。管51,52、位置決め部材53をガスフィルター50に組み立てた状態では、連通路55cとスリット状空間部54とは連通し、ガスフィルター50の軸方向にガスを通すことができる。
【0060】
ガスフィルター50を組み立てる際に、位置決め部材55に管51、52を挿通した場合、張出部55bによって管51、52の位置決めをすることができるため、ガスフィルター50を精度高く容易に製造することができる。
【0061】
なお、管51、52の間隔保持部53、及び位置決め部材55の連通路55cは、エッチングにより形成することもできるし、ワイヤーカット放電加工により形成することもできる。
【0062】
図9は、ガスフィルター50の使用例を示す模式的断面図である。同図に示すガスフィルター50は、図1に示すA−A’線断面が示されている。同図では、ガスフィルター50は、金型のキャビティに通じる通路に配置されている。ガスフィルター50は、当該ガスフィルター50よりも径の大きい外筒ホルダー内に挿入されている。外筒ケーシングの先端部分の内径は他の部分よりも拡径しており、当該拡径部分にガスフィルター50が装着され固定されている。また、ガスフィルター50の中心の空間部には、例えばロード検知や温度検知を行うための小径の円柱状部材が挿入されている。外筒ケーシングと円柱状部材の間には通気路が形成されている。
【0063】
すなわち、最外周に外筒ホルダー、中心部に円柱状部材、それらの間にガスフィルター50が同心円状に配列され、ガスフィルターユニットを形成している。
【0064】
このガスフィルターユニットは、金型のキャビティに通じる通路のうち、キャビティ側の端部に配置される。ガスフィルター50の張出部55b側は、キャビティ側とは反対側に配置される。
【0065】
管51、52、位置決め部材55に設ける間隔保持部53は、溶湯や金型12の温度、射出速度、圧力等にもよるが、管50a、50bの外周面からの高さを0.04mm〜0.10mm程度とするのが好ましい。このような厚さとすることにより、スリット状空間部54の厚さも0.04mm〜0.10mm程度とすることができ、当該スリット状空間部54にキャビティから溶湯が入り込んだ場合、湯先は金属で形成された管50a、50bの高い熱伝達性により即座に冷却され、スリット状空間部54から溶湯が通路側に流れ出る前に湯先凝固が起きる。これにより、スリット状空間部54に入り込んだ溶湯がスリット状空間部54から通路側に流れ出ることはなく、スリット状空間部54はガスのみを通すことができる。
【0066】
なお、位置決め部材55の張出部55bに設ける連通路55cは、軸方向にガスを通過できるようにするものであればよく、スリットに限らず例えば貫通孔であってもよいし、張出部55bの張出し量を少なくすることで張出部55bの外側と外筒ケーシングとの間に空間を形成してもよい。また、位置決め部材55の形状は、円筒形状に限らず、中心部の空間が必要ない場合には円柱形状であってもよい。
【0067】
また、本実施形態では、各管51、52、位置決め部材55の外周面に間隔保持部53が形成されている場合について説明したが、これに限らず、各管51、52、位置決め部材55の内周面に間隔保持部53を形成してもよい。また、間隔保持部53の数は4つに限らず、2つでも3つでも、或いは5つ以上であってもよい。また、間隔保持部53の形状は、ガスフィルター50の軸方向に直線状に延びる形状に限定されることはなく、各管51、52同士の距離、すなわちスリット状空間部54の厚さを一定に保ち、当該スリット状空間部54を介して軸方向にガスを通すことができる形状であれば、どのような形状であってもよい。例えば、間隔保持部53が螺旋形状であってもよい。また、管51、52のみに間隔保持部53を設け、位置決め部材55に間隔保持部53を設けなくてもよい。また、位置決め部材55を用いずに、間隔保持部53が形成された径の異なる複数の管を多重管構造とすることによってガスフィルター50を形成してもよい。
(ガスフィルターの変形例)
上述したガスフィルター50の構成は一例に過ぎず、ガスフィルターは、金属で形成されており、軸方向に貫通するスリット状空間部を有する棒状の部材であればよい。
【0068】
図10図13にガスフィルターの変形例を示す。図10は変形例に係るガスフィルター50Aの正面図であり、図11は当該ガスフィルター50Aの側面図である。
【0069】
これらの図に示すように、ガスフィルター50Aは円柱形状を有している。また、この変形例に係るガスフィルター50Aも金属で形成されている。ガスフィルター50Aには、外周面から中心方向に直線状に切り欠かれたスリット56が、22.5°間隔で16本形成されている。図10に示すように、ガスフィルター50Aを正面から見ると、複数の直線状のスリット56が、中心付近から円周側に放射状に延びている。スリット56は、長さの異なる長スリット56aと短スリット56bで構成され、長スリット56aと短スリット56bが交互に形成されている。また、図11に示すように、各スリット56は、円柱の軸方向に貫通しており、軸方向にガスを通すことができる。各スリット56a、56bは、上述した実施形態と同様に0.4mm〜1mm程度の厚さを有している。本変形例では、このスリット56が「スリット状空間部」を構成する。このようなスリット56は、ワイヤーカット、放電加工、レーザ加工等により形成することができる。上記のようなガスフィルター50Aとすることにより、ガスフィルター50よりもスリット状空間部の容積を大きくすることができるため、ガスフィルター50Aからスリット状空間部に入り込んだ溶湯への熱伝達性を高めることができ、溶湯の冷却速度を速くすることができる。
【0070】
なお、上述したスリット56の数と長さは一例に過ぎず、例えば、同じ長さのスリットを複数設けてもよいし、スリットの数は通気性と強度を勘案して任意の数とすることができる。また、上述した実施形態と同様に、ガスフィルター50Aの中心部に空間を設けて、ガスフィルター50Aを円筒形状としてもよい。
【0071】
図12は他の変形例に係るガスフィルター50Bの正面図であり、図13は当該ガスフィルター50Bの側面図である。
【0072】
本変形例に係るガスフィルター50Bも金属で形成され、円柱形状を有している。ガスフィルター50Bは、当該ガスフィルター50Bに設けられたスリット57の形状及び数が、ガスフィルター50Aに設けられたスリット56と異なっている。本変形例においては、図12に示すように、スリット57の正面形状、換言すれば、軸方向に垂直な方向で切断した面(横断面)の形状は、両端が直線形状であり、中央部が半円形状となっている。このスリット57は、45度間隔で外周面から中心方向にワイヤーカット放電加工等で切り欠くことにより形成されている。スリット57をこのような形状とすることで、直線形状とする場合よりもカット距離を長くとることができるため、スリット57で形成される空間の容積を大きくすることができる。したがって、スリット57内のガスの通過量を多くし、キャビティ14内のガスを確実に多く排出することができるとともに、溶湯への熱伝達性を高め、溶湯を即座に冷却することができる。また、ガスフィルター50Bの強度を確保することができる。ガスフィルター50Bのその他の構成は上述したガスフィルター50Aと同様である。なお、スリット57の横断面形状は上述した半円形状を含む形状に限らず、任意の曲線形状を含む形状としてもよい。
【0073】
なお、スリットの形状はこれらの変形例に限定されることはなく、任意の形状とすることができる。例えば正面から見た形状が渦巻き形状をしていてもよい。
(第1実施形態)
次に、上述したガスフィルター50を、ダイカスト装置10の金型12に設けられたキャビティ14内のガス抜きに用いる場合の第1の実施形態について説明する。
【0074】
図14は、ダイカスト装置10の模式的断面図である。同図に示すように、ダイカスト装置10は、固定金型12aと可動金型12bとを備えた金型12を有している。固定金型12aと可動金型12bの合せ面に、製品の鋳型となるキャビティ14が形成されている。このキャビティ14には、溶湯射出装置20から押し出された溶湯28をキャビティ14に導入するゲート16が接続開口されている。溶湯射出装置20は、金型12のランナー17に接続されており、中空のスリーブ22と、スリーブ22内に配置されたプランジャ24を備えている。スリーブ22内には図示しない溶湯供給装置から溶湯28が供給され、プランジャ24の押し出しにより溶湯28がゲート16を通じてキャビティ14に射出される。プランジャ24は図示しない射出駆動手段により作動される。また、キャビティ14内の湯流れ方向に沿った下流側(図1では上部位置)の可動金型12bのキャビティ14側端部には、キャビティ14の面に端面を一致させて、上述したガスフィルター50が配置されている。ガスフィルター50のキャビティ14側とは反対側の端面には、ガス抜き配管62の一端が接続され、ガス抜き配管62は金型12の外部まで延びている。
【0075】
図15は、ガスフィルター50の設置箇所の模式的側面図である。ガスフィルター50は、当該ガスフィルター50よりも径の大きいホルダー58内に装着され、当該ホルダー58は可動金型12bのキャビティ14側の一端部に留めネジで固定されている。ガスフィルター50の一端面は、キャビティ14面と同一面に配置され、他端面はカプラ59を介してガス抜き配管62に接続されている。ガス抜き配管62は、ビニールのチューブで形成されている。ガスフィルター50の中心部の空間は、図示せぬ部材が挿入されて塞がれている。なお、ガス抜き配管62を銅パイプとしてもよく、この場合には当該銅パイプをガスフィルター50にロウ付けすればよい。
【0076】
図14に示すように、ガス抜き配管62は、金型12の外部まで延びている。ガス抜き配管62の他端は、切替バルブ70に接続されている。ガス抜き配管62の途中には、ガス抜き配管62内のガス圧を測定するガス圧センサー72が設けられている。
【0077】
切替バルブ70はエア調整部80を介してエア源88に接続されている。切替バルブ70を切り替えることにより、エア源88とガス抜き配管62を接続して圧縮空気をガスフィルター50に供給したり、ガス抜き配管62を大気開放してガスフィルター50を介してキャビティ14内からガスを放出したり、ガス抜き配管62を外部から遮断したりすることができる。
【0078】
切替バルブ70は、本実施形態では4方向4ポート3位置電磁弁である。切替バルブ70は、第1ソレノイド70aと第2ソレノイド70bを備えており、第1ソレノイド70aと第2ソレノイド70bのON(励磁)・OFFで弁体の位置を切り替える。
【0079】
制御装置40からの制御信号により、切替バルブ70の第1ソレノイド70a、第2ソレノイド70bのON・OFFが制御される。第1ソレノイド70a、第2ソレノイド70bがOFFのときには、切替バルブ70は閉状態となり、ガス抜き配管62は外部から遮断される。第1ソレノイド70aのみをONすることにより、ガス抜き配管62が大気開放される。なお、このときに、切替バルブ70を介してガス抜き配管62に真空タンク74を接続し、強制吸引してもよい。また、第2ソレノイド70bのみをONすることにより、エア源88とガス抜き配管62とが接続され、エア源88からの圧縮空気がガス抜き配管62を通ってガスフィルター50に送られ、ガスフィルター50のエアブローが行われる。
【0080】
エア源88と切替バルブ70との間に設けられているエア調整部80は、空気から水滴やごみを除去するエアフィルター80aと、圧縮空気の圧力を調整するレギュレータ80bと、圧縮空気にミスト状の潤滑油を混入させるバブリケータ80cと、圧力計80dと、を備えており、エア源88からの空気圧等を調整してガス抜き配管62側に送出する。
【0081】
制御装置40は、図示せぬ、CPUと、メモリ・ハードディスク等の記憶装置と、入出力インターフェースと、モニター装置と、内部時計と、を備えており、記憶装置には各種制御を行うためのプログラムやデータが記憶されている。
【0082】
制御装置40は、切替バルブ70、ガス圧センサー72、溶湯射出装置20の射出駆動手段等の各部に電気的に接続されており、CPUが記憶装置に記憶されているプログラムに従って処理を実行することにより、外部から指示データを受信したり、電気的に接続された各部から検知データ、測定データ等を受信し、これらのデータをメモリに記憶したりモニター装置に表示したり、各部に制御信号を送信して各部の動作を制御したりする。
【0083】
次に、上述したダイカスト装置10による鋳造品製造の動作例について、図16を参照して説明する。制御装置40の電源を投入すると、制御装置40から切替バルブ70に制御信号が送信され、切替バルブ70の第2ソレノイド70bがONとなる。第2ソレノイド70bがONの状態では、エア源88から切替バルブ70を介してガスフィルター50に圧縮空気が供給され、エアブローによりガスフィルター50の冷却及びクリーニングが行われる。
【0084】
まず、溶湯が金型12に焼き付くのを防止し型離れをよくするために、金型12のキャビティ14の面に離型剤をスプレーで塗布する(ステップS1)。この時には、ガスフィルター50のエアブローが行われているため、ガスフィルター50に離型剤が付着するのを防止することができる。
【0085】
次に、可動金型12bを固定金型12a側へ移動させて、型締めを行う(ステップS2)。
【0086】
型締めが完了した後に、切替バルブ70を閉じた状態でガス圧センサー72を用いてガス圧の低下勾配を計測して、金型12の冷却液やスプレー液がガスフィルター50内に入ることにより、ガスフィルター50が目詰まりしていないことを確認する(ステップS3)。具体的には、第2ソレノイド70bをOFFにして切替バルブ70を閉状態にする。この状態で、ガス抜き配管62に設けたガス圧センサー72によってガス抜き配管62内のガス圧を計測し、計測結果を制御装置40に送信する。制御装置40は、ガス圧センサー72によって計測されたガス圧の低下勾配に応じて、ガスフィルター50が目詰まりをしているか否かを判断する。例えば、ガス圧の低下勾配が予め設定された勾配よりも急であり、急激にガス圧が低下する場合には、ガスフィルター50が目詰まりしていないと判断する。一方、ガス圧の低下勾配が予め設定された勾配よりも緩やかであり、圧力降下が遅い場合には、ガスフィルター50が目詰まりしていると判断する。
【0087】
ガスフィルター50が目詰まりしていると判断した場合には、制御装置40はアラームを出力し処理を中止する。一方、ガスフィルター50が目詰まりしていないと判断した場合には、切替バルブ70の第1ソレノイド70aをONにして外部に通じる弁体を開き、ガス抜き配管62を大気開放する。この際、切替バルブ70を介してガス抜き配管62に真空タンク74を接続し、真空吸引を行ってもよい。
【0088】
次に、溶湯射出装置20からスリーブ22内に溶湯を供給する(ステップS4)。次に、射出駆動手段により、プランジャ24を金型12に向かって移動させ、射出動作を開始する(ステップS5)。プランジャ24の移動に応じて、キャビティ14内に溶湯が充填されていく。
【0089】
このときにガス抜き配管62は大気開放又は真空吸引されているため、ガスフィルター50の連通路55c、スリット状空間部54、ガス抜き配管62、切替バルブ70を介して、キャビティ14内のガスが外部に放出される。この時に、ガスフィルター50の連通路55c及びスリット状空間部54には溶湯が入り込むが、スリット状空間部54の厚さは0.04mm〜0.10mm程度であり、かつ、ガスフィルター50は金属で形成されているため、溶湯はスリット状空間部54内で即座に冷やされて湯先凝固する。このため、溶湯はガス抜き配管62側に流れ込むことはなく、ガスのみをガス抜き配管62側に通すことができる。
【0090】
また、ガスフィルター50は金属で形成されているため強度が高く、セラミック等よりも熱衝撃に強く破損する恐れがないため、射出時にガスフィルター50を介してキャビティ14内のガス抜きを確実に行うことができ、内部に巣のない高品質の鋳造品を製造することができる。
【0091】
射出が完了してから所定時間保持することで、キャビティ14内に充填された溶湯が冷却され、凝固して鋳造品が成形される。次に、型開きを行い、鋳造品を金型12から取り出す(ステップS6)。型開きの際には、切替バルブ70の第2ソレノイド70bをONにして、エア源88から切替バルブ70を介してガスフィルター50に圧縮空気を供給し、ガスフィルター50を冷却及びクリーニングする。なお、この後、ステップS3と同様にガス圧を計測して、ガスフィルター50の目詰まりをチェックしてもよい。以上で1つの鋳造品の製造工程が終了する。
【0092】
なお、上述した実施形態では、金型12に1本のガス抜き配管62を設け、当該ガス抜き配管62に1つのガスフィルター50を配置してキャビティ14内のガス抜きを行ったが、これに限定されることはなく、金型12に複数のガス抜き配管62を設け、各ガス抜き配管62にガス抜きフィルター50を配置して、キャビティ14内のガス抜きを行ってもよい。また、ガス抜き配管62は、可動金型12bのみならず、固定金型12aに設けてもよい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0093】
図17は、第2実施形態におけるダイカスト装置10Aの模式的断面図である。第2実施形態に係るダイカスト装置10Aは、第1実施形態に係るダイカスト装置10の構成に加えて、金型内部情報計測センサー100で金型12内部のガス圧、溶湯圧力、溶湯温度等を計測するための構成が付加されている。
【0094】
具体的には、金型12には、キャビティ14に開口するセンサー装着孔64が貫通形成されている。センサー装着孔64には、ガス圧、溶湯圧力、溶湯温度の各々を検出するセンサーを一つのロッド形ケーシングに内蔵した金型内部情報計測センサー100が取り付けられる。金型内部情報計測センサー100に内蔵するセンサーは単独センサーでもよく、ガス圧センサー、溶湯圧力センサー、溶湯温度センサーから選択された2種のセンサーをロッドに内蔵させたり、あるいは3種のセンサーをロッドに内蔵させる形態を適宜とることができる。
【0095】
キャビティ14のセンサー装着孔64が開口する周囲領域は平坦面に形成されている。これにより、計測ロッド102の先端面がキャビティ14の面に一致する形態で取り付けることができる。
【0096】
図18は金型内部情報計測センサー100の断面図である。同図に示すガスフィルター50は、図1に示すA−A’線断面を示している。この金型内部情報計測センサー100は、センサー装着孔64に挿入し、先端面をキャビティ14の面に一致させるように取り付け可能な計測ロッド102と、当該計測ロッド102の基端に設けられ可動金型12bの外部に位置されるセンサーブロック104とを有している。
【0097】
センサー装着孔64の長さに対応できるように、計測ロッド102の途中の外周部分には、食込み継手106と止めネジ108からなる固定ユニット110が摺動可能に取り付けられている。キャビティ14の面に合わせて計測ロッド102の先端部位置を調整し、止めネジ108をセンサー装着孔64に締め付け、食込み継手106を回して計測ロッド102の外周面に食込ませることによって、計測ロッド102が定位置に固定される。
【0098】
計測ロッド102は、外筒ケーシング112と、その中心部に軸芯方向に沿って配置される圧力伝達ロッド114とを有している。前記圧力伝達ロッド114は、前記外筒ケーシング112の内径よりは小径の外径を持つ円柱体であり、外筒ケーシング112と圧力伝達ロッド114の間には通気路115が形成されている。計測ロッド102の先端部分にて、外筒ケーシング112の内径を少し拡径させるとともに、前記圧力伝達ロッド114の先端も圧力伝達ロッド114の本体部分より小径断面に形成している。計測ロッド102と圧力伝達ロッド114との間には、上述した多重管構造のガスフィルター50が装着されている。ガスフィルター50は張出部55b側が計測ロッド102の先端側とは反対側に配置されるように装着されている。計測ロッド102の先端面は、最外周に外筒ケーシング112の端面、中心部に圧力伝達ロッド114の端面、それらの間にガスフィルター50が同心円状に配列され、この先端面を可動金型12bに取り付けることによってキャビティ14面の一部を構成可能となっている。ガスフィルター50には軸方向に連通するスリット状空間部54と連通路55cが設けられているため、キャビティ14内のガスがガスフィルター50で溶湯と分離されて通気路115に導入可能となっている。
【0099】
上述した構成のガスフィルター50を金型内部情報計測センサー100に用いることにより、セラミック等の多孔質フィルターを用いる場合よりも熱衝撃に強いため、高い通気性を確保しつつ破損を防止することができ、ガスのみを効率よく確実に金型内部情報計測センサー100内に導入することができる。
【0100】
計測ロッド102の基部はセンサーブロック104に取り付けられる。センサーブロック104は、図18に示すような矩形のブロック本体120を有している。このブロック本体120には、ガス導入室122が一面に開口形成され、隔壁124を挟んで反対面に第1センサー室126が同一軸芯上に並んで開口形成されている。前記隔壁124にはガス導入室122と第1センサー室126とを連通する貫通孔が形成されている。
【0101】
このようなセンサーブロック104に対して前記計測ロッド102が取り付けられる。すなわち、計測ロッド102の外筒ケーシング112の基端部がブロック本体120の前記ガス導入室122の入口開口に拡開形成されたケーシング取付孔122aに装着され、外筒ケーシング112の外周とブロック本体120とのコーナ部分が溶接により結合されている。
【0102】
また、計測ロッド102における圧力伝達ロッド114の基端は外筒ケーシング112より長くなっており、この基端部は前記隔壁124の貫通孔を貫通し、第1センサー室126に延在している。前記貫通孔は、Oリング130にて圧力伝達ロッド114との隙間を封止しつつ、圧力伝達ロッド114を軸受支持する。したがって、圧力伝達ロッド114は、外筒ケーシング112の先端部内周に設けられたガイドブッシュ118と、センサーブロック104の隔壁124に設けられた貫通孔とにより2点支持されて、外筒ケーシング112の内部でその軸芯方向に移動可能となる。圧力伝達ロッド114の先端が圧力を受けることにより、当該圧力伝達ロッド114が軸方向に押圧され、センサーブロック104の第1センサー室126の開口側に向けて移動される。
【0103】
前記圧力伝達ロッド114の基端部端面には、圧力伝達ブロック134とロードセル136が積層されて対面配置されている。一方、センサーブロック104には、前記積層された圧力伝達ブロック134とロードセル136とを圧力伝達ロッド114の間で挟着するように、ロードセル136の背面に対向して、第1センサー室126の開口を覆うブロック蓋132が取り付けられている。これにより、圧力伝達ロッド114の先端で受けた力が、ブロック蓋132の内面部を支持面として、ロードセル136及び圧力センサー134に伝わり、その荷重を検出することができる。これにより、キャビティ14内に充填された溶湯のメタル圧を計測することができる。
【0104】
一方、計測ロッド102の外筒ケーシング112と圧力伝達ロッド114との間に形成されている通気路115は、センサーブロック104の内部でガス導入室122に連通されている。センサーブロック104には、ガス導入室122に通じる第2センサー室138がブロック外周面に開口形成されている。この第2センサー室138の開口部には、ガス圧センサー140が開口部を密封するように配置されている。前記ガス圧センサー140は例えばセラミック圧電素子を用いた圧電型荷重検出センサーが使用される。第2センサー室138はセンサー固定ボルト144で封止される。これにより、計測ロッド102の先端側のガスフィルター50を通じて金型内部情報計測センサー100内に導入されたキャビティ14内のガスが、通気路115を経由してガス導入室122から第2センサー室138に導入され、ガス圧センサー140によってその圧力が計測される。
【0105】
前記ガス導入室122には、パージエア導入孔146が開口されている。このパージエア導入孔146には圧縮エア供給管148が接続され、エア源88から圧縮空気を供給できるようにしている。これにより、圧縮空気を、ガス導入室122を介して、ガスフィルター50側に流し、ガスフィルター50の目詰まりをチェックすることができる。
【0106】
また、前述した圧力伝達ロッド114の軸芯部には細孔150が穿設されている。この細孔150は圧力伝達ロッド114の先端中央に開口されており、ここをメタル温度検出端151としている。メタル温度検出端151には溶損防止のためにSKD材から構成し、熱電対152の検出部を埋め込んでいる。細孔150の内部には熱電対152のリード線158が引き回されており、このリード線158は、圧力伝達ロッド114の基端に形成した切り込み溝160を介してブロック外に導出される。
【0107】
本実施形態では、センサーブロック104に端子ボックス162を付帯させ、ここにロードセル136、ガス圧センサー140、熱電対152の各種リード線を導いている。そして、端子ボックス162を介して各センサー類は図示しない計測器に接続され、当該計測器は所定の計測データを出力して制御装置40に送信し、必要に応じて表示手段に表示させることができる。
【0108】
なお、本実施形態では、金型内部情報計測センサー100を可動金型12bに取り付けたが、固定金型12aに取り付けてもよい。
【0109】
次に、上述したダイカスト装置10Aによる鋳造品製造の動作例について、図19を参照して説明する。ここでは、第1実施形態で説明した動作と異なる動作のみ説明する。
【0110】
ステップS0において、上述した金型内部情報計測センサー100の計測ロッド102を、可動金型12bのセンサー装着孔64に差し込み、計測ロッド102の先端面がキャビティ14の面と同一面となるようにした状態で、センサー100の固定ユニット110により固定する。
【0111】
ステップS5における射出動作中には、キャビティ14に臨んだ金型内部情報計測センサー100の計測ロッド102の先端に溶湯のメタル圧が作用し、圧力伝達ロッド114が押され、この力がロードセル136により検出される。同時に、ガスフィルター50を通じてキャビティ14内部のガスが金型内部情報計測センサー100の通気路115を経てガス導入室122に導入され、そのガス圧がガス圧センサー140により検出される。また、圧力伝達ロッド114の先端部に設けられているメタル温度検出端151により溶湯温度が検出される。
【0112】
このように金属製のガスフィルター50を金型内部情報計測センサー100に用いることで、セラミックを用いるよりも熱衝撃に強いため破損することがなく、また冷却能力が高い。したがって、ガスのみを確実に通気路115に導入することができ、キャビティ14内のガス圧を確実かつ正確に計測することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0113】
図20は、第3実施形態におけるダイカスト装置10Bの模式的断面図である。第3実施形態に係るダイカスト装置10Bは、第2実施形態に係るダイカスト装置10Aの構成に加えて、射出中に排気側通路18からキャビティ14内のガスを排出する排気側通路18、キャビティ14内の溶湯の充填が完了した時に排気側通路18を閉鎖するシャットバルブ30、シャットバルブ30を制御する機構等が設けられている。
【0114】
具体的には、ゲート16側通路のキャビティ14の入口部には、溶湯が達したことを検出する入口センサー26Aが配置されている。また、排気側通路18のキャビティ14の出口部には、溶湯が達したことを検出する出口センサー26Bが配置されている。これら溶湯検出センサー26(入口センサー26A、出口センサー26B)としては、例えば、溶湯28の電気導電性を利用し、溶湯28が溶湯検出センサー26の先端面に付着したことによって電気的な短絡状態となるように構成されたものを用いればよい。各センサー26A、26Bに溶湯が達したことが検出された時点間の差は、溶湯28がキャビティ14内に流入してから完全に充填されるまでの溶湯充填時間となる。
【0115】
前記排気側通路18の下流側には、排気側通路18を開放・遮断するシャットバルブ30が配置されている。シャットバルブ30は、当該シャットバルブ30に電気的に接続された制御装置40からの制御により、溶湯充填時間の満了とともに排気側通路18を遮断する。
【0116】
シャットバルブ30は、駆動形式を問わないが、本実施形態では、電磁作動バルブ機構によって構成されており、作動コイルへの通電により弁体によって通路を遮断するようにしている。具体的には、シャットバルブ30は、シリンダ30a内を往復移動可能に装着されたスプール30bを有し、電磁コイル30cへの通電・遮断によりスプール30bを往復駆動させる。スプールロッド30dの先端部には、ポペット型弁体30eが形成され、これを排気側通路18に臨ませ、排気側通路18の壁面に形成された弁座30fに着座させることで、排気側通路18を遮断し、キャビティ14側と大気との間の通気をカットすることができるようにしている。弁座30fの中央部には大気側に通じる通路が形成されている。シャットバルブ30は通常は排気側通路18を開放している常開バルブとして構成されており、溶湯28が出口センサー26Bに到達した時点で閉状態となるように制御装置40により駆動される。
【0117】
また、シャットバルブ30にはポペット型弁体30eによる排気側通路18を大気開放する開弁位置と、当該通路18を閉鎖する閉弁位置と、を検出するリミットスイッチ34A、34Bが配置されている。リミットスイッチ34A、34Bは、スプール30bの移動前進限と後退限を検出し、その検出信号を制御装置40に出力する。
【0118】
次に、上述したダイカスト装置10Bによる鋳造品製造の動作例について、図21を参照して説明する。ここでは、第2実施形態で説明した動作と異なる動作のみ説明する。
【0119】
ステップS5の射出動作において、1回目の射出時には、制御装置40は、入口センサー26A及び出口センサー26B各々から検出信号が出力された各時点の時間差を「溶湯充填時間」としてメモリに記憶する。なお、シャットバルブ30の作動遅れを考慮するために、シャットバルブ30を閉状態とするための制御信号をシャットバルブ30に送信してから、シャットバルブ30のスプール30bが排気側通路18を閉鎖する方向に移動してリミットスイッチ34Aから検出信号を受信するまでの時間を計測し、当該時間を「動作遅れ時間」としてメモリに記憶しておいてもよい。
【0120】
2回目以降の射出時には、制御装置40は、入口センサー26Aから検出信号を受信した時点から時間を計時し、予めメモリに記憶しておいた「溶湯充填時間」が経過したときに、シャットバルブ30を閉状態とするための制御信号をシャットバルブ30に送信する。これにより、シャットバルブ30のスプールロッド30dが駆動され、排気側通路18を閉鎖する。なお、シャットバルブ30の作動遅れを考慮する場合には、制御装置40は、入口センサー26Aから検出信号を受信した時点から、予めメモリに記憶しておいた「溶湯充填時間」から「作動遅れ時間」を減算した時間が経過したときに、制御信号を送信すればよい。また、制御装置40は、今回の射出動作における「溶湯充填時間」及び「作動遅れ時間」を計測し、当該計測した時間で、メモリに記憶されている「溶湯充填時間」及び「作動遅れ時間」を更新する。
【0121】
第3実施形態では、射出時に排気側通路18とガス抜き配管62の両方を用いてキャビティ14内のガス抜きを行い、溶湯がキャビティ14内に完全に充填された時点でシャットバルブ30を閉状態にすることができるため、確実にキャビティ14内のガス抜きを行うことができ、内部に巣のない高い品質の鋳造品を製造することができる。上記以外の動作は第2実施形態と同様である。
【0122】
なお、第3実施形態においては、射出時に金型内部情報計測センサー100を用いてキャビティ14内のガス圧を計測したが、ガス圧センサー72を用いてキャビティ14内のガス圧を計測するようにしてもよい。ガス圧センサー72を用いてキャビティ14内のガス圧を計測する場合には、ガス抜き配管62内のガスが外部に漏れないように切替バルブ70を閉状態にして、ガス抜き配管62を大気から遮断した状態で計測する必要がある。射出時に切替バルブ70を閉状態に切り替えるためには、制御装置40が備えるグラフィックパネルに、ガス圧センサー72をガス抜きに用いる標準モードと、ガス圧計測に用いるガス圧計測モードと、を選択するための切替スイッチを設けるとよい。そして、制御装置40は、外部からの切替スイッチの操作によりガス圧計測モードが選択されたことを検知した場合、射出開始時に閉状態への切替を指示する制御信号をバルブ70に送信するようにすればよい。そして、制御装置40は、ガス圧センサー72により計測されたガス圧のデータを受信し、モニター装置に射出時のガスのピーク圧を表示するようにすればよい。
【0123】
なお、上述した実施形態では、ガスフィルター50を用いてダイカスト装置10のキャビティ14内のガスを排出する例について説明したが、ガスフィルター50A、50Bを用いてもよい。また、ガスフィルター50、50A、50Bを用いることができる装置はダイカスト装置10に限定されることはなく、例えば、鋳造品、樹脂成型品、プラスチック成型品等を製造する重力鋳造機、低圧鋳造機、射出成形機等の、金型を備えたあらゆる装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0124】
10、10A、10B………ダイカスト装置、12………金型、12a………固定金型、12b………可動金型、14………キャビティ、16………ゲート、18………排気側通路、20………溶湯射出装置、22………スリーブ、24………プランジャ、30………シャットバルブ、64………センサー装着孔、100………金型内部情報計測センサー、102………計測ロッド、104………センサーブロック、106………食込み継手、108………止めネジ、110………固定ユニット、112………外筒ケーシング、114………圧力伝達ロッド、115………通気路、116………多孔質フィルター、119………通気孔、120………ブロック本体、122………ガス導入室、122a………ケーシング取付孔、124………隔壁、126………第1センサー室、130………Oリング、132………ブロック蓋、134………圧力伝達ブロック、136………ロードセル、138………第2センサー室、140………ガス圧センサー、142………押さえブロック、144………センサー固定ボルト、146………パージエア導入孔、148………圧縮エア供給管、150………細孔、151………メタル温度検出端、152………熱電対、158………リード線、160………切り込み溝、162………端子ボックス、40………制御装置、50………ガスフィルター、51、52………管、53………間隔保持部、54………スリット状空間部、55………位置決め部材、55a………円筒部、55b………張出部、55c………連通路、56、57………スリット、56a………長スリット、56b………短スリット、58………ホルダー、59………カプラ、62………ガス抜き配管、70………切替バルブ、70a………第1ソレノイド、70b………第2ソレノイド、72………ガス圧センサー、74………真空タンク、80………エア調整部、88………エア源。
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