特許第6134981号(P6134981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6134981パレットベース及びデッキからなるフレックスアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134981
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】パレットベース及びデッキからなるフレックスアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/32 20060101AFI20170522BHJP
   B65D 19/26 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   B65D19/32 B
   B65D19/26
【請求項の数】24
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2013-519650(P2013-519650)
(86)(22)【出願日】2011年7月13日
(65)【公表番号】特表2013-530899(P2013-530899A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】US2011001225
(87)【国際公開番号】WO2012009011
(87)【国際公開日】20120119
【審査請求日】2014年6月28日
(31)【優先権主張番号】61/363,950
(32)【優先日】2010年7月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513009646
【氏名又は名称】エー・アール・アリーナ・プロダクツ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】A.R.ARENA PRODUCTS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100081352
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 章一
(72)【発明者】
【氏名】ウィルコックス、ドナルド・イー
(72)【発明者】
【氏名】アリーナ、チャールズ・エス
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03413752(US,A)
【文献】 実公昭51−024695(JP,Y1)
【文献】 実公昭53−026763(JP,Y1)
【文献】 米国特許第04198034(US,A)
【文献】 米国特許第04597338(US,A)
【文献】 特開平10−230937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D19/00−19/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ボデー及び第2ボデーを含むパレットであって
前記第1ボデー、該第1ボデーから突出する複数の第1凸部を有し、前記複数の第1凸部のうち少なくとも2つの第1凸部は少なくとも1つの第1インターロッキング部材を備え、前記第1凸部の各々及び前記第1インターロッキング部材の各々は、前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方と比較して剛直であ
前記第2ボデーは、下記のいずれかを有
(i)それぞれ対応する第1インターロッキング部材と係合するための、第2ボデー内に配置された、前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方と比較して剛直である複数の第2インターロッキング部材、又は
(ii)前記第2ボデーから突出する複数の第2凸部であって、前記複数の第2凸部のうち少なくとも2つの該第2凸部はそれぞれ対応する第1インターロッキング部材と係合するための少なくとも1つの第2インターロッキング部材を備え、前記第2凸部の各々及び前記第2インターロッキング部材の各々は、前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方と比較して剛直である、複数の第2凸部、
ここで、各第1インターロッキング部材は、前記第1ボデーと前記第2ボデーとをインターロックさせた時に対応する第2インターロッキング部材と係合するように位置し、かつ前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方の可撓性は、第2インターロッキング部材を備える前記第2ボデーの遠位部の外向きへの傾き、及び第1インターロッキング部材を備える前記第1凸部の遠位部の内向きへの傾き、の少なくとも一方の傾きを可能にし、こうして前記第1ボデーと第2ボデーとが対向する側において複数の第1インターロッキング部材が対応する複数の第2インターロッキング部材と係合するようになり、
前記第1ボデー及び第2ボデーの一方がパレットのベースであり、他方がパレットのデッキであることを特徴とするパレット
【請求項2】
前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方が、前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方の中心に設けた少なくとも1つの追加の凸部をさらに含む、請求項1に記載のパレット。
【請求項3】
前記第1ボデー及び第2ボデーが、前記第1ボデー及び第2ボデーの中心に設けた少なくとも1つの追加の凸部をさらに含む、請求項1に記載のパレット。
【請求項4】
組立後の状態において前記第1ボデー及び第2ボデーの両方が平板状である、請求項1に記載のパレット。
【請求項5】
組立後の状態において前記第1ボデー及び第2ボデーの両方が反りを有する、請求項1に記載のパレット。
【請求項6】
前記平板状第1ボデー及び平板状第2ボデーの両方が、前記第2インターロッキング部材を備える第2ボデーの遠位部の外向きへの傾き、及び前記第1インターロッキング部材を備える第1凸部の遠位部の内向きへの傾きを可能にする可撓性を有し、こうして第1ボデーと第2ボデーとが対向する側において複数の第1インターロッキング部材が対応する複数の第2インターロッキング部材と係合するようになる、請求項1に記載のパレット。
【請求項7】
前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方が、第1ボデーと第2ボデーが対向する側において複数の第1インターロッキング部材が対応する複数の第2インターロッキング部材と係合するのを可能にする可撓性を有する、請求項1に記載のパレット。
【請求項8】
前記第1ボデー及び第2ボデーの両方が、第1ボデーと第2ボデーとが対向する側において複数の第1インターロッキング部材が対応する複数の第2インターロッキング部材と係合するのを可能にする可撓性を有する、請求項1に記載のパレット。
【請求項9】
それぞれ対応する第1インターロッキング部材と係合するための第2インターロッキング部材が角度をなしている、請求項1に記載のパレット。
【請求項10】
前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方が一体型ヒンジ又はヒンジを含んでいる、請求項1に記載のパレット。
【請求項11】
前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方が複数の断片から構成される、請求項1に記載のパレット。
【請求項12】
前記複数の断片がヒンジにより連結されている、請求項11に記載のパレット。
【請求項13】
前記第1ボデーと第2ボデーとのいずれも損傷することなく前記第1ボデーと第2ボデーとを分離することができる、請求項1に記載のパレット。
【請求項14】
下記を含む、パレットを形成するためのインターロック機構を有する複数ボデーのインターロック方法:
(a)第1ボデー及び第2ボデーを用意し、ここで
前記第1ボデー、該第1ボデーから突出する複数の第1凸部を有し、前記複数の第1凸部のうち少なくとも2つの第1凸部が少なくとも1つの第1インターロッキング部材を備え、前記複数の第1凸部及び前記第1インターロッキング部材は、前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方と比較して剛直であ
前記第2ボデー、該第2ボデーから突出する複数の第2凸部を有し、前記複数の第2凸部のうち少なくとも2つの第2凸部がそれぞれ対応する第1インターロッキング部材と係合するための少なくとも1つの第2インターロッキング部材を備え、前記複数の第2凸部及び前記第2インターロッキング部材は、前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方と比較して剛直であ
ここで、各第2凸部は、前記第1ボデーと前記第2ボデーとをインターロックさせた時に対応する第1凸部と係合するように位置し、かつ前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方は、前記第2インターロッキング部材を備える前記第2凸部の遠位部の外向きへの傾きと、前記第1インターロッキング部材を備える前記第1凸部の遠位部の内向きへの傾きの少なくとも一方を可能にする可撓性を有していて、それにより複数の第1インターロッキング部材が前記第1ボデー及び第2ボデーが対向する側において複数の対応する第2インターロッキング部材と係合し、
(b)前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方の屈曲性部分を、該ボデーを撓ませるように該ボデーに力を加えることにより撓ませ、ここで前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方は、前記第2インターロッキング部材を備える前記第2凸部の遠位部を外向きに傾斜させ、かつ/または前記第1インターロッキング部材を備える前記第1凸部の遠位部を内向きに傾斜させ、
(c)複数の第1インターロッキング部材を第1ボデーと第2のボデーが対向する側において対応する複数の第2インターロッキング部材と係合させるのに十分な力を加え、そして
(d)前記の力を取り除いて、前記第1ボデー及び第2ボデーをこれらのボデーがインターロックしている撓みのない状態に戻す、
ここで、前記第1ボデー及び第2ボデーの一方がパレットのベースであり、他方がパレットのデッキであることを特徴とする方法
【請求項15】
工程(b)が、前記第1ボデー及び第2ボデーに力を加えてこれらのボデーを撓ませることにより当該ボデーの反りを生じさせることを含み、ここで、前記第1ボデー及び第2ボデーは、前記第2インターロッキング部材を備える前記第2凸部の遠位部を外向きに傾斜させるとともに、前記第1インターロッキング部材を備える前記第1凸部の遠位部を内向きに傾斜させ、ここで、加える力の量は、前記第1ボデーと第2ボデーが対向する側において複数の第1インターロッキング部材を対応する複数の第2インターロッキング部材と係合させるのを可能するものである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1及び第2ボデーが、これらのボデーを互いに対して水平に摺動させて、前記少なくとも1つの第1インターロッキング部材が前記少なくとも1つの第2インターロッキング部材と係合するのを達成することによりインターロックされる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
下記を含む、インターロック機構により連結された複数のボデーを分解する方法:
(a)インターロック機構により相互連結された第1ボデー及び第2ボデーを含むアセンブリを用意し、ここで、
前記第1ボデー、該第1ボデーから突出し該第1ボデーの外周に沿って設けられた複数の第1凸部を有し、前記複数の第1凸部のうち少なくとも2つの第1凸部は少なくとも1つの第1インターロッキング部材を備え、前記少なくとも2つの第1凸部及び前記第1インターロッキング部材は、前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方と比較して剛直であ
前記第2ボデーは、複数の第2凸部を有、前記複数の第2凸部のうち少なくとも2つの第2凸部がそれぞれ対応する第1インターロッキング部材と係合するための少なくとも1つの第2インターロッキング部材を備え、前記少なくとも2つの第2凸部及び前記第2インターロッキング部材は、前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方と比較して剛直であ
ここで、各第2凸部は、前記第1ボデーと第2ボデーとをインターロックさせた時に対応する第1凸部と係合するように位置し、かつ前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方は、第2インターロッキング部材を備える前記第2凸部の遠位部の外向きへの傾きと第1インターロッキング部材を備える前記第1凸部の遠位部の内向きへの傾きの少なくとも一方を生じるように撓み、それにより複数の第1インターロッキング部材が前記第1ボデーと第2ボデーとが対向する側において複数の対応する第2インターロッキング部材と係合するようになる、
(b)前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方を、該ボデーを撓ませるように該ボデーに力を加えることにより反りを生じさせ、ここで、前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方は、前記第2インターロッキング部材を備える前記第2凸部の遠位部を外向きに傾斜させ、かつ/または前記第1インターロッキング部材を備える前記第1凸部の遠位部を内向きに傾斜させ、
(c)複数の第1インターロッキング部材を第1ボデーと第2のボデーとが対向する側において対応する複数の第2インターロッキング部材との係合から解放するのに十分な力を加え、そして
(d)前記の力を取り除いて、前記第1ボデー及び第2ボデーをこれらのボデーが係合解除された、撓みのない状態に戻し、
ここで、前記第1ボデー及び第2ボデーの一方がパレットのベースであり、他方がパレットのデッキであることを特徴とする方法
【請求項18】
工程(b)が、前記第1ボデー及び第2ボデーに力を加えてこれらのボデーを撓ませることにより当該ボデーの反りを生じさせることを含み、ここで、前記第1ボデー及び第2ボデーは、前記第2インターロッキング部材を備える前記第2凸部の遠位部を外向きに傾斜させるとともに、前記第1インターロッキング部材を備える前記第1凸部の遠位部を内向きに傾斜させ、ここで、加える力の量は、前記第1ボデーと第2ボデーが対向する側において複数の第1インターロッキング部材が対応する複数の第2インターロッキング部材との係合から解除されるのを可能するものである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
下記を含むパレット:
a)少なくとも第1ボデー及び第2ボデー、ここで該第1及び第2のボデーの少なくとも一方は可撓性であって、それにより該第1ボデーから突出する少なくとも1つの第1インターロッキング要素が、該第2ボデーから突出する少なくとも1つの対応する第2インターロッキング要素と係合することが可能となり、前記少なくとも1つの第1インターロッキング要素及び前記少なくとも1つの第2インターロッキング要素は、前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方と比較して剛直である、
b)ここで、該第1及び第2のインターロッキング要素の少なくとも1つは他方のインターロッキング要素に対して内向き又は外向きに回転し、それにより、一方のボデー上の第1インターロッキング要素が他方のボデー上の対応する第2インターロッキング要素と係合することが可能になり、
c)ここで、前記少なくとも1つの第1インターロッキング要素と第2インターロッキング要素との間に形成されたインターロック機構が、前記2つのボデーの少なくとも一方を、撓ませた後に撓みのない状態に戻した時にも保持され、そして
d)ここで、前記少なくとも1つの第1インターロッキング要素及び第2インターロッキング要素が係合している時に、前記第1及び第2のボデーはパレットの少なくとも一部を構成している。
【請求項20】
下記を含む、パレットを形成するためにインターロック機構を有するボデーのインターロック方法:
(a)i)少なくとも第1ボデー及び第2ボデーを用意し、ここで、該第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方は可撓性であって、それにより該第1ボデー上から突出する少なくとも1つの第1インターロッキング要素が、該第2ボデーから突出する少なくとも1つの対応する第2インターロッキング要素と係合することが可能となり、前記少なくとも1つの第1インターロッキング要素及び前記少なくとも1つの第2インターロッキング要素は、前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方と比較して剛直である、
ii)ここで、該第1及び第2のインターロッキング要素の少なくとも1つは他方のインターロッキング要素に対して内向き又は外向きに回転し、それにより、一方のボデー上の第1インターロッキング要素が他方のボデー上の対応する第2インターロッキング要素と係合することが可能となり、
iii)ここで、前記少なくとも1つの第1インターロッキング要素と第2インターロッキング要素との間に形成されたインターロック機構が、前記2つのボデーの少なくとも一方を撓ませた後に撓みのない状態に戻した時にも保持され、そして
iv)ここで、前記少なくとも1つの第1インターロッキング要素及び第2インターロッキング要素が係合している時には、前記第1及び第2のボデーがパレットの少なくとも一部を構成し、
(b)前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方の屈曲性部分を、該ボデーを撓ませるようにこれに力を加えることにより撓ませ、ここで、前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方は、前記第2インターロッキング要素を備える前記第2ボデーの遠位部を外向きに傾斜させ、かつ/または前記第1インターロッキング要素を備える前記第1ボデーの遠位部を内向きに傾斜させ、
(c)第1インターロッキング要素を前記第1ボデーと第2ボデーが対向する側において対応する第2インターロッキング要素と係合させるのに十分な力を加え、そして
(d)前記の力を取り除いて、前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方を、第1ボデーと第2ボデーとがインターロックされた、撓みのない状態に戻す、
ここで、前記第1ボデー及び第2ボデーの一方がパレットのベースであり、他方がパレットのデッキである。
【請求項21】
工程(b)が、前記第1ボデー及び第2ボデーに力を加えてこれらのボデーを撓ませることにより当該ボデーの反りを生じさせることを含み、ここで、前記第1ボデー及び第2ボデーは、前記第2インターロッキング要素を備える前記第2ボデーの遠位部を外向きに傾斜させるとともに、前記第1インターロッキング要素を備える前記第1ボデーの遠位部を内向きに傾斜させ、ここで、加える力の量は、前記第1ボデーと第2ボデーが対向する側において第1インターロッキング要素が対応する第2インターロッキング要素と係合するのを可能するものである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1及び第2ボデーが、これらのボデーを互いに対して水平に摺動させて、少なくとも1つの第1インターロッキング要素が少なくとも1つの第2インターロッキング要素と係合するのを達成することによりインターロックされる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
下記を含む、インターロック機構により連結された複数のボデーを分解する方法:
(a)下記を含むインターロック機構により相互連結された第1ボデー及び第2ボデーを含むアセンブリを用意し:
i)少なくとも第1ボデー及び第2ボデー、ここで、該第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方は可撓性であって、それにより該第1ボデーから突出する少なくとも1つの第1インターロッキング要素が、該第2ボデーから突出する少なくとも1つの対応する第2インターロッキング要素と係合することが可能となり、前記少なくとも1つの第1インターロッキング要素及び前記少なくとも1つの第2インターロッキング要素は、前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方と比較して剛直である、
ii)ここで、該第1及び第2のインターロッキング要素の少なくとも1つは他方のインターロッキング要素に対して内向き又は外向きに回転することにより、第1インターロッキング要素が対応する第2インターロッキング要素と係合することが可能になり、
iii)ここで、少なくとも1つの第1インターロッキング要素と第2インターロッキング要素との間に形成されたインターロック機構が、前記2つのボデーの少なくとも一方を、撓ませた後に撓みのない状態に戻した時にも保持され、そして
iv)ここで、前記少なくとも1つの第1インターロッキング要素及び第2インターロッキング要素が係合している時に前記第1及び第2のボデーはパレットの少なくとも一部を構成し、
(b)前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方に、該ボデーを撓ませるようにこれに力を加えることにより反りを生じさせ、ここで、前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方は、前記第2インターロッキング要素を備える前記第2ボデーの遠位部を外向きに傾斜させ、かつ/または前記第1インターロッキング要素を備える前記第1ボデーの遠位部を内向きに傾斜させ、
(c)複数の第1インターロッキング要素を、第1ボデーと第2ボデーが対向する側において対応する複数の第2インターロッキング要素との係合から離脱させるのに十分な力を加え、そして
(d)前記の力を取り除いて、前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方を、第1ボデー及び第2ボデーの係合が解除された、撓みのない状態に戻す。
【請求項24】
工程(b)が、前記第1ボデー及び第2ボデーに力を加えてこれらのボデーを撓ませることにより当該ボデーの反りを生じさせることを含み、ここで、前記第1ボデー及び第2ボデーは、前記第2インターロッキング部材を備える前記第2ボデーの遠位部を外向きに傾斜させるとともに、前記第1インターロッキング部材を備える前記第1ボデーの遠位部を内向きに傾斜させ、ここで、加える力の量は、前記第1ボデーと第2ボデーが対向する側において第1インターロッキング部材が対応する第2インターロッキング部材との係合から解除されるのを可能するものである、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレット(荷役台)、並びにパレットを形成するようにインターロッキング(噛み合い連結)部材を用いてパレットを撓み組み立てすることによる、かかるパレットの製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
木製パレットより利点があると考えられる成形樹脂パレットの改良については、多くの提案がなされてきた。しかし、市場ではいまだに木製パレットが主流であり、成形プラスチック製パレットは競合が難しいと思われてきた。
【0003】
樹脂パレットの従来技術において認められている1つの提案は、成形された底面部材であるベースとは別に、上面部材であるデッキを成形し、これら2つの部材をインターロック(interlock, 噛み合い連結)することである。その例としては、米国特許第6,029,583;3,835,792;5,417,167;及び6,622,641が挙げられる。別の2つの米国特許第6,354,228及び5,333,555は、ボード又はスラット(割板)を弓状に撓ませてパレットストリンガーに嵌め込むことを提案している。これらの特許に提案されている相互連結部は、弱くて壊れやすいか、又はネジや接着剤のような別の締結手段(これは製造コストを増大させ、かつ別の問題を生ずる)を必要とするものであることがわかっている。パレット部材を溶接して結合することも行われてきたが、これが満足できるものであるとは判明していない。問題点として、使用する材料の溶接性、接合すべき大面積の全体への確実な溶接部の形成が困難であること、及び清掃のための分解ができないことが挙げられる。
【0004】
鋼製の棒又は帯状片、ガラス若しくは炭素繊維その他の材料といった各種補強用インサート材を樹脂パレットに組み込んでその強度を高めることが行われてきた。これらの材料の使用は、一般に市場が負担できるより高いコストを生じ、パレットの耐久性にも問題を生ずる。
【0005】
本書に記載した代表的な態様は、これらの欠点を克服する。一部の態様は、特に頑丈にインターロックされ、耐久性があり、かつフォークリフトやパレットジャッキで起こるような乱暴な取り扱いに耐えることができる、多断片(マルチピース)成形樹脂パレット及びコンテナ又(容器)を提供する。代表的な態様はまた、成形樹脂パレットの耐久性を高めつつその製造費用を低減するので、成形パレットが木製パレットと十分に競合しうるものとなる。
【発明の概要】
【0006】
フレックスアセンブリ(本書では撓み組み立て又は撓みアセンブリともいう)は、下記工程1〜4により、それらの通常の状態では干渉しあう雄型と雌型の剛直な(非可撓性の)ロッキング機構を備えた2以上のボデーを確実に組み立て、かつ分解する方法である:
1.1又は2以上のボデーを、そのロッキング機構の少なくとも1つが通常の使用時に回される方向とは反対方向の角度で回転し、その相手方のロッキング機構との干渉を解消するように撓ませる;
2.前記ボデーのロッキング機構を係合させる;
3.前記ロッキング機構の係合を保持しながら撓み動作を弛緩させる;
4.場合により、上記プロセスを逆にして分解を行う。
【0007】
いくつかの代表的な態様は、これまで得られたものより強力で丈夫なインターロック機構を付与しながら、締結具や接着剤を使用せずに、成形樹脂又は他の適当な材料のパレットデッキを成形樹脂又は他の適当な材料のパレットベースに確実に取付けるインターロック機構及びインターロック方法を提供する。この改善されたインターロック機構はまた、自動的に組み立てることができ、さらに清掃及び/又は部品の交換又は補修が必要になった時には分解することができる。
【0008】
本インターロック機構が備える有効に動作する雄型部材と雌型部材は、本質的には可撓性ではないが、これらの部材が屈曲又は湾曲させることができる可撓性のスパンにより連結されていることで該インターロック機構の組み立てが可能になる。複数のインターロック間でスパンを屈曲させるか、反らせることにより、それらの離間距離が変化して、雄型部材又は凸部と雌型部材とを、撓み力を取り除いた時には有効動作状態になるようにインターロックすることが可能となり、各部分はその元の成形形態に戻るように弛緩される。このインターロック機構を達成するための可撓性スパンの屈曲又は反りは、好ましくはパレットに通常加えられる荷重力の作用とは逆向きとする。パレットの縁部で支持されるパレットの荷重力は、パレットの垂れ下がりを生ずる傾向がある。これに対して、本インターロック機構の形成を可能にする屈曲又は反りの動作は、好ましくは、パレットに加わる荷重力により生ずる垂れ下がり傾向とは逆の、アーチ又はドームを形成する動作とする。その結果、普通にパレットが遭遇する力では、この有効なインターロック機構を緩めたり損傷したりすることができないことになる。これにより、本発明の代表的態様に従ってインターロックされたパレットは、より強固となり、パレットが受けるさまざまなできごとや乱暴な取り扱いに対してより頑丈に耐えるようになる。
【0009】
2以上のボデーを接合するためのインターロック機構の代表的態様は、(a)複数の第1凸部を備え、少なくとも2つの第1凸部が少なくとも1つのインターロッキング部材を備える第1ボデーと(b)第2ボデーとを含み、該第2ボデーは、(i)それぞれ対応する第1インターロッキング部材を受け入れるための第2ボデー内に設けられた複数の第2インターロッキング部材を備えるか、又は(ii)複数の第2凸部を備え、少なくとも2つの第2凸部がそれぞれ対応する第1インターロッキング部材を受け入れるための少なくとも1つの第2インターロッキング部材を備え、ここで、各第1インターロッキング部材は、前記第1ボデーと前記第2ボデーとをインターロックさせた時に対応する第2インターロッキング部材と係合するように位置し、かつ前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方の可撓性は、第2インターロッキング部材を備える前記第2ボデーの遠位部の外向きへの傾き、及び第1インターロッキング部材を備える前記第1凸部の遠位部の内向きへの傾きを可能にし、こうして第1ボデーと第2ボデーとが対向する側において複数の第1インターロッキング部材が対応する複数の第2インターロッキング部材と係合する。
【0010】
さらなる態様において、第1ボデー及び第2ボデーの一方がパレットのベースであり、他方がパレットのデッキである。
【0011】
別の代表的態様は、パレットを形成するためのインターロック機構を有するボデーのインターロック方法を提供する。この方法は、(a)(i)複数の第1凸部を備え、少なくとも2つの第1凸部が少なくとも1つのインターロッキング部材を備える第1ボデー、及び(ii)複数の第2凸部を備え、少なくとも2つの第2凸部がそれぞれ対応する第1インターロッキング部材を受け入れるための少なくとも1つの第2インターロッキング部材を備える第2ボデーを用意し、ここで、各第2凸部は、前記第1ボデーと前記第2ボデーとをインターロックさせた時に対応する第1凸部と係合するように位置し、かつ前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方は、前記第2インターロッキング部材を備える前記第2凸部の遠位部の外向きへの傾きと、前記第1インターロッキング部材を備える前記第1凸部の遠位部の内向きへの傾きの少なくとも一方を可能にする可撓性を有していて、それにより複数の第1インターロッキング部材が前記第1ボデーと第2ボデーとが対向する側において複数の対応する第2インターロッキング部材と係合し、(b)前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方の屈曲性部分を、該ボデーを撓ませるように該ボデーに力を加えることにより撓ませ、ここで該第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方は、前記第2インターロッキング部材を備える前記第2凸部の遠位部を外向きに傾斜させ、または前記第1インターロッキング部材を備える前記第1凸部の遠位部を内向きに傾斜させ、(c)複数の第1インターロッキング部材を第1ボデーと第2ボデーが対向する側において対応する複数の第2インターロッキング部材と係合させるのに十分な力を加え、そして(d)前記の力を取り除いて、第1ボデー及び第2ボデーをこれらのボデーがインターロックした、撓みのない状態に戻す、ことからなる。
【0012】
さらなる態様において、第1ボデー及び第2ボデーの一方がパレットのベースであり、他方がパレットのデッキである。
【0013】
さらに別の代表的態様は、インターロック機構により連結された複数のボデーを分解する方法を提供する。この方法は、(a)インターロック機構により相互連結された第1ボデーと第2ボデーとからなるアセンブリを用意し、該アセンブリは、(i)前記第1ボデーの外周に沿って設けられた複数の第1凸部を備え、少なくとも2つの該第1凸部は少なくとも1つの第1インターロッキング部材を備えている第1ボデーと、(ii)複数の第2凸部を備え、少なくとも2つの第2凸部がそれぞれ第1インターロッキング部材を受け入れるための少なくとも1つの第2インターロッキング部材を備える第2ボデー、とから構成され、ここで、各第2凸部は、前記第1ボデーと第2ボデーとをインターロックさせた時に対応する第1凸部と係合するように位置し、かつ前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方は、第2インターロッキング部材を備える前記第2凸部の遠位部の外向きへの傾き及び第1インターロッキング部材を備える前記第1凸部の遠位部の内向きへの傾きの少なくとも一方を可能にするように撓み、それにより、複数の第1インターロッキング部材が、第1ボデーと第2ボデーとが対向する側において複数の対応する第2インターロッキング部材と係合し、(b)前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方を、該ボデーを撓ませるように該ボデーに力を加えることにより反りを生じさせ、ここで、該第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方は、前記第2インターロッキング部材を備える前記第2凸部の遠位部を外向きに傾斜させ、または前記第1インターロッキング部材を備える前記第1凸部の遠位部を内向きに傾斜させ、(c)複数の第1インターロッキング部材を第1ボデーと第2ボデーが対向する側において対応する複数の第2インターロッキング部材との係合から解放するのに十分な力を加え、そして(d)前記の力を取り除いて、前記第1ボデー及び第2ボデーを、これらのボデーが係合していない、撓みのない状態に戻す、ことからなる。
【0014】
さらなる態様において、第1ボデー及び第2ボデーの一方がパレットのベースであり、他方がパレットのデッキである。
【0015】
さらに別の代表的態様は、下記を含む、複数のボデーを連結するためのインターロック機構を提供する:a)少なくとも第1ボデー及び第2ボデー、ここで該第1及び第2のボデーの少なくとも一方は可撓性であって、それにより該第1ボデー上の少なくとも1つの第1インターロッキング要素を該第2ボデー上の少なくとも1つの対応する第2インターロッキング要素と係合させることができ、b)ここで、該第1及び第2のインターロッキング要素の少なくとも1つは他方のインターロッキング要素に対して内向き又は外向きに回転することにより、一方のボデー上の第1インターロッキング要素の他方のボデー上の対応する第2インターロッキング要素との係合を可能にし、c)ここで、前記少なくとも1つの第1インターロッキング要素と第2インターロッキング要素との間に形成されたインターロック機構が、両ボデーの少なくとも一方を、撓ませた後に、撓みのない状態に戻した時にも保持され、そしてd)ここで、前記少なくとも1つの第1インターロッキング要素及び第2インターロッキング要素が係合している時に、前記第1及び第2のボデーはパレットの少なくとも一部を構成している。
【0016】
さらなる態様において、第1ボデー及び第2ボデーの一方がパレットのベースであり、他方がパレットのデッキである。
【0017】
さらに別の代表的態様は、パレットを形成するためのインターロック機構を有する複数のボデーのインターロック方法を提供する。この方法は、(a)i)少なくとも第1ボデー及び第2ボデーを用意し、ここで、該第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方は可撓性であって、それにより該第1ボデー上の少なくとも1つの第1インターロッキング要素を該第2ボデー上の少なくとも1つの対応する第2インターロッキング要素と係合させることができ、ii)ここで、該第1及び第2のインターロッキング要素の少なくとも1つは他方のインターロッキング要素に対して内向き又は外向きに回転することにより、一方のボデー上の第1インターロッキング要素の他方のボデー上の対応する第2インターロッキング要素との係合を可能にし、iii)ここで、前記少なくとも1つの第1インターロッキング要素と第2インターロッキング要素との間に形成されたインターロック機構が、両ボデーの少なくとも一方を、撓ませた後に、撓みのない状態に戻した時にも保持され、そしてiv)ここで、前記少なくとも1つの第1インターロッキング要素及び第2インターロッキング要素が係合している時に前記第1及び第2のボデーはパレットの少なくとも一部を構成し、(b)前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方の屈曲性部分を、該ボデーを撓ませるようにこれに力を加えることにより撓ませ、ここで、該第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方は、前記第2インターロッキング要素を備える第2ボデーの遠位部を外向きに傾斜させ、または前記第1インターロッキング要素を備える前記第1ボデーの遠位部を内向きに傾斜させ、(c)第1インターロッキング要素を第1ボデーと第2ボデーが対向する側において対応する第2インターロッキング要素と係合させるのに十分な力を加え、そして(d)前記の力を取り除いて、前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方を、第1ボデーと第2ボデーとがインターロックされた、撓みのない状態に戻す、ことからなる。
【0018】
さらなる態様において、第1ボデー及び第2ボデーの一方がパレットのベースであり、他方がパレットのデッキである。
【0019】
さらなる代表的態様は、インターロック機構により連結された複数のボデーを分解する方法を提供する。この方法は、(a)インターロック機構により相互連結された第1ボデー及び第2ボデーを含むアセンブリを用意し、ここで前記アセンブリは、i)少なくとも第1ボデー及び第2ボデーを含み、ここで、該第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方は可撓性であって、それにより該第1ボデー上の少なくとも1つの第1インターロッキング要素を該第2ボデー上の少なくとも1つの対応する第2インターロッキング要素と係合させることができ、ii)ここで、前記第1及び第2のインターロッキング要素の少なくとも1つは他方のインターロッキング要素に対して内向き又は外向きに回転することにより、前記第1インターロッキング要素を対応する第2インターロッキング要素との係合を可能にし、iii)ここで、前記少なくとも1つの第1インターロッキング要素と第2インターロッキング要素との間に形成されたインターロック機構が、両ボデーの少なくとも一方を、撓ませた後に、撓みのない状態に戻した時にも保持され、そしてiv)ここで、前記少なくとも1つの第1インターロッキング要素及び第2インターロッキング要素が係合している時に前記第1及び第2のボデーはパレットの少なくとも一部を構成し、(b)前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方に、該ボデーを撓ませるようにこれに力を加えることにより反りを生じさせ、ここで、該第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方は、前記第2インターロッキング要素を備える前記第2ボデーの遠位部を外向きに傾斜させ、または前記第1インターロッキング要素を備える前記第1ボデーの遠位部を内向きに傾斜させ、(c)複数の第1インターロッキング要素を、第1ボデーと第2ボデーが対向する側において対応する複数の第2インターロッキング要素から離脱(係合解除)させるのに十分な力を加え、そして(d)前記の力を取り除いて、前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方を、第1ボデー及び第2ボデーが係合解除された撓みのない状態に戻す、ことからなる。
【0020】
さらなる態様において、第1ボデー及び第2ボデーの一方がパレットのベースであり、他方がパレットのデッキである。
【0021】
他の分野及び/又は装置(例えば、輸送用コンテナ及び/又は建設用途)への本発明の利用可能性は以下の詳細な説明から明らかとなろう。以下の詳細な説明及び具体例は、本発明の開示のいくつかの態様を示すものであるが、例示のみを目的とし、特許請求する本願の範囲を制限する意図はないことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】まっすぐな物体及び屈曲した物体の中立軸の位置を示す。
図2】ある代表的態様に従って相互連結された2部材型パレットの上面部材と底面部材を本のページのような状態で模式的に示す。
図3図2のパレットの上面部材と底面部材を反らせた状態で模式的に示す。
図4図2のパレットの上面部材と底面部材を組み立てた状態で模式的に示す。
図5】要素の係合の量(インチ)とその要素の変形又は撓みに必要な力(ポンド)との関係を示す。この図は、ボデーの変形又は撓みのために加える力の量と生じた係合の量との関係を例示するものである。
図6図7と一緒にベースの屈曲の効果を模式的に示す。
図7図6と一緒にベースの屈曲の効果を模式的に示す。
図8図9と一緒にデッキの屈曲の効果を模式的に示す。
図9図8と一緒にデッキの屈曲の効果を模式的に示す。
図10】インターロックを達成するために辺(サイド)及び角部(エンド)を同時に屈曲することによるドーム形成効果を示す。
図11】パレットのデッキとベースとの間でセンターポストをインターロックするためのセンターポスト型アセンブリを示す。
図12】撓みと係合との関係を示す。
図13】撓みアセンブリ法により組み立てたパレットと、別のいくつかの方法により組み立てたパレットについてのパレット引き離し試験の比較結果を示す。
図14】ドーム偏位を用いた単撓み(シングルフレックス)の態様を示す。
図15】別の撓み用いた態様を示す。
図16】2方向撓みを用いた態様を示す。
図17】架橋フォークポケットの態様を示す。
図18】多断片(マルチピース)型デッキ要素の態様を示す。
図19】一体型ヒンジ(リビングヒンジ)を有するデッキの態様を示す。
図20】ヒンジにより連結された2部材を有するデッキの態様を示す。
図21】別個のロッキング部材を有するパレットの態様を示す。
図22】雌型ラグ(突出部)を有する壁面ボデーの態様を示す。
図23】雄型ラグを有する壁面ボデーの態様を示す。
図24】蓋を用いたフレックスアセンブリを示す。
図25】スナップロックと一緒に各種の代表的なインターロック機構を備えたパレットの態様を示す。
図26】差し込みロック(バヨネットロック)の代表的な態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
フレックスアセンブリ(撓み組み立て)とは、下記工程1〜4により、それらの通常の状態では干渉しあう雄型と雌型の剛直な(非可撓性の)のロッキング機構を備えた2以上のボデーを確実に組み立て、かつ分解する方法である:
1.1又は2以上のボデーを、そのロッキング機構の少なくとも1つが通常の使用時に回される方向とは反対方向の角度で回転し、その相手方のロッキング機構との干渉を解消するように撓ませ;
2.前記ボデーのロッキング機構を係合させ;
3.前記ロッキング機構の係合を保持しながら撓み動作を緩め;そして
4.上記プロセスを逆にして分解を行う。
【0024】
1態様において、2以上のボデーを接合するためのインターロック機構は、(a)複数の第1凸部を備え、各第1凸部が雄型部材を備える第1ボデー、及び(b)複数の第2凸部を備え、各第2凸部が、それぞれ雄型部材を受け入れる雌型部材を備える、第2ボデーを含み、ここで、各第2凸部は、前記第1ボデーと前記第2ボデーとをインターロックさせた時に対応する第1凸部と係合するように位置し、かつ前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方は場合によりキャンバー軸を有していてもよく、このキャンバー軸は、それを軸として第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方が、雌型部材を備える第2凸部の遠位部を外向きに傾斜させ、雄型部材を備える第1凸部の遠位部を内向きに傾斜させるように撓むことにより、第1ボデーと第2ボデーが対向する側において複数の雄型部材が対応する複数の雌型部材と係合するようになる。
【0025】
本明細書及び特許請求の範囲に記載する代表的な各態様において、1つのボデーに設けた雄型又は雌型のインターロッキング要素とは、これが第1ボデーであると考えるなら、第1インターロッキング要素及び/又は部材であると言うことができ、第2ボデーに設けた対応する雌型又は雄型のインターロッキング要素は、第2インターロッキング要素及び/又は部材であると言うことができることは認められよう。また、各ボデーは、多様な組み合わせ、配置及び幾何学形状の雄型及び/又は雌型のインターロッキング要素を備えることができることも当然認められるべきである。インターロッキング要素は雄型及び雌型のインターロッキング機構を有することができ、この場合は、「第1」及び「第2」の用語の使用がより適切であるかもしれない。
【0026】
別の態様において、第1ボデー及び第2ボデーはパレットのベース及びデッキである。
さらに別の態様において、前記第1及び第2のボデーの少なくとも一方は、その要素の中央に設けられた少なくとも1つの追加の凸部をさらに含んでいる。
【0027】
さらに別の態様では、前記第1及び第2のボデーの少なくとも一方は平板状である。
さらに別の態様において、前記第1及び第2のボデーは両方とも平板状である。
【0028】
1態様において、前記第1及び第2のボデーの一方が平板状で、他方のボデーは少なくとも部分的に反りがある。
【0029】
別の態様において、前記第1及び第2のボデーの一方が平板状で、他方のボデーはドーム型である。
【0030】
さらなる態様において、前記雄型部材がフランジ(さねはぎの「さね」)であり、前記雌型部材が溝(グルーブ)である。
【0031】
別の態様において、前記第1及び第2のボデーは両方とも反っているか、又はドーム形状である。
【0032】
さらに別の態様において、前記第1の平板状ボデー及び前記第2の平板状ボデーの両方が1つのキャンバー軸を有し、このキャンバー軸を軸として、第1平板状ボデー及び第2平板状ボデーが、前記雌型部材を備える第2凸部の遠位部を外向きに傾斜させ、前記雄型部材を備える第1凸部の遠位部を内向きに傾斜させるように撓むことにより、第1ボデーと第2ボデーが対向する側において複数の雄型部材が対応する複数の雌型部材と係合するようになる。
【0033】
さらなる態様において、前記第1ボデー及び前記第2ボデーの少なくとも一方が2つのキャンバー軸を有し、これらのキャンバー軸を軸として、第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方が、前記雌型部材を備える第2凸部の遠位部を外向きに傾斜させ、前記雄型部材を備える第1凸部の遠位部を内向きに傾斜させるように撓むことにより、第1ボデーと第2ボデーが対向する側において複数の雄型部材が対応する複数の雌型部材と係合するようになる。
【0034】
さらに別の態様において、前記第1の平板状ボデー及び前記第2の平板状ボデーの両方が2つのキャンバー軸を有し、これらのキャンバー軸を軸として、第1平板状ボデー及び第2平板状ボデーが、前記雌型部材を備える第2凸部の遠位部を外向きに傾斜させ、前記雄型部材を備える第1凸部の遠位部を内向きに傾斜させるように撓むことにより、第1ボデーと第2ボデーが対向する側において複数の雄型部材が対応する複数の雌型部材と係合するようになる。
【0035】
1態様において、前記第2ボデーは、第2要素の角に位置する複数の第2凸部を備え、それぞれ対応する雄型部材を受け入れるための雌型部材は角をなす(カギ型に曲がっている)。
【0036】
別の態様において、前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方は一体型ヒンジ又はヒンジを含む。
【0037】
さらに別の態様において、前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方は複数の断片を含む。
【0038】
別の態様において、前記複数の断片はヒンジにより連結されている。
さらに別の態様において、前記インターロック機構は、前記第1及び第2のいずれの要素にも損傷を与えることなく前記第1及び第2のボデーを分解することを可能にする。
【0039】
別の態様において、インターロック機構を有する一対のボデーをインターロッキングする方法は、(a)(i)複数の第1凸部を備える第1ボデーであって、該第1凸部は場合により該第1ボデーの外周部又は端部に沿って位置していてもよく、各第1凸部は1つの雄型部材を備える第1ボデー、及び(ii)複数の第2凸部を備える第2ボデーであって、該第2凸部は場合により該第2ボデーの外周部又は端部に沿って位置していてもよく、各第2凸部がそれぞれ対応する雄型部材を受け入れる1つの雌型部材を備える第2ボデーを用意し、ここで、各第2凸部は、前記第1ボデーと前記第2ボデーとをインターロックさせた時に対応する第1凸部と係合するように位置し、かつ前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方は1つのキャンバー軸を有し、このキャンバー軸を軸として、前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方が、前記雌型部材を備える第2凸部の遠位部を外向きに傾斜させ、または前記雄型部材を備える第1凸部の遠位部を内向きに傾斜させるように撓むことにより、第1ボデーと第2ボデーが対向する側において複数の雄型部材が対応する複数の雌型部材と係合するようになり、(b)前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方に、当該ボデーに力を加えることにより反りを生じさせて、当該ボデーを撓ませると同時にキャンバー軸を形成し、ここで該第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方は、前記雌型部材を備える前記第2凸部の遠位部を外向きに傾斜させ、また前記雄型部材を備える前記第1凸部の遠位部を内向きに傾斜させ、(c)前記第1ボデーと第2ボデーが対向する側において複数の雄型部材を対応する複数の雌型部材と係合させるのに十分な力を加え、そして(d)前記の力を取り除いて、前記第1ボデー及び第2ボデーをこれらのボデーがインターロックしている撓みのない状態に戻るのを可能にする、ことからなる。
【0040】
さらなる態様において、インターロックにより連結された複数のボデーを分解する方法は、(a)インターロック機構により相互連結された第1ボデー及び第2ボデーを含むアセンブリを用意し、ここで、該アセンブリは、(i)場合により第1ボデーの外周部又は端部に沿って配置されていてもよい複数の第1凸部を備え、各第1凸部は少なくとも1つの雄型部材を備えている第1ボデーと、(ii)場合により第2ボデーの外周部又は端部に沿って配置されていてもよい複数の第2凸部を備え、各第2凸部はそれぞれ対応する雄型部材を受け入れる少なくとも1つの雌型部材を備える第2ボデーとから構成され、ここで、各第2凸部は、前記第1ボデーと前記第2ボデーとをインターロックさせた時に対応する第1凸部と係合するように位置し、かつ前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方は1つのキャンバー軸を有し、このキャンバー軸を軸として、前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方が、前記雌型部材を備える第2凸部の遠位部を外向きに傾斜させ、また前記雄型部材を備える第1凸部の遠位部を内向きに傾斜させるように撓むことにより、第1ボデーと第2ボデーが対向する側において複数の雄型部材が対応する複数の雌型部材と係合するようになり、(b)前記第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方に、当該ボデーに力を加えることにより反りを生じさせて、当該ボデーを撓ませると同時にキャンバー軸を形成し、ここで該第1ボデーと第2ボデーの少なくとも一方は、前記雌型部材を備える第2凸部の遠位部を外向きに傾斜させ、また前記雄型部材を備える第1凸部の遠位部を内向きに傾斜させ、(c)第1ボデーと第2ボデーが対向する側において複数の雄型部材を対応する複数の雌型部材との係合から解放させるのに十分な力を加え、そして(d)前記の力を取り除いて、第1ボデー及び第2ボデーをこれらのボデーが係合していない、撓みのない状態に戻るようにする、ことからなる。
【0041】
さらに別の態様において、インターロック機構により連結された複数のボデーを分解する上記方法の工程(b)は、前記第1ボデー及び第2ボデーに力を加えて当該ボデーの反りを生じさせることにより当該ボデーを撓ませてキャンバー軸を形成することを含み、ここで、前記第1ボデー及び第2ボデーは、前記雌型部材を備える第2凸部の遠位部を外向きに傾斜させるとともに、前記雄型部材を備える前記第1凸部の遠位部を内向きに傾斜させ、ここで、加える力の量は、第1ボデーと第2ボデーが対向する側において複数の雄型部材を対応する複数の雌型部材からの係合解除を可能するものである。
【0042】
代表的態様では、それらに限定されないが、樹脂、木材、金属、複合材料、ブレンド、それらの組み合わせなどをはじめとする多様な材料を使用することができる。
【0043】
本発明は以上に述べた特定の態様に制限されるものではないことはいうまでもない。また、本書に用いた用語は特定の態様だけを記述するためであり、本発明の範囲は特許請求の範囲だけにより限定されるので、制限を意図するものではない。
【0044】
特に指摘のない限り、本書で用いた技術用語及び科学用語は当業者が普通に理解するのと同じ意味である。本書に記載したものと類似又は均等なあらゆる方法及び材料を代表的態様の実施又は試験に使用することができるが、具体的なこの方法及び材料について以下に説明する。
【0045】
図1は、まっすぐ及び屈曲した物体の中立軸の位置を示す。中立軸は、それに沿って長手方向の応力又は歪が存在しないビーム又はシャフトの断面における軸である。その切断面が対称かつ等方性で、屈曲が起こる前には湾曲していない場合には、中立軸は幾何学重心である。中立軸の片側の材料が引っ張り状態にある場合には、中立軸の反対側の材料は圧縮状態にある。図1において中立軸はXで示されている。
【0046】
本書に記載したパレット及びコンテナは、デッキ、ベース、壁材及びトップといった複数のボデーから構成される。ボデーは、その本来の可撓性により撓むことができるか、又は一体型ヒンジ若しくはヒンジなどを用いて意図的に撓むように設計されている。ボデーを撓ませると、下記の幾何学作用を生ずる:
・中立軸に沿った凹面側の点及び中立軸に近い凸面側の点は収束する、
・中立軸からさらに遠く離れた凸面側の点は発散する、
・その撓みのない状態に対してボデー内に回転角を生じ、それは屈曲の中心からの距離につれて増大する。
【0047】
図2は、パレットのベース20及びデッキ25という2つのボデーを模式的に示し、これらのボデーは、本発明の1態様に従って一体に折り畳まれて、インターロックされるように配置される。図を単純化し、2つのパレット部品のインターロッキングをより容易に理解できるようにするため、樹脂パレットに組み込まれている通常の補強リブ、ガセット(隅板)、及びチャネルは、全ての図面において模式図から削除されている。
【0048】
さまざまな図面に示されているインターロッキング要素は、雄型と雌型のインターロッキング要素を備える。これらの図面は、可能な形態・配置を示すための代表的な態様として示したものである。別の態様では、図に示した雄型と雌型の要素を互いに置き換えることができる。別の態様では、1つのボデーに設けた雄型又は雌型の要素を、雄型要素と雌型用途との組み合わせに代替することができ、その場合の第2のボデーは対応する要素を有することになる。多様なインターロッキング要素を、多様な組み合わせ、形態・配置及び幾何学形状で提示することができ、これらの要素は、それらを設けたボデーと同じ又は異なる材料から構成することができる。
【0049】
パレットは、典型的には、直立したペデスタル又はカラム21を有するベース20から構築され、パレットベースの矩形の各辺には3つずつのカラムが配置されている。「ペデスタル」又は「カラム」なる用語は、その上に位置する構造物の重みを該ベースの底部と接触している表面に伝える構造要素を意味する。ペデスタル又はカラムの形状及び配置は、後述するインターロッキング用の雄型及び雌型の部材がペデスタル、カラム又はボデーそれ自体に直接設けられている限り、図示のものから変更することができる。1態様において、カラムはほぼベースの四隅の位置に一つずつ配置され、さらにベースの四辺の各片にも2つの角カラムのほぼ中間位置に一つずつカラムが配置される。これにより、8個のカラム21がベースの縁部に沿って設けられることになる。また、中心カラム30をベースの中心に配置することができる。中心カラム30は、周辺カラムとは異なる形とすることができる。パレットのトップ、すなわちデッキは、8個の対応するカラム26を有し、これらのカラムは下方に向かってそれぞれの対応するベースのカラム21と出会ってインターロック機構を形成する。ベースのカラムがデッキのカラムと出会う領域は、雄型部材及び雌型部材の形態をとる確実動作のインターロック機構を備えることが好ましい。図1〜3に示すように、雄型部材22及び23をベースのカラム21に形成し、雌型部材27及び28をデッキのカラム26に形成することができる。ただし、この配置を逆転させてもよい。別の態様では、パレットのトップ又はデッキは、ベースの中心カラム30と接触する中心カラム31を有することができる。
【0050】
図2〜4は、ベース12から上に向かう8個の周辺カラム21を示す。各カラムは雌型部材の形態のインターロック機構を有し、これらの雌型部材が、パレットのデッキ25から下に向かう対応するカラム26の凸部とインターロックすることができる。この態様では、雄型部材27は角をなして(カギ型に)配置され、パレットデッキ25の四隅の角の領域に向かい合っている。さらに、直線状の雄型部材28がデッキ25の各辺の中心に配置されていて、その雄型部材に最も近い外縁に向かい合っている。パレットベース20に設けた対応する角をなす雌型部材22は、角をなす雄型部材27を受け入れるように位置しており、パレットベース20の各辺の中間に設けた直線状雌型部材23がパレットデッキ25の直線状雄型部材28を受け入れる。これらの形態・配置は広く変更可能である。
【0051】
パレットのベース20及びデッキ25の周辺領域でインターロックする雄型部材27及び28と雌型部材22及び23は、それら自体は比較的剛直で非可撓性である。可撓性であるほとんどのスナップファスナーとは異なり、代表的態様で提案している雄型部材及び雌型部材は、それらの動作において強靱かつ耐久性があり、確実動作(ポジティブ)で、非可撓性である。当業者であれば、剛直なる用語は、その材料が可撓性ではなく、屈曲させたり、その通常の形状から無理に変形させたりすることができないことを意味することを理解しよう。当業者はまた、可撓性又は撓み性なる用語は、その材料を破断させずに屈曲させたり、撓ませたりすることができることを意味することも理解しよう。ボデーの変形又は撓みに必要な力(ポンド)と係合量(インチ)との関係のグラフを図5に示す。この図は、あるボデーの変形又は撓みを生じさせるのに加える力の量と生じる係合の量との関係を示す。
【0052】
ベース20及びデッキ25の突き合わせに向かい合っているカラム21及び26の間を相互連結している樹脂又は他の適当な材料(例、鋼、アルミニウム、複合材料又は木材)のスパンは、ベース20及び/又はデッキ25を、雄型部材と雌型部材とのインターロックを可能にする、反った状態に撓ませるのに十分な可撓性を有する。各種態様において、ベースは雄型及び雌型の要素を係合させるように撓むが、雄型及び雌型の要素は剛直である。これは、係合要素の方が撓んで、ボデーは比較的剛直であるスナップ−タブ係合方法とは異なる。(ただし、代表的態様では、さらなる強度及び/又は剛性を得るためにスナップ−タブ又はスナップ嵌めを利用することができる。)このことは、1例としてベース20を用いた図6及び7に最もよく模式的に示されている。カラム21はベース20から上に向かっており、雌型部材(雌型要素)22が、ベース20より上に、オフセット距離24をとって設けられている。ベース20の普通のフラットな形態が図6に示されている。このフラットな形態における2つのカラム21間の距離をインターロック距離と称する。ベース20を図7に示す方向に撓ませると、カラム21をベース20と連結している樹脂又は他の適当な材料は可撓性であってベース20を屈曲させて反らせた形状にするので、雌型部材の構造は図7に示すような形状に変化する。カラム21の遠位部は、撓みのない状態でのその位置に対して外向きに移動し、カラム21の近位部は、撓みのない状態でのその位置に対して内向きに移動する。ベース20の撓みにより、カラム21は、撓みのない状態でのその元の角度に対して、角度θで位置するようになる。ベース20の撓みはまた、2つのカラム21の間の距離を増大させ、カラム21間の距離は図7に示すような撓み距離になる。これにより、カラム間がやや離れるように広がるので、上に重ねたパレットデッキからの雄型部材が雌型部材22の中に嵌まり込むことができるようになる。
【0053】
これを別のやり方で表現すると、ベース20の屈曲により、カラム21は角度をなすように向きを変えて、カラム間が離れるように広がり、雌型部材22の離間距離が逸脱距離分だけ増大する。この逸脱距離は次に説明するようにして算出できる。
【0054】
2つのカラム間に生じうる離間距離の増大量は、ボデー及びカラムを構成する材料の性質、ボデーに組み込まれる補強用リブ、ガセット及びチャネルの形態・配置、ボデーを撓ませるのに用いた力の量、並びにボデーを撓ませるためにボデーを押しつけることができる物体の形状及びサイズを包含するいくつかの因子に依存して変動する。
【0055】
ボデーに必要な屈曲量は、ロッキング要素の向き及び形態・配置に依存して変動しうる。カラムのベースから雌型部材までの距離は、雄型部材と雌型部材とを係合させるために増大させなければならないカラム間の開きの距離量を決めるのに重要な因子である。これがそうでありうるのは、屈曲が角度θを生じ、それに応じてカラムが移動するからである。ベースからカラム上の雌型部材の位置(高さ)までの距離が大きいほど、同じ角度θから生ずる離間の量が大きくなる。角度θのsine値×オフセット距離24の積は、2つの雌型部材22間における空間離間距離の増大量を与える。図7に示すように、可撓性ベース20から雌型部材22までのオフセット距離24が大きいほど、ベースを撓ませた時の雌型部材が移動する逸脱距離量が大きくなる。撓み性ベース20から雌型部材22までのオフセット距離24に依存して、図7に示すようなベース20の屈曲は、デッキ凸部の雄型部材27をベースの雌型部材22内に直接嵌入させて組み立てを行うのに十分なものとなる。1態様において、まずボデーの1辺に沿って位置する1組の雄型部材だけを対応する雌型部材内に挿入することにより、必要な屈曲量を低減させることができる。
【0056】
デッキ25を図8に示すその普通の状態と、図9に示すその反らせた状態との間で撓ませると、上記とは反対の作用を生ずる。雄型部材27についてはデッキ25からのオフセット距離は小さいが、それでも、図9に示すように、デッキ25を反らせると、雄型部材27の凸部間距離はより短くなる。パレットは、荷重を支えるデッキの上面とカラムを支持する底面ストラップとの間に約5インチの離間を必要とする。インターロック機構は、5インチのカラムの中間に位置するように、或いはいずれかの端部のより近くに位置するように設計することができる。インターロック機構の配置は次に、上面又は底面の屈曲性によっても影響されうる。例えば、パレットの底面が上面のデッキより可撓性が大きく、かつインターロック機構を上面と底面の間のカラムの中間より上方に位置させて、ベースの屈曲が、デッキのインターロック機構を受け入れるのに十分な離間距離でベースのインターロックを広げるようにすることができる。また、ベースとデッキをそれぞれの屈曲が両者の間の最適なインターロックに必要なものとなるように設計することも可能である。
【0057】
図7及び図9に示した右側の三角形は、インターロック機構の雄型部材と雌型部材とを組み立てるのに必要な屈曲角度を模式的に誇張して示す。ベースのカラムに設けた雌型部材はベースの屈曲可能スパンからのオフセット距離24を有する。右側の三角形は、カラム21の屈曲角度θのsine値にオフセット距離を乗ずると、ベース20を反らせた時に雌型部材22間の逸脱離間距離又は撓み距離の増大量を求めることができることを示している。
【0058】
同様に、図9に示した三角形も、角度θのsine値に最小オフセット距離29を乗じた積を用いて、デッキ25を図9に示す位置に反らせた時に、デッキ25の雄型部材27がより短い撓み距離に移動することを示すことができる。他方を受け入れる2つのボデーの一方だけを屈曲さることによりパレットを組み立てることができる。これは、どちらのボデーがより長いオフセット距離でより高いカラムを有するかに依存する。
【0059】
そのロッキング機構が、屈曲の中立軸に実質的に平行に組み立てられるボデーは、ロッキング機構ためのアセンブリのクリアランスを作り出すのに、ボデーに沿った地点の収束及び発散を最も効果的に用いる。2つの平行なボデーを同じ方向に同じ量で撓ませた場合は、積み重ねた紙をずらした時のように、それらの表面は実質的に平行なままである。それにより、ロッキング機構は滑り動作で係合することができるようになる。2つのボデーの一方だけを撓ませた場合には、ロッキング機構は滑りと回転が複合した動作で係合することができる。一部の態様では、ボデーの係合は、一方のボデーを他方のボデー(反らせたか又は弛緩させた状態にある)に対して水平に滑らせて、一方のボデーのインターロッキング要素を他方のボデーの対応するインターロッキング要素と係合可能にすることにより達成できる。この場合、回転動作に適合させるのに必要なクリアランスを解消するために、湾曲したロッキング機構を使用することが好ましいかもしれない。ある距離だけ離間させて設けられた平行なボデーは、幾何学効果を増幅させるために屈曲の中立軸から離れた凸部を効果的に使用することができ、より大きなロック係合を与えることができる。
【0060】
そのロッキング機構が屈曲の中立軸に対して実質的に垂直に組み立てられるボデーは、回転角を最も効果的に用いて、ロッキング機構のためのアセンブリクリアランスを創出する。
【0061】
ロッキング機構が屈曲中心から遠くに位置するほど、より大きな係合の深さを得ることができる。この理由から、好ましい1形態は、ボデーの外周部又は端部に設けたロッキング機構を備える。
【0062】
ほとんどの場合、ロッキング機構の一部は、ボデーを変形させずに係合させることができる。場合によっては、一連の撓み工程でボデーを撓ませることによりロッキング機構を係合させなければならないことがある。この場合には、まだ係合していないロッキング機構を離間させるために二次的な撓みを必要とすることがある。一部の場合には、ロッキング機構をドーム様式で撓ませることにより係合させることができる。
【0063】
インターロック機構がベースとデッキとの間に張力を確立するようにインターロック機構の雄型部材と雌型部材を設計することもできる。このような張力により、荷重がパレットデッキに加わった時に平らになるような非常に僅かの反りの状態にベースとデッキを保持することができる。これにより、インターロック力が2つのパレットボデーを常にしっかりしたインターロック状態に保持することを確実にすることができる。このインターロック張力は、好ましくは、デッキのインターロックに圧縮力を、ベースのインターロックには張力を使用する。別の好ましいパレットインターロック機構の設計は、インターロックのホーム位置では一緒に着座するデテント(移動止め)を形成することである。デテントは、インターロック機構が互いに完全に係合した時に、クリック音を生ずる。デテントはまた、パレットの組み立てを、その分解時に必要な力よりいくらか小さい力で行うことができるような構造とすることもできる。
【0064】
本発明の代表的態様に係る2部材型樹脂パレットの設計の別の因子として考えられるは、使用する材料の物理的及び化学的特性である。インターロックが強靱で長寿命であるのを確保するために、応力、歪、クリープ及びその他の観点からの検討を使用することができる。
【0065】
パレットのベース及びデッキの反りの屈曲は、同時に2つの垂直な軸に対して行うこともでき、こうして図10に示すようなドーム型効果を生ずる。これは、これらの部材を、1辺から他辺に向かう方向だけでなく、それらの辺の一端から他端への方向にも撓ませることができ、例えば、パレットの片割れ(2部材)のそれぞれをドーム形状に撓ませて、雄型部材と雌型部材を全て同時に嵌め合わせることができる状態にすることができる。必要となるのは、パレットの中央部に引き上げ力を加えてベース及びデッキをドーム型の反り形状にしながら、パレットの部材20及び25の両側の辺と両端を一緒に接触状態に保持するための固定機構である。これにより、雄型部材及び雌型部材は、それらをインターロックさせることができるそれらの撓み距離に移動する。引き上げ力が緩み、ベース20及びデッキ25がそれらの元の形態に戻ると、インターロック機構は両要素をしっかり一体に固定する。得られたアセンブリは特に強靱で耐久性があり、パレットの荒っぽい寿命の間も破損や分離に耐える。
【0066】
両部材のドーム化又は反りの屈曲はまた、パレットが荷重を支える時に受ける移動方向に対して反対方向でもある。パレットのデッキとベースとが、それらが一体に嵌まり合うまでこれらの部材を撓ませるかドーム化することによりインターロックされると、パレットはその普通の使用中には、その部材を反らしたり、ドーム化したりする形態(インターロック機構を組み立てるのに必要な形態)に屈曲させる力に遭遇することはないので、パレットの寿命の間、両部材は頑丈にインターロックされた状態にとどまる。他方、組み立てられたパレットは、ドーム形態に撓ませて、清掃、部品又は部材の交換又は他の修理のために雄型部材と雌型部材とのロックを解除することができる。
【0067】
以上をまとめると、インターロック機構の組み合わせは、撓むことのない、嵌合する雄型部材及び雌型部材を含むことができ;前記雄型部材及び雌型部材はそれぞれのボデー上に配置され、該ボデーの少なくとも一つが複数インターロック間のスパンで可撓性であり;前記雄型部材及び雌型部材は、前記可撓性ボデーからあるオフセット距離(od)だけオフセットされていて、ボデーの撓みによりインターロック機構が角度θの角度をなすように傾き、インターロック機構は逸脱距離(dd)だけ撓みのない位置から離脱するようになり;インターロック機構の逸脱距離(dd)は、角度θのsine値にインターロック機構の該要素からのオフセット距離(od)を乗じた積に等しく;そして撓みにより生ずる逸脱距離は、ボデーをインターロック状態に組み立て、又はボデーをインターロック状態から分離して分解するのに十分である。
【0068】
組み合わせる一対のボデーを連結する、対をなして嵌合する雄型部材及び雌型部材を有するインターロック機構は、下記を含むことができる:前記ボデー上でインターロック距離だけ離間している複数のインターロック機構;前記ボデーはインターロック間のスパンにおいて可撓性であって、ボデーを撓ませると、前記インターロック機構はそれぞれの角度θの角度を形成するように傾き;前記インターロック機構の雄型部材及び雌型部材は、可撓性ボデーのスパンからそれぞれのオフセット距離(od)だけオフセットされており;ボデーが撓んでインターロック機構を傾かせると、インターロック機構は前記インターロック距離からそれぞれの逸脱距離(dd)だけ移動し;それぞれの逸脱距離(dd)は、それぞれの角度θのsine値にそれぞれのオフセット距離(od)を乗じた積に等しく;そしてそれぞれの逸脱距離の合計だけインターロックが移動すると、インターロック機構の組み立て又は分解が可能となる。
【0069】
組み合わせるパレットのベース及びデッキを連結する、対をなして嵌合する雄型部材及び雌型部材を有するインターロック機構は、下記を含むことができる:前記ベースのスパンによりインターロック機構が離間しており;このベースのスパンはインターロック機構を傾かせて離間させる反りを生ずるように屈曲させるのに十分に可撓性であり;そしてインターロック機構を傾かせて離間させると、雄型部材と雌型部材をインターロックさせることができ、このインターロック動作は、前記インターロック機構を傾かせて離間させない限り実行できない。
【0070】
剛直な雄型部材及び雌型部材を備えたインターロック機構を有する一対のボデーをインターロックする方法は下記を含むことができる:前記ボデーの片方の可撓性スパンの距離だけ離間させてインターロック機構を配置し;前記インターロック機構の雄型部材及び雌型部材を前記ボデーの可撓性スパン位置からオフセットさせ;ボデースパンを撓ませて、インターロック機構を傾かせて向きを変えることにより撓みのない状態から離脱させ;雄型部材と雌型部材との組み立て又は雄型部材と雌型部材の分解のための唯一の非破壊的手段としてボデースパンの撓みからのインターロック機構の離脱を利用する。
【0071】
複数のインターロック機構により相互連結された一対のボデーは、下記を含む組み合わせで存在することができる:ボデーの当初の状態では組み立てることができない剛直な雄型部材及び雌型部材を有するインターロック機構;ここで、ボデー上のインターロック機構は、少なくとも一方のボデーの当初の状態からの屈曲によりインターロック機構を傾かせることによってインターロック機構の組み立て及び分解が可能となる状態になるように配置され;そして、インターロック機構を組み立てると、それらは可撓性要素を撓ませない限り分解することができない。
【0072】
代表的態様では、ボデー部品を、中心ピボット点の周囲の多くの軸上で撓ませながら組み立てることが可能となる。可能な撓み軸としては、パレットの短辺若しくは長辺を横断する方向の軸、部品の中心を通る任意の斜め方向の軸、又は部品の中心を頂点とするドーム形状に部品を撓ませることにより部品の中心を通る全ての軸を挙げることができる。好ましい態様は、次の具体的な順序で撓ませるものである:まず短辺軸に沿って撓ませて、パレットの長辺側の中心の要素又は部材をロックし、次にパレットの長辺に沿って撓ませて、コーナー(角)とパレットの短辺側の中心の要素又は部材を同時にロックする。
【0073】
複数の撓みロックを、各外周部材又は要素の内部又は外部に、パレットの上部デッキの下側で突き出るように配置することができる。1好適態様では、ロックは、パレットの各部材又は要素からパレットの中心に向かって組み立てのための回転方向に設けられる。この幾何学形状では、パレットのベースが部材又は要素の構造に固定されて、上部デッキの下側で片持ち(カンチレバー)状態に突き出ることができるので、部材又は要素間の有効スパンを低減させることによりパレットの偏位(偏り)が実質的に低減する。これらの機構を隣接の部材又は要素に到達するように延設することで、ワンピース(1部材)型パレットに近づけることができる。
【0074】
組み合わせてインターロックされた一対の略平行なボデーは、インターロック機構の雄型部材及び雌型部材を含み、これらの要素は剛直で、ボデーの可撓性スパンにより離間していることで、ボデーのスパンを撓ませることによりインターロック機構の離間距離が変化し、ボデーのスパンを撓ませない限り可能ではない手法で、インターロック機構を一体に組み立てることができるようになる。
【0075】
次に説明する式は代表的なツーピース(2部材)型パレットの態様についてのものであり、これらの式は、どのようにしてパレットボデーの一方の撓み角が図7及び図9に示した角度θを決め、それにより、カラムの開きによりしっかりしたインターロック嵌め合いを得てボデーの両側で雄型部材を対応する雌型部材と係合させるために雄型部材と雌型部材との間で利用可能な係合の長さを算出できるかを示す。1態様において、カラムに求められる移動距離(又はそれが成す角度)は、まず、ボデーの1辺に沿って設けられた一組の雄型部材を対応する雌型部材に挿入することにより低減させることができる。
【0076】
前記の式を単支持ビームに当てはめる。ここで、ビームの長さは2Lであり、X=L、すなわち、ビーム長さの1/2である。角度θについての式がYについての式に対して導かれ、Xに対するYの微分が偏位曲線の傾き(勾配)となる。適度に典型的な値を代入すると、所望の角度θを得るための撓みによる偏位を調整することにより約0.125〜約0.75インチの係合範囲(好ましい範囲は約0.25〜約0.5インチ)となる。オフセット距離(od)はパレット内で約5インチに制限されるが、パレットの一方の部材については実質的に小さくすることができる。デッキとベースは約5インチのodを分担することができ、分担の割合はそれぞれのボデーの剛性(スティフネス)に関係することができる。雄型部材と雌型部材との係合はまた、デッキとベースとの間で突き出ているカラム又は脚部のサイズに制限される。樹脂及び他の適当な材料のパレットのカラムの設置面積は、好ましくは約5〜9インチの範囲内であるので、これは約0.125〜約0.75インチの範囲内(好ましい範囲は約0.25〜約0.5インチ)の好ましいod係合距離に必要な大きさよりはるかに大きい。好ましい結果のグラフを図12に示す。
【0077】
【数1】
【0078】
次の式は、2部材型パレットの代表的態様の上部ボデー及び下部ボデーの慣性モーメントに対する比例的剛性を示す。上部デッキは1インチ厚みのビームについて、下部ベースは0.5インチ厚みのビームについて計算を行う。全体のパレット高さは5インチに設定する。この情報をあてはめて重心を算出し、最終的に、確実動作で相互作用する雄型部材と雌型部材とでデッキとベースを一体に確実に締結することにより得られた剛性の増加比を算出する。式に示す典型的な計算では、パレットのデッキとベースをしっかりインターロックすると剛性の約65:1の増大比になる。このような比の好ましい範囲は約40〜約80:1となる。
【0079】
【数2】
【0080】
図11は、パレットのベース20とデッキ25との間の中心ポストをインターロックする手法を示す。図示の簡略化のため、ベース20には四隅のコーナー脚部しか示していないが、本来は合計8個の四隅及び各辺の脚部を使用することが好ましい。ベース20は直立した円筒形状の中心ポスト30を備えるように形成され、パレットのデッキ25はポスト30内に入れ子式に入り込むことができる中心ポスト40を備えるように形成されている。図11に示すようにベース20をドーム形状にすると、中心ポスト30が上に持ち上がり、デッキ25のポスト40が中心ポスト30の内部に入るよう降下させることができる。一方又は両方のポストを中空とすることができ、ポスト30とポスト40との係合は、ごみの付着場所がなくなるようにスナグ(滑り嵌め)であることが好ましい。
【0081】
ポスト30及び40は、図11に模式的に示すように、差し込み継手(バヨネットジョイント)のそれぞれの部材を有することもできる。これにより、デッキ25はベース20に対して角度をなすように向けることが可能となり、ポスト40がポスト30内の最後まで届くようにすることができる。デッキ25をベース20と見当が合う位置になるよう戻る方向に回転さると、差し込み継手が係合し、ポスト30と40を一体にロックする。これは、デッキ25とベース20との間のロッキング強度をさらに増し、ゴミの付着を完全に防止するようなポストの装着を助ける。
【0082】
パレットは、2部材型パレットアセンブリの上面部材と底面部材を分離するか、又は引き離すように作用する実質的な印加力を受ける。このような力はパレットジャッキにより加えられうることが多い。パレットジャッキは、そのホイールがパレットの底面ピースのパレットストラップ上に位置する時に、パレットの下側に差し込まれ、ジャッキアップされてパレットを床面から持ち上げる。代表的態様では、このような力に耐える強度を、より一般的なスナップロック(押し込み締め)に対して実質的により大きくすることができる。これは、スナップロックでは係合が十分に強くなく、撓み性であるため、脱着(ロック解除)に耐える強度が小さくなるのに対し、本発明の撓みアセンブリ法を用いたインターロッキング機構は、滑りにより一体に係合するので、材料及び設計が許す範囲で剛性及び強度を高めることができる結果である。インターロッキング機構の幾何学形状は、それらに制限されないが、半円、三角、楕円、矩形の接触領域、それらの組み合わせなどをはじめとする多くの形態をとることができる。好ましい代表的態様は矩形ボックスであって、リブが脱着力の軸に沿ってロッキング表面から突出し、部材全体の要素内に結合されていて上述したように力に耐えることができるロックを創出しているものである。
【0083】
この撓みアセンブリ(撓み組み立て又はフレックスアセンブリ)は、この時の印加力とは逆方向に撓ませることにより容易な分解を可能にする。パレットの場合、分解は、パレットを中心で支持しながらパレットの外周を押し下げることにより行うことができる。好ましい態様は、分解力に耐えるように部材の一体保持をさらに高めるために、インターロック係合の方向に平行な水平軸内で係合するスナップロック機構を使用する。これらのスナップロック機構は、1方向スナップロック機構とすることができる。この種のスナップロックは、スナップフィンガーの後方表面のテーパー角度に基づいてパレット組み立て力に対する適度な抵抗を付与しつつ、組み立て方向に垂直なスナップフィンガーの前縁表面でのスナップフィンガーの破壊を伴わない限りパレットの脱着を防止するためである。或いは、1好適態様では、スナップフィンガーは、組み立て力より大きく、それ以外には利用時にみられない量の力で、両部材を損傷せずに分解できるよう仕立て上げることができる。これは、スナップフィンガーの前縁部のテーパー傾斜を後縁部のテーパー傾斜より大きくすることにより達成できる。こうすると、フィンガーをロック解除位置に撓ませるのにより大きな力が必要になるからである。
【0084】
2つのボデーに息抜き、すなわち、非接触領域又は空間を持たせることを可能にしたい場合、ロッキング要素内にクリアランス又はコンプライアント機構を設けることができる。両ボデーが完全に分離するのを防止しながら、この種の連結は、規定された最大離間量を付与することを可能にする。両ボデーは、重力又はバネ要素により接触状態に戻ることができる。
【0085】
複数ボデーの偶発的な分解の防止をさらに高め又は実質的に阻止することが望ましい場合、ロッキング要素の係合を維持するいくつかの手段を採用することができる。そのような手段としては、それらに限られないが、ピン、ファスナー(締結具)、溶接、スナップロック、デテント、それらの組み合わせなどが挙げられる。
【0086】
複数ボデー間の界面をシールすることが望ましい場合、それらに限られないが、カプセル化、コーキング(充填)、接着、ガスケット、溶接、締まり嵌め、それらの組み合わせなどを包含するいくつかの手段を採用することができる。
【0087】
ボデーを一体にロックして構造的アセンブリを形成したい場合、係合方向に締めしろを付与することによりロックに予荷重を負荷することができる。ロッキング要素のクリアランスに起因する偏位を解消するために係合方向に垂直なプレス嵌め又は整合テーパー嵌め(matching taper fit)を設けることも可能である。
【0088】
撓み組み立ては手作業又は自動的に実施することができる。この方法は、成形プロセスに組み入れて、部材が温かく、より容易に撓む時点で行うことができる(特に、ファミリーモールド(組み合わせ金型)を使用する場合)。追加の利点は、部材が互いに嵌まり合うことで冷却中の歪みや反りが少なくなることである。
【0089】
ここに記載した代表的態様は、次に述べるように下記の他のデザイン又は組み立て法に対する利点を実現することができる。複数ボデーを溶接又は接着する場合には、清掃又は補修のために組み立て製品を分解することができない。スナップ嵌め連結の使用は、ロッキング要素が撓む必要があるため、本質的により弱い連結となり、スナップ嵌めの部材を係合させるのにクリアランスが必要なことから、よりゆるい連結となる。ピン又はファスナーの使用は、組み立てに追加の部品を必要とし、部品が外力により外れて望ましくない場所に落下することがある。
【0090】
代表的態様はまた、バルクコンテナ(ばら荷容器)のような他の用途にも適用することができる。この種の用途は、偏位を最小限にして実質的な力に耐えることができる剛性の高いパネルを必要とし、特にパネルに垂直な1方向に主に力が加わる。これは、あらゆるバルクコンテナのパレットベース、並びに外向きに静水圧を発揮するばらの積み荷を運ぶためのバルクコンテナの側壁について言える。
【0091】
この場合の撓み組み立ては、2部材を中心ピボット点の周辺で撓ませる時の水平軸に沿った両部材の変位に頼る。この変位は、撓み角とピボット点からの距離に依存してきまる。好適態様におけるパレットの中心脚部であるピボット点では、ロッキングを創出するのに変位が起こらないので、別のロッキング法が必要となる。これは、ロッキングを行わずに、両部材を垂直面内で内外に摺動可能にすることにより、並びにスナップ嵌め、ファスナー、接着剤又は溶接を用いて実施することができるが、好ましい1態様は回転又は差し込み(バヨネット)ロッキング法を用いる。この種のロッキングは、まず四辺全部の上で底面部材(ベース)を撓ませてクリア状態にし、上面部材と底面部材を一緒に直角から外れた状態とし、上面部材だけを回転させてロック機構を係合させ、両部材を直角にする。このロッキング機構は、ゼロ・クリアランスのギャップを達成できる点と、ロッキング機構の幾何学形状の剛性と強度を分離力に耐えるように実質的に高めることができる点とで、スナップロックのような他の方法に比べて、撓みロックと同様の利点を与える。
【0092】
代表的態様の適用における別の利点は、組み立てた状態での両部材間のギャップがゼロ又は実質的にゼロであるインターロッキング機構を設計することができることである。スナップロックは、ロックを嵌めるためや所定位置に戻すための回転を可能にするのにクリアランスが必要である。係合が大きくなるほど、また可撓性タブの長さが大きくなるほど、より大きなクリアランスが必要となる。このクリアランスは、荷を積んだ時の両部材間のギャップと、アセンブリの剛性を低下させる2部材間の荷重移動の非効率として現れる。代表的態様では、クリアランスをゼロ又は実質的にゼロに設計できるので、2部材間のギャップが解消され、2部材間の最適な荷重移動が助長される。部材間のギャップの最小化は、ギャップによって汚染物捕捉を生ずることがある食品分野のような用途においては必須である。
【実施例】
【0093】
パレット引き離し試験
パレットの上面デッキをその底面ベースか分離するように作用する力(パレットジャッキにより加わる力のような)に対する異なるパレット組み立て方法の相対的な抵抗を測定するために、4つのパレットサンプルを試験した。幅7インチで長さ48インチのストリップ状のパレットを、パレットジャッキが最も頻繁に接近する部位であるパレットの長辺側でのワンフォークポケット開き(one fork pocket opening)を単離するために試験した。油圧ジャッキを用いてワンフォークポケット開きで底面フレームから上面デッキを分離させた。ロードセルを用いて油圧ジャッキにより加えられた力を測定した。ジャッキの各ストロークは0.71インチの変位を生じた。各ストローク後に力を記録して、0.71インチの変位の増分ごとに必要な荷重を求めた。4つのパレットサンプルはいずれも破損するまで試験した。試験した下記の4つのパレットは、一般的なパレット組み立て方法による3つのアセンブリ(組み立て体)と、本発明に係る代表的態様の撓み組み立て法によるアセンブリであった。パレット材料は特に指定しない限りプラスチック樹脂であった。
【0094】
1.撓みアセンブリ
2.溶接アセンブリ
3.釘打ち木材アセンブリ
4.スナップ嵌めアセンブリ
試験結果を図13に示す。
【0095】
下に示した態様では、好ましくは雌型部材と雄型部材を特定の順序で連結することによりインターロック機構を作製することができる。雌型部材と雄型部材の連結順序を、ボデーが下に示す記号を有する3×3ブロックのマトリックス(行列)であるとして説明することができる。
【0096】
【表1】
【0097】
下に示す数字のそれぞれにおいて、各ボデーはこのマトリックスに類似であると考えることができる。下に示すのは、交互撓みの態様である図15からのボデーである。
【0098】
【表2】
【0099】
要素76を含むボデー部分は上記マトリックスのブロック1に対応する。同様に、要素77Aを含むボデー部分は上記マトリックスのブロック2に対応する。この例について、図15の要素番号と上記マトリックスとの対応関係を下に示す。
【0100】
【表3】
【0101】
下の表は、上記マトリックスに従った組み立て順序の一般的な説明を与える。
【0102】
【表4】
【0103】
図14は、ドーム型偏位を用いた単撓み(シングルフレックス)型パレットの代表的態様を示す。この代表的態様50において、ボデー51及び52が一体に係合されてパレットを形成する。係合は、ボデー52、52の一方を、それぞれ対応する雄型と雌型の部材52と53、54と55、そして56と57を係合させることができるようにドーム形状に撓ませることにより、達成される。撓ませたボデー51又は52を撓みのない状態に戻すと、ボデーはインターロックされる。
【0104】
図15は、パレットを形成するように係合できるボデー部材61及び62を備えた交互型撓みパレットの代表的態様60を示す。ボデー部材61及び62は、互いに係合してインターロックを形成するそれぞれ雄型及び雌型の部材を備える。それぞれ対応する雄型部材と雌型部材の係合は、ボデー61及び62の少なくとも一方をドーム形状にすることにより、雄型と雌型部材65と66、78と79、67と68、77と77A、そして73と74を係合させ、次にボデー61及び62の少なくとも一方を凹ませて、残りのそれぞれ対応する雄型と雌型の部材69と70、75と76、70と71、そして63と64を係合させることにより行われる。
【0105】
図16は、パレットを形成するために係合させる雄型及び雌型の対応する複数の対を備えた2方向撓み型パレットの代表的態様80を示す。この態様では、雄型部材と雌型部材との係合は、ボデー81及び82の少なくとも一方を撓ませることによって、雄型部材とその対応する雌型部材97と98、91と92、そして85と86を係合させた後、ボデー81及び82の少なくとも一方を別の方向に撓ませることにより、雄型部材と対応するその雌型部材95と96、89と90、83と84、99と100、93と94、そして87と88を係合させることにより達成される。
【0106】
図17は、パレットを形成するために係合させるボデー106及び107を備えた代表的な架橋(ブリッジング)フォークポケット型パレットの態様105を示す。この態様では、ボデー106及び107は、ボデー106及び107を連結してパレットを形成するために係合されるそれぞれ対応する雄型と雌型の部材を備える。この態様におけるボデー106及び107の係合は、捩じりを加えることにより雄型部材とその対応する雌型部材106と107を、次にそれぞれ対応する雄型と雌型の部材122と123そして110と111を係合させ、その後に要素120と121、114と115、108と109、そして要素124と125、118と119、そして112と113を係合させることにより達成される。この態様ではタング(tang)がフォークポケットの上に張り出していて追加の剛直性を付与する。
【0107】
上記の複数の撓みロックを、それぞれの外周脚部の内部に又はこれらの脚部の外部に、パレットの上面デッキの下側に突き出して配置することができる。1好適態様において、ロックを、パレットの各脚部からパレットの中心に向かって組み立てのための反り軸を中心とする回転の方向に向けられる。この幾何学形状は、ベースの構造物に固定されて、上部デッキの下側で片持ち状態に突き出ることによりフォークポケットを架橋することができるので、カラム間の有効スパンを低減させることによりパレットの反りを実質的に低減させる。これらの要素を隣接要素に到達するよう延設することで、底面デッキと上面カラムとの間に不可欠な連結部が構造一体性を有するワンピース(1部材)型パレットの構造に近づけることができる。
【0108】
図18は、ボデー部材141及び142を備えた代表な多断片型パレットの態様140を示す。ボデー部材141及び142は、これらのボデーの係合を付与してパレットを形成するためのそれぞれ対応する雄型及び雌型部材を備える。この多断片型パレットの態様は、それぞれ対応する雌型部材と係合させるための多様な雄型部材143A〜D、144A〜D、145A〜D、及び146A〜Dを備える、4つのカバーピース143、144、145及び146を用いて係合される(別々に番号付与していない)。
【0109】
図19は、ボデー186と187とを係合させてパレットを形成するための、それぞれ対応する雄型部材及び雌型部材を有するボデー186及び187を備えた一体ヒンジ型パレットの態様185を示す。この態様185はまた、ボデー187に設けた一体型ヒンジ188を備える(ただし、別の代表的態様では一体型ヒンジを他方のボデー部材に設けてもよい)。この態様における係合は、図15に示した態様と同様に2方向に、ただし一体型ヒンジも使用して撓ませることにより、雄型と雌型の部材203と204、197と198、そして191と192を係合させ、次に別の方向に撓ませることにより雄型部材と対応する雌型部材201と202、195と196、189と190、193と194、199と200、そして205と206を係合させることにより実施できる。
【0110】
図20は、ボデー251及び252とボデー252に設けたヒンジ253とを備えた、代表的なヒンジ型態様のパレット250を示す(ただし、別の代表的態様ではヒンジは他方のボデー要素251に設けてもよい)。この態様では、一体型ヒンジの態様185と同じく、図15に示した代表的態様と同様に2方向に、ただしヒンジ253を使用して撓ませることにより係合を行うことができる。すなわち、雄型と対応する雌型の部材256と257、262と263、そして268と269をまず係合させ、次にそれぞれの雄型部材と雌型部材266と267、260と261、254と255、258と259、264と265、そして270と271を係合させる。
【0111】
図21は、それぞれの雄型及び雌型の部材を有するボデー286及び287と、ボデー286及び287を連結又は係合させてパレットを形成するために使用される、別のロッキング部材とを備えた代表的な別ロッキング部材型パレットの態様285を示す。この態様285では、2ボデー間の係合を付与するために別のロッキング部材を設ける。係合は、図15に示した態様と同様にボデー286及び287の少なくとも一方を異なる方向に撓ませることにより行うことができる。すなわち、まず雄型要素とその対応する雌型要素302と303、303Aと296、297と290、そして291と291Aを係合させ、その後に要素300と301、301Aと294、295と295A、288と289、289Aと304、305と305A、298と299、299Aと292、そして293と293Aを係合させる。
【0112】
図22は、4つの壁面351、352、353及び354を備えた代表的な壁面雌型撓みアセンブリ350を示す。各壁面は縁部領域に沿って1組の雄型部材355又は雌型部材356を有していて、雄型部材355は対応する雌型部材356と係合して壁面部材を角で一体にロックすることができるようになっている。従って、代表的態様350では、壁面部材351と壁面部材352との係合は、壁面部材351及び352の少なくとも一方を撓ませて、雄型部材355を雌型部材356と係合可能にすることにより行われる。こうして壁面部材351及び352の少なくとも一方が撓んでいない状態に戻れば、雄型部材355と雌型部材356が係合し、インターロックされる。
【0113】
図23は、壁面386、387、388及び389を備えた代表的な壁面撓みアセンブリ385を示す。各壁面は複数の雌型係合部材390と対応する雄型係合部材391とを備える。この壁面アセンブリの組み立ては、壁面部材の少なくとも一つを撓ませることにより、例えば、壁面部材386を壁面部材387及び389に対して雌型係合部材390と雄型係合部材391との間での係合が可能になるようにすることで行われる。こうして、壁面部材386が撓みのない状態に戻れば、壁面部材間の係合が達成され、維持されうるようになる。
【0114】
図24は、円筒形状のボデー402と円形蓋(カバー)401とを有する蓋つき撓みアセンブリ400を示す。蓋401とボデー402との係合は、ボデー402の上部開口部に設けた雄型インターロック部材404と蓋401の縁部に沿って設けた雌型係合部材403との間で係合を得ることにより達成できる。蓋401を撓ませるか及び/若しくは反らせることができ、並びに/又はボデー402を撓ませるか及び/若しくは反らせることにより雄型係合部材404と雌型係合部材403との係合を達成することができ、こうして蓋401及び/又はボデー402を撓みのない状態に戻した時に、雄型係合部材404と雌型係合部材403との間のインターロックが維持されるようになる。
【0115】
以上に代表的なアセンブリ及び組み立て方法についてその特定の態様に関して詳述したが、本発明の範囲から逸脱せずに、各種の変更・改変をなし、均等物を採用しうることは当業者には自明であろう。
【0116】
本書で引用又は言及した各特許、特許出願、刊行物、文書及び文献は、特にその全体をここに援用する。
【0117】
以上に本発明の各種態様を、その代表的、具体的及び好適な態様に関して説明したが、本発明の技術思想から逸脱せずに、各種の変更、置換、省略及び改変をなしうることを当業者なら理解しよう。よって、本発明の範囲は、その均等物を包含する添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるものである。
図1
図2
図3
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図5
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