(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コージエライトセラミックから形成され、かつ多孔質チャネル壁によって形成される複数のセルチャネルを備えたハニカム体を有してなる多孔質セラミックハニカム物品であって:
前記ハニカム体が、55%以上の気孔率P%、および、150cpsi(23セル/cm2)以上のセルチャネル密度CDを有し;
前記ハニカム体の前記多孔質チャネル壁が、壁厚T(ここで、(11+(300−CD)*0.03)≧T≧(8+(300−CD)*0.02)であり、前記壁厚Tがミルの単位で表される)を有するとともに、0.203mm(8ミル)≦T≦0.254mm(10ミル)であり;
前記ハニカム体の前記多孔質チャネル壁が、
(i)20マイクロメートル以下の中央細孔径;および
(ii)0.26以下のd因子(ここで、前記d因子=(d50−d10)/d50である)を有する細孔径分布を有し;
前記ハニカム体の容積当たりの比細孔容積VPが、0.22以下であり、ここで、VP=(1−OFA)*P%であり、OFAが、前記ハニカム体の開口面積率であり;
前記多孔質セラミックハニカム物品が、100g/Lのウォッシュコート触媒で被覆され、5g/Lの煤が負荷された場合、26.5立方フィート(0.75m3)/分の流量で8kPa以下の被覆圧力降下の増加を示すものであることを特徴とする多孔質セラミックハニカム物品。
【発明を実施するための形態】
【0011】
これより、多孔質セラミックハニカム物品の実施形態が詳細に言及され、その例が、添付の図面に示される。できる限り、図面全体を通して、同じかまたは類似の部分を指すのに同じ参照番号が使用される。多孔質セラミックハニカム物品の一実施形態が、
図1に概略的に示される。多孔質セラミックハニカム物品は、コージエライトセラミックから形成され、かつ多孔質チャネル壁によって形成される複数のセルチャネルを含むハニカム体を含む。ハニカム体のチャネル壁は、55%以上の気孔率P%、20マイクロメートル以下の中央細孔径、および150cpsi(23セル/cm
2)以上のセルチャネル密度CDを有する。ハニカム体の多孔質チャネル壁は、壁厚T(ここで、(11+(300−CD)*0.03)≧T≧(8+(300−CD)*0.02)であり、壁厚Tは、ミルの単位で表される)を有する。ハニカム体は、0.22以下の比細孔容積も有し、比細孔容積は、ハニカムの全容積に対する多孔質チャネル壁中に存在する細孔の全容積の比率を表す。ハニカム体の多孔質チャネル壁は、0.35以下のd因子(ここで、d因子=(d
50−d
10)/d
50である)を有する細孔径分布を有する。全バルク気孔率に対する表面気孔率の比率は、0.5以上である。多孔質セラミックハニカム物品は、100g/Lのウォッシュコート触媒で被覆され、5g/Lの煤が負荷された場合、26.5立方フィート(0.75m
3)/分の流量で8kPa以下の被覆圧力降下の増加を有する。多孔質セラミックハニカム物品および多孔質セラミックハニカム物品を作製する方法は、本明細書により詳細に説明される。
【0012】
本明細書において使用される際、単数形(「a」、「an」および「the」)は、文脈上、複数でないことが明白に示されない限り、複数形の指示対象を含む。したがって、例えば、単数形の「シリカ形成源」または単数形の「アルミナ形成源」への言及は、文脈上、複数でないことが明白に示されない限り、2つ以上のこのような形成源を有する態様を含み得る。
【0013】
本明細書において使用される際、有機成分の「重量%」または「重量パーセント(weight percent)」または「重量パーセント(percent by weight)」は、矛盾する具体的な記載がない限り、成分が中に含まれる無機物全体の総重量を基準にしている。例えば、細孔形成剤およびバインダーなどの全ての有機物の添加は、使用される無機物の100%を基準にした上乗せ添加(superaddition)として本明細書において規定される。
【0014】
ここで、
図1を参照すると、多孔質セラミックハニカム物品100が概略的に示される。多孔質セラミックハニカム物品100は、粒状物質をろ過するための壁面流フィルタとして使用され得る。例えば、多孔質セラミックハニカム物品100は、車両の排気ガスから粒状物質をろ過する際に使用され得る。多孔質セラミックハニカム物品100は、一般に、第1の端部102と第2の端部104との間に延在する複数のセルチャネル101を有する多孔質コージエライトセラミックハニカム体を含む。複数のほぼ平行なセルチャネル101は、第1の端部102から第2の端部104へと延在する交差する多孔質チャネル壁106によって形成され、この交差する多孔質チャネル壁106によって少なくとも部分的に画定される。多孔質セラミックハニカム物品100は、複数のセルチャネルの周りに形成されてそれを囲む外皮も含み得る。この外皮は、チャネル壁106の形成の際に押出し加工されてもよく、またはセルの外側周囲部分に表皮セメントを
施すことによって、後で
施される外皮として後の処理で形成されてもよい。
【0015】
一実施形態において、複数の平行なセルチャネル101は、断面がほぼ正方形であり、ハニカム構造へと成形される。しかしながら、代替的な実施形態において、ハニカム構造中の複数の平行なセルチャネルは、矩形、円形、楕円形、三角形、八角形、六角形、またはそれらの組合せを含む他の断面形状を有していてもよい。
【0016】
本明細書に記載される際の「ハニカム」という用語は、チャネル壁106から形成され、かつ好ましくは、一般に反復する格子状の模様を有する長手方向に延在するセルの構造として定義される。フィルタ用途に用いられるハニカムでは、特定のセルが、入口セル108として示され、特定の他のセルが、出口セル110として示される。さらに、多孔質セラミックハニカム物品100では、セルの少なくとも一部が、プラグ112で塞がれ得る。一般に、プラグ112は、セルチャネルの端部またはその近傍に配置され、セルの端部が1つおきに塞がれている
図1に示される市松模様などのある所定の模様で配置される。入口チャネル108は、第2の端部104またはその近傍で塞がれてもよく、出口チャネル110は、入口チャネルに対応しないチャネルにおける第1の端部102またはその近傍で塞がれてもよい。したがって、各セルが、多孔質セラミックハニカム物品の一端のみまたはその近傍で塞がれてもよい。
【0017】
ここで、
図2を参照すると、多孔質セラミックハニカム物品200の代替的な実施形態が概略的に示される。この実施形態において、セルチャネルの中には、フロースロー型チャネル(全長に沿って塞がれていない)であるものも、いわゆる「部分フィルタ」構造となるように塞がれているものもあり得る。より具体的には、
図2に示される多孔質セラミックハニカム物品は、一般に、交差している多孔質の壁206、出口端部204がプラグ(図示せず)で塞がれた入口セル208、入口端部がプラグ212で塞がれた出口セル210および少なくともいくつかのフロースルー型の(塞がれていない)チャネル214を含み、フロースルー型の(塞がれていない)チャネル214では、流れが、多孔質チャネル壁206を通過せずに多孔質セラミックハニカム物品の本体を直接通過する。例えば、一実施形態(図示せず)において、1つおきの列の1つおきのセルが、フロースルー型のチャネルである。したがって、この実施形態において、チャネルの50%未満が、塞がれていなくてもよい。
【0018】
図1および2が、チャネルの一部または全てが塞がれた多孔質セラミックハニカム物品100、200の実施形態を示す一方、代替的な実施形態において、多孔質セラミックハニカム物品100、200が、ガソリンエンジンとともに使用するためのフロースルー型の触媒基板として使用される場合のように、多孔質セラミックハニカム物品の全てのチャネルが塞がれていなくてもよいことが理解されるべきである。
【0019】
本明細書に記載される多孔質セラミックハニカム物品100、200の一実施形態において、ミル(1/1000インチまたは25.4マイクロメートル)の単位の多孔質チャネル壁106、206の厚さTは、ハニカム物品100、200のセル密度(単位cpsi)の関数である。特に、多孔質チャネル壁の厚さTは、約(11+(300−CD)*0.03)〜約(8+(300−CD)*0.02)の範囲であってもよく、ここで、CDは、平方インチ当たりのセル数(cpsi)で表されるセルの密度である。他の実施形態において、チャネル壁の厚さは、約(10+(300−CD)*0.03)〜約(6+(300−CD)*0.02)の範囲である。他の実施形態において、チャネル壁の厚さは、約(12+(300−CD)*0.03)〜約(8+(300−CD)*0.02)の範囲である。
【0020】
多孔質セラミックハニカム物品100、200のセル密度CDは、約400セル/in
2(62セル/cm
2)以下であり得る。別の実施形態において、多孔質セラミックハニカム物品100、200のセル密度は、約300セル/in
2(46セル/cm
2)以下であり得る。さらに別の実施形態において、多孔質セラミックハニカム物品100、200のセル密度は、約150セル/in
2(23セル/cm
2)以上であり得る。したがって、本明細書に記載される実施形態において、多孔質セラミックハニカム物品100、200のセル密度が、約150セル/in
2(23セル/cm
2)以上かつ約400セル/in
2(62セル/cm
2)以下であり得ることが理解されるべきである。
【0021】
A/Bの「幾何学形状」を有する多孔質セラミックハニカム物品が本明細書において言及されることがあり、ここで、Aが、多孔質セラミックハニカム物品のセル密度であり、Bが、チャネル壁の厚さである。例として、限定はされないが、200/10の幾何学形状を有する多孔質セラミックハニカム物品が、200セル/in
2(31セル/cm
2)のセル密度および10ミル(0.254mm)のセルの壁厚を有する。本明細書に記載されるいくつかの実施形態において、多孔質セラミック物品は、300/8の幾何学形状を有する。他の実施形態において、多孔質セラミック物品は、300/10の幾何学形状を有する。さらに他の実施形態において、多孔質セラミック物品は、200/12の幾何学形状を有する。しかしながら、他の幾何学形状が可能であることが理解されるべきである。
【0022】
本明細書に記載される多孔質セラミックハニカム物品は、一般に、比較的高い全気孔率(%P)を有する。本明細書に記載される多孔質セラミックハニカム物品の実施形態において、全気孔率%Pは、水銀ポロシメトリーで測定した際に、約50%以上かつ約70%以下である。いくつかの実施形態において、全気孔率%Pは、約55%以上かつ約65%以下である。他の実施形態において、全気孔率%Pは、58%以上かつ62%以下である。さらに他の実施形態において、全気孔率%Pは、約62%以上かつ65%以下である。
【0023】
図3〜6を参照すると、多孔質セラミックハニカム物品の細孔は、相互に貫通した網目構造を示すコージエライトセラミックのチャネル状のドメイン内で高度に連結される。特に、
図3および4は、触媒ウォッシュコートが
施されたセルチャネル壁の研磨軸方向断面の細孔形態のSEM顕微鏡写真を示す。
図5および6は、触媒ウォッシュコートが
施された多孔質セラミックハニカム物品の表面細孔形態を示す。
図3および4に示されるように、多孔質セラミックハニカムの細孔は、一般に、チャネルに十分に連結される。
図5および6に示される表面細孔形態は、
図3および4に示される軸方向断面の細孔形態とほぼ同様である。したがって、全体気孔率の形態とともに表面気孔率の形態は、一般に、共連続(bi−continuous)形態である。本明細書に記載される実施形態において、コージエライトドメインサイズは、一般に、約20マイクロメートル以上あるいは40マイクロメートルである。いくつかの実施形態において、コージエライトドメインサイズは、60マイクロメートルを超える。他の実施形態において、多孔質セラミックハニカム物品中のコージエライトドメインサイズは、約20マイクロメートル〜約80マイクロメートルの範囲である。
【0024】
ハニカム物品の比細孔容積は、多孔質セラミックハニカム物品の気孔率%Pの関数としてのチャネル壁の多孔質構造の内部で得られる総容積および多孔質ハニカム物品の開口面積率(OFA)と本明細書において呼ばれる、多孔質セラミック物品中に存在するチャネル壁の総容積を特徴付ける。より具体的には、比細孔容積VPは、以下の関係式によってOFAおよび気孔率%Pに関連付けられる:
VP=(1−OFA)*(%P)
本明細書に記載される多孔質セラミックハニカム物品は、一般に、比較的低い比細孔容積VPを有する。本明細書に記載される実施形態において、多孔質セラミックハニカム物品は、0.22未満の比細孔容積を有する。いくつかの実施形態において、比細孔容積は、0.2未満あるいは0.185未満であり得る。さらに別の実施形態において、比細孔容積は、0.18未満であり得る。いくつかの他の実施形態において、比細孔容積は、0.21≦VP≦0.14の範囲であり得る。
【0025】
ウォッシュコーティングの前の多孔質セラミックハニカム物品のSEM顕微鏡写真の画像分析によって測定した際の、多孔質セラミックハニカム物品の非被覆表面気孔率は、一般に、30%以上あるいは35%以上である。いくつかの実施形態において、多孔質セラミックハニカム物品の表面気孔率は、38%以上あるいは40%以上である。他の実施形態において、表面気孔率は、42%以上である。自動車および/またはディーゼルの用途において微粒子フィルタとして使用される場合、表面気孔率が高くなるほど、透過性がより高く、それに対応する背圧の降下がより少ない多孔質セラミックハニカム物品が得られる。表面気孔率および全気孔率に基づいて、多孔質セラミックハニカム物品の実施形態は、0.5以上あるいは0.6以上の表面気孔率対全気孔率の比率を有する。いくつかの実施形態において、表面気孔率対全気孔率の比率は、0.7以上である。
【0026】
本明細書に記載される多孔質セラミックハニカム物品は、一般に、約12マイクロメートル〜約20マイクロメートルの範囲の中央細孔径d
50を有する。いくつかの実施形態において、多孔質セラミックハニカム物品の中央細孔径d
50は、約20マイクロメートル以下あるいは約16マイクロメートル以下である。他の実施形態において、焼成された多孔質セラミックハニカム物品の中央細孔径d
50は、約12マイクロメートル〜約14マイクロメートルの範囲である。中央細孔径d
50がこれらの範囲内であるように気孔率を制御することにより、非常に小さい細孔の量を制限し、それによって、焼成された多孔質セラミック物品のウォッシュコートされた場合の背圧を最小限に抑える。
【0027】
本明細書に記載される実施形態において、多孔質セラミックハニカム物品の細孔径分布は、5マイクロメートル以上あるいは8マイクロメートル以上のd
10値を含む。本明細書において使用される際の量d
10は、細孔容積の10%がd
10の値より小さい直径を有する細孔から構成される細孔径であり;したがって、水銀ポロシメトリー技術を用いて気孔率を測定する際、d
10は、セラミックの開放気孔率の90容積%がポロシメトリー測定の際に水銀によって侵入されている細孔径に等しい。
【0028】
本明細書において使用される際、d因子d
fは、中央細孔径d
50より微細な細孔径の分布の相対幅の特性である。d因子d
fは、以下のように定義される:
d
f=(d
50−d
10)/d
50
式中、d
50およびd
10が、上に定義されるとおりである。本明細書に記載される実施形態において、多孔質セラミックハニカム物品の多孔質の壁の開放相互連結気孔率の細孔径分布は、d
f≦0.35、d
f≦0.3、d
f≦0.25、d
f≦0.22、あるいはd
f≦0.2であるように比較的狭い。いくつかの実施形態において、多孔質セラミックハニカム物品のd因子は、約0.15〜約0.35の範囲である。
【0029】
本明細書に記載される実施形態において、多孔質セラミックハニカム物品は、45マイクロメートル以下あるいは35マイクロメートル以下のd
90値を有する細孔径分布を有する。多孔質セラミックハニカム物品のいくつかの実施形態は、30マイクロメートル以下のd
90値を有する細孔径分布を有する。本明細書において使用される際の量d
90は、細孔容積の90%がd
90の値より小さい直径を有する細孔から構成される細孔径であり;したがって、水銀ポロシメトリー技術を用いて気孔率を測定する際、d
90は、セラミックの開放気孔率の10容積%が、ポロシメトリー測定の際に水銀によって侵入されている細孔径に等しい。
【0030】
多孔質セラミックハニカム物品の極狭細孔径分布は、中央細孔径d
50より微細な細孔径およびより粗い細孔径の両方の分布の幅d
Absbによっても特徴付けられ得る。本明細書において使用される際、d
Absbは、以下のように定義される:
d
Absb=(d
75−d
25)
式中、本明細書において使用される際の量d
25は、細孔容積の25%が、d
25の値より小さい直径を有する細孔から構成される細孔径であり、本明細書において使用される際の量d
75は、細孔容積の75%が、d
75の値より小さい直径を有する細孔から構成される細孔径である。本明細書に記載される多孔質セラミックハニカム物品は、10マイクロメートル以下のd
Absbを示す細孔径分布を有し得る。いくつかの実施形態において、多孔質セラミックハニカム物品は、8マイクロメートル以下のd
Absbあるいは6マイクロメートル以下のd
Absbを示す。中央細孔径値の周辺の幅が狭いと、細孔および孔隙/細孔容積の大部分が所望の範囲内に入り、多孔質セラミックハニカム物品の容積のほとんどが小さ過ぎるかまたは多き過ぎる細孔となって失われない。この狭い絶対幅が、触媒ウォッシュコートによる
施しに伴う改良された触媒ウォッシュコート被覆性ならびに高い透過性(すなわち、流れのための細孔利用の高い効率)を与えることが予測されると考えられる。
【0031】
本明細書に記載される実施形態において、全気孔率、表面気孔率、中央細孔径d
50、d因子d
f、および比細孔容積の特性の組合せにより、非被覆条件および被覆条件のいずれにおいても比較的高い初期ろ過効率を有する多孔質セラミックハニカム物品が得られる。いくつかの実施形態において、非被覆初期ろ過効率は、50%以上あるいは55%以上である。本明細書に記載される多孔質セラミックハニカム物品の他の実施形態において、非被覆初期ろ過効率は、60%以上あるいは70%超である。さらに他の実施形態において、非被覆初期ろ過効率は、90%以上である。同様に、いくつかの実施形態において、被覆初期ろ過効率は、触媒ウォッシュコートによる
施し後に、50%以上あるいは55%以上である。本明細書に記載される多孔質セラミックハニカム物品のいくつかの実施形態において、被覆初期ろ過効率は、60%以上あるいは70%超である。他の実施形態において、被覆初期ろ過効率は、90%以上である。
【0032】
例として
図13を参照すると、煤負荷(x軸)の関数としての被覆初期ろ過効率(FE)(y軸)のプロットが、多孔質セラミックハニカム物品の1つの本発明の実施例についてグラフで示される。本発明の実施例は、300/9のセル幾何学形状、60%の気孔率、0.26のd因子、19.3マイクロメートルの中央細孔径、および0.144の比細孔容積を有していた。試料には、水中の12重量%のFe−ZSM−5ゼオライト(3マイクロメートルの粒径)の120g/Lの触媒ウォッシュコートが
施された。
図13に示されるように、多孔質セラミックハニカム物品の初期ろ過効率(FE
0)(すなわち、0g/Lの煤負荷におけるろ過効率)は、約65%超であった。
【0033】
さらに、ここで、本明細書に記載される全気孔率、表面気孔率、中央細孔径d
50、d因子d
f、および比細孔容積の組合せが、一般に、1回のウォッシュコーティング工程でかなりの量の触媒ウォッシュコートを容易に
施すことができ、このため、多孔質セラミックハニカム内に設けられた孔隙の独特の利用可能性を示す多孔質セラミックハニカム物品を提供することが分かった。本明細書に記載される実施形態において、触媒ウォッシュコートは、一般に、約30g/Lを超える量で多孔質セラミックハニカム物品中に存在する。本明細書に記載されるいくつかの実施形態において、多孔質セラミックハニカム物品は、3.3マイクロメートルのピーク粒径を有する、水中の12重量%のFe−ZSM−5ゼオライトを含有するウォッシュコートスラリーについて50g/L以上あるいは60g/Lを超える単回
施し触媒ウォッシュコート負荷を有する。いくつかの実施形態では、単回
施し触媒ウォッシュコート負荷が、60g/L以上であり得ると考えられる。
【0034】
本明細書に記載される実施形態において、多孔質セラミック物品は、100g/Lのウォッシュコート触媒で被覆され、5g/Lの煤が負荷された場合、26.5立方フィート(0.75m
3)/分の流量で8kPa以下の被覆圧力降下の増加を示す。いくつかの実施形態において、被覆圧力降下の増加は、同じ条件下で、7kPa以下、あるいは6.5kPa以下である。他の実施形態において、被覆圧力降下の増加は、同じ条件下で、6kPa以下、あるいは5.5kPa以下である。さらに他の実施形態において、被覆圧力降下の増加は、同じ条件下で、5kPa以下である。
【0035】
本明細書に記載される実施形態において、多孔質セラミック物品は、5g/Lの煤が負荷される場合、26.5立方フィート(0.75m
3)/分の流量で4kPa以下の非被覆圧力降下の増加を示す。いくつかの実施形態において、被覆圧力降下の増加は、同じ条件下で、3.5kPa以下、あるいは3.0kPa以下である。他の実施形態において、被覆圧力降下の増加は、同じ条件下で、2.5kPa以下、あるいは2.0kPa以下である。さらに他の実施形態において、被覆圧力降下の増加は、同じ条件下で、1.5kP以下である。
【0036】
ここで、
図7を参照すると、煤負荷の関数としての圧力降下(y軸)のプロットが、非被覆(すなわち、施されていない)多孔質セラミック物品ならびに、特に60g/L、102g/Lおよび119g/Lの様々な量の触媒ウォッシュコートが負荷された多孔質セラミック物品についてグラフで示される。各多孔質セラミック物品は、300/8のセル幾何学形状(すなわち、300cpsi(46セル/cm
2)および8ミル(0.20
3mm)の壁厚)、11.7マイクロメートルの中央細孔径、ウォッシュコーティングの前の62%の気孔率、および0.25のd因子d
fを有していた。実験に使用される多孔質セラミックハニカムは、2インチ(5.08cm)の直径および6インチ(15.24cm)の長さを有していた。煤は、室温で10〜30標準立方フィート(0.28〜0.84m
3)/分のガス流量で、0.1g/分〜0.3g/分の速度で負荷されるPrintex Uであった。曲線は、26.5立方フィート(0.75m
3)/分の流量で得られた。表1には、クリーンな(clean)背圧(すなわち、煤負荷がない場合の背圧)についての圧力値(kPa)、5g/Lの煤が負荷された背圧(すなわち、多孔質セラミック物品に、多孔質セラミックハニカムのリットル当たり5gの煤が負荷された場合の背圧)、および多孔質セラミック物品のそれぞれについてのひざの高さ(knee height)が含まれる。本明細書において使用される際のひざの高さは、
図7にグラフで示されるように求められ得るポイントPkにおける圧力降下として定義される。
【表1】
【0037】
図7にグラフで示されるように、非被覆多孔質セラミックハニカム物品は、クリーンな背圧の増加が1.2kPaであった一方、水中の12重量%のFe−ZSM−5ゼオライトを含む約100g/Lの触媒ウォッシュコートが
施された多孔質セラミックハニカム物品は、クリーンな背圧の増加が2.3kPaであった。この値は、多孔質セラミックハニカム物品の低い比細孔容積(この例では0.16)および低い中央細孔径を考慮すると、予想外に低い。したがって、100g/Lの触媒ウォッシュコートが施された多孔質セラミックハニカムは、100g/Lの触媒ウォッシュコートが
施された後、クリーンな圧力降下の増加が約91%であった。
【0038】
同様に、非被覆多孔質セラミックハニカム物品は、5g/Lの煤が負荷された背圧増加が2.5kPaであった一方、水中の12重量%のFe−ZSM−5ゼオライトを含む約100g/Lの触媒ウォッシュコートが
施された多孔質セラミックハニカム物品は、5g/Lの煤が負荷された背圧の増加が5.5kPaであった。この値は、多孔質セラミックハニカム物品の低い比細孔容積(この例では0.16)および低い中央細孔径を考慮すると予想外に低い。したがって、100g/Lの触媒ウォッシュコートが施された多孔質セラミックハニカムは、5g/Lの煤が負荷された圧力降下の増加が、100g/Lの触媒ウォッシュコートが
施された後、約120%であった。
【0039】
したがって、本明細書に記載されるいくつかの実施形態において、多孔質セラミックハニカム物品は、同一の試験条件下における
施しの前の多孔質セラミック物品と比べて、100g/Lのウォッシュコート触媒が
施された後、100%以下のクリーンな圧力降下増加を示すことが理解されるべきである。いくつかの他の実施形態において、100g/Lのウォッシュコート触媒が
施された後のクリーンな圧力降下増加は、
施されていない多孔質セラミック物品と比べて95%以下、あるいは
施されていない多孔質セラミック物品と比べて93%以下である。
【0040】
さらに、本明細書に記載されるいくつかの実施形態において、多孔質セラミックハニカム物品は、同一の試験条件下における
施しの前の多孔質セラミック物品と比べて、100g/Lのウォッシュコート触媒が
施された後、150%以下の5g/Lの煤が負荷された圧力降下増加を示すことも理解されるべきである。いくつかの他の実施形態において、100g/Lのウォッシュコート触媒が
施された後の5g/Lの煤が負荷された圧力降下増加は、
施されていない多孔質セラミック物品と比べて140%以下、あるいは
施されていない多孔質セラミック物品と比べて130%以下である。
【0041】
理論によって制約されるものではないが、クリーンな条件および煤が負荷された条件の両方における高い単回
施し触媒ウォッシュコート負荷および比較的低い圧力降下増加は、所定の範囲の中央細孔径、狭い細孔径分布、および表面気孔率対バルク気孔率の高い比率に起因することができ、フィルタにわたる流れに対する低い抵抗性を可能にする、壁構造ならびにセル幾何学形状の内部の孔隙の最適化された利用を可能にすると考えられる。例えば、流れに対するより低い抵抗性は、一般に、より高い開口面積率を有する多孔質セラミックハニカム物品に相関しているが、この多孔質セラミックハニカム物品は、より低い比細孔容積のために低い触媒ウォッシュコート充填容量を有するとこれまで認識されてきた。しかしながら、本明細書に記載される多孔質セラミックハニカム物品の独特の構造は、より多くの触媒ウォッシュコートを収容するための細孔容積の高い利用を可能にすることによって、これらの不足を補う。結果として、多孔質セラミックハニカム物品のより低い比細孔容積VPにかかわらず、高いウォッシュコート負荷で低い圧力降下増加が達成可能である。例えば、
図3および4を参照すると、多孔質セラミックハニカム物品は、均一なチャネル状のドメイン250(すなわち、顕微鏡写真の明るい部分)を有し、そこで、全ての触媒ウォッシュコートが、チャネルの壁ではなく細孔中に
施される。より具体的には、触媒ウォッシュコート中のゼオライト粒子260が、触媒ウォッシュコートが多孔質セラミック物品中で乾燥される際のこれらの領域中のより高いマイクロキャピラリー力により、小さい細孔265、および小さい曲率半径を有するドメインの部分ならびにネック領域266を優先的に
施す。比較すると、比較的大きい細孔267および/またはドメイン構造の平坦な領域などの、比較的大きい曲率半径を有する部分は、比較的低いマイクロキャピラリー力の結果としてのウォッシュコートの沸点の効果的な低下により、乾燥後にはるかに少ない触媒を有する。結果として、ゼオライトを含む触媒ウォッシュコートは、より小さい細孔中に優先的に流れ、そしてそれが最後に(すなわち、より大きい細孔の後)乾燥され、それによって、より小さい細孔中の触媒の濃度がより高くなる。
【0042】
さらに、均一に分布した、十分に連結された細孔の高い密度により、多孔質セラミック物品を通って流れる排気ガスなどのガスに対する多孔質セラミック物品の透過性をそのまま維持しながら、より多い量のゼオライトを、多孔質セラミック物品中にウォッシュコートすることができる。同様に、多孔質セラミック物品は、比較的小さい中央細孔径とともに狭い細孔径分布を有するため、細孔は、高いマイクロキャピラリー力を有し、この高いマイクロキャピラリー力が、ゼオライトを細孔中に保持するのに役立つ。したがって、触媒ウォッシュコートによるウォッシュコーティング中に細孔中に付着されるゼオライトは、より大きい中央細孔径およびより広い細孔径分布を有する多孔質セラミック物品と比較して、多孔質セラミック物品を通って高容積のガスが流れる際に、細孔から容易に取り除かれない。
【0043】
さらに、本明細書に記載される多孔質セラミックハニカム物品は、多孔質セラミックハニカム物品が微小亀裂条件に曝されるときに変化する一連の物理的特性(すなわち、熱膨張係数(CTE)、熱衝撃限界(TSL)、微小亀裂パラメータ(Nb
3)など)を有し、それによって、熱衝撃に対するより改良された耐性を有する多孔質セラミックハニカム物品が生成される。より具体的には、本明細書に記載される多孔質セラミックハニカム物品は、約25℃〜800℃の温度範囲にわたる比較的高いCTEおよびそれに対応する焼成後の低い熱衝撃限界(TSL)を有することが分かった。しかしながら、微小亀裂条件に曝された後、本明細書に記載される多孔質セラミックコージエライトハニカム物品は、約25℃〜800℃の温度範囲にわたる比較的低いCTEおよび比較的高い熱衝撃限界(TSL)を有する。本明細書において使用される際のCTEは、特に規定されない限り、所定の温度範囲にわたる物品の少なくとも1つの方向における熱膨張係数であることが理解されるべきである。微小亀裂条件に曝した後のCTEおよびTSLの改良は、微小亀裂条件に曝した後の微小亀裂パラメータNb
3の増加によって示される、微小亀裂条件に曝した後の微小亀裂の容積の増加による。より具体的には、多孔質セラミックハニカム物品の微小亀裂パラメータNb
3は、物品が微小亀裂条件に曝された後、少なくとも20パーセントだけ増加する。
【0044】
微小亀裂パラメータNb
3は、室温から1200℃の間の弾性率(E
mod)加熱および冷却曲線から導き出され、これは、物品の微小亀裂容積の間接的な指標である。Nb
3は、以下のように計算される:
【数1】
【0045】
式中、Eが、微小亀裂がある場合(すなわち、微小亀裂条件に曝した後)の室温における物品の弾性率であり、E
0が、微小亀裂がない場合(すなわち、微小亀裂条件に曝す前)の室温における物品の弾性率であり、Nが、微小亀裂の数であり、bが、微小亀裂の平均長さである。微小亀裂パラメータNb
3は、平均亀裂長さbが3乗される場合、容積の単位で測定される。
【0046】
本明細書において使用される際の熱衝撃限界(TSL)は、以下のように定義される:
TSL=TSP+500℃
式中、TSPが、以下のようになる熱衝撃パラメータであり:
TSP=MOR/{[E
mod][CTE
H]}
E
modが、25℃(すなわち、室温(RT))における物品の弾性率であり、MORが、室温における破壊強度係数であり、psiの単位で測定され、CTE
Hが、500℃〜900℃で測定される高温熱膨張係数である。TSPが増加するにつれて、物品が温度勾配に耐える能力も増大する。MOR、E
mod、およびCTE
Hは全て、本明細書において軸方向と呼ばれるチャネルの長さに平行なセル試験片において測定される。4×1×0.5インチ(10.16×2.54×1.27cm)の寸法を有する矩形セルバーの軸方向における四点曲げ方法を用いてMORを測定した。
【0047】
図8を参照すると、多孔質セラミックハニカム物品は、微小亀裂条件に曝される前に比較的少ない量の微小亀裂を有する。特に、
図8のSEM顕微鏡写真は、非常に少ない微小亀裂220(
図8に示されるもの)を有する微小亀裂が少ない多孔質セラミックハニカム物品の一部を示す。したがって、微小亀裂条件に曝される前の多孔質セラミックハニカム物品は、代わりに微小亀裂が少ない(LMC)多孔質セラミックハニカム物品と呼ばれることがある。本明細書に記載される実施形態において、LMC多孔質セラミックハニカム物品は、焼成後でかつ微小亀裂条件に曝される前に、約0.04〜約0.25の微小亀裂パラメータNb
3を有する。0.04〜約0.25の範囲の低い微小亀裂パラメータは、一般に、
図8に示されるように、非常に少ない微小亀裂220を有する多孔質セラミックハニカム物品に対応する。いくつかの実施形態において、LMC多孔質セラミックハニカム物品は、約7.0×10
−7/℃〜約15×10
−7/℃あるいは約8.0×10
−7/℃〜約13×10
−7/℃の、室温から800℃の間で測定されるCTEを有する。他の実施形態において、LMC多孔質セラミックハニカム物品は、約9.0×10
−7/℃〜約12×10
−7/℃のCTEを有する。比較的低い微小亀裂パラメータNb
3により、LMC多孔質セラミックハニカム物品は、本明細書に記載されるLMC多孔質セラミックハニカム物品の実施形態において、約800℃〜約1100℃の範囲である熱衝撃限界(TSL)を有する。本明細書に記載される実施形態において、LMC多孔質セラミックハニカム物品は、室温で300psi(2068.2kPa)超あるいは400psi(2757.6kPa)超の破壊係数(MOR)を有する。例えば、300/8のセル幾何学形状および11.7マイクロメートルの中央細孔径、ウォッシュコーティングの前の62%の気孔率、および0.25のd因子dfを有する多孔質セラミックハニカム物品のMORは、室温で約450psi(3102.3kPa)である。いくつかの実施形態において、LMC多孔質セラミックハニカム物品のMORは、約500psi(3447kPa)超である。
【0048】
200/10の幾何学形状を有するように作製されたLMC多孔質セラミックハニカム物品は、一般に、3.0×10
5psi(20.68×10
5kPa)以上あるいは4.5×10
5psi(31.02×10
5kPa)超の、室温における弾性率(E
mod)を有する。いくつかの実施形態において、LMC多孔質セラミックハニカム物品の弾性率は、約3.0×10
5psi(20.68×10
5kPa)〜約5.5×10
5psi(37.92×10
5kPa)の範囲である。MORおよびE
modに基づいて、LMC多孔質セラミックハニカム物品の実施形態は、少なくとも700ppm(0.07%)の耐歪み性(すなわち、MOR/E
mod)を有する。他の実施形態は、800ppm(0.08%)以上、あるいは1000ppm(0.1%)超の耐歪み性を有する。さらに他の実施形態において、LMC多孔質セラミックハニカム物品は、1200ppm(0.12%)以上の耐歪み性を有する。
【0049】
図9を参照すると、基板の微小亀裂パラメータが、LMC多孔質セラミックハニカムを微小亀裂条件に曝すことによって増加され得る。特に、
図9は、LMC多孔質セラミックハニカム物品を微小亀裂条件に曝すことによって生成される微小亀裂のある(MC)多孔質セラミックハニカム物品の一部を示すSEM顕微鏡写真である。微小亀裂条件に曝した後、この時点で微小亀裂のある多孔質セラミックハニカム物品は、LMC多孔質セラミックハニカム物品より比較的多い数の微小亀裂220(そのうちの複数が
図9に示される)を有する(すなわち、
図9の微小亀裂220の数が、
図8の微小亀裂220の数より多い)。本明細書に記載される実施形態において、微小亀裂条件には、本明細書により詳細に説明されるように、熱サイクルまたは酸洗浄が含まれていてもよい。微小亀裂条件に曝される結果として、MC多孔質セラミックハニカム物品の微小亀裂パラメータNb
3は、LMC多孔質セラミックハニカム物品の微小亀裂パラメータより少なくとも20%高く、これはすなわち、MC多孔質セラミックハニカム物品は、LMC多孔質セラミックハニカム物品より単位容積当たりより多くの微小亀裂を有することを示す。例えば、MC多孔質セラミックハニカム物品の微小亀裂パラメータNb
3は、少なくとも0.06〜少なくとも0.3の範囲であり得る。この微小亀裂パラメータNb
3の増加には、LMC多孔質セラミックハニカム物品と比べて、物品のCTEの減少が伴う。例えば、MC多孔質セラミックハニカム物品のCTEは、一般に、約25℃〜約800℃の範囲にわたって、約1.0×10
−7/℃〜約10×10
−7/℃の範囲である。いくつかの実施形態において、MC多孔質セラミックハニカム物品のCTEは、約25℃〜約800℃の範囲にわたって、約7.0×10
−7/℃以下あるいは約25℃〜約800℃の範囲にわたって、約5.0×10
−7/℃以下である。Nb
3の増加には、多孔質セラミックハニカム物品のTSLの増加が伴う。例えば、MC多孔質セラミックハニカム物品のTSLは、900℃以上あるいは1000℃以上である。いくつかの実施形態において、MC多孔質セラミックハニカム物品のTSLは、1100℃以上である。
【0050】
微小亀裂条件に曝すと、一般に、MC多孔質セラミックハニカム物品の微小亀裂パラメータNb
3およびTSLが増加するが、単位容積当たりの微小亀裂の数の増加は、一般に、LMC多孔質セラミックハニカム物品と比較して、室温における破壊係数(MOR)ならびに室温における弾性率(E
mod)を減少させる。したがって、本明細書に記載される実施形態において、MC多孔質セラミックハニカム物品のMORは、約200psi(1378.8kPa)以上あるいは約300psi(2068.2kPa)超である。MC多孔質セラミックハニカム物品のE
modは、一般に、200/10の幾何学形状を有するMC多孔質セラミックハニカム物品について約2.8×10
5psi(19.30×10
5kPa)〜約4.4×10
5psi(30.33×10
5kPa)の範囲である。いくつかの実施形態において、MC多孔質セラミックハニカム物品のE
modは、200/10の幾何学形状について2.8×10
5psi(19.30×10
5kPa)以上であり得る。
【0051】
本明細書に記載される多孔質セラミックハニカム物品は、微小亀裂が少ない(LMC)多孔質セラミックハニカム物品を最初に生成するのに適した条件下で、コージエライト前駆体バッチ組成物をまず混合し、コージエライト前駆体バッチ組成物を未焼成ハニカム物品へと成形し、未焼成ハニカム物品を乾燥させ、未焼成ハニカム物品を焼成することによって形成される。一実施形態において、未焼成ハニカム物品を焼成して、LMC多孔質セラミックハニカム物品を生成した後、LMC多孔質セラミックハニカム物品には、微小亀裂条件に曝される前に触媒を含有するウォッシュコートが
施され得る。LMC多孔質セラミックハニカム物品は、比較的少ない微小亀裂を有するため、ウォッシュコートの
施しの前に、別の不動態化コーティングは必要ない。
【0052】
一実施形態において、コージエライト前駆体バッチ組成物は、コージエライト結晶相を主に含むセラミック物品を生成するのに適した構成材料の組合せを含む。一般に、バッチ組成物は、比較的微細なタルク、比較的微細なシリカ形成源、およびアルミナ形成源を含む無機成分の組合せを含む。さらに他の実施形態において、バッチ組成物は、例えば、カオリン粘土などの粘土を含んでいてもよい。コージエライト前駆体バッチ組成物は、有機細孔形成剤などの有機成分も含有していてもよい。例えば、バッチ組成物は、細孔形成剤および/または他の加工助剤として使用するのに適したでんぷんを含んでいてもよい。本明細書に記載される実施形態において、有機細孔形成剤は、様々な有機材料の混合物と対照的に単一の材料を含み、それによって、コージエライト前駆体バッチ組成物中の構成材料の数が減少する。
【0053】
本明細書に記載される実施形態において、無機バッチ成分および有機バッチ成分は、特定の微細構造を有する主なコージエライト結晶相を含む多孔質セラミックハニカム物品を生じるように特定の焼成サイクルに関連して選択される。しかしながら、焼成後、多孔質セラミックハニカム物品は、少量のムライト、スピネル、および/またはそれらの混合物も含み得ることが理解されるべきである。例えば、限定はされないが、いくつかの実施形態において、多孔質セラミックハニカム物品は、x線回折によって測定した際に、少なくとも90重量%、あるいは少なくとも95重量%、あるいは少なくとも98重量%〜99重量%のコージエライト結晶相を含み得る。生成されるコージエライト結晶相は、酸化物の重量パーセント基準で特性決定した際、約49重量%〜約53重量%のSiO
2、約33重量%〜約38重量%のAl
2O
3、および約12重量%〜約16重量%のMgOから本質的になる。さらに、コージエライト結晶相の化学量論量は、Mg
2Al
4Si
5O
18に近似している。無機コージエライト前駆体バッチ組成物は、多孔質セラミックハニカム物品のコージエライト結晶相中に上記の酸化物重量を得るために適宜調整され得る。
【0054】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態において、コージエライト前駆体バッチ組成物は、約35重量%〜約45重量%のタルクを含む。他の実施形態において、コージエライト前駆体バッチ組成物は、約38重量%〜約43重量%のタルクを含み得る。タルクは、比較的微細な粒径を有し得る。例えば、いくつかの実施形態において、タルクは、10マイクロメートル以下の中央粒径d
pt50、あるいは9マイクロメートル以下のd
pt50を有する。他の実施形態において、タルクは、8マイクロメートル未満の中央粒径d
pt50あるいは6マイクロメートル未満のd
pt50を有する。さらに他の実施形態において、タルクは、5マイクロメートル未満の中央粒径d
pt50を有し得る。例示的一実施形態において、タルクは、約3マイクロメートル〜約10マイクロメートルの範囲の中央粒径d
pt50を有する。別の例示的実施形態において、タルクは、約8マイクロメートル〜約10マイクロメートルの範囲の中央粒径d
pt50を有する。本明細書に記載される全ての粒径は、粒径分布(PSD)技術、好ましくはMicrometrics製のSedigraphによって測定される。
【0055】
いくつかの実施形態において、コージエライト前駆体バッチ組成物中のシリカ形成源の量は、約13重量%〜約24重量%である。他の実施形態において、コージエライト前駆体バッチ組成物中のシリカ形成源の量は、約15重量%〜約18重量%であり得る。シリカ形成源は、一般に、微細な粒径を有する。例えば、いくつかの実施形態において、シリカ形成源は、20マイクロメートル以下の中央粒径d
ps50、あるいは15マイクロメートル以下のd
ps50を有する。他の実施形態において、シリカ形成源は、10マイクロメートル未満の中央粒径d
ps50を有する。一実施形態において、シリカ形成源は、Imsil(登録商標)A−25などの微結晶質シリカである。しかしながら、他のシリカ形成源が使用されてもよいことが理解されるべきである。例えば、他の好適なシリカ形成源としては、石英ガラス;コロイドシリカ;または石英またはクリストバライトなどの結晶シリカが挙げられる。
【0056】
いくつかの実施形態において、コージエライト前駆体バッチ組成物中のアルミナ形成源の量は、約20重量%〜約35重量%である一方、他の実施形態において、コージエライト前駆体バッチ組成物中のアルミナ形成源の量は、約22重量%〜約33重量%である。さらに他の実施形態において、コージエライト前駆体バッチ組成物中のアルミナ形成源の量は、約26重量%〜約29重量%である。アルミナ形成源は、一般に、微細な粒径を有する。例えば、いくつかの実施形態において、アルミナ形成源は、10マイクロメートル以下の中央粒径d
pa50、あるいは8マイクロメートル以下のd
pa50を有する。他の実施形態において、シリカ形成源は、6マイクロメートル未満の中央粒径d
pa50を有する。
【0057】
例示的なアルミナ形成源としては、任意の酸化アルミニウムまたはアルミニウムを含有する化合物を挙げることができ、これを、十分に高い温度まで加熱すると、α−アルミナおよび/またはアルミナ水和物などの実質的に100%の酸化アルミニウムが得られる。アルミナ形成源のさらなる非限定的な例としては、コランダム、γ−アルミナ、または遷移アルミナ(transitional alumina)が挙げられる。水酸化アルミニウムは、ギブサイトおよびバイヤーライト、ベーマイト、ダイアスポア、アルミニウムイソプロポキシドなどを含み得る。必要に応じて、アルミナ形成源は、分散性アルミナ形成源も含み得る。本明細書において使用される際、分散性アルミナ形成源は、溶媒または液体媒体中で少なくとも実質的に分散可能であり、溶媒または液体媒体中のコロイド懸濁液を得るのに使用可能なものである。一態様において、分散性アルミナ形成源は、少なくとも20m
2/g、少なくとも50m
2/g、あるいは少なくとも100m
2/gの比表面積を有する比較的大きい表面積のアルミナ源であり得る。好適な分散性アルミナ源は、ベーマイト、擬ベーマイト、およびアルミニウム一水和物と一般的に呼ばれるα−水酸化酸化アルミニウム(AlOOH×H
2O)を含む。代替的な実施形態において、分散性アルミナ源は、様々な量の化学結合された水またはヒドロキシル官能基を含有し得るいわゆる遷移アルミナまたは活性化アルミナ(すなわち、オキシ水酸化アルミニウムおよびχ、η、ρ、ι、κ、γ、δ、およびθアルミナ)を含み得る。
【0058】
いくつかの実施形態において、コージエライト前駆体バッチ組成物は、粘土をさらに含み得る。コージエライト前駆体バッチ組成物中の粘土の量は、約0重量%〜約20重量%であり得る。別の実施形態において、コージエライト前駆体バッチ組成物中の粘土の量は、約10重量%〜約18重量%あるいは約12重量%〜約16重量%である。コージエライトバッチ組成物に含まれる場合、粘土は、一般に、10マイクロメートル以下の中央粒径d
pc50を有する。いくつかの実施形態において、中央粒径d
pc50は、5マイクロメートル以下あるいは3マイクロメートル以下である。コージエライト前駆体バッチ組成物に含まれ得る好適な粘土としては、限定はされないが、原料のままのカオリン粘土、か焼カオリン粘土、および/またはそれらの混合物が挙げられる。例示的で非限定的な粘土としては、剥離されていないカオリナイトの原料のままの粘土および剥離されたカオリナイトが挙げられる。
【0059】
本明細書に記載される実施形態において、コージエライトバッチ組成物(すなわち、タルク、シリカ、アルミナおよび粘土)の無機成分は、15マイクロメートル以下の中央無機粒径d
50IPを有する。
【0060】
本明細書において上述されるように、コージエライト前駆体バッチ組成物は、比較的微細な細孔形成剤などの有機成分をさらに含む。本明細書に記載される実施形態において、有機細孔形成剤が、比較的小さい中央細孔径および比較的狭い細孔径分布とともに比較的高い細孔数密度を生じるのに十分な量でバッチ組成物に加えられる。本明細書に記載される実施形態において、コージエライト前駆体バッチ組成物は、約30重量%以上の有機細孔形成剤を含み得る。いくつかの実施形態において、バッチ組成物に加えられる細孔形成剤の量は、約30重量%を超える。他の実施形態において、バッチ組成物に加えられる細孔形成剤の量は、約35重量%を超える。他の実施形態において、バッチ組成物に加えられる細孔形成剤の量は、約40重量%を超える。他の実施形態において、バッチ組成物に加えられる細孔形成剤の量は、約50重量%以上あるいは約55重量%以上である。さらに他の実施形態において、バッチ組成物に加えられる細孔形成剤の量は、約60重量%以上である。バッチ組成物中の細孔形成剤の量を増加させると、焼成後の多孔質セラミックハニカム物品の細孔数密度が増加されることが理解されるべきである。本明細書に記載される実施形態において、有機細孔形成剤は、一般に、25マイクロメートル以下の中央粒径d
pp50を有する。いくつかの実施形態において、有機細孔形成剤は、20マイクロメートル以下あるいは15マイクロメートル以下の中央粒径d
pp50を有する。他の実施形態において、中央粒径d
pp50は、10マイクロメートル以下である。有機細孔形成剤は、架橋細孔形成剤(すなわち、架橋でんぷんなど)であってもまたは非架橋細孔形成剤であってもよい。好適な細孔形成材料の例としては、限定はされないが、架橋コーンスターチ、架橋コムギでんぷん、架橋ジャガイモでんぷん、非架橋ジャガイモでんぷん、非架橋コーンスターチ、サヤマメでんぷん、およびエンドウマメでんぷんが挙げられる。
【0061】
上記の無機および有機成分は、例えば、バインダーなどの加工助剤、および液体媒体と組み合わされ、混合されて、可塑化バッチ混合物が生成される。これらの加工助剤は、加工を向上させ、および/または乾燥および/または焼成亀裂を減少させ、および/またはハニカム物品の望ましい特性を生じさせるのに役立ち得る。例えば、バインダーには、有機バインダーが含まれ得る。好適な有機バインダーとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース誘導体などの水溶性セルロースエーテルバインダー、ヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルアルコール、および/またはそれらの任意の組合せが挙げられる。好ましくは、有機バインダーは、無機粉末バッチ組成物の0.1重量%〜約10.0重量%の範囲の量で上乗せ添加(super addition)として組成物中に存在する。別の実施形態において、有機バインダーは、無機粉末バッチ組成物の2.0重量%〜8.0重量%の範囲の量で上乗せ添加として組成物中に存在し得る。可塑化バッチ組成物中への有機バインダーの組み込みにより、可塑化バッチ組成物の容易な押出しが可能になる。
【0062】
流動性またはペースト様の稠度をバッチ組成物に与えるための液体媒体の1つは水であるが、好適な一時的な有機バインダーに対して溶媒作用を示す他の液体媒体が使用可能であることが理解されるべきである。液体媒体成分の量は、最適な取扱特性およびバッチ組成物中の他の成分との適合性を与えるために様々であり得る。いくつかの実施形態において、液体媒体含有物は、20重量%〜50重量%の範囲、他の実施形態において、20重量%〜35重量%の範囲の量で上乗せ添加として存在する。バッチ組成物中の液体成分を最小限に抑えることで、乾燥プロセス中の好ましくない乾燥収縮および亀裂の形成をさらに減少させることができる。
【0063】
液体媒体およびバインダーに加えて、可塑化バッチ組成物は、例えば潤滑剤などの、1種以上の任意の形成助剤または加工助剤を含み得る。例示的な潤滑剤としては、トール油、ステアリン酸ナトリウムまたは他の好適な潤滑剤を挙げることができる。可塑化バッチ混合物中に存在する潤滑剤の量は、約0.5重量%〜約10重量%であり得る。
【0064】
バッチ組成物中に含まれる液体媒体、細孔形成剤、バインダー、潤滑剤および任意の他の加工助剤が、無機材料の100%の重量%を基準にして上乗せ添加としてバッチ組成物に加えられることが理解されるべきである。
【0065】
無機バッチ成分、細孔形成剤、バインダー、液体媒体、潤滑剤および任意の他の添加剤の組合せが、約5〜20分間にわたってLittleford混合機中で一緒に混合され、混練されて、可塑化バッチ組成物をハニカム物品へと成形することを可能にする所望のプラスチック成形性および生強度を有する可塑化バッチ組成物が生成される。
【0066】
次に、得られた可塑化コージエライト前駆体バッチ組成物は、例えば、押出しなどの従来のセラミック成形プロセスによって、未焼成体(すなわち、未焼成ハニカム物品)へと成形される。未焼成ハニカム物品が、押出しによって成形される場合、押出しは、水圧ラム押出しプレス(hydraulic ram extrusion press)、あるいは、二段階脱気一軸オーガー押出機(two stage de−airing single auger extruder)、または吐出端にダイアセンブリが取り付けられた二軸混合機を用いて行うことができる。
【0067】
可塑化コージエライト前駆体バッチ組成物が、未焼成ハニカム物品へと成形された後、未焼成ハニカム物品は、未焼成ハニカム物品から過剰な液体を除去するために乾燥される。好適な乾燥技術としては、マイクロ波乾燥、熱風乾燥、RF乾燥またはそれらの様々な組合せが挙げられる。乾燥後、未焼成ハニカム物品は、乾燥炉または炉に入れられ、本明細書に記載されるように、主なコージエライト結晶相を含むセラミックハニカム物品へと未焼成ハニカム物品を転化するのに有効な条件下で焼成される。
【0068】
未焼成ハニカム体をセラミックハニカム物品へと転化するのに用いられる焼成条件が、例えば、特定の組成、未焼成ハニカム体のサイズ、および使用される装置の性質などのプロセス条件に応じて変わり得ることが理解されるべきである。このために、一態様において、本明細書において規定される最適な焼成条件は、例えば非常に大きいコージエライト構造に合わせて適応される(すなわち、減速される)必要があることがある。
【0069】
本明細書に記載される特性を有する多孔質セラミックハニカム物品を生成するのに用いられる焼成スケジュールは、1200℃から1420℃以上、あるいは1425℃以上の最高保持温度へと急に温度が上昇することがある。急な温度上昇速度は、50℃/時以上であり得る。一実施形態において、温度上昇速度は、75℃/時以上である。いくつかの実施形態において、未焼成ハニカム体は、5〜20時間、最高温度(すなわち、浸漬温度)に保持され得る。他の実施形態において、未焼成ハニカム体は、約10時間〜約15時間、浸漬温度に保持され得る。さらに他の実施形態において、未焼成ハニカム体は、約1420℃〜約1435℃の範囲の浸漬温度で焼成され得る。さらに他の実施形態において、未焼成体は、約1425℃〜約1435℃の範囲の浸漬温度で焼成され得る。一実施形態において、焼成サイクルには、約1200℃から50℃/時以上の急な温度上昇速度および焼成体中にコージエライト結晶相を形成するのに十分な時間にわたる約1420℃〜約1435℃の範囲の浸漬温度が含まれる。
【0070】
全焼成時間は、主として、焼成されるハニカム物品のサイズに応じて約40〜250時間の範囲であってもよく、その時間の間に、最高浸漬温度に達し、上述されるように十分な時間にわたって保持される。一実施形態において、焼成スケジュールには、50℃/時間を超える速度での1200℃からの温度上昇および10時間〜約15時間にわたる約1425℃〜1435℃の浸漬温度での焼成が含まれる。
【0071】
ここで、
図10を参照すると、本明細書に記載される特性を有する多孔質セラミックハニカム物品を生成するのに用いられる焼成スケジュールの一実施形態がグラフで示される。この実施形態において、平均焼成速度が、焼成スケジュールの第1の焼成部分120において用いられ得る。平均焼成速度は、室温から約1200℃の間で約20℃/時間〜約70℃/時間である。焼成スケジュールの第1の部分120には、細孔形成剤燃焼段階125が含まれていてもよく、この燃焼段階125は、ハニカムの外皮とコアとの間の亀裂および温度差を最小限に抑えるために細孔形成剤燃焼温度の範囲内の温度保持またはわずかな温度上昇であり得る。一実施形態において、燃焼段階125の後に、約1200℃への中間温度上昇135が続き得る。焼成スケジュールの上側部分130には、1200℃を超える温度における比較的速い温度上昇速度が含まれる。上側部分130におけるこの速い温度上昇は、1420℃を超える、あるいは1425℃以上の温度、好ましくは1420℃〜1435℃における保持部分140と関連付けることができる。多孔質ハニカムセラミック物品のコージエライト結晶相は、この保持部分140の間に形成される。焼成サイクルの上側部分130における温度上昇速度は、50℃/時間以上、75℃/時間以上、100℃/時間以上、あるいは120℃/時間以上であり得る。本明細書により詳細に説明されるように、約1200℃を超える温度および比較的高い保持温度(1420℃超)の、上側部分130におけるより速い温度上昇速度を用いることによって、焼成されたセラミック体の独特の微細構造特性を得ることができる。
【0072】
特に、本明細書に記載される焼成サイクルは、焼成されたセラミックハニカム物品中に存在する微細な気孔率の相対量を、約4.0マイクロメートル未満に減少させるのに役立つ。この減少の仕組みは、微細な細孔がコージエライト相の初期形成中に成分の粘性流によって満たされるようにコージエライト形成成分の粘性流を促進することによるものと考えられる。急速な温度上昇の後、ハニカムは、5〜20時間などの好適な時間にわたって浸漬温度に保持されて、コージエライト相が形成される。この後、ハニカム物品は、焼成スケジュールの部分150において室温に冷まされる。冷却速度は、亀裂を防ぐのに十分にゆっくりであり、焼成される部分のサイズに応じて決まる。
【0073】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態において、LMC多孔質セラミックハニカム物品には、焼成後に触媒ウォッシュコートが
施される。例えば、微粒子触媒ウォッシュコーティング組成物のスラリーが、LMC多孔質セラミックハニカム物品の(内部および外部の両方の)表面に
施され得る。例えば、本明細書に記載される実施形態において、触媒ウォッシュコートは、多孔質セラミックハニカム物品を通って方向付けられる排気ガス流中のNOxの還元および/またはCO、炭化水素およびNOの酸化に関与する触媒反応を促進する触媒機能を有する。したがって、本明細書に記載される多孔質セラミックハニカム物品は、微粒子フィルタとして働くのに加えて、触媒機能性も示し得るため、4ウェイフィルタ脱NOx一体型フィルタ(NIF)として用いられ得ることが理解されるべきである。
【0074】
いくつかの実施形態において、ウォッシュコーティングスラリーの主な微粒子成分はアルミナである。他の実施形態において、主な微粒子成分は、Fe−ZSM−5などのゼオライトであり、これは、約7重量%〜約12重量%の量で水中に組み込まれて、触媒ウォッシュコートスラリーが形成され得る。しかしながら、他の実施形態において、触媒ウォッシュコートは、異なる主な微粒子成分を含んでいてもよいことが理解されるべきである。いくつかの実施形態において、触媒ウォッシュコートは、例として、限定はされないが、白金、パラジウム、ロジウム、または任意の他の触媒材料および/またはそれらの様々な合金などの微粒子触媒をさらに含んでいてもよい。
【0075】
LMC多孔質セラミックハニカム物品が、単位容積当たり比較的少ない微小亀裂を含むため(すなわち、微小亀裂パラメータNb
3が、約0.04〜約0.25であるため)、より多い微小亀裂がある物品の場合のように、ウォッシュコーティング材料が微小亀裂に詰まるのを防ぐために多孔質セラミックハニカム物品に予備の不動態化コーティングを
施す必要がない。
【0076】
LMC多孔質セラミックハニカム物品にウォッシュコートを
施した後、物品は、微小亀裂条件に曝され、微小亀裂条件では、上述されるように、多孔質セラミック物品における単位容積当たりの微小亀裂の数が増加する。一実施形態において、微小亀裂条件は、熱サイクルである。この実施形態において、LMC多孔質セラミック物品は、ピーク温度まで加熱されてから、急冷される。加熱および急冷により、LMC多孔質セラミック物品に、膨張と収縮が生じ、それによって、多孔質セラミック物品中で核形成されて成長する微小亀裂が生じる。いくつかの実施形態において、熱サイクルのピーク温度は、約400℃以上あるいは約600℃以上である。一般に、熱サイクルのピーク温度は、約400℃〜約800℃の範囲である。ピーク温度まで加熱した後、多孔質セラミックハニカム物品は、少なくとも200℃/時の速度で急冷され、その時間の間に、微小亀裂が、多孔質セラミックハニカム物品の容積全体にわたって形成される。LMC多孔質セラミックハニカム物品を熱サイクルにかけることによって、LMC多孔質セラミックハニカム物品は、微小亀裂のある(MC)多孔質セラミックハニカム物品になる。
【0077】
別の実施形態において、微小亀裂条件は、酸洗浄である。この実施形態において、LMC多孔質セラミックハニカム物品は、酸溶液に浸漬され、これにより、ハニカム物品全体に微小亀裂の核形成および成長が引き起こされる。例えば、いくつかの実施形態において、LMC多孔質セラミックハニカム物品は、6未満あるいは5未満のpHを有する溶液に浸漬されて、ハニカム物品にさらなる微小亀裂を生じさせ得る。LMC多孔質セラミックハニカム物品を酸性溶液に曝露することによって、LMC多孔質セラミックハニカム物品は、微小亀裂のある(MC)多孔質セラミックハニカム物品になる。
【実施例】
【0078】
以下の実施例は、上記の多孔質セラミックハニカム物品の特定の実施形態を例示するために提供される。以下の実施例は、あくまでも説明のためのものであり、権利請求される主題の範囲を限定することが意図されていないことが理解されるべきである。
【0079】
表2は、比較例Aの組成物を列挙している。表3は、本発明の実施例1〜3の組成物を列挙している。表2に示されるように、比較例Aは、複数の細孔形成剤(黒鉛およびジャガイモでんぷん)を含み、その両方とも、30マイクロメートルを超える中央粒径を有する。さらに、無機成分の中央粒径(d
IP50)は、15マイクロメートルを超える。
【0080】
本発明の実施例2〜3を、15マイクロメートルの中央粒径を有する単一の有機細孔形成剤(コーンスターチ)を用いて形成した。本発明の実施例1および2の無機成分の組成は同一であった。ただし、本発明の実施例1が、30重量%の細孔形成剤を含有していた一方、本発明の実施例2は、50重量%の同じ細孔形成剤を含有していた。本発明の実施例3に使用されるアルミナ源は、本発明の実施例1および2に使用されるアルミナ形成源より大きい中央粒径を有していた。無機成分の中央粒径(d
IP50)は、15マイクロメートル未満であった。特に、本発明の実施例1〜3は、それぞれ6.3マイクロメートル、6.3マイクロメートルおよび7.1マイクロメートルの中央粒径を有していた。
【表2】
【表3】
【0081】
表4は、比較例Aおよび本発明の実施例1〜3についての細孔構造を列挙している。表4に示されるように、比較例Aは、本発明の実施例1〜3より高い気孔率を有していた。さらに、比較例Aは、より大きい中央細孔径d
50ならびにより大きいd因子d
fおよび絶対幅d
AbsBも示した。本発明の実施例および比較例についてのセル幾何学形状も、表4に列挙されている。比細孔容積を、列挙されるセル幾何学形状についての各試料の開口面積率および気孔率から計算した。様々な幾何学形状についての開口面積率も列挙されている。列挙される組成で調製した本発明の実施例についての非被覆表面気孔率は、35%以上であると予測された。列挙される組成で調製した本発明の実施例はまた、50%以上の非被覆初期ろ過効率を有すると予測された。
【表4】
【0082】
本発明の実施例および比較例の単回
施し触媒ウォッシュコート負荷を比較した。本発明の実施例および比較例の試料を、表2および3に記載される組成物を用いて調製した。試料は、2インチ(5.08cm)の直径および6インチ(15.24cm)の軸長さを有する円筒形であった。本発明の実施例1および2が、それぞれ300/8および300/9のセル幾何学形状を有するように構成されていた一方、比較例Aは、300/14のセル幾何学形状を有するように構成されていた。「水の落下」プロセスを用いて水中の12重量%のFe−ZSM−5ゼオライトからなる触媒スラリーの単一コーティングを各試料に
施した。試験の結果が、表5に示される。
【表5】
【0083】
表5に示されるように、本発明の実施例2が、63g/Lの単回施し触媒ウォッシュコート負荷を示した一方、本発明の実施例3は、50g/Lの単回施し触媒ウォッシュコート負荷を示した。しかしながら、より大きい気孔率、中央細孔径およびより高い比細孔容積VPを有するにもかかわらず、比較例Aは、43g/Lの単回施し触媒ウォッシュコート負荷を示したに過ぎなかった。これらの結果は、本発明の実施例が、比較例と比較して薄い壁厚(14ミル(0.3
56mm)と比較して8および9ミル(0.20
3および0.2
29mm))および対応するより小さい比細孔容積(比較例のコーティング容積の約58%)を有していた一方、本発明の実施例は、単回施し工程によって単位容積当たり比較例より多い触媒ウォッシュコートを
施すことができることを意外にも実証している。
【0084】
ここで、
図11を参照すると、煤負荷の関数としての圧力降下(y軸)のプロットが、本発明の実施例2および比較例AおよびBについてグラフで示される。本発明の実施例2の多孔質セラミック物品は、300/9のセル幾何学形状(すなわち、300cpsi(46セル/cm
2)および9ミル(0.2
29mm)の壁厚)、11.7マイクロメートルの中央細孔径、ウォッシュコーティングの前の62%の気孔率、および0.25のd因子d
fを有していた。本発明の実施例2の多孔質セラミック物品に、水中の12重量%のFe−ZSM−5を含有する約101g/Lの触媒ウォッシュコートを施した。比較例Aは、300/14のセル幾何学形状、23マイクロメートルの中央細孔径、65%の気孔率および0.39のd因子d
fを有していた。比較例Aの多孔質セラミック物品に、水中の12重量%のFe−ZSM−5を含有する約106g/Lの触媒ウォッシュコートを施した。比較例Bは、300/15のセル幾何学形状、18マイクロメートルの中央細孔径、65%の気孔率および0.48のd因子d
fを有していた。比較例Bの多孔質セラミック物品に、水中の12重量%のFe−ZSM−5を含有する約89g/Lの触媒ウォッシュコートを施した。各試料は、長さが6インチ(15.24cm)であり、直径が2インチ(5.08cm)であった。曲線が、26.25立方フィート(0.74m
3)/分の流量で得られた。表6は、クリーンな背圧(すなわち、煤負荷がない場合の背圧)、および5g/Lの煤が負荷された背圧(すなわち、多孔質セラミック物品に多孔質セラミックハニカムのリットル当たり5gの煤が負荷された場合の背圧)についての圧力値(単位kPa)を含む。Printex Uを、煤として使用し、一定の流量で各試料中に負荷した。
【表6】
【0085】
表6に示されるように、本発明の実施例2は、より低い気孔率、より小さい比細孔容積VPおよびより小さい中央細孔径を有するにもかかわらず、より高い触媒ウォッシュコート負荷で比較例AおよびBより低い5g/Lの煤が負荷された背圧降下を示した。
【0086】
図12を参照すると、触媒ウォッシュコート負荷の量の関数としての5g/Lの煤が負荷された圧力降下のプロットがグラフで示される。結果が、200/12および300/8の幾何学形状を有する本発明の実施例2の組成物から生成された試料について示される。結果が、200/15の幾何学形状および300/13の幾何学形状を有する比較例Aの組成物から生成された試料についても示される。
図12に示されるように、本発明の実施例2は、最大で約120g/Lの触媒ウォッシュコート負荷でより低い圧力降下を示した。
図12は、より小さい細孔径およびより狭い細孔径分布を有するにもかかわらず、300/8の幾何学形状を有する本発明の実施例2についてより低い煤負荷圧力降下を示す。さらに、
図12は、300/8の幾何学形状を有する本発明の実施例2の薄壁フィルタが、200/12の幾何学形状を有する以外は同じ組成を有するフィルタよりさらに低い圧力降下を示すことを示し、これは、ろ過効率を低下させずに小さい細孔径分布を有する薄壁フィルタを構成することが可能であることを示す。
【0087】
権利請求される主題の趣旨および範囲から逸脱せずに、本明細書に記載される実施形態に様々な変更および変形を行うことができることが、当業者に明らかであろう。したがって、このような変更および変形が、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内に含まれる限り、本明細書が、本明細書に記載される様々な実施形態の変更および変形を包含することが意図される。