【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にしたがえば、この課題は、ステント構造の
外側面にわたって螺旋状に延びるスロットが備えられ、
張力印加クリップがステント構造の近端においてスロットにかかる、初めに上述した種類の器具を提案することにより、達成される。
【0012】
本発明にしたがう器具は、ステントとして用いられる間は円筒構造をとり、この構造は複数のメッシュを有する。この構造は、2つのコネクタを介して、構造の正確な配置を可能にする誘導ワイアに取り付けられる。近端において。コネクタはメッシュ構造内に配され、誘導ワイアの遠端をなす結合素子で終端する。
【0013】
語「近位」は、本明細書に用いられるように、例えばステント構造または誘導ワイアの、処置を施している医師に最も近い側の末端または側面を表し、「遠位」は医師から離れた側の末端または側面を表す。
【0014】
ステントのメッシュ構造は、編組構造の形態で与える、すなわち個々のワイアから構成される、ことができるが、好ましくは、レーザを用いて切り出されてメッシュ構造にされる、適する直径のチューブが用いられる、切出し構造とすべきである。材料には通常金属が用いられるが、プラスチック材料も用いることができる。材料の弾性は通例のカテーテルの直径に合わせるための収縮を可能にするに十分でなければならず、さらに、カテーテルから解放されたときには、所望の規定された直径を確保するための拡張をおこさなければならない。
【0015】
鉄合金(ステンレス鋼、ばね鋼)及びコバルト−クロム合金の他に、特に形状記憶合金、例えば二元チタン−ニッケル合金(ニチノール)及び三元ニッケル−チタン−クロム合金(クロム添加合金)が、ステント材料としての使用に適している。特にニチノールは神経血管分野での自己拡張性ステント構造における適用のために知られている。
【0016】
本発明の器具は基本的に、巻き上げられて、コイル状または螺旋状の態様でステント構造の
外側面にわたって延びるスロットが備えられたチューブ状物体を形成する、平坦/平面構造である。このスロットは360°の完全なコイル/螺旋を形成するように延びることができるが、例えば180°または120°の部分的コイル/螺旋をちょうど形成するように配置することもできる。ステント構造の
外側面は、カテーテルから放出されたときにステントの構造は血管腔が許容するような程度にまでしか拡がることができないから、適用場所におけるスロットの幅も血管腔によって決定されているスロットの領域において広げられる。
【0017】
ステント構造を所定の位置に固定するため及びいくらかの大きさの張力を構造にかけるためにも、
張力印加クリップがステント構造の近端においてスロットにかかるように用いられる。この
張力印加クリップは自己拡張性構造の半径方向力を高め、さらに、スロットに沿う対向して配されたステント構造の横縁を相互に所定の位置に維持するためにはたらく。
【0018】
近端に配された
張力印加クリップに加えて、本発明の血栓摘出器具には中央領域及び遠位領域に配置されるべき多くの追加の
張力印加クリップも備えることができる。しかし、十分な形状回復効果を示すことができる形状記憶材料が用いられる場合には、
張力印加クリップは全く無しで済ませることができる。
【0019】
本発明の血栓摘出器具の適用には、血塊自体内または血塊から離れた場所において血栓摘出器具がカテーテルから放出される適用部位まで、カテーテルを用いて運ばれる必要がある。血栓摘出器具は血管内で拡張し、血管腔に適合する。血栓摘出器具が拡がるとすぐに、あるいは血栓摘出器具が引き込まれるときに、血塊材料がメッシュ構造に捕らえられて、血栓摘出器具がカテーテル内に引き戻されるときに随伴される。まだ血管壁に付着している血管の断片はメッシュがはたらかせる剪断作用により、スロットの縁端に沿って、除去されて引きずられる。血塊はカテーテルに引き込まれ、カテーテルが取り出されるときに身体から摘出される。
【0020】
血塊の摘出のため、
外側面にわたるスロットの螺旋形状は、スロットに沿うステント構造の横縁が血管壁の周に沿って接線方向に移動するという特別な利点を提供する。これは剪断効果を高める。さらに、螺旋状またはコイル状のスロットの広がりも、曲がりくねる血管パターンに血栓摘出器具が一層良く適合し得るように曲げ剛性を改善する(低める)。これは血管摘出器具の配置を容易にするだけでなく、複雑な血管構造からの血塊の摘出も容易にする。
【0021】
近位に配されたクリップは、ステント構造が近位領域においてかける半径方向力を強める。特に、クリップを備えることで、血栓摘出器具がカテーテルに引き込まれるときにおこるような、ステント構造の細りが抑えられるだけでなく、引張応力も弱められる。同時に、ステント構造のメッシュ及び遠端によって達成されるのと同じ、剥ぎ取り効果がさらにもたらされる。
【0022】
しかし、ステント構造の血管腔への最適適合を可能にする近位区域における広がり力が改善されることが特に重要である。同時に、この構成はスロットで隔てられたステント領域の相互間の変位を防止する。
【0023】
クリップ付ステント構造のカテーテルへの容易な引込みを可能にするため、
張力印加クリップはステント構造の遠端の方向を指すように配される。これは、クリップの湾曲部が遠位で閉じられ、近端においてはコネクタとともに、捕捉バスケットの開口と同様の、結合素子で終端するループを形成することを意味する。
【0024】
あるいは、
張力印加クリップは波様態様で、例えば、スロットの一方の側から他方の側にメッシュ構造遠端の輪郭をスロットの一方の側から他方の側にクリップがとってなぞる態様で、ステント構造のスロットにかかる。
【0025】
本発明の別形にしたがえば、本発明のステント構造は、捕捉バスケットを用いるかのように血栓材料を集める目的で、メッシュ構造を用いて遠端において閉じることができる。
【0026】
先に述べたように、本発明にしたがうステント構造はレーザを用いて円筒チューブから切り出されることが好ましい。この方法を用いれば、個々のメッシュに特別な断面、例えば、正方形、長方形または台形の断面を与えることができる。長方形及び台形の場合、断面の狭いかまたは小さい辺面を外面側または長い側に配することができる。しかし、長方形及び、特に、台形のいずれについても狭い辺面を血管壁に向けることが好ましく、そうすれば、ステント構造が拡張したときの、血塊のメッシュ構造への一層容易な侵入が可能になり、凝血塊を効率的に排除することが可能になる。
【0027】
ステント構造の近端に配されたコネクタはスロットに隣接する近位ハニカムから、ハニカムが取り付けられてハニカムが終端する、結合素子まで達する。コネクタはステント構造の一部であり、この理由のため、同じ材料からなる。
【0028】
本発明にしたがう血栓摘出器具の誘導ワイアは、血管内用途のために、特に神経放射線分野において、普通に用いられているから、通常通りにつくられる。遠位において、誘導ワイアは、コネクタの近端が取り付けられた、結合素子で終端する。
【0029】
結合素子自体は、誘導ワイア及びコネクタが収斂及び終端する、単純なスポット溶接点とすることができる。しかし、結合素子は、必要であれば必ず、特に回収が患者を傷つける結果になるであろうから医学的理由のために回収が望ましくないかまたは不適切であれば、円筒形ステント構造の解放を可能にする通常の設計とすることもできる。そのような場合、ステント構造はステントとして体内にとどまることができ、メッシュ構造が血塊を血管壁に押し付けている、血塊内のダクトまたはチャネルの形成に有効にもちいることができる。
【0030】
後者の場合、例えば、結合素子は、カテーテルを出るときにコネクタの切離しを可能にするに適するように設計された機械的結合素子である。数多くのこの種のシステムが、水力切離しシステムと同様に、技術文献に説明されている。電解腐食性部分が電気エネルギーの印加によって溶解され、その結果、ステント構造と誘導ワイアの間の接続が切り離される、電解切離しシステムが特に適している。第1の別形にしたがえば結合素子はそのような電解溶解性部品として設計することができ、第2の別形は電流が印加されると溶解する切離し点または別個の切離し素子を備えるコネクタを提供する。適する切離し素子は、あらかじめ腐蝕させた、ステンレス鋼素子、マグネシウム素子またはコバルト−クロム合金素子である。そのようなシステムは文献に説明されている。
【0031】
円筒形ステント構造の近位領域の設計については、好ましくは、短いコネクタが備えられるべきである。メッシュ構造の遠端と結合素子との間隔は、一方では、使用されない器具長を減じ、さらに構造の近端において
張力印加クリップにより形成される捕捉スリングの張力を高めるために短いままにされるであろう。本発明の特定の実施形態によって提案されるように、円筒形ステント構造の遠位領域は、器具のこの領域の血管腔への十分な適合を可能にするため、円錐形またはトランペット形の態様で広がらせることができる。血管から血塊/血栓を効率的に除去するため、器具の表面の血管壁との最適な接触が得られるように、器具の有効領域は可能な限り大きくなければならない。接触面が大きくなるほど、血塊を完全に排除する機会が大きくなる。
【0032】
誘導ワイア及び/またはステント構造に、通常の態様で、例えば螺状線またはスリーブの形態の、X線不透マーカーを備えることができる。
【0033】
本発明の説明は例として添付された図面により与えられる。