特許第6134989号(P6134989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6134989連鎖段構成活性コアをもつ中赤外多波長連鎖構成分布帰還型レーザ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134989
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】連鎖段構成活性コアをもつ中赤外多波長連鎖構成分布帰還型レーザ
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/12 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   H01S5/12
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-552313(P2014-552313)
(86)(22)【出願日】2013年1月11日
(65)【公表番号】特表2015-503857(P2015-503857A)
(43)【公表日】2015年2月2日
(86)【国際出願番号】US2013021102
(87)【国際公開番号】WO2013106619
(87)【国際公開日】20130718
【審査請求日】2016年1月8日
(31)【優先権主張番号】61/586,327
(32)【優先日】2012年1月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】カヌー,キャサリン ジュネビエーヴ
(72)【発明者】
【氏名】シエ,フォン
(72)【発明者】
【氏名】ザァ,チュン−エン
【審査官】 村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0174749(US,A1)
【文献】 特開2001−15858(JP,A)
【文献】 特開2003−174230(JP,A)
【文献】 Simultaneously at two wavelength(5.0 and 7.5 μm singlemode and tunable quantum cascade distributed feedback lasers,ELECTRONICS LETTERS,2002年
【文献】 Two-wavelength quantum cascade lasers with heterogeneouscascades,OPTOELECTRONIC AND MICROELECTRONIC MATERIALS AND DEVICES,2002 CONFERENCE,2002年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00−5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザにおいて、
a.超格子を形成する、組成が同じではない少なくとも2つの層を含む利得材料であって、サブバンド間遷移により光子を発生する利得材料、
b.反射防止材料で被覆された2つの端面を有する光導波路、及び
c.直列に配置された少なくとも2つのレーザ発振区画であって、それぞれが、等しくない周期すなわち等しくないブラッグ波長を有する1/4波長シフト回折格子を有し、電気絶縁分離領域により分離される少なくとも2つのレーザ発振区画、
を有することを特徴とするレーザ。
【請求項2】
前記レーザ発振区画が、n型クラッド層内のp型層を含む電気絶縁分離領域によるか、またはn型クラッド層の高ドープ部の除去により、分離されることを特徴とする請求項1に記載のレーザ。
【請求項3】
前記レーザ発振区画の少なくとも1つからの発光波長が約2.5μmから約15μmであることを特徴とする請求項1に記載のレーザ。
【請求項4】
前記超格子の少なくとも1つの層が、xが0から1である、GaIn1−xAs、またはyが0から1である、AlIn1−yAsを含むことを特徴とする請求項1に記載のレーザ。
【請求項5】
前記レーザ発振区画がパルスモードでレーザ発振し、レーザパルスの幅が約10nsから約1msであることを特徴とする請求項1に記載のレーザ。
【請求項6】
サンプルからの信号出力を検出する方法において、
a.請求項1に記載のレーザからの少なくとも1つのレーザ光照射を前記サンプルに与える工程、及び
b.前記光が前記サンプルと相互作用した後に前記光の少なくともいくらかを収集する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記光を収集する前記工程が前記サンプルの赤外吸光度に関する情報を与えることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は2012年1月13日に出願された米国仮特許出願第61/586327号の米国特許法第119条の下の優先権の恩典を主張する。本明細書は上記特許出願の明細書の内容に依存し、上記特許出願の明細書の内容はその全体が本明細書に参照として含められる。
【技術分野】
【0002】
本明細書は全般に半導体ベースレーザに関し、さらに詳しくは、いくつかの波長を同時にまたは順次に発生する、連鎖段で構成された活性コアを有する中赤外領域の分布帰還型レーザに関する。そのようなデバイスの作製及び使用の方法も開示される。
【背景技術】
【0003】
分布帰還(DFB)型レーザは、レーザの活性領域に回折格子を組み込む、固体ダイオードレーザ技術である。DFB構造により、安定で、温度変化によって若干調整することができる単一波長の発光が可能になる。DFBレーザは、デバイスの精確で安定な波長が必須である、光通信用途に広く用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、DFBレーザの限定された可同調性は多くの問題を提示し、他の分野におけるこのデバイスの総合的有用性を乏しくする。DFBレーザの長所を広い波長範囲にわたって拡張することができれば、赤外線逆探知装置、ガス検知及び通信のような分野及びその他の用途において有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の実施形態は、超格子を形成する、組成が同じではない、少なくとも2つの層を有する利得材料、反射防止材料で被覆された2つの端面を有する光導波路、及び直列に配された1/4波長シフト回折格子を有する少なくとも2つのレーザ区画を有し、回折格子が等しくはない周期すなわち等しくはないブラッグ波長を有し、レーザ区画が電気絶縁分離領域で分離されている、レーザを含む。いくつかの実施形態において、利得材料はサブバンド間遷移により光子を発生する。いくつかの実施形態において、レーザ発振区画は、n型クラッド層内のp型層を含む電気絶縁分離領域によるか、またはn型クラッド層の高ドープ部の除去によって、分離される。いくつかの実施形態において、レーザ区画の内の少なくとも1つからの発光波長は約2.5μmから約15μmである。いくつかの実施形態において、超格子の少なくとも1つの層はGaIn1−xAsを含み、ここでxは0から1である。いくつかの実施形態において、超格子の少なくとも1つの層はAlIn1−yAsを含み、ここでyは0から1である。別の実施形態において、活性領域は少なくとも3つの活性スタックを含む。いくつかの実施形態において、レーザ区画はパルスモードでレーザ発振する。いくつかの実施形態において、レーザパルス幅は約10nsから約1msである。別の実施形態において、レーザ区画は連続モードでレーザ発振する。いくつかの実施形態において、全てのレーザ区画が同時にレーザ発振を開始する。いくつかの実施形態において、レーザ区画は順次にレーザ発振を開始する。
【0006】
第2の実施形態は、第1の実施形態のレーザからの少なくとも1つのレーザ光照射をサンプルに与える工程及びサンプルと相互作用した後の光の少なくともいくらかを収集する工程を含む、サンプルからの信号出力を検出する方法を含む。いくつかの実施形態において、レーザ波長は中赤外領域にある。いくつかの実施形態において、光を収集する工程はサンプルの中赤外吸光度に関する情報を提供する。いくつかの実施形態において、サンプルは気相または液相にある。いくつかの実施形態において、光を収集する工程はサンプルの中赤外反射率に関する情報を提供する。いくつかの実施形態において、サンプルは固相または液相にある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は2350cm−1近傍におけるCOの吸収スペクトルを示す。
図2図2は異なる3つの濃度におけるグルコースの吸収スペクトルを示す。
図3図3は、活性コアが縦連段で構成されている、中IR多波長連鎖段構成DFB QCLを含む一実施形態を示す。
図4図4は、図2に示されるグルコースの5つの吸収ピークに一致するように選ばれた異なる5つの周期をもつ、直列に配置された5つの回折格子の反射スペクトルを示す。
図5図5は、連鎖構成DFB(cDFB)型レーザの一実施形態のDFB区画の1つに対する、1/4波長シフト回折格子の詳細を示す図である。
図6図6はQCコアスタックからの自然発光スペクトルを示す。それぞれのコアの利得ピークはサンプリング波長の1つの近傍にあるように設計されている。
図7図7は、同じウエハから作製されたcDFB実施形態において、コアからのエレクトロルミネセンススペクトルを異なる4つのDFB量子カスケードレーザ(QCL)からのレーザ発振スペクトルと比較して示す。
図8図8は、前面ファセットの隣の第1のDFB QCLのDCバイアスの関数として、第2のDFB QCLのパルス光−電流曲線を示す。バイアスは、11V(黒色の密破線;---)、10V(黒色の粗破線;- - -)、9V(灰色の実線;−)、8V(灰色の長破線;―――)、4V(灰色の点線;・・・)及び0V(黒色の実線;−)であった。
図9図9は、デバイスの熱的加熱を最小限に抑え、多サンプリング波長を可能にするための、cDFBの順次動作の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は以下の詳細な説明、図面、実施例及び特許請求の範囲の参照、並びにそれらの先の説明及び以降の説明によって、一層容易に理解することができる。しかし、本発明の組成物、物品、デバイス及び方法が開示され、説明される前に、本発明が、別途に指定されない限り、開示される特定の組成物、物品、デバイス及び方法に限定されず、したがって、もちろん変わり得ることは理解されるべきである。本明細書に用いられる用語が特定の態様を説明する目的のために過ぎず、限定は目的とされていないことも当然である。
【0009】
本発明の以下の説明は本発明の現在知られている実施形態における教示を可能とするとして提供される。この目的に対し、当業者であれば、本明細書に説明される本発明の様々な態様に多くの変更がなされ得るが、それでも本発明の有益な結果が得られることを認め、理解するであろう。本実施形態の所望の利点のいくつかが特徴のいくつかを選択することで、他の特徴は用いずに、得られることも理解されるであろう。したがって、当業者であれば、多くの改変及び適合が可能であり、いくつかの状況においては望ましくさえあって、本発明の一部であることを認めるであろう。したがって、以下の説明は本発明の原理の例証として与えられており、本発明の限定の意味で与えられてはいない。
【0010】
開示される方法及び組成物の実施形態に、用いることができる、それらとともに用いることができる、それらの作製に用いることができる、またはそれらの実施形態である、材料、化合物、組成物及びコンポーネントが開示される。これらの及びその他の材料が本明細書に開示され、それらの材料の組合せ、サブセット、相互作用、グループ、等が開示される場合、それらの化合物の様々な個々の及び集合的な組合せ及び置換のそれぞれの特定の言及が明示的には開示されていないかもしれないが、それぞれが特定的に考慮され、本明細書に説明されていることは当然である。すなわち、置換要素A,B及びCからなる類が開示され、置換要素D,E及びFからなる類並びに組合せ実施形態A-Dの例もともに開示されていれば、それぞれは個別的及び総括的に考慮されている。すなわち、この例においては、組合せA-E,A-F,B-D,B-E,B-F,C-D,C-E及びC-Fのそれぞれも特定的に考慮されており、A,B及び/またはCと、D,E及び/またはF並びに組合せ例A-Dの開示により開示されていると見なされるべきである。同様に、これらのいかなるサブセットまたは組合せも特定的に考慮され、開示されている。すなわち、例えば、A-E,B-F及びC-Eからなるサブグループが特定的に考慮され、A,B及び/またはCと、D,E及び/またはF並びに組合せ例A-Dの開示により開示されていると見なされるべきである。この概念は、開示される組成物の作製及び使用の方法における、いかなる、組成物の成分及び工程も含むがこれらには限定されない、本開示の全ての態様に適用される。すなわち、実施することができる様々な付加工程があれば、そのような付加工程のそれぞれが開示される方法の実施形態のいずれか特定の実施形態または実施形態の組合せとともに実施することができ、そのような組合せのそれぞれが特定的に考慮されており、開示されていると見なされるべきであると理解される。
【0011】
本明細書においては、また以下の特許請求の範囲においては、以下の意味を有すると定義されることになる、多くの用語が言及される。
【0012】
「含む」または同様の用語は包含を意味するがこれには限定されない。すなわち包括的であるがが排他的ではない。
【0013】
用語「約」は、別途に言明されない限り、その範囲にある全ての語にかかる。例えば、約1,2または3は約1,約2または約3と等価であり、さらに、約1〜3,約1〜2及び約2〜3を含む。組成物、成分、配合剤、添加剤及び同様の態様について開示される特定の及び好ましい値並びにそれらの範囲は、説明のために過ぎず、他の定められた値または定められた範囲内の他の値を排除するものではない。本開示の組成物及び方法は、本明細書に開示される、いかなる値または値、特定の値、さらに詳細な値及び好ましい値のいかなる組合せも有する、組成物及び方法を含む。
【0014】
本明細書に用いられるように、名詞の単数形は、別途に指定されない限り、少なくとも1つまたは1つ以上を意味する。
【0015】
本明細書に用いられるように、「超格子」は、量子井戸閉込め及びサブバンド間遷移を生じる、バンドギャップが異なる少なくとも2つの半導体材料を含む(例えば、米国仮特許出願第61/564375号の明細書を見よ。この仮特許出願明細書はその全体が本明細書に参照として含められる)。少なくとも2つの半導体材料の厚さは格子内で変わることができ、あるいは一定の厚さとすることができる。材料の厚さが変わる場合、厚さは線形態様または非線形態様で変わることができる。
【0016】
本明細書に用いられるように、「段」はインジェクタ領域から活性区画への電子の遷移を可能にする超格子によって形成された一連の量子井戸を含む。本明細書に用いられるように。「スタック」は一連の段を含む。「活性領域」または「コア」は少なくとも1つのスタックからなり、光放射を生じるレーザの領域を表すために用いられる。
【0017】
第1の実施形態は複数の波長を同時にまたは時間にしたがって順次に発生するために活性コアが一連の縦連段でつくられている多波長連鎖段構成DFB(cDFB)型レーザを含む。いくつかの実施形態において、cDFBは約2.5μm〜約15μmの領域においてレーザ発振する。そのようなデバイスは単分子の幅の広い吸収線または異なる分子からの数本の吸収線をサンプリングできる。実施形態を形成する方法は分布帰還(DFB)型量子カスケードレーザ(QCL)に用いられる作製プロセスと同様の作製プロセスの使用を含む。本明細書に説明される実施形態は、寸法がより小さく、速度がより速く、コストがより低いことから、波長可変外部キャビティ(EC)QCLを置き換えることができる点で有利である。さらに、実施形態は、DFB QCLアレイにはアレイの出力を結合して1本の光ビームにするための光結合光学系が必要であるから、DFB QCLアレイに優る寸法上及びコスト上の利点も有する。
【0018】
実施形態が有用であり得る特定の一用途は赤外(IR)分光法による化学分析である。分子組成を識別するために化学結合の振動による中IR領域における強い吸収線を用いることができる。吸収線周りの波長をスキャンするためにDFB QCLのような中IR波長可変源を用いることができる。従来のDFB QCLは波長可変範囲が約10cm−1と小さく、小分子の吸収線(例として、図1は2350cm−1近傍、すなわち約4.2〜4.3μmにあるCOの吸収線を示す)のような幅の狭い吸収線の1つを検出するために用いられることが多いが、本発明の実施形態はかなり広い波長覆域を有し、大分子の幅が広い吸収線(図2はグルコースの950〜1200cm−1における吸収を示す)を検出するために用いることができる。
【0019】
コアはレーザ発振を達成するに必要な光利得を与える。レーザのコアは量子カスケード(QC)領域またはバンド間カスケード(IC)領域のスタックを有することができる。広い光利得を有するいずれかのQC構造またはIC構造を用いることができる。いくつかの実施形態において、コアはQC構造を含む。いくつかの実施形態において、コアはIC構造を含む。それぞれのコアの利得ピークは、図6に示されるように、サンプリング波長の内の1つの近傍にあるように設計される。光利得が短波長側にあるコアは通常、短波長側の光学モードは長波長側の光学モードより幅が狭いから、光学モードの中心に近づけて配置されるべきである。
【0020】
実施形態は超格子を形成する、組成が同じではない、少なくとも2つの層を含む利得材料を有することができる。総厚の適切な設計により、レーザ発光を達成するに必要な、系の2つのサブバンド間の反転分布をつくりだすことが可能である。層厚は、所望に設計に応じて、同じとすることができ、あるいは異ならせることができる。いくつかの実施形態において、層は約1Åから約500Åの厚さを有する。いくつかの実施形態において、層は約10Åから約100Åの厚さを有する。いくつかの実施形態において、層は、約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14.25,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,35,40,45,50,55,60,70,80,90,100,125,150,175,200,250,300,350,400,450または500Åの厚さを有する。
【0021】
利得材料内で層を形成するために用いることができる材料は一般に、IV族半導体、III-V族半導体及びII-VI族半導体のような、半導体を含む。いくつかの実施形態において、層は、GaAs,AlGa1−xAs,SiGe1−xまたはGaIn1−xAs及びAlIn1−yAsを含むことができ、x及びyは0から1である。
【0022】
超格子利得材料は様々な手法、例えば、分子線エピタキシー(MBE)(ガスソースMBE及びMO-MBEを含む)、有機金属気相エピタキシー(MOVPE)及びスパッタリング、を用いて作製することができる。これらの方法は、厚さが数原子層分でしかない層の作製を可能にする。
【0023】
実施形態はさらに光導波路を含む。実施形態に用いられるような、光導波路は光スペクトル内の電磁波を誘導する物理的構造を有する。いずれか特定のタイプの導波路には限定されないが、普通に用いられる光導波路の一タイプはリッジ型導波路である。リッジ型導波路は、量子カスケード利得材料に平行トレンチをエッチングして、必ずではないが、一般に約10μm幅及び数mm長(長さは通常、劈開によって定められる)の、絶縁分離されたQC材料のストライプをつくることによって形成される。横モード閉込めはトレンチ内への誘電体材料の堆積によって達成することができ、次いで、電気コンタクトを提供するため及び光発生時のリッジからの熱の取去りに役立てるため、一般にリッジ全体が金で被覆される。さらに普通には、横モード閉込めは、レーザがInP基板上に形成されていればInPのような、半絶縁性材料をトレンチ内に成長させることで達成される。光は導波路の劈開された端面から放射される。
【0024】
実施形態はさらに反射防止(AR)層を含む。実施形態に用いられるように、AR層はデバイスの少なくとも1つの端面(ファセット)に施された、特にIR領域における、反射を低減する光学膜を含む。AR膜は、屈折率整合膜、単層干渉膜、多層干渉膜または(ナノ構造)モスアイ膜のような、いずれかのタイプとすることができる。いくつかの実施形態において、AR膜による損失は、約10%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%m0.1%、0.01%または0.001%より小さく、あるいは0%である。
【0025】
実施形態はさらに直列に配された少なくとも2つのレーザ区画を含み、それぞれのレーザ区画は1/4波長シフト回折格子を有し、回折格子は等しくない周期すなわちブラッグ波長を有する。実施形態に用いられるような回折格子は複数の交互する、屈折率が変化する材料の複数の層、あるいは(高さのような)何らかの特性の周期的変化によりガイド内の実効屈折率に周期的変化を生じさせる複数の層で形成された構造を有する。それぞれの層境界は光波の部分反射を生じさせる。波長が周期と実効屈折率の積の2倍に近い波に対しては、多くの反射が強め合う干渉で結合し、回折格子は高品質反射器として作用する。
【0026】
ダイオードレーザにおける1/4波長シフト分布帰還型共振器の使用は、回折格子の阻止帯域の中心において、両側への共振よりQが高い、共振を与えるから有利である。1/4波長シフトDFB型伝送共振器はローレンツ型応答を有する。1/4波長シフト共振器の理論及び用法は、エイチ・ハウス(H. Haus)及びワイ・レイ(Y. Lai),「縦連1/4波長シフト分布帰還型共振器の理論(Theory of Cascaded Quarter Wave Shifted Distributed Feedback Resonators)」,IEEE J. Quantum Elec.,1992年,第28巻,第1号,p.205〜231,に見ることができる。上記文献はその全体が本明細書に参照として含められる。
【0027】
複数の周期をもつ回折格子は電子ビーム(e-ビーム)描画またはe-ビームリソグラフィで作製された回折格子マスクの密着プリントによってパターン形成することができる。図4は、図2に示されるグルコースの5つの吸収ピークに一致するように選ばれた異なる5つの周期をもつ、直列に配置された5つの回折格子の5つの反射ピークを示す。
【0028】
実施形態に見ることができる別のコンポーネントは利得材料の上及び/または下のn型クラッド層を含む。活性利得区画及び波長選択区画の上は、異なるレーザ区画専用のそれぞれの制御電極を有する、パターン形成された電気コンタクト層で覆われる。レーザ構造の個々の区画を電気的に絶縁分離するため、パターン形成された電気コンタクト層の適切な領域に絶縁性誘電体材料を被着することができる。
【0029】
いくつかの実施形態において、レーザ発振区画は、米国特許出願第13/050026号明細書に説明されるように、p型電気絶縁分離領域によって隔てられる。上記特許出願明細書はその全体が本明細書に参照として含められる。例えば、活性導波路コアは上層n型クラッドと下層n型クラッドの間に挟み込むことができる。活性コア及び下層n型クラッドは、また上層n型クラッドの少なくとも一部も、本実施形態の電気的に絶縁分離されたレーザ区画にわたって延びる。上層n型クラッドの一部または複数の部分は、本実施形態の区画を分離する突出しに沿い、上層n型クラッドの厚さの一部にかけて延びる、p型領域を定めるに十分なp型ドーパントを含む。上層n型クラッド及び下層n型クラッドは、InP,GaAs,AlGaAs,または適する他のいずれかの、従来のまたはまだ開発されていない、クラッド材料を含むことができる。限定ではなく、例として、II-VI族半導体、Si-GeまたはGaNベース材料、等を含む、様々なクラッド層が適し得るであろうと考えられる。
【0030】
p型絶縁分離領域を実現する多様な方法がある。とりわけ、選択成長、イオン注入及びp型ドーパントの拡散がある。p型ドーパントの拡散が選ばれる場合、ドーパント拡散によりp型電気絶縁分離領域の形成を容易にするように、上層n型クラッド及び下層n型クラッド及び利得材料の組成を選ぶことができる。さらに詳しくは、上層n型クラッド及び下層n型クラッドはInPを含むことができ、p型ドーパントは、InP上層n型クラッド層内のp型ドーパントの最高安定濃度がn×1018cm−3より低くなるように選ぶことができ、ここでnは3より小さい。
【0031】
レーザ発振区画を絶縁分離する別の方法は、n型クラッド層の高ドープ部の除去を含む。
【0032】
限定ではなく、例として、上層n型クラッド及び下層n型クラッドは代わりにGaAsベースクラッド層とすることができると考えられる。クラッド層のいくつかは、単なるGaAsまたはInPの代わりに、AlGaAsまたは(Al)GaInPとすることができる。GaAsベースクラッド層に対し、コアは、GaAs/AlGaAs,AlGaAs/AlGaAs,(Al)GaInP/(Al)GaInPまたはGaInAs/(Al)GaAsとすることができる。構造の残りの層に対して同様の組成の付加層を考えることができ、そのような付加層はGaInAsとGaAs基板の間のいかなる格子不整合も補償するように選ばれるべきである。限定ではなく、例として、他の考え得る層は、GaInP,AlGaInP,GaAsP及びGaInAsPである。GaAsベースクラッド層に対し、(Al)GaAsを半絶縁性にするために用いられる、適するドーパントにはCr及びOがあるが、これらには限定されない。非常に低い成長温度においては、いかなるドーパントの用いずに半絶縁性(Al)GaAsを得ることができる。
【0033】
本明細書に説明される実施形態はパルスモードまたは連続波モードのいずれにおいても用いることができる。レーザパルス幅は約1nsから約1msとすることができる。いくつかの実施形態において、FWHMにおけるパルス幅は、約1ns,2ns,3ns,4ns,5ns,6ns,7ns,8ns,9ns,10ns,20ns,50ns,60ns,70ns,80ns,90ns,100ns,200ns,300ns,400ns,500ns,600ns,700ns,800ns,900ns,1μs,10μs,100μsまたは1msである。いくつかの実施形態において、本明細書に具現化されるデバイスは、全てのレーザ区画を、同時に、個別に、及び/または順次にまたはプログラムされた順序で、レーザ発振を開始するように構成することができる。
【0034】
本明細書に説明される実施形態は外部キャビティ量子カスケードレーザの態様を組み入れるから、デバイスから出力され得るレーザ波長の範囲はDFB型レーザから期待されるであろう範囲よりかなり広い。DFB QCLは一般におよそ10cm−1の狭い可同調性を有する。本明細書に説明される実施形態は、100cm−1をこえる、200cm−1をこえる、300cm−1をこえる、400cm−1をこえる、または500cm−1をこえる、可同調性を有する。いくつかの実施形態において、cDFB実施形態は約100cm−1から約500cm−1の可同調性を有する。
【0035】
レーザ区画のピーク波長は、一分子の広い吸収線または異なる分子からの幾本かの吸収線のサンプリング波長(λ,I=1〜n)であるように、選ぶことができる。いくつかの実施形態において、cDFBレーザは、約2.5,2.6,2.7,2.8,2.9,3.0,3.1,3.2,3.3,3.4,3.5,3.6,3.7,3.8,3.9,4.0,4.1,4.2,4.3,4.4,4.5,4.6,4.7,4.8,4.9,5.0,5.1,5.2,5.3,5.4,5.5,5.6,5.7,5.8,5.9,6.0,6.5,7.0,7.5,8.0,8.5,9.0,9.5,10.0,10.5,11.0,11.5,12.0,12.5,13.0,13.5,14.0,14.5または15.0μmにおいてレーザ発振する。
【0036】
実施形態は、IR光及び特定のIRレーザ光が有用であろう、いかなる数の方法にも用いることができる。特定の応用には、IR吸光度または反射率測定、IR及びFTIR分光法、ラマン分光法、ガス及び/または化学兵器検出、化学力学及び化学反応速度測定、熱実験、等がある。一実施形態において、実施形態は、分子組成を識別するため、IR吸光度測定に用いられる。
【実施例】
【0037】
実施例1
図7に示されるスペクトルはコアが3つの活性スタックでつくられているcDFB型レーザによって得られた。(a)と示されているコアによるエレクトロルミネセンススペクトルは利得スペクトルを示す。曲線(b),(c),(d)及び(e)と示されている4つのレーザ発振スペクトルは同じウエハで作製された4つの異なるレーザ区画からのレーザ発振スペクトルである。
【0038】
実施例2
cDFBの第2のレーザ区画のパルス光−電流曲線(図8)も、第1の(すなわち、前面ファセットの隣の)レーザ区画のDCバイアスの関数として測定した。示されているバイアスは、11V(黒色の密破線;---)、10V(黒色の粗破線;- - -)、9V(灰色の実線;−)、8V(灰色の長破線;―――)、4V(灰色の点線;・・・)及び0V(黒色の実線;−)である。第2のレーザ区画からの出力パワーはDCバイアスを高めるにともなって、第1のレーザ区画のキャビティによる光損失の減少のため、高くなる。DCバイアスの電力消費は、電流が9Vにおいて0.12Aより小さいため、低く(〜0.1W)抑えることができる。電力消費はパルスバイアスを用いることでさらに低減することができる。
【0039】
実施例3
パルス内の、及び同じレーザ区画に印加される隣り合うパルスからの、加熱を最小限に抑えるため、発明者等は図9に示されるような以下の時間シーケンス動作及び、コア温度上昇を20℃未満に保つため、数100ns以下のオーダー、例えば200nsのパルス幅を提案する。図9に示される時間シーケンス動作中、その前にあるレーザ区画にわたって連鎖しているいずれのレーザ区画からの出力の光損失も最小限に抑えるため、レーザ区画は、レーザ発振モードにある必要がないときには、閾値より下にDCまたはパルスでバイアスされるべきである。これにより、リ(Li)等、IEEE Journal of Quantum Electronics,2000年,第36巻,第10号,p.1110〜1116に触れられているように、レーザ発振していないレーザ段による帰還が最小限に抑えられるであろう。
図1
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図7
図8
図9