(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パージ対象容器の底面に設けたポートを通じて当該パージ対象容器内の気体雰囲気を窒素又は乾燥空気の何れかからなるパージ用気体に置換可能なパージノズルユニットであり、下方から上方に向かうパージ用気体供給方向に沿って延伸するパージ用気体流路を内部に形成したノズル本体と、
前記パージ用気体流路の外側に設けられ且つ前記ノズル本体の少なくとも上端部分を傾動可能に支持する傾動支持部とからなり、
前記ノズル本体は、円筒状の胴部及び当該胴部よりも側方に張り出した球面部を有するものであり、
前記傾動支持部は、前記球面部を接触した状態で支持する凹状の球面軸受部が側壁に形成された円筒状のものであり、
前記パージ用気体流路における下方に開口した下端部分に接続された配管を通じて前記パージ用気体を前記パージ用気体流路内に注入可能に構成し、
径方向に対面する前記ノズル本体の前記胴部と前記傾動支持部の側壁の間に、前記ノズル本体の傾動を許容する空間を形成していることを特徴とするパージノズルユニット。
パージ対象容器の底面に設けたポートを通じて当該パージ対象容器内の気体雰囲気を窒素又は乾燥空気の何れかからなるパージ用気体に置換可能なパージノズルユニットであり、
下方から上方に向かうパージ用気体供給方向に沿って延伸するパージ用気体流路を内部に形成したノズル本体と、
前記パージ用気体流路の外側に設けられ且つ前記ノズル本体の少なくとも上端部分を傾動可能に支持する傾動支持部と、
前記ノズル本体及び前記傾動支持部を相互に組み付けてなるピストンユニットを昇降移動可能に支持するシリンダー外筒とを備え、
前記傾動支持部の軸心部分に、高さ方向に貫通し且つ前記ノズル本体の前記パージ用気体流路に連通するパージ用気体流路を形成し、当該パージ用気体流路における下方に開口した下端部分に接続された配管を通じてパージ用気体を当該パージ用気体流路内に注入可能に構成していることを特徴とするパージノズルユニット。
パージ対象容器の底面に設けたポートを通じて当該パージ対象容器内の気体雰囲気を窒素又は乾燥空気の何れかからなるパージ用気体に置換可能なパージノズルユニットであり、
円筒状をなす胴部及び前記胴部の下端部から側方に張り出した抜止部を有し且つ下方から上方に向かうパージ用気体供給方向に沿って延伸するパージ用気体流路を内部に形成したノズル本体と、
前記パージ用気体流路の外側に設けられ且つ前記ノズル本体の少なくとも上端部分を傾動可能に弾性支持する弾性支持部材と、
前記胴部の外径よりも所定寸法大きく設定した内径を有する側壁と、
前記側壁のうち前記抜止部よりも高い所定の高さ位置から内方に突出し且つ前記抜止部の上方への移動を規制可能な内方突出部とを備え、
前記ノズル本体が傾動していない基準姿勢にある状態において、前記ノズル本体の傾動を許容する空間が、前記胴部と前記側壁及び前記内方突出部の内向き面との間、前記抜止部と前記側壁との間にそれぞれ形成されるように構成していることを特徴とするパージノズルユニット。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0024】
本実施形態に係るパージノズルユニット1は、例えば
図1に示すロードポートXに適用されるパージ装置Pに取付可能なものである。ロードポートXは、半導体の製造工程において用いられ、クリーンルーム内において半導体製造装置(図示省略)に隣接して配置されるものであり、本発明のパージ対象容器の一例であるFOUP100の扉にドア部Dを密着させて開閉し、半導体製造装置との間でFOUP100内に収容された被収容体であるウェーハ(図示省略)の出し入れを行うものである。
【0025】
本実施形態で適用するFOUP100は、内部に複数枚のウェーハを収容し、前面に形成した搬出入口を介してこれらウェーハを出し入れ可能に構成され、搬出入口を開閉可能な扉を備えた既知のものであるため、詳細な説明は省略する。なお、本実施形態においてFOUP100の前面とは、ロードポートXに載置した際にロードポートXのドア部Dと対面する側の面を意味する。FOUP100の底面には、
図2に示すように、パージ用のポート101が所定箇所に設けられている。ポート101は、例えば、FOUP100の底面に形成した開口部102に嵌め込まれた中空筒状のグロメットシールを主体としてなり、グロメットシール内に、後述する窒素や不活性ガス又は乾燥空気等の気体(本実施形態では窒素ガスを用いており、以下の説明では「パージ用気体」と称する場合がある)の注入圧または排出圧によって閉状態から開状態に切り替わる弁(図示省略)を設けている。
【0026】
半導体製造装置は、例えば、相対的にロードポートXから遠い位置に配置される半導体製造装置本体と、半導体製造装置本体とロードポートXとの間に配置される移送室とを備えたものであり、移送室内に、例えばFOUP100内のウェーハを1枚ずつFOUP100内と移送室内との間、及び移送室内と半導体製造装置本体内との間で移送する移送機を設けている。なお、FOUP100と半導体製造装置(半導体製造装置本体及び移送室)との間でウェーハを複数枚格納したカセットごと移送することも可能である。このような構成により、クリーンルームにおいて、半導体製造装置本体内、移送室内、及びFOUP100内は高清浄度に維持される一方、ロードポートXを配置した空間、換言すれば半導体製造装置本体外、移送室外、及びFOUP100外は比較的低清浄度となる。
【0027】
ロードポートXは、
図1に示すように、起立姿勢で配置されてFOUP100の搬出入口に連通し得る開口部を開閉可能なドア部Dを有するフレームFと、フレームFのうち半導体製造装置から遠ざかる方向に略水平姿勢で延伸する載置台Bと、FOUP100内にパージ用気体を注入し、FOUP100内の気体雰囲気を窒素ガスなどのパージ用気体に置換可能なパージ装置Pとを備えたものである。
【0028】
フレームFに設けたドア部Dは、FOUP100を載置台Bに載置した状態においてFOUP100の前面に設けた扉(図示省略)に密着した状態でその扉を開けて搬出入口を開放する開放位置と、搬出入口を閉止する閉止位置との間で作動可能なものである。ドア部Dを開放位置と閉止位置との間で少なくとも昇降移動させるドア昇降機構(図示省略)としては既知のものを適用することができる。
【0029】
載置台Bは、フレームFのうち高さ方向中央部からやや上方寄りの位置に略水平姿勢で配置されたものであり、上向きに突出させた複数の位置決め用突起B1(キネマティックピン)を有する。そして、これらの位置決め用突起B1をFOUP100の底面に形成された位置決め用凹部(図示省略)に係合させることで、載置台B上におけるFOUP100の位置決めを図っている。位置決め用突起B1の一例としては、対向する傾斜壁面からなる断面視下向きV字状の位置決め用凹部に接触する上部を曲面状にし、この上部曲面を位置決め用凹部の各傾斜壁面にバランスよく接触可能に構成した態様を挙げることができる。また、載置台Bには、FOUP100が載置台B上に所定の位置に載置されているか否かを検出する着座センサB2を設けている。位置決め用突起B1及び着座センサB2の構造や配置箇所は規格などに応じて適宜設定・変更することができる。なお、載置台Bとして、載置状態にあるFOUP100を、その搬出入口(扉)がフレームFの開口部(ドア部D)に最も近付く位置と開口部(ドア部D)から所定距離離間した位置との間で移動させる移動機構を備えたものを適用することもできる。
【0030】
パージ装置Pは、載置台B上に上端部を露出させた状態で所定箇所に配置される複数のパージノズルユニット1を備え、これら複数のパージノズルユニット1を、パージ用気体を注入する注入用パージノズルユニットや、FOUP100内の気体雰囲気を排出する排出用パージノズルユニットとして機能させている。パージノズルユニット1の総数に占める注入用パージノズルユニット及び排出用パージノズルユニットの比率は、同率であってもよいし、何れか一方が他方よりも大きくてもよい。
【0031】
これら複数のパージノズルユニット1は、FOUP100の底面に設けたポート101の位置に応じて載置台B上の適宜位置に取り付けることができる。各パージノズルユニット1(注入用パージノズルユニット、排出用パージノズルユニット)は、気体の逆流を規制する弁機能を有するものであり、FOUP100の底部に設けたポート101に接触可能なものである。なお、FOUP100の底部に設けた複数のポート101のうち、注入用パージノズルユニットに接触するポート101は注入用ポートとして機能し、排出用パージノズルユニットに接触するポート101は排出用ポートとして機能する。
【0032】
各パージノズルユニット1は、
図2(同図はパージノズルユニット1の断面模式図である)に示すように、ノズル本体2と、ノズル本体2を傾動自在に支持する傾動支持部3とを備えたものである。
【0033】
ノズル本体2は、円筒状の胴部21と、胴部21よりも側方に張り出した球面部22とを備えたものである。本実施形態では、胴部21の軸心部分に、下方から上方に向かうパージ用気体供給方向Aに沿って延伸するパージ用気体流路23を形成している。以下の説明では、パージ用気体流路23のうち、上方に開口している上端部分を上方開口部24と称する場合がある。胴部21の上向き面には、ポート101(注入用ポート、排出用ポート)に接触可能なポート接触部25を設けている。本実施形態では、ポート接触部25を、胴部21の水平な上向き面よりも上方に突出したリング状の上方突出部によって構成している。このリング状をなすポート接触部25の先端も水平である。
【0034】
また、パージ用気体流路23における下方に開口した下端部分が、パージ用気体供給源V1に配管Hを介して接続される通気孔26として機能している。なお、パージ用気体流路23が下方に開口していない有底筒状のものである場合には、パージ用気体流路23のうち下端領域側の側面に、胴部21を厚み方向に貫通する孔を形成し、その孔を通気孔として機能させればよい。本実施形態では、通気孔26に配管Hを接続し、この配管H及び通気孔26を通じてパージ用気体をパージ用気体流路23内に注入可能に構成している。
【0035】
傾動支持部3は、円筒状をなし、ノズル本体2の球面部22を接触した状態で支持する凹状の球面軸受部31を側壁32に形成したものである。球面軸受部31は周方向に連続している。側壁32の内径は、ノズル本体2の胴部21の外径よりも所定寸法だけ大きく設定している。
【0036】
このような球面軸受部31に球面部22を支持させた状態でノズル本体2及び傾動支持部3をユニット化した本実施形態のパージノズルユニット1は、パージ用気体流路23の延伸方向(パージ用気体供給方向A)が鉛直方向と一致する基準姿勢(
図2参照)にあるノズル本体2を、相互に一致する球面部22及び球面軸受部31の中心を支点(傾動中心、揺動中心)として傾動(首振り動作)可能に構成している。本実施形態のパージノズルユニット1では、ノズル本体2の胴部21のうち上端側領域が傾動支持部3の上向き面よりも上方に突出し、径方向Cに対面する傾動支持部3の側壁32とノズル本体2の胴部21の間に、ノズル本体2の傾動を許容する空間S1を形成している。
【0037】
本実施形態に係るパージノズルユニット1は、ユニット化した状態でロードポートXの載置台Bにおける複数の所定箇所(本実施形態では載置台Bの四隅近傍)に取り付けることで、載置台B上に載置されるFOUP100内の気体雰囲気をパージ用気体に置換可能なパージ装置Pとして機能する。なお、載置台Bに対する各パージノズルユニット1の取付処理は、ネジなどの適宜の固定具を用いて載置台Bの所定箇所に固定することで実現できる。この固定状態において、傾動支持部3の上向き面が載置台Bの上向き面とほぼ同じレベルとなるように設定している。
【0038】
次に、このような構成をなすパージノズルユニット1を載置台Bに実装したロードポートXの使用方法及び作用について説明する。
【0039】
先ず、図示しないOHT等の搬送装置によりFOUP100がロードポートXに搬送され、載置台B上に載置される。この際、位置決め用突起B1がFOUP100の位置決め用凹部に嵌まって接触することによってFOUP100を載置台B上の所定の正規位置に載置することができ、着座センサB2によりFOUP100が載置台B上の正規位置に載置されたことを検出する。そして、FOUP100を載置台B上の正規位置に載置することによってFOUP100の底面に設けた各ポート101にそれぞれパージノズルユニット1のポート接触部25が接触する。この接触状態では、
図2に示すように、ポート101の内部空間103とノズル本体2のパージ用気体流路23が連通する。
【0040】
そして、ノズル本体2の内部に形成した通気孔26及びこの通気孔26に接続している配管Hを通じてパージ用気体流路23に、パージ用気体供給源V1からパージ用気体を供給してパージ処理を行う。通気孔26からパージ用気体流路23に供給されるパージ用気体は、パージ用気体流路23の上方開口部24に向かって流れる。
【0041】
その結果、本実施形態に係るパージノズルユニット1は、パージ用気体を、パージ用気体流路23及びポート101の内部空間103を通じてFOUP100内に注入する(パージ処理を実施する)ことができる。これにより、FOUP100内に充満していた気体は、排出用のポート101及び排出用のパージノズルユニット1を通じてFOUP100外へ排出される。なお、排出処理を注入処理よりも先に開始してFOUP100内のエアをある程度FOUP100外へ排出してFOUP100内を減圧した状態で注入処理を行うようにしてもよい。
【0042】
以上のようなパージ処理を行った後、あるいはパージ処理中に、本実施形態のロードポートXは、フレームFの開口部に連通するFOUP100の搬出入口を通じて、FOUP100内のウェーハを半導体製造装置内に順次払い出す。半導体製造装置内に移送されたウェーハは引き続いて半導体製造装置本体による半導体製造処理工程に供される。半導体製造装置本体により半導体製造処理工程を終えたウェーハはFOUP100内に順次格納される。
【0043】
本実施形態のロードポートXでは、ウェーハの出し入れ時においてもパージ装置Pによるボトムパージ処理を継続して行うことが可能であり、ウェーハを出し入れする間もFOUP100内の気体雰囲気を窒素ガスなどのパージ用気体に置換し続けて、高濃度に保つことができる。
【0044】
全てのウェーハが半導体製造処理工程を終えてFOUP100内に収納されると、ドア部DをFOUP100の扉に密着させた状態で開放位置から閉止位置に移動させる。これにより、ロードポートXの開口部及びFOUP100の搬出入口は閉止される。引き続き、載置台Bに載置されているFOUP100は図示しない搬送機構により次工程へと運び出される。なお、必要であれば、半導体製造処理工程を終えたウェーハを収納したFOUP100に対して再度ボトムパージ処理を行うようにしてもよい。このようにすれば、半導体製造処理工程を終えたウェーハを収納したFOUP100に対して直ぐにパージ処理を開始することができ、処理済みのウェーハの酸化防止を図ることができる。
【0045】
以上に詳述したように、本実施形態に係るロードポートXは、パージ装置Pによるボトムパージ処理により、FOUP100内におけるパージ用気体の充填度(置換度)を高い値に維持することができる。
【0046】
また、共通のFOUP100内に収容される複数のウェーハのうち、最初に半導体製造処理工程を終えてFOUP100内に収容されたウェーハは、最後に半導体製造処理工程を経るウェーハがFOUP100内に収容されるまで、通常であればFOUP100内においてウェーハの出し入れ作業時間の経過とともにパージ用気体の充填度(置換度)が低下する気体雰囲気に晒されることにより僅かながらも悪影響を受け得るが、パージ装置Pによりパージ用気体をFOUP100内に注入することにより、FOUP100内におけるパージ用気体充填度(置換度)の低下を効果的に抑制することができ、ウェーハを良好な状態でFOUP100内に収納しておくことができる。
【0047】
また、半導体製造処理工程を終えたウェーハが収納されているFOUP100を搬送機構に受け渡す際、または受け渡した後の所定のタイミングで、パージ用気体供給源V1からパージ用気体をパージ用気体流路23に供給する処理を停止すると、その時点でパージ用気体流路23に存在するパージ用気体は大気中に開放される。
【0048】
ところで、パージノズルユニット1の上端部(ポート接触部25)に接触し得るポート101は、FOUP100の底面に形成した開口部102に嵌め込まれているが、この嵌込量が不十分であったり、ポート101自体の個体差(例えばグロメットシールの製造誤差)や経年変化によって、ポート101の下向き面104が水平ではなく、FOUP100の底面に対して傾いている場合が生じ得る。
【0049】
従来のパージノズルでは、このようなポート101に対してノズル本体の上端部(ポート接触部)を隙間無く密着させることは困難であり、パージノズルユニットから供給されるパージ用気体がパージノズルユニットとポート101の隙間からFOUP100外に漏れ、パージ処理効率の低下を招来し得る。
【0050】
一方、本実施形態のパージノズルユニット1は、上述したように、ノズル本体2全体を揺動自在に設定し、ポート101の下向き面104の傾斜角度に追従して傾動支持部3に対するノズル本体2の相対角度姿勢を変更できるように構成している。
【0051】
したがって、例えば
図3に示すように、ポート101の下向き面104がFOUP100の底面に対して傾いている場合(
図3は、ポート101自体の個体差により下向き面104が傾斜している場合であり、本実施形態に係るパージノズルユニット1の挙動を把握し易いように、FOUP100の底面に対するポート101の下向き面104の傾き具合を誇張して示している)。その傾斜角度に応じてノズル本体2は、傾動支持部3に対して傾動し、ノズル本体2の上端部を構成するポート接触部25全体が、ポート101の下向き面104に密着する。本実施形態では、傾動支持部3のうちノズル本体2の球面部22を支持する球面軸受部31の中心を支点としてノズル本体2全体が、上方から圧力を受ける物体の形状、つまりポート101の下向き面104の傾斜角度に応じて傾動する。また、本実施形態のパージノズルユニット1では、ノズル本体2を基準姿勢にした状態で形成されるノズル本体2の胴部21と傾動支持部3の側壁32との空間S1により、ノズル本体2の首振り動作をスムーズに行うことができる。
【0052】
このように、本実施形態に係るパージノズルユニット1は、ノズル本体2の球面部22を傾動支持部3の球面軸受部31で支持し、ポート101の下向き面104の傾斜角度に応じてノズル本体2を傾動可能に構成することによって、正確な水平度が確保されているポート101の下向き面104に対してノズル本体2の上端部(ポート接触部25)を密着させることができることはもちろんのこと、正確な水平度が確保されていないポート101の下向き面104に対してもノズル本体2の上端部(ポート接触部25)を自動的に密着させることができる。これにより、パージノズルユニット1のパージ用気体流路23から供給されるパージ用気体がパージノズルユニット1とポート101の隙間からFOUP100外に漏れる事態を防止することができ、ノズル本体2の上端部(ポート接触部25)をポート101の傾斜した下向き面104に密着させることができない構成と比較して、パージ処理効率の向上及びパージ処理に要する時間(タクトタイム)の短縮化を図ることができる。
【0053】
次に、上述の実施形態とは異なる実施形態(以下、第2実施形態と称し、上述の実施形態を第1実施形態とする)に係るパージノズルユニット1について、
図4を参照しながら説明する。第1実施形態と同じ構成または準じた構成を採用している部材や部分については説明を省略する。また、
図4では、第1実施形態と同じ構成または準じた構成を採用している部材や部分には同じ符号を付している。
【0054】
第2実施形態に係るパージノズルユニット1は、ノズル本体2と、ノズル本体2を傾動可能に支持する傾動支持部3とを備えたものであり、ノズル本体2を弾性支持する弾性支持部材33を用いて傾動支持部3を構成している点で第1実施形態のパージノズルユニット1とは異なる。
【0055】
ノズル本体2は、円筒状の胴部21と、胴部21よりも側方に張り出した鍔部27とを備えたものである。本実施形態では、胴部21のうち下端から所定寸法上側の位置に鍔部27を設けている。
【0056】
傾動支持部3は、ノズル本体2の鍔部27の外径よりも所定寸法大きく設定した内径を有する側壁32と、側壁32の下端部から内方に突出して鍔部27と高さ方向に対向する内方突出部34と、鍔部27と内方突出部34との間に配置した弾性支持部材33とを備えたものである。本実施形態では、弾性支持部材33として、ノズル本体2の胴部21を周回するコイルバネを適用している。
【0057】
このような弾性支持部材33によって鍔部27、ひいてはノズル本体2を弾性支持した状態でノズル本体2及び傾動支持部3をユニット化した本実施形態のパージノズルユニット1では、パージ用気体流路23の延伸方向が鉛直方向と一致する基準姿勢(
図4参照)にあるノズル本体2を、上方から受ける圧力に応じて弾性支持部材33が弾性変形することで傾動(首振り動作)可能に構成している。このパージノズルユニット1は、径方向Cに対面する鍔部27と側壁32の間、胴部21と内方突出部34の間にはそれぞれノズル本体2の傾動を許容する空間S2,S3を形成している。
【0058】
本実施形態に係るパージノズルユニット1は、ユニット化した状態でロードポートXの載置台Bにおける複数の所定箇所(本実施形態では載置台Bの四隅近傍)に取り付けることで、載置台B上に載置されるFOUP100内の気体雰囲気をパージ用気体に置換可能なパージ装置Pとして機能する。なお、載置台Bに対する各パージノズルユニット1の取付処理は、ネジなどの適宜の固定具を用いて載置台Bの所定箇所に固定することで実現できる。この固定状態において、傾動支持部3の上向き面が載置台Bの上向き面とほぼ同じレベルとなるように設定している。
【0059】
そして、本実施形態に係るパージノズルユニット1は、
図5に示すように、ポート101の下向き面104がFOUP100の底面に対して傾いている場合、その傾斜角度に応じてノズル本体2が、傾動支持部3に対して傾動して、上端部を構成するポート接触部25全体が、ポート101の下向き面104に密着する。本実施形態では、ノズル本体2が上方から圧力を受ける物体の形状、つまりポート101の下向き面104の傾斜角度に応じて傾動支持部3の弾性支持部材33が弾性変形してノズル本体2全体が傾動する。また、本実施形態のパージノズルユニット1では、ノズル本体2を基準姿勢にした状態で形成されるノズル本体2の鍔部27と傾動支持部3の側壁32との空間S2、ノズル本体2の胴部21と傾動支持部3の内方突出部34との空間S3により、ノズル本体2の首振り動作をスムーズに行うことができる。
【0060】
このように、本実施形態に係るパージノズルユニット1は、ノズル本体2を傾動支持部3の弾性支持部材33で弾性支持し、ポート101の下向き面104の傾斜角度に応じてノズル本体2を傾動可能に構成することによって、正確な水平度が確保されているポート101の下向き面104に対してノズル本体2の上端部(ポート接触部25)を密着させることができることはもちろんのこと、
図5に示すように、正確な水平度が確保されていないポート101の下向き面104に対してもノズル本体2の上端部(ポート接触部25)を確実に密着させることができる。それにより、パージノズルユニット1のパージ用気体流路23から供給されるパージ用気体がパージノズルユニット1とポート101の隙間からFOUP100外に漏れる事態を防止することができ、ノズル本体2の上端部(ポート接触部25)をポート101の傾斜した下向き面104に密着させることができない構成と比較して、パージ処理効率の向上及びパージ処理に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0061】
次に、上述の各実施形態とは異なる実施形態(以下、第3実施形態と称する)に係るパージノズルユニット1について、
図6を参照しながら説明する。第1実施形態と同じ構成または準じた構成を採用している部材や部分については説明を省略する。また、
図6では、第1実施形態と同じ構成または準じた構成を採用している部材や部分には同じ符号を付している。
【0062】
第3実施形態に係る各パージノズルユニット1は、
図6に示すように、ノズル本体2と、ノズル本体2を傾動可能に支持する傾動支持部3と、ノズル本体2及び傾動支持部3を相互に組み付けてなるピストンユニット5を昇降移動可能に支持するホルダ6(シリンダー外筒)とを備えたものである。このパージノズルユニット1は、パージ装置Pを構成するものである点及びロードポートXに適用可能な点は上述した各実施形態に係るパージノズルユニットと同様である。
【0063】
ノズル本体2は、ポート接触部25を有するノズル頭部28(ポート受け部28)を上端部に設け、球面部22を下端部に設け、ポート受け部28と球面部22の間に胴部21を設けたものである。ノズル本体2の軸心部分には、下方から上方へ向かうパージ用気体供給方向Aに沿って延伸するパージ用気体流路23を形成している。
【0064】
傾動支持部3は、ノズル本体2の球面部22を支持する球面軸受部31を内向き面に周回して設けた側壁32を備え、さらに、球面軸受部31よりも下端側の領域に、側壁32の外径よりも小さい外径を有する小径筒状部35と、小径筒状部35の一部から側方に突出し且つ側壁32の外径と同じ外径を有する側方突出部36とを設けたものである。側方突出部36の外周面には後述するホルダ6の側壁61に接触するシール部材7を取り付けている。傾動支持部3の軸心部分には高さ方向に貫通するパージ用気体流路37を形成し、このパージ用気体流路37における下方に開口した下端部分が、パージ用気体供給源V1に配管Hを介して接続される通気孔38として機能している。なお、パージ用気体流路37が下方に開口していない有底筒状のものである場合には、パージ用気体流路37のうち下端領域側の側面に、小径筒状部35を厚み方向に貫通する孔を形成し、その孔を通気孔として機能させればよい。本実施形態では、通気孔38に配管Hを接続し、この配管H及び通気孔38を通じてパージ用気体をパージ用気体流路37内に注入可能に構成している。
【0065】
ノズル本体2の球面部22を傾動支持部3の球面軸受部31に支持させた状態でノズル本体2及び傾動支持部3を相互に組み付けたピストンユニット5では、ノズル本体2の内部に形成したパージ用気体流路23と、傾動支持部3の内部に形成したパージ用気体流路37が連通し、これらパージ用気体流路23,パージ用気体流路37の延伸方向が鉛直方向と一致する基準姿勢(
図6参照)にあるノズル本体2を、相互に一致する球面部22及び球面軸受部31の中心を揺動中心として傾動(首振り動作)可能に構成している。
【0066】
本実施形態のパージノズルユニット1では、ノズル本体2の胴部21のうち上端側領域及びノズル頭部28が傾動支持部3の上向き面よりも上方に突出し、径方向Cに対面するノズル本体2の胴部21と傾動支持部3の一部との間に、ノズル本体2の傾動を許容する空間S4を形成している。また、本実施形態では、傾動支持部3のパージ用気体流路37の開口径を、ノズル本体2のパージ用気体流路23の開口径よりも大きく設定し、ノズル本体2が傾動支持部3に対して傾動した場合にも、傾動支持部3のパージ用気体流路37及びノズル本体2のパージ用気体流路23同士の連通状態を確保できるように構成している。
【0067】
ホルダ6は、ノズル本体2の球面軸受部31の外向き面(外周面)及び側方突出部36の外向き面(外周面)が添接する側壁61と、側壁61の下端部から内方(中心側)に突出して傾動支持部3のうち小径筒状部35のみが挿通可能な貫通孔62を中央部に形成した底壁63とを有するものである。このようなホルダ6の側壁61には、外部に連通する通気路(下側の通気路64、上側の通気路65)を形成している。本実施形態では、高さ方向に異なる位置に2つの通気孔路通気路64,通気路65を形成している。また、底壁63に形成した貫通孔62の内向き面には、傾動支持部3の小径筒状部35に接触するシール部材7を取り付けている。
【0068】
このようなホルダ6にピストンユニット5を組み付けてなる本実施形態のパージノズルユニット1は、ピストンユニット5をホルダ6に保持させた状態において、傾動支持部3の側方突出部36の外向き面(外周面)が、傾動支持部3の側壁32と同様にホルダ6の側壁61に添接するように構成している。
【0069】
また、本実施形態に係るパージノズルユニット1は、ノズル本体2をホルダ6に対して昇降移動させる駆動源として気体(加圧空気)を適用している。そして、ピストンユニット5とホルダ6との間に形成される空間であって且つホルダ6の側壁61に形成した2つの通気路(上側の通気路65、下側の通気路64)を通じて気体が流通可能な空間である2つの圧力調整空間(下側の圧力調整空間S5、上側の圧力調整空間S6)の圧力を相対変化させることでピストンユニット5をホルダ6に対して昇降移動させるように構成している。
【0070】
具体的に、下側の圧力調整空間S5は、傾動支持部3の小径筒状部35及び側方突出部36とホルダ6の側壁61及び底壁63とによって仕切られた空間であり、上側の圧力調整空間S6は、傾動支持部3の側方突出部36、小径筒状部35、側壁32及びホルダ6の側壁61とによって仕切られた空間である。本実施形態では、傾動支持部3の側壁32とホルダ6の側壁61との間、傾動支持部3の側方突出部36とホルダ6の側壁61との間、及び傾動支持部3の小径筒状部35とホルダ6の底壁63との間にそれぞれシール部材7を介在させることで、各圧力調整空間(下側の圧力調整空間S5、上側の圧力調整空間S6)の高い気密性を確保している。
【0071】
そして、本実施形態に係るパージノズルユニット1は、各通気路(下側の通気路64、上側の通気路65)にそれぞれ個別の配管(下側配管Ha、上側配管Hb)を接続し、下側配管Ha及び下側の通気路64を通じて下側の圧力調整空間S5内に気体を圧力注入すると同時に、上側配管Hb及び上側の通気路65を通じて上側の圧力調整空間S6内の気体を外部に解放することで下側の圧力調整空間S5の圧力を上側の圧力調整空間S6の圧力よりも高くする状態(第1圧力調整状態)と、上側配管Hb及び上側の通気路65を通じて上側の圧力調整空間S6内に気体を圧力注入すると同時に、下側配管Ha及び下側の通気路64を通じて下側の圧力調整空間S5内の気体を外部に解放することで上側の圧力調整空間S6の圧力を下側の圧力調整空間S5の圧力よりも高くする状態(第2圧力調整状態)とに切替可能な切替部8(例えば電磁弁(ソレノイドバルブ))の作動を制御することによって、ピストンユニット5がホルダ6に対して昇降移動するように構成している。なお、切替部8には、気体供給源V2を接続している。
【0072】
本実施形態では、第1圧力調整状態に設定することで、ピストンユニット5を
図6に示す位置、すなわちノズル本体2のポート接触部25がFOUP100のポート101に接触可能なパージ位置に位置付けることができ、第2圧力調整状態に設定することで、ノズル本体2を、ポート接触部25がFOUP100のポート101に接触しない待機位置(図示省略)に位置付けることができる。
【0073】
また、ピストンユニット5の昇降移動時には、傾動支持部3のうち側壁32の外向き面及び側方突出部36の外向き面がホルダ6のうち側壁61の内向き面に摺接するとともに、傾動支持部3のうち小径筒状部35の外向き面がホルダ6の底壁63に形成した貫通孔62の内向き面に摺接するように構成し、ピストンユニット5の昇降移動をスムーズ且つ適切に行えるようにしている。
【0074】
以上に詳述した本実施形態に係るパージノズルユニット1は、ユニット化した状態でロードポートXの載置台Bにおける複数の所定箇所(本実施形態では載置台Bの四隅近傍)に取り付けることで、載置台B上に載置されるFOUP100内の気体雰囲気をパージ用気体に置換可能なパージ装置Pとして機能する。なお、載置台Bに対するパージノズルユニット1の取付処理は、ネジなどの適宜の固定具を用いて載置台Bの所定箇所に固定することで実現できる。この固定状態において、ホルダ6の上向き面が載置台Bの上向き面とほぼ同じレベルとなるように設定している。
【0075】
これら複数のパージノズルユニット1は、FOUP100の底面に設けたポート101の位置に応じて載置台B上の適宜位置に取り付けることができる。
【0076】
次に、このような構成をなすパージノズルユニット1を載置台Bに実装したロードポートXの使用方法及び作用について説明する。
【0077】
先ず、図示しないOHT等の搬送装置によりFOUP100がロードポートXに搬送され、載置台B上に載置される。この際、切替部8を第2圧力調整状態に設定しておくことで、ピストンユニット5を待機位置に位置付けることができ、位置決め用突起B1がFOUP100の位置決め用凹部に嵌まって接触することによってFOUP100を載置台B上の所定の正規位置に載置することができる。また、着座センサB2によりFOUP100が載置台B上の正規位置に載置されたことを検出する。この時点では、ピストンユニット5は待機位置にあるため、ポート101に接触することはない。すなわち、ピストンユニット5の待機位置は、位置決め用凹部に位置決め用突起B1が係合してFOUP100が載置台B上に載置された状態において、ピストンユニット5の上端(ポート接触部25)がFOUP100に設けたポート101の下端よりも低くなる位置である。
【0078】
そして、本実施形態のロードポートXは、着座センサB2によりFOUP100の正規の着座状態を検出した後、切替部8を第2圧力調整状態から第1圧力調整状態に切り替えて、ピストンユニット5を待機位置からパージ位置へ上昇移動させる。すなわち、ホルダ6の側壁61に形成した下側の通気路64及びこの下側の通気路64に接続している下側配管Haを通じて下側の圧力調整空間S5内に気体を注入して下側の圧力調整空間S5の圧力を上げるとともに、上側の通気路65及びこの上側の通気路65に接続している上側配管Hbを通じて上側の圧力調整空間S6内の気体を外部に排出して、下側の圧力調整空間S5の圧力を上側の圧力調整空間S6の圧力よりも高くすることによって、ピストンユニット5をホルダ6に対して上昇移動させる。
【0079】
その結果、ピストンユニット5のうちノズル本体2のポート接触部25がポート101の下向き面104に接触し、ポート101の内部空間103とノズル本体2のパージ用気体流路23及び傾動支持部3のパージ用気体流路37が連通する。この状態で、本実施形態のロードポートXは、パージ用気体供給源V1から供給されるパージ用気体を、配管H、傾動支持部3のパージ用気体流路37、ノズル本体2のパージ用気体流路23及びポート101の内部空間103を通じてFOUP100内に注入し、FOUP100内に充満していた気体を排出用ポート及び排出用パージノズルユニットを通じてFOUP100外へ排出する。なお、排出処理を注入処理よりも先に開始してFOUP100内のエアをある程度FOUP100外へ排出してFOUP100内を減圧した状態で注入処理を行うようにしてもよい。
【0080】
以上のようなパージ処理を行った後、あるいはパージ処理中におけるロードポートXの動作は、上述の第1実施形態に準じたものであり、詳細な説明は省略する。
【0081】
半導体製造処理工程を終えたウェーハが収納されているFOUP100を搬送機構に受け渡す際、または受け渡した後の所定のタイミングで、切替部8を第2圧力調整状態から第1圧力調整状態に切り替えて、ピストンユニット5をパージ位置から待機位置へ下降移動させる。すなわち、ホルダ6の側壁61に形成した上側の通気路65及びこの上側の通気路65に接続している上側配管Hbを通じて上側の圧力調整空間S6内に気体を注入して上側の圧力調整空間S6の圧力を上げるとともに、下側の通気路64及びこの下側の通気路64に接続している下側配管Haを通じて下側の圧力調整空間S5内の気体を外部に排出して、上側の圧力調整空間S6の圧力を下側の圧力調整空間S5の圧力よりも高くすることによって、ピストンユニット5をホルダ6に対して下降移動させる。その結果、未処理のウェーハが収納されているFOUP100を搬送機構から載置台B上に受け取る際に、ピストンユニット5がFOUP100の下向き面に干渉する事態を防止することができる。
【0082】
このように、ピストンユニット5及びホルダ6をユニット化してなる本実施形態のパージノズルユニット1は、ピストンユニット5とホルダ6の間に形成される2つの圧力調整空間S5,S6の圧力差を、ホルダ6の側壁61に形成した通気路64,65を通じて調整することによって、ピストンユニット5をホルダ6に対して昇降移動させるように構成している。したがって、例えば複数本のシリンダを同時に伸縮させることでピストンユニット5を昇降移動させる態様と比較して、シリンダを同時に伸縮させる制御が不要であり、2つの圧力調整空間S5,S6内の相対的な圧力差を調整する簡単な制御でピストンユニット5の精度の高い昇降移動を実現でき、信頼性が向上する。特に、本実施形態に係るパージノズルユニット1は、各圧力調整空間(下側の圧力調整空間S5、上側の圧力調整空間S6)内を真空引き状態にする必要がないため、負圧源(バキューム源)が不要である点で有利である。
【0083】
そして、本実施形態におけるパージノズルユニット1は、ノズル本体2全体を首振り動作可能に設定し、ポート101の下向き面104の角度に追従して傾動支持部3に対するノズル本体2の相対組付角度を変更できるように構成している。
【0084】
したがって、ポート101の下向き面104がFOUP100の底面に対して傾いている場合であってもその傾斜角度に応じてノズル本体2が、傾動支持部3に対して傾動して、上端部を構成するポート接触部25全体が、ポート101の下向き面104に密着する。本実施形態では、ノズル本体2の球面部22を支持する球面軸受部31の中心を支点(揺動中心)としてノズル本体2全体が、上方から圧力を受ける物体の形状、つまりポート101の下向き面104の傾斜角度に応じて傾動する。また、本実施形態のパージノズルユニット1では、ノズル本体2を基準姿勢にした状態で形成されるノズル本体2の胴部21と傾動支持部3との空間S4により、ノズル本体2の首振り動作をスムーズに行うことができる。
【0085】
このように、本実施形態に係るパージノズルユニット1は、ノズル本体2の球面部22を傾動支持部3の球面軸受部31で支持し、ポート101の下向き面104の傾斜角度に応じてノズル本体2を傾動可能に構成することによって、正確な水平度が確保されているポート101の下向き面104に対してノズル本体2の上端部(ポート接触部25)を密着させることができることはもちろんのこと、正確な水平度が確保されていないポート101の下向き面104に対してもノズル本体2の上端部(ポート接触部25)を自動的に密着させることができる。それにより、パージノズルユニット1のパージ用気体流路37,パージ用気体流路23から供給されるパージ用気体がパージノズルユニット1とポート101の隙間からFOUP100外に漏れる事態を防止することができ、ノズル本体2の上端部(ポート接触部25)をポート101の傾斜した下向き面104に密着させることができない構成と比較して、パージ処理効率の向上及びパージ処理に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0086】
次に、ノズル本体2及び傾動支持部3を相互に組み付けたピストンユニット5をホルダ6に対して昇降移動可能に構成したパージノズルユニットの他の実施形態(以下、第4実施形態と称する)について、
図7を参照しながら説明する。なお、上記各実施形態と同じ構成または準じた構成を採用している部材や部分については説明を省略する。また、
図7では、第2実施形態と同じ構成または準じた構成を採用している部材や部分には同じ符号を付している。
【0087】
第4実施形態に係るパージノズルユニット1は、
図7に示すように、ノズル本体2と、ノズル本体2を傾動可能に支持する傾動支持部3とを備えたものであり、ノズル本体2を弾性支持する弾性支持部材33を用いて傾動支持部3を構成している点で第3実施形態のパージノズルユニットとは異なる。
【0088】
ノズル本体2は、円筒状をなす胴部21の上端部に、ポート接触部25を有するノズル頭部28を設け、円筒状をなす胴部21の下端部に側方に張り出した抜止部29を設けたものである。ノズル本体2の軸心部分には、パージ用気体供給方向Aに沿って延伸するパージ用気体流路23を形成している。
【0089】
傾動支持部3は、ノズル本体2の胴部21の外径よりも所定寸法大きく設定した内径を有する側壁32と、側壁32のうち所定の高さ位置から内方に突出してノズル頭部28と高さ方向に対向する内方突出部34と、ノズル頭部28と内方突出部34との間に配置した弾性支持部材33とを備えたものであり、さらに、側壁32の下端から内方に突出した第2内方突出部39よりも下端側の領域に、側壁32の外径よりも小さい外径を有する小径筒状部35と、小径筒状部35の一部から側方に突出し且つ側壁32の外径と同じ外径を有する側方突出部36を設けたものである。
【0090】
本実施形態では、弾性支持部材33として、ノズル本体2の胴部21を周回するコイルバネを適用している。
【0091】
このような弾性支持部材33によってノズル頭部28、ひいてはノズル本体2を弾性支持した状態でノズル本体2及び傾動支持部3をユニット化したピストンユニット5は、ノズル本体2の内部に形成したパージ用気体流路23と、傾動支持部3の内部に形成したパージ用気体流路37が、ノズル本体2の抜止部29と傾動支持部3の第2内方突出部39及び側壁32によって仕切られ得る中継空間S7を介して連通し、これらパージ用気体流路23,パージ用気体流路37の延伸方向が鉛直方向と一致する基準姿勢にあるノズル本体2を、弾性支持部材33の弾性変形により傾動(首振り動作)可能に構成している。本実施形態のパージノズルユニット1では、ノズル本体2の胴部21のうち上端側領域及びノズル頭部28が傾動支持部3の上向き面よりも上方に突出し、径方向Cに対面するノズル本体2の胴部21と傾動支持部3の側壁32及び内方突出部34の内向き面との間や、ノズル本体2の抜止部29と傾動支持部3の側壁32との間に、ノズル本体2の傾動を許容する空間を形成している。また、本実施形態では、傾動支持部3のパージ用気体流路37の開口径を、ノズル本体2のパージ用気体流路23の開口径よりも大きく設定し、ノズル本体2が傾動支持部3に対して傾動した場合にも、傾動支持部3のパージ用気体流路37及びノズル本体2のパージ用気体流路23同士が、中継空間S7を介して連通する状態を確保できるように構成している。
【0092】
このようなピストンユニット5を昇降移動可能に支持するホルダ6の構造、及びピストンユニット5を昇降移動させる構成、及びそれらによって得られる作用効果は第3実施形態における構成や作用効果と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0093】
本実施形態に係るパージノズルユニット1は、ユニット化した状態でロードポートXの載置台Bにおける複数の所定箇所(本実施形態では載置台Bの四隅近傍)に取り付けることで、載置台B上に載置されるFOUP100内の気体雰囲気をパージ用気体に置換可能なパージ装置Pとして機能する。なお、載置台Bに対する各パージノズルユニット1の取付処理は、ネジなどの適宜の固定具を用いて載置台Bの所定箇所に固定することで実現できる。この固定状態において、傾動支持部3の上向き面が載置台Bの上向き面とほぼ同じレベルとなるように設定している。
【0094】
そして、ノズル本体2を傾動支持部3に対して傾動可能に構成した本実施形態に係るパージノズルユニット1は、ポート101の下向き面104がFOUP100の底面に対して傾いている場合、その傾斜角度に応じてノズル本体2が、傾動支持部3に対して傾動して、上端部を構成するポート接触部25全体が、ポート101の下向き面104に密着する。本実施形態では、ノズル本体2が上方から圧力を受ける物体の形状、つまりポート101の下向き面104の傾斜角度に応じて傾動支持部3の弾性支持部材33が弾性変形してノズル本体2全体が傾動する。また、本実施形態のパージノズルユニット1では、ノズル本体2を基準姿勢にした状態で形成されるノズル本体2の胴部21と傾動支持部3の側壁32及び内方突出部34の内向き面との空間や、ノズル本体2の抜止部29と傾動支持部3の側壁32との空間により、ノズル本体2の首振り動作をスムーズに行うことができる。
【0095】
このように、本実施形態に係るパージノズルユニット1は、ノズル本体2を傾動支持部3の弾性支持部材33で弾性支持し、ポート101の下向き面104の傾斜角度に応じてノズル本体2を傾動可能に構成することによって、正確な水平度が確保されているポート101の下向き面104に対してノズル本体2の上端部(ポート接触部25)を密着させることができることはもちろんのこと、正確な水平度が確保されていないポート101の下向き面104に対してもノズル本体2の上端部(ポート接触部25)を自動的に密着させることができる。それにより、パージノズルユニット1のパージ用気体流路23から供給されるパージ用気体がパージノズルユニット1とポート101の隙間からFOUP100外に漏れる事態を防止することができ、ノズル本体2の上端部(ポート接触部25)をポート101の傾斜した下向き面104に密着させることができない構成と比較して、パージ処理効率の向上及びパージ処理に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0096】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、弾性支持部材を用いて傾動支持部を構成する場合、ノズル本体と傾動支持部の間に複数の弾性支持部材を配置してもよい。具体的には、ノズル本体の胴部の周囲に複数の弾性支持部材を所定ピッチで配置した態様を挙げることができる。このように複数の弾性支持部材を用いて傾動支持部を構成した場合、ノズル本体の上端部が上方から圧力を受けた場合に、各弾性支持部材の弾性変形量が均等ないし略均等な場合もあれば、弾性支持部材ごとに弾性変形量が異なる場合があり、後者の場合に、ノズル本体の少なくとも上端部分が傾動していることになる。
【0097】
また、ノズル本体を、ポートと接触し得るポート接触部を有するノズル頭部と、それ以外のパーツである本体部とから構成し、本体部に対してノズル頭部を適宜の手段で組付可能に構成することもできる。この場合、ノズル本体の本体部とノズル頭部とを別々のパーツから構成しているため、ノズル本体のうちポートと接触し得るポート接触部が、経年劣化や使用頻度に応じて摩耗損傷・変形した場合であっても、使用中のノズル頭部に替えて、新品のノズル頭部、あるいは摩耗損傷・変形していていない別のノズル頭部に交換することによって、ポートとの高い気密性を確保した良好な接触状態を確保することができる。
【0098】
また、ノズル本体が、ポートと接触し得る上端部を有するノズル頭部と、それ以外のパーツである本体部とを備えたものである場合、ノズル頭部と本体部を、例えば折りたたみ式の伸縮自在な部材(蛇腹状継手)やフレキシブル継手等の継手を介して接続し、傾動支持部がノズル頭部のみを傾動自在に支持するように構成してもよい。
【0099】
また、上述した第3・第4実施形態では、圧力調整空間の圧力を調整するために用いる気体として、パージ用気体とは異なる気体を例示したが、パージ用気体を併用(流用)することもできる。
【0100】
また、上述した第3・第4実施形態では、圧力調整空間と通気路を1対1の関係で形成した態様を例示したが、1つの圧力調整空間に連通する通気路を複数形成した構成を採用してもよい。ホルダにおける通気路の形成箇所は、圧力調整空間に連通する箇所であれば特に限定されることはなく、例えばホルダの底壁に形成することもできる。
【0101】
さらにはまた、ピストンユニットとホルダとの間に圧力調整空間を1つだけ形成し、その圧力調整空間内を加圧状態または減圧(負圧)状態にすることで、ピストンユニットを昇降移動可能に構成しても構わない。
【0102】
さらにまた、圧力調整空間の気密性を確保できる構成であれば、ピストンユニットとホルダの間にシール部材を介在させなくてもよい。
【0103】
また、上述した実施形態では、ホルダに対してピストンユニット全体を昇降移動させることで、パージノズルを所望の待機位置とパージ位置の間で変更可能に構成したが、パージノズル全体を昇降移動させることで待機位置とパージ位置の間で変更可能に構成することもできる。
【0104】
また、ホルダに対してノズル本体を昇降移動させる態様、またはパージノズル全体を昇降移動させる態様の何れにおいても、昇降移動させる駆動源として、パージ用気体以外の気体や流体を適用したり、或いはメカニカルな駆動機構を適用してもよい。
【0105】
さらには、エアシリンダ等のメカニカルな駆動機構によってパージノズルユニットを待機位置とパージ位置の間で移動をさせる構成を採用してもよい。
【0106】
また、上述した実施形態では、パージ対象容器としてFOUPを例示したが、他の容器(キャリア)であってもよく、パージ対象容器内に収容される被収容体も、ウェーハに限らず、表示デバイスや光電変換デバイスなどに用いられるガラス基板であっても構わない。
【0107】
また、パージ装置を、ロードポート以外のもの、例えばパージ対象容器を保管するストッカーや、パージ専用ステーションに適用することもできる。
【0108】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。