特許第6135219号(P6135219)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6135219電解液およびこれを備えるリチウムイオン二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6135219
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】電解液およびこれを備えるリチウムイオン二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0568 20100101AFI20170522BHJP
   H01M 10/0567 20100101ALI20170522BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20170522BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20170522BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20170522BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20170522BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20170522BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   H01M10/0568
   H01M10/0567
   H01M10/0569
   H01M10/052
   H01M4/36 E
   H01M4/505
   H01M4/525
   H01M4/62 Z
【請求項の数】1
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-55194(P2013-55194)
(22)【出願日】2013年3月18日
(65)【公開番号】特開2014-182889(P2014-182889A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2015年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友哉
(72)【発明者】
【氏名】三好 学
(72)【発明者】
【氏名】水野 佳世
(72)【発明者】
【氏名】篠田 英明
(72)【発明者】
【氏名】阿部 徹
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 浩平
(72)【発明者】
【氏名】合田 信弘
(72)【発明者】
【氏名】阿部 友邦
(72)【発明者】
【氏名】島 晃子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 希世奈
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 昭裕
【審査官】 渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−034334(JP,A)
【文献】 特開2009−123465(JP,A)
【文献】 特開2008−097954(JP,A)
【文献】 特開2007−317655(JP,A)
【文献】 特開2011−103290(JP,A)
【文献】 特開2014−011023(JP,A)
【文献】 特開2014−067635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0568
H01M 10/0567
H01M 10/0569
H01M 4/48
H01M 4/587
H01M 4/36
H01M 4/505
H01M 4/525
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極活物質としてケイ素酸化物及び黒鉛、導電助剤としてアセチレンブラック、並びに、結着剤としてポリアミドイミドを有する負極と、正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3にMgを加えた複合酸化物、導電助剤としてアセチレンブラック、及び、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを有する正極と、電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池であって、
前記電解液が、フルオロエチレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジメチルカーボネートを体積比4:26:30:40で混合した混合溶媒と、1mol/Lの濃度のLiPFと、0.05mol/Lの濃度のリチウムビス(オキサレート)ボレートとを含み、
R5−O−CO−O−R6(R5、R6は炭素数が13以上20以下の範囲内のノルマルアルキル基を表し、それらは互いに同一でもよいし異なってもよい。)で表される鎖状炭酸エステル、フッ化ケイ素化合物又は1,3−プロパンスルトンを含まないことを特徴とするリチウムイオン二次電池(ただし、ニッケル及び/又はマンガンの酸化物でコバルト酸リチウムの表面を被覆した正極活物質を含むリチウムイオン二次電池を除く。)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリチウムイオン二次電池等の非水系二次電池に使用される電解液に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は小型で大容量であるため、携帯電話やノート型パソコンなどの種々の機器の電池として用いられている。リチウムイオン二次電池は、主な構成要素として、正極、負極及び電解液を備える。各電極は、活物質層及び活物質層が表面に結着した集電体を有する。正極に含まれる正極活物質層は、例えば、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物などのリチウム及び遷移金属の複合酸化物を含むのが一般的である。また、近年、負極に含まれる負極活物質について、ケイ素または錫を含む材料の使用が検討されている。
【0003】
リチウムイオン二次電池の充放電時には、負極活物質の表面に被膜が形成されることがある。この被膜の存在により、電解液と負極活物質の直接の接触が防止されるので、電解液の劣化が抑えられる。しかし、リチウムイオン二次電池の充放電時にはリチウムイオンの吸蔵又は放出に伴う負極活物質の体積変化が生じるため、負極活物質の体積変化により被膜に亀裂が発生する場合がある。被膜に亀裂が生じると、電解液が負極活物質と直接接触して電解液が劣化し、その結果、充放電サイクル特性(以下、単に「サイクル特性」という。)が低下するおそれがある。
【0004】
近年、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を改善する目的で、電解液に対する種々の検討が為されている。例えば、特許文献1には、1,3−プロパンスルトン及びフルオロエチレンカーボネート(以下、「FEC」という場合がある。)をいずれも0.1〜3質量%含む電解液が開示されている。また、特許文献2には、フッ化ケイ素化合物及びフルオロエチレンカーボネートを含む電解液が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−049114号公報
【特許文献2】特開2010−238506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リチウムイオン二次電池のサイクル特性の改善に対する要望は高く、より優れたサイクル特性を示すリチウムイオン二次電池が切望されている。本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、優れたサイクル特性を示すリチウムイオン二次電池が得られる電解液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者はリチウムイオン二次電池に用いられる電解液について鋭意検討を重ねた。そして、多くの試行錯誤の結果、特定の成分を特定の配合量で含む電解液を用いたリチウムイオン二次電池が優れたサイクル特性を示すことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明は、含フッ素環状カーボネートを含む非水系溶媒と電解質とを含む電解液であって、前記非水系溶媒100体積%に対し前記含フッ素環状カーボネートを1〜7体積%で含み、下記一般式(1)で表される硼酸リチウム塩の一種以上を0mol/Lを越え0.1mol/L以下の濃度で含み、フッ化ケイ素化合物又は1,3−プロパンスルトンを含まないことを特徴とする。
【0009】
【化1】
【0010】
一般式(1)においてRおよびRは、それぞれ独立に下記一般式(1−1)〜(1−6)のいずれかで表される。
【0011】
【化2】
【0012】
一般式(1−1)〜(1−6)において、X01〜X18は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、ハロゲンまたはハロゲン化アルキル基である。
【0013】
FECなどの含フッ素環状カーボネートは電解液の成分の中でも比較的還元分解されやすい成分である。このため、FECを含む電解液を用いたリチウムイオン二次電池で充放電を行うと、負極活物質表面や正極活物質表面にFECの分解生成物を含む固体電解質界面被膜(SEI(Solid Electrolyte Interface)膜)が形成されやすい。例えば、FEC由来の被膜が形成されることにより、さらなる電解液と活物質の直接接触が防止される。そうすると、電解液中の電解質や他の溶媒が分解されにくくなり電解液の劣化が防止されるため、その結果、リチウムイオン二次電池のサイクル特性が維持されると考えられる。
【0014】
FEC由来の被膜は負極活物質表面全体に薄く形成される。FEC由来の被膜は薄いので、リチウムイオンの吸蔵又は放出に伴う負極活物質の体積変化に柔軟に追従しやすく、安定に存在できる。そのため、リチウムイオン二次電池の充放電が繰り返されても、負極活物質と電解液との直接接触が長期に渡って抑えられ、電解液の劣化が抑制される。また、形成される被膜は薄いため、被膜形成に伴う負極の電気抵抗の上昇を低く抑えることができる。
【0015】
正極活物質表面においても、負極と同様の現象が生じ、電解液の劣化を抑制するとともに、正極の電気抵抗の上昇を低く抑えることができる。
【0016】
上記の硼酸リチウム塩は還元分解されやすい。このため、硼酸リチウム塩を含む電解液を備えるリチウム二次電池の稼働中に硼酸リチウム塩は還元分解される。そして、負極活物質や正極活物質の表面全体に、硼酸リチウム塩由来の薄く安定な被膜が形成される。そうすると、硼酸リチウム塩由来の被膜も、FECなどの含フッ素環状カーボネート由来の被膜と同様の作用を有するといえる。
【0017】
本発明の電解液は含フッ素環状カーボネートと上記特定の硼酸リチウム塩を併せて含むので、リチウムイオン二次電池の電解液として使用された場合に広い温度域においてサイクル特性が改善される。そのため、電解液に特許文献1、2に記載されているフッ化ケイ素化合物や1,3−プロパンスルトンを用いる必要はない。
【発明の効果】
【0018】
本発明の電解液を用いたリチウムイオン二次電池は優れたサイクル特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の電解液を実施するための形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「a〜b」は、下限aおよび上限bをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに数値範囲内から任意に選択した数値を上限、下限の数値とすることができる。
【0020】
本発明の電解液は、含フッ素環状カーボネートを含む非水系溶媒と電解質とを含む電解液であって、前記非水系溶媒100体積%に対し前記含フッ素環状カーボネートを1〜7体積%で含み、下記一般式(1)で表される硼酸リチウム塩の一種以上を0mol/Lを越え0.1mol/L以下の濃度で含み、フッ化ケイ素化合物又は1,3−プロパンスルトンを含まないことを特徴とする。
【0021】
【化1】
【0022】
一般式(1)においてRおよびRは、それぞれ独立に下記一般式(1−1)〜(1−6)のいずれかで表される。
【0023】
【化2】
【0024】
一般式(1−1)〜(1−6)において、X01〜X18は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、ハロゲンまたはハロゲン化アルキル基である。
【0025】
含フッ素環状カーボネートは少なくとも1つのフッ素を含有している環状カーボネートであれば特に制限はない。含フッ素環状カーボネートはフッ素以外のハロゲンを含有してもよいが、下記の一般式(2)で表されるものが好ましい。
【0026】
【化3】
【0027】
(一般式(2)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、フッ素あるいはフッ化アルキル基であり、R〜Rのうちの少なくとも1つはフッ素またはフッ化アルキル基を表す)
〜Rがアルキル基またはフッ化アルキル基である場合、それらの炭素数は1または2であるのが好ましい。特に好ましい含フッ素環状カーボネートは、環状構造を構成する1以上の炭素に少なくとも1つのフッ素が結合したものであり、具体的には、下記の式(2−I)〜(2−III)で表される。
【0028】
【化4】
【0029】
なかでも、水に対する安定性の観点から、式(2−I)で表される4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、すなわちフルオロエチレンカーボネート(以下、FECという場合がある。)が好ましい。
【0030】
非水系溶媒全体を100体積%としたときに、含フッ素環状カーボネートは非水系溶媒に1〜7体積%の範囲で含まれるのが好ましく、さらに3〜5体積%の範囲で含まれるのがより好ましい。含フッ素環状カーボネートの含有割合がこれらの範囲内にあれば二次電池のサイクル特性を好適に維持することができる。さらに、含フッ素環状カーボネートの含有割合がこれらの範囲内にあれば、非水系溶媒の粘性を低く抑えることができ、電解質イオンの移動が容易になるので、抵抗が増加することもなく二次電池容量を好適に維持することができる。
【0031】
非水系溶媒は含フッ素環状カーボネートとともに他の有機溶媒を含む。他の有機溶媒としては非プロトン性有機溶媒がよく、たとえば、環状カーボネート、鎖状カーボネート、エーテル類が好適であり、特に、数種類の溶媒を併用するのが好ましい。
【0032】
非水系溶媒全体を100体積%としたとき、環状カーボネートは非水系溶媒に0〜50体積%の範囲で含まれるのが好ましく、10〜40体積%の範囲で含まれるのがより好ましく、15〜35体積%の範囲で含まれるのが特に好ましい。
【0033】
非水系溶媒全体を100体積%としたとき、鎖状カーボネートは非水系溶媒に50〜99体積%の範囲で含まれるのが好ましく、60〜80体積%の範囲で含まれるのがより好ましく、65〜75体積%の範囲で含まれるのが特に好ましい。
【0034】
環状カーボネートが非水系溶媒に含まれると、非水系溶媒の導電率が高くなり電解液の導電性が向上するが、環状カーボネートの割合が高くなりすぎると非水系溶媒の粘性が高くなりイオンの移動が妨げられ、電解液の導電性がかえって悪くなる。
【0035】
鎖状カーボネートが非水系溶媒に含まれると、非水系溶媒の導電率はそれほど高くならないが、非水系溶媒の粘性は低く保たれる。そのため、非水系溶媒に環状カーボネートと鎖状カーボネートの両者をバランスよく配合することで、非水系溶媒の導電率をある程度高く、そして非水系溶媒の粘性を低く保つことができ、その結果、導電性に優れた電解液を調製できる。
【0036】
具体的な環状カーボネートを例示すると、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート(以下、ECという場合がある。)、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトンおよびガンマバレロラクトンが挙げられる。非水系溶媒には上記環状カーボネートを単独で用いても良いし、2種以上を用いても良い。
【0037】
具体的な鎖状カーボネートを例示すると、ジメチルカーボネート(以下、DMCという場合がある。)、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート(以下、EMCという場合がある。)、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステルおよび酢酸アルキルエステルが挙げられる。非水系溶媒には上記鎖状カーボネートを単独で用いても良いし、2種以上を用いても良い。
【0038】
また、非水系溶媒はエーテル類を含んでもよい。具体的なエーテル類を例示すると、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンが挙げられる。非水系溶媒へのエーテル類の配合割合は特に限定されないが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜配合することができる。
【0039】
本発明において特に好ましい非水系溶媒は、含フッ素環状カーボネート、EC、EMCおよびDMCの混合溶媒である。
【0040】
電解液は、電解質が非水系溶媒に溶解した溶液である。電解質は通常の非水系二次電池において電解質として作用することが知られているものであれば特に限定はないが、非水系溶媒に可溶なアルカリ金属フッ化物が好ましく、リチウムを含む塩が特に好ましい。具体的な電解質を例示すると、LiPF、LiBF、LiAsF、NaPF、NaBF、およびNaAsFが挙げられる。電解液には上記電解質を単独で用いても良いし、2種以上を用いても良い。電解質の電解液中の濃度は0.5〜1.7mol/L程度であればよい。
【0041】
本発明の電解液は下記一般式(1)で表される硼酸リチウム塩を含む。
【0042】
【化5】
【0043】
一般式(1)においてRおよびRは、それぞれ独立に下記一般式(1−1)〜(1−6)のいずれかで表される。
【0044】
【化6】
【0045】
一般式(1−1)〜(1−6)において、X01〜X18は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、ハロゲンまたはハロゲン化アルキル基である。
【0046】
硼酸リチウム塩は、一般式(1)で表されるように、中心元素として硼素を含み、硼素に酸素以外の元素が直接結合していない。また、硼酸リチウム塩は、一般式(1)で表されるように、硼素を共通とする二つの環構造、いわゆるスピロ環構造を有する。
【0047】
一般式(1−1)〜(1−6)において、アルキル基はC2n+1で表されるが、炭素数nは1〜4、1〜3さらには1または2が好ましい。ハロゲンおよびハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲンは、FまたはClが好ましく、特にFが好ましい。硼素を共通とする二つの環は、同じ化学構造であっても異なる化学構造であってもよいが、少なくとも一方の環が一般式(1−1)で表されるのが好ましい。硼酸リチウム塩を具体的に例示すると、下記の式(1−I)〜(1−X)で表される化合物が挙げられる。なかでも、一般式(1)においてRおよびRがいずれも一般式(1−1)で表されるリチウムビス(オキサレート)ボレート(式(1−I)に相当する。以下、LiBOBという場合がある。)が特に好ましい。硼酸リチウム塩として単独の化合物を用いても良いし、2種以上の化合物を併用しても良い。
【0048】
【化7】
【0049】
硼酸リチウム塩は電解液中に0mol/Lを越え0.1mol/L以下の濃度で含まれるのが好ましく、さらに0.02〜0.07mol/Lの濃度で含まれるのがより好ましい。硼酸リチウム塩の電解液中の濃度が0.1mol/Lを越えると電池の初期内部抵抗が増加するおそれがある。硼酸リチウム塩は還元分解されやすい化合物であり、その還元分解物は負極活物質および正極活物質の表面全体に形成される被膜成分となる。このため、硼酸リチウム塩が電解液に過剰に含まれると、被膜が厚くなり、活物質の電気抵抗増加を招く恐れがある。また、硼酸リチウム塩には還元分解されることにより二酸化炭素を発生するものがあるため、硼酸リチウム塩が電解液に過剰に含まれると二酸化炭素が多く発生し、その結果、二次電池のセルが変形する恐れがある。これらの理由から、硼酸リチウム塩の電解液中の濃度を0.1mol/L以下さらには0.07mol/L以下に抑えるとよい。硼酸リチウム塩が電解液中に少量でも存在すれば、二次電池の充放電におけるサイクル特性は改善される。
【0050】
以上説明した本発明の電解液は、各種二次電池の電解液として好適に使用することができる。特に、正極活物質としてリチウムと金属の複合酸化物、負極活物質としてケイ素を含むケイ素系材料を用いるリチウムイオン二次電池の電解液として用いられるのが好適である。
【0051】
以下に、上記本発明の電解液を用いたリチウムイオン二次電池を説明する。
【0052】
本発明のリチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵及び放出し得る負極活物質を有する負極と、リチウムイオンを吸蔵及び放出し得る正極活物質を有する正極と、上記本発明の電解液を備える。
【0053】
負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出し得る材料が使用可能である。したがって、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能である単体、合金または化合物であれば特に限定はない。たとえば、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Ti、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、SbおよびBiのうちの少なくとも一種を含む材料が挙げられる。具体的には、Cu−Sn合金、Co−Sn合金等の錫系材料、各種黒鉛などの炭素系材料、ケイ素単体、ケイ素単体と二酸化ケイ素に不均化するSiO(0.3≦x≦1.6)などのケイ素系材料が挙げられる。負極活物質として、これら材料の一種以上を使用することができる。特に、充放電に伴う体積変化が顕著なケイ素系材料を負極活物質として備える負極と本発明の電解液を組み合わせたリチウムイオン二次電池は、そのサイクル特性が顕著に向上する。
【0054】
ケイ素系材料は、ケイ素を含み、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能であれば特に限定はない。ケイ素系材料はケイ素および/またはケイ素化合物が好ましく、ケイ素単体と二酸化ケイ素に不均化するSiO(0.3≦x≦1.6)で表されるケイ素酸化物が特に好ましい。
【0055】
ケイ素酸化物はSi相とSiO相とを有することが好ましい。Si相はケイ素単体からなるLiイオンを吸蔵及び放出し得る相であり、Liイオンの吸蔵及び放出に伴って膨張及び収縮する。SiO相はSiOからなる相であり、Si相の膨張及び収縮を緩衝する役割を有する。SiO相でSi相を被覆したケイ素系材料が好ましい。さらには、微細化された複数のSi相をSiO相で被覆した被覆粒子が凝集して凝集体を形成しているとよい。この凝集体は、ケイ素系材料全体の体積変化を好適に抑制することができる。
【0056】
ケイ素系材料におけるSi相に対するSiO相の質量比は1〜3の範囲内であることが好ましい。質量比が1以上であれば、ケイ素系材料の膨張及び収縮が好適に緩和され、その結果、ケイ素系材料を含む負極活物質層にクラックが生じることを好適に抑制できる。質量比が3以下であれば、負極活物質でのSi相におけるLiイオンの吸蔵及び放出が阻害されることなく行われ、リチウムイオン二次電池の電気容量が高く維持できる。ケイ素系材料はSi相とSiO相のみから構成されていてもよい。また、負極活物質として、Si相とSiO相とを主成分とするケイ素系材料以外に公知の活物質を併用してもよい。
【0057】
SiO(0.3≦x≦1.6)で表されるケイ素酸化物の不均化は、加熱やミリングなどの方法にてエネルギーを与えることで進行する。ケイ素酸化物を加熱する場合、酸素不存在下、800℃以上の条件で行えば良い。具体的には、ケイ素酸化物を含む粉末を、真空またはアルゴンなどの不活性ガス充填により酸素不存在条件とし、800〜1200℃、1〜5時間処理を行うことにより、非結晶性のSiO相と結晶性のSi相の二相を含む酸化ケイ素粉末が得られる。ケイ素酸化物をミリングすると、ミリングのせん断応力エネルギーの一部が、ケイ素酸化物の固相界面の原子拡散に寄与することにより、SiO相とSi相が形成される。具体的には、真空またはアルゴンなどの不活性ガス充填により酸素不存在条件とし、ケイ素酸化物を含む粉末をボールミル、アトライタ、ジェットミル、振動ミル、高エネルギーボールミル等でミリングするとよい。ミリング後にさらに加熱処理を施すことで、ケイ素酸化物の不均化をさらに促進させてもよい。また、ケイ素酸化物を含む粉末は、黒鉛粉末などの炭素系材料とともにミリングされてもよい。
【0058】
負極は、集電体と、集電体の表面に結着させた負極活物質層を有する。
【0059】
集電体は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子高伝導体をいう。集電体としては、銀、銅、金、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。
【0060】
集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが10μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
【0061】
負極活物質層は負極活物質、並びに必要に応じて結着剤及び/又は導電助剤を含む。
【0062】
結着剤は活物質及び導電助剤を集電体の表面に繋ぎ止める役割を果たすものである。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂を例示することができる。負極活物質層中の結着剤の配合割合は、質量比で、負極活物質:結着剤=1:0.05〜1:0.5であるのが好ましい。結着剤が少なすぎると電極の成形性が低下し、また、結着剤が多すぎると電極のエネルギー密度が低くなるためである。
【0063】
導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。導電助剤としては、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber:VGCF)が例示される。これらの導電助剤を単独または二種以上組み合わせて活物質層に添加することができる。負極活物質層中の導電助剤の配合割合は、質量比で、負極活物質:導電助剤=1:0.01〜1:0.5であるのが好ましい。導電助剤が少なすぎると効率のよい導電パスを形成できず、また、導電助剤が多すぎると負極活物質層の成形性が悪くなるとともに電極のエネルギー密度が低くなるためである。
【0064】
リチウムイオン二次電池に用いられる正極は、リチウムイオンを吸蔵及び放出し得る正極活物質を有する。正極は、集電体と、集電体の表面に結着させた正極活物質層を有する。正極活物質層は正極活物質、並びに必要に応じて結着剤及び/又は導電助剤を含む。正極の集電体、結着剤および導電助剤は負極で説明したものと同様である。
【0065】
正極活物質としては、LiCoO、LiNiCoMn(0≦p≦1、0≦q≦1、0≦r≦1、p+q+r=1)、LiMnO、LiMnO、LiFePO、LiFeSOを基本組成とするリチウム含有金属酸化物あるいはそれぞれを1種または2種以上含む固溶体材料などが挙げられる。正極活物質として用いられるいずれの金属酸化物も上記の組成式を基本組成とすればよく、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換したものも使用可能であるし、Mgなどの他の金属元素を基本組成のものに加えて金属酸化物としてもよい。また、正極活物質として、充放電における電解質イオンとなるリチウムを含まない正極活物質材料、たとえば、硫黄単体(S)、ポリアクリロニトリル(PAN)などの有機化合物にSを導入した硫黄変性化合物やTiSなどの金属硫化物、ポリアニリン、共役二酢酸系有機物などを用いることもできる。リチウムを含まない正極活物質材料を用いる場合には、正極および/または負極に、公知の方法により、予め電解質イオンを添加させておく必要がある。
【0066】
集電体の表面に活物質層を形成させる方法には、ロールコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いて、集電体の表面に活物質を塗布すればよい。具体的には、活物質、並びに必要に応じて結着剤及び導電助剤を含む活物質層形成用組成物を調製し、この組成物に適当な溶剤を加えてペースト状にしてから、集電体の表面に塗布後、乾燥する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、メチルイソブチルケトンを例示できる。電極密度を高めるべく、乾燥後のものを圧縮しても良い。
【0067】
リチウムイオン二次電池には必要に応じてセパレータが用いられる。セパレータは、正極と負極とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン若しくはポリエチレンなどの合成樹脂を1種又は複数用いた多孔質膜、またはセラミックス製の多孔質膜が例示できる。
【0068】
正極および負極に必要に応じてセパレータを挟装させ電極体とする。正極の集電体および負極の集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までの間を、集電用リード等を用いて接続した後に、電極体に電解液を加えてリチウムイオン二次電池とするとよい。
【0069】
リチウムイオン二次電池の形状は特に限定されるものでなく、円筒型、積層型、コイン型、ラミネート型等、種々の形状を採用することができる。
【0070】
本発明のリチウムイオン二次電池は、電極に含まれる活物質の種類に適した電圧範囲で充放電を実行されればよい。本発明の電解液に含まれる含フッ素環状カーボネートおよび特定の硼酸リチウム塩は、1.6〜1.7V付近で活物質に被膜を形成する。そのため、Liの酸化還元電位を基準電位としたときに、本発明のリチウムイオン二次電池の充放電の電圧範囲を2V以上とすればよい。また、本発明のリチウムイオン二次電池は高電位駆動条件下でも好適にサイクル特性を維持できる。高電位駆動条件とは、リチウム金属に対するリチウムイオンの作動電位が4.3V以上、さらには4.5V〜5.5Vのことをいう。なお、一般的なリチウムイオン二次電池の駆動条件においては、リチウム金属に対するリチウムイオンの作動電位は4.3V未満である。
【0071】
本発明のリチウムイオン二次電池は室温はもちろん60℃付近の過酷な温度条件下でもサイクル特性を好適に維持することができる。
【0072】
リチウムイオン二次電池は、車両に搭載してもよい。車両は、その動力源の全部あるいは一部にリチウムイオン二次電池による電気エネルギーを使用している車両であればよく、たとえば、電気車両、ハイブリッド車両などであるとよい。車両にリチウムイオン二次電池を搭載する場合には、リチウムイオン二次電池を複数直列に接続して組電池とするとよい。リチウムイオン二次電池は、車両以外にも、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器などが挙げられる。
【0073】
以上、本発明の電解液およびリチウムイオン二次電池の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
【実施例】
【0074】
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。以下において、特に断らない限り、「部」とは質量部を意味し、「%」とは質量%を意味する。
【0075】
電解液の特性を評価するために、電解液の種類が異なるリチウムイオン二次電池を作製し、そのサイクル特性を測定した。
【0076】
電解液を以下のとおり調製した。
【0077】
非水系溶媒としてフルオロエチレンカーボネート(FEC)、環状カーボネートのエチレンカーボネート(EC)、鎖状カーボネートのエチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)を準備した。硼酸リチウム塩としてLiBOBを準備した。また、電解質としてLiPFを準備した。FEC、EC、EMC、DMCを所定の体積比で混合した非水系溶媒に、LiBOB、LiPFを溶解させて電解液を得た。各電解液の配合を表1に示す。電解液1〜3が本発明の電解液に相当する。
【0078】
【表1】
【0079】
リチウムイオン二次電池を以下のとおり製造した。
【0080】
負極活物質として、熱処理により不均化されたケイ素酸化物粉末(シグマアルドリッチジャパン株式会社製SiO(xは0.3〜1.6)、平均粒径5μm)および塊状人造黒鉛粉末(MAG:粒径20μm以下)の混合粉末を準備した。
【0081】
負極活物質としての上記のケイ素酸化物粉末および黒鉛粉末と、導電助剤としてのアセチレンブラックと、結着剤としてのポリアミドイミドを混合し、溶媒のN−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリー状の混合物を得た。ケイ素酸化物粉末、黒鉛粉末、アセチレンブラック及びポリアミドイミドの質量比は、ケイ素酸化物粉末/黒鉛粉末/アセチレンブラック/ポリアミドイミド=32/50/8/10であった。
【0082】
ドクターブレード法を用いて集電体である銅箔の片面に上記スラリー状の混合物を成膜し、これを所定の圧力でプレスした後、200℃、2時間加熱し、次いで放冷した。負極活物質を含む負極活物質層が集電体表面に固定された負極が製造された。
【0083】
次に、正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3100質量部にMgを2質量部加えた複合酸化物と、導電助剤としてのアセチレンブラックと、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデンを混合してスラリーとした。複合酸化物とアセチレンブラックとポリフッ化ビニリデンの質量比は複合酸化物/アセチレンブラック/ポリフッ化ビニリデン=94/3/3であった。
【0084】
ドクターブレード法を用いて集電体であるアルミニウム箔の片面に上記スラリー状の混合物を成膜し、これを所定の圧力でプレスした後、焼成した。正極活物質を含む正極活物質層が集電体表面に固定された正極が製造された。
【0085】
正極と負極との間に、セパレータとしてのポリプロピレン多孔質膜を挟み込んで電極体を製造し、そして、この電極体を複数積層した。2枚のアルミニウムフィルムの周囲(一部を除く)を熱溶着することにより封止して、袋状のアルミニウムフィルムとした。袋状のアルミニウムフィルムの中に、積層された電極体を入れ、さらに、各電解液を注入した。その後、真空引きしながら、袋状のアルミニウムフィルムの開口部分を封止した。このとき、袋状のアルミニウムフィルムの端縁部から正極および負極の集電体の先端を突出させ、集電体を外部端子に接続可能とした。
【0086】
このようにしてリチウムイオン二次電池を製造した。
【0087】
製造したリチウムイオン二次電池を用いてセル試験を行った。
【0088】
セル試験は以下のとおり実施した。リチウムイオン二次電池を25℃又は60℃で4.5V、1C、定電流で充電し、次いで同温度のまま2.5V、1C、定電流で放電する充放電を1サイクルとした。リチウムイオン二次電池に所定の回数のサイクルを実施した後に、室温で4.5V、1C、定電流定電圧で2.5時間充電し(フル充電)、次いで2.5V、1Cまたは1/3Cの速度で放電し、観察された放電量をリチウムイオン二次電池の容量とした。
【0089】
1サイクル後のセル試験の結果を初期容量とした。そして、所定の回数のサイクル後のセル試験の容量を初期容量で除した値の百分率(%)を容量維持率とした。
【0090】
結果を表2〜表7に示す。ただし、表3の電池4〜6については、リチウムイオン二次電池を60℃で4.32V、1C、定電流で充電し、次いで同温度のまま3.275V、1C、定電流で放電する充放電を1サイクルとした。
【0091】
【表2】
【0092】
【表3】
【0093】
【表4】
【0094】
【表5】
【0095】
【表6】
【0096】
【表7】
【0097】
表2の電池1〜3及び表3の電池4〜6はいずれも好適な容量維持率を示した。LiBOB濃度が0.05mol/Lの電解液2を用いた電池2及び5、並びにLiBOB濃度が0.07mol/Lの電解液3を用いた電池3及び6は、特に好適な容量維持率を示した。
【0098】
表4をみると、FECとLiBOBの両者を有する電池7は、LiBOBを有さない電池8、FECを有さない電池9と比較して、優れた容量維持率を示すことがわかる。
【0099】
表5をみると、セル試験の放電速度が1Cの条件では、FECとLiBOBの両者を有する電池10は、LiBOBを有さない電池11、FECを有さない電池12と比較して、同等の容量維持率であったものの、優れた初期容量とサイクル後の容量を有したことがわかる。
【0100】
表6及び表7をみると、FECとLiBOBの両者を有する電池13及び17は、LiBOBを有さない電池14及び18、FECを有さない電池15及び19、LiBOB及びFECを有さない電池16及び20と比較して、同等以上の初期容量、サイクル後の容量及び容量維持率を示すことがわかる。
【0101】
電池2の電解液を160MHzにて11B-NMR測定したところ、セル試験前の電解液ではLiBOB由来のピークを確認できたが、200サイクル後の電解液ではLiBOB由来のピークが消失していた。よって、リチウムイオン二次電池の充放電を繰り返すことにより、電解液中のLiBOBが分解することが裏付けられた。そして、LiBOB由来の硼素誘導体は、負極活物質又は正極活物質の表面に付着していると考えられる。
【0102】
本発明の有利な効果は、リチウムイオン二次電池の充放電を繰り返すことにより、FECなどの含フッ素環状カーボネート及びLiBOBなどの上記一般式(1)で表される硼酸リチウム塩が分解して負極活物質又は正極活物質の表面にSEIを形成することに因って奏されることが理解できる。