(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特に透析液の場合は、患者の治療に使用するものであるため、A原液やB原液をRO水に均一に混合させておかなければならない。また、透析液以外の分野においても、複数種の液体を均一に混合させたいという要求がある。
【0006】
そこで、複数種の液体を均一に混合するにあたり、例えばミキサー等を用いて長時間攪拌することが考えられるが、そのようにした場合には、均一に混合した液体を得るまでに時間を要するという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に開示されているようなスタティックミキサーを使用することが考えられるが、圧力損失が大きいという問題がある。また、スタティックミキサーを用いて均一に混合しようとした場合、攪拌体の数を増やす必要があり、その分、配管長が長くなるという問題もある。
【0008】
さらに、透析液の場合、透析に使用する前に、濃度センサ等でA原液やB原液の濃度を測定してA原液やB原液が一定の比率で混合しているか否かを判定し、比率が常に一定となるようにA原液及びB原液の量を制御する必要がある。このとき、A原液やB原液が均一に混合していないと、A原液やB原液の濃度測定結果に信頼性がなく、ひいては一定の比率で混合できないことが考えられる。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数種の液体を、圧力損失を抑え、かつ、コンパクトな配管を用いながら、短時間で均一に混合できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明では、液体の流れを混合室内で反転させることで乱し、これによって圧力損失を高めることなく混合を促進させるようにした。
【0011】
第1の発明は、第1の液体と第2の液体とを混合させる混合器において、
上記混合器は、混合室を有する第1混合部と、該第1混合部の上壁部から該第1混合部内に
向けて下方へ突出するように設けられ、第1の液体及び第2の液体を該第1混合部に流入させるための流入管と、該第1混合部の下壁部から該第1混合部内に
向けて上方へ突出するように設けられ、該第1混合部内の液体を流出させるための第1流出管とを備え、
上記第1流出管の上流側の開口部は、上記流入管の下流側の開口部よりも上方に位置付けられ
、
上記流入管は、互いに間隔をあけて複数本設けられ、
上記第1流出管の内径は上記各流入管の内径よりも大きく設定されていることを特徴としている。
【0012】
この構成によれば、第1の液体及び第2の液体が流入管から第1混合部に流入する。このとき、流入管が第1混合部の上壁部から突出しているので、第1の液体及び第2の液体の流れは下方へ向かう流れとなる。そして、第1流出管が第1混合部の下壁部から突出していて、第1流出管の開口部が流入管の開口部よりも上方に位置しているので、第1の液体及び第2の液体は第1混合部内で上方に向かう流れとなる。このように第1混合部内で第1の液体及び第2の液体の流れの方向が正反対になることで、流れに乱れが生じ、これにより、第1の液体及び第2の液体の混合が第1混合部内で促進される。
【0013】
従って、ねじれ羽状攪拌体を用いることなく第1の液体及び第2の液体を良好に混合することが可能になるので、スタティックミキサーに比べて圧力損失が少なくなるとともに、配管長も短くて済み、コンパクトになる。特に、液体を重力で落下させる場合に本発明の混合器を使用すると、圧力損失が少ないという利点がより一層顕著なものとなり、大流量を確保することも可能になる。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、
上記混合器は、上記第1混合部よりも下方に設けられ、該第1混合部で混合した第1の液体及び第2の液体の混合液と、第3の液体とを混合させるための混合室を有する第2混合部を備え、上記第1流出管の下流側は、上記第2混合部の上壁部から該第2混合部内に突出しており、
上記混合器は、上記第1流出管の中途部に設けられ、第3の液体を該第1流出管に流入させる第2透析液原液供給管と、上記第2混合部の下壁部から該第2混合部内に突出するように設けられ、該第2混合部内の液体を流出させるための第2流出管とを備え、
上記第2流出管の上流側の開口部は、上記第1流出管の下流側の開口部よりも上方に位置付けられていることを特徴としている。
【0015】
この構成によれば、第3の液体が第1流出管に流入する。第1流出管が第2混合部の上壁部から突出しているので、第1流出管から流出した第1の液体及び第2の液体の混合液と第3の液体の流れは下方へ向かう流れとなる。そして、第2流出管が第2混合部の下壁部から突出していて、第2流出管の開口部が第1流出管の開口部よりも上方に位置しているので、第1の液体及び第2の液体の混合液と第3の液体は第2混合部内で上方に向かう流れとなる。このように第2混合部内で第1〜第3の液体の流れの方向が反転することで、流れに乱れが生じ、これにより、第1の液体及び第2の液体の混合液と、第3の液体との混合が第2混合部内で促進される。
【0016】
第3の発明は、第1または2の発明において、
上記第1流出管の上流側の開口部は、上記第1混合部の水平方向中央部に配置され、
上記流入管の下流側の開口部は、上記第1流出管の上流側の開口部から上記水平方向に離れていることを特徴としている。
【0017】
この構成によれば、第1混合部の混合室内において、流入管の開口部から流入した第1の液体及び第2の液体の流れが第1混合部の中央部に向かう流れに変換される。これにより、流れがより一層乱れるので、第1の液体及び第2の液体の混合がより一層促進される。
【0018】
第4の発明は、第2の発明において、
上記第1流出管の下流側の開口部は、上記第2混合部の水平方向中央部に配置され、
上記第2流出管の上流側の開口部は、上記第1流出管の下流側の開口部から上記水平方向に離れていることを特徴としている。
【0019】
この構成によれば、第2混合部の混合室内に流入した第1〜第3の液体の流れが第2混合部の中央部から側部に向かう流れに変換される。これにより、流れがより一層乱れるので、第1〜第3の液体の混合がより一層促進される。
【0020】
第5の発明は、第1から4のいずれか1つの発明において、
上記第1の液体は水であり、上記第2の液体は透析液原液であることを特徴としている。
【0021】
この構成によれば、透析液原液が短時間で水に均一に混合するので、大量の透析液を短時間に生成することが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
第1の発明によれば、第1の液体と第2の液体の流れを第1混合部の混合室内で上下反転させて乱した後、混合室から流出させるようにしている。これにより、複数種の液体を、圧力損失を抑え、かつ、コンパクトな配管を用いながら、短時間で均一に混合できる。
【0023】
第2の発明によれば、少なくとも3種類の液体を短時間に均一に混合させることができる。
【0024】
第3の発明によれば、第1の液体及び第2の液体の流れが第1混合部の水平方向中央部に向かう流れとなるので、第1の液体及び第2の液体の混合をより一層促進させることができる。
【0025】
第4の発明によれば、第1〜第3の液体の流れが第2混合部の中央部から側部に向かう流れとなるので、第1〜第3の液体の混合をより一層促進させることができる。
【0026】
第5の発明によれば、第1の液体を水とし、第2の液体を透析液原液とすることで、大量の透析液を短時間に生成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係る混合器40を備えた透析液供給装置1の概略構成を示す図である。この透析液供給装置1は、RO装置100及び透析用監視装置(コンソール)101,101,…と共に血液透析システムAを構成している。血液透析システムAは、例えば、透析センター、透析クリニック、大規模な病院等に導入される。
【0030】
透析液供給装置1は、多数の透析用監視装置101に透析液を同時に供給することができるものである。透析用監視装置101は、図示しないが、血液ポンプやダイアライザー等を備えた従来周知のものであり、患者1人につき1台が使用されて血液透析治療を行うことができるように構成されている。また、透析用監視装置101は血液透析室に設置される。
【0031】
RO装置100は、RO水を精製できるものであれば特に限定されるものではなく、従来一般に構築されてきた血液透析システムにおいて使用されるRO装置を用いることができる。例えば、水道水に含まれる不純物を逆浸透法で除去することによりRO水を精製する装置である。このRO装置100は、透析液供給装置1と共に機械室等に設置される。
【0032】
透析液供給装置1は、透析液原液としてのA原液とB原液を一定の混合割合でRO水に混合して透析液を生成し、この生成した透析液を各透析用監視装置101に供給するように構成されている。
【0033】
透析液供給装置1は、大気開放された給水タンク(水タンク)10と、主ラインL1と、薬液ラインL2と、給水ラインL3と、給水ポンプP1と、薬液ラインポンプP2とを備えている。
【0034】
給水タンク10は、床面を基準として約1.5m〜2.0m程度の所定高さに配置されている。給水タンク10の内部には、仕切壁11が設けられている。この仕切壁11により、給水タンク10の内部は、RO水の水位を一定水位に保つための定水位部10aと、定水位部10aからオーバーフローしたRO水を受ける貯留部10bとに仕切られている。また、給水タンク10の上部には、RO水の排出管部12が設けられている。さらに、給水タンク10の内部には、図示しないが、水位を検出するための水位センサも設けられている。
【0035】
主ラインL1は、RO装置100の吐出部に接続されて給水タンク10に至る配管で構成されている。主ラインL1の上流端部には、透析液供給装置1の構成要素である遮断バルブV1が設けられている。この遮断バルブV1は、透析液供給装置1が有する制御装置20によって開閉制御される電動タイプのものであり、開状態ではRO装置100の吐出部と主ラインL1とが連通状態になる一方、閉状態ではRO装置100の吐出部と主ラインL1との連通を遮断するようになっている。
【0036】
主ラインL1の中途部は、第1分岐ラインL11と、第2分岐ラインL12とに分岐している。第1分岐ラインL11は、給水タンク10の貯留部10bに接続されている。第2分岐ラインL12は、給水タンク10の貯留部10bにおいて第1分岐ラインL11の接続部位から離れた部位に接続されている。従って、給水タンク10には、RO水が第1分岐ラインL11及び第2分岐ラインL12から流入する。
【0037】
第2分岐ラインL12の中途部には、透析液供給装置1の構成要素である脱気ポンプP3が設けられている。この脱気ポンプP3は、制御装置20により制御される。尚、脱気ポンプP3は省略してもよい。
【0038】
また、主ラインL1の第2分岐ラインL12には、排水ラインL13が接続されている。この排水ラインL13は、給水タンク10及び主ラインL1内のRO水、消毒液、酸洗浄液を排水するためのものである。排水ラインL13には、透析液供給装置1の構成要素である排水バルブV2が設けられている。この排水バルブV2は、遮断バルブV1と同様に制御装置20によって開閉制御され、開状態では排水状態になる一方、閉状態では排水を停止するようになっている。
【0039】
主ラインL1は、給水タンク10の貯留部10b内の液体を定水位部10aに送給するための送給ラインL14も有している。送給ラインL14の中途部には、給水ポンプP1が設けられている。給水ポンプP1は、制御装置20により制御される。
【0040】
薬液ラインL2は、主ラインL1の遮断バルブV1よりも下流側で、かつ、第1分岐ラインL11及び第2分岐ラインL12の分岐部よりも上流側に接続され、送給ラインL14に至る配管で構成されている。薬液ラインL2の上流端部には、透析液供給装置1の構成要素である第1薬液ラインバルブV3が設けられている。第1薬液ラインバルブV3は、遮断バルブV1と同様に制御装置20によって開閉制御され、開状態では薬液ラインL2の上流端と主ラインL1とが連通状態になる一方、閉状態では薬液ラインL2の上流端と主ラインL1との連通を遮断するようになっている。
【0041】
薬液ラインL2の下流端部には、透析液供給装置1の構成要素である第2薬液ラインバルブV4が設けられている。第2薬液ラインバルブV4は、遮断バルブV1と同様に制御装置20によって開閉制御され、開状態では薬液ラインL2の下流端と主ラインL1とが連通状態になる一方、閉状態では薬液ラインL2の下流端と主ラインL1との連通を遮断するようになっている。
【0042】
薬液ラインL2は、消毒液ラインL21と酸洗浄液ラインL22とを有している。消毒液ラインL21は、薬液ラインL2における第1薬液ラインバルブV3よりも下流側から分岐している。消毒液ラインL21の上流端部には、透析液供給装置1の構成要素である消毒液タンク31が接続されている。消毒液タンク31には、例えば次亜塩素酸ナトリウム等の薬液(消毒液)が貯留されている。消毒液はこれに限られるものではなく、各種消毒液を使用することができる。
【0043】
消毒液ラインL21の下流端部には、透析液供給装置1の構成要素である消毒液タンクバルブV5が設けられている。消毒液タンクバルブV5は、遮断バルブV1と同様に制御装置20によって開閉制御され、開状態では消毒液ラインL21の下流端が開放される一方、閉状態では消毒液ラインL21の下流端が閉塞されるようになっている。
【0044】
消毒液ラインL21には、透析液供給装置1の構成要素である消毒液ライン検出センサS1が設けられている。この消毒液ライン検出センサS1は、消毒液ラインL21の内部に空気が存在しているか否かを検出するためのものであり、周知のセンサを用いて構成することができる。すなわち、消毒液ラインL21の内部に空気が存在している場合には、消毒液ラインL21の内部に消毒液が存在しておらず、一方、消毒液ラインL21の内部に空気が存在していない場合には消毒液が存在しているとする。消毒液ライン検出センサS1は、制御装置20に接続されており、検出結果を出力する。
【0045】
酸洗浄液ラインL22は、薬液ラインL2における消毒液ラインL21よりも下流側から分岐している。酸洗浄液ラインL22の上流端部には、透析液供給装置1の構成要素である酸洗浄液タンク32が接続されている。酸洗浄液タンク32には、例えば酢酸等の薬液(酸洗浄液)が貯留されている。酸洗浄液はこれに限られるものではなく、各種酸洗浄液を使用することができる。
【0046】
酸洗浄液ラインL22の下流端部には、透析液供給装置1の構成要素である酸洗浄液タンクバルブV6が設けられている。酸洗浄液タンクバルブV6は、遮断バルブV1と同様に制御装置20によって開閉制御され、開状態では酸洗浄液ラインL22の下流端が開放される一方、閉状態では酸洗浄液ラインL22の下流端が閉塞されるようになっている。
【0047】
酸洗浄液ラインL22には、透析液供給装置1の構成要素である酸洗浄液ライン検出センサS2が設けられている。この酸洗浄液ライン検出センサS2は、酸洗浄液ラインL22の内部に空気が存在しているか否かを検出するためのものであり、消毒液ライン検出センサS1と同様に周知のセンサを用いて構成することができる。酸洗浄液ライン検出センサS2は、制御装置20に接続されており、検出結果を出力する。
【0048】
給水ラインL3は、透析液供給装置1が有する混合器40にRO水を供給するためのラインであり、給水タンク10の定水位部10aに接続されて混合器40に至る配管で構成されている。給水ラインL3の上流端部には、透析液供給装置1の構成要素である給水バルブV7が設けられている。給水バルブV7は、遮断バルブV1と同様に制御装置20によって開閉制御され、開状態では給水ラインL3の上流端が開放される一方、閉状態では給水ラインL3の上流端が閉塞されるようになっている。給水ラインL3の給水バルブV7よりも下流側には、流量計33が設けられている。流量計33は、制御装置20に接続されており、検出結果を出力する。
【0049】
給水ラインL3の下流側は、第1給水ラインL31と第2給水ラインL32とに分岐している。第1給水ラインL31と第2給水ラインL32とが混合器40に接続されている。
【0050】
透析液供給装置1は、A原液を貯留するA原液タンク(第2透析液原液供給手段)35と、B原液を貯留するB原液タンク(第1透析液原液供給手段)36を有している。A原液タンク35には、A原液として、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、無水酢酸ナトリウム、ブドウ糖等を含有する薬液がRO水の供給によって所定濃度となるまで薄められた状態で貯留されている。このA原液タンク35としては、上記成分を粉末状とした粉末剤をRO水で溶解してA原液を得るように構成された粉末型透析液原液溶解装置を用いることができる。
【0051】
A原液タンク35よりも下流側のラインには、透析液供給装置1の構成要素であるA原液注入ポンプP4が設けられている。A原液注入ポンプP4は、例えば定流量ポンプで構成することができ、制御装置20によって制御され、A原液タンク35のA原液を任意の流量で混合器40に供給することができるようになっている。
【0052】
B原液タンク36には、B原液として、例えば、炭酸水素ナトリウム等を含有する薬液がRO水の供給によって所定濃度となるまで薄められた状態で貯留されている。このB原液タンク36としては、上記粉末型透析液原液溶解装置を用いることができる。
【0053】
B原液タンク36よりも下流側のラインには、透析液供給装置1の構成要素であるB原液注入ポンプP5が設けられている。B原液注入ポンプP5は、例えば定流量ポンプで構成することができ、制御装置20によって制御され、B原液タンク36のB原液を任意の流量で混合器40に供給することができるようになっている。
【0054】
A原液注入ポンプP4及びB原液注入ポンプP5は、例えば、1L/min前後の小型ポンプを用いることができる。
【0055】
混合器40は、給水タンク10よりも下方に配置され、
図3に示すように全体として上下方向に延びる筒状をなしている。そして、混合器40は、給水タンク10から落差圧によって供給されたRO水にA原液及びB原液を均一に混合することができるように構成されている。
【0056】
すなわち、混合器40は、RO水(第1の液体)とB原液(第2の液体)とを混合させるための上側混合部(第1混合部)41と、上側混合部41で混合した水及びB原液と、A原液(第3の液体)とを混合させるための下側混合部(第2混合部)42と、上側混合部41に液体を流入させるための一対の流入管43,43と、上側混合部41内の液体を流出させるための第1流出管44と、一対のA原液透析液原液供給管45,45と、下側混合部42内の液体を流出させるための一対の第2流出管46,46とを備えている。
【0057】
上側混合部41は、上下方向に延びる円筒状に形成された周壁部41aと、周壁部41aの上端部に設けられる上壁部41bと、周壁部41aの下端部に設けられる下壁部41cとを有しており、内部には、上側混合室R1が区画形成されている。上側混合室R1は、RO水とB原液とを混合させるためのチャンバーとなる。
【0058】
流入管43,43は、上側混合部41の上壁部41bから上側混合部41内に突出するように略上下方向に延びて設けられ、水及びB原液を上側混合部41に流入させるためのものである。
図4にも示すように、流入管43,43は、上側混合部41の径方向中心部から外方に離れており、周壁部41a近傍に位置している。これら流入管43,43は、互いに上側混合部41の径方向中心部を対称の中心とした点対称の位置関係となるように配置されている。また、流入管43,43の下端開口部(下流側の開口部)43a,43aは、下壁部41c近傍に位置している。
【0059】
流入管43は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。3つ以上の場合は、上側混合部41の周方向に略等間隔に配置してもよいし、不等間隔に配置してもよい。また、流入管43を複数設ける場合には、互いに径が異なっていてもよいし、同径であってもよい。
【0060】
第1流出管44は、上側混合部41の下壁部41cから該上側混合部41内に突出するように設けられ、下方へ延びている。第1流出管44は、流入管43,43よりも大径であり、上側混合部41の径方向中心部に配置されている。第1流出管44の上端開口部(上流側の開口部)44aは、上壁部41b近傍に位置している。つまり、第1流出管44の上端開口部44aは、流入管43,43の下端開口部43a,43aよりも上方に位置付けられている。
【0061】
上側混合部41の上壁部41bには、透析液供給装置1の構成要素である上流側濃度センサS3が接続される上流側配管48が設けられている。この上流側配管48は、上側混合室R1に連通しており、上側混合室R1内の液体を上流側濃度センサS3まで導くことができる。上流側濃度センサS3は、B原液のRO水に対する混合比率を略リアルタイムで測定することができるものであり、従来周知のものである。上流側濃度センサS3は、制御装置20に接続されており、検出結果を出力する。
【0062】
上流側濃度センサS3の配設位置は、測定対象である上側混合室R1内の混合液体の流れが、上方、かつ、中央部に向かっているので、上側混合室R1の上部、かつ、略中央部が好ましいが、これに限られるものではなく、例えば上側混合室R1の側部や下部であってもよい。
【0063】
第1流出管44の上下方向中央部近傍には、A原液供給管45,45が設けられている。A原液供給管45,45は、第1流出管44の径方向(水平方向)に延びており、第1流出管44の内部に連通している。A原液供給管45,45は、第1流出管44の周方向に約180゜離れて設けられている。よって、A原液供給管45,45から第1流出管44に流入するA原液は、互いに衝突する方向である。
A原液供給管45は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。3つ以上の場合は、第1流出管44の周方向に略等間隔に配置してもよいし、不等間隔に配置してもよい。また、A原液供給管45を複数設ける場合には、互いに径が異なっていてもよいし、同径であってもよい。
【0064】
下側混合部42は、上下方向に延びる円筒状に形成された周壁部42aと、周壁部42aの上端部に設けられる上壁部42bと、周壁部42aの下端部に設けられる下壁部42cとを有しており、内部には、下側混合室R2が区画形成されている。下側混合室R2は、RO水及びB原液の混合液とA原液とを混合させるためのチャンバーとなる。
【0065】
第1流出管44の下端部(下流側)は、下側混合部42の上壁部42bから下側混合部42内に突出している。第1流出管44の下端開口部(下流側の開口部)44bは、下側混合部42の下壁部42c近傍に位置している。
【0066】
第1流出管44の内部には、該第1流出管44を流通する液体に乱流を発生させる乱流生成部材(図示せず)を設けてもよい。
【0067】
第2流出管46,46は、下側混合部42の下壁部42cから下側混合部42内に突出するように略上下方向に延びて設けられ、下側混合部42内の液体(生成された透析液)を下側混合部42から流出させるためのものである。第2流出管46,46は、下側混合部42の径方向中心部から外方に離れており、周壁部42a近傍に位置している。これら第2流出管46,46は、互いに下側混合部42の径方向中心部を対称の中心とした点対称の位置関係となるように配置されている。また、第2流出管46,46の上端開口部(上流側の開口部)46a,46aは、上壁部42b近傍に位置している。つまり、第2流出管46,46の上端開口部46a,46aは、第1流出管44の下流側の開口部44bよりも上方に位置付けられている。
【0068】
下側混合部42の上壁部42bには、透析液供給装置1の構成要素である下流側濃度センサS4が接続される下流側配管49が設けられている。この下流側配管49は、下側混合室R2に連通しており、下側混合室R2内の液体を下流側濃度センサS4まで導くことができる。下流側濃度センサS4は、A原液のRO水に対する混合比率を略リアルタイムで測定することができるものであり、従来周知のものである。下流側濃度センサS4は、制御装置20に接続されており、検出結果を出力する。
【0069】
下流側濃度センサS4の配設位置は、測定対象である下側混合室R2内の混合液体の流れが、上方、かつ、側部に向かっているので、下側混合室R2の上部、かつ、側部が好ましいが、これに限られるものではなく、例えば下側混合室R2の下部や中央部であってもよい。
【0070】
第2流出管46,46の下端部には、透析液供給装置1の構成要素である透析液供給ラインL5が接続されている。
図1に示すように、透析液供給ラインL5は、透析液供給装置1の構成要素である透析液タンク38に接続されており、生成された透析液は透析液タンク38に一旦貯留されるようになっている。透析液タンク38には、各透析用監視装置101,101,…まで延びる透析液配管が接続されている。また、透析液タンク38には液量検出センサ(図示せず)が設けられており、検出結果が制御装置20に出力されるようになっている。
【0071】
透析液供給装置1は、透析液タンク38の透析液を透析用監視装置101に供給するための送液ポンプ39を備えている。この送液ポンプ39は、一般的な送液ポンプで構成することができる。
【0072】
また、
図2に示すように透析液供給装置1は、報知器Hを有している。この報知器Hは、制御装置20により制御されて音声や光を発生させることによって周囲の者に所定の情報を報知することができるように構成されており、例えばスピーカーやランプ、表示画面等である。この報知器Hは、詳細は後述するが主ライン消毒運転モード及び薬液ライン消毒運転モードで運転中に消毒液タンク31の消毒液が空になった場合、主ライン酸洗浄運転モード及び薬液ライン酸洗浄運転モードで運転中に酸洗浄液タンク32の酸洗浄液が空になった場合、消毒液タンク31が空の場合、酸洗浄液タンク32が空になった場合に、その旨を報知する。
【0073】
上記制御装置20は、所定のプログラムに従って動作するマイクロコンピュータ等で構成されたものであり、操作者が操作するボタン等が接続されている。制御装置20は、各センサS1〜S4等から入力される信号、及び操作者によるボタン操作を検出し、これらに基づいて、ポンプP1〜P7及びバルブV1〜V6を制御する。
具体的には、制御装置20は、上流側濃度センサS3の検出結果に基づいてB原液注入ポンプP5を制御してB原液の注入量を調整して一定の混合比率とし、また、下流側濃度センサS4の検出結果に基づいてA原液注入ポンプP4を制御してA原液の注入量を調整して一定の混合比率とするように構成されている。A原液及びB原液の注入量の調整は、周知のフィードバック制御で行われる。
【0074】
上記制御装置20は、透析液供給装置1の運転モードを、
図5に示す透析液生成運転モードと、
図6に示す前洗浄(水洗)運転モードと、
図7に示す主ライン消毒運転モード(消毒液洗浄運転モード)と、
図8に示す主ライン酸洗浄運転モード(酸洗浄運転モード)と、
図9に示す薬液ライン消毒運転モード(消毒液洗浄運転モード)と、
図10に示す薬液ライン酸洗浄運転モード(酸洗浄運転モード)と、
図11〜
図13に示す後洗浄・排出運転モードとに切り替えて運転する。後洗浄・排出運転モードでは、
図11に示す主ライン排出動作と、
図12に示す薬液ライン空気置換動作と、
図13に示すタンク及び薬液ライン空気置換動作とがある。
【0075】
図5に示す透析液生成運転モードでは、制御装置20は、遮断バルブV1及び給水バルブV7は開状態にし、排水バルブV2、第1薬液ラインバルブV3、第2薬液ラインバルブV4は閉状態にする。また、給水ポンプP1、脱気ポンプP3、A原液注入ポンプP4、B原液注入ポンプP5を作動させる。
【0076】
RO装置100から供給されたRO水は、主ラインL1を通って給水タンク10の貯留部10bに流入する。貯留部10bのRO水は、送給ラインL14により定水位部10aに流入する。定水位部10aのRO水は、給水ラインL3の第1給水ラインL31と第2給水ラインL32から混合器40に流入する。
【0077】
一方、A原液タンク35及びB原液タンク36内で所定濃度のA原液及びB原液を得る。
【0078】
A原液タンク35のA原液はA原液注入ポンプP4により混合器40に送られる。
図3に示すように、A原液は、混合器40の第1流出管44に対し、A原液供給管45,45から流入する。
【0079】
また、
図5に示すように、B原液タンク36のB原液はB原液注入ポンプP5により混合器40に送られる。B原液は、混合器40に直接流入させずに、給水ラインL3の第1給水ラインL31と第2給水ラインL32の分岐部よりも上流側に流入する。従って、
図3に示すように、RO水とB原液は、混合器40の上側混合室R1に流入管43,43から流入する。
【0080】
すなわち、混合器40では、RO水とB原液が上から下に流れながら上側混合室R1の下部に流入することになる。第1流出管44の上端開口部44aは、流入管43,43の下端開口部43a,43aよりも上方に位置しているので、上側混合室R1に流入したRO水とB原液は、上側混合室R1の上側に向けて流れを変える。このように、上側混合室R1内でRO水とB原液の流れが上下反転することで、流れに乱れが生じ、これにより、RO水とB原液の混合が上側混合室R1内で促進される。さらに、流入管43,43の下端開口部43a,43aは、上側混合室R1の外周寄りに位置する一方、第1流出管44の上端開口部44aは上側混合室R1の中央部に位置しているので、RO水とB原液の流れは上側混合室R1の外周寄りの部位から中心部に向かう流れとなり、このことによっても流れに乱れが生じて混合が促進される。
【0081】
以上のようにしてRO水とB原液が上側混合室R1内で均一に混合する。上側混合室R1内におけるB原液のRO水に対する混合比率は、上側混合室R1に連通する上流側配管48を介して上流側濃度センサS3によって検出される。制御装置20は、上流側濃度センサS3によって検出された混合比率に基づいてB原液注入ポンプP5を制御し、B原液のRO水に対する混合比率が一定の比率となるようにフィードバック制御する。
【0082】
上側混合室R1内のRO水とB原液が混合した液体は、第1流出管44を上から下に流れる。このときに、A原液が第1流出管44の外周部から供給されて第1流出管44内の液体に混ざる。
【0083】
A原液と、RO水及びB原液が混合した液体とは、下側混合室R2内に上から下に向けて流入することになる。第2流出管46,46の上端開口部46a,46aは、第1流出管44の下流側の開口部44bよりも上方に位置しているので、下側混合室R2に流入したA原液と、RO水及びB原液が混合した液体とは、下側混合室R2の上側に向けて流れを変える。このように、下側混合室R2内で流れが上下反転することで、流れに乱れが生じ、これにより、A原液と、RO水及びB原液が混合した液体との混合が下側混合室R2内で促進される。さらに、第2流出管46,46の上端開口部46a,46aは、下側混合室R2の外周寄りに位置する一方、第1流出管44の下端開口部44bは下側混合室R2の中央部に位置しているので、下側混合室R2の流れは中央部から側部に向かう流れとなり、このことによっても流れに乱れが生じて混合が促進される。
【0084】
以上のようにして、A原液と、RO水及びB原液が混合した液体とが下側混合室R2内で均一に混合して透析液となる。下側混合室R2内におけるA原液のRO水に対する混合比率は、下側混合室R2に連通する下流側配管49を介して下流側濃度センサS4によって検出される。制御装置20は、下流側濃度センサS4によって検出された混合比率に基づいてA原液注入ポンプP4を制御し、A原液のRO水に対する混合比率が一定の比率となるようにフィードバック制御する。尚、A原液及びB原液のフィードバック制御は従来周知の手法を用いて行うことができるので、詳細な説明は省略する。
【0085】
混合器40で生成された透析液は、透析液供給ラインL5を介して透析液タンク38に一旦貯留され、この透析液タンク38から送液ポンプ39によって透析用監視装置101,101,…に供給される。
【0086】
透析液の生成時には、給水タンク10を落差圧が得られる所定高さに配置し、この給水タンク10から混合器40にRO水を供給してA原液とB原液を混合するようにしているので、安定した濃度の透析液を容易に、かつ、大量に生成することができる。落差圧による供給なので、最大供給量を容易に増大させることが可能である。さらに、透析用監視装置101,101,…での透析液の使用量が少なくなれば、透析液タンク38内の透析液の量が増加することになる。一定量以上になると、給水バルブV7を閉状態にするとともに、A原液注入ポンプP4及びB原液注入ポンプP5を停止させる。従って、透析液の供給量を制御するための流量制御弁は必要なく、制御も容易に行える。
【0087】
また、A原液に比べて成分の少ないB原液をA原液よりも先にRO水に混合するようにしているので、濃度測定の精度を高めることができ、ひいてはフィードバック制御を高精度に行うことができる。
【0088】
また、A原液とB原液との混合箇所がRO水の流れ方向に離れているので、B原液を混合した後にA原液を混合する前に、B原液の水に対する混合比率を測定することが可能になる。よって、B原液の混合比率の正確な制御が行えるようになる。また、B原液の混合比率の測定結果を得た後に、A原液を混合することで、A原液の混合比率を測定することが可能になる。よって、A原液の混合比率も正確に制御することが可能になる。
【0089】
また、透析液供給装置1による透析液の生成量は、毎分35リットル以上である。これは、落差圧を利用して各配管を太くし、さらに、混合器40を、羽状攪拌体の無い低圧力損失のミキサーとしたことで可能となっている。このため、1台の透析液供給装置1によって多数の透析用監視装置101に透析液を供給することができるので、透析液供給装置1の設置台数が少なくて済むという利点がある。
【0090】
次に、
図6に示す前洗浄(水洗)運転モードについて説明する。この前洗浄(水洗)運転モードは、主ラインL1をRO水で洗浄するモードである。制御装置20は、遮断バルブV1、第1薬液ラインバルブV3、第2薬液ラインバルブV4は開状態にし、排水バルブV2、消毒液タンクバルブV5、酸洗浄液タンクバルブV6、給水バルブV7は閉状態にする。また、給水ポンプP1、薬液ラインポンプP2、脱気ポンプP3を作動させる。これにより、RO水による洗浄が行われる。このときRO水は、給水タンク10にも供給されるので、給水タンク10の洗浄も可能である。
図6中、太線はRO水が充填された部分を示している。
【0091】
次に、
図7に示す主ライン消毒運転モードについて説明する。この主ライン消毒運転モードは、主ラインL1を消毒液で消毒するモードであり、基本的には1日に1回、透析が終了した後に行う。
【0092】
主ライン消毒運転モードでは、制御装置20は、遮断バルブV1、第1薬液ラインバルブV3、第2薬液ラインバルブV4、消毒液タンクバルブV5は開状態にし、排水バルブV2、酸洗浄液タンクバルブV6、給水バルブV7は閉状態にする。また、給水ポンプP1、薬液ラインポンプP2、脱気ポンプP3を作動させる。これにより、消毒液タンク31の消毒液が消毒液ラインL21から吸い上げられて各ラインが消毒液によって消毒される。このとき消毒液は、給水タンク10にも供給されるので、給水タンク10の消毒も可能である。
図7中、細かな点は消毒液を示している。
【0093】
このとき、酸洗浄液ラインL22の酸洗浄液が空気で置換されて酸洗浄液ラインL22が空気で満たされているのが普通であるが、何らかの原因によって酸洗浄液タンクバルブV6に不具合が生じていて、酸洗浄液タンク32の酸洗浄液が薬液ラインL2の下流側に流れようとすることが考えられる。この場合、酸洗浄液ライン検出センサS2が酸洗浄液ラインL22の内部に空気が存在しているか否かを常に検出しているので、酸洗浄液ライン検出センサS2により酸洗浄液ラインL22の内部に酸洗浄液が存在していることが検出される。すると、制御装置20は、運転を即座に停止する。これにより、酸洗浄液が消毒液に混入することによる化学反応を抑制することができる。尚、酸洗浄液ライン検出センサS2により酸洗浄液ラインL22の内部に酸洗浄液が存在していることを検出した際に、制御装置20は光や音声を利用して周囲の者に報知するようにしてもよい。
【0094】
次に、
図8に示す主ライン酸洗浄運転モードについて説明する。この主ライン酸洗浄運転モードは、主ラインL1を構成する配管内に蓄積された物質(炭酸カルシウム等)を除去する目的で行うモードであり、基本的には2〜3日に1回、透析が終了した後に行う。主ライン酸洗浄運転モードの頻度は、透析施設によって異なる。
【0095】
主ライン酸洗浄運転モードでは、制御装置20は、遮断バルブV1、第1薬液ラインバルブV3、第2薬液ラインバルブV4、酸洗浄液タンクバルブV6は開状態にし、排水バルブV2、消毒液タンクバルブV5、給水バルブV7は閉状態にする。また、給水ポンプP1、薬液ラインポンプP2、脱気ポンプP3を作動させる。これにより、酸洗浄液タンク32の酸洗浄液が酸洗浄液ラインL22から吸い上げられて各ラインが酸洗浄液によって洗浄される。このとき酸洗浄液は、給水タンク10にも供給されるので、給水タンク10の洗浄も可能である。
図8中、斜線部は酸洗浄液を示している。
【0096】
このとき、消毒液ラインL21の消毒液が空気で置換されて消毒液ラインL21が空気で満たされているのが普通であるが、何らかの原因によって消毒液タンクバルブV5に不具合が生じていて、消毒液タンク31の消毒液が薬液ラインL2の下流側に流れようとすることが考えられる。この場合、消毒液ライン検出センサS1が消毒液ラインL21の内部に消毒液が存在しているか否かを常に検出しているので、消毒液ライン検出センサS1により消毒液ラインL21の内部に空気が存在していることが検出される。すると、制御装置20は、運転を即座に停止する。これにより、消毒液が酸洗浄液に混入することによる化学反応を抑制することができる。尚、消毒液ライン検出センサS1により消毒液ラインL21の内部に消毒液が存在していることを検出した際に、制御装置20は光や音声を利用して周囲の者に報知するようにしてもよい。
【0097】
次に、
図9に示す薬液ライン消毒運転モードについて説明する。この薬液ライン消毒運転モードは、薬液ラインL2を消毒液で消毒するモードであり、基本的には1日に1回、透析が終了した後に行う。
【0098】
薬液ライン消毒運転モードでは、制御装置20は、第1薬液ラインバルブV3、第2薬液ラインバルブV4、消毒液タンクバルブV5は開状態にし、遮断バルブV1、排水バルブV2、酸洗浄液タンクバルブV6、給水バルブV7は閉状態にする。また、給水ポンプP1、薬液ラインポンプP2、脱気ポンプP3を作動させる。薬液ラインポンプP2は逆転させる。これにより、消毒液タンク31の消毒液が消毒液ラインL21から吸い上げられて各ラインが消毒液によって消毒される。このとき消毒液は、給水タンク10にも供給されるので、給水タンク10の消毒も可能である。
【0099】
このとき、何らかの原因によって酸洗浄液タンクバルブV6に不具合が生じていて、酸洗浄液タンク32の酸洗浄液が薬液ラインL2の下流側に流れようとした場合、酸洗浄液ライン検出センサS2により酸洗浄液ラインL22の内部に酸洗浄液が存在していることが検出される。すると、制御装置20は、運転を即座に停止する。これにより、酸洗浄液が消毒液に混入することによる化学反応を抑制することができる。
【0100】
次に、
図10に示す薬液ライン酸洗浄運転モードについて説明する。この薬液ライン酸洗浄運転モードは、薬液ラインL2を構成する配管内に蓄積された物質(炭酸カルシウム等)を除去する目的で行うモードであり、基本的には2〜3日に1回、透析が終了した後に行う。薬液ライン酸洗浄運転モードの頻度は、透析施設によって異なる。
【0101】
薬液ライン酸洗浄運転モードでは、制御装置20は、第1薬液ラインバルブV3、第2薬液ラインバルブV4、酸洗浄液タンクバルブV6は開状態にし、遮断バルブV1、排水バルブV2、消毒液タンクバルブV5、給水バルブV7は閉状態にする。また、給水ポンプP1、薬液ラインポンプP2、脱気ポンプP3を作動させる。薬液ラインポンプP2は逆転させる。これにより、酸洗浄液タンク32の酸洗浄液が酸洗浄液ラインL22から吸い上げられて各ラインが酸洗浄液によって洗浄される。このとき酸洗浄液は、給水タンク10にも供給されるので、給水タンク10の洗浄も可能である。
【0102】
このとき、何らかの原因によって消毒液タンクバルブV5に不具合が生じていて、消毒液タンク31の消毒液が薬液ラインL2の下流側に流れようとした場合、消毒液ライン検出センサS1により消毒液ラインL21の内部に消毒液が存在していることが検出される。すると、制御装置20は、運転を即座に停止する。これにより、消毒液が酸洗浄液に混入することによる化学反応を抑制することができる。
【0103】
次に、
図11に示す後洗浄・排出運転モード(主ライン排出動作)について説明する。この主ライン排出動作は、上記前洗浄(水洗)運転モードと同様の動作を行った後、RO水を排出する動作である。制御装置20は、排水バルブV2、第1薬液ラインバルブV3、第2薬液ラインバルブV4は開状態にし、遮断バルブV1、消毒液タンクバルブV5、酸洗浄液タンクバルブV6、給水バルブV7は閉状態にする。また、給水ポンプP1、薬液ラインポンプP2、脱気ポンプP3を停止する。これにより、RO水が排出される。
【0104】
次に、
図12に示す後洗浄・排出運転モード(薬液ライン空気置換動作)について説明する。この薬液ライン空気置換動作は、薬液ラインL2を空気に置換する動作である。制御装置20は、排水バルブV2、第1薬液ラインバルブV3、第2薬液ラインバルブV4は開状態にし、遮断バルブV1、消毒液タンクバルブV5、酸洗浄液タンクバルブV6、給水バルブV7は閉状態にする。また、給水ポンプP1、脱気ポンプP3を停止し、薬液ラインポンプP2は逆転させる。これにより、薬液ラインL2が空気に置換される。
【0105】
次に、
図13に示す後洗浄・排出運転モード(タンクライン及び薬液ライン空気置換動作)について説明する。このタンク及び薬液ライン空気置換動作は、薬液ラインL2の消毒液ラインL21、または、薬液ラインL2の酸洗浄液ラインL22を空気に置換する動作である。
【0106】
制御装置20は、薬液ラインL2の消毒液ラインL21を空気に置換する場合には、第2薬液ラインバルブV4、消毒液タンクバルブV5は開状態にし、遮断バルブV1、排水バルブV2、第1薬液ラインバルブV3、酸洗浄液タンクバルブV6、給水バルブV7は閉状態にする。また、給水ポンプP1、脱気ポンプP3を停止し、薬液ラインポンプP2は逆転させる。これにより、薬液ラインL2の消毒液ラインL21が空気に置換される。
【0107】
制御装置20は、薬液ラインL2の酸洗浄液ラインL22を空気に置換する場合には、第2薬液ラインバルブV4、酸洗浄液タンクバルブV6は開状態にし、遮断バルブV1、排水バルブV2、第1薬液ラインバルブV3、消毒液タンクバルブV5、給水バルブV7は閉状態にする。また、給水ポンプP1、脱気ポンプP3を停止し、薬液ラインポンプP2は逆転させる。これにより、薬液ラインL2の酸洗浄液ラインL22が空気に置換される。
【0108】
また、制御装置20は、主ライン消毒運転モード及び薬液ライン消毒運転モードで運転中に、消毒液ライン検出センサS1によって消毒液ラインL21に空気が有ると検出された場合には消毒液タンク31の消毒液が空になったとして報知器Hを制御し、消毒液切れとして報知する。すなわち、主ライン消毒運転モード及び薬液ライン消毒運転モードにあるときに消毒液が無くなった場合には、有効に消毒が行えなくなるが、この場合に報知器Hにより周囲の者に報知することで消毒が不完全なまま終了してしまうのを未然に防止することが可能になる。また、消毒液タンク31に実際には消毒液が注入されずに主ライン消毒運転モード及び薬液ライン消毒運転モードが選択された場合に消毒が行われないままとなるのを未然に防止することが可能になる。
【0109】
また、制御装置20は、主ライン酸洗浄運転モード及び薬液ライン酸洗浄運転モードにあるときに、酸洗浄液ライン検出センサS2によって酸洗浄液ラインL22に空気が有ると検出された場合には酸洗浄液タンク32の酸洗浄液が空になったとして報知器Hを制御し、酸洗浄液切れとして報知する。すなわち、主ライン酸洗浄運転モード及び薬液ライン酸洗浄運転モードにあるときに酸消毒液が無くなった場合には、有効に酸洗浄が行えなくなるが、この場合に周囲の者に報知することで酸洗浄が不完全なまま終了してしまうのを未然に防止することが可能になる。また、酸洗浄液タンク32に実際には酸洗浄液が注入されずに主ライン酸洗浄運転モード及び薬液ライン酸洗浄運転モードが選択された場合に酸洗浄が行われないままとなるのを未然に防止することが可能になる。
【0110】
また、水タンク10は、大気開放された状態で、消毒液ラインL21と酸洗浄液ラインL22と連通している。制御装置20は、消毒液ラインL21を空気に置換する際、水タンク10が空である場合に、薬液ラインポンプP2によって水タンク10内の空気を消毒液ラインL21に流入させるように構成することができる。これにより、消毒液ラインL21の消毒液を消毒液タンク31まで送ることが可能になるので、消毒液と酸洗浄液との接触を未然に防止することができる。
【0111】
また、制御装置20は、酸洗浄液ラインL22を空気に置換する際、水タンク10が空である場合に、薬液ラインポンプP2によって水タンク10内の空気を酸洗浄液ラインL22に流入させるように構成することができる。これにより、酸洗浄液ラインL22の酸洗浄液を酸洗浄液タンク32まで送ることが可能になるので、酸洗浄液と消毒液との接触を未然に防止することができる。
【0112】
以上説明したように、この実施形態に係る透析液供給装置1によれば、RO水とB原液の流れを上側混合室R1内で上下反転させて乱した後、上側混合室R1から流出させるようにしている。これにより、ミキサー等による長時間攪拌を行うことなく、短時間に均一に混合させることができる。
【0113】
また、本実施形態では、A原液も混合器40によって均一に混合させることができるので、均一に混合した透析液を短時間に大量に得ることができる。
【0114】
また、流入管43の下端開口部43aから流入したRO水及びB原液の流れが上側混合部41の中央部に向かう流れに変換されるので、RO水及びB原液の混合をより一層促進させることができる。
【0115】
また、下側混合部42では、RO水及びB原液の混合液の流れと、A原液の流れが下側混合部42の中央部から側部に向かう流れに変換されるので、それらの混合をより一層促進させることができる。
【0116】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。