特許第6135341号(P6135341)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6135341-ワイヤーハーネス及びベース体 図000002
  • 特許6135341-ワイヤーハーネス及びベース体 図000003
  • 特許6135341-ワイヤーハーネス及びベース体 図000004
  • 特許6135341-ワイヤーハーネス及びベース体 図000005
  • 特許6135341-ワイヤーハーネス及びベース体 図000006
  • 特許6135341-ワイヤーハーネス及びベース体 図000007
  • 特許6135341-ワイヤーハーネス及びベース体 図000008
  • 特許6135341-ワイヤーハーネス及びベース体 図000009
  • 特許6135341-ワイヤーハーネス及びベース体 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6135341
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】ワイヤーハーネス及びベース体
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20170522BHJP
   H01R 13/46 20060101ALI20170522BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20170522BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   H02G3/04 062
   H01R13/46 E
   H01B7/00 301
   H01B7/00 306
   H01B7/00 305
   B60R16/02 620Z
   B60R16/02 623T
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-141886(P2013-141886)
(22)【出願日】2013年7月5日
(65)【公開番号】特開2015-15849(P2015-15849A)
(43)【公開日】2015年1月22日
【審査請求日】2015年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前岨 宏芳
(72)【発明者】
【氏名】田中 徹児
(72)【発明者】
【氏名】曽根 康介
【審査官】 石坂 知樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−203354(JP,A)
【文献】 特開2004−273369(JP,A)
【文献】 特開2004−201424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
B60R 16/02
H01B 7/00
H01R 13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の電線と、
各電線の端部に設けられ、機器側の相手コネクタと嵌合可能なコネクタと、
前記機器側に取り付けられるベース体と、を備えたワイヤーハーネスであって、
前記ベース体は、前記各電線の長さ方向に延出し、前記機器側に取り付けられる前に前記各電線をその長さ方向に配索した状態で保持することが可能な保持部を有し、
前記保持部は、前記ベース体の側縁に沿って配置され、前記側縁に開口する引出部の内側に、前記電線又は前記コネクタが配置され、且つ、
前記ベース体は、前記長さ方向で前記保持部と重なって隣接する位置に、電子部品を搭載可能な部品搭載部を一体に有することを特徴とするワイヤーハーネス。
【請求項2】
前記各電線は、前記長さ方向を規定する幹線と、その幹線から分岐して端部に前記コネクタが設けられた分岐線とに配線され、
前記ベース体は、前記保持部の延出方向途中に開口し、前記機器側に取り付けられた状態で、前記コネクタが前記相手コネクタと嵌合可能な位置に臨むように、内側に、前記分岐線又は前記コネクタが配置される前記引出部を有することを特徴とする請求項1記載のワイヤーハーネス。
【請求項3】
前記保持部は、前記幹線を支持する底面部と、前記幹線の両側を覆う一対の側面部とからなる樋部を有し、前記引出部は、前記一対の側面部のうちの一方の側面部に開設された切欠又は孔からなることを特徴とする請求項2記載のワイヤーハーネス。
【請求項4】
前記引出部は、前記保持部の延出方向に間隔をあけて複数設けられていることを特徴とする請求項2又は3記載のワイヤーハーネス。
【請求項5】
前記ベース体は、前記各電線を収容する樋部とその樋部に被さるカバー部とからなり、前記樋部に前記カバー部が被さることにより、前記樋部の開口が閉じられることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載のワイヤーハーネス。
【請求項6】
機器側に取り付けられるベース体であって、
側縁に沿いつつワイヤーハーネスの幹線の長さ方向に延出し、前記機器側に取り付けられる前に前記幹線をその長さ方向に配索した状態で保持することが可能な保持部と、
前記保持部の延出方向途中における前記側縁に開口する形態をなし、前記機器側に取り付けられた状態で、前記幹線から分岐した分岐線の端部に設けられたコネクタが機器側の相手コネクタと嵌合可能な位置に臨むように、内側に、前記分岐線又は前記コネクタが配置される引出部と、
前記長さ方向で前記保部と重なって隣接する位置に配置され、電子部品を搭載可能な部品搭載部とを一体に有することを特徴とするベース体。
【請求項7】
前記保持部は、前記幹線を支持する底面部と、前記幹線の両側を覆う一対の側面部とからなる樋部を有し、前記引出部は、前記一対の側面部のうちの一方の側面部に開設された切欠又は孔からなることを特徴とする請求項6記載のベース体。
【請求項8】
前記引出部は、前記保持部の延出方向に間隔をあけて複数設けられていることを特徴とする請求項6又は7記載のベース体。
【請求項9】
各電線を収容する樋部とその樋部に被さるカバー部とからなり、前記樋部に前記カバー部が被さることにより、前記樋部の開口が閉じられることを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項記載のベース体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤーハーネス及びベース体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数本の電線を束ねたワイヤーハーネスが自動車のドアに配索される技術が開示されている。各電線は、ドア本体とドアトリムのそれぞれの内側に固定されている。各電線の固定方法については具体的に示されていないが、通常、配索経路の途中位置にクリップ等の固定具を取り付ける固定方法がとられる。また、各電線の端部にはコネクタが設けられ、ドアトリム側のコネクタがドア本体側のコネクタに嵌合されるようになっている。
【特許文献1】特開2000−203354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の場合、仮に、各電線の結束状態が解けて、各電線がばらけると、ドア本体とドアトリムとの間に電線が挟み込まれるおそれがある。
【0004】
また、一般的に、自動車に搭載された機器にベース体を取り付ける構造のものにおいては、ワイヤーハーネスをその組み付け現場に搬送した後、機器にベース体を取り付け、次いで、ベース体と機器とに各電線を配線し、その後、機器側の相手コネクタに各電線の端部に設けられたコネクタを嵌合し、さらに機器全体を覆い被す作業が行われる。しかし、ベース体の取り付け作業を行う現場で、電線の配線作業まで行っていたのでは、作業が煩雑になり、作業効率が悪いという問題がある。また、機器にカバーを被せ付ける際に、特許文献1と同様、電線の噛み込みが発生するおそれがある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、機器にベース体を取り付ける作業を行う際の作業性を改善するとともに、電線の噛み込みを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数本の電線と、各電線の端部に設けられ、機器側の相手コネクタと嵌合可能なコネクタと、前記機器側に取り付けられるベース体と、を備えたワイヤーハーネスであって、前記ベース体は、前記各電線の長さ方向に延出し、前記機器側に取り付けられる前に前記各電線をその長さ方向に配索した状態で保持することが可能な保持部を有し、前記保持部は、前記ベース体の側縁に沿って配置され、前記側縁に開口する引出部の内側に、前記電線又は前記コネクタが配置され、且つ、前記ベース体は、前記長さ方向で前記保持部と重なって隣接する位置に、電子部品を搭載可能な部品搭載部を一体に有するところに特徴がある。
【0007】
また、本発明は、機器側に取り付けられるベース体であって、側縁に沿いつつワイヤーハーネスの幹線の長さ方向に延出し、前記機器側に取り付けられる前に前記幹線をその長さ方向に配索した状態で保持することが可能な保持部と、前記保持部の延出方向途中における前記側縁に開口する形態をなし、前記機器側に取り付けられた状態で、前記幹線から分岐した分岐線の端部に設けられたコネクタが機器側の相手コネクタと嵌合可能な位置に臨むように、内側に、前記分岐線又は前記コネクタが配置される引出部と、前記長さ方向で前記保部と重なって隣接する位置に配置され、電子部品を搭載可能な部品搭載部とを一体に有するところに特徴がある。
【発明の効果】
【0008】
本発明のワイヤーハーネスによれば、あらかじめベース体の保持部に各電線を配索保持した状態で、機器側にベース体を取り付けることが可能となるため、ベース体の取り付け作業を行う際に、電線の配線作業を行わずに済み、作業性が改善される。また、各電線が保持部に保持されることにより、各電線がばらけることがなく、電線の噛み込みが防止される。
【0009】
さらに、本発明のベース体によれば、ベース体が上記保持部に加えて引出部を有し、引出部の内側に分岐線又はコネクタが配置されることで、コネクタが機器側の相手コネクタと嵌合可能な位置に臨むため、コネクタが対応する相手コネクタと間違うことなく迅速に嵌合される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例1のワイヤーハーネスにおいて、電線を配索保持したベース体とカバー部の分解平面図である。
図2】ベース体にカバー部を被せてユニット化されたワイヤーハーネスと相手コネクタを設置したボディの分解平面図である。
図3】ベース体にボディを取り付けた状態を示す平面図である。
図4】電線の端部に設けられたコネクタが相手コネクタと嵌合された状態を示す平面図である。
図5】電線の端部に設けられたコネクタが相手コネクタと嵌合された状態を示す正面図である。
図6】各電線の端部にコネクタが設けられた状態を示す平面図である。
図7】実施例2のワイヤーハーネスの図2相当図である。
図8図4相当図である。
図9】実施例3において、(A)引出部とコネクタの分解平面図である。(B)引出部にコネクタが設置された状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好ましい形態を以下に示す。
前記保持部は、前記幹線を支持する底面部と、前記幹線の両側を覆う一対の側面部とからなる樋部を有し、前記引出部は、前記一対の側面部のうちの一方の側面部に開設された切欠又は孔からなる。これによれば、側面部に開設された切欠又は孔から引き出されたコネクタが幹線とほぼ同じ高さ位置で相手コネクタと嵌合可能となるため、全体として高背になるのを抑えることができる。
【0012】
前記引出部は、前記保持部の延出方向に間隔をあけて複数設けられている。これによれば、それぞれの引出部を介して複数のコネクタを引き出すことができるから、機器側に相手コネクタが複数設置される場合に柔軟に対応することができる。
【0013】
前記ベース体は、前記各電線を収容する樋部とその樋部に被さるカバー部とからなり、前記樋部に前記カバー部が被さることにより、前記樋部の開口が閉じられる。これにより、各電線が保持部から抜け出るのが確実に防止される。
【0014】
<実施例1>
本発明の実施例1を図1図6によって説明する。実施例1のワイヤーハーネス10は、図示しない自動車のトランスミッションケース内に配置され、電子部品90間及び外部との電気信号の伝達を行うものを例示している。図2に示すように、ワイヤーハーネス10は、図示左右方向となる長さ方向に延出する幹線20と、幹線20から分岐した複数本の分岐線30と、各分岐線30(詳細には後述する第1分岐線30A)の端部に設けられたコネクタ40と、幹線20を支持した状態で取付対象となるボディ100(機器側)に取り付けられるベース体50とを備える。
【0015】
幹線20と分岐線30とは、被覆電線からなる電線Wの布線経路として構成される。分岐線30は、幹線20の長さ方向に間隔をあけた複数箇所にて幹線20の長さ方向と交差する方向に延びる形態とされている。具体的には、図6に示すように、分岐線30は、幹線20を挟んだ両側のうち、一側において長さ方向に多数並んで配置される第1分岐線30Aと、他側において大きな間隔を隔てて配置される第2分岐線30Bとからなる。図1に示すように、第2分岐線30Bの端部はベース体50に搭載された電子部品90に接続される。また、第1分岐線30Aの端部には図示しない端子金具が接続され、端子金具がコネクタ40に収容されることにより、第1分岐線30Aの端部にコネクタ40が設置される。
【0016】
コネクタ40は、図4に示すように、ボディ100側の相手コネクタ110と嵌合可能とされ、端子金具を収容可能な合成樹脂製のハウジング41を有している。図1に示すように、ハウジング41の上面にはロック部42が設けられ、ロック部42を介して両コネクタ40、110の嵌合状態が保持される。また、ハウジング41の一側面には誤嵌合防止部43が設けられている。コネクタ40が正規嵌合姿勢をとる場合には、誤嵌合防止部43が相手コネクタ110の誤嵌合防止部111(図4を参照)に嵌合されることで両コネクタ40、110の嵌合動作が進行する一方、コネクタ40が不正な嵌合姿勢をとる場合には、誤嵌合防止部43が相手コネクタ110の誤嵌合防止部111と対応する位置に配置されないことで両コネクタ40、110の嵌合動作が規制されるようになっている。
【0017】
図2及び図5に示すように、相手コネクタ110は、略円筒状のソレノイドバルブ200の周面に設置されている。ソレノイドバルブ200はバルブ部210を介してボディ100に固定される。実施例1の場合、図2に示すように、ソレノイドバルブ200と相手コネクタ110とは、ボディ100に対し、幹線20の長さ方向と平行な方向となる図示左右方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0018】
続いてベース体50について説明すると、ベース体50は合成樹脂製であって、図1及び図2に示すように、幹線20の長さ方向に長い平板状をなし、電子部品90が搭載される部品搭載部51と、部品搭載部51と隣接してベース体50の側縁に沿って配置される保持部52とを有している。
【0019】
ベース体50の長さ方向の両端部には、一対のスリット状のロック孔53が開口して設けられている。また、部品搭載部51には、両ロック孔53間に、長さ方向に間隔をあけて複数の位置決め孔54が開口して設けられている。一方、ボディ100には、両ロック孔53と対応する位置にロック突起101が設けられ、各位置決め孔54と対応する位置に位置決め突起102が設けられている。図4に示すように、ベース体50がボディ100に取り付けられると、各位置決め孔54に各位置決め突起102が嵌合するとともに、両ロック孔53に両ロック突起101が嵌合して弾性的に係止され、これによってベース体50がボディ100に抜け止めして固定されるようになっている。
【0020】
図1に示すように、保持部52は、ベース体50の側縁上面において長さ方向に延出する樋部55と、樋部55に被せ付けられる別体のカバー部56とからなる。樋部55は、断面角凹状をなし、幹線20を支持する底面部57と、底面部57の両側から立ち上がり、底面部57に支持された幹線20の両側を覆う一対の側面部58とを有している。この場合に、幹線20を構成する各電線Wは、樋部55の底面部57に沿って平らにならされて配索される。
【0021】
図1に示すように、両側面部58のうち、ベース体50の側縁寄りの側面部58には、長さ方向に間隔をあけて複数の引出部61が開口して設けられている。各引出部61は、ベース体50がボディ100に取り付けられた状態で、各相手コネクタ110と対応する位置に配置される。具体的には、引出部61は、図5に示すように、全体として上面開口の断面略U字形をなし、側面部58の上端に切欠状に凹み形成されるとともに、図1に示すように、側面部58から第1分岐線30Aの引出方向へ短く突出する突出部62を有する形態とされている。実施例1の場合、各引出部61から第1分岐線30Aが個別に案内されて引き出され、引き出された第1分岐線30Aの端部に設けられたコネクタ40が対応する相手コネクタ110と嵌合可能な位置に臨むようになっている。一方、図1に示すように、両側面部58のうち、ベース体50の側縁から離れた側面部58には、部品搭載部51に通じる一対の開口部63が切欠状に開口して設けられている。両開口部63には第2分岐線30Bが引き出され、引き出された第2分岐線30Bの端部が対応する電子部品90と接続可能な位置に臨むようになっている。
【0022】
図1及び図5に示すように、カバー部56は、長尺帯状の板材であって、その両側縁に、長さ方向に間隔をあけて複数のカバーロック片64が下向きに突出して設けられている。カバーロック片64が樋部55の側面部58に設けられたカバーロック部65に弾性的に係止されることにより、カバー部56が樋部55に抜け止めして固定される。また、こうしてカバー部56が固定されると、樋部55に収容された幹線20の周囲が保持部52により全周に亘って取り囲まれ、各電線Wが保持部52によって抜け止め保持された状態となる。さらに、各引出部61及び両開口部63のそれぞれの上面開口もカバー部56によって閉塞される。
【0023】
次に、各電線Wの配線作業及びボディ100にベース体50を取り付ける作業について説明する。
まず、図6に示すように、幹線20から各分岐線30を分岐させ、第1分岐線30Aの端部に端子金具を介してコネクタ40を取り付ける。続いて、ベース体50の樋部55内に上方から幹線20を収容させるとともに、各引出部61内に上方から第1分岐線30Aを収容させ、各引出部61を介して、ベース体50の外側にコネクタ40を引き出す。また、両開口部63内に上方から第2分岐線30Bを収容させ、両開口部63を介して、第2分岐線30Bの端部を部品搭載部51内に引き込んで電子部品90に接続させる。
【0024】
次いで、樋部55にカバー部56を被せ付ける。これにより、図2の上段に示すワイヤーハーネス10のユニットが形成される。その後、ワイヤーハーネス10のユニットは、ボディ100にベース体50を取り付ける作業現場に搬送される。作業現場においては、図3に示すように、まずボディ100にベース体50を被せ、ロック孔53にロック突部を弾性的に係止させることにより、ボディ100にベース体50を連結して取り付ける。このとき、各第1分岐線30Aの端部に設けられたコネクタ40は、ボディ100側に設けられた相手コネクタ110と嵌合可能な位置に至らしめられる。
【0025】
続いて、各第1分岐線30AをU字状に屈曲させつつコネクタ40をベース体50側へ向けて反転させ、相手コネクタ110の嵌合面にコネクタ40の嵌合面を正対させる。その状態で、図4に示すように、コネクタ40を相手コネクタ110に押し込み、両コネクタ40、110を正規嵌合状態に至らす。この場合に、図5に示すように、コネクタ40は、引出部61を介して幹線20とほぼ同じ高さ位置で略水平に引き出され、その状態で相手コネクタ110と嵌合される。したがって、高さ方向にスペースをとることがなく、スペース効率に優れる。
【0026】
以上説明したように実施例1によれば、あらかじめベース体50の保持部52に各電線Wを配索保持した状態で、ボディ100にベース体50を取り付けることができるため、ベース体50の取り付け作業を行う際に、電線Wの配線作業まで行わずに済み、作業性が改善される。また、各電線Wが保持部52に保持されることにより、各電線Wがばらけることがなく、電線Wの噛み込みが防止される。
【0027】
さらに、ベース体50が保持部52に加えて引出部61を有し、引出部61の内側に第1分岐線30Aが配置されることで、コネクタ40がボディ100に設定された相手コネクタ110と嵌合可能な位置に臨むため、コネクタ40が対応する相手コネクタ110と間違うことなく迅速に嵌合される。
【0028】
さらにまた、樋部55の側面部58に切欠状に開設された引出部61から引き出されたコネクタ40が幹線20とほぼ同じ高さ位置で相手コネクタ110と嵌合可能となるため、全体として高背になるのを抑えることができる。
【0029】
<実施例2>
図7及び図8は、本発明の実施例2を示す。なお、実施例2において、実施例1と共通する構造及び相当する構造については実施例1と同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0030】
ベース体50の保持部52内には、第1分岐線30Aの端部に設けられたコネクタ40が待ち受け状態に保持されている。コネクタ40は、詳しくは図示しないが、ハウジング41の後端部(嵌合方向後端部)が樋部55とカバー部56との間に挟持され、ハウジング41の前端部(嵌合方向前端部)がベース体50の外側に臨むように配置される。このため、実施例1の場合とは逆に、コネクタ40の嵌合面は、ベース体50から離れる方向に向けられ、相手コネクタ110の嵌合面は、ベース体50側に向けられる。
【0031】
実施例2の場合、ベース体50の保持部52に各電線Wを収容させ、ベース体50の外側に各コネクタ40の前端部を突出させた状態で、ボディ100にベース体50を取り付ける。次いで、ボディ100にソレノイドバルブ200を取り付けるとともに、その取り付けに伴い、待ち受け状態にある各コネクタ40に相手コネクタ110を嵌合させる。
【0032】
実施例2によれば、ソレノイドバルブ200の取り付け作業とコネクタ40の嵌合作業とを同時に行うことができるため、作業性がより良好となる。
【0033】
<実施例3>
図9(A)、(B)は、本発明の実施例3を示す。実施例3は、実施例2において、保持部52内にコネクタ40が待ち受け状態に保持される構造をより具体化したものである。
【0034】
実施例3の場合、樋部55の底面部57には、引出部61と対応する位置に、コネクタ40のハウジング41の後端部を収容可能な領域を区画するリブ状の規制壁66が立設されている。規制壁66は、ハウジング41の後面から延出する第1分岐線30Aの各電線Wが通る電線挿通部67を介して、互いに分断されている。また、樋部55の底面部57には、引出部61を臨む位置に、一対の軸部68が起立して設けられている。一方、ハウジング41の後端部には、張出部45が両側方に張り出して設けられ、張出部45に、一対の遊嵌部46が貫通して設けられている。
【0035】
樋部55の規制壁66内に上方からハウジング41の後端部が組み付けられると、ハウジング41の遊嵌部46に軸部68が貫通するとともに、電線挿通部67に各電線Wが挿通される。その後、樋部55にカバー部56が被せ付けられることにより、ハウジング41の後端部の上方がカバー部56で閉塞される。この場合に、コネクタ40は、保持部52に保持されつつも、ハウジング41の後端部と規制壁66との隙間の範囲で且つ遊嵌部46内に軸部68が遊動する範囲において、首振りする等の位置変動が許容される。したがって、コネクタ40が相手コネクタ110と嵌合される際に、仮に、コネクタ40と相手コネクタ110との相対位置が正規の嵌合位置から位置ずれしていても、その位置ずれがコネクタ40の位置変動によって実質的に解消され、両コネクタ40、110が正規の嵌合位置に確実に至らしめられる。
【0036】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)引出部は、樋部の側面部の上端に開口せずに全周に亘って閉じた孔からなるものであってもよい。
(2)カバー部がヒンジを介して樋部に一体に連結されるものであってもよい。
(3)引出部は、カバー部を有さず、樋部の内面に設けた抜け止め手段によって各電線を抜け止め保持するものであってもよい。
(4)実施例3の場合、遊嵌部は、コネクタの底面に凹設される有底孔であってもよい。
【符号の説明】
【0037】
10…ワイヤーハーネス
20…幹線
30…分岐線
40…コネクタ
50…ベース体
52…保持部
55…樋部
56…カバー部
57…底面部
58…側面部
61…引出部
100…ボディ(機器側)
110…相手コネクタ
W…電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9