(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理部は、原稿が薄紙の原稿又は光透過性の端部を有する原稿である場合に、前記第1機能及び第2機能でそれぞれ得られる各原稿の先端位置の情報を併用して原稿の先端位置を決定し、かつ、原稿が前記原稿以外の原稿である場合に、前記第2機能で得られる原稿の先端位置の情報を用いて原稿の先端位置を決定する請求項3に記載の原稿読取装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という)について図面を参照しながら説明する。
【0019】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る原稿読取装置1を備えた画像形成装置100を概略的に示している。
【0020】
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置100は、原稿9の情報を読み取る原稿読取装置1と、原稿読取装置1で読み取った原稿の情報(読み取り画像)に基づいて画像を記録媒体の一例としての記録紙30に形成する画像形成部2と、画像形成部2に供給する記録紙30を収容するとともに送り出す給紙部3とを備えている。この画像形成装置100では、画像形成部2と給紙部3を本体101の内部に収容した状態で配置する一方で、原稿読取装置1を本体101の上方の位置に所要の空間をあけた状態で配置している。本体101は、その上面部に上記空間を利用した状態で、画像が形成された記録紙30を排出して収容するための排出収容部102を形成している。
【0021】
原稿読取装置1は、筐体10を有しており、その筐体10の前面側の上部にタッチパネル111と複数の操作ボタン112を有する操作部としてのコントロールパネル110を配置している。タッチパネル111は、ユーザーに操作メニューや警告、メッセージ等を表示する表示部を兼ねるとともに、表示した操作メニューに対する各種設定等の入力情報を受け付けるものである。また、操作ボタン112は、原稿9が複数の異なるサイズを含むものであるときに、ユーザーによって操作入力することができるミックス原稿サイズボタン112aを少なくとも含んでいる。このミックス原稿サイズの入力手段については、操作ボタン112aの形態に代えて、例えばタッチパネル111にミックス原稿サイズを選択するための入力画面を表示する形態の手段としてもよい。
【0022】
また、原稿読取装置1は、筐体10の上面部に、原稿9を置く光透過性の原稿台11と、その原稿台11を少なくとも覆う状態で筐体10に対して開閉操作できる原稿カバー12とを設けている。原稿カバー12には、原稿9を読取位置まで搬送するとともに読み取り後の原稿9を排出する自動原稿搬送部13と、自動原稿搬送部13により送るべき原稿9を置くための原稿トレイ12aと、自動原稿搬送部13から排出される原稿9を収容するため収容部12bが設けられている。
【0023】
画像形成部2は、イエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色のトナー像を形成する像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kと、その各像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kで形成されたトナー像を記録紙30に転写するまで中継して搬送する中間転写ユニット26と、中間転写ユニット26から記録紙30に転写したトナー像を定着する定着ユニット27とを備えている。
【0024】
4つの像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kは、使用するトナー(現像剤)の色が異なる点を除けばほぼ共通した電子写真方式を利用した構成からなるものである。すなわち、各像形成ユニット20はいずれも、矢印で示す方向に回転駆動する感光ドラム21と、感光ドラム21の表面を所要の電位に帯電する帯電装置22と、感光ドラム21の表面に画像情報に基づく露光をして静電潜像を形成する接触式等の露光装置23と、観光ドラム21に形成された静電潜像を対応する色のトナーで現像してトナー像とする現像装置24Y,24M,24C,24Kと、感光ドラム21上のトナー像を中間転写ユニット26(中間転写ベルト26a)に一次転写させる接触式等の一次転写装置25等を備えたものである。露光装置23には、原稿読取装置1で読み取られた原稿9の情報や画像形成装置1の外部等から入力される画像情報に基づいて所要の処理が施された画像信号が入力されるようになっている。
【0025】
中間転写ユニット26は、各像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kの一次転写位置を通過するように周回する無端状の中間転写ベルト26aを使用するものである。中間転写ベルト26aは、駆動ロール26b,従動ロール26c、張力を付与するテンションロール26c等に代表される複数のロールによって回転可能に支持されており、駆動ロール26bにより矢印で示す方向に回転するようになっている。また、中間転写ユニット26には、中間転写ベルト26aを挟んで従動ロール26cと対向する位置に接触式等の二次転写装置26dが配置されている。
【0026】
定着ユニット27は、筐体27aの内部に、加熱手段にて所要の温度に加熱されて矢印で示す方向に回転駆動するロール形態、ベルト形態等の加熱用回転体28bと、加熱用回転体27bに所要の圧力で接触して回転するロール形態、ベルト形態等の加圧用回転体27cと、定着後の記録紙30を排出収容部102に排出するよう搬送する排出ロール27d等を備えている。
【0027】
給紙部3は、所要のサイズ、種類等からなる複数枚の記録紙30を積み重ねた状態で収容する引き出し式の収容体31と、その収容体31に収容される記録紙30を1枚ずつ搬送路に送り出すロール方式等の送出装置32等で構成されている。収容体31は、例えば複数(31A,31B)装備され、その各収容体31A,31Bを本体101の上下方向に並べた状態で配置している。給紙部3と像形成部2の二次転写位置(中間転写ベルト26aと二次転写装置26dの間)との間には、給紙部3から送り出された記録紙30を二次転写位置まで搬送する供給搬送路28が配置されている。供給搬送路28は、複数の搬送ロール対28a〜28cと図示しない搬送ガイド材等で構成されている。
【0028】
<原稿読取装置の構成>
図2は、実施の形態1に係る原稿読取装置1(の内部構造等)を示している。
【0029】
原稿読取装置1は、原稿カバー12における原稿トレイ12aに置かれたシート状の原稿9を自動原稿搬送部13により収容部12bにむけて搬送する途上で原稿9の情報を移動させながら読み取る原稿移動読取モードと、筐体10の上面における原稿台11に置かれたシート状、冊子状等の原稿9を固定した状態で読み取る原稿固定読取モードとを備えている。そして、この原稿読取装置1では、その2つの読取モード(機能)をユーザーの選択操作により切り替えて利用できるようになっている。ちなみに、
図2は、原稿移動読取モードを選択したときの読み取り待機状態を示している。
【0030】
原稿読取装置1の筐体10の上面部には、原稿固定読取モード時に原稿9を置いてその原稿9の読み取り窓となる原稿台11が配置されている。原稿台11は、原稿9の搬送方向とほぼ直交する幅方向の中心部が搬送時の基準位置を通過するよう規制されて搬送される方式、いわゆるセンターレジ方式を採用する原稿台である。この原稿台11は、原稿台の左右端部となる部分に原稿9の左右側部の位置を揃える可動式の一対のサイドガイドが配置されており、その一対のサイドガイドを原稿9の幅方向の大きさに合わせて移動させて固定する。また、筐体10の上面部のうち原稿台11の一端側であって原稿カバー12の自動原稿搬送部13と対向する位置には、原稿移動読取モード時において自動原稿搬送部13により搬送される原稿9の読み取り窓となる読取窓部14が配置されている。原稿台11と読取窓部14はいずれも、無色透明のガラス板等により構成されている。さらに、筐体10の内部には、上記各読取モード時において原稿9に光を照射する照明ユニット15と、照明ユニット15からの光により発生する反射光を受光する受光部17とが配置されている。
図2においては、照明ユニット15から発した光の主な進む経路(光路:光束の中心軸)を二点鎖線で示している。
【0031】
照明ユニット15は、原稿固定読取モード時に照明ユニット15を移動させて原稿9の読み取りを行うときの直線状の読取方向(副走査方向)に往復移動する稼働型のものである。具体的には、上記副走査方向に対して往復移動するよう支持された第1のキャリッジ(移送体)150に、光を発する光源16と、光源16からの光の一部を原稿9にむけて反射させる反射部材としてのリフレクタ152と、原稿9等からの反射光を受ける第1の鏡面反射板153とを搭載した構成になっている。第1のキャリッジ150は、筐体10の内部において副走査方向に沿って伸びるよう配置されるレール155に案内されて往復移動する。また、リフレクタ152は、光源16から発せられる光の一部が読取位置Prの方向に反射されるように角度及び位置が調整されている。
【0032】
光源16としては、
図2や
図3に示すように、複数のLED(Light Emitting Diode)チップを基板上に直線状に並べて配置したライン型のLEDアレイ160と、このLEDアレイ160からの光を読取窓部14等に導く導光体当等で主に構成したものを適用している。LEDアレイ160は、そのライン方向(LEDチップの直線状に並ぶ方向)が、原稿移動読取モード時における原稿9の搬送方向(又は副走査方向)Cとほぼ直交する方向(主走査方向/
図2の紙面の鉛直方向)に沿って延びる状態で配置されている。このため、第1のキャリッジ150も主走査方向に沿って延びる細長い形態の構造物になっている。
【0033】
照明ユニット15は、原稿移動読取モード時には読取窓部14の下方となる基準位置(ホームポジション)に移動して停止した状態に保たれ、原稿固定読取モード時には原稿台11の下方となる副走査方向の領域を往復移動するよう制御される。
【0034】
受光部17は、照明ユニット15から得られる原稿9等からの反射光を結像させて読み取る受光ユニット170と、照明ユニット15から得られる原稿9等からの反射光を反射させて受光ユニット170まで導く反射ユニット175とで構成されている。
【0035】
受光ユニット170は、原稿カバー12の自動原稿搬送部13が配置された端部とは反対側の端部側となる筐体10の内部位置に配置されており、原稿9等からの反射光を最終的に受光して読み取る固体撮像素子171と、原稿9等からの反射光を結像させて固体撮像素子171に導く結像レンズ172等を備えている。固体撮像素子171としては、入力光をR(赤)、G(緑)、B(青)の色信号として生成する一次元ラインセンサーが3列一組で配置された電荷結合素子(CCD)を使用している。この固体撮像素子171は、結像レンズ172で結像されて受光される反射光を上記各色(R,G,B)に分けて光電変換してR,G,Bの色の画像信号を原稿9の読み取り情報(電圧信号)として出力する。
【0036】
反射ユニット175は、原稿固定読取モード時に照明ユニット15と共に副走査方向に往復移動する稼働型のものである。具体的には、上記副走査方向に対して往復移動するよう支持された第2のキャリッジ(移送体)176に、照明ユニット15の第1の鏡面反射板153からの反射光を受ける第2の鏡面反射板177と、この第2の鏡面反射板177からの反射光を受ける第3の鏡面反射板178とを搭載した構成になっている。第2のキャリッジ176は、筐体10の内部において副走査方向に沿って伸びるよう配置される図示しないレールに案内されて往復移動する。また、照明ユニット15における第1の鏡面反射板153をはじめ、反射ユニット175における第2の鏡面反射板177及び第3の鏡面反射板178は、読取位置Prに原稿9が存在する場合に、原稿9によって反射された原稿反射光(
図2における二点鎖線)が受光部17(最終的に固体撮像素子171)に到達するよう角度及び位置等が調整されている。
【0037】
この反射ユニット175は、原稿移動読取モード時には上記ホームポジションに移動して照明ユニット15と共に停止した状態に保たれ、原稿固定読取モード時には原稿台11の下方となる副走査方向の領域を往復移動するよう制御される。特にその原稿固定読取モード時には、反射ユニット175は、第1の照明ユニット15の副走査方向への移動中、原稿9の読取位置Prから固体撮像素子171までの光路(二点鎖線で示す直線)の長さが変動しないように、第2のキャリッジ176の移動量が第1のキャリッジ150の移動量の半分になるよう構成されている。つまり、照明ユニット15と反射ユニット175は、第1のキャリッジ150及び第2のキャリッジ176の移動量の関係により、受光ユニット170に対して縮小結像光学系を構成している。
【0038】
自動原稿搬送部13は、原稿トレイ12aから取り込んだ原稿9を、その搬送中の原稿9の情報を読み取る基準となる読取位置Prを通過させた後に収容部12bに排出させるよう搬送する、ほぼU字状の形状に曲がる経路からなる原稿搬送路18を有している。
【0039】
ここで、読取位置Prは、筐体10の上面部において原稿台11の一端側となる位置に配置される平面長方形の読取窓部14のうち原稿9の搬送方向におけるほぼ中央となる位置に設定されている。読取窓部14は、その平面長方形の長手(長辺)方向が、主走査方向に沿って延びる状態で配置されている。
【0040】
原稿搬送路18は、原稿トレイ12aに置かれた原稿9を1枚ずつ取り込むロール式等の取り込み機構18aと、取り込み機構18aによって取り込まれた原稿9を読取位置Prまで搬送する第1〜第3の搬送ロール対18b〜18dと、読み取り完了後の原稿9を収容部12bに排出するよう搬送する第1〜第2の排出ロール対18e,18fと、原稿搬送ロール対や排出ロール対により搬送される原稿9の搬送通路(空間)を形成して原稿9を搬送進路に沿って案内する搬送ガイド材18g,18h等で構成されている。第1〜第3の搬送ロール対18b〜18dと第1〜第2の排出ロール対18e,18fは、原稿9を原稿搬送路18内において所要の搬送速度で搬送するよう対応する回転速度で回転駆動するようになっている。
【0041】
また、原稿搬送路18の取り込み機構18aが設置されている位置の付近には、原稿搬送路18の原稿トレイ12aにおける原稿9の有無を検知する検知センサーSn1が配置されている。さらに、原稿搬送路18の第3の搬送ロール対18dが配置されている位置の付近(読取位置Prよりも原稿の搬送方向Cの上流側の位置)には、搬送される原稿9の先端及び後端が通過することを検知する検知センサーSn2が配置されている。検知センサーSn2としては、例えば、検出部材の一部であるアクチュエータ(揺動式の検出材)が原稿搬送路18の内部に通過する原稿9がないときに原稿搬送路18の内部に存在して静止した状態におかれ、通過する原稿9があるときにはアクチュエータが原稿9の先端9aに接触して原稿搬送の妨げにならない退避位置に揺動して変位し、そのアクチュエータの変位した状態を光学式センサーで検出して原稿9の先端9aを検出する接触式の検知手段が適用されている。また、この検知センサーSn2は、原稿9が通過し終わると、アクチュエータが上記静止した状態に戻り、これにより原稿の後端9bを検出する。そして、検知センサーSn2は、原稿搬送路18の搬送方向Cとほぼ直交する方向(読み取り時の主走査方向にほぼ相当する)において原稿9の幅方向における中心部が通過する位置に配置されている。
【0042】
また、自動原稿搬送部13は、
図2や
図3に示されるように、第3の搬送ロール対18dと第1の排出ロール対18eとの間であって読取窓部14と対向する位置に、原稿搬送路18に沿って搬送される途上の原稿9を読取位置Prに接近させて通過させるよう案内するとともに読取位置Prを通過した後に排出方向に搬送されるよう案内する読取案内部材19が配置されている。また、読取案内部材19には、その読取窓部14と対向する円弧状の下面部の一部に背景反射部4が設けられている。読取窓部14と原稿台11との間には、読取窓部14を通過した原稿9を第1の排出ロール18eが存在する排出用の原稿搬送路18側にむけて案内するための排出案内部材18jが設けられている。
【0043】
背景反射部4は、照明ユニット15の光源16から発する光を、読取位置Prを通過させてから受光部17の受光ユニット170(最終的には固体撮像素子171)に受光させるよう反射させるものである。また、背景反射部4は、原稿9が存在しない状態のときに原稿9で反射される原稿反射光の光量よりも多い光量の反射光を反射するように設定されているものである。「原稿9が存在しない状態のとき」とは、自動原稿搬送部13により搬送される原稿9が読取窓部14(読取位置Pr)を通過していないときや、原稿9が読取窓部14を通過している際に原稿9が実際に存在していない状態(背景部)になるときをいう。実施の形態1における背景反射部4は、読取案内部材19の下面部の一部に形成した窪み部19aの平面部に、フィルム状の反射部材(例えばアルミニウムの蒸着フィルムなど)を貼り付けることで構成されている。また、背景反射部4は、主走査方向に延びる細長い帯状の平面形状になっている。
【0044】
さらに、原稿読取装置1は、原稿移動読取モードによる原稿9の読み取りを行う場合、背景反射部4から反射される背景反射光の光量と原稿9から反射される原稿反射光の光量の差(光量差)を利用して、受光部17で受光した反射光の読み取り情報から原稿9の端部を自動的に検出する機能(第2機能)や、その読み取り情報から原稿9の読み取り時における傾き量を自動的に検出して補正する機能(第3機能)などを有する読み取り画像処理部5を備えている。
【0045】
図4は、読み取り画像処理部5とその周辺部の構成を機能的に示している。
【0046】
読み取り画像処理部5は、読み取り情報を所定の走査ライン数分だけ一時的に記憶して保持するバッファ記憶部51と、その記憶されている読み取り情報から原稿9の端部を検出する原稿端部検出部52と、読み取り情報から原稿9の読み取り画像の傾き量を検出する原稿傾き検出部53と、原稿9の読み取り画像の傾きを補正する原稿傾き補正部54等で構成されている。このうち原稿端部検出部52は、上記第2機能により原稿端部を検出する検出部A(521)を有している。また、原稿傾き検出部53と原稿傾き補正部54を併せた部分523は、上記第3機能を実行する部分になる。
【0047】
また、この読み取り画像処理部5には、バッファ記憶部51に対し、受光部17の固体撮像素子171に受光されて光電変換された後の読み取り情報(電圧信号)が信号処理部173においてサンプリング処理、増幅、A/D変換、シェーディング補正等の所要の信号処理がされて得られるデジタル信号からなる読み取り情報が送信される。信号処理部175で得られるデジタル信号からなる読み取り情報は、読み取り情報の記憶部174に記憶される。そして、この読み取り画像処理部5の動作については後述する。
【0048】
<画像形成装置の動作>
次に、画像形成装置100の基本的な動作について、原稿読取装置1の基本動作と画像形成部2の基本動作とに分けて説明する。
【0049】
はじめに、原稿読取装置1では、ユーザーが原稿9を原稿台11と原稿トレイ12aのいずれか一方に置き、コントロールパネル110のタッチパネル111及び操作ボタン112を操作して原稿読み取りを指示すると、原稿9の読み取り動作が開始する。この際、原稿読み取りの指示を受けると、例えば、原稿トレイ12aにおける原稿9の有無を検知する検知センサーSn1が原稿9のないことを検知している場合は原稿固定読取モードが自動で選択されるのに対し、検知センサーSn1が原稿9のあることを検知している場合は原稿移動読取モードが自動で選択される。
【0050】
原稿固定読取モードが選択された場合は、照明ユニット15の光源16が発光し始めるとともに、第1のキャリッジ155及び第2のキャリッジ176が駆動することにより照明ユニット15及び反射ユニット175が原稿台11の下方を副走査方向にそれぞれ移動し始める。
【0051】
これにより、原稿台11に置かれた原稿9は移動する照明ユニット15で照明され、そのときの原稿9の原稿台11と対面する表面で反射した原稿反射光が、第1の鏡面反射153、第2の鏡面反射板177及び第3の鏡面反射板178で順次反射された後に受光部17に受光される。受光部17では、その原稿反射光が結像レンズ172を通して固体撮像素子171に結像され、原稿の読み取り情報(アナログ画像信号(R,G,B))として出力される。
【0052】
一方、原稿移動読取モードが選択された場合は、第1のキャリッジ155及び第2のキャリッジ176が駆動することにより照明ユニット15及び反射ユニット175が読取窓部14の下方となるホームポジションに移動して停止するとともに、照明ユニット15の光源16が発光し始める。照明ユニット15の光源16から発せられた光は、その一部が読取窓部14における読取位置Prを直接照射し、他の一部がリフレクタ152で反射されて読取窓部14における読取位置Prを照射する。これに併せて、自動原稿搬送部13が駆動して原稿トレイ12aに置かれた原稿9を1枚ずつ原稿搬送路18を通して読取窓部14における読取位置Prを通過させるよう搬送する。
【0053】
これにより、
図2や
図5に例示するように、読取窓部14における読取位置Prを通過する原稿9はホームポジションに停止している照明ユニット15で照明され、そのときの原稿9の読取位置Prを通過する表面部分で反射した原稿反射光が、第1の鏡面反射板153、第2の鏡面反射板177及び第3の鏡面反射板178で順次反射された後に受光部17に継続して受光される。受光部17では、その原稿反射光が結像レンズ172を通して固体撮像素子171に結像され、原稿の読み取り情報(アナログ画像信号(R,G,B))として出力される。その後、読取窓部14を通過した原稿9は、原稿搬送路18を通して収容部12bに順次排出されて収容される。
【0054】
ここで、上記した原稿固定読取モードと原稿移動読取モードのいずれの読み取り時においても、固体撮像素子171から出力されたアナログ画像信号(R,G,B)は、
図4に示すように、A/D変換等の情報処理部173においてサンプリング処理、増幅、シェーディング処理、A/D変換等の所要の処理がなされた後、デジタル画像データ(R,G,B)からなる読み取り情報(読み取り画像)として読み取り画像処理部5(バッファ記憶部51)と読み取り情報の記憶部174に送信される。
【0055】
また、原稿移動読取モードによる読み取りを行った場合は、例えばミックス原稿サイズボタン112aが選択されているときに、そのときの読み取り情報が読み取り画像処理部5において下記の各処理が行われる。
【0056】
読み取り画像処理部5では、はじめに原稿端部検出部52において読み取り情報における原稿(読み取り画像)の端部を検出する処理が行われる。このときの原稿端部の検出は、後記するように原稿9の種類によって切り替えられるが、一般的な種類の原稿9のときには検出部Aにおいて行われる。検出部Aにおける検出は、受光部17(固体撮像素子171)で受光される原稿反射光及び背景反射光の光量の差を利用して原稿(読み取り画像)の少なくとも端部の情報を読み取るようになっている。
【0057】
この光量の差を利用して原稿(読み取り画像)の端部の情報を読み取れるのは、背景反射部4の背景反射光の光量が上述した通り原稿9が存在しない状態のときに原稿反射光の光量よりも多い光量に設定されているので、その原稿9の原稿反射光の光量が背景反射光の光量よりも必ず少なくなる(光量の差が発生する)関係が成立し、この結果、受光される各反射光の光量が変化するときの情報に基づいて読取位置Prにおける原稿9の有無(別の観点からは原稿の読み取り部とその背景部との境界)を検出することができるのである。
【0058】
図6は、受光部17の固体撮像素子171で読み取られる画像処理領域と原稿の情報(読み取り画像)との関係の一例を模式的に示している。
画像処理領域50iは、原稿9の搬送方向Cとほぼ直交する主走査方向の最大幅Wmが、固体撮像素子171の最大受光幅で規定され、原稿9の搬送方向Cとほぼ平行する副走査方向の長さLが、原稿9の搬送状態に対応して決定される読み取り時間で区切られる。つまり、副走査方向の長さLの読み取り開始は、原稿9の搬送時における先端の通過が検知センサーSn2で検知されて(ton)から所定の時間Taが経過した後の時点t1であり、その副走査方向の長さLの読み取り終了は、原稿9の搬送時における後端の通過が検知センサーSn2で検知されて(toff)から所定の時間Tbが経過した後の時点t2となる(
図9参照)。所定の時間Taについては、原稿9がセンサーSn2で検知されてから読取位置Prに達する前の時間内で設定される。
図6中の90iは、原稿9の読み取り画像である。この原稿の読み取り画像90iは、原稿9が搬送方向Cに対して角度α(傾き量)だけ傾いた状態で搬送されたときに読み取られた結果を例示している。また、画像処理領域50iのうち原稿の読み取り画像90i以外の部分は、背景反射部4から反射される背景反射光で構成される背景画像(背景部)40iである。
【0059】
検出部Aにおける原稿端部の検出では、以下のようにして原稿9の搬送方向Cにおける先端、後端及び左右端を検出する。
【0060】
すなわち、読み取り時の副走査方向(搬送方向C)においては、読取位置Prに原稿9が存在していない(到達していない)状態から原稿9が存在する(到達した)状態になると、受光部17で受光する反射光が背景反射光から原稿反射光に変化して光量が減ることになるので、その光量が最初に減少した時点t3における読み取り情報を原稿の先端9aの先端位置(アドレス情報)として処理する。一方、その副走査方向において読取位置Prにおいて原稿9が存在している状態から原稿9が存在しない(通過した)状態になると、受光部17で受光する反射光が原稿反射光から背景反射光に変化して光量が増えることになるので、その光量が最初に増加した時点t4における読み取り情報を原稿の後端9bの後端位置(アドレス情報)として処理する。
また、読み取り時の主走査方向においては、副走査方向における場合とほぼ同様に、受光部17で受光する反射光が背景反射光から原稿反射光に変化して光量が減るか又は受光部17で受光する反射光が原稿反射光から背景反射光に変化して光量が増えるが、その光量が最初に減少した時点における読み取り情報又は最初に増加した時点における読み取り情報を原稿の左端位置又は右端位置(アドレス情報)として処理する。
【0061】
また、原稿端部検出部52では、原稿端部の位置情報が得られることから、以下のような原稿9のサイズの検出も行われる。
【0062】
すなわち、画像処理領域50iにおいて原稿9の(仮の)先端9aが上述したような光量が最初に減少する時点3のものとして検出されると、
図6に示すように、その時点t3から次々に得られる先端の情報が集計されて予測上の先端Es(の連続した位置及び長さ)として処理される。これにより、原稿9の予測上の先端Esにおける一端から他端までの固体撮像素子171の画素の画素数aと、1つの画素あたりの原稿幅方向の長さbとに基づいて、原稿9の搬送方向Cにおける幅サイズLwが演算されて検出される(Lw=a×b)。
続いて、この予測上の先端Esが判別されると、その予測上の先端Esが搬送方向Cに対する傾き角度αが演算されて算出される。また、画像処理領域50iにおいて原稿9の(仮の)後端が上述したように光量が最初に増加する時点t4のものとして検出されると、その時点t4から次々と得られる後端の情報が集計されて予測上の後端Ee(の連続した位置及び長さ)として処理される。これにより、原稿9の読み取り画像90iにおける仮の先端の検出時点t3と仮の後端の検出時点t4から原稿9の通過所要時間tsが取得され、この通過所要時間tsと原稿搬送路18における原稿9の搬送速度Vとに基づいて、原稿9の搬送方向Cにおける長さサイズLnが演算されて検出される(Ln=V×ts)。
【0063】
また、読み取り画像処理部5では、原稿傾き検出部53において読み取り情報における原稿(読み取り画像)の傾き量を検出する処理が行われる。
【0064】
すなわち、原稿傾き検出部53では、原稿端部検出部52で得られた原稿の端部位置の検出結果から、原稿9の搬送(読取)時における傾き量αが算出される。つまり、原稿端部検出部52で得られた原稿の先端と左右端の検出結果に基づいて傾き量αの算出を行っている。換言すれば、受光部17で受光される原稿反射光及び背景反射光の光量の差から原稿の先端と左右端の各位置が確定することから、原稿の読み取り画像90iとその読み取り画像90i以外の領域である背景部の読み取り画像40iとの境界(線)が判明し、その境界と原稿の搬送方向C(読取方向でもある)とのなす角度(α)を傾き量αとして検出する(傾き処理の一部)。
【0065】
さらに、読み取り画像処理部5では、原稿傾き補正部54において読み取り情報における原稿(読み取り画像)の傾き量を補正する処理(傾き処理の一部)が行われる。
【0066】
すなわち、原稿傾き補正部54では、原稿傾き検出部53において原稿の読み取り画像90iに傾き量αが存在している場合に、その傾きのある原稿の読み取り画像90i(読み取り情報の記憶部174に記憶されている読み取り画像データ)を傾き角度αが「0」となるよう回転処理する。これにより、傾きのある原稿の読み取り画像90iは、
図7に例示するような傾きのない原稿の読み取り画像92i(α=0)に補正される。この原稿傾き補正部54による傾き補正は、デジタル画像データである電子データを補正するものであることから、例えば電子傾き補正と称することができる。
【0067】
最後に、読み取り画像処理部5では、
図4に示すように、原稿の読み取り情報を、最終的に原稿傾き補正部54において電子傾き補正を行うことにより傾きが補正された原稿の読み取り画像92iとして出力する。この傾きのない原稿の読み取り画像92iは、画像形成装置における画像形成部2(場合によっては原稿読取装置1)に配置される図示しない出力画像処理部に送信される。
【0068】
読み取り画像処理部5は、原稿移動読取モードにおいてミックス原稿サイズボタン112aが選択されている場合には、原稿トレイ12aから自動原稿搬送部13により搬送される原稿9の1枚ごとに、その各原稿9の端部及びサイズや傾き量を上述したように検出する。しかも、そのときに傾きのある原稿が存在する場合には、その傾きのある原稿の読み取り情報について上述した電子傾き補正を行う。
【0069】
次に、画像形成部2では、原稿読取装置1から受信した原稿9の読み取り情報(92i)に基づいて以下の画像形成動作が行われる。
【0070】
まず、画像形成部2の図示しない出力画像処理部において、原稿読取装置1から受信した読み取り情報がY,M,C,Kの各色の画像信号に変調された後、対応する像形成ユニット20(Y,M,C,K)の各露光装置23に送信される。そして、各像形成ユニット20(Y,M,C,K)では、矢印で示す方向に回転し始める感光ドラム21が帯電装置22で所要の電位に帯電された後に、その帯電された感光ドラム21の表面に露光装置23からの画像信号に基づく露光により所要の電位からなる静電潜像が形成される。
【0071】
次いで、この感光ドラム21に形成された静電潜像は、対応する現像装置24(Y,M,C,K)により現像されて所要の色のトナー像となる。続いて、像形成ユニット20(Y,M,C,K)の各感光ドラム21に形成されたトナー像は、中間転写ユニット26における矢印で示す方向に回転する中間転写ベルト26aに一次転写装置25により一次転写された後、中間転写ベルト26aにより二次転写装置26dと対向する二次転写位置まで搬送される。
【0072】
一方、給紙部3では、上記画像形成部2のトナー像の二次転写動作に合わせて、複数の収容体31A,31Bの1つに収容されている所要のサイズ等からなる記録紙30が送り出され、供給搬送路28を通して画像形成部2の二次転写位置まで搬送される。そして、その二次転写位置において中間転写ベルト26a上のトナー像が二次転写装置26dにより記録紙30に二次転写される。
【0073】
その後、トナー像が二次転写された記録紙30は、定着ユニット27に導入されてトナー像が記録紙30に定着された後、排出収容部102に排出される。これにより、記録紙30の片面にトナーで構成される所要の画像が形成される。以上の画像形成の動作は、原稿9の枚数や画像形成枚数に応じた分だけ同様に繰り返される。
【0074】
<原稿読取装置の詳細な構成>
さて、上記原稿読取装置1を備えた画像形成装置100では、原稿読取装置1において原稿9の読み取り画像(90i)から原稿の先端を検出する場合、その読み取り画像から原稿の傾きや原稿のサイズを検出する場合に比べると、要求されるレベルの精度で検出できない場合がある。
【0075】
例えば、原稿の傾き(角度α)を検出する場合は、読み取り情報から主走査方向において複数の検出データを得ることができて検出精度を確保しやすくなり、このことは原稿のサイズを検出する場合も同様である。これに対し、原稿の先端を検出する場合には、例えば、検出する地点(固定点)を決めて行おうとすると、原稿9の中央点、原稿の最初に検出できた角部等
を固定点として検出した際、その固定点に対する主走査方向における検出位置が限られたものになるため、少ない検出データしか得られない。また、その原稿の先端に関する検出データの平均値を原稿の先端位置の情報として処理した場合には、その後に行う他の処理が煩雑になってしまう。
また、原稿の傾きや原稿のサイズを検出する場合、原稿の読み取り情報を縮小したり、データの間引きをしても、その検出精度に影響がほとんどない。しかし、原稿の先端を検出する場合は、その原稿の先端(位置)そのものが変動してしまうため、その検出精度への影響が大きくなる。
また、検出データが離散的である場合、原稿の傾きに関する検出データが一定のまま離散的に得られるときには、その傾き検出には支障がない。しかし、原稿の先端に関する検出データが離散的に得られるときには、その先端位置そのものが不確定なものになるので先端検出ができなくなることがある。
さらに、一般に、検出データに要求される精度については、原稿の傾き等に対して原稿の先端の方が厳しい場合が多い。例えば、原稿の先端位置の検出データは、記録用紙の表裏面に形成する画像の先端の位置合わせを行うの際に重要な情報源となるので、その検出データの精度が
低いと、記録用紙の表裏面における画像先端の位置ずれが目視されやすくなる。これに対し、原稿の傾きは、画像先端の位置ずれに比べると、目視により確認しにくい傾向にある。
【0076】
この他にも、上記原稿読取装置1等においては、原稿読取装置1で読み取る原稿9の種類により、以下に説明するように原稿の端部を検出するときの検出精度が要求されるレベルで得られない場合がある。
【0077】
例えば、原稿9が薄紙の原稿9Aや光透過性の端部を有する原稿9Bである場合には、読み取り画像処理部5(の検出部A)において、原稿移動読取モードによる読み取りにおける原稿9A,9Bの先端位置の検出結果がばらついてしまうことがある。
つまり、薄紙の原稿9Aや光透過性の端部を有する原稿9Bでは、その各原稿9A,9Bの先端部で反射される原稿反射光の光量が、原稿9Aでは薄紙の先端部の反り等の変形や光透過性のある特性により、原稿9Bでは先端部の光透過性により、その原稿9A,9B以外の種類の原稿9における原稿反射光の光量に比べて増加し、背景反射部4からの背景反射光の光量との差が少なくなる。また、上記原稿9A,9Bが搬送されて読取位置Prに到達した最初の時点では、その読取位置Prよりも原稿の搬送方向Cの下流側に配置される光源16(照明ユニット)から照射される光が背景反射部4で反射し、そのときの背景反射光が当該原稿9A,9Bの先端部等を通過する。しかし、その各原稿9A,9Bが更に搬送されて読取位置Prを通過した時期になると、その各原稿9A,9Bの画像が形成されている部分などが光源16から照射される光の光路を遮断する状態になり、そのときの光が原稿部分で主に反射し、背景反射部4に届く割合が少なくなる。これにより、この原稿9が読取位置Prに到達した最初の時点と原稿9が読取位置Prを更に通過して進む時期とにおいても、受光部17(固体撮像素子171)に受光される反射光の光量に差が出てくることになる。
この影響により、読み取り画像処理部5の検出部Aでは、
図8に例示するように原稿9A,9Bの仮の先端位置の情報と推測される読み取り情報(図中の点線で示すような情報)Esが複数存在する(例えばEs1,Es2,Es3)ような処理状況か、又は仮の先端位置の情報と推測される読み取り情報が原稿の先端を示す直線的な情報として得られないという処理状況となって、そのいずれかの読み取り情報が任意に選択されることになるので、先端位置の検出結果が一律ではなく異なることがある。
【0078】
そして、この原稿9A,9Bの先端位置の検出結果がばらつくことにより、原稿の先端の位置情報(先端のリードレジ)の検出などが正確に行われないこと(原稿読取不良)もあり、この結果、かかる原稿の読み取り情報に基づく画像形成部2における画像の形成に際しては、原稿9の画像情報における先端のリードレジのずれに起因して記録用紙に形成される画像先端の位置ずれ等の不具合が発生することがある。
【0079】
なお、薄紙の原稿9Aとは、その片面から光を照射したときに、その光の一部をその他面に通過させるような状態になるものである。具体的には、基材が紙の原稿の場合であれば、その基材の坪量が40gsm以下のものや、一般にトレーシングペーパーと呼ばれる種類の基材からなるものである。また、基材がフィルムの原稿の場合であれば、その基材の光の透過率が例えば20%以上の範囲になるものである。
また、光透光性の端部を有する原稿9Bとは、少なくとも読み取り時における先端部が光透過性のものである。具体的には、OHPシート上に画像が記録されている原稿などである。
【0080】
そこで、実施の形態1に係る原稿読取装置1では、
図4、
図8、
図9等に示すように、読み取り画像処理部5(の原稿端部検出部52)に、読み取られる原稿の端部の情報のうち、原稿9(9A,9B)が検知センサーSn2により検知された時点(ton)から読取位置Prに達するまでに要する所要時間Tmが経過した時点tsにおける情報を、原稿(の読み取り画像上)の先端位置の情報として処理(先端処理)するという第1機能を実施する検出部B(522)を具備させている。
【0081】
ここで、所要時間Tmは、検知センサーSn2の原稿の先端を実際に検知するときの位置から読取位置Prまでの搬送路距離s2(
図8)と原稿の搬送速度Vとから算出されるものである(Tm=s2/V)。そして、読み取り画像処理部5では、特に原稿9A,9Bの場合における仮の先端位置の情報と推測される複数の読み取り情報(
図8における複数本の点線)や直線的でない読み取り情報のうちから、上記所要時間Tmが経過した時点tsの情報(アドレス情報)を含む読み取り情報部分を原稿の先端位置として決定する。
図8に示す例では、上記複数の読み取り情報(前述のEs1,Es2,Es3)のうち検知センサーSn2の位置と上記の時点tsとが一致する情報部分を含む読み取り情報(Es2)を、その原稿の先端位置として決定する場合の内容を示している。
【0082】
これにより、この原稿読取装置1では、原稿9が薄紙の原稿9Aや光透過性の端部を有する原稿9Bである場合でも、読み取り画像処理部5において、その読み取った原稿の情報から原稿9A,9Bの先端位置をばらつくことなく適切に確定することができる。また、この読み取り画像処理部5では、その原稿9A,9Bの先端位置が適切に確定されるので、その原稿9A,9Bのサイズや傾き量の検出や電子傾き補正も適切に行うことが可能になる。さらに、この読み取り画像処理部5では、傾いた状態で搬送される原稿9A,9Bの読み取りができ、その搬送を原稿9A,9Bの機械的な傾き補正手段を利用しないで静かに行うことができる。この場合、例えば原稿搬送路18に機械的な傾き補正手段を設けないように構成することも可能になる。
【0083】
そして、原稿読取装置1では、読み取る原稿9が原稿9A,9Bの場合でも、その読み取った原稿9A,9Bの情報において原稿9A,9Bの先端位置を適確に確定することができるので、画像形成部2では、その原稿読取装置1から送信される原稿9A,9Bの読み取り情報に基づく画像の形成を支障なく正常に行うことができる。
【0084】
ちなみに、実施の形態1に係る原稿読取装置1では、原稿9が薄紙の原稿9A又は光透過性の端部を有する原稿9Bである場合に、読み取り画像処理部5において、その検出部B(522)の第1機能により得られる各原稿の先端位置の情報と検出部A(521)の第2機能により得られる各原稿の先端位置の情報とを併用し、検出部Aからの検出情報の信頼度が低い場合に検出部Bからの検出情報を採用することにより、原稿の先端位置を最終的に決定するように構成するとよい。これにより、原稿9が原稿9A,9Bの場合に、2つの機能で得られる先端位置の情報を照らし合わせて正確な情報を選択することが可能になるので、読み取った原稿の情報において原稿9A,9Bの先端位置をより適切に確定することができる。
【0085】
また、この原稿読取装置1では、原稿9が前記原稿9A,9B以外の原稿である場合に、検出部A(521)の第2機能により得られる原稿の先端位置の情報のみを用いて原稿の先端位置を決定するように構成すればよい。つまり、受光部17(固体撮像素子171)で受光される原稿反射光及び背景反射光の光量の差から原稿9A,9Bの先端位置の情報を確定できる場合には、検出部A(521)の第2機能により得られる原稿9A,9Bの先端位置の情報のみをそのまま利用すればよい。
【0086】
原稿9が薄紙の原稿9A又は光透過性の端部を有する原稿9Bであるか又はそれ以外の原稿であるかの検出については、例えば、原稿読取装置1におけるコントロールパネル110や画像形成装置100の接続機器における設定画面からユーザーが入力する原稿9の種類に関する情報を使用したり、あるいは、原稿9の種類を自動的に識別できる識別センサーからの検出情報を使用するよう構成すればよい。
【0087】
[他の実施形態]
実施の形態1に係る原稿読取装置1は、自動原稿搬送部13における原稿搬送路18の読取位置Prよりも搬送方向C上流側の区間に、搬送ロール対の一部(18b〜18dの少なくとも1つ)の駆動を一時的に停止させる構成と、その一時停止した搬送ロール対に先端が突き当たった搬送中の原稿9の一部が湾曲して姿勢を変更するために変形し得る空間(ループ空間)18rを追加し(
図2参照)、これを機械的な原稿傾き補正機構として具備させるよう構成することもできる。
この機械的な原稿傾き補正機構は、原稿搬送路18を通して搬送される原稿9が一時停止する搬送ロール対に突き当たって停止させられるとともに一時停止する搬送ロール対の向き(主走査方向にほぼ沿う方向)に沿って揃えられた状態になり、その後、一時停止する搬送ロール対が再始動することにより、その原稿9に存在する傾きを補正した状態にできるものである。この機械的な原稿傾き補正は、例えば機械的傾き補正と称することもできる。
【0088】
この原稿傾き補正機構を設けた場合は、この機械的傾き補正と上記電子傾き補正を併用することが可能となる。このように傾き補正手段を併用した場合は、読み取り時に搬送される原稿9は、読取位置Prに達する前に機械的傾き補正がなされるので、その機械的傾き補正により傾きが解消されれば電子傾き補正が不要になり、また、電子傾き補正をする量を減少させることができる。
【0089】
また、この原稿傾き補正機構を設けた場合は、原稿9が原稿読取装置1において読取(搬送)が可能な最大サイズの原稿であるときには、機械的傾き補正を必ず実施するように構成してもよい。このように構成した場合は、電子傾き補正を不要にしたり、あるいは、電子傾き補正をする量を減少させることができる。さらに、原稿9が最大サイズの原稿より小さいサイズの原稿であるときには、機械的傾き補正を実施しないように構成してもよい。
【0090】
また、実施の形態1では、原稿読取装置1における光源16として点光源でもあるライン型のLEDアレイを適用する場合を例示したが、その光源16としては、例えば、冷陰極蛍光管ランプ(CCFL)、キセノンランプ(Xeランプ)、ハロゲンランプ、導光体の主走査方向の両端部に1つずつ発光パワーが強いLEDを内向きに配置してその各LEDからの光を導光体の内部を通して主走査方向に分散させるように導いて出射させる形式のランプなど)を適用しても構わない。また、光源16と受光部17については、光源16と受光部17(受光レンズ、CMOSなど)を一体化した形式の発光受光ユニット(例えばCIS密着型センサー:コンタクトイメージセンサー)などを適用してもよい。
【0091】
また、実施の形態1では、原稿読取装置1における背
景反射部4として読取案内部材19の一部にフィルム状の反射部材を貼り付けて構成する場合を示したが、この他にも、例えば、読取案内部材19の読取窓部14と対向する下面に要求される反射特性を有する反射面部を直接形成して構成するようにしてもよい。実施の形態1では、原稿読取装置1において光源16から照射される光を原稿反射光の光量よりも多い光量を背景反射光として反射する背景反射部4と適用する場合を例示したが、その背景反射部4に代えて、例えば、光源16から照射される光をほとんど反射さない黒色背面部などを適用し、その黒色背面部からの読み取り情報(黒背景部)と原稿9からの原稿反射光による原稿の読み取り情報との差から原稿の端部等を検出するように構成することも可能である。
【0092】
さらに、実施の形態1では、原稿読取装置1を画像形成装置100と組み合わせて使用する場合を例示したが、原稿読取装置1については、この他にも、例えば原稿読取装置1を単独(スキャナー)で使用するように構成したり、あるいは、原稿読取装置1をファクシミリの原稿読取手段として機能させるよう構成してもよい。
【0093】
この他、画像形成装置100については、画像読取装置1で読み取った原稿の情報に基づく画像の形成が可能なものであればよく、その像形成部の画像形成方式、中間転写方式の構成や有無等については特に限定されない。画像形成方式としては、例えば、インクジェット記録方式等も可能である。