(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ユーザと共に移動する端末装置により前記ユーザが通行した道路の履歴を表す通行履歴情報を収集し、前記通行履歴情報に基づき設定した通常通行ルートに関する情報を前記ユーザに提供する情報提供システムであって、
前記ユーザが前記通常通行ルートを離脱地点にて離脱した際の状況である離脱状況に基づき渋滞監視範囲を設定し、前記ユーザが次に前記離脱地点に到達した際に前記通常通行ルートにおける前記渋滞監視範囲内の道路の渋滞を示す情報があれば、前記通常通行ルートから離脱する渋滞迂回ルートの情報を前記ユーザに提供する演算処理部を備え、
前記演算処理部は、前記離脱地点の周辺道路が渋滞していると共に前記ユーザによる前記端末装置の操作がないままで離脱したという前記離脱状況を、第一離脱状況と判定し、前記ユーザによる前記端末装置の操作があり、当該操作に応じて前記端末装置の表示画面に前記通常通行ルートに含まれる道路の渋滞を示す情報が表示された後で離脱したという前記離脱状況を、第二離脱状況と判定すると共に、
前記離脱状況が前記第一離脱状況であると判定した場合には、前記離脱地点からの離間距離が第一設定距離以下の第一領域に前記渋滞監視範囲を設定し、前記離脱状況が前記第二離脱状況であると判定した場合には、前記離脱地点に対して前記通常通行ルートの終点側であって前記離脱地点からの離間距離が前記第一設定距離よりも長い第二設定距離以下の第二領域を、前記第一領域に加えて含むように前記渋滞監視範囲を設定する情報提供システム。
ユーザと共に移動する端末装置により前記ユーザが通行した道路の履歴を表す通行履歴情報を収集し、前記通行履歴情報に基づき設定した通常通行ルートに関する情報を前記ユーザに提供する情報提供方法であって、
演算処理装置が、前記ユーザが前記通常通行ルートを離脱地点にて離脱した際の状況である離脱状況に基づき渋滞監視範囲を設定し、前記ユーザが次に前記離脱地点に到達した際に前記通常通行ルートにおける前記渋滞監視範囲内の道路の渋滞を示す情報があれば、前記通常通行ルートから離脱する渋滞迂回ルートの情報を前記ユーザに提供する処理を実行し、
前記演算処理装置が、前記離脱地点の周辺道路が渋滞していると共に前記ユーザによる前記端末装置の操作がないままで離脱したという前記離脱状況を、第一離脱状況と判定し、前記ユーザによる前記端末装置の操作があり、当該操作に応じて前記端末装置の表示画面に前記通常通行ルートに含まれる道路の渋滞を示す情報が表示された後で離脱したという前記離脱状況を、第二離脱状況と判定すると共に、
前記離脱状況が前記第一離脱状況であると判定した場合には、前記離脱地点からの離間距離が第一設定距離以下の第一領域に前記渋滞監視範囲を設定し、前記離脱状況が前記第二離脱状況であると判定した場合には、前記離脱地点に対して前記通常通行ルートの終点側であって前記離脱地点からの離間距離が前記第一設定距離よりも長い第二設定距離以下の第二領域を、前記第一領域に加えて含むように前記渋滞監視範囲を設定する情報提供方法。
ユーザと共に移動する端末装置により前記ユーザが通行した道路の履歴を表す通行履歴情報を収集し、前記通行履歴情報に基づき設定した通常通行ルートに関する情報を前記ユーザに提供する情報提供プログラムであって、
前記ユーザが前記通常通行ルートを離脱地点にて離脱した際の状況である離脱状況に基づき渋滞監視範囲を設定し、前記ユーザが次に前記離脱地点に到達した際に前記通常通行ルートにおける前記渋滞監視範囲内の道路の渋滞を示す情報があれば、前記通常通行ルートから離脱する渋滞迂回ルートの情報を前記ユーザに提供する情報提供処理を、コンピュータに実行させ、
前記情報提供処理では、前記離脱地点の周辺道路が渋滞していると共に前記ユーザによる前記端末装置の操作がないままで離脱したという前記離脱状況を、第一離脱状況と判定し、前記ユーザによる前記端末装置の操作があり、当該操作に応じて前記端末装置の表示画面に前記通常通行ルートに含まれる道路の渋滞を示す情報が表示された後で離脱したという前記離脱状況を、第二離脱状況と判定すると共に、
前記離脱状況が前記第一離脱状況であると判定した場合には、前記離脱地点からの離間距離が第一設定距離以下の第一領域に前記渋滞監視範囲を設定し、前記離脱状況が前記第二離脱状況であると判定した場合には、前記離脱地点に対して前記通常通行ルートの終点側であって前記離脱地点からの離間距離が前記第一設定距離よりも長い第二設定距離以下の第二領域を、前記第一領域に加えて含むように前記渋滞監視範囲を設定する情報提供プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。情報提供システムは、ユーザと共に移動する端末装置によりユーザが通行した道路の履歴を表す通行履歴情報を収集し、通行履歴情報に基づき設定した通常通行ルートに関する情報をユーザに提供するシステムである。ここでは、
図1に示すように、情報提供システム1を、車両に備えられた端末装置3と、端末装置3と通信可能に設けられた管理サーバ2とを備えて構成する場合を例として説明する。ここで、端末装置3が車両に備えられるとは、少なくとも端末装置3の使用時に車両に備えられることを意味し、端末装置3が車両に固定的に搭載される場合だけでなく、端末装置3の少なくとも一部が使用時にのみ車両に持ち込まれる場合も含まれる。本実施形態では、端末装置3は、ユーザ(ここでは車両の乗員、特に運転者)に対して地点や経路に関する案内情報を提供するナビゲーション機能も有している。以下の説明では、車両とは、端末装置3が備えられた車両を指す。本実施形態では、車両が、プローブ情報(通行履歴情報等)を管理サーバ2に送信するプローブカーとして機能する。
【0013】
1.端末装置の構成
端末装置3は、
図1に示すように、第一演算部21、位置情報検出装置4、表示入力装置5、音声出力装置6、第一通信装置11、及び第一記憶装置31を備えている。第一演算部21は、単数又は複数のCPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置を中核部材として備えると共に、当該演算処理装置が参照可能な記憶装置(例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等)を備えている。第一演算部21の演算処理装置は、第一記憶装置31に記憶された情報を参照可能に構成されている。第一記憶装置31は、例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリ等のように、情報を記憶及び書き換え可能な記憶媒体をハードウェア構成として備える。端末装置3が実行する各プログラムは、第一演算部21の記憶装置に記憶されても良いし、第一記憶装置31に記憶されても良い。また、端末装置3を構成する各構成要素は、互いに通信可能な複数の装置に分かれて備えられても良い。
【0014】
本実施形態では、第一記憶装置31には、地図情報が記憶されている。地図情報には、交差点等に設定されるノードと、2つのノードの間を接続する道路に対応するリンクとにより構成される、道路ネットワーク情報が含まれる。各ノードは、緯度及び経度で表された地図上の位置(座標)の情報を有している。各リンクは、リンクの始点及び終点の位置(座標)、リンク長、車線数、道路幅、道路種別等の情報を有している。
【0015】
第一通信装置11は、無線通信により管理サーバ2との間でデータの送受信が可能に構成されている。この無線通信は、例えば、携帯電話網、無線LAN(Local Area Network)、VICS(登録商標;Vehicle Information and Communication System)、路車間通信(車両と道路側に設置された通信装置との間での通信)等の、種々の無線通信設備を利用して行う構成とすることができる。
【0016】
第一演算部21は、位置情報取得部41、入力受付部42、出力制御部43、及びプローブデータ生成部44を備えている。これ以外にも、第一演算部21は、ナビゲーション機能(例えば、表示装置に案内情報を表示させる表示機能等)を実現するための機能部を備えている。第一演算部21の各機能部は、第一演算部21の演算処理装置が参照可能な記憶装置に記憶されたソフトウェア(プログラム)又は別途設けられた演算回路等のハードウェア、或いはそれらの両方により構成される。第一演算部21の各機能部は、通信ネットワークを介して互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。なお、第一演算部21の複数の機能部を組み合わせたり、1つの機能部を更に区分けしたりしても良い。
【0017】
位置情報取得部41は、位置情報検出装置4から取得した情報に基づき演算を行って、端末装置3の現在位置(本例では、自車両の現在位置)を示す自位置情報を、定期的に(例えば1秒毎に)取得する機能部である。この際、必要に応じて、第一記憶装置31に記憶された地図情報に基づき、現在位置(自位置)を道路上に合わせるための補正処理(マップマッチング処理)が実行される。位置情報取得部41は、自位置情報に加えて時刻の情報(日付の情報を含んでも良い。以下で言及する「時刻の情報」についても同様。)も取得可能に構成されている。時刻の情報は、例えば、位置情報検出装置4から取得した情報に基づき取得され、又は、端末装置3の内臓時計の出力に基づき取得される。位置情報検出装置4は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機、距離センサ、方位センサ等の、位置情報を検出するための各種装置を備える。
【0018】
入力受付部42は、ユーザによる端末装置3の操作(入力操作)を受け付ける機能部である。本実施形態では、端末装置3は、表示装置と入力装置とが一体となった表示入力装置5を備えている。そして、表示入力装置5に対するユーザの入力操作が、入力受付部42によって受け付けられる。ユーザの入力操作には、例えば、目的地等の地点の入力操作、地図画像M(地図情報を示す画像)のスクロール操作(
図3参照)、地図画像Mの縮尺変更操作等が含まれる(
図4参照)。表示入力装置5は、例えば、液晶ディスプレイとタッチパネルとが一体となった装置とされる。入力装置とは独立の表示装置(例えば、車両のフロントガラスに表示画像を投影する表示装置等)を用いることも可能である。
【0019】
出力制御部43は、ユーザに情報を提供するための情報出力装置の出力を制御する機能部である。すなわち、情報提供システム1によるユーザに対する情報の提供は、情報出力装置を用いて実行される。ここで、「情報を提供」とは、ユーザが認知可能な形態で情報を出力することであり、例えば、画像や音声による情報の提供とされる。本実施形態では、端末装置3は、情報出力装置として表示入力装置5と音声出力装置6とを備え、出力制御部43は、表示入力装置5の表示画面D(表示領域)に表示させる画像を制御(描画制御)すると共に、音声出力装置6から出力させる音声を制御する。音声出力装置6は、例えば、スピーカやアンプ等の音声を出力するための装置により構成される。本実施形態では、表示入力装置5の表示画面Dが、端末装置3の表示画面として機能する。
【0020】
第一演算部21は、出力制御部43を介して、
図3及び
図4に示すように、表示入力装置5の表示画面Dに地図画像Mを表示させるように構成されている。この際、第一記憶装置31に記憶されている地図情報が適宜参照される。また、地図画像Mには、管理サーバ2等から供給される交通情報に基づき取得された渋滞区間の情報も含まれる。
図3や
図4において“J1”や“J2”で示す区間が渋滞区間である。また、第一演算部21は、出力制御部43を介して、経路案内のための案内音声や交通情報を通知するための通知音声を音声出力装置6に出力させるように構成されている。
【0021】
図3及び
図4に示すように、表示画面Dには、基本的に、端末装置3の現在位置を含む表示範囲S(
図2参照)の地図画像Mが表示される。
図3及び
図4に示す例では、地図画像Mに重ねて端末装置3の現在位置を示すマークCが表示されている。表示画面Dに表示される地図画像Mの表示範囲Sは、ユーザによる端末装置3の操作によって変更される。すなわち、表示画面Dには、ユーザによる端末装置3の操作に応じて表示範囲Sが変更される地図画像Mが表示される。表示範囲Sは、例えば、ユーザによる地図画像Mのスクロール操作や、ユーザによる地図画像Mの縮尺変更操作によって変更される。スクロール操作や縮尺変更操作は、例えば、ユーザによるキー操作、ユーザの発話音声による操作(音声認識による操作)、ユーザの指によるタッチパネルに対する操作によってなされる。タッチパネルに対する操作には、タッチ操作、ドラッグ操作、フリック操作、ピンチ操作(ピンチイン操作又はピンチアウト操作)等が含まれる。なお、表示画面Dに表示される地図画像Mの表示範囲Sを変更させるための、ユーザによる端末装置3の操作は、スクロール操作や縮尺変更操作に限定されず、表示範囲Sを変更させるためのあらゆる操作を含む。
【0022】
図2及び
図3に示すように、ユーザによるスクロール操作が入力受付部42によって受け付けられると、出力制御部43は、地図画像Mの縮尺を維持したまま、当該スクロール操作に応じた方向に当該スクロール操作に応じた距離だけ、地図画像Mをスクロールさせる。なお、
図2は、地図データの一部を概念的に示した図であり、スクロール操作前の状態(
図3の左側に示す状態)に対応する表示範囲Sを左側に示し、スクロール操作後の状態(
図3の右側に示す状態)に対応する表示範囲Sを右側に示している。また、
図4に示すように、ユーザによる縮尺変更操作が入力受付部42によって受け付けられると、出力制御部43は、当該縮尺変更操作に応じて、表示画面Dに表示される地図画像Mの縮尺を変更する。
図4に示す例では、ユーザの縮尺変更操作によって、縮尺の変更前の状態(
図4の左側に示す状態)に比べて縮尺が小さい状態(
図4の右側に示す状態)に表示範囲Sが変更される場合を例示している。ここで、本明細書では、二点間の表示画面D上での距離を、当該二点間の実際の地表上での距離で除算した値の大小に応じて、縮尺の大小を定義している。すなわち、縮尺が小さくなるに従って表示画面Dにはより広い表示範囲Sの地図画像Mが表示される。
【0023】
プローブデータ生成部44は、管理サーバ2へ送信するプローブデータ61を生成する機能部である。プローブデータ61には、ユーザが通行した道路の履歴を表す通行履歴情報がプローブ情報として含まれる。通行履歴情報は、ユーザと共に移動する端末装置3により収集され、本実施形態では、端末装置3によって収集された通行履歴情報が、管理サーバ2へ送信される。本実施形態では、プローブデータ生成部44は、位置情報取得部41が取得した自位置情報と、第一記憶装置31に記憶された地図情報とに基づいて、道路特定情報が含まれた通行履歴情報を生成する。道路特定情報は、通行履歴(ユーザが通行した道路の履歴)に含まれる各道路を特定するための情報であり、例えば、リンクを特定する情報(リンクIDの情報)や、ノードを特定する情報(ノードIDの情報)等とされる。
【0024】
本実施形態では、通行履歴情報には、通行履歴に含まれる各道路(例えば、各リンク)を通行した時刻の情報が、対応する道路特定情報に関連付けられた状態で含まれる。道路を通行した時刻の情報は、例えば、各道路へ進入した時刻の情報や、各道路から退出した時刻の情報等とされる。例えば、自位置情報が、当該自位置情報が取得された際の時刻の情報に関連付けられた状態で第一記憶装置31に一時的に記憶され、プローブデータ生成部44が第一記憶装置31に記憶された情報を参照して通行履歴情報を生成する構成とすることができる。
【0025】
本実施形態では、プローブデータ61には、通行履歴情報に加えて、ユーザが端末装置3に対して行った操作の履歴を表す操作履歴情報が、プローブ情報として含まれる。ここでは、表示画面Dに表示される地図画像Mの表示範囲Sを変更させるための操作を、操作履歴の記録対象としている。例えば、地図画像Mのスクロール操作や地図画像Mの縮尺変更操作が、操作履歴の記録対象に含まれる。プローブデータ生成部44は、入力受付部42が受け付けたユーザによる端末装置3の操作の情報に基づいて、操作特定情報が含まれた操作履歴情報を生成する。操作特定情報は、操作履歴に含まれる各操作の内容を特定するための情報であり、本実施形態では、端末装置3に対する操作後に表示画面Dに表示された地図画像Mの表示範囲Sの情報を含む。
【0026】
本実施形態では、操作履歴情報には、操作履歴に含まれる各操作が行われた時刻の情報が、対応する操作特定情報に関連付けられた状態で含まれる。例えば、ユーザによる端末装置3の操作の情報が、当該操作が行われた時刻の情報に関連付けられた状態で第一記憶装置31に一時的に記憶され、プローブデータ生成部44が、第一記憶装置31に記憶された情報を参照して操作履歴情報を生成する構成とすることができる。操作履歴に含まれる各操作が行われた地点の情報(例えば、各操作が行われた際の自位置情報や、各操作が行われた際の通行道路(リンク)を特定する情報等)も、対応する操作特定情報に関連付けられた状態で操作履歴情報に含まれる構成としても良い。
【0027】
プローブデータ生成部44は、予め定められたタイミングで(例えば、随時或いは一定間隔毎に)プローブデータ61を生成する。本実施形態では、生成されたプローブデータ61は、第一記憶装置31に一時的に記憶される。そして、第一演算部21は、予め定められたタイミングで(例えば、随時或いは一定間隔毎に)、第一記憶装置31に記憶されたプローブデータ61を管理サーバ2に送信する。この際、複数の端末装置3のそれぞれを識別するための識別情報(例えば端末ID等)も併せて送信される。なお、プローブデータ61の管理サーバ2への送信タイミングを、車両の主電源がオフ状態に切り替えられた時点に設定することも可能である。この場合、車両の主電源がオフ状態に切り替えられた際に、車両の主電源がオン状態に切り替えられてからオフ状態に切り替えられるまでの間に生成されたプローブデータ61(一走行分の通行履歴情報及び操作履歴情報を含むプローブデータ61)が、管理サーバ2へ送信される。
【0028】
2.管理サーバの構成
管理サーバ2は、
図1に示すように、第二演算部22、第二通信装置12、及び第二記憶装置32を備えている。第二演算部22は、単数又は複数のCPU等の演算処理装置を中核部材として備えると共に、当該演算処理装置が参照可能な記憶装置(例えば、RAMやROM等)を備えている。第二演算部22は、第二記憶装置32に記憶された情報を参照可能に構成されている。第二記憶装置32は、例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリ等のように、情報を記憶及び書き換え可能な記憶媒体をハードウェア構成として備える。管理サーバ2が実行する各プログラムは、第二演算部22の記憶装置に記憶されても良いし、第二記憶装置32に記憶されても良い。また、管理サーバ2を構成する各構成要素は、互いに通信可能な複数の装置に分かれて備えられても良い。本実施形態では、第二演算部22が本発明における「演算処理部」や「演算処理装置」に相当する。
【0029】
第二記憶装置32には、地図情報が記憶されている。地図情報には、交差点等に設定されるノードと、2つのノードの間を接続する道路に対応するリンクとにより構成される、道路ネットワーク情報が含まれる。第二通信装置12は、無線通信により端末装置3との間でデータの送受信が可能に構成されている。この無線通信は、例えば、携帯電話網、無線LAN、VICS、路車間通信等の、種々の無線通信設備を利用して行う構成とすることができる。
【0030】
第二演算部22は、データ取得部51、通常通行ルート設定部52、渋滞監視範囲設定部53、及び提供情報生成部54を備えている。これ以外にも、第二演算部22は、ナビゲーション機能(例えば、目的地までの経路を探索する経路探索機能)を実現するための機能部を備えている。第二演算部22の各機能部は、第二演算部22の演算処理装置が参照可能な記憶装置に記憶されたソフトウェア(プログラム)又は別途設けられた演算回路等のハードウェア、或いはそれらの両方により構成される。第二演算部22の各機能部は、通信ネットワークを介して互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。なお、第二演算部22の複数の機能部を組み合わせたり、1つの機能部を更に区分けしたりしても良い。
【0031】
データ取得部51は、端末装置3から送信されるプローブデータ61を取得する機能部である。本実施形態では、データ取得部51は、複数の端末装置3のそれぞれからプローブデータ61を受信することで、複数の端末装置3のそれぞれの通行履歴情報や操作履歴情報を取得する。データ取得部51が取得した通行履歴情報や操作履歴情報は、端末装置の識別情報(端末ID)に関連付けられた状態で第二記憶装置32に記憶される。第二記憶装置32に記憶された通行履歴情報は、端末ID、通行履歴(通行リンク列)の始点(出発地)の位置、通行履歴(通行リンク列)の終点(目的地)の位置、通行期間、通行時刻等の各種条件によって抽出可能とされる。例えば、予め定められた通行期間(例えば、現在から遡って1カ月以内)で且つ予め定められた時間帯(例えば、午前8時から午前9時間での間)の通行履歴情報のみを抽出することができる。同様に、第二記憶装置32に記憶された操作履歴情報は、端末ID、操作が行われた地点の位置、操作が行われた時刻等の各種条件によって抽出可能とされる。
【0032】
第二演算部22は、データ取得部51が取得した端末装置3の通行履歴情報に基づき交通情報を生成する。本実施形態では、データ取得部51は、交通情報配信センタ等から交通情報を受信するように構成されており、第二演算部22は、交通情報配信センタ等から受信した交通情報にも基づいて、交通情報を生成する。第二演算部22が生成する交通情報には、例えば、渋滞情報や通行規制情報等が含まれる。第二演算部22が生成した交通情報は、端末装置3に対して配信データ62として適宜供給されると共に、当該交通情報が発生した時刻や日付の情報に関連付けられた状態で第二記憶装置32に記憶される。第二記憶装置32に記憶された交通情報は、期間、時刻等の各種条件によって抽出可能とされる。第二記憶装置32に記憶された交通情報は、渋滞監視範囲設定部53や提供情報生成部54によって適宜参照される。
【0033】
通常通行ルート設定部52は、通常通行ルートR1を設定する機能部である。通常通行ルートR1は、端末装置3のユーザが頻繁に或いは日常的に通行するルートである。通常通行ルートR1は、ユーザ毎或いは端末装置3毎に設定される。通常通行ルートR1は、少なくともユーザの通行回数に基づき設定される。例えば、通常通行ルートR1は、始点及び終点が共通である複数のルートの中で、予め定められた判定期間内(例えば、現在から遡って1ヶ月以内)の通行回数が最大であるルートに設定される。本実施形態では、通常通行ルート設定部52は、1日を時刻に基づき複数の時間帯に分割し、時間帯毎に通常通行ルートR1を設定する。例えば、「早朝」、「昼」、「夕方」、及び「夜」のそれぞれに相当する4個の時間帯が設定される構成とし、或いは、1時間毎に24個の時間帯が設定される構成とすることができる。
【0034】
渋滞監視範囲設定部53は、ユーザが通常通行ルートR1を離脱地点P3にて離脱した際の状況である離脱状況に基づき、渋滞監視範囲Aを設定する機能部である。渋滞監視範囲設定部53は、離脱地点P3毎に渋滞監視範囲Aを設定する。
図2に示す例では、通常通行ルートR1を始点P1から終点P2側に向かって走行している車両が、離脱地点P3にて通常通行ルートR1を離脱して別ルート(渋滞迂回ルートR2)を走行する状況を示している。この例では、通常通行ルートR1における離脱地点P3よりも終点P2側に、第一渋滞区間J1と第二渋滞区間J2との2つの渋滞区間が含まれている。ここで、第一渋滞区間J1における渋滞は、離脱地点P3からユーザが目視で認識可能な渋滞であるとし、第二渋滞区間J2における渋滞は、離脱地点P3からユーザが目視で認識不可能な渋滞であるとする。
【0035】
本実施形態では、離脱状況として、以下に述べる第一離脱状況、第二離脱状況、及び第三離脱状況の、3つの離脱状況を設定している。第一離脱状況は、離脱地点P3の周辺道路が渋滞していると共にユーザによる端末装置3の操作がないままで離脱したという離脱状況である。言い換えれば、渋滞監視範囲設定部53は、離脱地点P3の周辺道路が渋滞していると共にユーザによる端末装置3の操作がないままで離脱したという離脱状況を、第一離脱状況と判定する。ここで、離脱地点P3の周辺道路は、例えば、通常通行ルートR1に含まれる道路であって、離脱地点P3からの離間距離(道路の延在方向に沿った距離。以下で言及する「離間距離」についても同様。)が設定距離以下の道路である。離脱地点P3の周辺道路には、通常通行ルートR1における離脱地点P3に対して始点P1側及び終点P2側の両側の道路が含まれる。この設定距離は、例えば、ユーザが目視できる距離に対応して設定される。この設定距離は、後述する第一設定距離L1と同一の値に設定しても良く、また、ユーザが離脱地点P3で離脱した際の環境条件(天候や時間帯等)によって異なる値に設定しても良い。例えば、
図2に示す例では、第一離脱状況として、ユーザが第一渋滞区間J1における渋滞を目視で認識して、当該渋滞を避けるために渋滞迂回ルートR2を通行する状況が想定される。
【0036】
第二離脱状況は、ユーザによる端末装置3の操作があり、当該操作に応じて端末装置3の表示画面Dに通常通行ルートR1に含まれる道路の渋滞を示す情報が表示された後で離脱したという離脱状況である。言い換えれば、渋滞監視範囲設定部53は、ユーザによる端末装置3の操作があり、当該操作に応じて端末装置3の表示画面Dに通常通行ルートR1に含まれる道路の渋滞を示す情報が表示された後で離脱したという離脱状況を、第二離脱状況と判定する。ここでいう「ユーザによる端末装置3の操作」は、本実施形態では、表示画面Dに表示される地図画像Mの表示範囲Sを変更させるための操作である。また、ここでいう「渋滞を示す情報」は、本実施形態では、当該操作前に表示画面Dに表示されていなかった情報である。例えば、
図2に示す例では、第二離脱状況として、ユーザによる端末装置3の操作に応じて、
図3や
図4に示すように、表示画面Dに表示される地図画像Mの表示範囲Sが変更され、操作前の表示画面Dには表示されていなかった第二渋滞区間J2における渋滞を認識して、当該渋滞を避けるために渋滞迂回ルートR2を通行する状況が想定される。なお、
図2に示す例において第一渋滞区間J1における渋滞がない場合についても、第二離脱状況として、同様の状況が想定される。
【0037】
第三離脱状況は、第一離脱状況及び第二離脱状況のいずれでもない離脱状況である。例えば、離脱地点P3の周辺道路が渋滞していないと共にユーザによる端末装置3の操作がないままで離脱したという離脱状況が、第三離脱状況に含まれる。また、例えば、ユーザによる端末装置3の操作があったが、端末装置3の表示画面Dに通常通行ルートR1に含まれる道路の渋滞を示す情報が表示されないままで離脱したという離脱状況が、第三離脱状況に含まれる。
【0038】
本実施形態では、渋滞監視範囲設定部53は、
図7に示す手順に沿って、渋滞監視範囲Aを設定する。
図7に示すように、通常通行ルートR1が設定されている状態において、ユーザが通常通行ルートR1とは異なるルートを通行したと判定された場合に(ステップ#01:Yes)、ステップ#02以降の各ステップが実行される。この際、渋滞監視範囲設定部53は、データ取得部51が取得したプローブデータ61に含まれる通行履歴情報を参照して、ステップ#01の判定を行う。なお、この判定は、データ取得部51がプローブデータ61を取得する毎に実行しても良く、或いは、データ取得部51がプローブデータ61を取得した時点よりも後の時点において、第二記憶装置32に記憶された状態の通行履歴情報を参照して実行しても良い。
【0039】
ユーザが通常通行ルートR1とは異なるルートを通行したと判定されると(ステップ#01:Yes)、渋滞監視範囲設定部53は、離脱状況を取得する(ステップ#02)。
この際、渋滞監視範囲設定部53は、第二記憶装置32を参照して、ユーザが通常通行ルートR1を離脱した際の操作履歴情報及び交通情報を取得し、これらの情報に基づき離脱状況を取得する。道路の渋滞の程度は、平均車速、渋滞長さ、所要時間等によって定まり、本実施形態では、道路の渋滞の程度を渋滞状況が悪くなるに従って大きくなるように数値化した値が、予め定められた閾値を超えている場合に、道路が渋滞していると判定する。なお、渋滞迂回ルートR2の情報(詳細は後述する)がユーザに提供されている状態での、ユーザの通常通行ルートR1とは異なるルートの通行は、渋滞監視範囲設定部53による処理の対象外とする。
【0040】
本実施形態では、渋滞監視範囲設定部53は、離脱状況が第一離脱状況であるか第二離脱状況であるかの判定に際し、ユーザによる地図画像Mのスクロール操作又は縮尺変更操作があった場合に、ユーザによる端末装置3の操作があったと判定する。また、渋滞監視範囲設定部53は、離脱状況が第一離脱状況であるか第二離脱状況であるかの判定に際し、端末装置3の操作が行われた地点が、離脱地点P3よりも通常通行ルートR1における始点P1側であって、端末装置3の操作が行われた地点と離脱地点P3との間の離間距離が予め定められた判定値以下である操作を対象として、ユーザによる端末装置3の操作があったか否かを判定する。端末装置3の操作が行われた時刻が、ユーザが離脱地点P3にて離脱した時刻よりも前であって、端末装置3の操作が行われた時刻とユーザが離脱地点P3にて離脱した時刻と間の時間差が予め定められた判定値以下である操作を対象として、ユーザによる端末装置3の操作があったか否かを判定する構成とすることもできる。これらの判定値は、例えば、端末装置3の操作と離脱地点P3での通常通行ルートR1からの離脱との相関関係を考慮した値に設定される。
【0041】
離脱状況が第一離脱状況でも第二離脱状況でもない場合には(ステップ#03:No、ステップ#05:No)、処理は終了し、渋滞監視範囲Aは設定されない。一方、離脱状況が第一離脱状況である場合(渋滞監視範囲設定部53が、離脱状況が第一離脱状況であると判定した場合)には(ステップ#03:Yes)、渋滞監視範囲設定部53は、
図5に示すように、離脱地点P3からの離間距離が第一設定距離L1以下の第一領域A1に渋滞監視範囲Aを設定する(ステップ#04)。すなわち、渋滞監視範囲Aが第一領域A1となるように、渋滞監視範囲Aが設定される。第一領域A1には、通常通行ルートR1に含まれる道路であって、離脱地点P3からの通常通行ルートR1に沿った離間距離が第一設定距離L1以下の道路が含まれる。第一設定距離L1は、例えば、ユーザが目視できる距離に対応して設定され、例えば、200[m]等に設定される。第一設定距離L1が、通常通行ルートR1における渋滞監視範囲A内の道路の渋滞を示す情報があるか否かを判定する際(後述する
図8のステップ#13)の環境条件(天候や時間帯等)によって異なる値に設定されても良い。
【0042】
また、離脱状況が第二離脱状況である場合(渋滞監視範囲設定部53が、離脱状況が第二離脱状況であると判定した場合)には(ステップ#05:Yes)、
図5及び
図6に示すように、渋滞監視範囲設定部53は、離脱地点P3に対して通常通行ルートR1の終点P2側であって離脱地点P3からの離間距離が第一設定距離L1よりも長い第二設定距離L2以下の第二領域A2を、第一領域A1に加えて含むように渋滞監視範囲Aを設定する(ステップ#06)。本実施形態では、渋滞監視範囲Aが第一領域A1と第二領域A2との和の領域となるように、渋滞監視範囲Aを設定する。第二領域A2には、通常通行ルートR1に含まれる道路であって、離脱地点P3からの終点P2側への通常通行ルートR1に沿った離間距離が第二設定距離L2以下の道路が含まれる。
【0043】
本実施形態では、第二設定距離L2が、第二離脱状況において表示画面Dに表示された地図画像Mの表示範囲Sに対応して設定される。具体的には、離脱地点P3から、第二離脱状況において表示画面Dに表示された通常通行ルートR1における最も終点P2側の地点までの距離(道路の延在方向に沿った距離)を、第二設定距離L2として設定する。後者の地点は、
図3や
図4に示す例では、右側に示される状態(表示範囲Sの変更後の状態)において、表示画面D上の通常通行ルートR1における最も終点P2側(図中右側)の地点となる。
【0044】
なお、同じユーザについての同じ離脱地点P3における離脱状況として、第一離脱状況と第二離脱状況との双方が含まれる場合には、例えば、直近の離脱状況に基づき渋滞監視範囲Aを設定する構成とし、或いは、予め定められた判定期間内(例えば、現在から遡って1ヶ月以内)の回数が多い方の離脱状況に基づき渋滞監視範囲Aを設定する構成とすることができる。
【0045】
提供情報生成部54は、ユーザに提供する情報を生成する機能部である。また、提供情報生成部54を中核として、ユーザが次に離脱地点P3に到達した際に通常通行ルートR1における渋滞監視範囲A内の道路の渋滞を示す情報があれば、通常通行ルートR1から離脱する渋滞迂回ルートR2の情報をユーザに提供する機能部が構成される。ここで、「次に離脱地点P3に到達」とは、渋滞監視範囲設定部53によって離脱地点P3についての渋滞監視範囲Aが設定されている状態で当該離脱地点P3に到達することを意味する。提供情報生成部54が生成した情報は、配信データ62として端末装置3に送信される。
【0046】
本実施形態では、提供情報生成部54は、
図8に示す手順に沿って、渋滞迂回ルート情報提供処理を実行する。
図8に示すように、まず始めに、ユーザが離脱地点P3に到達したか否かの判定を実行する。この際、提供情報生成部54は、データ取得部51が取得したプローブデータ61に含まれる通行履歴情報に基づき、ユーザの現在位置の情報を取得する。ここでは、ユーザの現在位置が、離脱地点P3の手前(通常通行ルートR1の始点P1側)に設定された判別地点に到達したことを条件に、ユーザが離脱地点P3に到達したと判定する(ステップ#11:No)。判別地点と離脱地点P3との離間距離は、予め設定される。
【0047】
ユーザが離脱地点P3に到達したと判定されると(ステップ#11:Yes)、提供情報生成部54は、現在の交通情報を取得する(ステップ#12)。この際、各端末装置3の通行履歴情報や交通情報配信センタ等から受信した情報等に基づき生成された現在の交通情報が取得される。そして、渋滞監視範囲A内の道路が渋滞しているか否かを判定する(ステップ#13)。ここでは、ステップ#12によって取得した交通情報に、渋滞監視範囲A内の道路の渋滞を示す情報があれば、渋滞監視範囲A内の道路が渋滞していると判定して(ステップ#13:Yes)、渋滞迂回ルートR2の情報をユーザに提供する(ステップ#14)。ここで、「渋滞監視範囲A内の道路の渋滞を示す情報」とは、渋滞監視範囲A内の道路の少なくとも一部の区間における渋滞を示す情報である。一方、ステップ#12によって取得した交通情報に、渋滞監視範囲A内の道路の渋滞を示す情報がなければ、渋滞監視範囲A内の道路が渋滞していないと判定して(ステップ#13:No)、処理は終了する。
【0048】
ステップ#14の処理では、提供情報生成部54は、渋滞迂回ルートR2の情報を含む配信データ62を生成し、当該配信データ62を端末装置3に送信する。これにより、渋滞迂回ルートR2の情報が、端末装置3のユーザに提供される。渋滞迂回ルートR2は、通常通行ルートR1の終点P2に到達可能なルートに設定される。
図2に示す例では、渋滞迂回ルートR2は、通常通行ルートR1に合流するルートに設定されている。渋滞迂回ルートR2として、例えば、渋滞監視範囲Aを設定する際に依拠した離脱状況においてユーザが通常通行ルートR1から離脱して通行したルートに設定することができる。その他の渋滞迂回ルートR2を探索して設定したり、渋滞迂回ルートR2を、予め定められた判定期間内(例えば、現在から遡って1ヶ月以内)にユーザが離脱地点P3にて離脱した後に通行したルートの中で、通行回数が最大のルートに設定したりすることもできる。
【0049】
端末装置3は、渋滞迂回ルートR2の情報を含む配信データ62を受信すると、当該渋滞迂回ルートR2の案内情報を、表示入力装置5や音声出力装置6を介してユーザに提供する。例えば、端末装置3は、表示入力装置5の表示画面Dに渋滞迂回ルートR2の情報や渋滞迂回ルートR2の通行を推奨する旨の案内文を表示させる制御を実行し、また、音声出力装置6により渋滞迂回ルートR2の通行を推奨する旨の案内音声を出力させる制御を実行する。
【0050】
なお、ステップ#13の処理では、渋滞監視範囲A内の道路の渋滞を示す情報の有無のみではなく、当該渋滞の程度の情報にも基づき、渋滞監視範囲A内の道路が渋滞しているか否かを判定する構成とすることもできる。すなわち、渋滞監視範囲A内の道路の渋滞を示す情報があった場合に、当該渋滞の程度を渋滞状況が悪くなるに従って大きくなるように数値化した値が、判定値以上であることを条件に、渋滞監視範囲A内の道路が渋滞していると判定する構成とすることもできる。この数値化は、例えば、渋滞長さに比例する値への数値化とされる。上記の判定値は、例えば、渋滞監視範囲Aを設定する際に依拠した離脱状況が第一離脱状況である場合には、当該第一離脱状況の発生時における離脱地点P3の周辺道路の渋滞の程度を数値化した値とすることができる。また、上記の判定値は、例えば、渋滞監視範囲Aを設定する際に依拠した離脱状況が第二離脱状況である場合には、当該第二離脱状況の発生時における、ユーザによる端末装置3の操作に応じて表示画面Dに表示された通常通行ルートR1に含まれる道路の渋滞の程度を数値化した値とすることができる。
【0051】
本実施形態では、目的地までの案内経路が設定されていない場合には、提供情報生成部54は、通常通行ルートR1に関する情報を含む配信データ62を生成し、当該配信データ62を端末装置3に送信する。これにより、通常通行ルートR1に関する情報が、端末装置3のユーザに提供される。ここで、通常通行ルートR1に関する情報とは、通常通行ルートR1を構成する道路(リンク)に関する交通情報が含まれる。端末装置3の第一演算部21は、管理サーバ2から供給された通常通行ルートR1に関する情報を、表示入力装置5や音声出力装置6を介してユーザに提供する。
【0052】
一方、ユーザによって表示入力装置5を介して目的地が入力された場合には、目的地までの案内経路が設定される。この際、本実施形態では、管理サーバ2側で目的地までの経路を探索する経路探索処理が実行される。そして、提供情報生成部54が、経路探索処理の実行結果の情報等の経路案内情報を含む配信データ62を生成し、当該配信データ62を端末装置3に送信する。端末装置3の第一演算部21は、管理サーバ2から提供された経路案内情報に基づき、表示入力装置5や音声出力装置6を介してユーザに案内情報を提供する。第一演算部21は、例えば、表示入力装置5の表示画面Dに目的地までの案内経路の情報を表示させる制御を実行すると共に、音声出力装置6により案内音声を出力させる制御を実行する。
【0053】
3.本発明の実施形態の概要
以上で説明した、本発明の実施形態における情報提供システム(1)は、少なくとも以下の構成を備える。
【0054】
すなわち、ユーザと共に移動する端末装置(3)から、前記ユーザが通行した道路の履歴を表す通行履歴情報を収集し、前記通行履歴情報に基づき設定した通常通行ルート(R1)に関する情報を前記端末装置(3)に提供する情報提供システム(1)は、前記ユーザが前記通常通行ルート(R1)を離脱地点(P3)にて離脱した際の状況である離脱状況に基づき渋滞監視範囲(A)を設定し、前記ユーザが次に前記離脱地点(P3)に到達した際に前記通常通行ルート(R1)における前記渋滞監視範囲(A)内の道路の渋滞を示す情報があれば、前記通常通行ルート(R1)から離脱する渋滞迂回ルート(R2)の情報を前記ユーザに提供する演算処理部(22)を備え、前記演算処理部(22)は、前記離脱地点(P3)の周辺道路が渋滞していると共に前記ユーザによる前記端末装置(3)の操作がないままで離脱したという前記離脱状況を、第一離脱状況と判定し、前記ユーザによる前記端末装置(3)の操作があり、当該操作に応じて前記端末装置(3)の表示画面(D)に前記通常通行ルート(R1)に含まれる道路の渋滞を示す情報が表示された後で離脱したという前記離脱状況を、第二離脱状況と判定すると共に、前記離脱状況が前記第一離脱状況であると判定した場合には、前記離脱地点(P3)からの離間距離が第一設定距離(L1)以下の第一領域(A1)に前記渋滞監視範囲(A)を設定し、前記離脱状況が前記第二離脱状況であると判定した場合には、前記離脱地点(P3)に対して前記通常通行ルート(R1)の終点(P2)側であって前記離脱地点(P3)からの離間距離が前記第一設定距離(L1)よりも長い第二設定距離(L2)以下の第二領域(A2)を、前記第一領域(A1)に加えて含むように前記渋滞監視範囲(A)を設定する。
【0055】
この構成によれば、ユーザが過去に通常通行ルートを離脱地点にて離脱した際の離脱状況に基づいて、渋滞監視範囲を適切に設定することができる。すなわち、離脱状況が第一離脱状況である場合には、ユーザは離脱地点の周辺道路の渋滞を避けるために通常通行ルートから離脱するという判断を行ったことが予想される。一方、離脱状況が第二離脱状況である場合には、ユーザは離脱地点の周辺道路よりも遠方の道路の渋滞を避けるために通常通行ルートから離脱するという判断を行ったことが予想される。このように、離脱状況が第一離脱状況である場合には、離脱地点の周辺道路の渋滞がルート変更要因であることが予想され、離脱状況が第二離脱状況である場合には、離脱地点の周辺道路よりも遠方の道路の渋滞がルート変更要因であることが予想される。この点に基づき、上記の構成によれば、離脱状況が第二離脱状況である場合には、離脱状況が第一離脱状況である場合に比べて広い範囲に、渋滞監視範囲が設定される。
そして、このように設定された渋滞監視範囲に基づき、ユーザが次に離脱地点に到達した際に通常通行ルートにおける渋滞監視範囲内の道路の渋滞を示す情報があれば、渋滞迂回ルートの情報をユーザに提供することができる。よって、ユーザにとって渋滞迂回ルートの情報が有益であることが予想される場合に、渋滞迂回ルートの情報をユーザに提供することが可能となり、結果、渋滞迂回ルートの情報をユーザに適切に提供することが可能な技術を実現することができる。
【0056】
また、本発明の実施形態における情報提供システム(1)では、前記表示画面(D)には、前記ユーザによる前記端末装置(3)の操作に応じて表示範囲(S)が変更される地図画像(M)が表示され、前記第二設定距離(L2)が、前記第二離脱状況において前記表示画面(D)に表示された前記地図画像(M)の表示範囲(S)に対応して設定される構成とすると好適である。
【0057】
この構成によれば、離脱状況が第二離脱状況である場合に設定される渋滞監視範囲を、ユーザの過去の判断を適切に考慮して設定することが可能となる。この結果、渋滞迂回ルートの情報をユーザに適切に提供することが容易となる。
【0058】
また、本発明の実施形態における情報提供システム(1)では、前記表示画面(D)には、前記ユーザによる前記端末装置(3)の操作に応じて表示範囲(S)が変更される地図画像(M)が表示され、前記演算処理部(22)は、前記離脱状況が前記第一離脱状況であるか前記第二離脱状況であるかの判定に際し、前記ユーザによる前記地図画像(M)のスクロール操作又は縮尺変更操作があった場合に、前記ユーザによる前記端末装置(3)の操作があったと判定する構成とすると好適である。
【0059】
この構成によれば、離脱状況が第一離脱状況であるか第二離脱状況であるかの判定に際し、ユーザによる端末装置の操作の有無を適切に判定することができる。この結果、離脱状況に応じて設定される渋滞監視範囲を適切に設定することができる。
【0060】
4.その他の実施形態
最後に、本発明に係るその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0061】
(1)上記の実施形態では、渋滞監視範囲設定部53が、離脱状況が第一離脱状況であるか第二離脱状況であるかの判定に際し、ユーザによる地図画像Mのスクロール操作又は縮尺変更操作があった場合に、ユーザによる端末装置3の操作があったと判定する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されず、スクロール操作や縮尺変更操作以外の、表示画面Dに表示される地図画像Mの表示範囲Sを変更させるための操作があった場合にも、ユーザによる端末装置3の操作があったと判定する構成とすることもできる。
【0062】
(2)上記の実施形態では、第二離脱状況におけるユーザによる端末装置3の操作が、表示画面Dに表示される地図画像Mの表示範囲Sを変更させるための操作である場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されず、第二離脱状況におけるユーザによる端末装置3の操作として、地図画像Mの表示範囲Sを変更させること以外の、表示画面Dに道路の渋滞を示す情報を表示させる操作が含まれても良い。この場合に表示画面Dに表示される渋滞情報を含む画像は、例えば、地図画像Mよりも簡略化して表された道路ネットワークの模式図に渋滞の情報を付与した画像とされる。
【0063】
(3)上記の実施形態では、第二設定距離L2が、第二離脱状況において表示画面Dに表示された地図画像Mの表示範囲Sに対応して設定される構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されず、第二設定距離L2を、第二離脱状況において表示画面Dに表示された地図画像Mの表示範囲Sに対応して設定しない構成とすることも可能である。例えば、第二離脱状況において表示画面Dに表示された地図画像Mの表示範囲Sに対応する距離に対して調整値を加減算した値に、第二設定距離L2を設定する構成とすることもできる。また、例えば、第二離脱状況におけるユーザによる端末装置3の操作が地図画像Mのスクロール操作である場合には、当該スクロール操作に伴う表示範囲Sの移動量に対応して第二設定距離L2が設定される構成とすることもできる。更には、例えば、第二離脱状況におけるユーザによる端末装置3の操作が地図画像Mの縮尺変更操作である場合には、当該縮尺変更操作による縮尺の変更量に対応して第二設定距離L2が設定される構成とすることもできる。
【0064】
(4)上記の実施形態では、通行履歴情報に、通行履歴(ユーザが通行した道路の履歴)に含まれる各道路を特定するための道路特定情報が含まれる構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、端末装置3(プローブデータ生成部44)が生成するプローブデータ61には、現在位置(座標)の履歴の情報が通行履歴情報として含まれ、管理サーバ2が各現在位置に対応する道路を特定する処理を実行する構成とすることもできる。この場合、プローブデータ61に含まれる通行履歴情報は、ユーザが通行した道路の履歴を間接的に表す情報とされる。
【0065】
(5)上記の実施形態では、情報提供システム1を、
図1に示すように、車両に備えられる端末装置3と、端末装置3と通信可能に設けられた管理サーバ2とを備えて構成する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されず、管理サーバ2に備えられる通常通行ルート設定部52、渋滞監視範囲設定部53、及び提供情報生成部54の一部又は全部が、端末装置3に備えられる構成とすることもできる。また、情報提供システム1が管理サーバ2を備えず、端末装置3のみによって情報提供システム1が構成されても良い。
【0066】
(6)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本願の特許請求の範囲に記載されていない構成に関しては、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。