(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
循環移動経路上を循環移動しながら、トナー像の転写を受けて、該トナー像を、該循環移動経路における下方に凸に形成されている部分に設けられた2次転写位置に搬送する中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトの上部に配置され、それぞれがトナー像を形成して、前記中間転写ベルト上に順次重なるようにトナー像を転写する複数のトナー像形成部と、
前記2次転写位置に搬送されてきた用紙を前記中間転写ベルトとの間に挟んでさらに搬送しながら、該中間転写ベルトにより前記2次転写位置に搬送されてきたトナー像を該用紙上に転写する2次転写部材と、
前記2次転写位置においてトナー像の転写を受けた用紙を加熱部材と加圧部材とで挟んで搬送しながら、該用紙上のトナー像を該用紙上に定着する定着器と、
前記中間転写ベルト、前記複数のトナー像形成部、前記2次転写部材、および前記定着器を収容する筐体と、
前記筐体外部から差し込まれた用紙を、前記2次転写位置を経由し、前記中間転写ベルトと前記2次転写部材と前記定着器とに取り囲まれた空間を形成しながら延在し、さらに前記定着器を経由して該筐体外部にまで続く用紙搬送経路に沿って搬送する用紙搬送部材と、
前記用紙搬送経路に沿って搬送されている途中の用紙に搬送不良が生じたときに、該用紙が前記空間に収容されるように、該用紙の搬送を制御する制御部と、
前記筐体に対し抜き差し自在に引き出されて、前記空間に収容されている用紙の取出しを可能ならしめる引出部材とを備え、
前記2次転写部材は、前記中間転写ベルトに対し接離自在であり、前記加熱部材と前記加圧部材は、互いの間が接離自在であって、
前記用紙搬送経路上の、前記2次転写位置よりも上流側に、用紙の有無を検出する第1センサを備え、
前記制御部は、前記第1センサにより、あらかじめ定められた第1タイミングまで用紙が検出され続けていたときに、前記定着器による用紙搬送を停止させた上で前記用紙搬送部材に用紙の搬送を続行させ、該第1センサによる用紙後端の検出を受けて用紙の搬送を停止させ、前記2次転写部材を前記中間転写ベルトから離間させるとともに前記加熱部材と前記加圧部材との間を離間させるものであることを特徴とする画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、筐体外部と筐体内部とに跨って広がった状態にある用紙の搬送不良が検出された場合に、その用紙を簡易に取り除くことのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1は、
循環移動経路上を循環移動しながら、トナー像の転写を受けて、該トナー像を、該循環移動経路における下方に凸に形成されている部分に設けられた2次転写位置に搬送する中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトの上部に配置され、それぞれがトナー像を形成して、前記中間転写ベルト上に順次重なるようにトナー像を転写する複数のトナー像形成部と、
前記2次転写位置に搬送されてきた用紙を前記中間転写ベルトとの間に挟んでさらに搬送しながら、該中間転写ベルトにより前記2次転写位置に搬送されてきたトナー像を該用紙上に転写する2次転写部材と、
前記2次転写位置においてトナー像の転写を受けた用紙を加熱部材と加圧部材とで挟んで搬送しながら、該用紙上のトナー像を該用紙上に定着する定着器と、
前記中間転写ベルト、前記複数のトナー像形成部、前記2次転写部材、および前記定着器を収容する筐体と、
前記筐体外部から差し込まれた用紙を、前記2次転写位置を経由し、前記中間転写ベルトと前記2次転写部材と前記定着器とに取り囲まれた空間を形成しながら延在し、さらに前記定着器を経由して該筐体外部にまで続く用紙搬送経路に沿って搬送する用紙搬送部材と、
前記用紙搬送経路に沿って搬送されている途中の用紙に搬送不良が生じたときに、該用紙が前記空間に収容されるように、該用紙の搬送を制御する制御部と、
前記筐体に対し抜き差し自在に引き出されて、前記空間に収容されている用紙の取出しを可能ならしめる引出部材とを備え
、
前記2次転写部材は、前記中間転写ベルトに対し接離自在であり、前記加熱部材と前記加圧部材は、互いの間が接離自在であって、
前記用紙搬送経路上の、前記2次転写位置よりも上流側に、用紙の有無を検出する第1センサを備え、
前記制御部は、前記第1センサにより、あらかじめ定められた第1タイミングまで用紙が検出され続けていたときに、前記定着器による用紙搬送を停止させた上で前記用紙搬送部材に用紙の搬送を続行させ、該第1センサによる用紙後端の検出を受けて用紙の搬送を停止させ、前記2次転写部材を前記中間転写ベルトから離間させるとともに前記加熱部材と前記加圧部材との間を離間させるものであることを特徴とする画像形成装置である。
【0007】
請求項
2は、
さらに、前記用紙搬送経路上の、前記2次転写位置よりも下流側かつ前記定着器よりも上流側に、用紙の有無を検出する第2センサを備え、
前記制御部は、前記第2センサにより、あらかじめ定められた第2タイミングまで用紙先端が検出されなかったときに、前記定着器による用紙搬送を停止させた上で前記用紙搬送部材に用紙の搬送を続行させ、前記第1センサによる用紙後端の検出を受けて用紙の搬送を停止させ、前記2次転写部材を前記中間転写ベルトから離間させるとともに前記加熱部材と前記加圧部材との間を離間させるものであることを特徴とする請求項
1記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項
3は、
さらに、前記用紙搬送経路上の、前記定着器よりも下流側に、用紙の有無を検出する第3センサを備え、
前記定着器は、用紙の上流側への逆送りが可能であって、
前記制御部は、前記第3センサにより、あらかじめ定められた第3タイミングまで用紙先端が検出されなかったときに、前記定着器に用紙を逆送りさせた上で前記用紙搬送部材に用紙搬送を続行させ、前記第1センサによる用紙後端の検出を受けて該定着器による用紙の逆送りおよび該用紙搬送部材による用紙の搬送を停止させ、前記2次転写部材を前記中間転写ベルトから離間させるとともに前記加熱部材と前記加圧部材との間を離間させるものであることを特徴とする請求項
2記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項
4は、前記制御部が、前記第3センサにより用紙先端が検出された後、前記第2センサによりあらかじめ定められた第5タイミングまで用紙後端が検出されなかったときに、前記定着器に用紙を逆送りさせ、該第3センサによる用紙の検出がなくなるのを受けて該定着器による用紙の逆送りを停止させ、前記2次転写部材を前記中間転写ベルトから離間させるとともに前記加熱部材と前記加圧部材との間を離間させるものであることを特徴とする請求項
3記載の画像形成装置である。
【0010】
請求項
5は、前記中間転写ベルト内側の、該中間転写ベルトを挟んで前記空間に対面する位置に配置され、該空間に収容された用紙による該中間転写ベルト押圧を受け止める押圧受止部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1から
4のうちのいずれか1項記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の画像形成装置によれば、本構成を有しない場合に比べ、筐体外部と筐体内部とに跨って広がった状態で詰まりが検出された用紙が簡易に取り除かれる。
【0012】
また、請求項
1および請求項
2の画像形成装置によれば、筐体への入口近傍での用紙の詰まりが検出された場合に、その用紙全長が筐体内に収容される。
【0013】
請求項
3および請求項
4の画像形成装置によれば、筐体からの出口近傍での用紙の詰まりが検出された場合に、その用紙全長が筐体内に収容される。
【0014】
請求項
5によれば、中間転写ベルトの損傷が防止される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態としてのプリンタの概略構成図である。
【0018】
このプリンタ1の筐体10内には、横に並ぶ4つの画像形成エンジン20Y,20M,20C,20Kが備えられている。これらの画像形成エンジン20Y,20M,20C,20Kは、それぞれ、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),および黒(K)の色のトナーでトナー像を形成するエンジンである。これらの画像形成エンジン20Y,20M,20C,20Kは、使用するトナーの色の違いを除き、同一の構成を有する。
【0019】
以下では、色の区別が不要の場合には、色を表わす符号であるY,M,C,Kを省略した符号で説明する。
【0020】
各画像形成エンジン20には、矢印A方向に回転する感光体ドラム21が備えられている。また、各画像形成エンジン20には、その感光体ドラム21の周りに、帯電器22、現像器24、転写器25、およびクリーナ26が備えられている。また、これら4つの感光体ドラム21Y,21M,21C,21Kの上部には、露光器23が備えられている。
【0021】
帯電器22は、感光体ドラム21の表面を一様に帯電する。
【0022】
露光器23は、各色(Y,M,C,K)ごとの画像データに応じてそれぞれ変調された露光光を各感光体ドラム21に照射して、感光体ドラム21の表面に静電潜像を形成する。
【0023】
現像器24には、その画像形成エンジン20Y,20M,20C,20Kに応じた色(Y,M,C,K)のトナーが収容されている。現像器24は、その収容されているトナーで感光体ドラム21上の静電潜像を現像し、感光体ドラム21上にトナー像を形成する。
【0024】
露光器23の上方には、各色(Y,M,C,K)のトナーがそれぞれ収容された4つのトナーカートリッジ29Y,29M,29C,29Kが備えられている。各画像形成エンジン20に備えられている各現像器24内のトナーが減少すると、対応するトナーカートリッジ29から現像器24にトナーが補給される。
【0025】
4つの画像形成エンジン20の下方には、中間転写ベルト31が備えられている。この中間転写ベルト31は、無端状のベルトであり、3本のロール32,33,34に巻き架けられて、4つの画像形成エンジン20Y,20M,20C,20Kに沿うとともに下方に凸の略三角形に形成された循環移動経路上を矢印B方向に循環移動する。
【0026】
各画像形成エンジン20の転写器25は、感光体ドラム21との間に中間転写ベルト31を挟む、中間転写ベルト31の内側に配置されている。そしてこの転写器25の作用により、感光体ドラム21上に形成されたトナー像が中間転写ベルト上に転写される。ここで、4つの画像形成エンジン20Y,20M,20C,20Kにおいて形成された4つのトナー像は、中間転写ベルト31の循環移動に従って、その中間転写ベルト31上に順次重なるように転写される。
【0027】
クリーナ26は、感光体ドラム21上の、転写後に残存している不要のトナーを感光体ドラム21上から除去することで、感光体ドラム21を清掃する。
【0028】
中間転写ベルト31上に順次重なるように転写されたトナー像はその中間転写ベルト31によって搬送され、2次転写部材41の作用により用紙上に転写される。用紙上への転写後の中間転写ベルト31上に残存する不要なトナーは、クリーナ35により中間転写ベルト31から除去される。
【0029】
筐体10内の下部には、2つの用紙トレイ50が備えられている。これらの用紙トレイ50には画像形成前の用紙Pが積み重ねられて収容されている。これらの用紙トレイ50は、用紙の補給のために、筐体10に対し引出し自在となっている。
【0030】
2つの用紙トレイ50のうちの指定された用紙トレイ50から、ピックアップロール51により、その用紙トレイ50に収容されている用紙Pが取り出される。複数枚の用紙が重なったまま取り出されたときは捌きロール52により確実に1枚に分離され、その1枚の用紙Pが搬送ロール53により矢印Cの向きに搬送されてタイミング調整ロール54にまで搬送される。
【0031】
そして、中間転写ベルト31上に転写されたトナー像が2次転写部材41が配置されている2次転写位置に搬送されるタイミングと同期して用紙Pもその2次転写位置に搬送されるようにタイミングが調整されて、タイミング調整ロール54により用紙Pが送り出される。そしてその2次転写部材41の作用により、中間転写ベルト31上のトナー像が用紙P上に転写される。ここでこの2次転写部材41は、中間転写ベルト31から接離自在となっている。
【0032】
この2次転写部材41の作用により中間転写ベルト31上のトナー像の転写を受けた用紙Pは、用紙搬送ベルト55により、矢印Dの向きにさらに搬送されて定着器60を通過する。この定着器60には、加熱ロール61と加圧ロール62が備えられている。正常動作時には、加熱ロール61は、図示の矢印I方向に回転し、加圧ロール62は矢印J方向に回転する。ただし、後述するような用紙の搬送不良が発生したときは、それらの回転方向を逆転させ、あるいは回転を停止させることができる。また加圧ロール62は加熱ロール61に対し接離自在に構成されている。
【0033】
この定着器60に搬送されてきた用紙は、加熱ロール61と加圧ロール62とに挟まれて加熱および加圧され、それらの加熱および加圧により、用紙P上のトナー像がその用紙P上に定着される。
【0034】
定着器60を通過した用紙はさらに搬送ロール56により矢印Gの向きに搬送され、排紙ロール57により、排紙トレイ11上に排出される。
【0035】
また、このプリンタ1には、給紙トレイ12が備えられている。この給紙トレイ12上に用紙を置くと、その用紙は給紙ロール58によって筐体10内に搬送され、用紙トレイ50から取り出された用紙の搬送経路と合流してタイミング調整ロール54に到達する。その後の動作は、用紙トレイ50から用紙が取り出されたときと同様であり、画像形成後の用紙が排紙トレイ11上に排出される。
【0036】
ここで、このプリンタ1は、用紙トレイ50に収容することができないような長尺の用紙上への画像形成にも対応している。そのような長尺の用紙は、用紙トレイ50には入らないため、給紙トレイ12から給紙されることになる。
【0037】
このプリンタ1には、
図1に1点鎖線で示す引出部材80が備えられている。
【0038】
図2は、この引出部材が引き出された状態を示す模式斜視図である。
【0039】
この引出部材80には、中間転写ベルト31は残し、
図1に示した用紙搬送経路上にある、定着器60を含む用紙の搬送を担う大半の部材が組み込まれていて、引出部材80を引き出すと、その引出部材80に組み込まれている部材も一体的に引き出される。この引出部材80は、筐体10内で用紙が詰まったときに引き出され、その詰まった用紙を取り除くためのものである。
【0040】
ここで、給紙トレイ12から送り込まれた長尺の用紙が搬送不良を起こすと、その用紙の一部が筐体10の外部に食み出た状態のまま停止するおそれがある。その場合に、その用紙を取り除こうとして引出部材80を引き出すと、用紙搬送経路上の、引出部材80の内外に跨がったポイント、すなわち、
図1に示すポイントEやポイントFで用紙が破断し、その用紙の一部が容易には取り除き難い箇所に詰まったままとなってしまうおそれがある。
【0041】
このプリンタ1には、用紙の有無を検出するセンサとして、タイミング調整ロール54の直前に第1センサ71、定着器60の直前に第2センサ72、および排紙ロール57の直前に第3センサ73が備えられている。
【0042】
このプリンタ1では、上記の第1〜第3のセンサ71,72,73による用紙有無の検出と用紙搬送シーケンス等を組み合わせて、上記の破断に至る事態を防止している。
【0043】
このプリンタ1の中間転写ベルト31は下に凸の三角形状に張架されているため、このプリンタ1には、
図1に破線で示す用紙搬送経路と、中間転写ベルト31と、2次転写部材41と、定着器60とに取り囲まれた空間Sが形成されている。そこで、長尺の用紙が正常に搬送されなかったときは、その用紙が筐体10の外からの引き抜きが可能な状態にある場合を除き、この空間Sに折り畳むようにして用紙を収容する。こうすることにより、用紙の破断を生じさせることなく、引出部材80を引き出して、その用紙を取り除くことができる。
【0044】
図3は、長尺の用紙の搬送の異常が生じた後の処置後の、プリンタの状態を示した概要図である。
【0045】
ここでは用紙が空間Sに折り畳まれるようにして収容されている。また、2次転写部材41は中間転写ベルト31から離間し、加圧ロール62は加熱ロール61から離間している。また、用紙の搬送は停止しており、加熱ロール61への電力供給も停止している。
【0046】
このプリンタ1の、中間転写ベルト31の内面側には、ガード板36が備えられている。このガード板は、本発明にいう押圧受止部材の一例に相当する。
図1、
図2では図示省略されているが、この中間転写ベルト31の内側には様々な部材が配置されている。空間Sに押し込められた用紙によって中間転写ベルト31が押されると、その中間転写ベルト31が内側に撓んで、その内側に配置されている部材に接触し、中間転写ベルト31が不用意に損傷するおそれがある。そこで、このプリンタ1ではガード板36を備えて、中間転写ベルト31をそのガード板36に接触させる構造としている。
【0047】
以下、長尺の用紙が給紙トレイ12から差し込まれて用紙搬送不良が生じたときの動作シーケンスについて説明する。
【0048】
以下では先ず、各種タイマのオン、オフのタイミングについて説明する。
【0049】
図4は、スタート時に実行される処理を示したフローチャートである。
【0050】
給紙トレイ12に長尺の用紙をセットし、不図示のスタートボタンが押されると、給紙ロール58が回転して用紙が送り込まれ、
図4に示す処理が実行される。
【0051】
ここでは、タイマ1が起動(オン)される(ステップS11)。このタイマ1は、スタートボタンが押されてからタイムアップする前に第1センサ71で用紙の先端が検出されなかったときに用紙搬送不良が生じたことを判定するためのタイマである。
【0052】
図5は、第1センサオンで実行される処理を示したフローチャートである。
【0053】
第1センサ71がオン、すなわち第1センサ71で用紙先端が検出されると、先ず上記のタイマ1がオフされる(ステップS21)。
【0054】
ここで、タイマ1がタイムアップ前にオフされると、そのタイマ1はもはや計時を停止するためタイムアップのイベントが生じることがなくなり、タイムアップに応じた処理(後述する)は実行されないことになる。他のタイマも同様である。
【0055】
図5に示す処理では、タイマ1がオフ(ステップS1)された後、タイマ2がオンされ(ステップS22)、さらにタイマ3がオンされる(ステップS23)。
【0056】
タイマ2は、用紙先端が第1センサ71を通り過ぎてからその用紙の後端がタイムアップ前に第1センサ71を通り過ぎることを監視するためのタイマである。
【0057】
またタイマ3は、用紙先端が第1センサ71を通り過ぎてからその用紙の先端がタイムアップ前に第2センサ72で検出されることを監視するためのタイマである。
【0058】
図6は、第1センサオフで実行される処理を示したフローチャートである。
【0059】
用紙後端が第1センサ71を通り過ぎると第1センサ71がオフとなってこの
図1の処理が実行される。ここでは、第1センサ71がオンになった時にオンされたタイマ2(
図5参照)がオフされる。
【0060】
図7は、第2センサオンで実行される処理を示したフローチャートである。
【0061】
用紙先端が第2センサ72に達して第2センサ72がオンになると、この
図7に示す処理が実行される。ここでは、第1センサ71がオンになった時にオンされたタイマ3(
図5参照)がオフされ(ステップS41)、今度はタイマ4がオンされる(ステップS42)。タイマ4は、用紙先端が第2センサ72を通り過ぎてからその用紙先端がタイムアップ前に第3センサ73に到達することを監視するタイマである。
【0062】
図8は、第3センサオンで実行される処理を示したフローチャートである。
【0063】
用紙先端が第3センサ73に到達すると第3センサ73がオンとなり、この
図8に示す処理が実行される。ここでは用紙先端が第2センサ72を通り過ぎたときにオンになったタイマ4(
図7参照)がオフされる(ステップ51)。次いで、第2センサ72がオンのままであったとき、すなわち用紙後端が第2センサ72を未だ通過していない程度に長尺の用紙であったときは(ステップS52)、タイマ5がオンされる(ステップS53)。さらにタイマ6もオンとなる(ステップS53)。
【0064】
タイマ5は、用紙先端が第3センサ73に到達してからその用紙の後端がタイムアップ前に第2センサ72を通過することを監視するためのタイマである。
【0065】
またタイマ6は、用紙先端が第3センサ73に到達してからその第3センサ73を用紙の後端がタイムアップ前に通り過ぎることを監視するタイマである。
【0066】
図9は、第2センサオフで実行される処理を示したフローチャートである。
【0067】
用紙後端が第2センサ72を通過すると第3センサオンでオンとなったタイマ5(
図8参照)がオフされる(ステップS61)。
【0068】
図10は、第3センサオフで実行される処理を示したフローチャートである。
【0069】
用紙後端が第3センサ73を通過すると第3センサオンでオンとなったタイマ6(
図8参照)がオフされる(ステップS71)。
【0070】
用紙が正常に搬送されているときは、どのタイマについてもタイムアップ前にオフされるように各タイムアップ時間が設定されている。
【0071】
次に、各タイマがタイムアップした時の動作について説明する。
【0072】
図11は、タイマ1がタイムアップしたときに実行される動作を示したフローチャートである。
【0073】
タイマ1はスタートボタンを押したときに起動されるタイマである(
図4参照)。このタイマ1は、第1センサ71がオンの時にオフとなる(
図5、ステップS21)。したがって、タイマ1がタイムアップしたということは、給紙トレイ12上の用紙の搬送が開始されたにもかかわらず、タイマ1の、あらかじめ定められたタイムアップ時間までに、その用紙の先端が第1センサ71に到達しなかったことを意味している。
【0074】
このときは、
図11に示すように、用紙の搬送が停止され(ステップS101)、2次転写部材41が中間転写ベルト31からの離間されるとともに加圧ロール62が加熱ロール61から離間される(ステップS102)。さらに、定着器60の加熱ロール61への通電も通断される。さらに用紙搬送不良が発生した旨、ユーザに向けた警告が発せられる(ステップS103)。
【0075】
この場合、用紙は給紙トレイ12からほとんど送り込まれておらず、用紙を外側に引っ張ることによりその用紙を除去することができる。
【0076】
図12は、タイマ2がタイムアップしたとき、およびタイマ3がタイムアップしたときに実行される動作を示したフローチャートである。
【0077】
タイマ2、タイマ3はいずれも、用紙先端が第1センサ71に到達して第1センサ71がオンしたタイミングでオンとなるタイマである(
図5参照)。
【0078】
タイマ2は用紙後端が第1センサ71を通過するとオフとなる。すなわちタイマ2がタイムアップしたということは、用紙先端は第1センサ71を通過したものの用紙後端が第1センサ71を通過しない状態のままとなっていることを意味している。このタイマ2がタイムアップする時刻は、本発明にいう第1タイミングの一例に相当する。
【0079】
また、タイマ3は、用紙先端が第2センサ72に到達して第2センサ72がオンとなるとオフされるタイマである(
図7参照)。すなわち、タイマ3がタイムアップしたということは、用紙先端が第2センサ72に到達しない状態のままになっていることを意味している。このタイマ3がタイムアップする時刻は、本発明にいう第2タイミングの一例に相当する。
【0080】
これらタイマ2あるいはタイマ3がタイムアップすると、
図12に示すように、先ず定着器60の動作が停止する(ステップS201)。すなわち、ここでは加熱ロール61および加圧ロール62の回転が停止し、かつ加熱ロール61への通電が停止される。ただし、この段階では、加圧ロール62は加熱ロール61に接触したままである。これは、用紙が定着器60を通過しないようにブロックするためである。定着部60を停止したまま第1センサ71がオフになるまで、すなわち用紙後端が第1センサ71を通過するまで用紙搬送を継続する(ステップS202)。用紙後端が第1センサ71を通過して第1センサ71がオフになると、用紙の搬送が停止される(ステップS203)。さらに、2次転写部材41が中間転写ベルト31から離間され、かつ加圧ロール62が加熱ロール61から離間される(ステップS204)。これは、用紙が2次転写部材41と中間転写ベルト31との間、あるいは加熱ロール61と加圧ロール62との間に挟まれて除去しにくくなるのを避ける措置である。このとき用紙は、
図3に示すように、折り重なるようにして空間Sに収容される。
【0081】
ここではさらに、用紙搬送不良が生じた旨、ユーザに向けて警告が発せられる(ステップS205)。
【0082】
図13は、タイマ4がタイムアップしたとき、およびタイマ5がタイムアップしたときに実行される動作を示したフローチャートである。
【0083】
タイマ4は、用紙先端が第2センサ72に到達してタイマ2がオンとなったときにオンとなるタイマである(
図7参照)。そしてこのタイマ4は、用紙先端が第3センサ73に到達して第3センサ73がオンになったときにオフされる(
図8参照)。したがってこのタイマ4がタイムアップしたということは、用紙先端が第2センサ72に到達した後、その用紙先端が第3センサ73に到達しないままの状態にあることを意味している。このタイマ4がタイムアップする時刻は、本発明にいう第3タイミングの一例に相当する。これは典型的には、用紙が定着器60の加熱ロール61あるいは加圧ロール62に巻き付いてしまっている状態にあることを意味している。
【0084】
またタイマ5は、用紙先端が第3センサ73に到達して第3センサ73がオンになったときにオンになるタイマである(
図8参照)。ただし、用紙先端が第3センサ73に到達するタイミング以前にその用紙の後端が第2センサ72を通過しているような長さの短かい用紙のときはタイマ5はオンされない(
図8、ステップS52参照)。このタイマ5は、オンされた場合、用紙後端が第2センサ72を通過するとオフになる(
図9参照)。したがって、このタイマ5がタイムアップしたということは、用紙先端が第3センサ73に到達したものの、用紙後端が第2センサ72を通過しない状態にあることを意味している。
【0085】
このタイマ5がタイムアップする時刻は、本発明にいう第5タイミングの一例に相当する。
【0086】
これらタイマ4あるいはタイマ5がタイムアップすると、
図13に示すように、定着器60の加熱ロール61および加圧ロール62が逆回りとなり、用紙が逆送りされる(ステップS301)。このとき加熱ロール61への通電は遮断される。定着器60が逆回りになるほかは、用紙は正規の向きへの搬送が続けられる。そして用紙後端が第1センサ71を通過すると(ステップS302)、その搬送が停止される(ステップS303)。さらに、加熱ロール61あるいは加圧ロール62に用紙が巻きついていたときのその用紙の巻き付きがなくなるまでの間の定着器60の逆回りが終了すると、定着器60も停止する(ステップS304)。その後、2次転写部材41が中間転写ベルト31から離間され、かつ加圧ロール62が加熱ロール61から離間される(ステップS305)。これは、用紙が2次転写部材41と中間転写ベルト31との間、あるいは加熱ロール61と加圧ロール62との間に挟まれて除去しにくくなるのを避ける措置である。このとき用紙は、
図3に示すように、折り重なるようにして空間Sに収容される。
【0087】
ここではさらに、用紙搬送不良が生じた旨、ユーザに向けて警告が発せられる(ステップS306)。
【0088】
図14は、タイマ6がタイムアップしたときに実行される動作を示したフローチャートである。
【0089】
タイマ6は、用紙先端が第3センサ73に到達して第3センサ73がオンしたときにオンし(
図8参照)。その第3センサ73を用紙後端が通り過ぎて第3センサ73がオフしたときにオフする(
図10参照)タイマである。
【0090】
すなわち、このタイマ6がタイムアップしたということは、用紙が排紙トレイ11上に排出されかかっているものの排出されるのに時間がかかっていることを意味している。
【0091】
このときは、時間がかかってでも第3センサ73がオフするまで搬送を続ける(ステップS401)。ただし定着器60の加熱用ロール61への通電は遮断される。
【0092】
そして、第3センサ73がオフになると搬送を停止する(ステップS402)。さらに2次転写部材41を中間転写ベルト31から離間させるとともに、加圧ロール62を加熱ロール61から離間させ(ステップS403)。ユーザに対し警告を発する(ステップS404)。この場合、用紙は、排紙トレイ11側から引き抜かれる。
【0093】
本実施形態では、このようにして、用紙を筐体10の外に引き抜くことができる状況にある場合を除き、用紙は、筐体10の内部の空間Sに折り重なるように収容される。その空間Sに収容された用紙は、引出部材80を
図2に示すように筐体10から引き出して、空間Sに収容された用紙を破断させることなく取り出すことができる。