(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記撮影により得られた画像データは、ユーザにより指定された露光時間を分割して、前記分割された時間毎に撮影された複数の画像データであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像処理方法。
前記撮影により得られた画像データは、異なる位置に移動した検出器で撮影された複数の画像データであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、2回測定する方法や露光時間を分割して大きい値のピクセルを除去する方法では、必要な測定時間を超えて測定したり、測定結果の一部を捨てたりして、測定および解析をリアルタイムで行なえず効率的でない。また、補正マスクを予め作成する方法でも、準備が必要となりリアルタイム性が低く、使用者の手間となる点で効率的でない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、指定された時間のデータを損なわずに、宇宙線、ノイズおよび不良ピクセルの影響を除去し、リアルタイムかつ効率的に高い精度で画像データを補正できる画像処理方法および画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記の目的を達成するため、本発明の画像処理方法は、X線検出画像データの異常値を補正処理する画像処理方法であって、撮影により得られた画像データを時間軸および空間軸からなる3次元空間の各要素に対する強度データの集合として捉えたときに、周囲の強度データに対して著しく異なる強度データを有する異常な要素の有無を判定するステップと、前記異常な要素の強度データを周囲の強度データから算出した代替値に置き換えるステップと、を含むことを特徴としている。
【0010】
これにより、指定された時間のデータを損なわずに、宇宙線、ノイズおよび不良ピクセルの影響を除去し、リアルタイムかつ効率的に高い精度で画像データを補正できる。また、不良ピクセルがあったときも予め補正用のデータを用意しておく必要がなく、処理しようとする画像データのみを用いて異常値除去の補正をすることができる。
【0011】
(2)また、本発明の画像処理方法は、前記撮影により得られた画像データを次々と蓄積するステップを更に含み、前記蓄積された画像データの所定数を用いて前記異常な要素の有無の判定および代替値への置き換えを行なった画像データをユーザが操作可能なシステムへ、リアルタイムに提供することを特徴としている。これにより、次々と蓄積される画像データを用いてリアルタイムに画像データを補正することができる。
【0012】
(3)また、本発明の画像処理方法は、時間軸および空間軸からなる3次元空間において所定の基準で取り出した配列に対してその配列を構成する要素に異常な要素があるか否かを判定することを特徴としている。これにより、撮影対象に応じた基準で効率よく異常な要素を補正することができる。
【0013】
(4)また、本発明の画像処理方法は、前記撮影により得られた画像データが、ユーザにより指定された露光時間を分割して、前記分割された時間毎に撮影された複数の画像データであることを特徴としている。これにより、同じ条件で2回撮影する必要がなく、効率よく画像データを利用して異常値除去の補正ができる。
【0014】
(5)また、本発明の画像処理方法は、前記撮影により得られた画像データが、異なる位置に移動した検出器で撮影された複数の画像データであることを特徴としている。これにより、検出器の特定位置のノイズが生じたときでも、得られた3次元データ上では、時間の経過によりノイズの位置が動くことから、異常な要素として特定し処理できる。
【0015】
(6)また、本発明の画像処理方法は、前記要素が、各画像データの撮影時間およびピクセルで特定されることを特徴としている。これにより、ピクセル単位で効率よく異常な要素の補正をすることができる。
【0016】
(7)また、本発明の画像処理方法は、X線検出画像データの異常値を補正処理する画像処理方法であって、1または複数の画像データを読み込むステップと、前記読み込まれた画像データにおいて周囲の強度データに対して著しく異なる強度データを有する異常な要素の有無を判定し、前記異常な要素がある場合には、前記異常な要素を関心要素として特定する第1処理のステップと、前記読み込まれた画像データの集合における前記関心要素に基づき時間軸に沿って、前後の時刻の強度データに対して著しく異なる強度データを有する異常な要素の有無を判定し、前記異常な要素がある場合には、前記異常な要素を周囲の時刻の強度データから算出した代替値に置き換える第2処理のステップと、を含むことを特徴としている。
【0017】
これにより、時間経過により急激に変化する試料を測定するような場合には有効に補正できる。また、1〜数枚程度の画像データを用いて異常な要素の有無の判定を行なう場合にも、時間軸補正を掛けるのに十分なデータ点が得られないため、有効に補正できる。
【0018】
(8)また、本発明の画像処理方法は、X線検出画像データの異常値を補正処理する画像処理方法であって、1または複数の画像データを読み込むステップと、前記読み込まれた画像データの集合において、各要素に基づき時間軸に沿って、前後の時刻の強度データに対して著しく異なる強度データを有する異常な要素の有無を判定し、前記異常な要素がある場合には、前記異常な要素を周囲の時刻の強度データから算出した代替値に置き換える第1処理のステップと、前記読み込まれた画像データのそれぞれにおいて周囲の強度データに対して著しく異なる強度データを有する異常な要素の有無を判定し、前記異常な要素がある場合には、前記異常な要素を周囲の強度データから算出した代替値に置き換える第2処理のステップと、を含むことを特徴としている。
【0019】
これにより、時間遅延積分画像を取得する際には検出器を走査しながら複数の画像を取得するため、同一計数を複数のピクセルにまたがって測定することとなりきわめて有効に補正できる。さらに、時間分解能は一般的な測定時間に比べて2〜4桁程度大きく、そのため容易に多数のデータを利用でき、統計変動による影響を小さくすることができる。
【0020】
(9)また、本発明の画像処理装置は、X線検出画像データの異常値を補正処理する画像処理装置であって、撮影により得られた画像データを時間軸および空間軸からなる3次元空間の各要素に対する強度データの集合として捉えたときに、周囲の強度データに対して著しく異なる強度データを有する異常な要素の有無を判定する異常要素判定部と、前記異常な要素の強度データを周囲の強度データから算出した代替値に置き換える補正部と、を備えることを特徴としている。これにより、指定された時間のデータを損なわずに、宇宙線、ノイズおよび不良ピクセルの影響を除去し、リアルタイムかつ効率的に高い精度で画像データを補正できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、指定された時間のデータを損なわずに、宇宙線、ノイズおよび不良ピクセルの影響を除去し、リアルタイムかつ効率的に高い精度で画像データを補正できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0024】
[第1の実施形態]
(X線分析装置)
図1は、X線分析装置100および画像処理装置200の構成を示すブロック図である。
図2は、X線分析装置100の構成を示す斜視図である。
図1、
図2に示すように、X線分析装置100は、X線源110、試料台120、検出器130、照射機構140および駆動機構150を備えている。
【0025】
X線源110は、X線管からなり、Cu、Mo等の特性X線を放射する。単色化された特性X線は、コリメータ等により所定の径の平行線にされた後、試料Sに照射される。照射X線は、試料Sによる回折X線として、試料Sを中心として角度2θで散乱され検出器130の検出面に入射する。
【0026】
試料台120は、試料Sを回転可能に保持している。試料Sには、例えば粉末結晶があげられるが、単結晶であってもよい。また、試料台120は、検出器130の2θ回転に連動してθ回転するものであってもよいが、検出器130とは独立した回転により一様な回折X線を発生させるものであることが好ましい。
【0027】
検出器130は、フォトンカウンティング型のピクセル検出器であって、1次元検出器であってもよいが、2次元検出器であることが好ましい。1次元検出器は、直線上でのX線強度の位置分解能を有しているX線検出器である。1次元検出器は、例えば、X線を検出できる微小なX線受光素子を複数個、直線状に並べることによって形成できる。
【0028】
2次元検出器は、平面内でのX線強度の位置分解能を有しているX線検出器である。2次元検出器は、例えば、複数の微小なX線受光素子を平面内に並べて構成され、ピクセル毎にX線を検出でき、ピクセル毎に信号を出力する半導体X線検出器によって形成できる。このような半導体X線受光素子には、例えば、CCD、CMOSがある。
【0029】
照射機構140は、電源や回路により構成されており、X線源110からのX線の照射を制御する。駆動機構150は、試料台120の回転や検出器130の移動を制御している。回折X線を用いる場合には、検出器130は回折角方向に移動させる。
【0030】
(画像処理装置)
画像処理装置200は、X線分析装置100から受け取ったX線検出画像データの異常値を補正処理する。
図1に示すように、画像処理装置200は、例えばCPUを搭載したサーバで構成され、制御部210、画像記録部220、異常要素判定部230、異常要素記憶部240および補正部250を備えている。
【0031】
制御部210は、照射機構140および駆動機構150を制御し、照射機構140と駆動機構150とを連動させることで、検出器130への一様なX線照射を可能にしている。X線源110から所定のX線を試料Sに照射し、検出器130を円上で一定速度で移動させるとともに、試料台120を回転させる。
【0032】
画像記録部220は、検出器130で得られた強度分布の画像データをそのまま記録する。画像記録部220は、撮影により得られた画像データを次々と蓄積し、蓄積された画像データによるリアルタイムの補正処理を可能にしている。異常要素判定部230は、撮影により得られた画像データを時間軸および空間軸からなる3次元空間の各要素に対する強度データの集合として捉えたときに、周囲の強度データに対して著しく異なる強度データを有する異常な要素の有無を判定する。その際には、時間軸および空間軸からなる3次元空間において所定の基準で取り出した配列に対してその配列を構成する要素に異常な要素があるか否かを判定する。所定の基準とは、時間軸、空間軸で形成される3次元空間内に規定された領域で表される。例えば、時間軸に所定枚数分の要素データの配列を取り出して判定の対象とする場合にはその領域が所定の基準である。また、所定枚数は、補正の精度とリアルタイム性を維持できる時間とのバランスをとり事前に設定できる。異常要素情報は、画像データの異常な要素を特定する情報であり、例えば異常要素の位置を示すテーブルである。
【0033】
異常要素記憶部240は、テーブル等として生成された異常要素情報を記憶する。補正部250は、異常要素記憶部240に記憶された異常要素情報を読み出すとともに、読み込んだ画像データに対し、異常要素情報を用いて異常な要素の強度データを補正して出力する。補正は、異常な要素の強度データを周囲の強度データから算出した代替値に置き換えることで行なう。補正されて出力された画像データは、ユーザが操作可能なシステム(例えばユーザPC)に転送される。上記の例では、サーバで補正処理した画像データをユーザPCに転送するが、ユーザ端末内でソフトウェアにより補正処理システムとユーザによる操作システムとに分かれていて、補正処理システムで補正した画像データが操作システムに転送されるものであってもよい。
【0034】
(画像データ)
図3は、X線検出画像データを3次元空間として表す図である。
図3に示す例では、3つの検出器130で受光されることで2次元の画像データが一定の時間間隔で撮影されており、2次元空間と時間軸により構成される3次元空間内に一連の画像データ300a〜300cとして表現することができる。このとき、空間上の特定の要素310a〜310cに注目すると、要素の形の断面を有する時間軸に平行な柱320として表される。
【0035】
X線分析装置100で撮影された画像データが、画像処理装置200に送出され記録されることで、画像データの集合が蓄積された状態となり、
図3に示すような3次元空間上の画像データの集合として把握することができる。
【0036】
なお、撮影により得られた画像データは、ユーザにより指定された露光時間を分割して、分割された時間毎に撮影された複数の画像データであることが好ましい。これにより、同じ条件で2回撮影する必要がなく、効率よく画像データを利用して異常値除去の補正ができる。このような空間補正、時間軸補正については、以下のように考えられる。
【0037】
(空間補正)
空間補正では、ある時間に測定された画像データの空間的な滑らかさが異常な要素の有無を判定するときの基準となるが、一般的にそのような空間的な滑らかさは任意である。したがって、次の(1)〜(3)に挙げるような仮定で推定される計数値との比較によって不良の判定を行なう。
(1)全てのピークはある分布(例えば2次元ガウス分布)に従うと仮定する。ただし、この場合には、得られる画像に対する知識が必要とされる。
(2)ある範囲(例えば、n×nピクセルの領域で)一定であると仮定する。この仮定を検出器全域で行なえる場合が一様照射である。上記の(1)の特殊な場合である。
(3)全てのピクセルで0であると仮定する。これは、一般的なカメラ等でHotPixel(常にゼロでないピクセル)の簡易検出に用いられるダークフレームと呼ばれるものである。
【0038】
本発明の目的であるリアルタイム補正では、上記の(1)の仮定を置く必要があるが、X線源のビーム形状や装置構成、試料に依存するので汎用性に欠ける。そこで非常に狭い範囲(例えば、3×3)で判定を行なうことで汎用フィルタとして用いることになる。また、空間分解能はビームサイズと比べて−1〜1桁程度大きいため、9ピクセル以上の情報を使用しようとすると予備知識が必要となる。
【0039】
(時間軸補正)
時間軸補正では、ある位置において測定された複数のデータの時間的な滑らかさが判定の基準となる。対象としている試料が時間的に安定である必要があるが、多くの場合この仮定が成り立ち、また、成り立たない場合でも、ほとんど測定前に成り立つか否かが分かるため対処可能である。
【0040】
特に、時間遅延積分画像を取得する際には検出器を走査しながら複数の画像を取得するため、同一計数を複数のピクセルにまたがって測定することとなりきわめて有効な方法となる。さらに、時間分解能は一般的な測定時間に比べて2〜4桁程度大きい、そのため容易に100以上の要素のデータを異常な要素の判定に使用することができる。
【0041】
(画像処理方法)
上記のように構成された画像処理装置200の基本的な動作について説明する。まず、X線分析装置100から1または複数の画像データを読み込む。そして、読み込まれた画像データにおいて周囲の強度データに対して著しく異なる強度データを有する異常な要素の有無を判定し、異常な要素がある場合には、異常な要素を関心要素として特定する(第1処理のステップ)。なお、強度データが著しく異なるか否かは、例えば周囲の強度データの平均値に対する差が閾値を超えるか否かにより判定することができる。
【0042】
次に、読み込まれた画像データの集合における関心要素に基づき時間軸に沿って、前後の時刻の強度データに対して著しく異なる強度データを有する異常な要素の有無を判定する。そして、異常な要素がある場合には、異常な要素を周囲の強度データから算出した代替値に置き換えることで補正する(第2処理のステップ)。
【0043】
これにより、指定された時間のデータを活かして、宇宙線、ノイズおよび不良ピクセルの影響を除去し、高い精度で補正できる。また、不良ピクセルがあったときも予め補正用のデータを用意しておく必要がなく、処理しようとする画像データのみを用いて異常値除去の補正をすることができる。なお、関心要素に基づき時間軸に沿って異常な要素の有無を判定するというのは、
図3に示すような関心要素を含む時間軸上の柱において前後の要素間で比較することを指している。
【0044】
このように異常な要素の有無の判定は、空間軸および時間軸のいずれを先に行なってもよいが、本実施形態では空間軸上の補正を先に行なう場合を説明する。例えば、空間上の異常値を補正するとともに、その補正だけでなく、それをもとにした時間軸上の異常値の補正を行ない、効果的に異常値を除去できる。このような順序の補正は、時間経過により急激に変化する試料を測定するような場合には有効となりうる。また、1〜数枚程度の画像データを用いて異常な要素の有無の判定を行なう場合には、時間軸補正を掛けるのに十分なデータ点が得られないため、空間補正によって異常な要素を補正した上で弱い時間軸補正のフィルターを掛けることでリアルタイム補正を行なうのが有効となりうる。
【0045】
要素は、各画像データの撮影時間およびピクセルで特定される。これにより、ピクセル単位で効率よく異常な要素の補正をすることができる。なお、要素は必ずしもピクセルである必要はなく、ピクセルが集合した領域であってもよい。
【0046】
(処理の具体例)
次に、画像処理方法の具体例を説明する。
図4は、画像処理方法の一例を示すフローチャートである。まず、画像処理装置200は、N(N>0)枚の画像データをX線分析装置100から読み込む(ステップS1)。そして、読み込んだN枚の画像データのうち1枚の画像データを選択し(ステップS2)、異常な要素があるか判定する(ステップS3)。その際には、周囲の強度データの平均値と関心要素の強度データとの差が所定の閾値を超えるか否かで判定することができる。その他、一定領域でフーリエ変換したときの値が一定値を超えるか否か等でも判定可能である。なお、N=1の場合も含まれるが、N≧2の時間軸補正が可能である場合に限ることが好ましい。
【0047】
判定の結果、異常な要素が見つかったときには、異常な要素を記録しておく(ステップS4)。なお、要素は、空間上の位置情報と時間情報とにより特定される。異常な要素が見つからなかったときには、ステップS5に進む。
【0048】
次に、全画像データが選択されたか否かを判定する(ステップS5)。未だ全画像データが選択されていない場合には、ステップS2に戻り、未選択の画像データを選択していく。全画像データが選択された場合にはステップS6に進む。
【0049】
次に、異常な要素のテーブルを更新する(ステップS6)。これにより、異常な要素の記録が、テーブルに反映され、テーブルを用いて異常な要素の強度データを補正することができる。
【0050】
このようにして特定された異常な要素のうち、一つの要素を関心要素として選択する(ステップS7)。選択された関心要素について時間軸上に強度の大きい順に配列し直し、前後の要素の強度データの平均値に対して、所定の閾値を超える強度データを有する異常な要素があるか判定する(ステップS8)。
【0051】
判定の結果、時間軸上の異常な要素がない場合には、ステップS10に進む。時間軸上の異常な要素がある場合には、補正を行なう(ステップS9)。補正は、空間補正であってもよいし、時間軸補正であってもよい。このようにして得られた関心要素の強度データを加算する(ステップS10)。全要素について加算が完了したか判定し、完了していない場合には、ステップS7に戻る。完了している場合には、そのまま処理を終了する。
【0052】
(補正処理)
上記のように、補正には、空間補正と時間軸補正とがある。
図5は、空間における周囲の要素(ピクセル)を用いた補正を示す図である。
図5に示すように、指定された露光時間を4分割した時間でX線像を検出した場合には、4分割の各時間の画像データが得られる。このような画像データに周囲の強度データとは著しく値の異なるピクセルが存在したときに、そのピクセルの異常な強度データを周囲のピクセルの強度データを参照して得た強度データに置換することができる。最終的には、このような空間補正を行なった画像データを含めて露光時間全体の画像データを足し合わせることで所望の画像データが得られる。
【0053】
図6は、補正の際に参考にする要素を示す図である。
図6に示すように、第1近接のピクセルおよび第2近接のピクセルをもとに算出した強度データで、中央の注目するピクセルの強度データを置き換える補正方法がある。
【0054】
図7は、時間軸における周囲の要素を用いた補正を示す図である。指定された露光時間を4分割した時間でX線像を検出した場合に4分割の各時間の画像データが得られる。
図7に示す例では、前後の画像データの同じ位置にあるピクセルの強度データを用いて、例えばそれらの平均値で異常値を置き換えることができる。最終的には、このような時間軸補正を行なった画像データを含めて露光時間全体の画像データを足し合わせることで所望の画像データが得られる。
【0055】
[第2の実施形態]
上記の実施形態では、空間補正を行なった後に時間軸補正を行なっているが、順序を逆にして時間軸補正を行なった後に空間補正を行なってもよい。この場合には、事前に時間軸補正によって主な異常な要素が補正されているため、空間補正では孤立点除去のような簡単なフィルタを掛けるだけで良くなる。また、時間軸補正後のデータを積算してから空間補正を行なえばデータの統計変動による影響を小さくすることができる。
【0056】
図8は、時間軸補正後に空間補正を行なう画像処理方法の一例を示すフローチャートである。まず、画像処理装置200は、M(M>0)枚の画像データをX線分析装置100から読み込む(ステップT1)。そして、読み込んだM枚の画像データのうち1枚の画像データを選択し(ステップT2)、一つの要素を関心要素として選択する(ステップT3)。そして、選択された関心要素について時間軸上で前後の要素の強度データに対して異常な要素があるか判定する(ステップT4)。なお、M=1の場合も含まれるが、M≧2の時間軸補正が可能である場合に限ることが好ましい。
【0057】
判定の結果、時間軸上の異常な要素がない場合には、ステップT6に進む。時間軸上の異常な要素がある場合には、補正を行なう(ステップT5)。そして、得られた関心要素の強度データを加算する(ステップT6)。全要素について加算が完了したか判定し(ステップT7)、完了していない場合には、ステップT3に戻る。完了したと判定された場合にはステップT8へ進む。
【0058】
さらに全画像データが選択されたか否かを判定し(ステップT8)、未だ全画像データが選択されていない場合には、ステップT2に戻り、未選択の画像データを選択していく。全画像データが選択された場合にはステップT9に進む。
【0059】
次に、読み込んだM枚の画像データのうち1枚の画像データを選択し(ステップT9)、周囲の要素のデータに対して空間上の異常な要素があるか判定する(ステップT10)。その際には、例えば周囲の強度データの平均値と関心要素の強度データとの差が所定の閾値を超えるか否かで判定することができる。
【0060】
判定の結果、異常な要素が見つかったときには、補正を行なう(ステップT11)。異常な要素が見つからなかったときには、ステップT12に進む。そして、全画像データが選択されたか否かを判定する(ステップT8)。完了していないときにはステップT9に戻る。完了している場合には、そのまま処理を終了する。
【0061】
[第3の実施形態]
上記の実施形態では、検出器130を固定して撮影された画像データを用いているが、検出器を移動させながら撮影された画像データを用いてもよい。検出器130を移動させる場合には、撮影により得られた画像データは、異なる位置に移動した検出器で撮影された複数の画像データである。これにより、検出器130の特定位置のノイズが生じたときでも、得られた3次元データ上では、時間の経過により固定された空間上でノイズの位置が動くことから、異常な要素として特定し補正処理できる。
【0062】
図9は、検出器を移動させて撮影した場合におけるX線検出画像データを3次元空間として表す図である。
図9に示す例では、一定方向に移動した3つの2次元の画像データが一定の時間間隔で撮影されており、2次元空間と時間軸により構成される3次元空間内に一連の画像データ400a〜400cとして表現することができる。このときも空間上の特定の要素410a〜410cに注目すると、要素の形の断面を有する時間軸に平行な柱420として表される。ただし、それぞれ強度データは検出器130上の別のピクセルで検出されたものとなる。
【0063】
X線分析装置100で検出器130を移動させながら撮影された画像データが、画像処理装置200に送出され記録されることで、それぞれ位置の異なる画像データの集合が蓄積される。このような画像データの集合は、
図9に示すような3次元空間上の画像データの集合として把握することができる。
【0064】
[実施例]
次に、
図2に示すような装置構成でX線の回折像を撮影し、
図4に示すような処理で異常値の補正を行なった。
図10(a)、(b)は、それぞれ補正しない場合の画像データと補正した場合の画像データとを示す図である。補正しない場合の画像データには、異常値の表れたピクセルが点状のノイズとして現れているのに対し、補正した場合の画像データにはほとんど点状のノイズが生じていないことが分かる。