(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記通信品質情報は、前記フィールド機器から送信される通信健全性情報およびプロセスデータの少なくとも一方を用いて求められる情報であることを特徴とする請求項1記載の情報表示装置。
前記表示制御部は、前記フィールド機器のバッテリー残量を示す機器電源情報を、前記機器特定情報に対応させて前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の情報表示装置。
前記表示制御部は、同一のフィールド機器について、前記通信品質情報が示す通信品質が、当該フィールド機器が現在使用している通信経路に比して優れている他の通信経路が存在することを示す通知を、前記機器特定情報に対応させて前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載の情報表示装置。
前記第1ステップの前に、前記プラントに設置されたフィールド機器から送信される通信健全性情報およびプロセスデータの少なくとも一方を用いて前記フィールド機器の通信品質を示す通信品質情報を求める第3ステップを有することを特徴とする請求項10記載の情報表示方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[情報表示システムの概要]
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る情報表示システムS1の概念図である。
情報表示システムS1は、プラントや工場などにおいて、フィールド機器を管理し、制御するためのシステムである。プラントとしては、化学等の工業プラントの他、ガス田や油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力等の発電を管理制御するプラント、太陽光や風力等の環境発電を管理制御するプラント、上下水やダム等を管理制御するプラント等がある。情報表示システムS1は、フィールド機器1と、アクセスポイント2と、情報処理装置3と、情報表示装置4と、を備える。
【0011】
フィールド機器1は、例えば流量計や温度センサ等のセンサ機器、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器、プラント内の状況や対象物を撮影するカメラやビデオ等の撮像機器、プラント内の異音等を収集したり警報音等を発したりするマイクやスピーカ等の音響機器、各機器の位置情報を出力する位置検出機器、その他の機器である。アクセスポイント2は、例えば、バックボーンルータである。情報処理装置3は、プラントから得られる情報を処理する装置であり、例えば、ゲートウェイやシステムマネージャなどの装置である。情報表示装置4は、プラントから得られる情報をGUI(Graphical User Interface)によって表示する表示部を備える装置である。
【0012】
フィールド機器1とアクセスポイント2とは、例えばISA100.11aやWirelessHART(登録商標)等の産業用無線通信規格に準拠した無線通信を行う。フィールド機器1は、例えば、第1経路と第2経路との複数のアクセスポイント2と、冗長化された通信が可能である。また、フィールド機器1は、設定に応じて、第1経路または第2経路として通信を行うアクセスポイント2を切り替える機能を有する。アクセスポイント2と、情報処理装置3と、情報表示装置4とは、ネットワーク5を介して通信を行う。ネットワーク5は、例えばバックボーンネットワークである。
【0013】
図2は、情報表示システムS1の動作の第1例を示すシーケンス図である。
まず、フィールド機器1は、被測定流体の流量や圧力や温度等のプロセスデータを取得し、取得したプロセスデータを、無線通信を介して、アクセスポイント2に送信する(ステップS101)。ここで、プロセスデータは、送信時刻を示す送信時刻情報(タイムスタンプ)と、データ番号を示すシーケンス番号とを含み、所定の周期で送信される。次に、アクセスポイント2は、プロセスデータを取得し(ステップS102)、取得したプロセスデータを情報処理装置3に送信する(ステップS103)。
【0014】
次に、情報処理装置3は、プロセスデータを取得し(ステップS104)、取得したプロセスデータに基づいて、受信間隔(Interval)、送受信間遅延(Latency)、およびプロセスデータ損失数(Publication Loss)を演算する(ステップS105)。受信間隔、送受信間遅延、およびプロセスデータ損失数は、フィールド機器1から情報処理装置3までの通信経路の通信品質を示す通信品質情報である。通信品質情報の算出方法は、後述する。情報処理装置3は、演算結果の通信品質情報を自装置の記憶部に直近データとして記憶する(ステップS106)。次に、情報処理装置3は、演算結果の通信品質情報を、予め規定された期間に亘って統計処理することにより、統計情報を生成する(ステップS107)。
【0015】
ここで、本実施形態において、統計情報には、時間に対応付けられた時系列データと、統計レポートデータとがある。時系列データには、毎分データ、毎時データ、および毎日データがある。毎分データは、1分間の通信品質情報を統計処理したデータである。毎時データは、1時間の通信品質情報を統計処理したデータである。毎日データは、1日間の通信品質情報を統計処理したデータである。直近データと時系列データとには、フィールド機器1の運転状態を示す運転状態情報が含まれる。統計レポートデータは、後述する統計レポートを表示するための情報を集約したものである。
【0016】
次に、情報処理装置3は、生成した統計情報を自装置の記憶部に記憶する(ステップS108)。情報処理装置3は、情報表示装置4からの要求に応じて、直近データ、時系列データ、および統計レポートデータを情報表示装置に送信する(ステップS109)。情報表示装置4は、直近データ、時系列データ、および統計レポートデータを取得し(ステップS110)、取得した情報を表示する(ステップS111)。
【0017】
図3は、情報表示システムS1の動作の第2例を示すシーケンス図である。
まず、フィールド機器1は、無線通信を介して、通信健全性情報をアクセスポイント2に送信する(ステップS201)。ここで、通信健全性情報は、無線通信の通信成功回数、通信失敗回数、計測受信信号強度、利用チャネル番号、および送信見送り回数を含み、所定の周期で送信される。また、フィールド機器1は、自装置が通信を行うことができる範囲に存在するアクセスポイント2各々について、通信健全性情報を取得してよい。次に、アクセスポイント2は、通信健全性情報を取得し(ステップS202)、取得した通信健全性情報を情報処理装置3に送信する(ステップS203)。
【0018】
次に、情報処理装置3は、通信健全性情報を取得し(ステップS204)、取得した通信健全性情報に基づいて、パケット誤り率(PER)、受信信号強度(RSSI)、および送信見送り率(CCA Back off。なお、CCAは、Clear Channel Associationの略)を演算する(ステップS205)。パケット誤り率、受信信号強度、および送信見送り率は、通信品質情報である。通信品質情報の算出方法は後述する。情報処理装置3は、演算結果の通信品質情報を自装置の記憶部に直近データとして記憶する(ステップS206)。ステップS207からステップS211までの処理は、それぞれ、
図2に示すステップS107からステップS111までの処理と同様であるため説明を省略する。なお、フィールド機器1は、自装置の電源の状態を示す機器電源情報を情報処理装置3に送信する。また、電源がバッテリーの場合、機器電源情報はバッテリー残量の情報を含む。
【0019】
[情報処理装置の概要]
図4は、情報処理装置3の概略機能構成の一例を示すブロック図である。
情報処理装置3は、通信部31と、記憶部32と、取得部331と、演算部332と、毎分データ生成部333と、毎時データ生成部334と、毎日データ生成部335と、統計レポート生成部336と、送信制御部337と、を備える。また、情報処理装置3は、装置の内部にCPU(Central Processing Unit)や記憶装置を備える。
【0020】
通信部31は、ネットワーク5に接続される通信インタフェースを備え、アクセスポイント2および情報表示装置4と通信する。
記憶部32は、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの主記憶装置と補助記憶装置とを備える。また、これらの記憶装置は、例えば、フラッシュメモリ(Flash memory)などの大容量不揮発メモリや、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの大容量揮発メモリ、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)などの小容量不揮発メモリを用いて構成される。
【0021】
また、記憶部32は、ファームウェアやアプリケーションプログラムなど、情報処理装置3が備えるCPUが実行するための各種プログラムやCPUが実行した処理の結果などを記憶する。例えば、記憶部32は、機器毎のプロセスデータの送信時間間隔を示す設定情報を記憶する。また、例えば、記憶部32は、統計レポート生成部336による判定処理に利用する機器毎の閾値の設定情報を記憶する。また、例えば、記憶部32は、機器の使用チャネル番号のスロットへの割り当てを示すチャネル割当情報を記憶する。取得部331と、演算部332と、毎分データ生成部333と、毎時データ生成部334と、毎日データ生成部335と、統計レポート生成部336と、送信制御部337とは、例えば、情報処理装置3の備えるCPUが記憶部32に記憶されているプログラムを実行することによって機能する。
【0022】
また、記憶部32は、直近データ記憶部321と、毎分データ記憶部322と、毎時データ記憶部323と、毎日データ記憶部324と、統計レポート記憶部325と、を備える。
直近データ記憶部321は、通信品質情報の直近データを記憶する。
毎分データ記憶部322は、時系列データのうち、直近データを1分間毎に統計処理して得られる毎分の通信品質情報である毎分データを記憶する。
毎時データ記憶部323は、時系列データのうち、毎分データを1時間毎に統計処理して得られる毎時の通信品質情報である毎時データを記憶する。
毎日データ記憶部324は、時系列データのうち、毎時データを1日間毎に統計処理して得られる毎日の通信品質情報である毎日データを記憶する。
統計レポート記憶部325は、通信品質情報から生成される統計レポートデータを記憶する。
【0023】
図5は、情報処理装置3が処理するデータを記憶する記憶装置の種類の一例を示す図である。
フラッシュメモリは、大容量であり、電源がオフになってもデータが失われないが、書き込み回数の寿命が短いという特性を有する。このフラッシュメモリには、毎分データ、毎時データ、毎日データ、情報表示システムS1が備える各機器の接続態様を示す経路情報、および各機器の種類や設定、識別情報を示す機器情報などが記憶される。
【0024】
DRAMは、電源がオフになるとデータが失われるが、大容量であり、書き込み回数の寿命が長いという特性を有する。このDRAMには、直近データ、毎時データの演算に利用する毎分データの一時保存データ(一時保存毎分データ)、毎日データの演算に利用する毎時データの一時保存データ(一時保存毎時データ)が記憶される。
FeRAMは、小容量であるが、電源オフによりデータが失われないという特性を有する。このFeRAMには、フラッシュメモリに記憶される各データの記憶位置についての情報である索引情報が記憶される。
【0025】
上述したように、フラッシュメモリは、不揮発性であるが、書き込み回数に制限がある。そこで、本実施形態において、情報処理装置3は、更新頻度が高い直近データと、当該直近データに基づいて演算される毎分データと、当該毎分データに基づいて演算される毎時データとをDRAMに一時的に蓄積させる。そして、毎分データと毎時データとを蓄積後にDRAMからフラッシュメモリに移すことにより、フラッシュメモリの書き込み回数を低減させる。これにより、情報処理装置3は、フラッシュメモリの故障を抑制し、データをより安定して保持することができる。また、DRAMに蓄積された毎時データに基づいて演算される毎日データ、経路情報、および機器情報は、更新頻度が低いため、フラッシュメモリに直接書き込まれてよい。
【0026】
取得部331は、通信部31を介して、アクセスポイント2からプロセスデータと通信健全性情報とを取得する。取得部331は、取得したプロセスデータと通信健全性情報とを演算部332に出力する。
演算部332は、取得部331からプロセスデータと通信健全性情報とを取得し、取得したプロセスデータと通信健全性情報とに基づいて、通信品質情報を演算する。演算部332は、演算した通信品質情報の直近データを直近データ記憶部321に記憶させ、毎分データ生成部333に出力する。
【0027】
演算部332は、通信健全性情報が含む通信失敗回数と通信成功回数とに基づいて通信健全性情報のパケット誤り率を、以下の式(1)により演算する。
PER[%]=100×通信失敗回数/(通信成功回数+通信失敗回数)・・(1)
パケット誤り率の母数は、測定時間や判定用の全通信回数により決定してよい。
演算部332は、通信健全性情報が含む計測受信信号強度の平均値を演算することにより、受信信号強度を演算する。平均値は、例えば、移動平均などにより算出される。
演算部332は、各チャネルの送信見送り率を以下の式により演算する。
送信見送り率[%]=100×(各チャネルの送信見送り回数)/(各チャネルの全送信スロット数)・・・(2)
各チャネルの全送信スロット数は、記憶部32に記憶されているチャネル割当情報から取得される。
【0028】
演算部332は、失われたプロセスデータの数を示すプロセスデータ損失数を以下の式により演算する。
プロセスデータ損失数=(最も新しく受信したシーケンス番号)−(前回受信したシーケンス番号)−1・・・(3)
演算部332は、プロセスデータの送受信間遅延を以下の式により演算する。
送受信間遅延=(情報処理装置3のプロセスデータ受信時刻)−(フィールド機器が送信時に付加した送信時刻)・・・(4)
演算部332は、プロセスデータの受信間隔を以下の式により演算する。
受信間隔={(最新の受信時刻)−(前回の受信時刻)}/(所定の送信時間間隔)・・・(5)
【0029】
図6は、プロセスデータ損失数、送受信間遅延、および受信間隔を示すタイミングチャートである。
図6において、横軸は、時刻を示す。また、
図6の上段は、フィールド機器1が送信するプロセスデータの送信時刻とシーケンス番号とを示す。また、
図6の中段は、情報処理装置3がフィールド機器1から取得するプロセスデータの受信時刻とシーケンス番号とを示す。
図6の下部には、プロセスデータ損失数、送受信間遅延、および受信間隔の値とが示されている。本実施形態において、フィールド機器1と情報処理装置3との内部時計は同期されている。
【0030】
図6において示されるように、フィールド機器1は、所定の時間間隔として、例えば、10秒間隔でプロセスデータを送信する。フィールド機器1は、送信の度に、シーケンス番号に1を加算する。情報処理装置3は、当該シーケンス番号を確認することにより、通信の過程で失われたプロセスデータを識別することができる。例えば、
図6において示されるように、情報処理装置3がシーケンス番号「3」のプロセスデータの次に、シーケンス番号「5」のプロセスデータを受信した場合、フィールド機器1から送信されたシーケンス番号「4」のプロセスデータが通信過程で失われたことが推定される。従って、情報処理装置3は、上述の式(3)により、送信時刻「9:00:40」におけるプロセスデータ損失数を「1」と算出する。また、情報処理装置3は、
図6において示されるシーケンス番号「1」のプロセスデータのように、最初のプロセスデータを受信した場合、プロセスデータの損失数を判定しなくてよい。
【0031】
送受信間遅延は、フィールド機器1から送信されたプロセスデータが情報処理装置3により受信されるまでの時間を示す。
図6において示されるように、例えば、シーケンス番号「2」のプロセスデータは、フィールド機器1から「9:00:10」に送信され、情報処理装置3により「9:00:13」に受信されている。従って、情報処理装置3は、上述の式(4)により、送信時刻「9:00:10」における送受信間遅延を「3」秒と算出する。また、例えば、情報処理装置3は、
図6において示されるシーケンス番号「4」のプロセスデータのように、失われたプロセスデータについては、送受信間遅延を測定しない。
【0032】
受信間隔は、情報処理装置3におけるプロセスデータの受信間隔を示す。
図6において示されるように、情報処理装置3は、シーケンス番号「2」のプロセスデータを「9:00:13」に受信し、シーケンス番号「3」のプロセスデータを「9:00:22」に受信している。また、
図6に示す例において、フィールド機器1によるプロセスデータの送信時間間隔は10秒である。従って、情報処理装置3は、上述の式(5)により、送信時刻「9:00:10」における受信間隔を「0.9」倍と算出する。また、情報処理装置3は、シーケンス番号「3」のプロセスデータを「9:00:22」に受信した後、シーケンス番号「4」のプロセスデータは受信せず、シーケンス番号「5」のプロセスデータを「9:00:42」に受信している。従って、情報処理装置3は、送信時刻「9:00:20」における受信間隔を「2.0」倍と算出する。
【0033】
図4に戻り、説明を続ける。
毎分データ生成部333は、演算部332から直近データを取得すると、取得した直近データを統計処理して毎分データを生成する。具体的には、毎分データ生成部333は、例えば、通信品質情報の1分間分の直近データについて、最大値、最小値、および平均値を取得し、通信品質情報の毎分データとする。なお、プロセスデータ損失数については、毎分データ生成部333は、例えば、プロセスデータ損失数の1分間分の直近データの積算値を取得し、毎分データとする。毎分データ生成部333は、例えば、DRAM上で1時間分の毎分データを生成すると、生成した毎分データをフラッシュメモリの毎分データ記憶部322に記憶させ、毎時データ生成部334に出力する。
【0034】
毎時データ生成部334は、毎分データ生成部333から毎分データを取得すると、取得した毎分データを統計処理して毎時データを生成する。具体的には、毎時データ生成部334は、通信品質情報の1時間分の毎分データについて、最大値、最小値、および平均値を取得し、通信品質情報の毎時データとする。なお、プロセスデータ損失数については、毎時データ生成部334は、例えば、プロセスデータ損失数の1時間分の毎分データの積算値を取得し、毎時データとする。また、毎時データ生成部334は、例えば、1時間分の毎分データにおいて、異常状態を示す運転状態情報が1つでもある場合は、運転状態情報の毎時データを異常状態とする。毎時データ生成部334は、例えば、DRAM上で1日分の毎時データを生成すると、生成した毎時データをフラッシュメモリの毎時データ記憶部323に記憶させ、毎日データ生成部335に出力する。
【0035】
毎日データ生成部335は、毎時データ生成部334から毎時データを取得すると、取得した毎時データを統計処理して毎日データを生成する。毎日データ生成部335による統計処理は、毎分データ生成部333または毎時データ生成部334と同様である。毎日データ生成部335は、例えば、生成した毎日データをフラッシュメモリの毎日データ記憶部324に記憶させる。
【0036】
統計レポート生成部336は、例えば、毎分データなどの時系列データを記憶部32から読み出して、統計レポートを表示するための統計レポートデータを生成する。統計レポートデータは、機器特定情報と、機器毎のプロセスデータの送信時間間隔の設定情報と、機器毎の閾値の設定情報と、通信品質情報の統計情報と所定の閾値とを比較することにより通信品質の良否を判定した判定結果と、機器電源情報と、を対応付けたデータである。ここで、機器電源情報は、機器電源情報の直近データのうち、最新の情報が対応付けられる。統計レポート生成部336は、生成した統計レポートデータを統計レポート記憶部325に記憶させる。なお、統計レポート生成部336は、統計情報のうち、毎時データや毎日データを所定の閾値と比較して通信品質の良否を判定し、統計レポートデータを生成してもよい。また、統計レポート生成部336は、例えば、演算された最新の統計情報に基づいて通信品質の良否を判定してよく、また、ユーザにより指定された任意の時点における統計情報に基づいて通信品質の良否を判定してもよい。
【0037】
送信制御部337は、通信部31を介して、情報処理装置3が記憶するデータを情報表示装置4に送信する。例えば、通信部31が情報表示装置4から直近データの取得要求を受信すると、送信制御部337は、直近データ記憶部321から直近データを読み出し、読み出した直近データを情報表示装置4に送信する。また、例えば、通信部31が情報表示装置4から時系列データの取得要求を受信すると、送信制御部337は、毎分データ記憶部322、毎時データ記憶部323、または毎日データ記憶部324から、毎分データ、毎時データ、または毎日データをそれぞれ読み出し、読み出したこれら時系列データを情報表示装置4に送信する。また、例えば、通信部31が情報表示装置4から統計レポートデータの取得要求を受信すると、送信制御部337は、統計レポート記憶部325から統計レポートデータを読み出し、読み出した統計レポートデータを情報表示装置4に送信する。
【0038】
[情報表示装置の概要]
図7は、本実施形態に係る情報表示装置の概略機能構成の一例を示すブロック図である。
情報表示装置4は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレット、スマートフォン、またはPDA(Personal Digital Assistant)などであり、装置の内部にCPUや記憶装置を備える。また、情報表示装置4は、表示部41と、通信部42と、表示制御部43と、を備える。また、情報表示装置4は、マウスやキーボード、タッチパネルなどの入力装置を備えてよい。
【0039】
表示部41は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイなどを備える。
通信部42は、ネットワーク5に接続される通信インタフェースを備え、情報処理装置3と通信する。
表示制御部43は、通信部42を介して、情報処理装置3からデータを取得し、取得したデータを表示部41に表示させる。表示制御部43は、直近データ表示制御部431と、時系列データ表示制御部432と、統計レポート表示制御部433と、を備える。
【0040】
直近データ表示制御部431は、情報処理装置3に対して直近データの取得要求を送信する。当該取得要求に応じて送信された直近データを通信部42が受信すると、直近データ表示制御部431は、取得した直近データを表示部41に表示させる。
時系列データ表示制御部432は、情報処理装置3に対して時系列データの取得要求を送信する。当該取得要求に応じて送信された時系列データを通信部42が受信すると、時系列データ表示制御部432は、取得した時系列データを表示部41に表示させる。
統計レポート表示制御部433は、情報処理装置3に対して統計レポートデータの取得要求を送信する。当該取得要求に応じて送信された統計レポートデータを通信部42が受信すると、統計レポート表示制御部433は、取得した統計レポートデータを表示部41に表示させる。
【0041】
[情報表示装置による表示態様の概要]
図8は、直近データなどを表示する場合の表示態様の一例を示す図である。
領域A1は、情報表示装置4が表示する画面の表示態様の第1例を示す。情報表示装置4は、例えば、システムの立ち上げ時やメンテナンス時に表示態様の第1例を表示する。領域A11は、フィールド機器1およびアクセスポイント2で構成される無線ネットワークのサブネットを示すタブを表示する。また、領域A11には、サブネットの識別情報(例えば、
図8における「10001」)と当該サブネットの状態とが対応付けて表示される。サブネットの状態は、サブネットに接続されるフィールド機器の通信品質に応じて、サブネットの識別情報の左側に配置されたアイコン「○」の色を変化させることにより示される。領域A11に表示されるタブは選択可能であり、領域A12は、選択されたタブが示すサブネットに接続されるフィールド機器1の情報を表示する。
図8において示される例では、無線ネットワーク内のすべてのフィールド機器1を示す「All」が選択されている。
【0042】
領域A12において示される表は、フィールド機器毎の直近データなどを示す。
列C11は、フィールド機器1の状態の概要を表す状態アイコンを示す。情報処理装置3は、運転状態情報に応じて状態アイコンの色を変化させることにより、フィールド機器1の状態を示す。
図8において示される例では、状態アイコンは、項目I11、I12、およびI13によってそれぞれ例示される3つのパターンによって、「正常」、「異常」、および「警告」の3つの状態を示す。
【0043】
列C121の「Device Tag」、列C122の「Network ID」、および列C123の「Vendor/Model」は、フィールド機器1を特定する機器特定情報を示す。列C13の「Device Role」は、フィールド機器1の設定情報(役割)を示す。列C14の「Join Status」は、フィールド機器のネットワークへの接続状態を示す。接続状態には、接続されていることを示す「Full Join」と、通信が切断されていることを示す「Disconnected」とがある。列C15の「Operation Status」は、フィールド機器1の運転状態を示す。フィールド機器の運転状態には、プロセスデータを送信する「Published」と、プロセスデータを送信しない「Not publish」とがある。
【0044】
列C161の「Interval」は、受信間隔の直近データを示す。列C162の「Latency」は、送受信間遅延の直近データを示す。列C163の「Primary Router」は、フィールド機器1が第1経路として利用するアクセスポイント2を示す。列C164の「RSSI(P)」は、第1経路として利用するアクセスポイント2との通信におけるフィールド機器1の受信信号強度の直近データを示す。列C165の「PER(P)」は、第1経路として利用するアクセスポイント2との通信におけるフィールド機器1のパケット誤り率の直近データを示す。
【0045】
列C166の「Secondary Router」は、フィールド機器1が第2経路として利用するアクセスポイント2を示す。列C167の「RSSI(P)」は、第2経路として利用するアクセスポイント2との通信におけるフィールド機器1の受信信号強度の直近データを示す。列C168の「PER(P)」は、第2経路として利用するアクセスポイント2との通信におけるフィールド機器1のパケット誤り率の直近データを示す。列C169の「CCA Back off」は、送信見送り率と、当該送信見送り率を演算したチャネル番号との直近データを示す。
【0046】
列C171の「Battery Life」と、列C172の「Power Supply Status」は、機器毎の電源の状態を示す機器電源情報を示す。機器電源情報のうち、「Battery Life」は、電池(バッテリー)残量がゼロ、又は機器を動作させることのできない程度の残量になるまでの日数を示す。また、機器電源情報のうち、「Power Supply Status」は、電池容量に対するバッテリー残量の比率を示す。なお、図示されていないが、プロセスデータ損失数を表示する列を設けてもよい。
【0047】
表示態様の第1例において、通信品質情報の各項目には、直近データを統計処理した情報を表示してもよい。情報表示装置4は、例えば、列C161の「Interval」の項目において、画面が更新されるまでの期間中に演算された受信間隔のうち、最大値を表示してよい。例えば、画面の更新周期が1分間の場合、情報表示装置4は、受信間隔の最大値の毎分データを表示する。同様に、情報表示装置4は、例えば、列C162の「Latency」の項目において、画面が更新されるまでの期間中に演算された送受信間遅延のうち、最大値を表示してよい。また、情報表示装置4は、例えば、列C169の「CCA Back off」の項目において、所定の時間内に演算されたチャネル毎の送信見送り率のうちの最大値を、当該最大値を示したチャネル番号とともに表示してよい。なお、チャネル番号は、
図16の説明において後で説明する。
【0048】
図9は、本実施形態に係る統計レポートを表示する場合の表示態様の一例を示す図である。
領域A2は、情報表示装置4が表示する画面の表示態様の第2例を示す。情報表示装置4は、例えば、システムの立ち上げが完了し、稼働状態となった場合に、表示態様の第2例を表示する。領域A21は、無線ネットワークを構成するサブネットを一覧表示する。また、領域A21には、
図8の領域A11と同様に、サブネットの識別情報と当該サブネットの状態とが対応付けて表示される。また、
図9において示される例では、色に加えて、アイコンの意匠により、サブネットの状態が示される。
【0049】
項目I211が例示される「レ」マークは、サブネット内のすべての機器が正常であることを示す。項目I212に例示される「!」は、サブネット内のフィールド機器1またはアクセスポイント2に、1台以上、警告状態のものがあることを示す。項目I213に例示される「×」マークは、サブネット内のフィールド機器1またはアクセスポイント2に、1台以上の異常状態のものがあることを示す。項目I214に例示される「?」マークは、サブネット内のフィールド機器1またはアクセスポイント2の状態を測定中であり、まだ結果が得られていない不明状態であることを表す。なお、以下では、サブネットの状態だけでなく、機器の状態を示すためにも同様のマークが利用される。機器の状態を示す場合の各マークの意味は上述したものに類似し、「レ」は正常状態であること、「!」は警告状態であること、「×」は異常状態であること、「?」は不明状態であることを、それぞれ示す。
【0050】
領域A21に表示される各サブネットは選択可能であり、領域A22および領域A23は、選択されたサブネットに接続される機器の情報を表示する。
図9において示される例では、無線ネットワーク内のすべての機器を示す「All」が選択されている。
【0051】
領域A22は、状態毎の機器の数を示す。項目I221、I222、およびI223は、アクセスポイント2の数を機器の状態毎に示す。項目I224、I225、およびI226は、フィールド機器1の数を機器の状態毎に示す。項目I221およびI224は、異常状態の機器の数を示す。項目I222およびI225は、警告状態の機器の数を示す。項目I223およびI226は、不明状態の機器の数を示す。
【0052】
領域A23において示される表は、機器毎の統計情報などを示す。列C21において示されるアイコンは、機器の役割と状態とを示す。
図9の例において、機器の役割は、アイコンの形状により示され、例えば、項目I231のアイコンような「□」の輪郭は、アクセスポイント2を示す。また、例えば、項目I232のアイコンような「○」の輪郭は、フィールド機器1を示す。また、項目I232およびI233のアイコンの中の文字「I」と「R」とは、フィールド機器1のさらに詳細な分類を示す。また、機器の状態は、例えば、
図8の項目I11、I12、およびI13を用いて説明したように、例えば、アイコンの色によって示されてよい。
【0053】
列C221の「Device Tag」と列C222の「Model」とは、それぞれ、
図8の列C121および列C123と同様に、機器特定情報を示す。列C23の「Publication Period」は、フィールド機器1によるプロセスデータの送信時間間隔の設定値(所定の送信時間間隔)を示す。列C24の「Alert Threshold」は、フィールド機器1の状態を判定するための閾値の設定状態を示す。本実施形態において、フィールド機器1には、その用途に応じて2つの閾値のうちのいずれかが設定される。
図9において示される例では、当該閾値の設定は第1の閾値「A」と第2の閾値「B」とにより示されている。本実施形態において、第2の閾値「B」は、第1の閾値「A」に比してより条件の厳しい値である。第1の閾値は、例えば、監視用途のフィールド機器1に対して設定される。第2の閾値は、例えば、短い時間間隔で正確に情報を送受信する必要がある高速監視用途のフィールド機器1やプラントの制御用途のフィールド機器1に対して設定される。
【0054】
列C251の「Status」は、運転状態情報を示す。列C252の「Publication Loss」は、プロセスデータ損失数の統計情報と閾値との比較結果を示す。列C253の「Interval」は、受信間隔の統計情報と閾値との比較結果を示す。列C254の「Latency」は、送受信間遅延の統計情報と閾値との比較結果を示す。列C255の「PER」は、パケット誤り率の統計情報と閾値との比較結果を示す。情報表示装置4は、統計レポートデータが含む通信状態情報に基づいて、列C252からC255の項目を表示する。なお、図示されていないが、受信信号強度や送信見送り率の統計情報と閾値との比較結果を表示する列を設けてもよい。
【0055】
列C26の「Power Status」は、機器電源情報を示す。機器電源情報は、機器の電源の状態を示す画像によって示される。また、機器の電源がバッテリーである場合、機器電源情報は、バッテリーの残日数を示す数値など、バッテリー残量の詳細を示す情報を当該画像上に重ねることによって示される。これにより、情報表示装置4は、少ない領域に多くの情報を表示することができる。なお、バッテリー以外の図示されている画像は、商用電源等から電源供給されている機器を示す(ライン接続)。領域A24は、表示画面の表示内容を変化させるためのボタンを示す。情報表示装置4は、例えば、領域A24のボタンが押下された場合に、後述する表示態様の第3例を表示してよい。
【0056】
列C252〜C255の表示は、例えば、通信品質情報の平均値や最大値などの統計情報に基づいて決定する。例えば、通信品質情報の最大値が閾値よりも小さい場合、当該通信品質情報について、フィールド機器1は正常状態であるとする。また、例えば、通信品質情報の最大値が閾値よりも大きく、平均値が閾値以下の場合、当該通信品質情報について、フィールド機器1は、警告状態であるとする。また、例えば、通信品質情報の平均値が閾値よりも大きい場合、当該通信品質情報について、フィールド機器1は、異常状態であるとする。なお、列C252〜C255の表示に用いる統計情報は、一例として、毎分データとするが、統計情報は、毎時データであってもよいし、毎日データであってもよい。
【0057】
図10は、機器電源情報を表示する場合の表示態様の選択方法の一例を示す表である。
図10において示される例において、列C31の「状態名」は、機器の電源の状態についての分類を示す。「状態名」には、「正常」、「警告」、および「不明」の3つがある。これらの状態は、電源の種類と閾値によるバッテリー残量の判定とによって決定される。例えば、電源の種類がライン接続の場合、「状態名」は「正常」である。例えば、電源の種類がバッテリーであり、当該バッテリーの残量が所定の閾値よりも多い場合、「状態名」は「正常」である。例えば、電源の種類がバッテリーであり、当該バッテリーの残量が所定の閾値以下の場合、「状態名」は「警告」である。
【0058】
列C32の「Power Supply Status」は、電源の種類とバッテリー残量とを示す。「Power Supply Status」には、ライン(電源供給ライン)から電力を供給されていることを示す「Line Powered」と、バッテリー残量を示す「100−75%」、「75−25%」、または「25−0%」と、不明であることを示す「Unknown」とがある。
【0059】
列C33の「画像」は、電源の状態に応じた表示態様の一例を示す。例えば、列C32の「Power Supply Status」が「Line Powered」である場合、「画像」には、当該「Line Powered」に対応付けられているライン接続を示す画像が選択される。また、列C31の「状態名」が「不明」である場合、「画像」には、当該「不明」に対応付けられている不明を示す画像が選択される。また、電源がバッテリーである場合には、そのバッテリー残量が該当する「Power Supply」に対応付けられている画像のうち、「状態名」が「正常」または「警告」である画像が選択される。このようにして選択された画像は、
図9のC26において示される機器電源情報の表示に使用される。
【0060】
図11は、通信品質情報の値の分布などを表示する場合の表示態様の一例を示す図である。
領域A3は、情報表示装置4が表示する画面の表示態様の第3例を示す。情報表示装置4は、例えば、統計レポートの表示において、異常または警告状態の機器および通信品質情報があった場合に、表示態様の第3例を表示する。領域A31、領域A32、および領域A33において示される情報は、上述した
図9の領域A21、領域A22、および領域23と、それぞれ同様である。
【0061】
領域A34は、通信品質情報を示すタブを表示する。領域A34に表示される通信品質情報は、プロセスデータ損失数(「Publication Loss」)、受信間隔(「Interval」)、送受信間遅延(「Latency」)、パケット誤り率(「PER」)、受信信号強度(「RSSI」)、および送信見送り率(「CCA Back off」)である。領域A34に表示されるタブは選択可能であり、領域A35は、選択されたタブが示す通信品質情報の分布を、機器特定情報に対応させて表示する。
図11において示される例では、「PER」が選択され、パケット誤り率の分布が領域A35に示されている。また、領域A35において表示される機器は、領域A31におけるサブネットや領域A33における機器の選択に応じて変更可能としてよい。
【0062】
破線L31は、通信品質情報に対する第1の閾値「A」を示す。破線L32は、通信品質情報に対する第2の閾値「B」を示す。グラフG3は、機器特定情報に対応する通信品質情報の分布を示すグラフである。グラフG3の横軸は、通信品質情報の値の大きさを示す。フィールド機器1は、第1経路と第2経路との2つの通信経路を有するため、領域A35の機器特定情報各々に対して第1経路の通信品質情報の分布を示すグラフと第2経路の通信品質情報の分布を示すグラフとの2つのグラフが示されている。例えば、
図11において示される例において、機器特定情報「DEV002」が示すフィールド機器1の第1経路に関する「PER」の分布はグラフG31として示され、第2経路に関する「PER」の分布はグラフG32として示されている。
【0063】
通信品質情報の分布を示すグラフ各々は、例えば、点P311、P312、およびP313各々によってそれぞれ例示される最大値、最小値、および平均値の点を結ぶ線として示される。また、グラフG3のグラフ各々は、通信品質情報と機器特定情報の閾値との比較結果に応じた態様で示される。例えば、「DEV002」の閾値の設定が第1の閾値「A」である場合、グラフG31により示される「PER」の平均値は、第1の閾値「A」よりも大きいため、当該「PER」について、フィールド機器1は異常状態である。従って、グラフG31の平均値を示す点P313は、異常状態を示す「×」の形状で示されている。なお、ここでは一例として、通信品質情報の分布を示すグラフは、毎分データの最大値、最小値、および平均値が示されるものとするが、毎時データや毎日データの最大値、最小値、および平均値などが示されてもよい。
【0064】
また、例えば、グラフG32により示される最大値の点は、第1の閾値「A」よりも小さいため、当該「PER」について、フィールド機器1は、正常状態である。従って、グラフG313の平均値を示す点P321は、正常状態を示す「○」の形状で示されている。また、例えば、「DEV003」の閾値の設定が第2の閾値「B」である場合、グラフG33により示される「PER」の最大値は第2の閾値「B」よりも大きく、平均値は第2の閾値「B」よりも小さいため、グラフG33の平均値を示す点P331は、警告状態を示す「□」の形状で示されている。また、各グラフは、フィールド機器1の状態に応じて、色分けして示されてよい。
【0065】
図12は、通信品質情報の時系列データなどを表示する場合の表示態様の一例を示す図である。
領域A4は、情報表示装置4が表示する画面の表示態様の第4例を示す。情報表示装置4は、例えば、統計レポートの表示において、異常または警告状態の機器があった場合に、表示態様の第4例を表示する。領域A41は、時系列データを表示する対象のフィールド機器1の機器特定情報や設定を示す。領域A42は、時系列データを表示する対象の通信品質情報の選択状況を示す。領域A42において選択可能な項目は、
図11の領域A34において選択可能なものとほぼ同様であり、パケット誤り率および受信信号強度については第1経路と第2経路とを区別して選択可能である。領域A43は、領域A42において選択された通信品質情報の時系列データのグラフを示す。ここでは一例として、領域A43において示される時系列データは、毎分データであるとするが、毎時データや毎日データであってもよい。領域A43のグラフの縦軸は、通信品質情報の値の大きさを示す。領域A43のグラフの横軸は、日時を示す。破線L41は、受信間隔の揺らぎ許容値(Stale Limit)を示す。破線L42は、閾値を示す。
【0066】
図12に示される例において、領域A42では受信間隔「Interval」が選択されており、領域A43には、当該選択に対応する受信間隔「Interval」のグラフG4が表示されている。また、領域A41において示されるように、閾値「Threshold」として第2の閾値「B」が設定されている(破線L42)。領域A431は、受信間隔の時系列データを示すグラフG4のうち、フィールド機器1が警告状態となった部分を示す。領域A432は、グラフG4のうち、最大値が閾値以下であり、正常状態であった部分を示す。これにより、情報表示装置4のユーザは、通信品質の状態の経時変化を容易に確認することができる。また、情報表示装置4のユーザは、揺らぎ許容値に対する受信間隔の余裕度を容易に確認することができる。
【0067】
点P41の「○」のマーカーは、閾値の設定の変更または経路の変更を示している。領域A441は、当該変更の詳細を示す。情報表示装置4は、例えば、点P41のマーカーがマウスオーバーなどにより選択された場合、領域A441の経路情報を表示するようにしてよい。
【0068】
図13は、統計情報と比較を行う閾値の設定画面の表示態様の一例を示す図である。
領域A5は、情報表示装置4が表示する画面の表示態様の第5例を示す。領域A51は、設定項目の選択のための領域である。領域A52は、通信品質情報の統計情報と比較する閾値の値の設定を行うための領域である。領域A521は、フィールド機器1の通信品質情報に関する閾値を設定するための領域である。領域A521において示される表の列C511は、設定する閾値が第1の閾値「A」と第2の閾値「B」のいずれであるかを示す。列C512は、プロセスデータ損失数の閾値を示す。列C513は、受信間隔の閾値を示す。列C514は、送受信間遅延の閾値を示す。列C515は、パケット誤り率の閾値を示す。列C516は、受信信号強度の閾値を示す。列C512〜C516の各項目は選択および入力可能になっており、所望の値を閾値として設定してよい。また、列C512〜C516の任意の項目を「Disable」とすることにより閾値を設定せず、情報表示装置4が、当該項目についての警告状態や異常状態を通知しないように設定してもよい。なお、図示されていないが、送信見送り率の閾値を設定する列を設けてもよい。
【0069】
領域A522およびA523は、フィールド機器1のバッテリー残量についての閾値を示す。領域A522は、機器電源情報に対する閾値として、バッテリー残量がゼロ、又は機器を動作させることができない程度の残量になるまでの予定日数を設定するための領域である。また、領域A523は、機器電源情報に対する閾値として、バッテリー容量に対するバッテリー残量の比率を設定するための領域である。
【0070】
領域A524は、通信品質情報の統計情報と比較する閾値の選択を行うための領域である。領域A524に示される表において、列C521、C522、およびC523は、機器特定情報を示す。列C524は、フィールド機器1の設定情報(役割)を示す。列C525は、通信品質情報に対する閾値として、第1の閾値「A」と第2の閾値「B」のいずれかを選択可能に示す。列C526は、機器電源情報に対する閾値として、残量ゼロ、又は機器を動作させることができない程度の残量までの予定日数とバッテリー残量の比率とのいずれか、または、両方を選択可能に示す。
【0071】
[通信品質の改善方法の概要]
図14は、直近データなどを表示する場合の表示態様の一例を示す図である。
領域A6は、情報表示装置4が表示する画面の表示態様の第6例を示す。領域A61において示される項目は、
図8の領域A11において示される項目と同様である。また、領域A62において示される表は、
図8の領域A12において示される表と同様である。領域A62の行L61における状態アイコンの項目I61には、状態アイコン「○」の右側に「i」の文字が付与されている。領域A62の表の行L61における「RSSI(S)」の項目I62には、「i−75dBm」が表示されている。これらの「i」は、第1経路または第2経路の通信品質に比して、より優れた通信品質を提供しうるアクセスポイント2が存在することを通知するものである。
図14において示される例では、第2経路の受信信号強度に「i」が示されており、受信信号強度が第2経路のアクセスポイント2よりも優れたアクセスポイント2が存在している。
【0072】
図15は、フィールド機器1の通信経路設定のための画面の表示態様の一例を示す図である。
領域A7は、情報表示装置4の表示態様第7例を示す。情報表示装置4は、例えば、上述した
図14における項目I61またはI62が選択された場合に、表示態様を第7例に遷移させる。領域A71は、機器特定情報を示し、
図15に示される例において、機器特定情報は「DEV006」である。領域A72は、第1経路のアクセスポイント2の機器特定情報と当該アクセスポイント2に関する通信品質情報を示す。
図15に示される例において、第1経路のアクセスポイント2は「BBR001」であり、通信品質情報の受信信号強度は「−65dBm」である。領域A73は、第2経路のアクセスポイント2の機器特定情報と当該アクセスポイント2に関する通信品質情報を示す。
図15に示される例において、第2経路のアクセスポイント2は「BBR002」であり、通信品質情報の受信信号強度は「i−75dBm」である。
【0073】
領域A74において示される表は、領域A71に示される機器が第1経路または第2経路として設定可能なアクセスポイント2の情報を示す。当該表の各行は、選択可能である。列C71の「Neighbor」および列C72の「Vendor/Model」は、領域A71に示される機器が第1経路または第2経路として設定可能なアクセスポイント2の機器特定情報を示す。また、列C73の「Device Role」は、設定情報(役割)を示す。列C74の「RSSI」は、受信信号強度を示す。領域A75は、領域A74において選択されたアクセスポイント2を第1経路として設定するためのボタンを示す。領域A76は、領域A74において選択されたアクセスポイント2を第2経路として設定するためのボタンを示す。領域A77は、通信経路の設定を終了するためのボタンを示す。
【0074】
図15に示される例において、行L71に示す「DEV001」の受信信号強度は、「−68dBm」である。当該受信信号強度は、領域A73に示される第2経路の受信信号強度の「−75dBm」に比して優れている。従って、行L71を選択し、領域A76に示されるボタンを押下することにより、「DEV001」を「DEV006」の第2経路のアクセスポイント2に設定し、第2経路の通信品質を改善できる可能性がある。なお、情報表示装置4は、当該設定の変更によりホップ数が変化する場合は、送受信間遅延に影響があることを通知してよい。
【0075】
図16は、フィールド機器1が通信に使用する周波数帯域の経時変化の一例を示す図である。
図16において、縦軸は、周波数帯域(チャネル番号)を示す。横軸は、時間を示す。「A」は、第1の閾値が設定されている通常監視用途のフィールド機器1を示す。「B」は、第2の閾値が設定されている高速監視用途、または、制御用途のフィールド機器1を示す。
図16において示されるように、情報処理装置3は、時間帯T81において、チャネル「11」の異常を検出している。チャネルについての異常は、例えば、上述した送信見送り率と閾値とによって判定される。フィールド機器1「B」には、より優れた通信品質を必要とする。従って、時間帯T81以降は、フィールド機器1「B」には、異常が検出されたチャネル「11」は割当てられず、領域A81において示されるようにチャネル「17」から「22」までの周波数帯域が割当てられている。
【0076】
これに対し、通常監視用途のフィールド機器1「A」は、フィールド機器1「B」程には優れた通信品質を必要としない。また、フィールド機器1が使用可能なチャネルの数は限られている。従って、時間帯T81以降は、フィールド機器1「A」には、率先してチャネル「11」が割り当てられ、フィールド機器1「B」が正常状態のチャネルを優先的に使用しやすくなるように設定されている。これにより、チャネルのリソースが不足することを回避しつつ、システム全体における通信の恒常性を保つことができる。このような設定は、手動で行われてもよいし、自動で行われてもよい。
【0077】
[まとめ]
通信経路の安定性を損なう原因として、例えば、通信経路において使用される周波数帯域と重複する帯域を使用する無線機器の存在や通信経路を遮断する物理的障害物の存在が考えられる。これらの障害による影響は、一時的なものである場合と長期的なものである場合とがある。しかしながら、従来の技術は、直近に得られた通信品質情報しか利用していなかったため、時間的な観点から障害による影響を解析することができなかった。
【0078】
これに対し、本実施形態に係る情報表示装置4は、プラントに設置されたフィールド機器1との通信の通信品質を示す通信品質情報を予め規定された期間に亘って統計処理して得られる統計情報を、フィールド機器1を特定する機器特定情報に対応させて表示部41に表示させる表示制御部43を備える。これにより、情報表示装置4は、通信経路の長期間に亘る安定性をわかり易く示すことができる。
【0079】
また、表示制御部43は、フィールド機器1のバッテリー残量を示す機器電源情報を、機器特定情報に対応させて表示部41に表示させる。これにより、情報表示装置4は、フィールド機器1のバッテリー残量をわかり易く示すことができる。従って、情報表示装置4のユーザは、通信経路の安定性を維持することができる。
【0080】
また、表示制御部43は、統計情報とフィールド機器1の通信品質の良否を判定するために設定された閾値との比較結果を、機器特定情報に対応させて表示部41に表示させる。これにより、情報表示装置4は、統計情報の数値などを確認しなくても、通信経路の状態が良好か否かをわかり易く示すことができる。従って、情報表示装置4は、通信経路の長期間に亘る安定性をさらにわかり易く示すことができる。
【0081】
また、閾値は、フィールド機器1毎に異なる値を設定可能である。これにより、情報表示装置4は、フィールド機器1の用途に応じた判定基準で、通信経路の状態が良好か否かをわかり易く示すことができる。従って、情報表示装置4は、通信経路の長期間に亘る安定性をさらにわかり易く示すことができる。
【0082】
また、表示制御部43は、1分間や1時間などの予め規定された期間における通信品質情報の分布を、機器特定情報に対応させて表示部41に表示させる。また、表示制御部43は、通信品質情報の分布とともに統計情報を表示部41に表示させる。これらにより、情報表示装置4は、例えば、過去から現在に至るまでの通信経路の通信品質を簡潔に示すことができる。従って、情報表示装置4は、通信経路の長期間に亘る安定性をさらにわかり易く示すことができる。
【0083】
また、表示制御部43は、通信品質情報の経時変化を表示部41に表示させる。これにより、情報表示装置4は、過去から現在に至るまでの通信経路の通信品質の詳細を示すことができる。従って、情報表示装置4は、通信経路の長期間に亘る安定性をさらにわかり易く示すことができる。
【0084】
また、表示制御部43は、同一のフィールド機器1について、通信品質情報が示す通信品質が、当該フィールド機器1が現在使用している通信経路のアクセスポイント2に比して優れている他の通信経路のアクセスポイント2が存在することを示す通知を、機器特定情報に対応させて表示部41に表示させる。これにより、情報表示装置4のユーザは、フィールド機器1に対して、より通信品質の高い通信経路を設定することができる。
【0085】
また、情報処理装置3は、プラントに設置されたフィールド機器1から送信される通信健全性情報およびプロセスデータの少なくとも一方を用いてフィールド機器1の通信品質を示す通信品質情報を求める演算部332と、演算部332によって求められた通信品質情報を予め規定された期間に亘って統計処理して統計情報を得る統計処理部としての毎分データ生成部333、毎時データ生成部334、および毎日データ生成部335と、統計処理部で得られた統計情報を出力する出力部としての送信制御部337を備える。これにより、情報処理装置3は、通信経路の長期間に亘る安定性をわかり易く示すデータを生成し、出力することができる。
【0086】
また、情報表示装置4は、送信見送り率を表示する。これにより、例えば、パケット誤り率について異常が検出された場合に、情報表示装置4のユーザは、受信信号強度の不足と外部ノイズによる干渉とのいずれが原因であるかを判断することができる。従って、情報表示装置4のユーザは、例えば、フィールド機器1が使用するチャネルのホッピングパターンをより適切に設定し、通信経路の通信品質を改善することができる。
【0087】
また、情報表示装置4は、受信信号強度を表示する。これにより、情報表示装置4のユーザは、例えば、通信経路内に障害物が発生したことやフィールド機器1の設置位置が不適切であることを判断することができる。また、情報表示装置4のユーザは、当該障害物の発生が、例えば、大型車両の通行などによる一時的なものであるか、植物の成長などによる長期的なものであるかを判断することができる。そして、情報表示装置4のユーザは、機器の再配置や延長アンテナの使用、ハイゲインアンテナの使用、無線経路内への立ち入り禁止処置などの対策を適切に選択し、通信経路の通信品質を改善することができる。
【0088】
また、情報表示装置4は、受信間隔を表示する。これにより、情報表示装置4のユーザは、例えば、演算した受信間隔が揺らぎ許容値に対してどの程度の余裕を持つかとういことを確認することができるため、通信経路の通信品質をさらに正確に確認することができる。また、情報表示装置4のユーザは、受信間隔に異常がある場合、フィールド機器1が使用するリトライスロットを追加するなどの対策を適切に選択し、通信経路の通信品質を改善することができる。
【0089】
また、情報表示装置4は、送受信間遅延を表示する。これにより、情報表示装置4のユーザは、例えば、信号の送受信における遅延の発生の程度を確認することができるため、通信経路の通信品質をさらに正確に確認することができる。また、情報表示装置4のユーザは、送受信間遅延に異常がある場合、通信経路におけるホップ数を減少させるなどの対策を適切に選択し、通信経路の通信品質を改善することができる。
【0090】
また、情報表示装置4は、プロセスデータ損失数を表示する。プロセスデータがリトライや冗長化された経路の通信により実際に送信先に到達したか否かを示さないパケット誤り率と異なり、プロセスデータ損失数は、これらの情報を示すことができる。従って、情報表示装置4のユーザは、プロセスデータが到達したか否かによって通信品質が判定される有線通信と同様の基準で、無線通信の通信品質を正確に判断することができる。
【0091】
なお、上述した情報表示装置4の画面表示の表示例において、任意の項目が表示されてよい。例えば、
図9の領域A23において示される表には、例えば、受信信号強度の統計情報と閾値との比較結果を示す項目が示されてよい。
また、上述した情報表示装置4の画面表示の表示例において、任意の項目が情報と関連付けられて、色分けされて示されてよい。例えば、
図8の領域A12において示される列C14の「Join Status」が「Disconnected」の場合、情報表示装置4は、該当項目を赤い文字で表示し、異常状態であることを示してよい。また、例えば、列C165の「PER(P)」および列C168の「PER(S)」が所定の閾値を超えた場合、情報表示装置4は、該当項目を黄色の文字で表示し、警告状態であることを示してよい。また、例えば、列C164の「RSSI(P)」および列C167の「RSSI(S)」が所定の閾値より小さい場合、情報表示装置4は、該当項目を黄色の文字で表示し、警告状態であることを示してよい。また、例えば、列C171の「Battery Life」が所定の閾値より小さい場合、情報表示装置4は、該当項目を黄色の文字で表示し、警告状態であることを示してよい。また、例えば、色分けは、文字色の変更ではなく、例えば、セルや文字の塗りつぶしにより行われてよい。また、情報処理装置3は、ハッチングを行ったり、下線を付したりすることにより情報を表現してよい。このように、情報表示装置4は、任意の視覚的効果を利用して情報を表示してよい。
【0092】
なお、上述した情報表示装置4の画面表示の表示例において示される統計情報は、任意の期間に亘って統計処理されたものであってよい。例えば、
図9の領域A23において示される列C252〜C255の各項目は、例えば、毎分データと閾値との比較結果であってよいし、毎時データと閾値との比較結果であってもよい。例えば、
図12の領域A43において示されるグラフは、毎分データ、毎時データ、または毎日データのいずれであってもよい。また、情報処理装置3は、上述した1分間、1時間、または1日間などの期間に限らず、通信品質情報を統計処理してよい。例えば、情報処理装置3は、5分間、半日間など任意の期間における通信品質情報から統計情報を演算してよい。
【0093】
なお、上述した実施形態では、フィールド機器1とアクセスポイント2とが無線ネットワークを介して接続される例について説明したが、フィールド機器1とアクセスポイント2とは、有線により接続されていてもよい。この場合、情報処理装置3は、無線通信の通信品質の判定に特異的に適合する受信信号強度などを演算しなくてもよい。
【0094】
なお、上述した各実施形態における情報処理装置3および情報表示装置4の一部、例えば、取得部331、演算部332、毎分データ生成部333、毎時データ生成部334、毎日データ生成部335、統計レポート生成部336、送信制御部337、および表示制御部43などをコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、情報処理装置3および情報表示装置4に内蔵されたコンピュータシステムであって、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0095】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0096】
また、上述した実施形態における情報処理装置3および情報表示装置4の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。情報処理装置3および情報表示装置4の各機能部は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。また、情報処理装置3と情報表示装置4とは、装置として一体化されてもよい。
【0097】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。